付録 1. 実施計画例 実施計画例 フェーズ1 計画フェーズ2 方針案作成 策定フェーズ3 プロモーション 認知向上フェーズ4 実施フェーズ5 フォローアップ 検討プロジェクト立上げ 他機関の OA 方針の研究 運用体制の確認( 人員 & 技術面 ) 策定 実施計画の作成 策定のキーパーソンの設定

Similar documents
オープンアクセス方針策定ガイド 本文付録 1~3 付録 年 2 月改訂 オープンアクセスリポジトリ推進協会 OA 方針成果普及タスクフォース

Microsoft PowerPoint - SCPJ.ppt [互換モード]

第 1 回国際的動向を踏まえたオープンアクセスに関する検討会 資料 5 補足国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会 ( 第 1 回 ) 平成 26 年 12 月 9 日 ( 金 ) オープン化に関する諸外国及び我が国の動向 平成 26 年 12 月 9 日 内閣府

<4D F736F F D20948E8E6D8A7788CA985F95B6838A837C A936F985E82C98DDB82B582C482CC97AF88D38E968D E63594C5816A2E646F637

機関リポジトリ概論

Microsoft PowerPoint - 12_4_[6月21日差換]研究集会(千葉大・高橋課長)

電子ジャーナルWhat?

を超えている (2017 年 7 月現在 ) コンテンツを種別毎に集計すると, 全体の半数以上を紀要論文 (53%) が占めており, その他, 学術雑誌論文 (14%) や学位論文 (5%) など, 大学等で生み出された多様なコンテンツが登録されている 日本の機関リポジトリは, 学術論文のオープンア

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

参考資料1_学術研究関連データ集

オープンアクセス


資料2 資料編(2/6)

<4D F736F F F696E74202D B E835A835882A982E B D68CF68A4A97702E >

Microsoft PowerPoint - 資料4)JST+NII.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint - (140428NIIELS説明会)J-STAGE Lite(仮称)のご紹介_v2.pptx

サイエンスのために大学図書館とオープン○△□ができること

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

Microsoft PowerPoint - 石井_図書館セミナー ppt [互換モード]

Microsoft Word オリ(CiNii)

大学からの情報発信

機関リポジトリ概論

もくじ 機関リポジトリのこれまでと現状 リポジトリコミュニティのこれまでと現状 これからのコミュニティとしてのJPCOAR JPCOARに期待すること 平成 28 年度 JPCOAR 地域ワークショップ ( 中国四国地区 ) 2

平成 28 年 4 月版 別紙様式 3 研究に係る利益相反状況申告書 Q&A Q1. 学内研究分担者等の氏名 Q1-1 Q1-2 Q1-3 Q1-4 質問学外の研究分担者名を記載しなくてもよいのですか? 学内研究分担者等 というのは どのような人をいうのですか? モニタリング 監査とはどのようなもの

オープンアクセス

PowerPoint プレゼンテーション

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

Microsoft PowerPoint - J-STAGE_Next_ _rev2.ppt [互換モード]

研究発表

目次 1. パラダイムシフト ~ 学術情報流通の逆転 ~ 2. 電子ジャーナル 3 重苦 の神話と真実 3. 水面下で進む学生用図書コレクションの劣化 4. 悩ましきオープンサイエンス 5. これまで のリフォームではなく 本当の これから の学術情報システムに向けて 1

個人情報保護に関する規定 ( 規定第 98 号 ) 第 1 章 総則 ( 目的 ) 第 1 条学校法人トヨタ学園および豊田工業大学 ( 以下, 総称して本学という ) は, 個人情報の保護に関する法律 ( 平成 15 年法律第 57 号, 以下, 法律という ) に定める個人情報取り扱い事業者 (

改めて各法人をグループ分けしてみると 中規模病院有大学の大半が 対 17 年度比 90% 未満の最も削減率の大きいグループに転落することが分かる このことの背景には 病院部門については医療の質の向上と法人の収入確保のために人員の強化が図られた一方で 総人件費改革に対応するために他分野での人員削減を余

Microsoft PowerPoint - 資料3)NIIELSoverview.pptx

Microsoft PowerPoint - HARP_061030_著作権.ppt

復習 1.2. 雑誌の特徴 学術情報の伝達の流れ 新しい研究成果やニュースを図書よりも早く掲載 1 冊に複数の執筆者による論文 記事が収められている 大学における学習 研究の過程の中で 雑誌は情報源として極めて重要な役割を担っている 第 8 講文献 情報の探し方 (2) 雑誌 論 情報の と利 (2

