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事業事前評価表セネガル事務所 1. 案件名国名 : セネガル案件名 : 天水稲作持続的生産支援プロジェクト Project on Supporting Sustainable Production of Rain Fed Rice Projet d appui à la production durable du riz pluvial ( 仏文 ) 2. 事業の背景と必要性 (1) セネガルにおける稲作の現状と課題セネガルでは全人口の 71%( 約 866 万人 ) が農業に従事しているものの GDP 全体に占める農業生産の割合は 13% と低く 主要な食糧 ( 米 小麦 メイズ等 ) の多くを輸入に頼っている コメは一人当たり年間 60~80kg の消費量であり セネガルの主食となっているにもかかわらず 自給率は約 37% と低い そのため政府財政及び住民の家計における輸入米購入の負担は大きく 食糧安全保障の観点から国産米の増産が急務となっている これまでのセネガルの稲作は セネガル川流域の灌漑開発を中心に行われてきており セネガル政府の稲作振興策も同地域に集中していたが 近年のアフリカ稲作振興のための共同体 (CARD)/ 国別稲作振興戦略 (NRDS) による取り組みの結果 灌漑地域における増産のみならず 国の稲栽培面積の 70% を占める南部においても増産に取り組む必要があることがわかり 天水稲作開発の重要性が強く認識されることとなった セネガル国内における天水稲作地域はファティック州 カオラック州 カフリン州 タンバクンダ州 ケドゥグ州 コルダ州 セジュー州 ジガンショール州といった広範囲に亘る 本プロジェクトが対象とするファティック州 カオラック州 カフリン州における 2011 年現在の稲栽培面積は 2,573ha 稲作農民数は推定 12,360 人であるが 最大 109,691ha 192,542 人のポテンシャルを有する しかしながら種子不足 栽培技術不足 水田整備不足 融資や農業機械へのアクセス不足 塩害が稲作を行う上での主な課題であり また 農家経営 農民組織 水田維持管理 その他行政支援の不安定さが稲作の定着 普及にかかる持続可能性を脆弱なものとしている 平均収量は 0.1t/ha~4.8t/ha 生産量は 3 州合計で 86~5,657 トンであり 栽培条件 品種 年によって大幅に変動し 生産量は安定しない (2) セネガルにおける稲作に関する政策と本事業の位置付け 2005 年に セネガル国大統領諮問員会は 2012 年までに 150 万トンのコメを生産するという目標を設定した これに基づいて 2008 年に国家コメ自給計画 (PNAR) が策定され 農業省 ( 現農業 農村施設省 (MAER)) 内に PNAR 担当が設置された 一方 日本国政府は 2008 年の TICAD Ⅳにおいて 10 年間でアフリカのコメ生産の倍増を目指す アフリカ稲作振興のための共同体 (CARD) を設立した CARD 推進の一環と 1

して 加盟各国は国別稲作振興戦略 (NRDS) を策定したが セネガル政府はすでに PNAR を有していたため PNAR の内容を NRDS のフォーマットに当てはめる形で NRDS を策定した PNAR では 天水稲作地域が社会的経済的に重要であるにも関わらず 極めて少ない支援しか受けてこなかったことに触れつつ 食糧自給において重要な役割を果たすべき分野であることを明記し そのために必要な戦略を示している なお 農業省は現在 PNAR2 を策定中である PNAR/NRDS(2009) 策定後 セネガル政府は 2010 年 12 月に第 1 回 NRDS ワーキングウィークを開催し 政府及びドナーの出席のもと ニーズとリソースのマッチング及び優先活動の抽出を行い 天水稲作地域の整備 種子生産者への支援 小規模農家の優良種子へのアクセス向上等が挙げられた さらに 2011 年 6 月に第 2 回 NRDS ワーキングウィークが開催され 優先活動を実施するためのコンセプトノートが作成された 2013 年 1 月 第 3 回 NRDS ワーキングウィークが開催され 多様なアクターを巻き込んだ作業の結果 天水稲作開発を含む 6 つのコンセプトノートが完成するに至った また 2012 年 3 月に発足した新政権において 首相による施政方針演説では 2018 年までにコメの生産量目標 160 万トン ( 籾 ) の達成を掲げ 天水稲作の農作物多様化戦略への導入が活動の一つとされている このように