論叢本文



Similar documents
私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等


1. 前 払 式 支 払 手 段 サーバ 型 の 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 利 用 者 保 護 等 発 行 者 があらかじめ 利 用 者 から 資 金 を 受 け 取 り 財 サービスを 受 ける 際 の 支 払 手 段 として 前 払 式 支 払 手 段 が 発 行 される 場 合

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

ような 厚 生 年 金 基 金 関 係 の 法 改 正 がなされており (2)については 平 成 16 年 10 月 1 日 から (1) 及 び(3)については 平 成 17 年 4 月 1 日 から 施 行 されている (1) 免 除 保 険 料 率 の 凍 結 解 除 ( 母 体 企 業 (

弁護士報酬規定(抜粋)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

【労働保険事務組合事務処理規約】

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

定款


連結計算書

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

Microsoft Word )40期決算公開用.doc

Microsoft PowerPoint - 基金制度

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

疑わしい取引の参考事例

PowerPoint プレゼンテーション

(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

定款  変更

第316回取締役会議案


< F2D C93FA967B91E5906B8DD082CC94ED8DD0>

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

答申第585号

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補 助 金 の 額 は 第 5 条 第 2 項 の 規 定 による 無 線 LAN 機 器 の 設 置 箇 所 数 に 1 万 5 千 円 を 掛 けた 金 額 と 第 5 条 第 3 項 に 規 定 する 補 助 対 象 経 費 の2 分 の1のいずれか 低

●電力自由化推進法案

個人向け国債の事務取扱いに関する細則

財政再計算結果_色変更.indd

2. 前 項 の 規 定 にかかわらず 証 券 会 社 等 又 は 機 構 を 通 じた 届 出 の 対 象 となっていない 事 項 については 当 会 社 の 定 める 書 式 により 株 主 名 簿 管 理 人 宛 に 届 け 出 るものとす る ( 法 人 株 主 等 の 代 表 者 ) 第

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt


Microsoft Word 第1章 定款.doc


 

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

Taro-事務処理要綱250820

Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

(12) 配当所得の収入金額の収入すべき時期

クレジットカード納付導入に伴う指定代理納付書の選定に係る実施要領

Taro-08国立大学法人宮崎大学授業

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

Microsoft Word - H20中小会計指針新旧対照表 doc

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

1_2013BS(0414)

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

「経営者保証に関するガイドライン」に基づく保証債務の整理に係る課税関係の整理

Taro-契約条項(全部)

教育資金管理約款

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

第1章 簿記の一巡

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

23信託の会計処理に関する実務上の取扱い

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

< E95FB8CF689638AE98BC689FC90B390A CC8CA992BC82B582C982C282A282C E90E096BE8E9E8E9197BF2E786477>

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

目 次 1 報 酬 給 与 額 事 例 1 報 酬 給 与 額 に 含 める 賞 与 の 金 額 が 誤 っていた 事 例 1 事 例 2 役 員 退 職 金 ( 役 員 退 職 慰 労 金 )を 報 酬 給 与 額 として 申 告 して いなかった 事 例 1 事 例 3 持 株 奨 励 金 を

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

Microsoft Word 実施要綱⑦H24.doc

< DD8ED891CE8FC6955C2E786C73>

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

中 間 利 払 日 とし 預 入 日 または 前 回 の 中 間 利 払 日 からその 中 間 利 払 日 の 前 日 までの 日 数 および 通 帳 または 証 書 記 載 の 中 間 利 払 利 率 によって 計 算 した 中 間 利 払 額 ( 以 下 中 間 払 利 息 といいます )を 利

<4D F736F F F696E74202D2082C882E982D982C DD8ED88EE688F882CC82B582AD82DD C668DDA9770>

Microsoft Word - 答申第143号.doc

平成22年度

Q7 従 業 員 に 対 する 現 物 給 付 は 報 酬 給 与 額 に 含 まれます A7 法 人 が 役 員 又 は 使 用 人 のために 給 付 する 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 利 益 (いわ ゆる 現 物 給 与 )については 所 得 税 において 給

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

若 しくは 利 益 の 配 当 又 はいわゆる 中 間 配 当 ( 資 本 剰 余 金 の 額 の 減 少 に 伴 うものを 除 きます 以 下 同 じです )を した 場 合 には その 積 立 金 の 取 崩 額 を 減 2 に 記 載 す るとともに 繰 越 損 益 金 26 の 増 3 の

二 資本金の管理

の 基 礎 の 欄 にも 記 載 します ア 法 人 税 の 中 間 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場 合 は 中 間 イ 法 人 税 の 確 定 申 告 書 ( 退 職 年 金 等 積 立 金 に 係 るものを 除 きます ) 又 は 連 結 確 定 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場

積 み 立 てた 剰 余 金 の 配 当 に 係 る 利 益 準 備 金 の 額 は 利 益 準 備 金 1 の 増 3 に 記 載 します ⑸ 平 成 22 年 10 月 1 日 以 後 に 適 格 合 併 に 該 当 しない 合 併 により 完 全 支 配 関 係 がある 被 合 併 法 人 か

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

untitled

第一部【証券情報】

スライド 1

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

国 税 クレジットカード 納 付 の 創 設 国 税 のクレジットカード 納 付 については マイナンバー 制 度 の 活 用 による 年 金 保 険 料 税 に 係 る 利 便 性 向 上 に 関 するアクションプログラム( 報 告 書 ) においてその 導 入 の 方 向 性 が 示 されている

1.ポイントについての 会 計 処 理 例 (1) 会 計 基 準 等 の 状 況 我 が 国 においては ポイントについて 個 別 の 会 計 処 理 の 基 準 等 は 存 在 しておらず ポイント 発 行 企 業 は 企 業 会 計 原 則 等 に 則 り 会 計 処 理 をしている 具 体

Transcription:

前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 収 益 の 帰 属 の 時 期 渡 辺 貞 彦 税 務 大 学 校 研 究 部 主 任 教 授

