新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

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プロジェクト ( 年 ) 独 (KfW): 西ナイル地区に特化した配電網の拡充 小水力の開発 ( 年 ) 3. 事業概要 (1) 事業の目的ウガンダにおける産業活性化が期待できる地方において 長距離配電線 (33kV 配電線 ) の資機材の調達 据付を行うことによ

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

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研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

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2008年6月XX日

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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

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(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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ており 公共交通機関の拡充等のインフラ整備を通じて大都市圏を中心とした混雑緩和 物流改善が必要であるとしている 本事業はこれら方針及び分析に合致する なお 我が国はこれまで対フィリピン円借款による旅客輸送 システム整備として LRT1 号線増強事業 (I) (II) (L/A 調印 :1994 年

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番号 : 国名 : ネパール担当 : 社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ第二チーム案件名 : 補給管理センター及び航空路レーダー管制業務整備プロジェクト終了時評価調査及び航空航法システム運用能力向上プロジェクト詳細計画策定調査 ( 評価分析 ) 1. 担当業務 格付等 (1)

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護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

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空港整備基本計画 ( 中間報告 ) の発表にあたって 山口県及び岩国市では 平成 1 3 年度から 3 年間 米軍岩国基地における民間空 港再開の可能性について調査研究を行い その後 日米合同委員会の下の施設調整 部会において日米協議が開始されたことや岩国基地沖合移設事業の進捗状況などを 踏まえ 平

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(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

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援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

資料 - 5 討議議事録 (M/D)

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う ) において定めた民間事業者が確保すべきサービスの質の達成状況に対する当機構 の評価は 以下のとおり 評価事項 測定指標 評価 業務の内容 対象公共サービスの内容に示す運用業務を適切に実施すること 月次報告による業務内容を確認したところ 運用業務は適切に実施されており サービスの質は確保されてい

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JAXA航空シンポジウム2015「気象を予測し安全かつ効率的な離着陸を実現する技術」

定量的な成果目標の設定が困難な場合 定量的な目標が設定できない理由及び定性的な成果目標 事業の妥当性を検証するための代替的な達成目標及び実績 定量的な目標が設定できない理由 迎賓施設としての機能を維持するため また 安定して一般公開等を行うために必要となる経年劣化等の不具合による改修工事等であるため

定量的な成果目標の設定が困難な場合 定量的な目標が設定できない理由及び定性的な成果目標 事業の妥当性を検証するための代替的な達成目標及び実績 活動指標及び活動実績 ( アウトプット ) 単位当たりコスト 代替目標 各国賓客の招待外交の表舞台に相応しい施設としての機能を維持するため また 安定して一般

大規模災害等に備えたバックアップや通信回線の考慮 庁舎内への保存等の構成について示すこと 1.5. 事業継続 事業者もしくは構成企業 製品製造元等の破綻等により サービスの継続が困難となった場合において それぞれのパターン毎に 具体的な対策を示すこと 事業者の破綻時には第三者へサービスの提供を引き継

Microsoft Word - 1_優先交渉権者決定 記者発表資料(最終)

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

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RO ( 改修 Rehabilitate- 運営等 Operate) 方式ハ民間事業者が公共施設等の設計及び建 BT( 建設 Build- 移転 Transfer) 方式設又は製造を担う手法民間建設借上方式 2 優先的検討の対象とする事業及び検討開始時期一優先的検討の対象とする事業建築物の整備等に関