セネガル政府は米の生産増の必要性を国民に訴え その実現のための政策を策定し 施策に向けた予算確保に取り組んでおり その中では天水稲作推進の重要性も明確に示されている 地方レベルにおいては 2011 年 農業省及び JICA の支援によりサンルイ カオラック タンバクンダの 3 地域に 地方稲作開発委員会 (CLCR) が設置され 地方における政府機関 地方自治体 民間セクター 農民組織 ドナー等の関連アクターにより 経験の共有 アクター間の協調体制の強化 稲作開発の戦略化等が行われている 現在 天水稲作地域においてセネガル政府はファティック州 タンバクンダ州 ケドゥグ州 コルダ州 ジガンショール州において アフリカ開発銀行 (AfDB) の借款及びイスラム開発銀行 (IsDB) の無償支援による 村落小規模灌漑支援プロジェクト (PAPIL)(2004 年 ~2015 年 ) を実施し 低地の小規模ダムや簡易堰 水路 畦畔 農道 井戸等の設置を行い 稲作をはじめとする農業開発を行っている しかしながら それら支援は実質的にインフラ整備中心となっており 農家への生産技術向上 営農 組織化 灌漑施設の維持管理等のソフト部分の支援は限定的である ソフト面の支援については 成果を数字で表すことが困難であるため多くのドナーは面積拡大等のインフラ整備支援に集中しがちであるものの 天水地域の稲作開発にはソフト面の支援が必要不可欠な要素であることはセネガル政府も理解を示している (3) セネガルの稲作セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績わが国は セネガル事業展開計画において 農村経済向上支援プログラムの推進 を掲げ 第一次産業振興による持続的経済成長の後押しに向け 基盤となる農業生産の改善及び農村 2

経済向上に資する協力を行っている 主食であるコメに重点を置き CARD 国家稲作開発戦略の枠組みにおいて 生産性向上 流通促進 農家経営改善等を行い 国産米の振興を図る セネガル川流域灌漑地区において 1 稲生産性向上 2 灌漑施設改善計画策定及び適切な維持管理 運営 3 生産者の経営改善を図る方策の確立 4 消費者の嗜好にあった精米加工 流通の促進を目的とした セネガル川流域灌漑地区生産性向上プロジェクト (2010-2014) を実施するとともに ファティック カオラック カフリン州では天水稲作の持続的生産を支援する 天水稲作持続的生産支援プロジェクト (2013-2018 本案件 ) を実施し セネガルにおける稲作開発を 灌漑及び天水の両輪で総合的に支援する これにより CARD 目標 (10 年間でアフリカ米生産倍増 ) 達成へ寄与し セネガルにおける食料自給率向上に貢献する協力を推進する セネガル政府にとって食糧生産は最も重要な課題の一つであり 農業セクターにおいては USAID 世銀 AFD スペイン等 他ドナーの資金支援も活発である 日本は稲作開発において実績があり 他ドナーによる資金支援を活かしつつ日本の得意とする現場での技術支援を行うことは 援助協調による分業や相乗効果の観点から有意義であると考えられる また マルチセクトラルな視点に立ったコミュニティ開発により 生産基盤の持続性確保 農村住民の収入向上 収入源の多様化 経済活動の活性化を図り 農村経済全体の向上に寄与している (4) 他の援助機関の対応 2012 年現在 本プロジェクトの対象 3 州では多くの援助機関が稲作関連の活動を実施している 特に AfDB と IsDB の支援で実施されている PAPIL はファティック州において稲作を目的とした塩害土壌の回復を図っている 他に Wula Nafaa(USAID) PCE(USAID) PBF(WFP) APRAO(FAO) PISA( イタリア, FAO) などのプロジェクトが実施されているが いずれも施設整備などのハード中心である 一部のプロジェクトは農民組織化や種子の生産 配布といった支援も行っているが 本プロジェクトが目指す種子生産技術や栽培技術などの技術向上を核とした支援を行っている援助機関は存在しない 本プロジェクトは上記 (1)~(4) の背景を踏まえ セネガル南部のファティック カオラック カフリンの 3 州において 種子生産 栽培技術 農民組織化 営農システム 水田施設維持管理といったソフト面での能力強化を通して天水稲作栽培の促進を図り インフラ中心の他プロジェクトとの相互補完を行いながら PNAR/NRDS に示された稲作自給目標達成に貢献するものである 3. 事業概要 (1) 事業目的本プロジェクトでは 対象 3 州であるファティック州 カオラック州及びカフリン州に 3