2 要 約 1 研 究 の 目 的 ( 問 題 の 所 在 ) 商 品 券 各 種 プリペイドカード Edy nanaco BitCash WebMoney などは 法 人 が 商 品 等 の 引 渡 し 又 は 役 務 の 提 供 を 約 して 発 行 する 証 票 等 又 は 符 号 等 で あり 規 制 法 である 資 金 決 済 に 関 する 法 律 において 前 払 式 支 払 手 段 と 定 義 されている 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 法 人 は 前 払 式 支 払 手 段 を 発 行 した 段 階 で 発 行 対 価 の 全 額 を 受 取 り 一 般 に 発 行 対 価 の 払 戻 しも 予 定 されていない ことから 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 収 益 の 帰 属 の 時 期 などについては 基 本 的 に 法 人 税 基 本 通 達 2-1-39 及 び 同 2-2-11 など( 以 下 本 件 通 達 )の 定 めるところにより 収 益 と 費 用 の 計 上 がなされているようである 本 件 通 達 の 収 益 計 上 方 法 は 前 払 式 支 払 手 段 を 発 行 した 日 の 属 する 事 業 年 度 の 益 金 の 額 に 算 入 する 方 法 ( 以 下 本 則 方 式 )を 原 則 としているが 前 払 式 支 払 手 段 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 すること( 以 下 年 度 区 分 管 理 ) を 要 件 に 例 外 的 に 足 掛 け4 事 業 年 度 までは 預 り 金 処 理 を 認 め 5 事 業 年 度 末 に 残 りのすべてを 収 益 に 計 上 する 方 法 ( 以 下 ただし 書 方 式 )も 認 めて いる これは 本 件 通 達 が 定 められた 昭 和 55 年 当 時 百 貨 店 などの 商 品 券 が 発 行 から5 年 間 でほぼすべてが 引 き 換 えられていたことによるが 近 年 は 引 換 えが 終 るまでに 10 年 を 越 える 期 間 を 要 しており このような 状 況 を 踏 ま え 国 税 庁 は 本 件 通 達 が 利 用 実 態 に 即 した 取 扱 いとなるよう 実 務 上 の 運 用 解 釈 を 示 している また Edy nanaco など 経 済 価 値 の 積 増 しが 可 能 な 形 態 ( 以 下 チャージ 式 )や BitCash WebMoney など 利 用 履 歴 残 高 など を 発 行 法 人 のサーバーのみで 管 理 する 形 態 ( 以 下 サーバー 管 理 型 )など 本 件 通 達 創 設 時 には 存 在 しなかった 新 たな 形 態 の 前 払 式 支 払 手 段 が 生 まれて いる 本 稿 は 引 換 えの 実 態 及 び 新 たな 発 行 形 態 などに 照 らし 本 件 通 達 が 抱 え る 諸 問 題 を 整 理 し その 解 決 策 及 び 今 後 見 込 まれる 問 題 について 検 討 したも のである

3 2 収 益 認 識 基 準 と 本 件 通 達 の 評 価 企 業 会 計 上 の 収 益 認 識 基 準 は 一 般 に 販 売 基 準 に 代 表 される 実 現 主 義 の 考 え 方 で 処 理 することとしており 販 売 形 態 や 販 売 する 財 の 種 類 などによって は 特 殊 な 処 理 方 法 も 認 められている しかしながら 企 業 会 計 原 則 などには 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 個 別 の 処 理 基 準 はみあたらない 一 方 租 税 会 計 に おいては 租 税 負 担 の 適 正 公 平 を 期 すため 実 現 主 義 会 計 を 基 本 としつつ も 財 貨 の 移 転 や 役 務 提 供 などによって 債 権 が 確 定 した 時 に 収 益 が 確 定 する とみる 権 利 確 定 基 準 や 法 人 の 管 理 支 配 が 可 能 となった 段 階 で 収 益 を 認 識 する 管 理 支 配 基 準 を 採 用 しており 前 払 式 支 払 手 段 に 関 しては 本 件 通 達 による 収 益 計 上 基 準 の 定 めがある 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 は 費 用 収 益 の 額 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められ る 会 計 処 理 の 基 準 ( 以 下 公 正 妥 当 処 理 基 準 )に 従 って 計 算 する 旨 規 定 して いるが ここにいう 公 正 妥 当 処 理 基 準 とは 客 観 的 な 規 範 性 をもつ 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 という 意 味 であり 明 文 の 基 準 を 予 定 している わけではないとされ 同 項 創 設 時 の 議 論 として 特 殊 な 会 計 処 理 が 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 則 っているか 否 かは 裁 判 例 を 含 めた 事 例 の 積 み 重 ねによって 明 らかにされていくべきものとされていた 裁 判 例 及 び 学 説 の 多 くは 将 来 において 最 終 的 に 引 換 えが 見 込 まれない 前 払 式 支 払 手 段 に 係 る 収 益 ( 以 下 退 蔵 収 益 )が 必 ず 発 生 することや 発 行 法 人 が 事 実 上 発 行 段 階 で 確 定 的 な 収 益 を 享 受 することなどを 理 由 に 本 件 通 達 の 取 扱 いを 肯 定 的 に 評 価 している 3 引 換 実 態 への 対 応 (1) 収 益 計 上 期 間 の 長 期 化 前 払 式 支 払 手 段 の 商 品 等 への 引 換 えが 長 期 化 している 実 態 に 対 応 するた め 収 益 計 上 の 期 間 を 今 よりも 長 期 間 とする 方 法 が 考 えられる しかしながら 仮 に ただし 書 方 式 において 10 年 間 に 渡 って 収 益 計 上 を 認 めるとすると 発 行 年 度 で 全 額 収 益 計 上 を 行 う 本 則 方 式 に 比 し 課 税 の

4 公 平 が 保 たれない 恐 れがある また 発 行 法 人 の 経 理 処 理 が 適 切 に 行 われ ず 課 税 所 得 額 が 誤 っていた 場 合 国 税 通 則 法 第 70 条 第 1 項 の 更 正 等 の 期 間 制 限 の 規 定 から 課 税 所 得 を 是 正 できない 事 態 を 招 きかねない さらに 発 行 後 5 年 を 経 過 した 前 払 式 支 払 手 段 の 引 換 義 務 は 時 効 ( 商 522)によ って 消 滅 している 可 能 性 があり 引 換 義 務 の 消 滅 した 前 払 式 支 払 手 段 に 係 る 収 益 を 課 税 対 象 とせず 課 税 の 繰 延 べを 認 める 結 果 となる よって 商 品 等 への 引 換 えが 長 期 化 している 実 態 があるとしても 収 益 計 上 を 行 う 期 間 は 従 来 どおり 発 行 から 足 掛 け5 年 内 とすべきと 考 える (2) 原 価 計 上 期 間 の 長 期 化 長 期 化 している 引 換 実 態 へのもう 一 つの 対 応 策 として 見 積 原 価 の 損 金 計 上 期 間 を 引 換 実 態 に 合 わせ 長 期 化 する 方 法 ( 私 案 )が 考 えられる 前 払 式 支 払 手 段 は 収 益 を 発 行 段 階 で 確 定 的 に 認 識 することができる 一 方 で 費 用 は 発 行 後 に 商 品 等 への 引 換 えを 通 じて 認 識 されるという 特 性 を 持 っている 前 払 式 支 払 手 段 の 引 換 えに 係 る 費 用 は 商 品 等 へ 引 き 換 え られることによって 売 上 原 価 として 認 識 されるが 商 品 等 への 引 換 えは すべての 前 払 式 支 払 手 段 において 行 われる 訳 ではなく 引 き 換 えが 行 われ ないことから 費 用 が 発 生 しないまま 収 益 のみが 認 識 されるものも 一 定 程 度 必 ず 存 在 する このような 特 性 を 持 つ 前 払 式 支 払 手 段 の 商 品 等 への 引 換 えが 5 年 を 越 えて 長 期 化 している 実 態 があるにも 係 わらず 前 述 のとお り 収 益 のすべてを5 年 以 内 に 計 上 することを 考 えると 売 上 原 価 の 計 上 は 可 能 な 限 り 引 換 えの 実 態 に 即 した 取 扱 いとすべきと 考 える 私 案 の 取 扱 いは 収 益 を5 年 目 までにすべて 計 上 するものの その 後 に 発 生 が 見 込 まれる 売 上 原 価 の 見 積 計 上 を5 年 目 以 降 も 認 めたものであり 商 品 等 への 引 換 えによってはじめて 原 価 が 認 識 されるという 前 払 式 支 払 手 段 の 特 性 と 引 換 えの 実 態 に 沿 った 取 扱 いであると 考 える この 場 合 5 年 目 以 降 も 引 換 原 価 の 見 積 計 上 を 認 めるとしても 一 般 債 権 の 消 滅 時 効 ( 民 167:10 年 )の 規 定 及 び 引 換 えが 10 年 間 程 度 でほぼ 終 了 している 実 態 に 鑑 みると この 取 扱 いをエンドレスで 認 めることは 適 当 で

