総務省 ICTスキル総合習得教材 概要版 eラーニング用 [ コース1] データ収集 1-5:API によるデータ収集と利活用 [ コース1] データ収集 [ コース2] データ蓄積 [ コース3] データ分析 [ コース4] データ利活用 1 2 3 4 5
座学本講座の学習内容 (1-5:API によるデータ収集と利活用 ) 講座概要 API の意味とイメージを 主に利用しているファイル形式と合わせて紹介します 公開されている API の事例を挙げ その利活用事例を説明します API の特性として IoT との親和性 マッシュアップを紹介します 講座構成 [1]APIの意味とイメージ [2] 公開されているAPIの事例 [3]APIの特性 学習のゴール API で利用されているファイル形式と API のイメージを理解する 公開されている API の活用例事例を把握する API と IoT との親和性 複数の API を利用するマッシュアップに関して理解する
API による情報収集 この講座では 他者が提供している情報の収集方法という観点からAPI (Application Programming Interface) を説明します 他者が提供している情報を収集する方法として API( エーピーアイ :Application Programming Interface: アプリケーションプログラミングインターフェイス ) の利用が挙げられます これまでの講座では 既にインターネット上に存在している情報の利用 リーディングやセンシングによって新たな情報収集を説明しました API の つなぐイメージ [1]API の意味とイメージ Interface は 接点 接続面 と訳され つなぐもの 媒介物 を意味し API もプログラムによって 様々な機器やアプリケーション ( ソフトウェア ) をつなぐもの というイメージです Interface はハードウェア面では 機器の接続部分 ソフトウェア面では情報交換の ( 受付部分の ) ルール を指すことが一般的です API には様々な種類がありますが 近年においては Web API が特に注目を集めています Web APIは APIを通じた情報交換がHTTPと呼ばれる通信方式 ( ウェブサイトの閲覧と同じもの ) を利用しているため Webと付いています 様々なビジネスをWeb APIによってつなぐことを意味する APIエコノミー をはじめ APIの前に Web と付けないケースでもWeb APIを指しています この講座においても 以降ではAPIの前に Web と付けませんが Web APIに焦点を当てて説明をします API は一般にインターネットにつながっており IoT との親和性が高いとされています
人間にとって使いやすく作られたウェブサイト ウェブブラウザで閲覧するウェブサイトは人間にとって見やすく 使いやすく作られています API を考える前に 普段の API を利用しないウェブサイトの利用を考えてみます Google や Wikipedia といったウェブサイトにアクセスし 調べたい語句を検索できます API が利用できるウェブサイトは検索サイトに限りませんが 分かりやすさのため検索ができるウェブサイトをイメージして下さい [1]API の意味とイメージ これらのウェブサイトでは入力した検索語句に応じて HTML 形式の検索結果が表示されます Google の HTML 形式の検索結果には 再度検索するための入力欄や用語説明や画像が現れるなど 人間にとって使いやすく設計されています Wikipedia で World Wide Web と検索した結果 Google で World Wide Web と検索した結果 出典 Wikipedia 2015 Google Inc, used with permission ウェブサイトの人間にとっての使いやすさは アクセシビリティ という基準で評価されることもあります
人間 / コンピューターにとって読みやすいファイル形式 人間とコンピューター ( プログラム ) では読みやすいファイル形式が異なります [1]API の意味とイメージ Web サイトで一般的な HTML では 大きめの文字や太字が人間にとって 自然と目につく 強調箇所 となります HTML( エイチティエムエル ) は (Hyper Text Markup Language) の頭文字に由来しており 文章で情報を書くだけではなく 段落や太字を表示する記号を入力したり 画像を挿入することができます 一方でコンピューター ( プログラム ) は テキストや画像を視覚的に読みこまないため HTML 形式の文字装飾記号は コンピューター ( プログラム ) にとっては情報が読みにくいものとなっております コンピューター ( プログラム ) にとっては 構造が分かりやすい XML や JSON といった形式が読みやすくなっています Wikipedia での XML 出力例 ( 検索語句 :World Wide Web) Wikipedia での JSON 出力例 https://ja.wikipedia.org/w/api.php?format=xml&actio n=query&prop=revisions&rvprop=content&titles=worl d_wide_web https://ja.wikipedia.org/w/api.php?acti on=query&prop=revisions&rvprop=con tent&titles=world_wide_web 逆にコンピューター ( プログラム ) にとって読みやすい XML や JSON は 人間にとっては読みにくいものとなっています