おいて持続可能な稲作生産に係る優先的課題が改善され 稲作生産の体制が改善されることを目的とした協力を実施する (2) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2013 年 10 月 ~2018 年 2 月 (4 年 4 ヶ月間 ) (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) プロジェクト対象地域 3 州の稲作生産者及び関係機関職員 ( 以下 想定人数 ) 直接 間接 合計 生産者 15,000 人 135,000 人 150,000 人 普及員 60 人 0 人 60 人 合計 15,060 人 135,000 人 150,060 人 その他 活動を共に行い技術移転を受ける者として 3 州の州農村開発局 (DRDR) 県農 業局 (SDDR) 等の職員を想定 (4) 総事業費 ( 日本側 ) 約 4.2 億円 (5) 相手国側実施機関農業 農村施設省 (MAER) (6) 国内協力機関特になし (7) 投入 ( インプット ) 日本側 1 専門家 : チーフアドバイザー 稲栽培 / 種子生産 普及 / 農民研修 営農 / 農家経営改善 / 農民組織化 水管理 / 施設維持管理 業務調整第三国専門家派遣 : 必要に応じ 2 本邦研修 第三国研修 ( 必要に応じ ) 3 機材供与 : 車両 PC など 4 プロジェクト活動費 セネガル側 1 カウンターパート 2 事務所スペース 3 カウンターパート予算 4

(8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境社会配慮 1 カテゴリー分類 :C 2 カテゴリー分類の根拠本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため 2) 貧困削減コメの増産により 従来 コメの購入に充てられていた出費が削減される また 種子生産農家は余剰種子の販売が期待されるなど 貧困削減への貢献が期待される 3) ジェンダー対象 3 州における天水稲作は伝統的に女性が主な担い手となっており 稲作の重要性の高まりとともに それを担う女性の地位の向上が期待される また 主要作物の生産に関わってきた男性が稲作にも関わるようになり 男女の協働が期待される 一方 稲作振興にともなう女性の労働負荷の増大に関しては 農民グループ内で労働分担の調整が図られることが期待され 全体としての労働量は変わらないと思われるが プロジェクトによるモニタリングは必要である (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動上記 2 (3) の通り 2) 他ドナー等の援助活動上記 2 (4) の通り 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標プロジェクト対象地域 ( ファティック州 カオラック州及びカフリン州 ) の天水稲作地域において 稲作生産の体制が改善される 指標 1: プロジェクト対象地域全体で稲作栽培面積が広がる 指標 2: プロジェクト対象地域で稲作を含む持続的な営農体系が確立し 農家経営が安定する 2) プロジェクト目標 : プロジェクト対象地域においてコメ生産に係る農家の優先的課題 (1 種子アクセス 2 栽培技術 3 営農 4 水田施設運用維持管理 ) が改善され 地域に適した稲作栽培の普及体制が確立される 指標 1: プロジェクト対象地域の一般農家の % がプロジェクトで指導した稲作栽培技術を実践する 5

指標 2: 一般農家の圃場での稲作栽培面積の割合が大きくなる 指標 3: プロジェクト対象地域の稲作収量が天水畑作地域において ~ t/ha, 干拓地の稲作地域において ~ t/ha, 低湿地稲作地域において ~ t/ha に増加する 3) 成果及び活動成果 1: プロジェクト対象地域において優良かつ需要の高い種子の生産が増大する 指標 : 1-1. プロジェクト対象地域において 人の農家が種子研修に参加する 1-2. プロジェクト対象地域で優良かつ需要の高い稲種子を生産する農家 / グループの割合が % になる 活動 : 1-1. プロジェクト対象地域の稲種子生産の現状を把握する 1-2. プロジェクト対象地域に適した推奨品種 ( 水稲 陸稲 ) を選定する 1-3. 選定した推奨品種の農家展示圃場で地域に適した品種特性を把握する 1-4. 