について 1. はじめに ノートパソコンや液晶テレビのバックライトにおいて その光源には 古くは冷陰極蛍光管 (CCFL) が多用されてきました しかし数年前から 環境対応 ( 水銀フリー 低消費電力 長寿命 ) と機能性 ( 薄型 軽量化 ローカルディミング ) を求めて CCFL から発光ダイオード (LED) への置き換えが始まり 現在では LED デバイスの採用が主流になっています LED バックライトは パネル後方に LED デバイスを配置する 直下型 (direct type) と( 図 1) パネル端部に LED デバイスを並置する エッジライト型 (side type) とがあります( 図 2) 拡散板 図 1 直下型 LED バックライト スタンレー電気では これらのバックライトに適した LED デバイスを セラミックタイプ (CLCC: Ceramic Leaded Chip Carrier) とプラスチックタイプ (PLCC: Plastic Leaded Chip Carrier) にて製品化しております CLCC タイプと PLCC タイプとの大きな違いは寿命 ( 初期光束維持率 50%) です CLCC タイプの寿命は約 60,000 時間 PLCC タイプは 15,000~20,000 時間です より長期の製品寿命が要求されるバックライトには CLCC タイプの LED デバイスを推奨いたします 2. CLCC タイプの 本章では CLCC タイプのについて説明します セラミックリフレクタから構成されるバックライト用 LED デバ イスには 表 1 の 4 種類があります これらは正面方向に光を放出するため 直下型バックライト ( 図 3) は勿論のこと 実装基板をバックライト側面に立てかけて設置した場合はエッジライト型 ( 図 4) も形成することができます 直下型またはエッジライト型のいずれにおいても LED デバイスサイズを小型に設計したため バックライトの薄型化が可能になります 後述する PLCC タイプに比べ高輝度であり 信頼性も高いため 特に大型 (20 インチ~) のバックライトに適しています B W1141JTE B W1151JTE 外観 寸法発光特性 L2.5mm W1.5mm H0.7mm 指向特性 高色再現性タイプ 図 2 エッジライト型 LED バックライトデバイス 半値角 120 度標準 80mA (80mA/1chip) 電流表 1 CLCCタイプのバックライト用 LEDデバイス 1/6
0.31 拡散板 LED 実装基板 0.7mm または 1.0mm 図 3 直下型バックライトの断面イメージ (CLCC タイプ ) y 0.30 0.29 0.28 0.27 0.26 0.25 7G 7E 7H 7C 7F 7A 7D 7B 実装基板 1.5mm 図 4 エッジライト型バックライトの断面イメージ (CLCC タ イプ ) 2-1. 光束 / 色度ランク規格 バックライトの均一性を図るために バックライト用 LED デ バイスでは細分化した光束 / 色度規格を設定しています ( 表 2 図 5) ランク名 min(lm) max(lm) AZ 8.2 10 B1 10 12 B2 12 15 B3 15 18 B4 18 22 B5 22 27 B6 27 33 B7 33 39 B8 39 47 表 2 の光束ランク規格 (CLCC タイプ ) 0.24 0.26 0.27 0.28 0.29 0.30 0.31 0.32 x 図 5 の色度ランク規格 (CLCC タイプ ) 2-2. 硫化 光変色対策 特に白色 LED デバイスでは リフレクタ表面に銀めっきや銀コーティングを形成し シリコーン樹脂で封止する構成が多く見られます これは 銀が可視領域にわたって高い反射率を持ち LED デバイスの光取り出し効率の向上が期待できるためです しかし 銀は硫化水素ガスまたは硫黄ガスと容易に反応し 黒色の硫化銀 (H 2 S + Ag = Ag 2 S 2Ag + S = Ag 2 S) を生成する特性があります ( 硫化 ) また 高温下で銀に光が照射されると 銀が周囲に拡散し変色する特性も持っています ( 光変色 ) 特にエッジライト型バックライトの場合 LED デバイスがを挟んで向かい合って配置されるため 光変色が起き易い環境にあります ( 図 6) で硫化や光変色が発生すると 光出力の低下や色度の変化をもたらし の見映えが悪くなります 硫化が進んだ場合 LED デバイスの不点灯も招きかねず 硫化または光変色した LED デバイスを初期状態に戻すことはできません 対向する LED デバイスの光 図 6 エッジライト型 LED バックライト 2/6
CLCC タイプのは 銀を使いながらも硫化 光変色を防止する特殊な構成を採用しています 例えば H2S:3ppm Ta:40 RH:80% の環境下に 192 時間放置しても 放置前後の光束 色度 外観に何ら劣化を生じることはありません (192 時間は 屋内環境の 20 年間に 重工業地帯の 2 年間に相当します ) 2-3. 実装上の注意 CLCC タイプのをアルミ 銅等の金属基板にはんだ付けする際には 実使用環境を考慮した事前確認をお願いします 極度の熱衝撃環境下で使用するとはんだにクラックが生じ 不灯 製品脱落といった不具合が起きるおそれがあります 3. PLCC タイプの 本章では PLCC タイプのについて説明します プラスチックリフレクタから構成される PLCC タイプ LED デバイスには 表 3 の 4 種類があります 製品厚みが薄く 側面方向に光を放出するため 特に中型サイズ (10 インチ ~) のエッジライト型バックライトに適しています ( 図 7) 指向半値角が 115 度であるため 周囲の LED と干渉し合い パネルを均一に照射することに可能になります 外観 サイズ 発光特性 L2.8mm W1.0mm H0.8mm L3.8mm W1.0mm H0.6mm 指向特性 高色再現性タイプ 高色再現性タイプ 半値角 115 度 標準電流表 3 PLCCタイプのバックライト用 LEDデバイス 3/6
