第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

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第14章 国民年金 

現在公的年金を受けている方は その年金証書 ( 請求者及び配偶者 請求者名義の預金通帳 戸籍謄本 ( 受給権発生年月日以降のもの ) 請求者の住民票コードが記載されているもの ( お持ちの場合のみ ) 障害基礎年金 受給要件 障害基礎年金は 次の要件を満たしている方の障害 ( 初診日から1 年 6か

0 表紙

国民年金

また 保険料の納付対象月数に占める納付月数の割合 ( 納付率 ) は 低下傾向が続いており 2012 年度時点で59.0% となっている ( 図表 1) 保険料は過去 2 年分の納付が可能であるため 最終的な納付率は多少上昇するが 過去の傾向からみても2012 年度の最終納付率は60% 台半ば程度に


2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 15,250 円 ( 平成 26 年度 ) 付加保険料月額 400

強制加入被保険者(法7) ケース1

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 16,490 円 ( 平成 29 年度 ) 付加保険料月額 400

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第 1 号被保険者 資格取得の届出の受理 種別変更の届出の受理 資格喪失の承認申請 ( 任意脱退 ) の受理 資格喪失届出の受理 資格喪失の申出 第 1 号被保険者 任意加入被保険者 付加保険料の納付の申出の受理 付加保険料の納付しないことの申出の受理 に申請 届出または申出をした場合 被保険者 世

Microsoft Word - T2-06-1_紙上Live_老齢(1)_①支給要件(9分)_

本日のテーマ

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 50 年 4 月 30 日から昭和 51 年 4 月 1 日までの請求期間 昭和 51 年 4 月 1 日から昭和 53 年 4 月 1 日までの請求期間 昭

参考資料

年金改革の骨格に関する方向性と論点について

介護保険制度 介護保険料に関する Q&A 御前崎市高齢者支援課 平成 30 年 12 月 vol.1

平成19年度税制改正.xls

Microsoft PowerPoint 徴収一元化

高齢者福祉

-1-

納付 法 現 払込み ( 納付書払い ) 座振替 クレジットカード 電 納付 ( インターネットバンキング モバイルバンキングなど ) 納付場所 続き先等 融機関 コンビニエンスストアで納付書 ( 国 年 保険料納付案内書 ) を使って納めます 納付書は 加 続きをした後 または毎年 4 などに 本

強制加入被保険者(法7) ケース1

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

年金額の改定について 公的年金制度は平成 16 年の法改正により永久に年金財政を均衡させる従来の仕組みから おおむね ( 100 ) 年間で年金財政を均衡させる仕組みへと変わった この年金財政を均衡させる期間を 財政均衡期間 という これにより 政府は少なくとも ( 5 ) 年ごとに財政の検証をおこ

国民健康保険料の減額・減免等

4 保険料の状況 (1) 保険料の設定及び徴収第 1 号被保険者の介護保険料基準額は 区介護保険事業計画の3 年間の計画期間ごとに必要な介護サービス給付費の見込み額等を基に 高齢者人口の見込み数値等により算出する仕組みになっている この基準額を基に所得状況に応じた ( 段階ごとに ) 保険料を設定し

Taro-1-国民年金編2015  作成 

平成19年度市民税のしおり

階層 国民年金階層 異動 国民年金異動届 (10) 国民健康保険 国民健康保険情報 (10) 国民健康保険 取得届書種別変更 ( 第 1 号被保険者該当 ) 届書 国民健康保険情報 国民年金処理結果一覧表 居所未登録者整理結果通知書 (11.1.1) 取得 (11.1.7

市町村情報照会システムの概要 1 市町村における法定受託事務の円滑な推進に資するため 平成 14 年 4 月から市町村に情報照会用端末を設置し 次のとおり情報提供を行う 1 国民年金被保険者情報 (1) 抽出対象者照会月の 2 年 1 か月前から照会月の 2 か月前までの間に第 1 号被保険者の納付

