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第 5 回消費者契約法専門調査会で出された主な御意見の概要 大澤彩委員からのプレゼンテーションに関して不当条項規制の一般条項 (10 条 ) 提案の中で第 10 条後段要件の考慮要素として対価があげられているが 価格の安さが 条項を有効とする要因となりうるのか 常に有効になるということではないが 対価が安くなっていることが考慮されて条項が有効になるということはあり得ると考えられる 提案の中で第 10 条後段要件の考慮要素として取引慣行があげられているが 悪しき取引慣行であっても長年行われていれば 条項を有効とする要因となりうるのか 条項の内容を考慮する際に 取引慣行があるから良いとするものではなく 当該条項をその契約に適用するうえで 慣行を適切に運用していたかや その慣行がうまく消費者に伝わっていたかといったことを考慮すべきではないかという趣旨であるが 慎重に考えていかなくてはいけない点であると思われる 取引慣行の考慮に関して 不合理な取引慣行が定着している場合にそれが考慮されるべきではないという点には了解があるとするならば 合理的な取引慣行 と明記することは考えられないか あり得る方向と考えられるが そもそもその取引慣行が合理的と言えるかどうかは 解釈の余地が出てくるため 文言の書き方は問題となると思われる 第 10 条後段要件の考慮要素については 例示列挙した方が明確性に資すると思われるが 取引慣行については その名のもとに 不当条項が正当化されるかのような誤解を招かないよう 列挙事由から削除したほうがよいのではないか 第 10 条後段要件の考慮要素として契約締結過程の事情を入れることの是非について 契約内容としての不当性がそれほど高くなくとも 契約締結過程に問題があったことを考慮して全体として不当性を考えるということもあり得るのではないか そのような場合もあり得ると考えられるが 不当条項規制とは別に 条項の組み入れや説明義務といった契約締結過程の問題として手当すべきではないかと考える 契約締結過程の事情の例示という点については 消費者の認識や認識可能性が不当条項審査で過度に重視され 不当条項であっても消費者に明示的に示せば有効になるといった誤解を招かないよう注意が必要である 提案の中心条項の箇所で 平易かつ明瞭な言葉で表現 されているかという点に言及がされているが 必ずしも中心条項だけにかかることではなく 中心条項以外でも 分かりにくさ 理解可能性の低さについて諸般の事情として不当性の考慮要素に含めることも考えられる これへの対応はどうか 中心条項以外で不明確な条項があった場合 不明確性をその内容審査で考慮すべきかどうかは 契約締結過程の事情と併せて考えなければならないが 条項が不明確であることについては 別途解釈準則のところで十分手当てしていく 1

べきと考える 第 10 条の前段 後段の要件を最判平成 23 年 7 月 15 日の判旨に沿った条文内容に改正することについては賛成である また後段要件につき 民法第 1 条第 2 項に規定する基本原則に反して という表現を削除するという提案は 民法の規範とは違うという点を明らかにする意味では有益である 中心条項規制 中心条項規制 特に対価に係る問題については 民法改正の中で いわゆる暴利行為の規制をどうするかということで議論された上で対応されなかった あくまで公序良俗規定で対応すべき問題であると思われる 中心条項であっても 少なくとも透明性の原則は妥当する その点 改正提案の a 説は理論的に納得できる面がある ただし 暴利行為等の考え方も併せて条文に明記した方が読み手には分かりやすいのではないか 対価規制について 条項の趣旨が明確であるが 対価として高過ぎるというような場合には 公序良俗規定等の規制対象となると考えられるが そもそも中心条項か付随条項かを区別するのは非常に難しいというところから 今回のような提案としている 不当条項リスト ブラック リストについて 個別交渉合意というものが認定できる事例でも 絶対的に無効となるという理解でよいのか 消費者契約の場合には 個別交渉があったことを理由に そもそも条項規制を及ぼすべきではないという考え方には反対している 提案されたブラック リストのうち 事業者が第三者と入れ替わることを許す条項について 例えば事業者の給付能力に変化がない場合や 消費者に解除権を同時に与えているような場合 賃貸借の場面などを想定すると もう少し要件を絞る必要はないか 消費者が契約から離脱する権利を認めているといったことは 実際上考慮していかねばならない また 契約類型による区別もありうると思われる グレイ リストについては 法律に書かれると非常に事業者の行動を阻害することになると思われる グレイ リストという言葉を使うか問題であるが 要点は不当であることが推定されるということである 一般条項である第 10 条の抽象的な要件で判断されている状態と 少なくとも不当と推定される一覧がある状態と どちらが事業者 消費者双方にとって明確かと言えば やはり後者となると考える 消費者庁の消費者団体訴訟制度 差止請求事例集 ( 平成 26 年 3 月 ) によると 圧倒的に不当条項に関する差止めが多く その中でも第 10 条に関するものが半数以上に及ぶ 少なくともブラック リストを設けることで 法務部を持たない中小企業等 2

