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論 文 日 本 の 株 式 市 場 における 取 引 コストの 実 証 分 析 工 藤 秀 明 CMA 佐 野 公 紀 CMA 目 次 1.はじめに 2.リサーチデザイン 3. 実 証 分 析 4. 取 引 コストの 構 造 要 因 5.まとめ 近 年 制 度 改 革 や 技 術 的 進 展 を 背 景 として 株 式 市 場 の 取 引 環 境 は 大 きく 変 化 し 取 引 コストの 低 下 が 進 んでき たと 言 われている しかし 日 本 市 場 における 機 関 投 資 家 の 取 引 コストに 関 しては 取 引 データの 制 約 から 実 証 的 研 究 に 限 界 があった 本 稿 では10 年 超 にわたる 機 関 投 資 家 の 実 際 の 取 引 データを 使 用 し 近 年 において 取 引 コ ストの 低 下 が 着 実 に 進 んでいること また 取 引 コストを 決 定 付 ける 主 要 な 要 因 について 分 析 を 行 った 1. はじめに 近 年 の 情 報 通 信 技 術 の 進 展 に 伴 い 市 場 取 引 の 環 境 は 大 きく 変 化 してきた 特 に アルゴリズム 取 引 や 代 替 市 場 は 機 関 投 資 家 の 取 引 コスト 削 減 手 段 として 大 きく 発 展 してきた( 杉 原 [2010]) 一 方 取 引 コストの 削 減 効 果 について 日 本 の 株 式 市 場 を 制 度 面 から 見 た 場 合 には いくつかの 節 目 が 挙 げられる 第 一 に 1999 年 に 実 施 され た 株 式 売 買 委 託 手 数 料 の 自 由 化 による 委 託 手 数 料 の 低 下 である 実 態 調 査 によると 自 由 化 により 委 託 手 数 料 が2 割 程 度 低 下 している ( 注 1) 第 二 に 00 年 以 降 における 株 式 分 割 制 度 に 代 表 される 法 制 度 の 改 正 や 近 年 における 呼 値 変 更 で ある こうした 改 革 は 取 引 活 動 を 活 発 化 させ ス プレッドの 縮 小 をもたらし 流 動 性 の 向 上 に 寄 与 工 藤 秀 明 (くどう ひであき) 野 村 アセットマネジメント 運 用 部 株 式 グループ シニア ポートフォリオ マネージャ ー 2004 年 京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 博 士 課 程 修 了 博 士 ( 理 学 ) 02 年 より 独 立 行 政 法 人 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 ( 京 都 大 学 東 京 大 学 ) 同 海 外 特 別 研 究 員 (カリフォルニア 大 学 サンタバーバラ 校 )を 経 て 07 年 野 村 アセットマネジメントに 入 社 同 社 投 資 開 発 部 を 経 て 15 年 7 月 より 現 職 佐 野 公 紀 (さの きみのり) 野 村 アセットマネジメント トレーディング 部 アシスタント トレーダー 2012 年 大 阪 大 学 法 学 部 法 学 科 卒 業 同 年 野 村 アセットマネジメントに 入 社 し 現 職 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 77

したと 考 えられる( 高 阪 [2014]) 第 三 に 東 京 証 券 取 引 所 におけるArrowheadの 導 入 (2010 年 1 月 )に 伴 う 電 子 取 引 の 普 及 と 取 引 手 法 の 高 度 化 が 挙 げられる こうした 総 合 的 な 環 境 変 化 は 投 資 家 の 取 引 方 法 を 小 口 高 頻 度 化 に 向 かわせ 取 引 コストにも 影 響 を 与 えていると 考 え ら れ て い る( 宇 野 柴 田 [2012] 新 井 [2012]) 本 稿 では 上 記 の 第 2の 方 法 を 採 用 し 機 関 投 資 家 の 売 買 における 取 引 コストがどの 程 度 であり それがどのように 推 移 してきたかについて 日 本 の 株 式 市 場 を 対 象 とした 実 証 分 析 を 行 う 過 去 10 年 超 の 実 際 の 取 引 データを 使 用 し 取 引 コス トの 変 遷 や 構 造 要 因 を 明 らかにすることは 日 本 の 市 場 参 加 者 にとって 貴 重 な 実 証 例 を 提 供 するこ とになるであろう 取 引 コストの 研 究 に 関 して 言 えば 売 買 の 高 速 化 と 代 替 市 場 の 広 がりが 急 速 に 発 展 したため 電 子 取 引 や 大 口 取 引 を 念 頭 においた 取 引 コスト 取 2. リサーチデザイン 引 戦 略 に 関 する 研 究 が 欧 米 市 場 を 対 象 として 進 展 してきた ( 注 2) こうした 取 引 コストに 関 する 研 データソース 使 用 する 取 引 データは 執 筆 者 の 所 属 会 社 にお 究 は 大 きく 分 けて 二 つのアプローチに 分 類 され る 第 1の 方 法 はマーケットデータを 直 接 使 用 す るものである 例 えばビッド アスク スプレッ ド デプス あるいは 市 場 流 動 性 指 標 等 の 市 場 デ ータの 計 測 や 価 格 変 動 を 計 量 的 な 手 法 により 分 析 するものである( 太 田 et al. [2011]) しかし こ の 方 法 では 発 注 そのものに 関 する 情 報 が 存 在 しな いため ティックベースでの 個 々の 約 定 を 対 象 と した 取 引 コストしか 議 論 することができない 第 2の 方 法 は 投 資 家 の 取 引 データを 直 接 使 用 するものである この 場 合 には 売 買 に 伴 う 豊 富 な 関 連 データ( 委 託 手 数 料 発 注 方 法 売 買 高 等 ) が 利 用 可 能 であるため 様 々な 角 度 から 分 析 を 行 うことが 可 能 となる しかしながら 取 引 データ は 容 易 に 入 手 できないため 実 証 的 研 究 は 非 常 に 限 られている ( 注 3) ける 実 際 の 取 引 データに 基 づく ただし 機 関 投 資 家 の 標 準 的 取 引 方 法 による 取 引 コストを 評 価 す るため 本 稿 では 対 象 となる 取 引 を 手 数 料 が 発 生 する 委 託 取 引 のみに 限 定 し パッシブ 運 用 等 で 多 用 されるバスケット 取 引 を 除 外 する 対 象 期 間 は 03 年 1 月 から14 年 7 月 とし 次 に 示 す(1)~(3) の 条 件 を 全 て 満 たす 取 引 から 無 作 為 に 抽 出 した 10 万 件 の 取 引 を 分 析 対 象 とする (1) 公 募 投 資 信 託 に 関 する 取 引 (2) 東 証 一 部 上 場 銘 柄 のうちTOPIX500および 日 経 225 指 数 採 用 銘 柄 を 対 象 とした 取 引 (3) 市 場 占 有 率 が30% 以 下 の 取 引 ここで 市 場 占 有 率 は 約 定 株 数 / 当 日 出 来 高 ( 主 市 場 ) ( 注 4)で 定 義 されている 条 件 (2)は 流 動 性 が 比 較 的 高 い 銘 柄 を 今 回 の 分 析 対 象 とするた めである 条 件 (3)は 標 準 的 な 取 引 方 法 を 対 象 ( 注 1) 第 1 回 株 式 委 託 手 数 料 実 態 調 査 ( 日 本 証 券 業 協 会 平 成 12 年 ) ( 注 2) 杉 原 [2012]などが 詳 しい ( 注 3) 機 関 投 資 家 の 取 引 コストに 関 する 実 証 研 究 の 例 としてはKeim[1999] Keim and Madhavan[1997] Engle et al.