種子生産者向け 種子生産技術マニュアル を作成する 1-5.ANCAR SDDR PAPIL NGO 等普及員による種子生産農家に育成可能な農家を対象とする研修 種子生産状況のモニタリング及び栽培指導を行なう 1-6. プロジェクト対象地域内での種子生産 配布体制を構築する ( 回転資金の活用 ) 成果 2: プロジェクト対象地域の普及員の稲栽培指導能力及び中核農民の稲栽培技術が向上する 指標 : 2-1. プロジェクト対象地域の普及員等 (ANCAR PAPIL NGO など )60 人が 稲種子生産 稲作栽培の指導者として必要な能力を習得する 2-2. プロジェクト対象地域の中核農家 300 人が稲作栽培研修を受ける 活動 : 2-1. 水稲栽培に関してはファティック州及びカオラック州 陸稲栽培に関してはカオラック州及びカフリン州において 課題の調査 ( ベースライン調査 ) 及び生産性改善のための方策検討を行ない 普及員 中核農家向けの研修コンテンツを開発する 2-2. 普及員 (ANCAR PAPIL NGO など ) に対し 稲作栽培指導 ( 水管理を含む ) 研修を実施する 2-3. 普及員及び中核農家 ( その普及員が活動している農家グループの中から選定 ) に対し 稲作栽培指導 ( 水管理を含む ) 研修 ( 普及員は反復研修を受けるとともに中核農家に対する講師を務める ) を実施する 成果 3: プロジェクト対象地域において稲種子が栽培技術とともに一般農家に普及される 6

指標 : 3-1. プロジェクト対象地域の の集落に稲作展示圃場が設置される 3-2. 訓練を受けた普及員及び中核農家がプロジェクト対象地域において延べ〇〇〇〇人を対象に稲作栽培研修を実施する 3-3. プロジェクト対象地域においてプロジェクト推奨品種種子の一般農家での使用者が % 以上となる 活動 : 3-1. 中核農家での推奨品種と適正栽培技術の実証展示を行う 3-2. 研修された普及員及び中核農家が 展示圃場を活用した一般農家に対する稲作栽培研修を行なう 3-3. 一般農家向け研修の計画と実施モニタリングを行う 3-4. 各稲作栽培環境に適した稲栽培モデルの検討及び試行を行ない 農家向け 天水稲作栽培マニュアル を作成する a) 現地事情を踏まえた栽培計画 ( 品種の確定 栽培方法 カレンダー 肥培管理など ) の策定 b) 農機具の改良 導入 ( 除草機 播種機 脱穀機 籾摺り機など ) による労働力軽減 c) 収穫時 収穫後ロスを低減する方策 ( 収穫時期 保存方法など ) の検討と導入 3-5. 農家向けに各種広報媒体 ( ラジオ等 ) を使ったプロジェクト活動 研修実施の情報を発信する 成果 4: プロジェクト対象地域のパイロットサイトにおいて 農家に対する営農改善 農民組織化 施設運営維持管理に必要な研修が普及員等により実施される 指標 : 4-1. プロジェクト対象地域の普及員 (ANCAR PAPIL NGO など )60 人が営農 組織能力強化に関する指導者として必要な能力を習得する 4-2. パイロットサイトの中核農家が営農改善の指導を受け 中核農家の展示圃場で営農が実践される 4-3. PAPIL 事業区の 箇所の展示圃場において農民組織により計画に基づいた水管理 圃場施設の運用 維持管理が実施される 活動 : 4-1. パイロットサイトにおける受益農家の経済 営農状況 及び農民組織の事業収支 運営状況を把握するためのベースライン調査を実施する 4-2. 農民向け 営農改善ツール ( 作付計画 カレンダー 年間収支など ) を作成する 4-3. 普及員を対象とした営農 組織能力強化研修を実施する 4-4. 普及員による農民組織リーダー ( 中核農家 ) を対象とした営農 組織能力強化研修 ( 稲 畑作物 野菜を含む総合的な営農計画策定 農民組織の経営改善及び運営体制強化など ) の実施と営農展示を行う 7

4-5.PAPIL 事業区において水田施設の運用 維持管理に関する現状調査を行なう 4-6.PAPIL 事業区の普及員 (ANCAR PAPIL NGO など ) 及びパイロットサイト内の展示圃場が設置された PAPIL 事業区の農民組織を対象とした 稲栽培に連動した水田施設 ( 堤防 水門 圃場 ) の円滑な運用 ( 水位調整 除塩 均平など ) に関する研修を行なう 4-7. パイロットサイト内の展示圃場が設置された PAPIL 事業区の水田施設の維持管理及び改修 補修に関し 効果的かつ低コストの方法を検討し 農民組織による管理及び補修工事の費用を含む計画を策定する (OJT) 4-8. 農民組織が水田施設に必要な維持管理及び改修 補修工事を行なう (OJT) 4-9. 