3 4

<4D F736F F D F8D9197A78FEE95F18A778CA48B868F8A8A778F B B4B92F65F89FC92E888C42E646F6378>

学術情報オープン化と論文のエビデンスとしての研究データの公開について

九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 九州大学百年史第 7 巻 : 部局史編 Ⅳ 九州大学百年史編集委員会 出版情報 : 九州大学百年史. 7, 2017

いものです ( 下図 A) 査読後著者版とは, 査読を経たもので, 特に, アクセプトされることになった確定稿を 著者最終稿 と呼びます ( 下図 B) 雑誌掲載用にレイアウトされる前のものです 出版社版とは, 出版社が, アクセプトした著者最終稿を元にレイアウト調整や校正, デザインなどを行ったも

平成18年度学術ポータル担当者研修

佐賀大学科学研究費補助金間接経費取扱要領

神戸芸術工科大学紀要『芸術工学』原稿作成の手引き

【資料5】オープンアクセスインタビュー調査~NIH(米国)&RCUK(英国)&DFG(独国)~ / 独立行政法人日本学術振興会 学術システム研究センター・研究事業部

Microsoft Word - CiNiiの使い方.doc

表紙1−4/木下 中村

資料6-1 国際的動向を踏まえたオープン サイエンスに関する検討会 第1回 平成26年12月9日 火 オープンアクセスからオープンサイエンスに 至るまでの俯瞰と要点 科学技術 学術政策研究所 科学技術動向研究センター 林 和弘 第1回国際的動向を踏まえたオープンサイエンスに関する検討会 (内閣府)

<4D F736F F F696E74202D F8CF68A4A97705F8B408AD6838A837C A82C692988DEC8CA05F8A54985F5F8CF68A4A97702E B8CDD8AB B83685D>

個人としての利益相反マネジメントの運用指針 平成 30 年 7 月 9 日 利益相反マネジメント委員会決定 個人としての利益相反を適切に管理するため 以下の運用指針を定め実施することとする 1. 利益相反マネジメントの対象事象国立大学法人岡山大学利益相反マネジメント規程第 3 条に規定される行為につ

九州工業大学 博士論文インターネット 公表と著作権 図書館 情報推進課図書館サービス係

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

9_別冊(博士論文の公表方法について)

Springer s menu of Open Access flavors


総合科学技術・イノベーション会議 政策討議

検索画面 放送大学ディスカバリーサービスのページにつながると 以下のように表示されます この検索窓を利用し 調べることができます 放送大学ディスカバリーサービストップページ 放送大学ディスカバリーサービストップページ ( 詳細検索 ) 検索オプションで検索条件の限定などが可 著者, タイトル など項

(Microsoft PowerPoint -

CROCO について

選択評価事項C 水準判定のガイドライン(案)

Slide 1

<4D F736F F D204E45444F D E836782C982A882AF82E9926D8DE0837D836C AEE967B95FB906A91E63494C BD90AC E398C8E323593FA89FC92F9816A>

Microsoft PowerPoint - IR_Math

Microsoft PowerPoint - 65_sugita

日本医療情報学会

Microsoft Word - NII_Content_Ojiro.doc


Taro jtd

2

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

率 九州 ( 工 -エネルギー科学) 新潟 ( 工 - 力学 ) 神戸 ( 海事科学 ) 60.0 ( 工 - 化学材料 ) 岡山 ( 工 - 機械システム系 ) 北海道 ( 総合理系 - 化学重点 ) 57.5 名古屋工業 ( 工 - 電気 機械工 ) 首都大学東京

エ事務部門 (9) 利用者 教職員 学生等及び臨時利用者で 本学情報システムを利用する者をいう (10) 教職員 本学に勤務する常勤又は非常勤の教職員 ( 派遣職員を含む ) をいう (11) 学生等 本学学則に定める学部学生 大学院学生 大学院研究生 科目等履修生及び聴講生 等をいう (12) 臨

る CiNii 日本語論文を探す をクリックします 本文閲覧や複写依頼などの全ての機能を使うには学内から接続する必要がありますが 自宅等からも接続したい場合は EJ DB リモートアクセスサービス (Tulips Warp) (