機密性 2 情報 滑走路端安全区域 (RESA) 対策に関する指針 概要版 平成 29 年 3 月航空局 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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事業事前評価表 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 1. 案件名 ( 国名 ) 国名 : ネパール連邦民主共和国案件名 : 主要空港航空安全設備整備計画 (The Project for Improvement of Aviation Safety Facilities in Major Airports) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における航空セクターの現状と課題ネパール連邦民主共和国 ( 以下 ネパール と言う ) は 国内の約 75% を急峻な山岳地帯により形成されており その地形的特徴から 空路は重要な移動 流通手段であり 特に山岳地帯で空路の確保が国内移動手段として不可欠となっている 当国では 首都カトマンズに唯一の国際空港であるトリブバン国際空港を また地方に約 30 の空港を有している 主要空港航空安全設備整備計画 ( 以下 本事業 と言う ) 対象空港の一つであるトリブバン国際空港では 国際便の旅客数が 138 万人 (2006 年 ) から 351 万人 (2014 年 ) に急増し その他本事業対象 7 空港を含めた過去 5 年間の旅客数の増加率は平均 9.5% となるなど 近年の経済成長を背景として航空需要が急速に拡大している 一方 トリブバン国際空港は周囲を高い山に囲まれており 世界で最も離着陸の難しい国際空港の一つであるが 航行援助施設が不十分であるため 航空機の着陸時の誘導精度及び就航率が低い問題を有している 主要な地方空港であるダンガジ空港 チャンドラガジ空港には航行援助施設が設置されておらず 航空機の離着陸時の安全確保は目視等によるパイロットの技量に依存している また ルクラ ジョムソン ジュムラ ララ シミコット等の主要山岳空港では 気象条件が急変しやすい状況にあるにもかかわらず 滑走路位置を示す航空灯火が全く設置されておらず 空港運用に必要とされる電源供給も不安定である このように 国内主要空港の航行援助設備の整備は 航空安全上 喫緊の課題となっている (2) 当該国における航空セクターの開発政策における本事業の位置づけ及び必要性 当国政府は 国家開発戦略の最上位の第 13 次計画 (2013/14-2015/16 年度 ) において 民間航空システムの整備 拡張を通じた観光産業発展を目標に掲げており 航空輸送に係 る運用方針として 近代的な航行援助施設の設置 国際規範に準拠した運行の安全監視及 び全ての航空機の検査の実施を掲げている 本事業は これらの計画 方針に基づくもの であり 航空輸送の安全性向上に資する事業として位置付けられている (3) 航空セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績 対ネパール連邦民主共和国国別援助方針 (2012 年 4 月 ) の重点分野 持続可能で均衡のとれた経済成長のための社会基盤 制度整備 において 運輸交通分野への支援が挙げられ 対ネパール連邦民主共和国 JICA 国別分析ペーパーにおいても 運輸交通インフラ整備 が重点課題であると分析しており 本事業はこれら方針 分析に合致する 航空セク 1

ターにおいて 日本はこれまで無償資金協力 トリブバン国際空港近代化計画 (2013-2015 年 ) による航空管制用レーダーの整備 技術協力 補給管理センター及び航空路レーダー管制業務整備プロジェクト (2014-2017 年 ) による補給管理センター整備 航空管制官育成等を行っている (4) 他の援助機関の対応 アジア開発銀行 (Asian Development Bank 以下 ADB と言う ) が 2010 年よりトリ ブバン国際空港の滑走路の整備等を実施中 3. 事業概要 (1) 事業の目的 : 本事業は トリブバン国際空港を含むネパール国内主要 8 空港において航空安全設備等 を整備することにより 航空機の目的地空港への誘導及び着陸の安全性の向上を図り も って同国対象空域における航空輸送の安全性及び効率性の向上に寄与するもの (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 トリブバン国際空港 ( カトマンズ ) を含む全国 8 箇所の空港 (3) 事業概要 1) 調達機器等の内容 トリブバン国際空港 ( ネパール民間航空公社 (Civil Aviation Authority of Nepal 以下 CAAN と言う ) 関連施設含む ): ローカライザー ( 距離測定装置を含む ) ローカライザー保守訓練機材 超短波全方向式無線標識 / 距離測定装置 (VOR/DME) 試験機材 レーダー保守訓練機材 レーダー管制訓練シミュレーター 飛行方式設計システム 地方空港 ( ダンガジ空港 チャンドラガジ空港 ):VOR/DME 山岳空港 ( ルクラ空港 ジョムソン空港 ジュムラ空港 ララ空港 シミコット空港 ): 航空路灯火システム 太陽光発電システム 2) コンサルティング サービス / ソフトコンポーネントの内容 コンサルティング サービス : 詳細設計 入札支援 施工監理 ソフトコンポーネント : ソフトコンポーネントは実施しない (4) 総事業費 / 概算協力額 総事業費 15.14 億円 ( 概算協力額 ( 日本側 ):14.52 億円 ネパール国側 :0.62 億円 ) (5) 事業実施スケジュール ( 協力期間 ) 2016 年 7 月 ~2018 年 6 月を予定 ( 計 24 ヶ月 詳細設計 入札期間を含む ) (6) 事業実施体制 ( 実施機関 / カウンターパート ) 文化観光民間航空省ネパール民間航空公社 (CAAN) 2

