CSR( 企業の社会的責任 ) に関するアンケート調査結果 概要版 1. 調査目的 (1) 企業経営の中で CSR がどのように位置づけられ 実践されているかを明らかにするとともに 推進上の課題を整理 分析する (2) 加えて 2008 年秋以降の経営環境の急激な変化の中で 各社の取り組みにどのような変化が生じているかについても調査を行う 2. 調査時期 : 2009 年 5 月 ~7 月 3. 調査対象 : 日本経団連企業会員 1,297 社 4. 回答数 : 437 社 ( 回答率 :33.7%) 2009 年 9 月 15 日 ( 社 ) 日本経済団体連合会企業行動委員会
< 目次 > 頁 1.CSR に関する基本的な考え方 (1) 分野別の CSR 活動のとらえ方 1 (2) CSR 活動の意味 2 2.CSR への取り組み状況 (1) CSR 推進上の課題ごとの取り組み状況 3 (2) CSR 推進体制 制度の導入時期 4 (3) CSR 方針が適用される範囲 (4) CSR 推進上の課題 5 3. サプライチェーン マネジメント 6 4. 従業員の教育 研修 (1) 教育 研修の内容 /(2) 研修手段 7 5.CSR に関する情報開示 (1) 開示方法 8 (2) 開示項目 9 (3) 情報の信頼性向上のための取り組み 10 6.CSR を推進する上で参考にしているガイドライン 11
1.CSR に関する基本的な考え方 (1) 分野別の CSR 活動のとらえ方 対象分野によって違いが見られるものの 総じて 1 法令遵守 にとどまらず 2 法令遵守を超えた社会的良識の範囲での活動 や 3 持続可能な社会の創造に向けた活動 として 積極的に捉えている分野が多い とりわけ 6. 環境 については 85% の企業が3と回答し より積極的な活動として捉えられている 図 1 1 法令遵守 2 法令遵守を超えた社会的良識の範囲での活動 3 持続可能な社会の創造に向けた活動 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450( 社 ) 1. 製品 サービスの安全 品質 2180 社 (42%) 3214 社 (50%) 134 社 (8%) 2. 消費者対応 2249 社 (59%) 3146 社 (34%) 130 社 (7%) 3. 個人情報保護 情報セキュリティ 1105 社 (24%) 2237 社 (55%) 388 社 (20%) 4. 労働慣行 2234 社 (55%) 3132 社 (31%) 163 社 (15%) 5. 人権への配慮 141 社 (9%) 2242 社 (56%) 3149 社 (34%) 6. 環境 19 社 (2%) 254 社 (13%) 3368 社 (85%) 7. 地域貢献を含む社会貢献 2109 社 (25%) 14 社 (1%) 3319 社 (74%) 1
1.CSR に関する基本的な考え方 (2) CSR 活動の意味 CSR 活動の意味について 3 つ挙げてもらったところ 5. 持続可能な社会づくりへの貢献 (82%) 2. 企業価値 ( ブランド力や信頼等 ) 創造の一方策 (76%) 3. 企業活動へのステークホルダーの期待の反映 (68%) に回答が収斂しており CSR について共通認識が形成されている 2008 年秋以降の世界的な経済危機にあって 予算や事業内容の優先順位等を見直している企業があるものの CSR に対する理念や取り組み姿勢は変わらないとする回答が大半を占めた 図 2 0 50 100 150 200 250 300 350 400( 社 ) 1. リスクマネジメント (39%) 172 社 2. 企業価値 ( ブランド力や信頼等 ) 創造の一方策 (76%) 334 社 3. 企業活動へのステークホルダーの期待の反映 (68%) 298 社 4. 将来の利益を生み出す投資 (11%) 46 社 5. 持続可能な社会づくりへの貢献 (82%) 359 社 6. 優秀な人材確保 維持の一方策 22 社 (5%) 7. その他 14 社 (3%) ( ) 内の % は 全回答企業数 [437 社 ] に対する回答社数の割合 2
2.CSR への取り組み状況 (1) CSR 推進上の課題ごとの取り組み状況 1. 方針 戦略の明確化 2.CSR 推進体制の整備 4. 従業員の教育 研修 5. 情報開示 については 前回アンケートを実施した 2005 年以降 取り組みが進んだとの回答 4 5 が 7 割を超えた 図 3 1ほとんど取り組んでいない 2あまり進んでいない 32005 年度と同様に十分取り組んでいる 4ある程度進んだ 5かなり進んだ 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1. 方針 戦略の明確化 2. C S R 推進体制の整備 3. サプライチェーン マネジメント 2 9% 3 16% (38 社 ) (69 社 ) 1 1% (6 社 ) 2 11% 3 16% (45 社 ) (68 社 ) 1 2% (7 社 ) 1 12% 2 19% (51 社 ) (78 社 ) 4 34% (144 社 ) 4 36% (154 社 ) 3 21% (85 社 ) 5 40% (169 社 ) 5 36% (151 社 ) 4 39% (159 社 ) 5 9% (38 社 ) 4. 