機関リポジトリ概論

< F31322D8A6591E58A7782D682CC8EC08E7B92CA926D816988C4816A>

様式F-19 記入例・作成上の注意

事務連絡 平成 26 年 4 月 23 日 各実施機関実施責任者殿 各実施機関事務連絡担当者殿 文部科学省科学技術 学術政策局 人材政策課 科学技術人材育成費補助金により雇用する研究者等に係る人件費の取扱いについて 旧科学技術振興調整費 ( 以下 旧調整費 という ) の課題を実施する研究者等の人件

(Microsoft PowerPoint - \201i\210\363\215\374\215\317\201j7_\220\347\227t\221\345\212w.pptx)

基本活用実践 数学科向け データベース実践ガイド 2014 年 4 月第 6 版城西大学水田記念図書館

論文投稿前審査 学位論文審査の手順 論文投稿前審査 ( 予備審査 ) 名 学務課医歯学大学院係 学務課医歯学大学院係 論文の教授会 3 での受理可否について 医歯学大学院係から学位申請者へ結果をお知らせしますので 学位論文申請時にメール等の連絡先をお知らせください 医歯学大学院係へメールで送るかファ

Microsoft PowerPoint - scopus_analysis.pptx

電気事業分科会資料

目次 1. はじめに 2. 実際の応募手続き 2-a. 手続きを始める前に 2-b. 研究開発提案書様式の取得 2-c. 応募の新規登録 2-d. 応募情報の入力 2

ユニバーシティ・アイデンティティの 定義と運用に関する研究


Microsoft PowerPoint - 【講演1_武田英明先生】_what-is-DOI-01.pptx

Title

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

システム連携・メタデータ

final_生命科学データ保存GL_ver

ステップアップ研究費応募要領

大学の設置等に係る提出書類の作成の手引き(平成28年度改訂版)(84ページ~172ページ)


<4D F736F F F696E74202D20966B89A282C982A882AF82E991E58A778B408AD6838A837C A82CC8FF38BB52E707074>

新長を必要とする理由今回合理性の要望に設 拡充又は延⑴ 政策目的 資源に乏しい我が国にあって 近年 一層激しさを増す国際社会経済の変化に臨機応変に対応する上で 最も重要な資源は 人材 である 特に 私立学校は 建学の精神に基づき多様な人材育成や特色ある教育研究を展開し 公教育の大きな部分を担っている

別表 1-1 JaLC DOI 登録メタデータの junii2 マッピング ジャーナルアーティクル 対象となる資源タイプ (NIItype) 紀要論文 (Departmental Bulletin Paper) 学術雑誌論文 (Journal Article) 一般雑誌記事 (Article) プレ

平成28年度国立国会図書館活動実績評価: 目標2

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft PowerPoint DRF-Kagawa_小山.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

付録 1. 実施計画例 実施計画例 フェーズ1 計画フェーズ2 方針案作成 策定フェーズ3 プロモーション 認知向上フェーズ4 実施フェーズ5 フォローアップ 検討プロジェクト立上げ 他機関の OA 方針の研究 運用体制の確認( 人員 & 技術面 ) 策定 実施計画の作成 策定のキーパーソンの設定 方針案, 説明文書の作成 キーパーソン 図書館委員会への説明 教員のコメント受付 方針の承認 複数媒体による学内周知 教員向け説明会の開催 プレスリリースの発行 ROARMAP への登録 方針の実施 実施要領の作成, 学内周知 教員向けの FAQ や登録サポート 利用統計の作成 対象論文の捕捉と登録の呼びかけ モニタリング, 上層部への情報提供 1~2か月 1~3か月 1~3か月 1~3か月継続 (The OpenAIRE guide for research institutions を元に作成 ) 9