[2012] Borkovec and Heidle[2010] 等 があるが いずれもデータ サンプルが 限 定 的 である 長 期 データの 分 析 としてはFrazzini et al. [2012]が 挙 げられる 一 方 日 本 市 場 を 対 象 とした 同 種 の 実 証 研 究 は 筆 者 の 知 る 限 り 存 在 しない 市 場 データから 間 接 的 に 取 引 主 体 の 売 買 データを 疑 似 的 に 再 構 成 し マーケット インパクトを 推 計 した 研 究 としては 田 中 [2001]がある 78 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

とする 観 点 から 設 定 した 通 常 の 取 引 であれば 市 場 占 有 率 が30%を 超 えるような 例 はほとんど ないことから 妥 当 な 条 件 だと 考 えられる 国 内 株 式 市 場 の 売 買 高 の70 ~ 80%は 機 関 投 資 家 が 占 めている 現 状 からすれば 上 記 データは 国 内 市 場 における 取 引 コストを 把 握 する 上 で 妥 当 なサン プルを 与 えるものと 考 えられるだろう なお 対 象 となる 取 引 は 東 証 での 取 引 に 限 定 し たものではなく 複 数 の 市 場 (ダークプール PTSを 含 む)で 行 われたものを 含 んでいる また 本 稿 における 出 来 高 や 終 値 は 各 銘 柄 の 主 市 場 におけるデータを 使 用 している 評 価 対 象 とする 取 引 コストは インプリメンテ ーション ショートフォール(IS) 法 による 分 解 を 利 用 する IS 法 では 取 引 コスト 全 体 をタイミ P T, d,k P 0,d, k /P 0,d, k にて 定 義 される ただし 取 引 コストの 符 号 定 義 については 売 り 買 いの 方 向 にかかわらず 運 用 者 にとって 不 利 (コストが 余 分 にかかる)となるものをプラスとして 定 義 する 本 稿 では 各 取 引 は 取 引 開 始 から 約 定 までが1 日 以 内 ( 寄 付 きから 大 引 け)に 終 了 すると 想 定 し 取 引 コストの 評 価 もこの 前 提 の 基 で 行 っている 例 えば 運 用 者 が5 日 間 にわたって 銘 柄 Aの 取 引 を 行 った 場 合 本 分 析 においては 取 引 日 が 異 なる5 つの 個 別 取 引 として 扱 われる 一 方 各 個 別 取 引 を 実 際 の 発 注 ベースでみると 運 用 者 が 発 注 した 個 別 銘 柄 の 取 引 注 文 ( 親 注 文 )が 子 注 文 に 分 割 さ れ 別 々に 執 行 されるケースが 存 在 する 本 稿 で はIS 法 による 分 解 方 法 を 採 用 するため 取 引 コス トの 推 計 は 親 注 文 に 対 して 行 う ング コスト マーケット インパクト 委 託 手 数 料 および 機 会 コストに 分 類 する しかし 本 稿 では 各 運 用 者 の 取 引 コストを 分 析 することが 主 評 価 モデル 様 々な 要 因 が 取 引 コストに 影 響 を 与 えるため 眼 ではなく 市 場 での 取 引 コストに 着 目 すること が 目 的 であることから 取 引 コストをタイミング コスト マーケット インパクトおよび 委 託 手 数 料 の 総 和 によって 定 義 する なお タイミング コストについては 運 用 者 がトレーダーに 発 注 を 平 均 的 な 取 引 コストを 推 計 するためにはモデル 化 が 必 要 となる 取 引 コストに 与 える 影 響 としては まず 市 場 占 有 率 が 挙 げられる また 個 別 株 の 流 動 性 も 直 接 的 な 取 引 コストに 影 響 を 与 えると 考 え られる こうした 点 を 考 慮 し 以 下 では 次 のよう 行 った 時 点 を 計 測 開 始 時 点 とする ( 注 5) した な 一 般 的 な 回 帰 モデルを 導 入 する ( 注 7) がって 取 引 日 d における k 番 目 の 注 文 について 計 測 開 始 時 点 における 株 価 ( 寄 付 き 前 であれば C it α β k g itk ε it k ⑴ 前 日 終 値 )をP 0,d, k 平 均 単 価 ( 手 数 料 考 慮 後 )を P T, d,k と す れ ば ( 注 6) 取 引 コ ス ト の 絶 対 値 は ここでC it は 取 引 日 t における 取 引 i の 取 引 コス ト g itk は 各 取 引 を 特 徴 づける k 番 目 の 説 明 変 数 と ( 注 4) 本 稿 では 主 市 場 を 出 来 高 が 最 も 多 い 市 場 として 定 義 する ただし 主 市 場 よりも7 日 間 連 続 して 出 来 高 が 多 い 市 場 があれば その 市 場 を 主 市 場 と 再 定 義 する ( 注 5) 取 引 コストを 狭 義 の 意 味 で 捉 えるなら IS 法 におけるマーケット インパクトのみを 分 析 対 象 とするこ とも 可 能 である 本 稿 では 機 関 投 資 家 が 実 際 に 負 担 している 取 引 コストを 明 らかにするために 本 文 に おける 取 引 コストの 定 義 を 採 用 した 一 方 取 引 プロセスについて 補 足 すると まず 運 用 者 がトレーダー に 取 引 案 件 を 発 注 し トレーダーがその 案 件 を 適 宜 執 行 していく というプロセスを 本 稿 では 想 定 してい る ( 注 6) 平 均 単 価 ( 又 は 約 定 平 均 単 価 )は 一 連 の 取 引 による 約 定 価 格 を 各 約 定 株 数 で 加 重 することにより 定 義 される( 取 引 株 数 加 重 平 均 ) 一 つの 親 注 文 に 対 して 一 つの 平 均 単 価 が 算 出 される 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 79