従業員の教育 研修 2 8% 3 19% (32 社 ) (81 社 ) 1 1% (6 社 ) 4 54% (229 社 ) 5 18% (78 社 ) 5. C S R に関する情報開示 6. ステークホルダーとの対話や協働 7. マーケティングとの連動 ( 関連する製品 サービスの開発等 ) 2 9% 3 15% (38 社 ) (66 社 ) 1 2% (9 社 ) 2 19% (79 社 ) 1 3% (13 社 ) 2 20% (83 社 ) 4 41% (176 社 ) 3 24% (102 社 ) 3 27% (114 社 ) 4 44% (187 社 ) 4 36% (152 社 ) 5 32% (137 社 ) 5 10% (44 社 ) 5 12% (51 社 ) 11% (22 社 ) % は 各項目への回答企業数に対する社数の割合 3
2.CSR への取り組み状況 (2) CSR 推進体制 制度の導入時期 CSR 推進体制 制度は CSR 元年 と位置づけられている 2003 年以降導入が進み 2005 年前後が導入のピークとなっている 図 4 ( 社 ) 100 90 80 70 60 1.CSRの基本方針の明文化 2. 担当役員の任命 3. 社内横断的推進機関 ( 委員会等 ) の設置 4.CSR 専門部署の設置 5. 関連部門にCSR 担当者や兼務者を任命 50 40 30 20 10 0 2000 年以前 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 4
2.CSR の取り組み状況 (3) CSR 方針が適用される範囲 /(4) CSR 推進上の課題 CSR の方針が適用される対象範囲について 会社単体のみとしているのは 15% の企業に過ぎず 約 6 割の企業が連結対象会社も対象に含めている さらに約 2 割を超える企業が 連結以外の関連会社なども含めて対象にしている CSR 推進上の具体的な課題としては 国籍 業種 業態 企業文化の異なるグループ各社の多様な従業員に対する教育や広報の難しさなどについての回答が多く寄せられた 図 5 4. 連結以外の関連会社なども含む 94 社 (22%) 5. その他 32 社 (7%) 1. 会社単体のみ 66 社 (15%) 2. 国内の連結対象会社まで 88 社 (20%) 3. 国内外の連結対象会社まで 157 社 (36%) ( ) 内の % は 全回答企業数 [437 社 ] に対する社数の割合 5
3. サプライチェーン マネジメント サプライチェーンを含めた CSR の取り組みが広がっている 具体的には 65% の企業が調達ガイドラインなどの明文化 (1.) 39% の企業が契約条項への盛り込み (2.) 33% の企業がサプライヤーへの監査 (5.) に取り組んでいる また 62% の企業がサプライヤーとの理解を深めるため ヒヤリングや意見交換を実施 (3.) している 分野別では 製品 サービスの安全 品質 (86%) や 個人情報保護 情報セキュリティ (66%) 環境 (59%) について ある程度強制力を持った要件をサプライヤーに課している 図 6 0 50 100 150 200 250 ( 社 ) 1. 調達ガイドラインなどとして明文化している (65%) 212 社 2. 契約条項に盛り込んでいる (39%) 129 社 3. サプライヤーからのヒヤリングや意見交換を実施している (62%) 202 社 4. サプライヤーに対する教育 研修を実施している (38%) 125 社 5. サプライヤーに対する監査を実施している (33%) 108 社 6. サプライヤーの CSR への取り組みを支援している (22%) 72 社 7. その他 (13%) 42 社 ( ) 内の % は 本設問への回答企業数 [327 社 ] に対する回答社数の割合 6
4. 従業員の教育 研修 (1) 教育 研修の内容 /(2) 研修手段 CSR 推進のため 教育 研修を実施している企業 372 社 ( 近々実施する企業を含む ) のうち 約 8 割の企業が 3.CSR に関連する個別分野 (84%) 1. 会社の CSR の考え方や取り組み (82%) を研修内容に取り入れている ク ルーフ 会社一体となった活動の必要性により 2. 国内外の CSR の動向 を取り入れる企業も多い (38%) そのほか 4. ステークホルタ ーとのコミュニケーション の重要性が高まっており 29% の企業が研修内容に盛り込んでいる 研修の手段としては 講義形式が中心であるが 15% の企業が 5. ステークホルタ ーとの対話 を活用している 図 7 < 教育 研修の内容 > 図 8 < 研修手段 > 0 50 100 150 200 250 300 350( 社 ) 0 50 100 150 200 250 300 350( 社 ) 1. 会社の CSR の考え方や取り組み (82%) 304 社 1. 社内担当者等による講義 (88%) 326 社 2. 国内外の CSR の動向 (38%) 143 社 2. 外部有識者等による講義 (46%) 171 社 3.CSR に関連する個別分野毎 ( 企業倫理 環境 人権 社会貢献等 ) (84%) 312 社 3. グループディスカッション 4.e ラーニング テキストを用いて各自で学習 (34%) (52%) 126 社 194 社 4. ステークホルダーとのコミュニケーション (29%) 109 社 5. ステークホルダーとの対話 (15%) 55 社 5. その他 26 社 (7%) 6. その他 38 社 (10%) ( ) 内の % は CSR 推進のための教育 研修を実施した企業数 ( 近々実施する企業を含む ) 372 社 に対する回答社数の割合 7
