米国経済の見通しと 2016 年に注目すべき資産クラス 2016 年 1 月 フィデリティ投信株式会社高橋智恵 金融商品取引業者関東財務局長 ( 金商 ) 第 388 号加入協会 : 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
世界経済の動向 (GDP 成長率 ) 堅調な米国経済が世界経済をけん引してきたが 景気回復の波は欧州や日本に広がり始めた 2 大新興国の中国とインドは 構造改革や政策対応などで経済は概ね安定的に推移 中国は緩やかな減速 インドは徐々に加速する局面 ブラジルなど一部新興国は 資源価格の下落やインフレ問題から景況は悪化 世界各地域 国のGDP 成長率の予想 2015 年修正幅 2016 年修正幅 2017 年修正幅世界世界 3.1% 0.2% 3.6% 0.2% 3.8% 0.0% 米国 2.6% 0.1% 2.8% 0.2% 2.8% 0.1% 先進国 ユーロ圏 1.5% 0.0% 1.6% 0.1% 1.7% 0.1% 日本 0.6% 0.2% 1.0% 0.2% 0.4% 0.0% 中国 6.8% 0.0% 6.3% 0.0% 6.0% 0.0% 新興国 インド 7.3% 0.2% 7.5% 0.0% 7.5% 0.1% ブラジル 3.0% 1.5% 1.0% 1.7% 2.3% 0.0% ( 注 )IMF による 2015 年 10 月発表値 IMF による予想数値 修正幅は 2015 年 7 月発表値 ( ただし 2017 年は 2015 年 4 月発表値 ) との比較 修正幅は小数点第 2 位で四捨五入した成長率をもとに算出 1
米国経済の動向 (1) 全体像 米国経済は企業収益 消費 雇用 住宅の順に回復 今後は 既に拡大局面に入っている企業収益 消費および雇用者の増加に 賃金の上昇や本格的な住宅の回復が加わると期待される 企業収益消費雇用住宅 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 米国企業収益と米国景気指標の推移 米国企業収益 ( 左軸 ) 小売売上高 ( 左軸 ) 新築一戸建て住宅販売件数 ( 左軸 ) 非農業部門雇用者数 ( 右軸 ) 108 106 104 102 100 98 96 94 92 90 40 07 年 12 月 08 年 12 月 09 年 12 月 10 年 12 月 11 年 12 月 12 年 12 月 13 年 12 月 14 年 12 月 ( 注 )Bloomberg よりフィデリティ投信作成 期間は 2007 年 12 月 ~2015 年 11 月 ただし新築一戸建て住宅販売件数は 10 月まで 米国企業収益は S&P500 種指数の 1 年後予想収益を使用 期間初を 100 として指数化 88 2
米国経済の動向 (2) 雇用環境 今後は雇用者数ではなく賃金の回復が期待される局面 過去は 失業率が 5% 前後まで低下した後 賃金が上 昇に転じる 今後 賃金が上昇し 消費を再加速させることが期待される 同時にインフレ率が上昇する可能性もあるが 効率性の向上 資源デフレなどから上昇幅は抑制されると予想 米国失業率 賃金上昇率とインフレ率の推移 14% 13% 賃金上昇率 米国失業率 米国消費者物価上昇率 12% 11% 10% 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% -1% -2% -3% 80 年 12 月 84 年 12 月 88 年 12 月 92 年 12 月 96 年 12 月 00 年 12 月 04 年 12 月 08 年 12 月 12 年 12 月 ( 注 )Bloomberg よりフィデリティ投信作成 期間は 1980 年 12 月 ~2015 年 11 月 インフレ率 ( 消費者物価上昇率 ) は 2015 年 10 月まで 円で囲った部分は失業率が 5% 前後に低下した局面 3
米国経済の動向 (3) 不動産市場 米国住宅市場は過去の利上げ局面でも堅調に拡大 現在の着工件数は過去の景気の谷の水準 過去 35 年で米国の人口は約 2.3 億人から約 3.2 億人へ増加しており 住宅市場の拡大余地は大きい 住宅価格も 商業用不動産価格の上昇の後追いで上昇に転じており 上昇余地は大きいと予想される 2,500 2,000 ( 千戸 ) 米国住宅市場と長短金利の推移 民間住宅着工件数 ( 全体 )( 左軸 ) 利上げ局面米 10 年国債 ( 右軸 ) FFレート ( 右軸 ) 米国の商業用不動産と戸建て住宅の価格指数 25% 140 商業用不動産価格指数 ( 左軸 ) 350 戸建て住宅価格指数 ( 右軸 ) 20% 120 300 1,500 15% 100 250 80 200 1,000 10% 60 150 500 5% 40 100 0 80 年 12 月 85 年 5 月 89 年 10 月 94 年 3 月 98 年 8 月 03 年 1 月 07 年 6 月 11 年 11 月 ( 注 )Bloomberg よりフィデリティ投信作成 1980 年 12 月 ~2015 年 11 月 0% 20 97 年 12 月 00 年 12 月 03 年 12 月 06 年 12 月 09 年 12 月 12 年 12 月 ( 注 )Bloomberg グリーン ストリート アドバイザーズよりフィデリティ投信作成 1997 年 12 月 ~2015 年 10 月 ( 戸建て住宅価格指数は 2015 年 9 月まで ) 商業用不動産価格指数はグリーン ストリート アドバイザーズ商業用不動産価格指数 戸建て住宅価格指数は主要 10 都市圏の住宅価格動向を示す S&P/ ケース シラー住宅価格指数 ( コンポジット 10) 50 4
2016 年のテーマ 米国 FRB 政策金利引き上げの影響と見通し 原油価格の動向と影響と見通し 5