なっている 説 明 変 数 の 一 つとして 以 下 では ナイトにおける 方 向 感 を 見 るための 指 標 である x it Vola it z it p z it it it ⑵ 制 度 的 要 素 としては スプレッド コストの 違 い が 挙 げられる ( 注 9) 以 上 のような 変 数 を 主 とし て 以 下 の 分 析 にて 用 いる 主 な 変 数 の 定 義 を を 取 り 上 げる ここでz it は 市 場 占 有 率 を 考 慮 した 変 数 である x it はz it を 入 力 変 数 とし ボラティリ ティ(Vola it )および p をパラメータとしている パラメータ p は 約 定 株 数 の 増 加 につれて 取 引 コス トが 増 える 際 の 増 加 率 に 関 するパラメータであ る 切 片 α は 特 徴 量 を 調 整 した 際 の 平 均 的 な 取 引 コストを 意 味 する 図 表 1に 示 す 図 表 2は 全 ての 分 析 対 象 取 引 に 対 して 各 指 標 を 計 測 したものである 例 えば 全 期 間 における 占 有 率 の 中 央 値 は0.6%であり 上 位 90% 点 では 6.7%となっている(Panel A) Panel Bでは 市 況 との 関 係 も 考 慮 して おおむね 上 昇 相 場 と 下 落 相 場 に 相 当 するように 期 間 I ~ IVを 設 定 し 各 期 間 における 統 計 値 を 示 した 多 くの 指 標 に 目 立 った 取 引 データの 特 徴 取 引 コストに 影 響 を 与 える 要 因 としては 個 別 銘 柄 の 長 期 的 特 性 短 期 的 な 市 場 要 素 制 度 的 要 素 が 挙 げられる 長 期 的 特 性 に 関 する 指 標 として は ベータ バリューおよびモメンタム エクス ポージャーといったものが 関 係 し 短 期 的 要 素 に ついては 短 期 モメンタム 相 対 モメンタム 相 対 売 買 高 等 が 挙 げられる こうした 指 標 は 流 動 性 変 化 は 見 られないが モメンタム エクスポージ ャーや 短 期 モメンタム(60 日 )の 変 動 近 年 に おけるスプレッド コストの 低 下 が 見 てとれる Panel AとBの 下 段 には 分 析 対 象 取 引 が 各 指 数 に 含 まれる 割 合 も 示 している 全 サンプルのうち 57%は 日 経 225 構 成 銘 柄 を 対 象 としたものであ り TOPIX400を 対 象 とする 取 引 は56%となって いる やボラティリティに 対 する 追 加 的 な 参 考 指 標 とし て トレーダーや 運 用 者 が 取 引 の 際 に 考 慮 する 指 標 群 である ( 注 8) 3. 実 証 分 析 一 方 執 行 当 日 の 状 況 を 表 す 指 標 として 日 中 リターンやオーバー ナイト リターン(ONR) 取 引 コストの 評 価 本 節 では 全 対 象 取 引 の 平 均 的 な 取 引 コストを 推 といった 指 標 も 短 期 要 素 として 関 係 するだろう 前 者 は 当 日 の 株 価 の 強 さを 表 し 後 者 はオーバー 計 するために 式 ⑴にて 説 明 変 数 をx it z it あるい はボラティリティとした 場 合 の 単 回 帰 分 析 を 行 ( 注 7) マーケット インパクトモデルの 例 としては 例 えばAlmgren and Chriss[2000] Almgren et al.[2005] 渡 邉 [2003] Rashkovich and Verma[2012] 等 が 挙 げられる インパクトモデルの 推 計 については 様 々 な 議 論 が 存 在 し( 杉 原 [2012]) べき 指 数 の 推 計 においても0.1 ~1 程 度 の 値 が 得 られている ( 注 8) 一 般 に 高 いβをもつ 銘 柄 はボラティリティも 高 く 取 引 コストが 高 いと 考 えられている また グロ ース 株 よりバリュー 株 の 方 がマーケット インパクトが 大 きい 傾 向 にあるとする 報 告 もなされている( 渡 邉 [2003]) モメンタム 系 の 指 標 に 関 しては 順 張 り 的 な 買 いになる 傾 向 があるため 取 引 コストが 高 くなりやすいと 考 えられる ( 注 9) 呼 値 単 位 は 東 証 基 準 を 採 用 した 東 証 における 呼 値 単 位 の 変 更 は 00 年 7 月 08 年 7 月 10 年 1 月 14 年 1 月 および7 月 に 行 われている 本 稿 におけるスプレッド コストはいわゆるティック スプレッ ドに 対 応 するものであり 東 証 における 過 去 の 呼 値 変 更 を 全 て 考 慮 したものとなっている 80 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

変 数 図 表 1 占 有 率 [%] 約 定 株 数 / 当 日 出 来 高 ( 主 市 場 ) z(s カ 月 ) 約 定 株 数 / 日 次 出 来 高 ( 過 去 s カ 月 平 均 ) x(t カ 月,s カ 月,p) 定 義 ボラティリティ ( 過 去 tカ 月 にて 計 測 )[%, 年 率 換 算 ] z(s)^p β (60 カ 月 ) ( 過 去 60 カ 月 を 対 象 とした 月 次 計 測 ヒストリカルベータ ) - 1 サイズ エクスポージャー バリュー エクスポージャー モメンタム(12 カ 月 ) エクスポージャー 時 価 総 額 ( 対 数 ) を 東 証 1 部 銘 柄 を 対 象 として 正 規 化 バリュー (Book-value Price Ratio) を 東 証 1 部 銘 柄 を 対 象 として 正 規 化 過 去 12 カ 月 の 株 価 モメンタムを 東 証 1 部 銘 柄 を 対 象 として 正 規 化 対 TOPIX 相 対 ボラティリティ (3カ 月 ) ボラティリティ ( 3カ 月 )/TOPIX のボラティリティ ( 3カ 月 ) - 1 短 期 モメンタム (60 日 )[%] 対 TOPIX 相 対 モメンタム (60 日 )[%] スプレッド コスト[bps] 銘 柄 i の 過 去 60 日 累 積 リターン[%] 銘 柄 i の 過 去 60 日 累 積 リターン[%]- TOPIX の 同 累 積 リターン[%] 東 証 における 呼 値 単 位 / 平 均 単 価 呼 値 単 位 については 平 均 単 価 ( 株 価 ) に 対 応 する 呼 値 を 採 用 ONR/ ボラティリティ オーバーナイトリターン (ONR)/ 過 去 3カ 月 のボラティリティ ( 日 率 ) 日 中 リターン[%] 日 中 値 幅 スプレッドの 絶 対 値 [%] 始 値 ~ 終 値 で 定 義 した 日 中 リターン 日 中 値 幅 の 絶 対 値 / 終 値 ( 図 表 注 ) 全 ての 変 数 は 取 引 する 銘 柄 ごとに 取 引 日 を 起 点 として 計 測 を 行 う サイズ バリュー モーメンタム 等 のエクスポージャーは 前 月 末 時 点 での 値 を 使 用 する ( 出 所 ) 筆 者 作 成 以 下 同 じ 図 表 2 Panel A ( 全 期 間 ) Panel B 中 央 値 MAD 下 位 10% 上 位 90% 期 間 I 期 間 II 期 間 III 期 間 IV 取 引 コスト[bps] 16.9 75.1-110.1 166.4 16.2 23.9 23.6 12.3 占 有 率 [%] 0.6 0.8 0.0 6.7 1.1 0.4 0.5 0.3 x(1カ 月,1カ 月,p=0.5) 2.2 2.3 0.4 