5 はなく 見 積 計 上 は 足 掛 け9 年 目 末 までとし 10 年 目 にはすべての 処 理 を 終 了 すべきと 考 える なお 法 人 税 法 第 22 条 第 3 項 第 2 号 括 弧 書 の 償 却 費 以 外 の 費 用 で 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 までに 債 務 の 確 定 しないもの は 費 用 として 計 上 できな い 旨 の 規 定 は 別 段 の 定 めがある 場 合 を 除 き 費 用 の 見 越 しや 引 当 金 への 繰 入 損 の 計 上 を 認 めない 趣 旨 であると 解 されている しかしながら ここ にいう 債 務 の 確 定 とは 債 務 の 発 生 が 確 実 であり かつその 金 額 が 正 確 に 確 認 できることを 意 味 すると 解 すべきであり このような 要 件 が 満 た される 限 り 売 上 原 価 を 含 めた 費 用 の 見 越 しは 許 されると 考 えられている よって 前 払 式 支 払 手 段 の 引 換 えに 係 る 売 上 原 価 の 見 積 計 上 は 過 去 の 引 換 実 績 から 見 て 発 生 が 確 実 であり かつ 金 額 が 正 確 に 確 認 できるもので ある 限 り 認 められると 考 えられる 4 新 たな 発 行 形 態 への 対 応 サーバー 管 理 型 を 含 めたチャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 収 益 の 計 上 方 法 は 本 件 通 達 をそのまま 適 用 すべきであろうか ここにいうチャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 とは 経 済 価 値 の 積 増 しが 可 能 で その 発 行 者 と 商 品 等 の 提 供 者 が 異 なる 第 三 者 型 の 前 払 式 支 払 手 段 ( 以 下 電 子 マネー)である 従 来 型 の 前 払 式 支 払 手 段 は 商 品 等 の 販 売 者 やその 業 界 団 体 などが 発 行 するものが 主 で 第 三 者 型 であっても 商 品 等 の 販 売 ツールと しての 性 格 が 強 かった これに 対 し 電 子 マネーは 1 経 済 価 値 をチャージ する 際 に 経 済 価 値 相 当 の 金 員 全 額 を 受 取 る 2チャージした 経 済 価 値 で 商 品 等 に 引 換 えができる 3 経 済 価 値 は 原 則 払 戻 し 禁 止 である という 前 払 式 支 払 手 段 の 特 徴 的 性 格 を 持 っていると 同 時 に 4 提 携 する 商 品 等 の 提 供 者 が 多 数 かつ 多 業 種 に 渡 っている 5 発 行 額 に 比 し 滞 留 するストック 部 分 が 少 ない 6チャージ 限 度 額 が5 万 円 程 度 と 少 額 である 7 利 用 期 限 の 定 めのないもの が 多 く あっても5 年 以 上 と 長 い 8 経 済 価 値 のチャージ 時 及 び 決 済 時 の 利 便 性 に 優 れているという 特 徴 も 併 せ 持 っていることから 販 売 ツールという

6 よりも 小 口 決 済 手 段 としての 性 格 がより 強 いということができる よって 電 子 マネーの 発 行 者 は 商 品 等 の 販 売 者 というよりは 小 口 決 済 手 段 の 提 供 者 としての 性 格 が 強 いといえる とはいえ 電 子 マネーの 発 行 に 係 る 収 益 もチャージした 段 階 で 確 定 的 な 収 益 となり 一 定 程 度 の 退 蔵 収 益 が 確 実 に 発 生 するなど 電 子 マネーは 前 払 式 支 払 手 段 としての 基 本 的 な 特 徴 を 保 持 していることから その 発 行 に 係 る 収 益 の 計 上 方 法 などは 本 件 通 達 の 基 本 的 な 考 え 方 を 踏 襲 しつつ 新 たな 視 点 から 検 討 した 方 法 で 処 理 すべきと 考 える 新 たな 視 点 の 第 一 は 商 品 等 への 引 換 えに 係 る 収 益 の 計 上 についてである 電 子 マネーの 発 行 法 人 は 一 般 に 顧 客 ごとのチャージ 履 歴 引 換 履 歴 及 び 残 高 などの 情 報 を IT 技 術 を 駆 使 して 管 理 しているのが 実 態 であると 考 えら れることから 一 般 に 年 度 区 分 管 理 を 行 える 管 理 体 制 を 持 っていると 言 え る よって 同 発 行 法 人 は 預 り 金 処 理 が 可 能 なただし 書 方 式 を 採 用 できる 環 境 にあるといえる また 同 発 行 法 人 は 決 済 手 段 の 提 供 者 としての 性 格 が 強 いことから チャージされた 経 済 価 値 は 決 済 用 資 金 を 単 に 預 っている に 過 ぎないと 考 えられる そうすると 電 子 マネーは チャージ 時 は 預 り 金 として 処 理 し 商 品 等 への 引 換 えがなされた 時 は 預 り 金 処 理 した 経 済 価 値 を 減 額 するとともに 手 数 料 収 入 などと 同 様 に 引 換 えによって 得 られる 利 益 額 のみを 収 益 に 計 上 する 取 扱 いとすべきである そして 電 子 マネーの 引 換 えに 係 る 収 益 も チャージ 時 から 足 掛 け5 年 以 内 に 計 上 を 終 了 すべきと 考 える なお 複 数 回 に 渡 りチャージされた 経 済 価 値 が 一 つの IC 等 に 残 存 している 例 を 想 定 すると 経 済 価 値 の 利 用 順 序 をあらかじめ 定 めておく 必 要 があり その 利 用 順 序 は 利 用 期 限 の 定 めのある 前 払 式 支 払 手 段 を 考 えると 古 いも のから 先 に 利 用 されるとすべきであろう 第 二 は 退 蔵 収 益 の 計 上 についてである 退 蔵 収 益 は 電 子 マネーを 発 行 する 場 合 においても 一 定 程 度 確 実 に 発 生 すると 考 えられる 上 記 のとおり 商 品 等 に 引 き 換 える 際 の 処 理 を 預 り 金 処 理 と 手 数 料 収 入 処 理 とに 区 分 して