農民組織が活用可能な 水田施設運用 維持管理マニュアル を策定する 成果 5: プロジェクト対象地域 他州 周辺国における天水稲作が推進されるための枠組みが強化される指標 : 5-1. 広報活動によりプロジェクトの活動 推奨品種等に対する農家の認知度が上がる 5-2. 対象地域の農民 生産者組合 民間業者 NGO ドナー 州政府等関係者にプロジェクトの進捗 成果が共有される 5-3. 農業省 関連する省庁 地方政府 ドナーに天水稲作推進の重要性が周知される 5-4. プロジェクト対象州及び他州に広域展開するための体制 ( 計画 予算 人員含む ) が中央及び地方政府において形成される 5-6. 本事業の活動が周辺国とも共有され 地域的に天水稲作の広がりがみられる 活動 : 5-1. ベースライン調査 ( 指標 自然環境 社会経済状況 市場 流通 バリューチェーンなど ) を実施する 5-2. 対象地域で稲作分野の支援に関わる関係者 ( 政府 ドナー NGO 民間業者 生産者組合 CLCR など ) の活動状況を把握する 5-3. 関係者に対する広報 啓発活動 ( イベント開催など ) を実施する 5-4. 天水稲作の推進のため 中央政府 地方政府 他ドナー 関連アクター等の連携を強化する活動を行う 5-5. CARD PNAR の取り組みを踏まえ プロジェクト対象地域の関係者 他州及び近隣国と経験を共有するセミナー 研修等を開催する 4) プロジェクト実施上の留意点 ( ア ) 他ドナーの事業との連携従来のプロジェクト (PAPIL 含む ) は水田整備などインフラ支援中心で 農家に対するソフト面の支援については ANCAR NGO コンサルタント等に活動を全面的に委託しているものの これは これら人材が既に優れた技術を持っていて活動資金さえあればその普及が可能 という仮定のもとに行われている 詳細計画策定調査では 実際には PAPIL において 8

案件終了間近であるにも関わらず 栽培技術指導 農民組織化 営農指導 水田維持管理活動強化等 必ずしも想定通りの成果が現れているとは言えないケースが見られた しかしながら政府が PNAR における数的目標として ha を整備 と数字を出す以上 このようなハード中心の案件は今後もドナーや対象地域を変えつつ継続していくものと思われる 本プロジェクトにおいては このような開発の流れとうまく相乗効果を図りながら 足りない部分を補完しつつ開発効果を上げる形での協力を行う つまり 今後の政府 他ドナーの支援で灌漑インフラが整備された事業地を活用し ソフト面の支援で天水稲作地域に技術普及を促進する ( イ ) 稲栽培のモチベーションと農家経営の向上コメはセネガルの主食であるにも関わらず自給率が低く 全国的にコメ増産の必要性は高い プロジェクト対象 3 州のコメの生産量はセネガル全体の 1% 前後に留まっており 全国規模で見た場合の 3 州のコメ増産の貢献度は必ずしも高くない これら地域ではコメはあくまでも自給用であり 水稲の栽培可能な土地が限られていたため 生産は限定的であった しかし近年のコメ価格の高騰 陸稲 NERICA の普及 水田整備による栽培面積拡大等により 農民の稲作への意欲が高まりつつある 種子販売を除けば自給用の稲作ではあるが 自給によりコメ購入にかかる家計の大きな負担を減らすことで農家経営の向上に繋がることが期待される また 同様の傾向がある他州 近隣国との経験共有 ( 成果 5) を通じた天水稲作技術の広範な波及が強く期待される ( ウ ) 機関 分野横断的な調整の必要性本プロジェクトでは カウンターパート機関が DAPSA( 農業分析予察統計局 ) PAPIL ANCAR( 農村開発普及庁 ) 等と非常に多い それぞれが独立した機関であり 横断的な連携の仕組みや指揮命令系統を有していないため いわゆる縦割り体制になり コミュニケーションの齟齬や非効率な業務実施が生じることが懸念される 本プロジェクトチーフアドバイザー 農業技術アドバイザー (JICA) PNAR コーディネーターを通じてこれらカウンターパート機関の横断的な調整が求められる また プロジェクトで扱う活動として 栽培技術 営農 組織化 水田施設維持管理等あるが それぞれの活動に横の連携を持たせ相乗効果を得つつ 全体的にまとまりのある成果を得ることが望まれる 例えば水田維持管理は栽培技術と連動すべきであり ( 生育に合わせた水管理等 ) 栽培技術は営農状況を考慮すべきものである 更にはプロジェクトの成果の普及に向け 現場技術のみならず政策的な打ち込みを行う工夫が必要となる そのため プロジェクト総括は全体を見渡し 分野横断的な活動の調整及び政策への打ち込みを行う能力が求められる 9