付録 2. OA 方針雛形 ( 例 1: 機関リポジトリを公開先とする場合 ) 大学オープンアクセス方針 平成 年 月 日 学長裁定 役員会裁定 など ( 趣旨 ) 1 大学は, 本学において生産された研究成果を広く学内外を問わず公開することにより, 学術研究のさらなる発展に寄与すること, またその成果を社会に還元すること地域および国際社会の持続的発展に貢献すること [ 下線部は各大学のビジョン等に基づき記入 ] を目的として, オープンアクセスに関する方針を以下のように定める ( 研究成果の公開 ) 2 本学は, 本学に在籍する教員 ( 以下 教員 という ) が, 出版社, 学協会, 学内部局等が発行する学術雑誌等に掲載された研究成果 ( 以下 研究成果 という ) を,[ 機関リポジトリ名称を記入 ]( 以下 リポジトリ という ) によって公開する ただし, 研究成果の著作権は, 本学には移転しない ( 適用の例外 ) 3 著作権等の理由でリポジトリによる公開が不適切であるとの申出が教員からあった場合, 本学 は当該研究成果を公開しない ( 適用の不遡及 ) 4 本方針施行以前に出版された研究成果や, 本方針施行以前に本方針と相反する契約を締結した 研究成果には, 本方針は適用されない ( リポジトリへの登録 ) 5 教員は, 研究成果について, できるだけすみやかにリポジトリ登録が許諾される著者最終原稿等の適切な版を本学に提供する リポジトリへの登録, 公開等リポジトリに関する事項は, [ リポジトリ運用指針を記入 ] に基づき取り扱う ( その他 ) 6 本方針に定めるもののほか, オープンアクセスに関し必要な事項は, 関係者間で協議して定め る 10

( 例 2: ゴールド OA, 外部機関のリポジトリを含む場合 ) 大学オープンアクセス方針 平成 年 月 日 学長裁定 役員会裁定 など ( 趣旨 ) 1 大学は, 本学において生産された研究成果を広く学内外を問わず公開することにより, 学術研究のさらなる発展に寄与すること, またその成果を社会に還元すること地域および国際社会の持続的発展に貢献すること [ 下線部は各大学のビジョン等に基づき記入 ] を目的として, オープンアクセスに関する方針を以下のように定める ( 研究成果の公開 ) 2 本学は, 本学に在籍する教員 ( 以下 教員 という ) が, 出版社, 学協会, 学内部局等が発行する学術雑誌等に掲載された研究成果 ( 以下 研究成果 という ) を, 以下のいずれかの方法によって公開する 研究成果の著作権は, 本学には移転しない (1)[ 機関リポジトリ名称を記入 ] に登録する (2) オープンアクセスジャーナルに掲載する (3) 論文のオープンアクセス オプションを選択し, 出版社ウェブサイトに掲載する (4) 外部の機関が設置するリポジトリ等に登録する ( 適用の例外 ) 3 著作権等の理由でリポジトリによる公開が不適切であるとの申出が教員からあった場合, 本学 は当該研究成果を公開しない ( 適用の不遡及 ) 4 本方針施行以前に出版された研究成果や, 本方針施行以前に本方針と相反する契約を締結した 研究成果には, 本方針は適用されない ( リポジトリへの登録 ) 5 [ 機関リポジトリ名称を記入 ] への登録により公開する場合, 教員は, できるだけすみやかにリポジトリ登録が許諾される著者最終原稿等の適切な版を本学に提供する リポジトリへの登録, 公開等リポジトリに関する事項は, [ リポジトリ運用指針を記入 ] に基づき取り扱う ( その他 ) 6 本方針に定めるもののほか, オープンアクセスに関し必要な事項は, 関係者間で協議して定め る 11