P0 表紙

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スライド 1

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12 ページ, 図表 ,930 円 保険料納付済月数 + 全額免除月数 1/2+4 分の 3 免除月数 5/8+ 半額免除月数 3/4+4 分の 1 免除月数 7/8 ( 出所 ) 厚生労働省 老齢年金ガイド平成 2730 年度版 より筆者作成 40 年 ( 加入可能年数

2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

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第2回税制調査会 総2-2

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平成19年度分から

ただし 対象期間の翌年度から起算して3 年度目以降に追納する場合は 保険料に加算額が上乗せされます 保険料の免除や猶予を受けず保険料の未納の期間があると 1 年金額が減額される 2 年期を受給できない3 障害基礎年金や遺族基礎年金を請求できない 場合がありますのでご注意ください 全額または一部免除

米国の給付建て制度の終了と受給権保護の現状

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Web 版 Vol.70( 通巻 715 号 ) 国民年金 基礎年金制度の2017 年度財政状況 2017 年度の収支は 収入総額 244,768 億円 支出総額 235,998 億円で 収支残 8,770 億円の黒字収支となった 2016 年度と比較すると 収入総額はプ

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静岡国民年金事案 1564 第 1 委員会の結論申立人の平成 20 年 4 月から 22 年 3 月までの国民年金保険料については 学生納付特例により納付を猶予されていたものと認めることはできない 第 2 申立の要旨等 1 申立人の氏名等氏名 : 男基礎年金番号 : 生年月日 : 昭和 61 年生住

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

Q1 社会保険とはどのような制度でしょうか 会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い いざというときの生活の安定を図る目的でつくられた制度のことで 一般的に健康保険や厚生年金保険のことを 社会保険 といいます 健康保険法第 1 条では 労働者の業務外の事由による疾病 負傷若しくは死亡又は出


あっせん文(国民健康保険における限度額適用・標準負担額減額認定証 の申請に係る被保険者の負担軽減)

平成16年年金制度改正における年金財政のフレームワーク

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時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

資料2(事業管理課部分)

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況

第16回税制調査会 別添資料1(税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税))

強制加入被保険者(法7) ケース1

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

短時間労働者への厚生年金 国民年金の適用について 1 日又は 1 週間の所定労働時間 1 カ月の所定労働日数がそれぞれ当該事業所 において同種の業務に従事する通常の就労者のおおむね 4 分の 3 以上であるか 4 分の 3 以上である 4 分の 3 未満である 被用者年金制度の被保険者の 配偶者であ

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 9 国民年金に関する事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 羽島市は 国民年金に関する事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼ

厚生局受付番号 : 近畿 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 近畿 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論 請求者の A 社における厚生年金保険被保険者資格の取得年月日を昭和 63 年 2 月 26 日から同 年 2 月 16 日に訂正することが必要である 生年月日 :

平成 27 年 1 月から難病医療費助成制度が変わりました! (H26 年 12 月末までに旧制度の医療費助成を受けている人は 3 年間の経過措置 を受けられます ) 分かり難い場合は協会又は自治体の窓口へお問い合わせください H27 年 1 月からの新制度 1. 難病医療費助成の対象は ALS 重

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第3回税制調査会 総3-2

PowerPoint プレゼンテーション

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

【事務連絡】「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の送付について

記入例 日本年金機構理事長あて 年 月 日以下のとおり免除 納付猶予を申請します また 配偶者及び世帯主の記入に漏れがないこと の記入内容に誤りがないことを申し立てします この申請に必要な本人 配偶者及び世帯主に関する情報 ( 所得情報 生活保護受給情報等 ) の確認について 市区町村 ( 前住所地

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- 2 - り 又は知り得る状態であったと認められる場合には この限りでない 2~7 略 (保険料を控除した事実に係る判断)第一条の二前条第一項に規定する機関は 厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民の立場に立って同項に規定する事実がある者が不利益を被ることがないようにする観