( エ ) 自立発展性の確保州レベルのカウンターパートとして中心的な役割が期待されている DRDR の予算が新政権発足の 2012 年は大幅に削減されたこと 本プロジェクトで重要な役割を担う普及員を擁している ANCAR 及び種子選定に関わる研究機関 ISRA が共に独自予算を持たず 活動費をドナープロジェクトとの契約に依存していることなどから 農業省の財政面における自立発展性については 別途検討が必要 ANCAR の活動費の予算化及び普及員数の強化を農業省に対して働きかけるなどの対応が求められる また PAPIL が 2015 年で終了する場合には PAPIL との契約で稼働しているアニメーターが担っている役割を 2015 年以降 誰がどのように継承していくのか明らかにすることが望ましい プロジェクト期間中にアニメーターから農民への技術移転を確実に行う必要がある 本プロジェクトで育成された普及員は 引き続き他プロジェクトなどを通じて天水稲作の推進に関わることから 彼らを通じて本プロジェクトの成果が波及されるよう十分に配慮する必要がある セネガル農業省は C/P 予算として会議開催 中央 C/P の地方への出張旅費 研修に係る日当 普及員の燃料代 種子購入 簡易農機具の購入に係る費用の全額または一部を負担することに合意したが 実際に支出されることが確定した訳ではなく また財務省からの C/P 予算配分の滞りによりプロジェクトの円滑な進捗が妨げられる例が他案件でも見られている そのため プロジェクトの円滑な実施に不可欠な予算については JICA 側の負担としつつ その他の活動 ( 職員出張旅費 会議開催費 ) について先方負担とすべく 現地での活動経費の内訳に関する協議を継続し 先方予算確保がなされるように農業省及び経済財政省に働きかけることが不可欠である (2) その他インパクト 3 (8) 及び 4 (1) 3) に既述の通り 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 事業実施のための前提 必要な稲種子の品種と量がセネガル側で確保される PAPIL プロジェクトが 2015 年まで継続される 農業農村施設省の予算が大幅に削減されない (2) 成果達成のための外部条件 訓練を受けた普及員が離職しない (3) プロジェクト目標達成のための外部条件 パイロットサイトにおいて 作物の生育に適した降雨と気温が保たれる パイロットサイトにおいて 投入財 ( 種子 肥料 トラクター賃耕料など ) の価格高騰が起こらない パイロットサイトにおいて 水田施設の大規模な損壊が起こらない 10

(4) 上位目標達成のための外部条件 プロジェクト終了後も ANCAR の活動経費が確保される プロジェクト終了後も水田施設の改修予算が確保される (5) 上位目標が持続するための外部条件 国産米の増産を図る政府の政策に変更がない 6. 評価結果 本事業は セネガルの開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 セネガル川流域灌漑地区生産性向上プロジェクト(PAPRIZ)(2009 年 11 月 ~2013 年 ) では セネガル川流域のポドール地区において低投入 参加型アプローチにより農民参加型小規模灌漑地区改善工事を行った これにより 参加農民にプロジェクトへのオーナーシップを醸成すると同時に 低コストによる修繕工事の継続的な実施を可能にした 同活動は今後もセネガル川流域の他地区や生産者に今後拡大し得るものであるが 天水稲作地域への普及も期待できる性質のものである そのため プロジェクトの水田維持管理分野において PAPRIZ の経験を活用するための検討が有効と思われる 東部ウガンダ持続型灌漑農業開発計画プロジェクト(2008 年 8 月 ~2011 年 6 月 ) では 地域の有力者がプロジェクトサイトの選定及び活動の実施に参加した場合に プロジェクト成果の普及が積極的 効果的に行われた例が報告されている 地域のリーダーは農民に直接的 間接的影響力を有しており 彼らのプロジェクトへの参加や肯定的な認知を獲得することは効果的 効率的なプロジェクト実施に有効である 西アフリカにおいて 我が国はカメルーン ガーナ シエラレオネにおいて天水稲作支援を実施しており これらの案件との情報共有や成果の活用は有効である 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4. (1) のとおり (2) 今後の評価計画 2015 年 12 月頃 中間レビュー 2017 年 9 月頃 終了時評価 11