7 行 うことを 前 提 とした 場 合 退 蔵 収 益 は 発 行 法 人 が 預 っている 経 済 価 値 が 商 品 等 と 引 き 換 えられることなく 滞 留 するものであるから 滞 留 する 預 り 金 によって 構 成 されることとなる 法 人 税 法 は 収 益 の 計 上 に 際 して 権 利 確 定 基 準 及 び 支 配 管 理 基 準 を 採 る 立 場 であることを 考 えると 電 子 マネーに 係 る 退 蔵 収 益 は 本 則 方 式 の 考 え 方 と 同 様 に チャージした 日 の 属 する 事 業 年 度 の 益 金 の 額 に 算 入 すべきと 考 える なお チャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 の 退 蔵 収 益 額 は チャージ 額 に 発 行 法 人 における 退 蔵 率 を 乗 じて 求 めるべきと 考 えるが この 退 蔵 率 は 発 行 法 人 に おける 過 去 の 退 蔵 状 況 から 求 めることとなり 過 去 の 退 蔵 状 況 を 把 握 するに は 年 度 区 分 管 理 を 行 いチャージ 年 度 ごとの 未 引 換 残 高 を 把 握 する 必 要 があ る 電 子 マネーの 発 行 者 は 一 般 に 年 度 区 分 管 理 が 可 能 な 管 理 体 制 を 持 って いると 考 えられるから 自 社 の 退 蔵 実 績 は 確 実 に 把 握 できる 状 況 にあり 退 蔵 率 の 算 出 には 特 に 問 題 はないものと 考 える また 収 益 計 上 は 足 掛 け5 年 目 までにすべて 終 了 すべきと 考 えるが 実 際 の 退 蔵 状 況 と 見 込 みとの 違 いなどから 5 年 目 末 においては 預 り 金 処 理 し た 経 済 価 値 が 借 残 か 貸 残 かは 別 として 零 とならないことが 想 定 される この 部 分 については 5 年 目 末 において 前 期 損 益 修 正 項 目 として 雑 益 又 は 雑 損 処 理 をすることとなる 第 三 は 費 用 の 計 上 についてである 上 記 のとおり 電 子 マネーの 引 換 え に 係 る 収 益 は 手 数 料 収 入 などと 同 様 に 利 益 額 のみを 足 掛 け5 年 目 までに 計 上 し 退 蔵 収 益 は チャージした 事 業 年 度 の 益 金 の 額 に 算 入 すべきと 考 え る この 結 果 従 来 型 前 払 式 支 払 手 段 で 発 生 する 売 上 原 価 という 費 用 項 目 は 基 本 的 に 発 生 しないこととなる しかしながら 時 効 の 援 用 を 行 わない 商 習 慣 や 利 用 期 限 が 長 期 であることに 鑑 みると 商 品 等 への 引 換 えが6 年 目 以 降 に 発 生 することも 想 定 される この 場 合 費 用 については 発 行 法 人 におい て 既 に 退 蔵 収 益 や 雑 益 及 び 雑 損 などとして 処 理 していることを 考 えると

8 発 行 法 人 において 負 担 すべきこととなる この 場 合 6 年 目 以 降 の 引 換 えが それまでの 引 換 実 態 からみてイレギュ ラーなものであれば 前 期 損 益 修 正 損 として 処 理 すべきであり また 引 換 実 態 からみて 当 然 予 想 された 場 合 には 上 記 の 原 価 計 上 期 間 の 長 期 化 で 示 したと 同 様 に 見 積 原 価 の 損 金 処 理 をすることとなる 5 今 後 の 問 題 我 が 国 の 会 計 基 準 と 国 際 基 準 との 同 化 を 目 指 して 平 成 19 年 8 月 企 業 会 計 基 準 委 員 会 (ASBJ)と 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (IASB)との 間 で 平 成 23 年 6 月 を 期 限 に 国 際 財 務 報 告 基 準 (IFRS)にコンパージェンス( 収 斂 )する 東 京 合 意 が 取 り 交 わされている IFRSs の 一 つである 国 際 会 計 基 準 (IAS)は 収 益 認 識 の 要 件 の 一 つとして 物 品 の 所 有 に 伴 う 重 要 なリスク 及 び 経 済 価 値 が 買 手 に 移 転 したこと ( 検 収 基 準 )を 上 げている これに 対 し 法 人 税 基 本 通 達 2-1-1 及 び 同 2-1 -2は 棚 卸 資 産 の 販 売 による 収 益 は 引 渡 しがあった 日 の 属 する 事 業 年 度 の 収 益 とし 引 渡 しがあった 日 の 判 定 基 準 として 出 荷 基 準 検 収 基 準 及 び 使 用 収 益 日 基 準 などの 多 様 な 基 準 を 認 めている 前 払 式 支 払 手 段 は 発 行 段 階 で 確 定 的 な 収 益 となる 特 殊 な 商 品 であること から 上 記 のような 一 般 的 な 棚 卸 資 産 を 対 象 とした IFRSs の 取 扱 いが すぐ に 前 払 式 支 払 手 段 に 適 用 されるとは 考 えられず よって IFRS への 収 斂 が 実 現 したとしても 検 収 基 準 に 変 更 することを 余 儀 なくされるとは 考 えにくい しかしながら IFRS への 収 斂 によって 法 人 税 法 第 22 条 4 項 の 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 影 響 を 与 えることは 想 像 に 難 くなく 今 後 の 動 向 に 注 意 を 払 う 必 要 がある 6 結 論 前 払 式 支 払 手 段 の 引 換 えの 実 態 に 対 応 する 方 策 として 収 益 の 計 上 時 期 を 延 長 する 方 策 が 考 えられる しかし 発 行 年 度 で 全 額 を 収 益 計 上 する 本 則 方