8.8 2.5 2.8 2.1 1.6 x(1カ 月,1カ 月,p= 1) 0.2 0.2 0.0 2.2 0.2 0.2 0.2 0.1 β(60 カ 月 ) 0.02 0.47-0.57 0.64-0.03 0.05 0.07 0.03 サイズ エクスポージャー[σ] 1.56 0.92 0.53 2.74 1.37 1.61 1.60 1.71 バリュー エクスポージャー[σ] -0.06 0.53-0.71 0.79-0.01-0.09-0.04-0.12 モメンタム(12 カ 月 ) エクスポージャー[σ] 0.01 0.77-0.96 1.05-0.15 0.23-0.05 0.10 ボラティリティ(3カ 月 )[%] 30.9 10.6 19.9 49.2 28.5 39.9 30.8 30.6 対 TOPIX 相 対 ボラティリティ(3カ 月 ) 0.67 0.5 0.1 1.4 0.83 0.61 0.65 0.52 短 期 モメンタム(60 日 )[%] 3.01 14.1-14.9 24.6 3.55-5.73 0.62 8.35 対 TOPIX 相 対 モメンタム(60 日 )[%] -0.07 11.2-14.4 16.0-0.21-0.21 0.09 0.11 スプレッド コスト[bps] 14.1 9.4 5.5 28.7 17.0 17.1 13.4 11.1 オーバーナイトリターン(ONR)[%] 0.07 1.1-1.6 1.7 0.07 0.00 0.00 0.13 ONR/ ボラティリティ 3.30 57.3-77.4 83.7 3.94 0.00 0.00 6.70 日 中 値 幅 スプレッドの 絶 対 値 [%] 0.12 0.15 0.01 0.65 0.10 0.15 0.17 0.12 割 合 割 合 割 合 割 合 割 合 日 経 225 57% 51% 61% 61% 59% TOPIX 100 43% 38% 45% 44% 48% TOPIX 400 56% 61% 54% 56% 52% ( 図 表 注 ) Panel A は 全 期 間 を 対 象 として 中 央 値 中 央 絶 対 偏 差 MAD および 上 位 90% 下 位 10%における 値 を 示 す Panel B は 各 期 間 における 中 央 値 を 表 示 期 間 I は 03 年 4 月 ~ 07 年 3 月 期 間 II は 07 年 4 月 ~ 09 年 3 月 期 間 III は 09 年 4 月 ~ 12 年 10 月 12 年 11 月 ~ 14 年 7 月 を 対 象 とする 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 81

う 使 用 するボラティリティ( 年 率 換 算 )と 出 来 高 ( 日 次 平 均 )は 各 取 引 の 直 近 1~3カ 月 もし くは 当 日 出 来 高 にて 計 測 した 値 を 使 用 する パラ メータ p に 関 しては p = 0.5,1にて 検 証 を 行 っ た 推 計 結 果 を 図 表 3に 示 す 変 数 1~ 変 数 3の 列 は 説 明 変 数 としてボラティリティもしくはzを 使 用 した 場 合 に 相 当 する 切 片 α は15 ~ 23bps 程 度 となっている 決 定 係 数 を 比 較 するとボラテ ィリティ(1カ 月 )と z (1 日 )の 場 合 が おお むね 同 程 度 の 説 明 力 となっている なお 図 表 に は 示 していないが ボラティリティの 計 測 期 間 を 変 更 した 場 合 や z 変 数 の 計 測 期 間 を1カ 月 以 上 にした 場 合 等 は 図 表 3と 同 様 の 結 果 となる モデル1~6は 説 明 変 数 をx it とした 場 合 に 相 当 する 切 片 α はおおむね18 ~ 23bpsであり 回 帰 係 数 は0.7 ~ 3.5 程 度 である ( 注 10) 市 場 占 有 率 が 無 視 できる 程 小 さい 場 合 には x it による 追 加 コ ストも 小 さくなり(1bps 以 下 ) 切 片 α が 平 均 的 な 取 引 コストのベースラインを 与 えることにな る 他 方 占 有 率 が 高 くボラティリティも 高 水 準 の 場 合 には x it 10となる 場 合 もあり このよう な 取 引 では10 ~ 30bps 程 度 の 追 加 的 なコストが 発 生 すると 解 釈 できる モデル1~6において p =1よりも p =0.5の 方 が 高 い 説 明 力 となる 傾 向 が 見 て 取 れる このこ とは 取 引 コストが 約 定 株 数 の 増 加 に 関 して 逓 減 的 で あ る こ と を 意 味 し て い る(Almgren et al. [2005]) 占 有 率 の 違 いによる 追 加 コストの 発 生 は 取 引 主 体 の 属 性 ( 運 用 金 額 取 引 方 法 等 )にも 依 存 す る したがって 以 下 では 市 場 占 有 率 が 小 さい 状 況 を 想 定 し 切 片 項 α を 平 均 取 引 コスト とみ なして 議 論 を 行 うことにする 多 様 な 特 徴 を 持 つ 個 別 売 買 を 単 独 指 標 にて 説 明 することは 極 めて 困 難 である 図 表 3が 示 すよう に 各 モデルの 決 定 係 数 は0.06 ~ 0.27%であり 説 明 力 は 非 常 に 小 さい 取 引 コストを 説 明 し 得 る 主 要 な 構 造 要 因 については 次 節 以 降 にて 詳 しく 議 論 する 図 表 3 変 数 1 変 数 2 変 数 3 モデル 1 モデル 2 モデル 3 モデル 4 モデル 5 モデル 6 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 切 片 α[bps] 15.1 16.3 21.4 47.6 22.9 55.7 18.4 34.7 21.4 48.4 19.3 39.8 23.2 57.0 19.1 38.7 23.1 56.8 ボラティリティ(1 カ 月 )[%] 0.3 10.5 z(1 日 ) 108.0 11.4 z(1 カ 月 ) 33.3 8.5 x(1 カ 月,1 日,p=0.5) 1.5 15.5 x(1 カ 月,1 日,p=1) 3.5 12.8 x(1 カ 月,1 カ 月,p=0.5) 1.2 16.4 x(1 カ 月,1 カ 月,p=1) 0.7 7.9 x(3 カ 月,3 カ 月,p=0.5) 1.2 16.1 x(3 カ 月,3 カ 月,p=1) 0.7 7.9 決 定 係 数 R 2 [%] 0.11 0.13 0.07 0.24 0.16 0.27 0.06 0.26 0.06 ( 図 表 注 ) 説 明 変 数 x(ボラティリティ t, 出 来 高 s, p)の 引 数 は ボラティリティの 計 測 期 間 t と 出 来 高 の 計 測 期 間 s を 示 す 有 意 水 準 が 10% 以 下 の t 値 は 太 字 にて 表 示 ( 以 下 同 じ) ( 注 10) 対 象 取 引 を 売 り 取 引 と 買 い 取 引 に 分 割 して それぞれに 対 する 単 回 帰 分 析 も 行 った 分 析 結 果 は 全 取 引 を 対 象 とした 結 果 と 同 様 であり 売 りと 買 いの 間 に 取 引 コスト 上 の 大 きな 差 異 は 見 られなかった 82 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

