新 EMC 指令 (2014/30/EU) の概要について UL Japan, Inc. コンシューマテクノロジー事業部コマーシャルグループ EMC/ 無線セールス浅井良宣 2015 年 11 月 19 日 2011 Underwriters Laboratories Inc.
Agenda 1. NFL 新 EMC 指令 2. 半導体製造装置に関する適合手順 固定設備について 2
ニューアプローチから NLF へ ニューアプローチ ( グローバルアプローチ ) の要点 製品分野毎の包括的指令 製造者またはその代理人が適合性を宣言 EU 域内で自由流通を保障 セーフガード条項を除き 流通を妨げられない 必須要求事項 指令はやや抽象的な要求のみを規定する 技術的な基準は欧州整合規格 : 適合を 推定 する 整合規格と矛盾する国内規格は廃止 国家特有の認可制度廃止 :NB の判断が要求される場合がある Notified Body の判断は欧州全域で有効 CE マーキング 該当する全ての指令の全ての必須要求への適合を示す 適合性評価の方法 モジュール方式を採用 グローバルアプローチに関する決定は 768/2008/EC によって更新され廃止 ニューアプローチとは製品の安全性 品質の基準に重点 (1985 年 ) グローバルアプローチは製品の適合性評価に重点 ( ニューアプローチの不足を補った )(1989 年 ) NLF(New Legislative Framework) の要点 Simplification( 簡素化 ) 指令の共通の枠組みを作成 Think Small First( 中小企業の考慮 ) 中小企業の声を反映 ( 管理要求の削減 ) 市場監視 CEマーキング乱用の防止 経済担当者の役割明確化 ニューアプローチの概念は継承 3
指令改正にあたり NLF とは NLF=New Legislative Framework( 新しい法的枠組み ) 全ての New Approach 指令に適用 EMC 指令 R&TTE 指令なども含まれる 2 つの規則 (Regulation) と 1 つの決定 (Decision) がベース Regulation 764/2008(2009 年 5 月 13 日強制 ): 勝手な要求を作るな! 他の加盟国で法律に基づき売買される製品への特定国内技術規則の適用の手順を定めた規則 このような状況を加盟国は委員会に報告する義務がある Regulation 765/2008(2010 年 1 月 1 日強制 ): 市場監査を確実に行う! 製品の売買における認定と市場監査についての要求事項を定めた規則 加盟国は市場監査の責任機関を指定し製品に関するリスクについての苦情や報告の処理手順を定める Decision 768/2008/EC: 指令のフレームワーク製品の売買のための共通の枠組みに関する決定 モジュールの定義 フレームワークであり強制の概念ではない 欧州委員会 欧州議会 EU 理事会に対し 政策的に委任することを制定 4
新 EMC 指令発行 2014 年 3 月 29 日 2014/30/EU 指令として発行 5
新たに EU 市場に出荷される製品で あらゆる販売形態 ( オンライン販売を含む ) に適用 対象機器 新 EMC 指令概要 あらゆる装置 又は 固定設備 : エンド ユーザー向けに意図された機器 及び機器の組み合わせ ( コンポーネント又はサブアセンブリ ) 特定の場所において恒久的に使用することが意図される固定設備 ( 組み込み機器も含む ) ある範囲の場所の中を移動して動作させることを意図した装置 及び該当する場合 その他の機器の組み合わせとして定義される 移動設備 対象は市場で入手可能となるもの (making available on the market) 電気通信端末機器 (R&TTE 指令から EMC 指令対象へ ) 6
新 EMC 指令概要 対象外の機器 R&TTE 指令 (1999/5/EC) が適用される機器 既に流通されている機器 航空用製品 部品及び器具 ( 今後適用範囲に入る可能性がある ) アマチュア無線家が使用する 市販されない無線機器 基本的に 他への電磁妨害を生じず また他からの電磁妨害を受けない機器 ( ケーブルなど ) 研究開発施設内でその目的のみのために使用される特注の専門家向け評価用キット 放送受信機 (RE 指令対象へ ): 電圧制限なしに RE 指令適用のため低電圧指令 (LVD) が必要ただし 2016 年 6 月から 2017 年 6 月 12 日の間は EMC 指令を適用可能 9 khz 未満で動作する機器 (EMC 指令から RE 指令対象へ ) Own Use( 製造者工場内での使用等 ) は CE マーキングの対象外であるが適合は必要 7