要 旨 公的年金の空洞化とは 1 国民年金保険料の未納者の増加と 2 厚生年金の未加入事業所の増加により 本来 納付されるべき年金保険料が納付されない状況を指す 保険料の未納や未加入事業所が増加すると 国民皆年金の根幹が揺らぐばかりではなく 更なる国民の年金不信を招くことが懸念され 早急な対策が必要

事務取扱通知

番号制度の実施に伴う社会保障関係システムの改修について 国 都道府県 市町村 市町村 医療保険者等 システム名 社会保険オンラインシステム 労災行政情報管理システム ハローワークシステム 障害者福祉システム 児童福祉システム 生活保護システム 国民年金システム 国民健康保険システム 後期高齢者医療シ

1. 指定運用方法の規定整備 今般の改正により 商品選択の失念等により運用商品を選択しない者への対応として あらかじめ定められた指定運用方法 に係る規定が整備されます 指定運用方法とは 施行日(2018 年 5 月 1 日 ) 以降 新たに確定拠出年金制度に加入された方が 最初の掛金納付日から確定拠

第9章 国民年金制度について

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 5 国民年金関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 亀山市は 国民年金関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねな

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

保険料は個人ごとに 後期高齢者医療制度では 被保険者一人ひとりに保険料を負担していただくことになります 新たに 75 歳になられた方 (65 歳以上 75 歳未満で一定以上の障害があり 認定を受けた方を含む ) は 以前に加入していた国民健康保険や被用者保険を脱退して この制度に移行することになりま

2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

MR通信H22年1月号

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記入例 : 日本年金機構理事長あて 年 月 日以下のとおり免除 納付猶予を申請します 様式コードまた 配偶者及び世帯主の記入に漏れがないこと の記入内容に誤りがないことを申し立てします この申請に必要な本人 配偶者及び世帯主に関する情報 ( 所得情報 生活保護受給情報等 ) の確認について 市区町村

Ⅰ 調査の概要 1. 調査の目的 本調査は 今後の公的年金制度について議論を行うにあたって 自営業者 被用者 非就業者を通じた横断的な所得に関する実態を総合的に把握し その議論に資する基礎資料を得ることを目的とする なお 本調査は 平成 22 年公的年金加入状況等調査 の特別調査として 当該調査の調

2 給付と負担における世代間の大きな格差給付と負担を比較すると 後の世代ほど負担がより重くなっており 世代間の不公平感が高まっている 3 職業や世帯形態による制度の違い負担面での一元化が行われておらず ( 注 3) また 被用者の扶養配偶者 (3 号被保険者 ) の取扱いは 女性の就業意欲を妨げる要

Transcription:

第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除する免除制度 ( 負担能力に応じ多段階 ) が設けられている ( 申請免除 ) 免除基準については P8 参照 申請免除としたのは 原則としてすべての被保険者に課されている納付義務を特例的に課さないこととするとともに 国庫負担相当分の給付が保障される特例であり 一般の被保険者との均衡を考慮する必要があること また 将来の給付に影響することを踏まえ 全額免除 多段階免除 免除なし について 本人の選択 意思表示に基づく必要があること を考慮したもの なお 次のような事由に該当する者は 申請手続をとらなくても自動的に保険料の納付義務が免除される ( 法定免除 ) 1 障害年金の受給権者 2 生活保護法による生活扶助等を受けている者等 1

これまでの年金部会の意見と見直し内容 被保険者からの申請に基づく申請免除の仕組みそのものの見直しについては 特段の意見は出されていない なお 着実な収納体制の確立に取り組むという観点から 次のような意見及び見直しが行われている ( 平成 11 年 ) < 国民年金 厚生年金保険制度改正に関する意見 ( 平成 10 年 10 月 9 日年金審議会 )> 国民年金の保険料については 無業者など保険料の負担が困難な人のために保険料免除制度が設けられているが 免除基準が複雑であり 分かりにくいと指摘されていることから 現在の免除基準を見直すとともに 的確な事務処理を行う必要がある 加えて 保険料を今後更に引き上げていかざるを得ない中 被保険者の負担能力に配慮して保険料の一部を免除する制度の導入について検討すべきである 国民年金の保険料について それまでの全額免除に加えて 2 分の 1 を免除する半額免除制度を導入 2