(7) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境社会配慮 1 カテゴリ分類 :B 2 カテゴリ分類の根拠 :: 本事業は 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) に掲げる空港セクターのうち大規模なものに該当せず 環境絵の望ましくない影響は重大でないと判断され かつ 同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しないため 3 環境許認可 : 本事業に係る環境影響評価 (EIA) 報告書は 同国国内法上作成が義務付けられていない 4 汚染対策 : 工事中の大気汚染 騒音 水質汚濁 土壌汚染 廃棄物等については 工事現場内の散水や低環境負担型建設機材の導入 建設機材の点検 整備 ネ国法制度に沿った廃棄物処理等の対策により 工事中の環境影響は最小化される見込みである 5 自然環境面 : 事業対象地域は 国立公園等の影響を受けやすい地域またはその周辺に該当せず 自然環境への望ましくない影響は最小限であると想定される 6 社会環境面 : 本事業は VOR/DME 施設の設置にあたり 約 1.0 ha の用地取得を伴うが ネパール国国内手続き及び JICA 環境社会配慮ガイドラインに沿って作成された住民移転計画に従って補償及び用地取得が進められる なお 本事業に伴う住民移転は発生しない 本事業対象地域で実施された住民協議では 本事業に係る特段の反対は確認されていない 7 その他 モニタリング : 本事業は 実施機関が 工事前に用地取得の実施状況をモニタリングし 工事中に工事請負業者が大気質 騒音 水質 土壌 廃棄物等についてモニタリングする 2) 貧困削減促進 : 特になし 3) 社会開発促進 ( ジェンダーの視点 エイズ等感染症対策 参加型開発 障害者配慮等 ): 特になし (8) 他事業 ドナー等との連携 役割分担 :ADB がトリブバン国際空港の滑走路の整備等を行っており 連携が期待される 技術協力プロジェクト 補給管理センター及び航空路レーダー管制業務整備プロジェクト が実施中であり 本事業に必要なスペアパーツ等が同技術協力プロジェクトで構築する補給管理センターに登録 管理される予定 (9) その他特記事項 : 特になし 4. 外部条件 リスクコントロール (1) 事業実施のための前提条件チャンドラガジ及びダンガジ空港における VOR/DME サイトの用地取得の予算措置がなされること (2) プロジェクト全体計画達成のための外部条件 2015 年 9 月以降数か月にわたり当国で発生したインドとの国境封鎖に起因する深刻な燃料不足等が事業期間中に発生しないこと 3

5. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 (1) 類似案件の評価結果ネパール連邦民主共和国 トリブバン国際空港近代化プログラムにおける航空管制設備改善計画 (1999-2001 年 ) の事後評価結果等では 被援助国の維持管理に係る予算の確保及び部品供給体制の確立が必要であるとの教訓を得ている (2) 本事業への教訓本事業では 複数の空港に対する機材の配備を計画していることから 技術協力 補給管理センター及び航空路レーダー管制業務整備プロジェクト (2014-2017 年 ) の実施等を通して 各空港における維持管理体制 維持管理予算 機材の供給可能性等に十分留意し スペアパーツを配備する 6. 評価結果以下の内容により本案件の妥当性は高く また有効性が見込まれると判断される (1) 妥当性ネパールでは山岳地帯という地形的特徴から空路が重要な移動 流通手段となっているものの 航行援助施設等の不備により 航空機の安全な運航が困難となっている 特に本事業の対象となる国内主要 8 空港では 航行援助施設 航空灯火 電源供給の不備により 安全な運航に支障をもたらしており これら国内主要空港の航行援助設備の整備は喫緊の課題となっている ネパール政府は第 13 次計画において 近代的な航行援助施設の設置等を目標に掲げており 本事業は同計画と合致するとともに 対ネパール連邦民主共和国国別援助方針 (2012 年 4 月 ) の重点分野 持続可能で均衡のとれた経済成長のための社会基盤 制度整備 において 運輸交通分野への支援を行うこととしており 我が国の方針にも合致するものである 以上より 航空輸送の安全性及び効率性の向上に向け 無償資金協力しての本事業の実施を支援する必要性及び妥当性は高い (2) 有効性 1) 定量的効果指標名基準値 (2014 年 ) 目標値 (2021 年 ) 事業完成 3 年後 トリブバン国際空港においてローカライザーを用いたより正確な進入が利用できる航空機 0 27,000 数 ( 便 / 年 ) 目的地空港まで VOR/DME を用いた高精度航法 48.5 51.2 にて飛行する国内線便数の割合 (%) トリブバン国際空港におけるジェット機の滑 89.0 95.5 走路利用可能率 (%) 4

2) 定性的効果 1 航空保安施設 機材 電源の充実によって 本事業の対象 8 空港における航空機運航の安全性が向上する ( 悪天候時においても計器を用いた着陸が可能となる 電源供給の安定化により管制業務の継続的な実施が可能となる 等 ) 2 トリブバン国際空港のモノパルス二次監視レーダー (MSSR) の保守に係る訓練を行える環境が整うことによって MSSR の運用維持管理が持続的に行えるようになる 3 トリブバン国際空港にレーダー管制訓練シミュレーターが整備されることによって CAAN による新任レーダー管制官の養成が持続的に行えるようになる 4 飛行方式設計システムが導入されることによって CAAN による飛行方式設計業務の効率化 高度化の環境が整う 7. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 6.(2) 1) のとおり (2) 今後の評価のタイミング 事後評価 事業完成 3 年後 以上 5