取 引 コストの 変 遷 取 引 コストを 時 系 列 で 評 価 することにより 国 内 株 式 市 場 の 取 引 コストの 変 遷 を 見 ることが 可 能 である 以 下 では 評 価 モデルとして 決 定 係 数 が 最 も 高 かったモデル3( 図 表 3)を 取 り 上 げる た だし 他 のモデルでも 同 様 の 結 果 が 得 られること は 確 認 済 みである 年 度 ごとの 取 引 データに 対 して 回 帰 分 析 を 実 施 し 切 片 α の 推 移 を 示 したものが 図 表 4である 同 図 表 には 年 度 ごとのTOPIXボラティリティも 表 示 した この 図 が 示 すように 07 ~ 08 年 度 を 除 けば11 年 度 までは 平 均 取 引 コストがおおむね 一 定 の 水 準 で 推 移 してきたが 近 年 になってコスト の 低 下 が 大 きく 進 んできた( 図 表 2 Panel Bにお いても 取 引 コストの 低 下 傾 向 が 見 てとれる) 03 年 度 と13 年 度 を 比 較 すると 平 均 取 引 コストは 約 11bps 低 下 しており その 差 は 統 計 的 に 有 意 で ある(t 値 は5.2) 一 方 図 表 4には 占 有 率 が1% 以 下 の 取 引 を 分 析 対 象 とした 場 合 の 結 果 も 表 示 し ている このように 占 有 率 が 低 い 場 合 であっても 全 体 の 傾 向 に 大 きな 変 化 はない また 他 のモデル パラメータを 変 化 させた 場 合 も 同 様 の 結 果 となる ことから 取 引 コストの 低 下 はモデルに 依 存 しな い 頑 健 な 結 果 であると 考 えられる 平 均 取 引 コストの 低 下 要 因 の 一 つとして 委 託 手 数 料 の 影 響 が 考 えられる しかし 同 期 間 の 委 託 手 数 料 の 低 下 幅 は 一 般 的 に3bps 程 度 であり 伝 統 的 な 取 引 形 態 における 委 託 手 数 料 の 低 下 は 相 対 的 に 小 さいといえる ( 注 11) 平 均 取 引 コストの 低 下 要 因 についてはいくつかの 環 境 要 因 があり 40 図 表 4 30 35 25 α[bps] 30 25 20 15 10 5 20 15 10 5 ボラティリティ [% 年 率 ] 0 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 TOPIX ボラティリティ ( 右 軸 ) 全 対 象 取 引 占 有 率 が1% 以 下 の 取 引 を 対 象 ( 図 表 注 ) 各 年 度 ごとにサンプルを 分 割 し 回 帰 分 析 を 行 った 結 果 を 示 す 図 は 切 片 項 α の 推 移 を 示 し 誤 差 範 囲 は 95%の 信 頼 区 間 を 示 す( 全 対 象 取 引 の 場 合 ) 対 象 期 間 は 03 年 1 月 ~ 14 年 7 月 ( 注 11) 日 本 証 券 業 協 会 によれば 機 関 投 資 家 の 平 均 委 託 手 数 料 は 約 10bpsである( 約 定 代 金 が3 億 円 の 場 合 05 年 調 査 ) Greenwich Associatesの 調 査 ( 日 本 市 場 )によれば 平 均 委 託 手 数 料 は04 年 時 点 にて14bpsで あったが 14 年 には11.4bpsにまで 低 下 している 一 方 電 子 取 引 に 関 する 同 調 査 では 平 均 委 託 手 数 料 が7.9bps(09 年 )から6.5bps(14 年 )にまで 低 下 している 米 国 における 委 託 手 数 料 に 関 する 研 究 として はGoldstein et al. [2009]があり 一 部 の 代 替 市 場 の 手 数 料 が 世 界 的 に 低 下 してきていることも 実 証 され ている(Borkovec and Heidle[2010]) 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 83

それについては 最 終 章 にて 議 論 する せてきたと 言 えるだろう 07 ~ 08 年 度 の 平 均 取 引 コスト 上 昇 は 特 徴 的 で ある これにはリーマンショックに 代 表 される 金 融 市 場 の 混 乱 が 影 響 している 実 際 TOPIXのボ 4. 取 引 コストの 構 造 要 因 ラティリティ 上 昇 とよく 一 致 した 動 きを 示 してい る 構 造 要 因 取 引 行 動 は 非 常 に 多 様 であり 市 場 環 境 発 注 国 内 市 場 において 平 均 取 引 コストが 着 実 に 低 下 してきたことが 明 らかとなったが 平 均 取 引 コス トの 低 下 は 市 場 全 体 における 傾 向 であろうか こ の 点 を 検 証 す る た め 各 種 指 数 ( 日 経 225 TOPIX 100 TOPIX Mid400)に 含 まれる 銘 柄 ご とに 分 析 ユニバースを 絞 り 上 記 と 同 様 の 検 証 を 行 った 図 表 5が 示 すように いずれのユニバー スにおいても 平 均 取 引 コストの 長 期 的 な 低 下 傾 向 が 見 て と れ る な お TOPIX Core 30やTOPIX Large 70といった 指 数 で 区 切 ってみても 同 様 の 傾 向 が 観 察 される 以 上 のことから 国 内 株 式 市 場 の 取 引 環 境 の 変 化 は 取 引 コストを 確 実 に 低 下 さ のタイミング 発 注 の 方 法 アスク ビッド ス プレッド 等 様 々な 要 因 の 影 響 を 受 ける ここでは 日 本 の 市 場 において 取 引 コストに 影 響 を 与 える 構 造 要 因 について 検 証 する 本 節 では 図 表 1にて 示 した 指 標 を 式 ⑴に 適 用 し 重 回 帰 分 析 による 検 証 を 行 う 各 取 引 を 買 い 取 引 と 売 り 取 引 に 分 類 し それぞれに 対 して 回 帰 分 析 を 実 施 した 結 果 が 図 表 6である ( 注 12) 重 回 帰 分 析 を 行 う 際 には 年 度 ごとの 平 均 コストの 違 いを 考 慮 し( 図 表 4) 単 一 の 切 片 項 α の 代 わり に 年 度 フラグを 導 入 し 分 析 を 行 った 図 表 では 各 年 度 フラグの 係 数 (および t 値 )の 平 均 値 を 切 片 40 35 図 表 5 800 700 α[bps] 30 25 20 15 10 600 500 400 300 200 5 100 0 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 [ 兆 円 ] 東 証 一 部 売 買 代 金 売 買 代 金 ( 右 軸 ) 日 経 225 TOPIX 100 TOPIX 400 ( 注 12) 図 表 1に 示 した 変 数 以 外 にも 各 変 数 の 計 測 期 間 を5 日 ~ 60 日 の 範 囲 で 変 更 した 場 合 や 本 文 では 言 及 しなかった 指 標 ( 過 去 相 対 モメンタム 過 去 相 対 売 買 高 グロース エクスポージャー 等 )についても 検 証 を 行 った しかしながら いずれのケースにおいても 本 文 で 示 した 結 果 と 同 程 度 の 結 果 か もしくは 統 計 的 有 意 性 が 見 られなかった 84 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