新 EMC 指令概要 Notified Body(NB) NB の責任が重くなった ( 第 4 章 ) NB 間の協調及び協力の推進 : 規格化などの情報収集に参加する ( 第 36 条 ) 旧 EMC 指令の NB は ISO/IEC17025 のみの認定であるが ISO/IEC 17065 ISO/IEC 17020 の評価の必要性があり 基本的には再評価される ( 完全な Module B への対応のため ) 最新の技術を監視し 製造者に通知 型式証明書の停止などの状況を指定調査機関に通知 8
その他要点 新 EMC 指令概要 適合性ルートは変更なし (Module A Module B+C のみ ) 機器 (Equipment) に含まれる固定設備には適用不要 優れた工学技術 (NB 関与は可 ) 大型機器として扱えば CE マーキング可能 NB 関与も可能 定義の増加 ( 新規 17 を含め合計 25), NLF への整合のため電磁妨害の定義明確化 : 必要な信号以外 ( 自然現象又は不要な信号のみを指し 必要な信号を除く ) 序文には重要事項がある : 第 9 条 3 項に要求される輸入者の住所が記載できない例として パッケージを開けなければいけないことが記載 住所だけでなく Web アドレスの記載推奨 ( 梱包可 ) 現地代表者の住所等は不要 ( 製造者と輸入者の住所が必要 ) 9
新 EMC 指令概要 複数の DoC の使用は許可 パッケージとして製造者が管理し適切な言語に翻訳サイン者は EEA 域外でも可能 継続出荷は新 EMC 指令対応のために書換えが必要 CE マーキング : 第 30 条と Reg 765/2008 の Annex 2 を確認 Reg 765/2008 に従い 5mm 以上とする必要がある (EMC 指令はサイズを指定していない ) リスク評価は整合規格を適用した場合であっても 考慮する必要があるが手順の言及はない 10
新 EMC 指令発行 2014 年 3 月 29 日発行 (2014/30/EU) EMC 指令 (2004/108/EC) に置換わる 新 EMC 指令 (2014/30/EU) が発行 移行期間なく発行 2016 年 4 月 20 日までに新指令で適合宣言せず 新規導入を行う場合 適合宣言 (DoC) をその日に書き換える必要がある 欧州委員会は適用日以前に新指令での適合宣言は好ましくないとし 非公式に2016 年末までは各機関に実際的な運用を指示 ( 旧指令の適合宣言を認める ) 11
EMC 指令 新 EMC 指令移行スケジュール 2014 年 3 月 29 日新 EMC 指令 (2014/30/EU) 発行 加盟国は適用する ( 第 43 条 / 第 44 条 ) 旧指令廃止 ( 第 45 条 ) 2014 年 4 月 20 日加盟国の適用準備開始 ( 第 46 条 ) 2016 年 4 月 20 日適用開始 12
R&TTE 指令と EMC 指令の関係 EMC 指令 R&TTE 指令 EMC 安全 EMC 有線端末 無線 13
RE 指令と EMC 指令の関係 低電圧指令 EMC 指令 RE 指令 有線端末 EMC 安全 EMC 無線 14
NLF との整合により 各経済担当者がどのような立場であるか明記 << 経済担当者の義務が明確に >> 製造者の義務 - 製造者は 機器が消費者と他のエンドユーザが容易に理解できる言語での指示と安全情報を伴うことを保証するべきである 認定代理人の義務 輸入業者と販売業者の義務 経済担当者の識別 ( 機器の納入先 / 納入元 ) 15
製造者の義務 1. 要求に基づく機器の設計 / 製造を保証 2. 技術文書作成適合性評価手順実施適合する場合 EC 適合宣言作成 / CE マーキング貼付 3. 機器出荷後 10 年間 技術文書と EC 適合宣言の保管 4. シリーズ生産の適合を保つ手順の配備 設計 / 特性 整合規格 / 技術仕様の変更を適切に考慮 機器のリスクに適切な場合 出荷機器のサンプルテストを実施 / 調査 必要なら 苦情 / 不適合機器 / リコールの記録の保持 そのようなモニタリングの販売業者への継続した通知 5. 機器に以下を表示 タイプ バッチまたはシリアルナンバー 又は識別可能な他の要素サイズ / 性質により不可能な場合 必要な情報は梱包上 又は機器に伴う文書に提供 16
