コンテスト デジタルモード FT4 Joe Taylor, K1JT, Steve Franke, K9AN, and Bill Somerville, G4WJS 2019 年 4 22 はじめに FT4 はコンテスト の実験的デジタルモードです FT8 と同じように 最 限の QSO に特化した固定 で強 な前 誤り訂正プロトコルを使っています 送受信の切り替えは 6 秒ごとに われ その結果 FT8 の 2.5 倍の速度となり RTTY コンテストと同等の QSO レートを実現しています FT4 は RTTY より 10dB 弱い信号で しかもずっと狭い占有周波数幅で交信できます 基本的なパラメータ FT4 のメッセージ形式は FT8 と同じように (174,91) 低密度パリティ検査符号を いています 1 回の送信は FT8 の 12.64 秒に べ 4.48 秒と短くなっています 変調は速度約 23.4 ボーの 4 値 FSK です 占有周波数帯域 ( 電波エネルギーの 99% が含まれる ) は 90Hz です 50% のデコード率でのスレッショルド感度は S/N=-16.4dB になります AP デコーディングを使うことで S/N を -18dB か それ以上に上げることが可能です インストールとセットアップ FT4 テストグループに登録し これから われる疑似コンテストに参加するには以下の 順で WSJT-X 2.1.0 をインストールしてください 1. インストールパッケージをダウンロード ( リンク先は後 提 ) 2. OS ごとの通常の 順でインストール 既にインストールされている WSJT-X とぶつからないようにするため 別のディレクトリを作って そこにインストールするとよいでしょう 3. FT8 のときと同じようにプログラムを起動 4. Configuration メニューから FT8 Clone (or Default) Clone を選択 5. 新しい Configuration を FT4 と名前を変える 6. Mode メニューから FT4 を選択 7. File Settings Frequencies タブの Working Frequencies を右クリックし Reset を押す 8. Settings Advanced タブの Special operating activity をチェック RTTY Roundup messages を選び RTTY RU Exch にコンテストメッセージを設定 9. N1MM Logger+ との連携 法については WSJT-X 2.1 User Guide のセクション 4.5 に記載 これで FT4 のセットアップ完了です FT4 のサンプルファイルをダウンロードして試すことをお勧めします Help メニューから Download Samples を選び FT4 をクリックします Wide Graph を図 1 のように設定し Decode メニューの Deep を選択 そして File メニューからダウンロードしたファイルを選択します 図 1 からわかるように 19 個の交信がデコードされるでしょう ほとんどの信号は 聞こえるか聞こえないかくらいの さな です もし RTTY であれば それらの 1
信号の 3 分の 1 以下しかデコードできないでしょう しかも ずっと広い周波数帯域を占有していても 図 1 FT4 の信号とデコード例 操作 1 回の送受信時間が短いだけで 動作は FT8 と同じです 新しい Best S+P というボタンが Call 1st ボックスの下に追加されています このボタンを受信中に押すと 6 秒の受信中に受けたすべての CQ メッセージを調べます プログラムはコンテストという観点からベストの交信相 を 動的に選びだし あたかもその局のメッセージをダブルクリックしたかのように処理します ここで 2
ベストの交信相 を選ぶ基準ですが 第 優先度が新しいマルチ 第 優先度が新しい局となります 新しいマルチですが 現状では DXCC となります もっと別の形のマルチは これから実装されていきます 今後 別の選択基準優先度 たとえば新しいグリッドとか 信号強度なども実装していくことになるでしょう キーボード操作の設定については Settings General タブの Alternate F1-F6 bindings をチェックします 通常のコンテストでは F1 を押して CQ を出します CQ に応答しコンテストナンバーを送るときは受信したメッセージをダブルクリックします もしくは Best S+P を押し プログラムに応答する局を選ばせることもできます Auto Seq and Call 1st チェックボックスは FT8 と同じ効果を持ち その後の QSO は 動的に進 します F2 から F5 は それぞれ Tx2 から Tx5 のフィールドにあるメッセージを送るために使います F6 は Call 1st のチェックをオン オフするために使えます Alt+B で Best S+P を切り替えることができます 現在のところ Search-and-Pounce (S+P) 局においては RR73 を送ったところで QSO 成 とみなしています また CQ(Run) 局は RR73 を受信したところで QSO 成 とみなしています FT8 と同様に FT4 は S+P 局と Run 局との区別をほとんどしていません オペレーターは簡単に S+P と Run を切り替えられますし 周波数も変更できます コンディション次第では 1 時間で軽く 100 QSO を超えることができるでしょう 送信信号 FT4 は Gaussian Frequency Shift Keying (GFSK) というテクニックを使っています 4 つのトーン周波数を使い 105 シンボルからなる変調信号を作り出します オリジナルの変調信号は図 2 に すように 4 つのトーンの組み合わせに えるでしょう FT4 ではこの 4 値 FSK 信号を ソフトウェア変調器に送り込まれる前にガウシアン関数を使って平滑化し のような波形とします そして 実際に送信される信号は のような び びの値ではなくなります と の信号の差は さいと思われがちですが 周波数スペクトラムはずいぶんと異なってきます 図 3 は同じデータの 4-FSK と 4-GFSK の周波数スペクトラムを したものです GFSK のスペクトラムの裾は急峻に下がり 75Hz オフセットで -6dB 200Hz で -60dB 260Hz で -80dB になります 他のオーディオフィルタは使っていません 図 2 FT4 のエンコード信号 ( ) と平滑化された信号 ( ) 3