付録 3. オープンアクセスとは オープンアクセス (OA) とは 1. OA の定義学術情報 ( 学術雑誌論文 会議発表論文 図書等 ) が OA であるとは 当該情報がインターネット上で公開され 無料での閲覧 ( フリーアクセス ) を含めた自由な利用が可能になっている状態を指す 2. OA の背景元々 OA 運動は 20 世紀後半からの学術雑誌価格高騰問題を背景に 商業出版社への対抗を目的として始まった 世界中の大学等は機関リポジトリを設置してグリーン OA( 後述 ) を推進してきたが 研究者の作業負担を必要とするセルフアーカイブは十分には進んでいないと言える 一方 2000 年代中盤以降は商業出版社も Article Processing Charge(APC) 支払い型のビジネスモデルを確立させ ゴールド OA( 後述 ) に対して積極的な姿勢を見せている 近年は 公的資金によって得られた研究成果に対して納税者や産業界が容易にアクセスできるようにすること等を目的として 世界中の研究機関 政府機関 助成機関で OA ポリシーの策定が行われている 3. OA の手段 OA を実現するための手段には 主に以下の 2 種類がある 1グリーン OA 2ゴールド OA 手段 著者自身が 機関リポジトリやサブジェ 出版社が OA ジャーナル等を出版する クトリポジトリ等の OAリポジトリに登録する ( セルフアーカイブ ) メリット 著者の費用負担が必要ない 出版後即座にオープンアクセスになる デメリット 出版社の著作権ポリシーによっては以下の制約がある 著者が Article Processing Charge(APC) を支払う必要がある ( 場合がある ) 登録が禁止されている 登録できる版が指定されている( 著者最終稿等 ) 一定期間( エンバーゴ期間 ) を経過しないと登録できない 備考 ハイブリッドオープンアクセス ( 購読ジャーナルの一部の論文のみを対象とする ) ディレイド OA( 出版後一定期間経過した号はオープンアクセスになる ) 等のモデルもある 4. OA 推進の意義学術雑誌論文等の研究成果を OA にすることによって 世界中の誰もが無料で閲覧できるようになるため 研究成果の可視性が高まり 被引用回数等のインパクトの増加につながる 大学等の研究機関は 機関内で生産された研究成果の OA を推進することで 世界の学術研究活動に大きく貢 12

献するとともに 自機関のプレゼンスを上げることが可能となる 研究機関としての姿勢を強く打ち出すためには OA ポリシーを策定することが求められる 5. 機関リポジトリ ( によるグリーン OA 推進 ) の意義前述の通り OA を進めるための方法には機関リポジトリ以外にも様々なものが存在する ゴールド OA の実現に必要となる APC は論文 1 本当たり平均 2000 ドル程度とされており 研究者の経済的負担は必ずしも少なくない 一部ではあるが 利益追求に走り 低質なジャーナルを出版する ハゲタカ出版社 の存在も問題になっている 近年 一部の出版社のウェブサイトで出版社が提供する著者最終稿が公開されるサービスも開始されたが 利用料金の長期的な見通しは未だ不透明である また 学術雑誌論文以外の学術情報では OA のビジネスモデルが確立していないこともある グリーン OA についても 数学 物理学分野の arxiv のようにサブジェクトリポジトリの利用が定着しているケースもあるが 必ずしもそのような分野ばかりではなく 社会科学系の SSRN のように商業出版社に買収されるケースも出てきている また 近年は Mendeley ResearchGate Academia.edu といったウェブサービスが研究成果共有の場として研究者に受け入れられているが これらのサービスには長期的な継続性に不透明な面がある点に注意しなければならない 多様な研究成果を生み出している大学等の研究機関にとって 長期的に責任を持って 機関内の研究成果の包括的な OA を推進していくため 機関リポジトリによるグリーン OA の意義は大きい 6. 国外の OA ポリシー策定状況世界中の OA ポリシーのダイレクトリである ROARMAP には 2018 年 1 月末時点で 898 件のポリシーが登録されている 特に欧米では以下のように研究助成機関による包括的なポリシーの策定 運用が進んでいる 米国 NIH Department of Energy 等 (OSTP 指令の対象となる 22 の連邦政府機関 ) EU Horizon 2020 英国 Wellcome Trust RCUK HEFCE(REF2020) 7. 国内の OA ポリシー策定状況 2018 年 1 月末現在国内では以下の機関が OA ポリシーを策定している ( 参考 ) オープンアクセス方針リンク集 :https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/?page_id=53 研究機関大阪府立大学 岡山大学 ( 博士学位論文 学内プロジェクト ) 京都大学 九州大学 神戸大学 国際日本文化研究センター 情報 システム研究機構国立極地研究所 千葉大学 筑波大学 東京外国語大学 東京歯科大学 徳島大学 名古屋工業大学 名古屋大学 北海道大学 ( 推奨 ) 北陸先端科学技術大学院大学政府機関文部科学省 ( 博士学位論文 ) 助成機関科学技術振興機構 (JST)( 推奨 ) 日本学術振興会 (JSPS)( 推奨 ) また 国の第 5 期科学技術基本計画 (2016 年度 ~2020 年度 ) では こうした潮流を踏まえ 国は 資金配分機関 大学等の研究機関 研究者等の関係者と連携し オープンサイエンスの推進体制を構築する 公的資金による研究成果については その利活用を可能な限り拡大することを 我が国のオープンサイエンス推進の基本姿勢とする とされている 13