9 式 との 課 税 の 公 平 の 観 点 などから 収 益 計 上 は 従 来 どおり 発 行 から5 年 内 になされるべきと 考 える もう 一 つの 対 応 策 である 引 換 費 用 の 見 積 計 上 に ついては 5 年 以 内 の 収 益 計 上 を 前 提 に 10 年 間 への 延 長 を 認 めるべきと 考 える 次 に 電 子 マネーは その 性 格 が 従 来 から 存 する 前 払 式 支 払 手 段 と 大 きく 異 なり その 発 行 法 人 を 小 口 決 済 手 段 の 提 供 者 と 同 様 に 捉 えることがで きることから 収 益 と 費 用 の 計 上 方 法 は 従 来 の 考 え 方 を 踏 襲 しつつ 新 た な 考 え 方 で 処 理 する 必 要 があると 考 える さらに 近 い 将 来 我 が 国 の 会 計 基 準 が IFRS へ 収 斂 することを 考 えると 前 払 式 支 払 手 段 の 取 扱 いについても 今 後 の 国 際 会 計 基 準 の 動 向 を 注 視 していく 必 要 があると 考 える

10 目 次 はじめに 13 第 1 章 前 払 式 支 払 手 段 の 現 状 16 第 1 節 発 行 と 利 用 の 実 態 16 第 2 節 前 払 式 支 払 手 段 とは 18 1 法 令 上 の 定 め 18 2 法 的 性 格 20 3 使 用 期 限 と 消 滅 時 効 22 第 3 節 自 家 発 行 型 と 第 三 者 発 行 型 23 第 4 節 発 行 及 び 利 用 の 状 況 23 1 発 行 者 数 及 び 発 行 額 の 推 移 23 2 電 子 マネーの 発 行 枚 数 及 び 決 済 件 数 等 24 3 前 払 式 証 票 の 使 用 期 間 ( 使 用 期 限 ) 26 第 2 章 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 会 計 処 理 の 現 状 28 第 1 節 法 人 税 基 本 通 達 の 取 扱 い 28 1 本 則 方 式 28 2 ただし 書 方 式 30 第 2 節 収 益 計 上 に 係 る 会 計 処 理 の 実 態 31 第 3 節 裁 判 例 32 1 争 いのない 事 実 32 2 争 点 33 3 判 決 の 主 旨 ( 抜 粋 ) 35 第 3 章 前 払 式 支 払 手 段 を 取 り 巻 く 諸 問 題 38 第 1 節 商 品 等 との 引 換 えの 実 態 38 第 2 節 引 当 金 計 上 の 厳 格 化 適 正 化 を 求 める 動 き 40 第 3 節 課 税 実 務 上 の 取 扱 い 41 第 4 節 規 制 法 をめぐる 問 題 43

11 1 前 払 式 証 票 規 制 法 の 諸 問 題 43 2 資 金 決 済 法 の 成 立 44 3 検 討 課 題 47 第 4 章 収 益 の 帰 属 時 期 に 関 する 考 え 方 の 整 理 48 第 1 節 法 人 税 法 上 の 収 益 費 用 の 認 識 基 準 48 1 法 人 税 法 の 規 定 48 2 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 の 創 設 経 緯 50 3 法 人 税 法 第 22 条 4 項 の 趣 旨 51 4 会 計 の 三 重 構 造 52 第 2 節 本 件 通 達 の 評 価 59 1 問 題 点 と 評 価 60 2 検 討 61 第 3 節 諸 外 国 の 例 63 第 5 章 帰 属 時 期 に 関 する 一 考 察 64 第 1 節 問 題 点 の 整 理 64 第 2 節 収 益 の 帰 属 時 期 65 1 本 則 方 式 65 2 ただし 書 方 式 66 3 収 益 計 上 期 間 の 長 期 化 への 検 討 67 第 3 節 費 用 の 帰 属 時 期 70 1 将 来 発 生 原 価 の 見 越 し 計 上 の 必 要 性 70 2 私 案 71 3 私 案 の 検 討 73 第 4 節 新 たな 発 行 形 態 への 対 応 76 1 新 たな 発 行 形 態 の 検 討 76 2 電 子 マネー 型 前 払 式 支 払 手 段 の 特 徴 と 性 格 77 3 電 子 マネー 型 前 払 式 支 払 手 段 の 収 益 費 用 の 計 上 方 法 の 考 え 方 79 4 収 益 費 用 の 計 上 方 法 に 係 る 新 たな 視 点 79

12 第 5 節 新 規 制 法 の 影 響 83 1 払 戻 し 83 2 サーバー 管 理 型 サービス 84 3 資 金 移 動 業 84 第 6 節 今 後 の 問 題 85 1 国 際 財 務 報 告 基 準 (IFRS)へのコンパージェンス( 収 斂 ) 85 2 IFRSs の 収 益 認 識 基 準 86 3 今 後 の 問 題 88 結 びに 代 えて 90 参 考 資 料 1 91 参 考 資 料 2 97 参 考 資 料 3 98

13 はじめに 一 般 に 商 品 券 ギフト 券 プリペイドカード 等 と 呼 ばれるものは 法 人 が 商 品 の 引 渡 し 又 はサービスの 提 供 を 約 して 発 行 したものであり あらかじめ 購 入 者 から 現 金 を 受 け 取 った 際 に 発 行 するものであることから 前 払 式 支 払 手 段 と いわれているものである 近 年 の 情 報 通 信 技 術 の 革 新 やインターネットの 普 及 等 により 前 払 式 支 払 手 段 の 中 には 電 子 マネーと 呼 ばれる 経 済 的 価 値 の 積 増 しが 可 能 なチャージ 式 が 登 場 しており また サーバー 管 理 型 サービスと 呼 ばれるまったく 新 たなサービ スも 出 現 している 従 来 から 利 用 されている 商 品 券 やプリペイドカードなどは 特 定 の 店 舗 や 特 定 の 財 貨 サービスの 支 払 いに 当 てることを 目 的 として 発 行 さ れていたのに 対 し 新 たな 前 払 式 支 払 手 段 は 数 多 くの 店 舗 で 数 多 くの 財 貨 や サービスの 支 払 いに 充 てることを 目 的 として 発 行 され 利 用 されることが 多 くな り いわば それらは 一 つの 小 口 決 済 手 段 として 利 用 されている 一 方 小 口 決 済 手 段 という 面 で 見 ると 現 在 電 子 マネーやサーバー 管 理 型 サービス 以 外 にも さまざまな 決 済 サービスが 誕 生 し 利 用 されている このよ うな 決 済 手 段 の 変 化 にも 対 応 すべく 従 来 の 規 制 法 である 前 払 式 証 票 の 発 行 を 規 制 する 法 律 ( 平 成 元 年 法 律 第 92 号 )( 以 下 前 払 式 証 票 規 正 法 )が 廃 止 さ れ 後 継 法 として 前 払 式 支 払 手 段 の 規 制 に 関 する 規 定 と 銀 行 以 外 の 事 業 者 が 為 替 業 務 を 営 むことができる 旨 などを 定 めた 資 金 決 済 に 関 する 法 律 ( 平 成 21 年 法 律 第 59 号 )( 以 下 資 金 決 済 法 )が 平 成 22 年 4 月 に 施 行 された 資 金 決 済 法 は これまで 規 制 の 対 象 とされていなかったサーバー 管 理 型 サービスをも 対 象 とするため 前 払 式 証 票 規 制 法 で 用 いられた 前 払 式 証 票 よりもより 広 い 概 念 である 前 払 式 支 払 手 段 を 定 義 している 前 払 式 証 票 の 発 行 に 係 る 収 益 の 帰 属 の 時 期 について 定 めた 法 人 税 基 本 通 達 2-1-39 や 同 2-2-11 など( 以 下 本 件 通 達 )の 定 めは 昭 和 55 年 の 通 達 改 正 時 に 新 設 されたものであるが それまで 前 払 式 証 票 に 関 する 個 別 の 会 計 処 理 基 準 や 会 計 慣 行 がなかったこともあり 発 行 会 社 がそれぞればらばらな 会 計