として 表 示 している 各 変 数 の 標 準 誤 差 には Cluster-Robust 標 準 誤 差 を 採 用 し 有 意 性 の 検 定 を 行 った(Petersen[2009] 太 田 [2013]) また xと β 以 外 の 変 数 は 正 規 化 した 変 数 を 用 いて 重 回 帰 を 行 った モデルAでは β サイズ バリュー モメン タム エクスポージャー 等 を 説 明 変 数 として 採 用 した 売 りと 買 いはおおむね 同 様 の 結 果 となって いるが 多 くの 指 標 については 統 計 的 な 有 意 性 が 見 られなかった 例 えば バリューおよびモメン タム エクスポージャーやモメンタム 系 の 指 標 は 統 計 的 有 意 性 がなく 取 引 コストには 無 関 係 な 特 性 と 言 える 一 方 βは 売 り 買 いの 両 取 引 に おいて 統 計 的 に 有 意 な 正 の 回 帰 係 数 を 示 してい る このことは ベータが 高 い 銘 柄 は 追 加 コスト が 平 均 的 に 発 生 していることを 示 している モデルAの 決 定 係 数 は3.9 ~ 4.7%( 売 り 買 い) であり 単 回 帰 の 結 果 と 比 較 して 大 きく 改 善 して いる ただし 決 定 係 数 が 上 昇 した 大 きな 要 因 は 年 度 フラグの 導 入 であり 各 種 指 標 による 説 明 力 の 向 上 は 限 定 的 である モデルBでは 説 明 変 数 として 短 期 モメンタム 相 対 ボラティリティ スプレッド コストを 追 加 した 結 果 を 示 している 短 期 モメンタムおよび 対 TOPIX 相 対 ボラティリティについては 統 計 的 に 有 意 な 結 果 は 得 られなかった 一 方 スプレッド コストに 関 しては 統 計 的 に 有 意 な 結 果 が 示 されている 回 帰 係 数 は 正 であり スプレッド コストに 対 応 した 追 加 コストの 発 生 を 定 量 的 に 捉 えている 図 表 6では 正 規 化 した 変 数 を 用 いて 分 析 を 行 っているが 正 規 化 を 行 わず に 重 回 帰 分 析 を 行 った 場 合 には スプレッド コ ストの 係 数 は 約 0.2となる この 係 数 を 使 ってス プレッド コストに 起 因 する 追 加 コストを 以 下 の ように 見 積 もることが 可 能 である 08 年 以 前 における 東 証 の 平 均 スプレッド コ ストは20bps 程 度 であったが 上 記 の 係 数 を 考 慮 すれば 当 時 における 平 均 追 加 コストは4bps 買 い 取 引 図 表 6 売 り 取 引 モデル A モデル B モデル C モデル A モデル B モデル C 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 切 片 [bps] 23.4 11.0 23.3 11.0 19.5 13.4 20.2 12.2 20.2 12.1 17.2 17.9 x(1 カ 月,1 カ 月,p=0.5) 1.2 2.3 1.2 2.3 1.1 3.4 0.9 1.9 0.9 1.9 0.9 2.9 β(60 カ 月 ) 3.8 2.5 2.8 1.5 3.0 1.8 4.2 2.4 2.7 1.2 1.2 0.5 サイズ エクスポージャー -0.4-0.3-0.2-0.2-0.4-0.4-0.6-0.8-0.5-0.7-1.6-2.6 バリュー エクスポージャー 1.5 1.5 1.5 1.6 0.3 0.5-0.5-0.6-0.3-0.3-0.3-0.4 モメンタム(12 カ 月 )エクスポージャー 1.1 0.8-1.3-1.2 対 TOPIX 相 対 ボラティリティ(3カ 月 ) 0.5 0.3 1.1 0.7 1.0 1.0 1.1 1.3 短 期 モメンタム(60 日 ) -1.6-1.1-1.0-0.8 0.4 0.4 0.0 0.0 対 TOPIX 相 対 モメンタム(60 日 ) -0.4-0.4-0.5-0.5 スプレッド コスト 2.2 2.8 1.4 1.5 1.6 1.8 1.7 1.8 ONR/ ボラティリティ 35.1 4.2-35.4-4.0 日 中 リターン 51.8 24.3-50.5-22.1 日 中 値 幅 スプレッドの 絶 対 値 0.3 0.2-0.5-0.4 R 2 ( 自 由 度 調 整 済 )[%] 4.7 4.7 27.2 3.9 3.9 26.2 ( 図 表 注 ) x および β 以 外 の 変 数 は 正 規 化 した 変 数 を 用 いて 重 回 帰 を 行 った 有 意 性 検 定 には Cluster-Robust 標 準 誤 差 を 使 用 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 85

(=0.2 20) 程 度 に 相 当 すると 考 えられる 一 方 東 証 の 平 均 スプレッド コストは10 年 に 約 10bps まで 低 下 し 14 年 以 降 はTOPIX100 構 成 銘 柄 を 対 象 として 平 均 スプレッド コストが 数 bpsまで 低 下 している それに 伴 って スプレッド コスト に 起 因 する 追 加 コストも 現 在 では1bps 以 下 まで 低 下 していると 考 えられる ( 注 13) モデルCはモデルBに 対 して ONR /ボラティ リティ 日 中 リターンおよび 日 中 値 幅 スプレッド の 絶 対 値 を 新 たに 説 明 変 数 として 追 加 した これ らは 取 引 当 日 の 情 報 であり 約 定 時 点 もしくは 注 文 の 発 注 時 点 において 事 前 に 知 ることができな い 情 報 である 例 えば 寄 付 き 前 に 発 注 されてい た 取 引 については オーバー ナイト リターン が 発 注 後 に 確 定 するため ONR /ボラティリテ ィは 事 後 的 に 決 まる 指 標 となる 図 表 6より 買 い 取 引 に 関 しては ONR/ボラ ティリティと 日 中 リターンの 回 帰 係 数 は 正 であ り 両 指 標 が 大 きくなるような 場 合 には 追 加 コス トが 発 生 している すなわち この 結 果 は 株 価 が 上 昇 する 局 面 における 追 加 コストの 定 量 的 計 測 結 果 となっている 売 り 取 引 に 関 しては 買 い 取 引 の 場 合 と 反 対 の 符 号 を 示 しており 追 加 コストの 観 点 から 見 て 合 理 的 な 結 果 となっている 事 後 的 な 情 報 