製造者の義務 6. 機器へ以下表示 ( サイズ / 性質により不可能な場合 梱包又は機器に伴う文書に表示 製造者名 登録商標又は登録商標マーク 連絡可能な住所の表示 ( 住所は製造者に連絡できる 1 箇所を表示 ) エンドユーザ / 市場監視当局が理解できる言語で指示 当該国の言語であれば問題ないが 英語のみでよいかは当該国への確認が必要 7. 製造者は 関与する加盟国によって決定されるように 消費者と他のユーザが容易に理解できる言語で取扱説明書及び情報を装置に付属しなければならない 17
製造者の義務 8. 機器が指令と適合しないと考える場合 適切なら 即刻 必要な是正措置 ( 回収又はリコール ) を講じる 機器がリスクを提示する場合 即刻 購入可能な加盟国の管轄当局に 詳細 ( 不適合 / 是正措置 ) に その旨通知 9. 当局の要求に基づき 適合性を示す全ての情報 / 文書を当局が理解できる言語で提供出荷機器のリスクを排除するための行動についても 要求により 当局に協力 18
製品情報 製造者 機器は型式 バッチ又は製造番号又は識別可能な他の要素を持つ 製造者名 登録商標又は登録商標マーク及び問合わせ先を機器上に示す 機器の大きさや性質により不可能な場合 梱包上又は機器の添付文書内に示す 連絡先は 製造者へ連絡の取れるポイントを示す 製造者の詳細がない製品は 販売できない! 19
認定代理人 文書命令で 製造者は認定代理人を任命可能 1. 要求に基づく機器の設計 / 製造保証と技術文書作成は認定代理人の責任ではない 2. 製造者からの命令で指定タスクを実施 A) 機器出荷後 10 年間 監査当局が自由に使えるようEC 適合宣言と技術文書を保管 B) 所轄当局からの要求により 適合性を示す必要な全ての情報と文書を当局に提供 C) 対象機器によるリスクを排除の行動について 所轄当局の要求により 彼らに協力する 20
輸入業者の義務 1. 適合機器のみを欧州連合市場に出荷 2. 機器出荷前に以下を保証 製造者による適合性評価手順の実施 / 技術文書作成 / 製造者義務 (5) (6) への適合 CEマーキング貼付 製造者義務 (7)(8)(9) で言及されるユーザ / 監督機関に必要な情報を伴う機器が指令と適合しないと考える場合 適合するまで出荷しない 機器がリスクを提示する場合 その旨 製造者と市場監査当局に通知 3. 機器へ以下の表示 輸入業者名 登録商標又は登録商標マーク 連絡可能な住所の表示 不可能な場合 ( サイズの問題 または輸入業者が上記を機器に表示するため梱包を開かなければならない場合 ) 梱包又は機器に伴う文書に表示 4. 消費者 / エンドユーザに理解できる言語で指示と安全情報及び指令に規定されるその他情報を伴うことを保証 21
輸入業者の義務 5. 機器がその責任下にある間 保管又は輸送状態が 必須要求事項への適合を危険にさらさないことを保証 6. 出荷機器が指令と適合しないと考える場合 適切ならば 回収又はリコールするために必要な是正措置を即刻とる 機器がリスクを提示する場合 即刻 機器が利用可能な加盟国の管轄当局に 詳細 ( 不適合及び是正措置の詳細 ) を通知 7. 機器出荷後 10 年間 市場監査当局が自由に使える状態で EC 適合宣言のコピーを保管 要求に応じ 当局が技術文書を利用できることを保証 9. 当局が理解できる言語で 適合性を示す必要な全ての情報と文書を提供 リスクを排除するため 当局と協力 22
販売業者の義務 1. 適切な要求に関し 相当な注意をもって行動 3. 機器がその責任下にある間 保管又は輸送状態が 必須要求との適合を危険にさらさないことを保証 4. 適切な欧州連合整合法と適合しないと考える場合 回収又はリコールするための是正措置が即刻とられることを保証リスクを提示する場合 即刻 機器が購入可能な加盟国の管轄当局に 詳細 ( 不適合 / 是正措置 ) を通知 2. 機器が購入可能となる前に以下を保証 CE マーキングの貼付 必要書類 対象加盟国の理解できる言語でユーザーへの指示 / 安全情報を伴う 製造者と輸入者の製造者義務 (5) (6) 輸入者義務 (3) の要求との適合必須要求と適合しないと考える場合 適合となるまで 市場で購入不可 機器がリスクを提示する場合 その旨 製造業者又は輸入業者及び市場監査当局に通知 5. 所轄当局からの要求に基づき 適合性を示す全ての情報と文書を遅滞なく提供購入可能な機器によるリスクを排除するための行動に関して 当局と協力 23