[1]APIの意味とイメージコンピューター ( プログラム ) 同士で情報交換を行うAPI API は コンピューター ( プログラム ) 同士が情報交換をする機能 仕組み を指しています API を利用すると 複数のコンピューター ( プログラム ) で情報交換することで 単体のコンピューター ( プログラム ) では できなかったことができるようになります 協力すれば大きなこと 新しいことができるようになるのは人間も コンピューター ( プログラム ) も同様です 人間がプログラムを作成することで API に経由でコンピューター ( プログラム ) に情報を与えたり 情報を引き出したりすることもできます API を活用して 有用であったり 面白いサービスを作るためのコンテスト等やハッカソンも開催されています 例えばAPIを利用すると Wikipediaの説明文を他のウェブサイトや自作アプリに表示することもできます API を公開することで新たな情報収集 情報提供につながるなど公開しているウェブサイトにとってもメリットがあるケースがあります API を利用する情報交換は コンピューター同士で読みやすい XML JSON で行うことが一般的です API の通信による新たなサービス API の通信 XML や JSON を利用 コンピューター同士で効率的に情報交換をしており 人間が読むには 一般に変換が必要です API は コンピューター ( プログラム ) 同士をつないだり 人間とコンピュータをつないだりすることで 協力したサービス提供を可能にします 新サービス 複合サービス
人工知能に関する API 事例 [2] 公開されている API の事例 人工知能に関する API では 画像認識 音声認識を行ったり 文章の分類が可能です NTT ドコモ社が提供する API では 画像認識 音声認識などの人工知能を利用した出力が得られます リクルート社が提供する API A3RT( アート ) では 内容による文章の分類や画像の言語化や類似画像の検索ができます NTT ドコモが提供する API リクルートテクノロジーズが提供する A3RT( アート ) 出典 株式会社 NTT ドコモ https://dev.smt.docomo.ne.jp/ 出典 A3RT( 株式会社リクルートテクノロジーズ ) https://a3rt.recruit-tech.co.jp/ 利用者が API へ送信するリクエストには 入力情報として画像 音声ファイルを合わせて送ることもできます
公的統計に関する API 事例 [2] 公開されている API の事例 公的統計に関する API では 公的統計のデータや情報を収集できます 総務省統計局が提供する e-stat API では 公的統計の情報やデータを収集できます e-stat のウェブサイトでは 公的統計の結果の Excel ファイルをダウンロードすることができます 内閣府が提供する RESAS API では 地域経済分析システム (RESAS) に公表されているデータを収集できます RESAS のウェブサイトでは 地域情報が分かりやすく可視化されて表示されます (RESAS に関しては 講座 4-2 で説明します ) e-stat API RESAS API 出典 e-stat API( 総務省 ) http://www.e-stat.go.jp/api/ 出典 RESAS-API( 内閣府 ) https://opendata.resas-portal.go.jp/ API を使うと複数種のデータをまたいで 利用者が欲しい項目に絞ってデータを入手できます
API の利点 [3]API の特性 API の利点として 膨大かつ最新の情報にアクセス可能 IoT 等の様々な機器の入出力を受け付けること マッシュアップによって複数のサービスを組み合わせられること が挙げられます APIには人工知能の技術を活用できたり e-stat 全体の統計情報を活用できるといったメリットがあります 情報提供側が更新した情報はAPIに反映されるため 利用者は常に最新の情報にアクセスできます APIは様々な機器からの入出力を受け付けるため IoT 機器との親和性が高くなっています 様々 API サービスの情報を組み合わせて 新たな複合サービスを作成できます ひなた GIS( 地理情報システム ) 複数のウェブサービスや情報を組み合わせ 整理して新たなサービスを作ることを マッシュアップ と言います 宮崎県情報政策課が開発した ひなた GIS は RESAS-API e-stat API 気象庁から得た現在の気象情報 高速道路 道の駅の情報 宮崎オススめし レジャー情報を組み合わせ 一つのウェブサイトの地図に表示しています API は既存サービスの利便性を高めるのみならず 新たなサービスを創造する可能性を持っています 出典 HINATA GIS( 宮崎県 ) https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/