を 与 えることにより モデルCの 決 定 係 数 は 約 26 ~ 27%にまで 上 昇 し 高 い 説 明 力 となっている なお 図 表 には 示 していないが 日 中 リターンとONR /ボラティリティの 決 定 係 数 への 寄 与 度 はおおむね 同 程 度 である ね 上 昇 相 場 と 下 落 相 場 に 相 当 するように 期 間 I ~ IVを 設 定 した( 図 表 2と 同 じ) 前 節 でのモデル Cをこれらの 期 間 において 推 計 した 結 果 が 図 表 7 である まず 切 片 項 について 期 間 Iと 期 間 IVを 比 較 する と 係 数 の 低 下 傾 向 がみられ 期 間 IVでは5~ 9bps 程 度 となっている 個 別 の 説 明 変 数 をみる と 多 くの 期 間 にわたって 統 計 的 有 意 性 を 示 す 指 標 はx ONR/ボラティリティ 日 中 リターン 等 に 限 られる 他 の 指 標 は 時 期 によって 有 意 性 が 消 失 したり あるいは 符 号 が 反 転 するケースも 見 られ る 一 方 期 間 IVでは 決 定 係 数 が40%にも 達 して いる 決 定 係 数 の 上 昇 要 因 は 日 中 リターン による 説 明 力 が 増 加 していることが 原 因 となって いる 日 中 値 幅 やONR/ボラティリティといった 変 数 による 決 定 係 数 への 寄 与 は 他 の 期 間 と 大 差 が なかった 期 間 IVは 売 買 代 金 も 大 きく( 図 表 5) 市 場 のボラティリティもやや 高 い 時 期 となってい る そのため 日 中 のザラバにおける 個 別 銘 柄 の 影 響 が 特 に 大 きくなりやすく 取 引 コストに 占 め る 日 中 リターンの 要 因 が 大 きくなったと 考 えられ る 前 述 のように 構 造 要 因 を 期 間 別 に 比 較 するこ とにより 近 年 の 市 場 環 境 ではモデルの 説 明 力 が 高 まっていることが 明 らかとなった 日 中 リター ンや 日 中 値 幅 をあらかじめ 予 測 することは 困 難 で あるが こうした 指 標 を 取 引 におけるリスク 指 標 として 活 用 することは 可 能 であろう 構 造 要 因 の 期 間 別 比 較 取 引 コストの 構 造 要 因 が 時 系 列 においてどのよ うに 変 化 したかを 見 ておこう ここでは おおむ 5. まとめ 機 関 投 資 家 にとって 可 能 な 限 り 取 引 コストを 最 ( 注 13) 呼 値 変 更 や 取 引 速 度 が 市 場 取 引 に 与 える 多 面 的 な 影 響 については 宇 野 柴 田 [2012]が 詳 しい 86 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

図 表 7 買 い 取 引 売 り 取 引 期 間 I 2003.4 ~ 2007.3 期 間 II 2007.4 ~ 2009.3 期 間 Ⅲ 2009.4 ~ 2012.10 期 間 Ⅳ 2012.11 ~ 2014.7 期 間 I 2003.4 ~ 2007.3 期 間 II 2007.4 ~ 2009.3 期 間 Ⅲ 2009.4 ~ 2012.10 期 間 Ⅳ 2012.11 ~ 2014.7 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 係 数 t 値 切 片 [bps] 21.3 15.4 20.6 6.7 21.8 12.3 4.9 6.0 14.3 27.9 27.9 10.2 17.1 17.6 9.4 15.5 x(1 カ 月,1 カ 月,p=0.5) 0.7 1.8 0.7 1.4 1.8 3.8 3.3 11.5 0.2 0.7 1.1 2.3 1.7 7.4 2.7 13.5 β(60 カ 月 ) 7.8 3.0-2.2-0.7-1.1-0.2-0.1-0.2 2.7 0.7-6.5-1.7-2.1-0.6 2.7 1.8 サイズ エクスポージャー -0.1-0.1-2.0-0.5-1.3-0.7 2.8 13.5-2.3-2.6-2.6-1.7-1.2-1.1 0.4 0.5 バリュー エクスポージャー 1.6 1.4 0.2 0.3 1.9 1.4-0.7-0.7-1.3-0.8-1.6-1.5 0.6 0.3 0.6 1.2 対 TOPIX 相 対 ボラティリティ(3カ 月 ) 0.9 0.3 0.5 0.1 2.7 1.0-0.9-4.5 1.9 1.7 3.6 1.1 0.9 2.9-0.9-0.9 短 期 モメンタム(60 日 ) 1.7 0.8-2.2-0.8-4.3-1.5-1.0-2.5-2.4-2.0 1.2 0.8 1.8 1.1-0.2-0.4 スプレッド コスト 1.3 0.9 2.1 1.3-1.5-0.7-0.9-4.0 1.7 2.1 4.1 1.6-0.9-0.4-0.5-0.4 ONR/ ボラティリティ 59.3 9.1 45.3 91.6 33.7 13.1-2.3-1.7-60.1-9.0-43.6-10.9-33.6-5.6 1.9 4.1 日 中 リターン 53.9 28.4 59.3 100.2 48.4 23.3 47.2 17.1-49.7-14.4-57.7-7.2-50.7-22.3-47.6-161.5 日 中 値 幅 スプレッドの 絶 対 値 -4.8-2.5-1.7-1.0 4.7 1.3 3.5 4.4-1.9-2.2-4.1-1.0 3.9 1.2 1.5 0.9 R 2 ( 自 由 度 調 整 済 )[%] 36.6 21.9 27.1 41.3 36.7 22.5 23.1 41.3 ( 図 表 注 ) x および β 以 外 の 変 数 は 正 規 化 した 変 数 を 用 いて 重 回 帰 を 行 った 有 意 性 検 定 には Cluster-Robust 標 準 誤 差 を 使 用 小 化 し 運 用 パフォーマンスを 向 上 させることは 一 貫 した 共 通 目 標 となっている 特 にアクティブ 運 用 については 取 引 コストの 存 在 が 運 用 戦 略 と そのパフォーマンスに 直 結 し さらには 運 用 資 産 規 模 の 上 限 と 関 係 することから 常 に 重 要 なテーマ となっている( 黒 木 [2001] Chen et al. [2004]) 本 稿 では 機 関 投 資 家 の 取 引 コストを 実 証 データ に 基 づいて 検 証 を 行 った その 結 果 平 均 取 引 コ ストが 近 年 では 約 7bpsにまで 低 下 していること が 明 らかとなった( 図 表 4) この 水 準 を 米 国 に おける 取 引 コストと 比 較 するとどうであろうか 米 国 の 運 用 会 社 における 実 証 検 証 では 取 引 コス トが6~7bps 程 度 (10 ~ 11 年 )であることが 報 告 されている(Frazzini et al.