製造者の義務が輸入業者 / 販売業者に適用される場合 輸入業者か販売業者がその名称又は商標で機器を市場に出荷し 要求との適合に影響を受ける可能性がある方法で 既に市場にある機器を修正する場合 指令の目的に対して製造者であると考えられ 製造者の義務の対象となる 経済担当者の識別経済担当者は 10 年間 要求に応じて市場監査当局に以下を特定する (a) 機器を彼らに供給した経済担当者 (b) 彼らが機器を提供した経済担当者 経済担当者 = 製造者 認定代理人 輸入業者 及び販売業者 24
半導体製造装置に関する適合手順 主なEMC 規格 製品規格 / 製品群規格 EN55011:ISM 機器 EMI EN55012: 自動車機器 EMI EN55013:TV AV 機器 EMI EN55014: 家電用機器 電気工具及び類似機器 EN55020:TV AV 機器 EMS EN55022:ITE 機器 EMI EN55024:ITE 機器 EMS 共通規格 EN61000-6-1: 住宅 商業 軽工業 EMS EN61000-6-2: 工業環境 EMS EN61000-6-3: 住宅 商業 軽工業 EMI EN61000-6-4: 工業環境 EMI 製品規格 / 製品群規格の方が優先されますが 該当する規格がない場合は共通規格を用いる 25
適合評価手順 (Module A: 内部生産管理 ) 指令の要求事項を満たすことを確実にし 製造者の責任において宣言する 技術文書 装置の一般的な情報 設計概念 製造図 部品表 組立図 回路図 理解に必要な説明図 計画 装置のオペレーション 参照規格リスト 整合規格において参照した全規格リスト又はその一部 本指令の必要条件を満たすために採用した要求の記述及び説明 設計計算の結果 実行された試験等 テストレポート 製造工程が技術資料によって装置を保証するように 製造者は必要な全ての施策をとらなければならない 26
適合評価手順 (Module B+C) EU 型式検査は NB が装置の技術設計を検査し 必須要求事項を満たしていることを検証及び証明する 製造者は 選択した 1 つの NB へ型式検査を申請しなければならない NB は 検査が要求される必須要求事項の側面に関する装置の技術設計の妥当性を評価するために 技術文書を検査しなければならない 27
適合宣言書 ( 参考例 ) 出荷 販売される国の言語または複数言語 28
固定設備について 固定設備に対する特定要求事項. 1 保護要求事項 Emission/immunity 保護要求事項は変更なし 特定規則 優れた工学技術の適用 その時点の知識 経験 設備に対する特定要求事項 問題解決 設置情報に注意 適合証明書類の保持要求 適合のための市場監査 29
固定設備について 固定設備に対する特定要求事項. 2 不要 ( 特定装置 ) 適合性評価 CE マーキング 必要 ( 特定装置 ) 機器識別 責任者識別 予防措置の記載 不適合の兆候 不適合時の規制当局の対応 適合の証明を求める 該当するのであれば EMC 評価を行う 保護要求事項と適合する取付けのための手段を講じる 加盟国は 固定設備に責任を負う者を明確にする 30
固定設備について 固定設備に対する特定要求事項. 3 必須要求事項の対象固定設備とは 決められた場所で恒久的設置されるもの自由流通の要求事項 ( マーキング等 ) は対象外 責任者 加盟国への要求 加盟国は責任を負うものを識別するための規定を定める責任を負う 優れた工学技術 EMC 目的に対して優れている技量 EMC に関して知りうる原則の考慮 文書要求 場合によっては文書は多岐に及ぶ可能性がある しかし義務 CE マークされた機器の組合せの場合 それら文書の組合せでよい コンポーネントの意図される使用 環境 追加のデバイス ケーブル仕様 使用条件 特別な予防処理 これらの指示は取扱い説明書に記載されるべき 31
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