y LED 図 7 エッジライト型 LED バックライトの断面イメージ (PLCC タイプ LED) 3-1. 光束 / 色度ランク規格 セラミックタイプと同様に PLCC タイプのバックライト用 LED デバイスにおいても細分化した光度 / 色度規格を設定しています ( 表 4 図 8) ランク名 min (mcd) typ (mcd) max (mcd) TA 720 755 790 TB 790 830 860 TC 860 900 950 TD 950 975 1000 UA 1000 105 1100 UB 1100 1150 1200 UC 1200 1250 1300 UD 1300 1350 1440 VA 1440 1500 1580 VB 1580 1650 1720 VC 1720 1800 1860 VD 1860 1950 2000 WA 2000 2100 2200 WB 2200 2300 2400 WC 2400 2500 2600 WD 2600 2700 2800 表 4 バックライト用 LED の光束ランク規格 (PLCC タイプ ) 0.32 0.31 0.30 0.29 0.28 0.27 0.26 0.25 6N 6J 6P 6E 6K 6Q 6A 6F 6L 6R 6B 6G 5N 6M 6C 6H 5P 5J 5Q 6D 5E 5K 5R 5A 5F 5L 5B 5G 5M 5C 5H 5D 実装基板 4. 高色再現性タイプのバックライト用 LED 色再現性とは 表示媒体に表された画像がどの程度実物の色を再現しているかを意味します バックライト用 LED デバイスの発光スペクトルには 2 種類があり 高色再現性が必要な場合は 高色再現性タイプ の採用を推奨します 高色再現性タイプ は CLCC タイプ PLCC タイプの各種類で製品化しています 多くの白色 LED デバイスは 青色 LED 素子の光が黄色蛍光体を励起させ 青色 LED 素子の青色光と 黄色発光蛍光体の黄色光により白色光を表現しています しかし 一般的な液晶画面は赤 緑 青のカラーフィルターから構成されており 前述の白色 LED デバイスを採用する場合には 黄色光を緑 赤に分離しなければなりません そのため 液晶画面に表された画像が実物の色と異なり 色再現性は自ずと低くなってしまいます なぜなら 黄色光は赤色成分が少ないため 赤色光を強調するカラーフィルター構成をとる必要があり 黄色光から分離した緑色光も実物の緑色より黄色味を帯びて液晶画面上に表されるからです ( 図 9) - 白色 LED - 青カラーフィルター - 緑カラーフィルター - 赤カラーフィルター - フィルターを透過した光 400 450 500 550 600 650 700 750 800 wavelength 図 9 一般的な白色 LED デバイスの発光スペクトルとカラーフィルターの透過スペクトル これに対し 高色再現性タイプのは カラーフィルターの波長特性に合う緑色蛍光体と赤色蛍光体を組み合わせています ( 図 10) 色再現性の向上には カラーフィルターと白色 LED デバイスの波長を合わせることが重要です 当社は青色 LED 素子 緑色蛍光体および赤色蛍光体にバリエーションを用意しておりますため お客様のニーズに合う最適な赤色 緑色 青色を再現することが可能になります 0.24 0.26 0.27 0.28 0.29 0.30 0.31 0.32 x 図 8 バックライト用 LED の色度ランク規格 (PLCC タイプ ) 4/6
- 高色再現性 LED - 青カラーフィルター - 緑カラーフィルター - 赤カラーフィルター - フィルターを透過した光 400 450 500 550 600 650 700 750 800 wavelength 図 10 高色再現性タイプ LED デバイスの発光スペクトルとカラーフィルターの透過スペクトル一般的な白色 LED デバイスおよび高色再現性 LED デバイスを採用した場合に シミュレーションによる色再現性範囲は図 11 図 12 のようになります 0.9 0.8 0.7 CIE1931 NTSC(1953) y 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 高色再現性白色 LED 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 x 図 11 バックライト用白色 LED デバイスの色再現性 (xy 座 標 ) 0.7 CIE1976 0.6 NTSC(1953) 一般的な白色 LED 0.5 v' 0.4 0.3 高色再現性白色 LED 0.2 0.1 0 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 u' 一般的な白色 LED 図 12 バックライト用白色 LED デバイスの色再現性 (u v 座標 ) 5/6
色再現性について u v 座標は xy 座標の波長間隔に修正を施したものであり 色差をより正確に評価することが可能になります 5. バックライトの設計に際して への入光効率を向上させるために の入光部より小型の LED デバイスの選択を推奨します また と LED デバイスの距離によっても入光効率が変化するため 実装時ばらつきの管理が必要になります の表面加工または 材料によって散乱が発生し入光側と反入光側で色見が異なることがあります との整合は十分慎重に行って下さい LED デバイスの光出力は温度に影響されます 特に 複数の LED デバイスを密集して実装する場合 実装エリア内に温度勾配が生じ LED デバイスの光出力にムラを起こす原因となります また LED デバイスは発熱を伴って発光するため使用中に温度上昇を起こしやすく や実装基板を膨張させ と LED デバイスとの相対位置にずれを生じることも想定されます 設計の際には LED デバイスの温度分布および温度上昇を考慮の上 放熱材料の選定や温度コントローラの採用等をご検討下さい 6/6