政策金利の推移と市場予想 FOMC は政策金利を 0.25%~0.5% へ引き上げ 6% 米国政策金利の推移 5% 4% 3% 2% 市場は今回の利上げサイクルが緩やかで小幅なものにとどまると予想 1% 0% 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 Fed FF 金利 Funds Rate Market 市場予想 Implied (current) 94-95 年 ~95 Cycle 年の 99-00 年 ~00 Cycle 年の 04 04-06 04 年 ~06 Cycle 年の利上げサイクル利上げサイクル利上げサイクル ( 注 ) 出所はフィデリティ インターナショナル Bloomberg 2015 年 12 月 16 日時点 6
株式市場への影響過去の利上げサイクルにおいて米国株は上昇傾向 S&P500 種指数 S&P 500 Index level 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 米国の利上げ局面における S&P 500 種指数のパフォーマンス 1999 30th 年 6 月 June 30 日開始 1999 2004 30th 年 6 June 月 302004 日開始 +6.0% 1994 年 2 月 +4.4% 44th 日開始 Feb 1994 1988 年 2 月 11th 日開始 Feb +2.4% 1988 +14.3% (%) 12 10 8 6 4 2 FF 金利誘導目標 Fed Funds Target Rate 0 0 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 S&P500 500 種指数 Composite 利上げ時期後の年間リターン Post-Hike Annual Return FF Fed 金利誘導目標 Funds Target Rate ( 注 ) 出所はフィデリティ インターナショナル (2015 年 12 月 ) 7 上記は過去の実績であり 将来の傾向 数値等を保証もしくは示唆するものではありません
原油価格と各資産の推移 130 120 110 100 90 80 70 60 原油価格と各資産の推移 米国株式 ( 左軸 ) MLP( 左軸 ) 米国リート ( 左軸 ) 中国株式 ( 左軸 ) 米国ハイ イールド債券 ( 左軸 ) WTI 原油先物 ( 右軸 ) ( 米ドル / バレル ) 65 60 55 50 45 40 35 50 14 年 12 月 15 年 2 月 15 年 4 月 15 年 6 月 15 年 8 月 15 年 10 月 30 ( 注 )RIMES および Bloomberg よりフィデリティ投信作成 2014 年 12 月末 ~2015 年 12 月 10 日 各資産は期間初を 100 として指数化 WTI 原油先物は実数値 米国ハイ イールド債券はバンクオブアメリカ メリルリンチ US ハイ イールド コンストレインド インデックス 米国株式は S&P500 種指数 米国リートは FTSE NAREIT Equity REITs インデックス MLP は Alerian MLP インデックス 中国株式は H 株指数 現地通貨ベース 8 上記は過去の実績であり 将来の傾向 数値等を保証もしくは示唆するものではありません
米国リート相場と利上げの影響 米国での過去の利上げ局面における長期金利および米国リートの推移 1600 政策金利上昇局面米国リート ( 左軸 ) 米国政策金利 ( 右軸 ) 米国長期金利 ( 右軸 ) 1 2 10% 800 8% 400 6% 200 4% 100 2% 50 0% 93 年 9 月 95 年 9 月 97 年 9 月 99 年 9 月 01 年 9 月 03 年 9 月 05 年 9 月 07 年 9 月 09 年 9 月 11 年 9 月 13 年 9 月 15 年 9 月 期間 1 2 期間始点 ( 月末 ) 94 年 01 月 04 年 05 月 期間終点 ( 月末 ) 00 年 12 月 07 年 08 月 政策金利上昇幅 +3.50% (3.00% 6.50%) +4.25% (1.00% 5.25%) 長期金利上昇幅 -0.53% (5.64% 5.11%) -0.12% (4.65% 4.53%) 米国リート騰落率 86.9% 79.8% ( 注 )Bloomberg よりフィデリティ投信作成 期間 :1993 年 9 月末 ~2015 年 11 月末 米国リートは FTSE NAREIT Equity REITs インデックス 米ドルベース 期間初を 100 として指数化 ( 対数軸 ) 9 上記は過去の実績であり 将来の傾向 数値等を保証もしくは示唆するものではありません
米国リート相場の 2016 年の見通し 米国リートのファンダメンタルズは良好 米国の利上げペースは緩やか 米国リートは割安感あり 原油安が米国景気拡大を促進 10
米国ハイ イールド債券相場への利上げの影響 800 過去の利上げ局面と米国ハイ イールド債券指数の推移 利上げ局面 米国ハイ イールド債券 ( 左軸 ) 米国政策金利 ( 右軸 ) 米国 10 年国債利回り ( 右軸 ) 30% 400 25% 20% 200 15% 100 10% 5% 50 93 年 95 年 97 年 99 年 01 年 03 年 05 年 07 年 09 年 11 年 13 年 0% ( 注 )RIMES よりフィデリティ投信作成 期間は 1993 年 5 月末 ~2014 年 12 月末 ( 米国 10 年国債利回りは 1994 年 6 月末より ) 米国ハイ イールド債券は 1996 年 12 月以前はバンクオブアメリカ メリルリンチ US ハイ イールド インデックス それ以降はバンクオブアメリカ メリルリンチ US ハイ イールド コンストレインド インデックス 期間初を 100 として指数化 対数グラフで表示 米ドルベース 11
米国ハイ イールド債券相場の 2016 年の見通し 高利回りの金利収入 堅調な企業業績 低い金利や長い償還年限での資金調達等による財務改善 12
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