14 処 理 を 行 っていたようである 現 在 では 従 来 型 の 前 払 式 証 票 を 発 行 する 法 人 のほとんどが 本 件 通 達 の 定 めるところにより 会 計 処 理 を 行 っているようであ るが チャージ 式 やサーバー 管 理 型 のあらたな 形 態 を 発 行 する 法 人 の 経 理 実 態 は 明 らかではない 本 件 通 達 の 経 理 処 理 は 発 行 年 度 において 全 額 を 収 益 に 計 上 する 取 扱 いを 原 則 としているが 発 行 年 度 ごとに 区 分 管 理 することなどを 要 件 に 発 行 年 度 か ら 足 掛 け4 年 目 までは 預 り 金 処 理 を 認 め 5 年 目 の 事 業 年 度 末 における 未 引 換 部 分 については その 全 額 を 収 益 に 計 上 する 取 扱 いも 認 めている ただし ど の 方 式 を 採 用 するにしても 6 年 目 以 降 に 発 生 する 可 能 性 のある 引 換 え 費 用 の 損 金 計 上 は 認 めていない 前 払 式 証 票 の 発 行 主 体 で 組 織 する 業 界 団 体 が 実 施 した 実 態 調 査 (1) によれば 商 品 等 への 引 換 えは 発 行 から5 年 目 までの 間 に9 割 以 上 が 引 き 換 えられるも のの その 後 も 引 換 えが 進 み 6 年 目 以 降 10 年 目 までの5 年 間 に 3.3% 程 度 が 引 き 換 えられており 発 行 額 の 増 大 とともに6 年 目 以 降 の 引 換 額 も 増 大 してい る このような 引 換 えの 実 態 を 踏 まえ 本 件 通 達 の 取 扱 いに 対 し 発 行 業 者 な どから 見 直 しを 要 請 する 声 (2) が 上 がっているが 本 件 通 達 は 創 設 以 後 大 き な 改 正 もなく 現 在 に 至 っている また 日 本 公 認 会 計 士 協 会 は 平 成 19 年 4 月 法 律 上 の 債 務 性 が 残 っている 可 能 性 があるものでも 債 務 履 行 の 可 能 性 を 考 慮 して 負 債 計 上 を 中 止 する 会 計 処 理 を 認 めつつも その 後 債 権 者 から 支 払 いを 求 められ 支 払 いに 応 じている 場 合 には 将 来 発 生 する 費 用 に 対 して 引 当 金 計 上 を 求 めるとする 監 査 上 の 取 扱 いを 公 表 している このことを 受 け 大 手 百 貨 店 旅 行 会 社 など 多 額 の 未 引 換 前 払 式 証 票 を 抱 えていた 企 業 が 引 換 見 込 額 を 一 挙 に 引 当 金 計 上 し 損 金 処 理 したことで 業 績 を 圧 迫 したとする 新 聞 報 道 (3) がなされている (1) 第 9 回 前 払 式 証 票 発 行 事 業 実 態 調 査 統 計 ( 平 成 18 年 度 版 )( 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 ) (2) http://www.maesho.or.jp 前 払 式 証 票 の 未 引 換 残 高 の 税 務 処 理 について ( 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 ) (3) 平 成 19 年 10 月 8 日 日 本 経 済 新 聞 朝 刊

15 このように 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 伴 う 収 益 の 帰 属 の 時 期 については 従 来 の 考 え 方 のみでは 処 理 しきれない 種 々の 問 題 が 発 生 していることから 本 稿 では 前 払 式 支 払 手 段 の 引 換 えの 実 態 及 び 新 たな 発 行 形 態 の 実 情 等 を 踏 まえな がら 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 収 益 の 計 上 時 期 に 関 する 諸 問 題 を 整 理 検 討 し 新 たな 視 点 から 収 益 計 上 の 時 期 について 整 理 検 討 することとしたい なお 本 稿 においてプリペイドカード 等 の 総 称 を 記 載 するに 当 たっては 原 則 として 前 払 式 証 票 を 包 含 した 概 念 である 前 払 式 支 払 手 段 を 使 用 する が サーバー 管 理 型 サービスなどを 含 まない 事 柄 について 記 載 する 場 合 や 資 金 決 済 法 が 成 立 する 以 前 の 事 柄 について 記 載 する 場 合 などには 前 払 式 証 票 と 表 記 する

16 第 1 章 前 払 式 支 払 手 段 の 現 状 第 1 節 発 行 と 利 用 の 実 態 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 形 態 は 時 代 とともに 変 化 してきている 百 貨 店 など の 商 品 券 ギフト 券 図 書 券 ビール 券 酒 券 米 券 など かつての 主 流 であ った 紙 式 は 一 回 だけの 使 いきりとなっていた その 後 昭 和 57 年 (1982 年 ) に 日 本 電 信 電 話 公 社 からテレホンカードが 発 行 され また 平 成 2 年 (1990 年 ) には 紙 式 で 発 行 されていた 図 書 券 にテレホンカードのような 図 書 カードも 発 行 されるなど 磁 気 式 による 前 払 式 支 払 手 段 も 発 行 されるようになった この 磁 気 式 は 発 行 金 額 や 数 量 などをカード 内 に 磁 気 的 に 記 録 したものであるが 紙 式 が 一 回 だけの 使 いきりであるのに 対 し 使 用 の 都 度 残 高 が 減 算 される 形 式 となっている その 後 磁 気 式 の 前 払 式 支 払 手 段 を 偽 造 する 事 件 が 多 発 したことなどから 平 成 11 年 (1999 年 )ごろから 偽 造 がしにくく 収 納 できる 情 報 量 も 飛 躍 的 に 増 大 できる IC カード(integrated circuit card) 式 が 生 まれた IC カード 式 は カード 上 に 集 積 回 路 (IC)を 組 み 込 んだもので IC カード 式 テレホンカードに 代 表 される 初 期 のものは 読 み 取 り 機 械 に IC カードを 差 し 込 んで 情 報 をやり 取 りすることから 接 触 型 と 呼 ばれ 利 用 の 都 度 残 高 を 減 算 する 形 式 となってい た その 後 IC カードを 読 取 用 機 器 にかざすだけで 情 報 の 読 み 書 きができる 非 接 触 型 と 呼 ばれるものが 誕 生 する 具 体 的 には 平 成 13 年 (2001 年 )11 月 に Edy 平 成 16 年 (2004 年 )3 月 に Suica 平 成 17 年 (2005 年 )10 月 に ICOCA 平 成 19 年 (2007 年 )3 月 に PASMO 同 年 4 月 に WAON と nanaco などである 非 接 触 型 といわれる IC カード 式 前 払 式 支 払 手 段 は カード 類 に IC を 埋 め 込 む 形 式 のほかに 携 帯 電 話 内 に IC を 組 み 込 む 形 式 も 登 場 し また 旧 来 の IC カー ドは 使 いきり 型 であったのに 対 し 金 銭 的 な 価 値 を 積 み 増 しする 機 能 を 持 って いるチャージ 式 が 登 場 した そして それらは 電 子 マネーなどとも 呼 ばれる ようになり 今 や 前 払 式 支 払 手 段 の 主 流 となっている