5.CSR に関する情報開示 (1) 開示方法 CSR に関する情報開示をしている企業 396 社 ( 近々開示する企業を含む ) のうち 95% が CSR に関する情報をインターネット上で公開している CSR 報告書を発行している企業は 64% にのぼる 図 9 0 50 100 150 200 250 300 350 400 ( 社 ) 1. インターネットで情報開示している (95%) 375 社 2. 一般の年次報告書に掲載している (40%) 158 社 3.CSR 報告書等を発行している (64%) 255 社 4. 分野別 ( 環境 社会貢献等 ) の報告書等を発行している (23%) 93 社 5. その他 (7%) 29 社 ( ) 内の % は CSR に関する情報を開示している企業数 ( 近々開示する企業を含む ) 396 社 に対する回答社数の割合 8
5.CSR に関する情報開示 (2) 開示項目 ほとんどの企業が 9. 環境 (97%) 10. 地域貢献を含む社会貢献 (94%) 2.CSR に関する基本的考え方 (87%) 1. トップのメッセージ (85%) を開示している 約半数の企業 (200 社 ) が 不祥事への対応状況を開示している 図 10 0 50 100 150 200 250 300 350 400 ( 社 ) 1. トップのメッセージ 2.CSR に関する基本的考え方 (85%) (87%) 335 社 343 社 3.CSR 推進体制 (68%) 268 社 4. 製品 サービスの安全 品質 (80%) 315 社 5. 消費者対応 (62%) 245 社 6. 個人情報保護 情報セキュリティ 7. 労働慣行 8. 人権への配慮 (69%) (64%) (78%) 255 社 274 社 308 社 9. 環境 10. 地域貢献を含む社会貢献 (97%) (94%) 384 社 373 社 11. 不祥事への対応状況 (51%) 200 社 12. その他 (15%) 58 社 ( ) 内の % は CSR に関する情報を開示している企業数 ( 近々開示する企業を含む ) 396 社 に対する回答社数の割合 9
5.CSR に関する情報開示 (3) 情報の信頼性向上のための取り組み 情報の信頼性を向上させるための手段としては 1. 内部監査 (49%) が最も多いが それにとどまらず 3. 第三者機関 有識者からのコメント (46%) や 5. ステークホルダーとの意見交換 (30%) により 第三者の意見を反映させている企業も多い さらに 4. 第三者機関による審査 まで取り入れている企業が 24% ある 図 11 0 50 100 150 200 250 ( 社 ) 1. 内部監査 (49%) 194 社 2. 業界団体等によるレビュー (6%) 24 社 3. 第三者機関 有識者からのコメント (46%) 181 社 4. 第三者機関による審査 (24%) 97 社 5. ステークホルダーとの意見交換 ( 報告書を読む会など ) の実施 (30%) 119 社 6. 特に行っていない (21%) 83 社 7. その他 (7%) 26 社 ( ) 内の % は CSR に関する情報を開示している企業数 ( 近々開示する企業を含む ) 396 社 に対する回答社数の割合 10
6.CSR を推進する上で参考にしているガイドライン ( 基準 イニシアチブ等 ) 経団連の 企業行動憲章実行の手引き や CSR 推進ツール は 約 7 割の企業で活用されている 企業活動や情報開示におけるグローバル化の進展等を反映し 6. 国際的なイニシアチブ等 を参考にしていると回答した企業も約半数にのぼる ISO26000 についても 原案段階から 24% の企業が参考にしている 図 12 0 50 100 150 200 250 300 350 ( 社 ) 1. 業界団体の共通指針等 (35%) 153 社 2. 日本経団連の 企業行動憲章実行の手引き や CSR 推進ツール (69%) 303 社 3. 日本国内の省庁のガイドライン等 (38%) 164 社 4. 日本国内の民間組織によるガイドライン等 (9%) 41 社 5. 国際的政府間交渉に基づく基準 (ILO OECD 多国籍企業ガイドライン等 ) (13%) 55 社 6. 国際的なイニシアチブ等 ( 国連グローバルコンパクト GRI SA8000 等 ) (47%) 205 社 7.ISO の社会的責任に関する規格 (ISO26000) の案 8. 他の国の CSR や SR に関する規格 (24%) (5%) 20 社 106 社 9. その他 (9%) 39 社 ( ) 内の % は 全回答企業数 [437 社 ] に対する回答社数の割合 以上 11