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Transcription:

ノルウェーとロシアがバレンツ海の境界線問題に合意 2010 年 5 月 20 日 調査部 宮本善文 1 ポイント 1. ノルウェーの現状 埋蔵量と生産量 鉱区設定地域 政策 2. ノルウェーとロシアは大陸棚の境界線の確定に合意 公式発表 ロシアとの交渉( 相互の主張 交渉方法 ) 埋蔵量 3. 日本企業へのインプリケーション 2

1-(1) 埋蔵量と生産量 (@ 欧州 ユーラシア ) 埋蔵量 ( 億 boe) ガス gas > oil 原油 生産量 ( 万 boe/d) ガス oil > gas 原油 BP 統計 (2009) 3 1-(2) 鉱区設定地域 鉱区非設定地域 バレンツ海 Barents Sea 係争地域 ノルウェー海 Norwegian Sea Troms II Nordland VI Nordland VII ノルウェー領北海 North Sea 4

石油 ガス生産量 1-(3) 政策 環境に留意しながら 探鉱促進し 国家収入を確保する 石油生産量 環境 漁業 石油収入 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2-(1) ノルウェーとロシアの公式発表 2010/4/27 ノルウェーとロシアの両外相により共同発表 歴史的な日である ノルウェーとロシアの間で最も重要な未解決問題が大きく進展した 40 年間にわたり交渉を重ねてきた 石油もしくはガスが境界画定線をまたいでいる場合には 共同で開発? メドベージェフ大統領 ストルテンベルグ首相 6

7 2-(2) 係争地域 約 175,000 平方 km ノルウェー : 等距離中間線を主張 ロシア : セクター方式を主張 合意 8

2-(3) 係争地域における埋蔵量 埋蔵量 ( 億 boe) ガス 原油 ノルウェーの埋蔵量 : 185 + 75 = 250 億 boe ロシアによる推定 : ノルウェーによる推定 : 472 億 boe 660 億 boe などの説 120 億 boe 9 2-(4) 係争地域とその周辺 ( ロシア側 ) Fedynskiy High (Hjalmar Johansen High) 係争地域 10

Shtokman 2008 年 2 月 :Total(25%) Statoil(24%) が 操業会社 の株主間協定に調印 2010 年 2 月 :LNGだけでなく P/Lも建設することを決定 開発コンセプト P/Lを利用した開発の FID: 2011 年 3 月 生産開始 2016 年 LNG 基地建設のFID: 2011 年 12 月 生産開始 2017 年 11 2-(5) 係争地域の周辺 ( ノルウェー側 ) Snohvit ガス田 発見 :1984 年生産開始 :2007 年 8 月 LNG 生産能力 :430 万トン Statoil(33.53%), Total (18.4%), GdF Suez(12%), 他 Goliat 油田 発見 :2000 年 生産方法 :FPSO Eni(65%), Statoil (35%) 12

2-(6) ロシアとの交渉 1. 政府間交渉 一気に解決しようとせず気に解決しようとせず 部分的な合意を積み重ねた 毎年交渉の場を設けた 2. 経済的交渉 石油:GazpromとStatoilとMOU 締結した 漁業: 係争地域は棚上げし 暫定的漁業区域を設定した 3. 文化 学術的交流 13 ( 参考 ) 政府間交渉 1974: 交渉開始 1991/6: 4 分の 3は解決している ( ゴルバチョフ書記長 ) 1992: ロシアが態度を硬化している ( ノルウェー側のコメント ) 1992/10 : 内容不明 1993/6: 内容不明 1995/4: 内容不明 1999: バレンツ海において炭化水素を開発するため ロシアとノルウェーはジョイントベン チャーを作るかもしれない ( 北部国家委員会副委員長 Yuri Lyasho) 2002: 我々( ノルウェー首相とロシア大統領 ) が引退する前には境界線の線引を完成しなけ ればならない ( プーチン大統領 ) 2004/6: 内容不明 2005/11: 5 分の 4 は解決している 2007/6: 内容不明 2008/6: 内容不明 2010/3: ( ロシアは ) まだ安定しておらず 信頼に足る相手でも 予想できる国家でもない ("not yet a stable, reliable, predictable state".) ( ノルウェー外相 Jonas Gahr Store) 2010/4: 合意 14

( 参考 ) 石油会社間の関係づくり 1989:Hydro は Shtokman ガス田開発のスタディに参加 2002/11: ノルウェー首相とロシア大統領は エネルギー協力の共同宣言 (Joint Declaration) に調印した 2003/10: Hydro と Rosneft は 協定書に調印し Hydro が Orman Lange ガス田で設置する海底生産設備を Stockman ガス田に適用する可能性について検討する 2004/6:Gazprom のMiller 社長は Hydro にShtokman ガス田プロジェクトに参加して欲しい 旨発言 2004/9:Gazprom Rosneft Statoilは6ヶ月で 以下のスタディを共同で実施するMOUを締結した 1ロシアのShtokmanovskoye ガス コンデンセート田でLNGプロジェクトの立ち上げの可能性 2ロシア企業が Statoilが権益を保有するSnohvit LNGプロジェクトに参加する可能性 3ロシア企業が Statoilが権益を保有する米国のLNG 受入施設に参加する可能性 2004/12: GazpromとHydroは 以下の事項を検討するため MOUを締結した 1HydroがOrmen Langeガス田に設置する海底生産設備を Gazpromが保有する Shtokman ガス田に設置する可能性 2GazpromがOmen Langeガス田に参加する可能性 2006/9: Hydro は Gazprom のマーケッティング会社に対し 1 年契約で 500 百万立方メートルのガスを供給する契約を締結した 2007/4: Gazprom NeftとStatoilは ロシアと海外において共同で石油探鉱開発事業を実施することについての MOU を締結し 同年 6 月からワーキンググループで検討を開始した 2007/10: Gazprom StatoilHydro Totalは Shtokmanガス田開発の第 1 段階プロジェクト (Phase-1) 参加に関する枠組み協定 (frame agreement) に調印した シェアは Gazprom (51%) StatoilHydro(24%) Total (25%) 注 1:2007/10にStatoilとHydroが合併し StatoilHydroになった 注 2:1 年前の2006/10 Gazpromは単独で開発するとプレス発表をしていた 2008/2: Gazprom StatoilHydro Total は Shtokman 開発会社を設立し 株主間協定に調印した ( シェアは変化なし ) 2009/6: Gazprom と StatoilHydro は 2005/6 に締結した MOU を更新した 2009/12: Gazprom と Statoil は Statoil が権利を保有している米国の LNG 受入設備の利用 米国におけるガス販売 米国への LNG 輸出に関する拘束力のない MOU に調印した 注 :2009/11 StatoilHydro は Statoil に社名変更した 2005/6: Gazprom Hydro Statoilの3 社が以下の事項に協力するため MOU (3 年間有効 ) を締結した 1 北部において石油資源の探査 2 環境問題の協力 3 石油開発のための技術開発を促進 ロシア側は 当初 資産交換を望んでいた 15 ( 参考 ) 暫定的漁業区域 16

3 日本にとってのインプリケーション 1. バレンツ海の石油ガス資源開発が本格化する 2. 技術力 資金力の重要性 技術力( 海底生産設備技術等 ) ( ロシアの企業は沖合油田における経験が浅い ) 17