[2012]) ( 注 14) このケースと 比 較 すれば 日 本 における 取 引 コス トは 米 国 と 同 水 準 であるといってよいであろう 特 に 12 年 以 降 に 取 引 コストの 低 下 が 進 んでい ることが 明 らかとなったが その 背 景 には 三 つの 要 因 があると 考 えられる 第 一 に 市 場 参 加 者 の 執 行 ベンチマークの 変 化 である( 野 村 総 合 研 究 所 [2014]) 日 本 市 場 で は 伝 統 的 にVWAP( 出 来 高 加 重 平 均 価 格 )がベン チマークとして 用 いられてきたが 近 年 では 欧 米 で 主 流 となっているIS 法 を 採 用 する 機 関 投 資 家 が 徐 々に 増 えてきている その 結 果 意 思 決 定 から 取 引 完 了 までの 時 間 を 短 くしようとする 誘 因 が 働 きやすくなり 本 稿 で 採 用 したIS 法 に 基 づく 取 引 コスト が 低 下 する 傾 向 となる 第 二 に 電 子 取 引 利 用 の 増 加 が 挙 げられる 近 年 証 券 会 社 やベンダーから 提 供 される 電 子 取 引 (ア ルゴリズム 取 引 DMA 取 引 等 )は 急 速 な 発 展 を 遂 げ 取 引 参 加 者 の 利 用 も 年 々 増 加 してきた そ れに 伴 い 手 数 料 が 低 い 電 子 取 引 による 注 文 シェ アが 増 加 し 全 体 として 取 引 コストの 低 下 に 結 び ( 注 14) 他 の 報 告 例 としてはITG 社 を 経 由 した08 年 第 1 四 半 期 の 米 国 取 引 データを 対 象 とした 分 析 報 告 がある (Borkovec and Heidle[2010]) そこでは 取 引 コストが 約 45bps( 高 流 動 性 銘 柄 を 対 象 とし 手 数 料 ス プレッド インパクト タイミング コストを 含 む 金 額 加 重 平 均 )と 報 告 されている 日 本 証 券 アナリスト 協 会 2015 87

付 いていると 考 えられる 第 三 にPTSやダークプールに 代 表 される 代 替 市 場 の 普 及 が 挙 げられる( 杉 原 [2010]) 例 えば 比 較 的 透 明 性 の 高 いPTSを 例 として 挙 げると かにした 点 で 有 意 義 であると 考 えられる 日 本 に おける 取 引 コストの 実 証 研 究 が 進 み 市 場 のさら なる 透 明 性 の 向 上 と 取 引 コストの 低 下 に 結 び 付 くことを 期 待 したい PTSの 売 買 代 金 シェアは11 年 ごろまでは5% 前 後 であったが その 後 は 徐 々に 拡 大 傾 向 にある 特 に12 年 10 月 に 施 行 されたPTSに 関 する 規 制 緩 和 本 稿 の 内 容 や 意 見 は 執 筆 者 個 人 に 属 し 所 属 会 社 の 見 解 を 示 すものではない (いわゆるTOB 5% 基 準 の 適 用 除 外 )を 境 にして 運 用 会 社 によるPTSの 利 用 が 積 極 的 に 進 んでき た 特 に 運 用 会 社 によって 既 に 積 極 的 に 利 用 さ れていたダークプールも 対 象 とした 最 適 注 文 回 送 が 可 能 となったことは 取 引 コスト 削 減 に 大 きな 影 響 を 与 えたと 考 えられる PTSを 利 用 することの 利 点 は (1) 東 証 よりも 細 かい 呼 値 が 採 用 され スプレッド コストを 低 下 させることが 可 能 であること (2) 代 替 市 場 として 取 引 機 会 そのものが 拡 大 すること が 挙 げ られる したがって 運 用 会 社 によるPTSの 利 用 拡 大 は 取 引 コストの 低 減 に 寄 与 してきたと 考 えら れる 以 上 のような 要 因 には Arrowheadの 稼 働 に 対 応 して 証 券 会 社 および 運 用 会 社 におけるシステ ム 対 応 が 急 速 に 進 展 してきた 状 況 が 背 景 となって いる 各 要 因 が 取 引 コストに 与 えた 影 響 について 調 査 することは 本 稿 の 検 証 範 囲 を 超 えるが 興 味 深 い 研 究 課 題 として 残 されている さらには 流 動 性 指 標 を 用 いて 推 計 した 市 場 平 均 取 引 コスト と 約 定 データを 用 いた 取 引 コストの 相 違 や 運 用 スタイルによる 取 引 コストの 違 い 取 引 手 法 ( 注 文 分 割 DMA アルゴリズム 取 引 等 )とコスト の 関 係 等 は 取 引 コストをめぐる 実 証 研 究 として 興 味 深 いテーマと 考 えられる このように 取 引 コストをめぐっては 多 くの 研 究 課 題 が 残 されているが 本 稿 における 実 証 結 果 は 日 本 の 株 式 市 場 における 取 引 コストの 実 態 を 明 ら 参 考 文 献 新 井 亮 一 [2012] アローヘッド 導 入 による 株 式 市 場 の 流 動 性 と 取 引 コストの 変 化 - 機 関 投 資 家 の 視 点 からの 分 析 - 証 券 アナリストジャーナル 9 月 号. 宇 野 淳 大 村 敬 一 [1998] マーケットマイクロスト ラクチャーによる 実 証 的 分 析 ( 第 1 回 ) 証 券 ア ナリストジャーナル 9 月 号. 宇 野 淳 柴 田 舞 [2012] 取 引 の 高 速 化 と 流 動 性 への インパクト: 東 証 アローヘッドのケース 現 代 フ ァイナンス No.31 p.87. 太 田 浩 司 [2013] パネル データ 分 析 におけるクラ スター 頑 健 手 法 の 使 用 について 証 券 アナリスト ジャーナル 11 月 号. 太 田 亘 竹 原 均 宇 野 淳 [2011] 株 式 市 場 の 流 動 性 と 投 資 家 行 動 マーケット マイクロストラクチ ャー 理 論 と 実 証 中 央 経 済 社. 黒 木 文 明 [2001] アクティブ 運 用 の 規 模 とα 証 券 アナリストジャーナル 11 月 号. 杉 原 慶 彦 [2010] 取 引 コストの 削 減 を 巡 る 市 場 参 加 者 の 取 組 み:アルゴリズム 取 引 と 代 替 市 場 の 活 用 日 本 銀 行 金 融 研 究 所 /ディスカッション ペーパー シリーズ 2010-J-26. [2012] 執 行 戦 略 と 取 引 コストに 関 する 研 究 の 進 展 金 融 研 究 第 31 巻 第 1 号. 高 阪 勇 毅 [2014] 株 式 分 割 と 市 場 流 動 性 取 引 活 動 スプレッド 株 主 構 成 への 効 果 早 稲 田 ワーキ ングペーパー WIF-14-002. 田 中 隆 博 [2001] マーケット インパクトに 関 する 実 証 研 究 ~ 主 体 レベルデータの 再 構 成 による 狭 義 のマーケット インパクトの 計 測 ~ 日 本 ファイ ナンス 学 会 第 9 回 大 会 予 稿 集. 野 村 総 合 研 究 所 [2014] 運 用 会 社 から 見 た 証 券 会 社 の 評 価 金 融 ITフォーカス 特 別 号 4 月. 渡 邉 一 男 [2003] 国 内 株 式 の 最 適 分 割 執 行 の 分 析 と 取 引 コスト 評 価 への 適 用 平 成 14 年 度 ポートフォ 88 証 券 アナリストジャーナル 2015. 8

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