図 3 RTTY FT4 FSK FT4 GFSK 信号の周波数スペクトラム 図 3 では RTTY の信号も表 していて -60dB の領域は 2000Hz を超えることがわかります RTTY の AFSK 信号を発 するアプリには 占有周波数を狭くするオーディオフィルタを具備するものもあります しかし そのようなフィルタは連続位相 FSK 信号の定包絡性を崩すものです FT4 の GFSK は相互変調歪を持ちません デコードと運 周波数 WSJT-X 2.1 の FT4 デコーダは最 5kHz 幅における信号をデコードします WSJ-X の他のモードと同様 メッセージのデコードは 1 か 0 か です すなわち 部分的にデコードできたというようなことは無く デコード間違いも滅多にありません 複数の信号が重なっても 強い信号をデコードし その結果を受信信号から引き算することで 裏に隠れた弱い信号も同時にデコードすることができます 図 1 の Band Activity ウィンドウに された最後の 3 つのメッセージはそのような例です 3 ないし 4kHz のバンドの中に 120-150Hz 間隔で信号が並べば信号強度が 60dB も違う 50 局がお互いにほとんど 渉すること無くそれぞれ QSO することができます これからいろいろテストを重ねることにより コンテストに最適な周波数や いくつの 3kHz 周波数バンドをそれぞれの周波数帯で設けるのがよいのか ということが だんだんわかってくるでしょう 最初のお勧めとして 次のダイヤル周波数を挙げておきます 3.595, 7.090, 10.140, 14.140, 18.104, 21.140, 24.919, 28.180, 50.318, 144.170MHz もっとよい候補があれば提案してください 感度 図 4 は いろいろな電波伝搬状況における FT4 デコーダの感度をシミュレーションした結果です 右側の数字組はドップラー拡散と ITU 標準条件の 2 パス遅延差を意味します 番左の実線は中緯度付近における伝搬を表します 破線は a priori 情報を最 限活 した場合の結果を します RTTY との 較で えば 中緯度の通常のコンディション下で RTTY は SN が -1 から +4dB あれば 字誤り率が 10% 以下になります FT4 は RTTY に べ 10dB の利得があります 4
図 4 SN を変化させたときのデコード率 AWGN は Additive White Gaussian Noise Low Mid High は地磁気的な緯度 Q M D は電離層の Quiet, Moderate, Desturbed を す NVIS は Near Vertical Incidence Skywave のこと AP91 は標準的なコンテスト QSO における RR73 メッセージの a priori デコード 事前テスト WSJT-X 2.1.0 のベータ版を使って 決められた時刻で送信受信を開始しない 同期 式について その適否をテストしました テストの結果 同期 式が極めて有利であることを確認しました 送信を規定時刻に開始し終了することによって ずっと多くの受信信号をデコードできることがわかりました 特に それぞれの局が半分送信半分受信になるようなコンテスト時に 有効であることがわかりました 通信 学的観点からも同期式を採 することで チャネル容量を増やすことができます スケジュール FT4 のいくつかのパラメータと動作についてまだテスト中です さらに数回 多くの参加者で疑似コンテストを開催することでテストと改良を重ねる予定です もし 致命的なバグや問題が つからなくても FT4 を ARRL VHF コンテスト (6 8 10 ) 及び ARRL Field Day コンテスト (6 22 23 ) に使うのは時期尚早と考えます したがって WSJT-X 2.1.0-rc5 は 20 19 年 6 7 に期限が切れるように設定します 可能な限り次のようなスケジュールで進めようと思います 4 22 : FT4 の 般公開 このドキュメントへのリンク公開 4 29 : WSJT-X 2.1.0-rc5 の公開 ダウンロードファイル提供開始 5 9 : 0000-0100UTC FT4 疑似コンテスト 7.090MHz 5 14 : 0000-0100UTC FT4 疑似コンテスト 7.090MHz 6 5 : 0000-0100UTC FT4 疑似コンテスト 7.090MHz ( 必要な場合 ) 6 15 : WSJT-X 2.1.0 正式版公開 5
その他気づくこと FT4 は速射コンテスト QSO のために特化したモードです この 的には効果的ですが 通常の会話的 QSO には不適です RTTY に べ はるかに狭い占有周波数幅で 微弱な信号でも交信可能です Super Check Partial Check や それらと似たような補助を必要としません FT4 を使いこなしていれば DX クラスタや その他の 助けを使う必要を感じないでしょう 得点をあげるための情報はコンテスト開催中に 分のアンテナと無線機を使って電波から得ることができるでしょう FT4 では CQ と S+P のオペレーションにほとんど差がなくなりますので 周波数を適宜変えていくことによって 交信相 をたくさん つけることができるでしょう ローパワーや さなアンテナでも効率よくコンテストに参加できると期待されます 本語訳 庭 JA7UDE (2019 年 4 25 ) 6