17 表 1 前 払 式 支 払 手 段 の 記 録 媒 体 別 発 行 額 (4) 年 度 紙 式 磁 気 式 IC 式 平 成 14 年 度 6.0% 79.4% 14.7% 平 成 19 年 度 4.9 8.5 86.6 近 年 はインターネットなどのネットワークを 利 用 して 買 い 物 をするeコマー ス(electronic commerce)と 呼 ばれる 電 子 商 取 引 が 盛 んに 利 用 されている 電 子 商 取 引 が 始 まった 当 初 は 商 品 等 の 購 入 代 金 を 振 込 みやクレジットカードな どで 決 済 する 方 法 が 採 られたが 利 用 者 の 個 人 情 報 がネット 上 に 流 出 し 悪 用 さ れる 事 件 が 頻 発 したことなどから ネット 上 で 個 人 情 報 を 入 力 することに 強 い 抵 抗 感 を 持 つ 利 用 者 が 多 くなった そこで 登 場 したのが サーバー 管 理 型 と 呼 ばれる 前 払 式 の 決 済 サービスであった 紙 式 では 証 票 の 表 面 に 金 額 数 量 など が 記 載 され また 磁 気 式 や IC 式 の 前 払 式 証 票 では カードや 携 帯 電 話 などの 媒 体 に 埋 め 込 まれた 記 憶 エリアに 金 銭 価 値 などを 記 録 するが サーバー 管 理 型 サービスでは そうした 媒 体 を 持 たず 運 営 会 社 のコンピューターサーバー 内 に 金 銭 価 値 などを 記 録 して 管 理 するものとなっている サーバー 管 理 型 サービス のおおまかな 利 用 方 法 は 1サーバー 管 理 型 サービスを 利 用 するための 記 号 番 号 などが 記 載 された ID をコンビニエンスストアなどの 販 売 店 において 購 入 する 2インターネット 上 で 商 品 等 を 購 入 する 3 購 入 代 金 を 支 払 う 際 に サ ーバー 管 理 型 サービスの 運 営 業 者 が 発 行 した ID などを 利 用 して 決 済 手 続 をす るというもので その 利 用 金 額 は 平 成 22 年 度 には 前 年 度 の 1.5 倍 に 当 たる7 千 億 円 まで 伸 びるとの 見 通 し (5) もある このようなサーバー 管 理 型 サービスは 使 いきりのものもあるが 金 銭 的 な 価 値 を 積 み 増 しチャージできる 仕 組 みを 持 っているものも 存 在 している サー バー 管 理 型 の 決 済 サービスは 発 行 される 証 票 に 金 銭 的 な 価 値 が 記 録 されてい (4) 前 掲 注 (1) (5) 日 本 経 済 新 聞 平 成 22 年 4 月 20 日 朝 刊 14 版 1 面

18 ないことから これまで 前 払 式 証 票 規 制 法 の 規 制 の 対 象 外 とされてきたが 商 品 やサービスを 購 入 するために 前 払 いしておいた 金 銭 価 値 を 決 済 に 利 用 すると いう 点 では 従 来 からの 前 払 式 証 票 と 機 能 的 には 同 じであることから 第 3 章 第 4 節 で 後 述 するように 資 金 決 済 法 において 法 規 制 の 対 象 とされるようになって いる なお 前 払 式 支 払 手 段 の 利 用 形 態 を 整 理 すると 次 の 表 2のとおりである 表 2 前 払 式 支 払 手 段 の 利 用 形 態 媒 体 使 いきり 型 減 算 型 チャージ 型 紙 式 - - 磁 気 式 - - IC 式 - サーバー 管 理 型 - 第 2 節 前 払 式 支 払 手 段 とは 1 法 令 上 の 定 め 前 払 式 証 票 規 正 法 が 定 める 前 払 式 証 票 とは 1 金 額 又 は 物 品 サービスの 数 量 ( 個 数 本 数 度 数 等 )が 商 品 券 等 に 記 載 又 は 電 磁 的 な 方 法 で 記 録 さ れているもので 2 商 品 券 等 に 記 載 又 は 電 磁 的 な 方 法 で 記 録 された 金 額 又 は 物 品 サービスの 数 量 に 応 ずる 対 価 が 事 前 に 支 払 われており 3 対 価 が 事 前 に 支 払 われた 際 に 前 払 式 証 票 が 発 行 され 4 商 品 を 購 入 するとき 又 はサービ スの 提 供 を 受 けるときに 前 払 式 証 票 を 提 示 交 付 し 使 用 されるもの( 前 払 式 証 票 規 制 法 第 2 条 )とされている ただし 1 発 行 から6ヶ 月 以 内 に 限 って 使 用 できるもの 2 乗 車 券 3 美 術 館 等 の 入 場 券 4 社 員 食 堂 の 食 券 等 は 前 払 式 証 票 規 正 法 の 規 制 を 受 けないことになっている( 同 法 第 3 条 ) 前 払 式 証 票 の 発 行 者 が 経 済 的 に 破 綻 して 商 品 券 等 を 使 用 することができなくなった