( 平成 16 年 ) < 年金制度改正に関する意見 ( 平成 15 年 9 月 12 日社会保障審議会年金部会 )> 現実に負担能力がない又は低い者については 全額免除又は半額免除の仕組みがあるが 負担能力に応じたよりきめ細かい対応が可能となるよう 免除の仕組みを更に見直すことが必要である 国民年金の保険料について 全額免除 半額免除に加えて さらに 4 分の 1 免除 4 分の 3 免除の仕組みを導入 3

申請免除の仕組み 被保険者からのアプローチ 1 申請者は 希望免除区分を記入の上 申請書を市町村窓口に提出する 2 市町村で申請者等の所得状況を記載し 社会保険事務所に送付する 3 社会保険事務所において審査の上 免除の決定がなされる 1 本人申請書の提出 2 市町村所得状況の確認 3 社会保険事務所審査 通知 1 希望区分に記入のない場合 全額免除 若年者納付猶予 4 分の 1 納付 半額納付 4 分の 3 納付の順に審査される 2 翌年度以降も継続して免除を希望する場合 希望により申請を省略することも可能 行政からのアプローチ 1. 免除申請をしていない者への勧奨 未納期間が 1 ヶ月以上ある第 1 号被保険者の所得情報について市町村から提供を受け このうち免除基準に該当する者について 申請がないものについて免除制度の周知及び勧奨を実施 ( 免除勧奨件数平成 18 年度実績約 186 万件 ) 勧奨状を発送してもなお納付も免除申請も行っていない者について さらに戸別訪問や 電話により免除制度の周知を行っている 2. 免除の継続希望者に対する取組み 申請による全額免除対象者 若年者納付猶予対象者については 翌年度以降も継続して免除を希望する場合には その者の同意を得た上で 翌年度以降においても市町村から社会保険事務所が所得情報の提供を受け 本人からの申請を待つことなく 免除の審査を行う事としている ( 平成 18 年 7 月より実施 ) 免除に係る現在の状況 第 1 号被保険者数 2,091 万人のうち 申請全額免除者は 207 万人 申請 3/4 免除者は 26 万人 申請半額免除者は 21 万人 申請 1/4 免除者は 8 万人となっている ( 平成 18 年度末現在 ) 4

各方面からの主な提案内容 免除制度について 本人の申請を待たずに 厚生労働省が積極的に 職権で行うべき 社会保障国民会議雇用 年金分科会中間報告取りまとめにも指摘あり 提案内容のような見直しに当たって考えられる論点 まずは 免除対象者への勧奨の徹底と一部免除対象者への納付勧奨により 現行制度の中での未納 未加入対策を徹底し 将来の無年金 低年金者の減少を図ることが重要ではないか 職権で免除を行う場合 個々の被保険者が免除要件に該当するか否かを確認する必要が生じる このため 全国民年金第 1 号被保険者 ( 約 2,100 万人 ) の所得を審査する必要が生じるが このような網羅的な所得審査の仕組みが現実に構築可能か 現在の仕組みについては P6 7 参照 現に 所得がなくても 免除を申請せず保険料を納付している方がいるが こうした方の納付意欲に悪影響を及ぼさないようにするためには どのような仕組みにすべきか 世帯所得が低くなるにしたがって申請免除者の割合は増加するが 所得なし でも 4 割程度は保険料を納付している ( 平成 17 年国民年金被保険者実態調査 ) という実態をどう評価するか 5