にとっても 無効となる場合の判断がつきやすくなり メリットがある グレイ リストについて 実務上では 今回提案されたような条項を目にすることがあるのも事実 何をリストに入れるかという問題はあるが アナウンス機能という点からして 存在したほうが事業者 消費者双方にとって有用ではないかと考える グレイ リストについても リストアップされることにより 事業者と消費者が話合いの場で同じ土俵に乗れる可能性があることが想像され 非常に有効なものだと思われる また 事業者団体等のガイドラインをつくるための指標となりうるということも 大きなメリットではないか 今回の消費者契約法の改正は消費者にとって分かりやすいものとなることが大事 特に第 10 条は解釈に委ねられていたため常に不安がつきまとっていたが これまでの裁判例や消費者相談事例により明らかに正当性が認められるべきではないという条項をブラック リストにあげることは大事である また グレイ リストについても 消費者側から見ると重要な提案と考える 提案されたブラック リストのうち 契約の対価に関する条項を変更 決定する権限を事業者のみに与える条項について 電気料金や新聞等の値上げもできないという意味か 基本的には対価や目的物は当事者間で合意して決めることであるという趣旨で挙げているものであるが 今後検討する余地はあると思う 無償サービスというものもあるが 今回提案された不当条項のリストは 有償無償を問わず同じ内容で適用されるということか 無償サービスだからといって必ずしも不当な条項を設けてよいということにはならない 第 10 条後段要件の提案に対価等を考慮要素として入れており そこで考える余地はあるが リストとしては有償 無償は区別せずに考えている 提案されたリストには 証明責任に関する条項が掲げられているが 不起訴の合意や証拠制限契約等 他にも様々に消費者の権利を制限しそうな条項があると思われるが 証明責任に関する条項が選択された視点は何か 限定する趣旨ではなく 問題が多い条項として例示的にあげたもの ご指摘の他の条項についてもリスト化をすることを考えてよいと思われる 提案されたリストのうち 仲裁条項について 方向としてこれで良いと思うが 事業者が選定したという条件だけでよいかはやや疑問がある また 仲裁法の検討時には グレイ リストとすることについて消費者側から強い反対があり最終的な妥協案として消費者側に解除権を付与する現行規定となった経緯があるため 今回の提案が 消費者側から受け入れられるのか 文言を作るときには 指摘の点も踏まえて 今後慎重に考えていかなければならないと考える その他 考慮要素を条文化すると不当性の判断ということがわかりやすくなる 消費者相談 3

の現場でも使いやすくなる 不当条項以外に 消費者概念についても 条文の中に考慮要素を書くという方向性も考えられるのではないか ただし 考慮要素の書き方には難しさもあると思われる 古閑由佳委員からのプレゼンテーションに関して 現在の消費者政策について 事前規制は限定する方向の政策となっているが 一方で被害拡大防止のための事後規制が重視されてきている 事後規制をワークさせるため 消費者契約法のような民事法については被害回復を速やかに図れるようにすることが必要であると考える 本専門調査会に先立ち 消費者庁の検討会では裁判や消費者相談等の事例が調査されており それらの事例を踏まえれば 民事ルールの充実がどのような内容や程度で必要であるかについて議論は十分にできると考えられる 今回の消費者契約法改正の議論は 悪徳事業者規制法をいかにつくるかということを検討するものではない そもそも 消費者契約法は 規制緩和の中で 消費者契約に関する適正化のための私法ルールの充実が 事前の行政的な規制というものを極力排除していくということを支えているのだという考え方から 消費者契約法の制定がなされたという経緯がある そして 現在もその基本的な考え方は基礎としてその見直しが検討されているということだと思う 消費者契約法と業法との関係については 業法が行政的な規制や行政処分と結びついた形で規律されるという特性も含めて 両者の違いを十分認識する必要がある 法務担当等がいない事業者も多いという指摘について その点は考慮すべきことであるが 各論との関係では むしろ 不当条項リストを充実させることにより それとともに業界のガイドライン等の策定などを検討できるよう そのための指針が充実することこそが必要だと考えられるのではないか また 情報提供についても 信義則によるというのみでとどめるよりも 一体どういうものについてどのような場合に情報提供義務が認められるのかその指針を明らかにすることがむしろ望まれ 消費者契約法において具体化した規律を置くことが重要であるということになるのではないか 内容は精査する必要があると思うが ブラック リスト自体は否定していない 不当であると推定されるリストを個別に明確化した場合 経済活動が委縮してしまうという指摘について 諸外国では 不当条項につき何十年の経験があるところもあるが その国の経済活動が委縮しているとは考えにくい 経済活動が萎縮するという主張や指摘についても 十分な基礎付けをもって論じ あるいは検討する必要があると考えられる 内閣府の平成 20 年版国民生活白書では 消費者被害にあったと回答した人の割合が 交通事故や刑法犯の被害にあう率よりも高いというデータが紹介されている 資料 3-2の 13 頁で紹介された消費者庁の意識調査のデータでは インターネット取 4

引でトラブルにあった人の比率が上記白書のデータよりもかなり大きい インターネット取引における消費者被害の予防 救済のための法律対応は急務である トラブルを経験した人の割合が少ないとは思っていないが トラブルの内訳の項目をみると 必ずしも消費者契約法で手当てされるものではないのではないかということで紹介したものである 現在 相談の現場では 悪徳事業者に対するものではなく 事業者全般に係る相談というものが目立つ状況にあり 継続的に事業を運営していこうと考えている事業者の方と話し合いで解決をする場面が多くある その中で消費者契約法を活用していくということのメリットを重視して欲しい 以上 5