( 参考 1) 市町村から提供される所得情報に関する現行制度について 国民年金第 1 号被保険者 ( 約 2,100 万人 ) のうち 未納期間が 1 ヶ月以上ある者の所得に関する情報について 年 1 回から複数回 社会保険庁から市町村に提供を求め これに応じた市町村から社会保険事務所に所得情報が提供される ( 平成 18 年の所得情報の取得状況 : 累計 579 万件 ( 平成 19 年 9 月末現在 )) この市町村から提供される情報は 市町村が住民税の課税のために有している所得情報 * ( 前年の所得 ) であり 給与所得 事業所得などの内訳は分からず 総所得 ( 各種所得の合計額 ) の形で提供される * 当該税情報については 給与所得は必要経費として収入に応じた一定率を一律控除されている一方 事業所得は自営業者等の申告に基づく必要経費が控除されていることなどから 政府税調において 一般の給与者にとって 税負担の 不公平感 が根強く存在することが指摘されている ( 参考 ) 個人所得課税に関する論点整理 ( 平成 17 年 6 月 21 日税制調査会基礎問題小委員会 ) 2. 所得の種類と税負担のあり方 (1) 所得区分 [3] 事業所得イ )( 略 ) 事業所得に係る必要経費についてみれば その範囲が必ずしも明確ではなく 本来 必要経費に算入できない家事関連経費について混入を防止する制度的担保が存在しない そうした中 一般の給与所得者にとって 日常生活において目にする事業所得者の行動に納得し難い思いを抱くこともあり 税負担の不公平感が醸成されている 6

なお 所得情報の提供状況 制度の活用状況については 以下のとおり 1 提供状況 ( 平成 19 年 9 月末現在 ) 提供市町村数 ( 予定を含む ) 磁気媒体提供方法紙又は閲覧 1,810(99.1%) 1,528(84.4%) 282(15.6%) 2 活用状況 ( 平成 18 年度末現在 ) 強制徴収の実施状況 免除勧奨の実施状況 最終催告状の送付件数督促状の発行件数差押件数全額申請免除学生納付特例若年者納付猶予 31 万件 12 万件 1 万件 186 万件 176 万件 42 万件 7

( 参考 2) 免除の対象となる所得 ( 収入 ) の目安 ( ) 内は給与所得者の年収ベース 平成 20 年度の所得基準 世帯構成 全額免除 4 分の3 免除 半額免除 4 分の1 免除 若年者納付猶予 学生納付特例制度 4 人世帯 ( 夫婦 子 2 人 ) 162 万円 230 万円 282 万円 335 万円 ( 子はいずれも16 歳未満 ) (257 万円 ) (354 万円 ) (420 万円 ) (486 万円 ) 2 人世帯 ( 夫婦のみ ) 単身世帯 92 万円 142 万円 195 万円 247 万円 (157 万円 ) (229 万円 ) (304 万円 ) (376 万円 ) 57 万円 93 万円 141 万円 189 万円 (122 万円 ) (158 万円 ) (227 万円 ) (296 万円 ) 多段階免除制度は 本人だけでなく 配偶者や世帯主も各段階の免除基準に該当していることが必要 ( 若年者納付猶予制度は本人と配偶者が 学生納付特例制度は本人が免除基準に該当していることが必要 ) 4 人世帯 2 人世帯は 夫か妻のどちらかのみに所得 ( 収入 ) がある世帯の場合 社会保険料控除などの控除額が各個人で異なるためこの表は目安となる 8

( 参考 3) 国民年金保険料免除等該当者数 ( 年度末現在 単位 : 万人 ) 第 1 号被保険者 ( 任意加入含む ) 第 1 号被保険者数 法定免除者 申請全額免除者 申請免除者 申請 3/4 免除者 申請半額免除者 申請 1/4 免除者 学生納付特例者 若年者納付猶予者 平成 13 年度 2,207 2,177 99 277 148 平成 14 年度 2,237 2,206 103 144 34 154 平成 15 年度 2,240 2,208 106 165 38 168 平成 16 年度 2,217 2,183 109 176 41 173 平成 17 年度 2,190 2,158 113 216 53 176 34 平成 18 年度 2,123 2,091 114 207 26 21 8 170 37 資料出所 : 社会保険庁平成 18 年度の国民年金の加入 納付状況 9

( 参考 4) 10