19 場 合 は 発 行 者 が 供 託 しておいた 発 行 供 託 金 を 原 資 として 額 面 金 額 の 一 部 について 払 戻 しを 受 けることができる 場 合 がある( 同 法 第 14 条 )が これら 例 外 を 除 いては 法 律 上 の 明 文 規 定 はないものの 払 戻 しや 換 金 ができない ことになっている 前 払 式 証 票 規 制 法 及 び 前 払 式 証 票 の 規 制 等 に 関 する 法 律 施 行 令 ( 平 成 2 年 政 令 第 193 号 )が 定 める 前 払 式 証 票 を 整 理 すると 次 の 表 3のとおりとなる 次 に 資 金 決 済 法 に 定 める 前 払 式 支 払 手 段 とは 証 票 電 子 機 器 その 他 の 物 に 記 載 され 又 は 電 磁 的 方 法 により 記 録 される 金 額 ( 物 品 又 は 役 務 の 数 量 ) に 応 ずる 対 価 を 得 て 発 行 される 証 票 等 又 は 番 号 記 号 その 他 の 符 号 であっ て その 発 行 する 者 又 は 当 該 発 行 する 者 が 指 定 する 者 から 物 品 を 購 入 し 若 しくは 借 り 受 け 又 は 役 務 の 提 供 を 受 ける 場 合 に これらの 代 価 の 弁 済 のた めに 提 示 交 付 通 知 その 他 の 方 法 により 使 用 することができるもの ( 資 金 決 済 法 第 3 条 )とされており サーバー 管 理 型 サービスも 対 象 とされた ま た 乗 車 券 や 入 場 券 などを 対 象 から 除 いている 点 は 前 払 式 証 票 と 同 じである ( 同 法 第 4 条 )が 払 戻 しについては 業 務 廃 止 や 発 行 業 者 としての 登 録 を 取 り 消 された 場 合 などの 除 き 払 い 戻 すことを 原 則 禁 止 している( 同 法 第 20 条 ) なお 払 戻 金 額 が 少 額 な 場 合 や 発 行 業 務 の 健 全 な 運 営 に 支 障 が 生 じない 範 囲 であれば 払 い 戻 すことを 認 める 規 定 がある( 同 法 第 20 条 2 項 ただし 書 ) が これは 地 域 限 定 の 前 払 式 支 払 手 段 の 利 用 者 が 転 居 などにより 利 用 できな くなった 場 合 などを 想 定 しているようである 表 3 前 払 式 証 票 規 制 法 上 の 前 払 証 票 の 例 適 用 除 外 の 例 例 示 規 定 備 考 商 品 券 ギフト 券 図 書 券 法 第 2 条 第 1 項 1 号 テレホンカード Edy Suica ICOCA PASMO nanaco WAON など 金 額 が 記 載 又 は 電 磁 的 に 記 録 されている 証 票 ビール 券 酒 券 米 券 アイ 法 第 2 条 第 1 項 2 号 物 品 役 務 の 数 量 が 記

20 スクリーム 券 カタログギフ トなど 載 又 は 電 磁 的 に 記 録 されている 証 票 法 律 の 適 用 除 外 国 などが 発 行 する 証 票 法 第 3 条 1 号 オッズカード 法 第 3 条 2 号 令 第 4 条 2 号 従 業 員 向 け 証 票 法 第 3 条 3 号 令 第 5 条 1 号 健 保 組 合 員 等 向 け 証 票 学 生 学 校 職 員 向 け 証 票 友 の 会 買 い 物 券 商 人 間 で 使 用 される 証 票 令 第 5 条 2 号 令 第 5 条 3 号 法 第 3 条 4 号 法 第 3 条 5 号 法 定 除 外 乗 車 券 乗 船 券 航 空 券 施 設 又 は 場 所 に 係 る 入 場 券 特 定 の 施 設 場 所 の 利 用 者 が 通 常 使 用 する 食 券 等 6が 月 以 内 の 期 限 のある 証 票 令 第 1 条 1 号 令 第 1 条 2 号 令 第 1 条 3 号 令 第 2 条 2 法 的 性 格 前 払 式 支 払 手 段 の 法 的 性 格 については 議 論 があり 多 くの 見 解 がある 商 品 券 ギフト 券 及 び 各 種 プリペイドカードなどを 想 定 した 議 論 としては 次 のような 見 解 (6) があった 金 券 説 収 入 印 紙 や 郵 便 切 手 のように 証 券 自 体 が 表 示 された 金 額 に 相 当 する 価 (6) 片 岡 義 広 プリペイド カードの 法 的 性 質 と 契 約 関 係 ジュリスト 951 号 41 頁

21 格 を 有 するもので 特 定 の 法 律 関 係 において 金 銭 と 同 様 に 支 払 としての 効 力 を 有 する 証 券 給 付 請 求 権 を 表 彰 する 有 価 証 券 ビール 券 等 を 念 頭 において 一 定 種 類 の 商 品 を 一 定 数 量 の 引 渡 しを 求 める 給 付 請 求 権 を 表 彰 する 証 券 法 的 地 位 を 表 彰 する 有 価 証 券 発 行 者 において 前 払 式 証 票 取 引 約 款 加 盟 店 契 約 などのシステムが 存 在 することを 前 提 に 商 品 等 の 購 入 者 が 発 行 者 と 給 付 者 との 間 の 加 盟 店 契 約 に 基 づき 商 品 等 の 購 入 の 際 に 発 生 した 債 務 の 免 責 を 受 ける 法 的 地 位 を 表 彰 した 有 価 証 券 一 方 電 子 マネー(7) については 1 加 盟 店 との 関 係 でのみ 債 務 の 弁 済 効 力 が 生 じる 点 2 支 払 われる 金 員 に 応 じて 発 行 や 積 み 増 しがなされる 点 ( 対 価 性 がある 点 ) 及 び3 電 子 データ 化 されている 点 から その 金 額 に 応 ずる 対 価 を 得 て 電 磁 的 に 記 録 された 金 額 情 報 であって その 記 録 者 との 契 約 関 係 に 基 づき それを 移 転 することによって 契 約 に 基 づく 一 定 の 範 囲 の 金 銭 債 務 の 弁 済 としての 効 力 を 有 するもの とする 見 解 (8) があり サーバー 管 理 型 サ ービスについては 従 来 の 商 品 券 等 と 異 なり 価 値 を 表 す 証 券 の 存 在 が 前 提 と されていないことから その 性 格 を 金 券 や 有 価 証 券 とする 法 的 構 成 をとるた めにはハードルが 高 く 同 サービスについては 証 券 的 債 権 というよりは (9) 通 常 の 債 権 すなわち 指 名 債 権 と 位 置 づけるのが 素 直 な 考 え 方 とする 意 見 がある 前 払 式 支 払 手 段 の 法 的 性 格 については 前 払 式 証 票 規 制 法 及 び 資 金 決 済 法 においても 明 らかにされておらず 一 定 の 機 能 を 果 たしていれば 規 制 対 象 と (7) 電 子 マネー という 言 葉 には 定 まった 定 義 はないようである ここでは Edy Suica PASMO ICOCA nanaco WAON など 原 資 の 支 払 いが 利 用 前 であるものを 指 し ているようである (8) 杉 浦 宣 彦 電 子 マネーと 法 ジュリスト 1361 号 74 頁 (9) 中 崎 隆 資 金 決 済 法 が 前 払 式 支 払 手 段 発 行 業 者 に 与 える 課 題 月 刊 消 費 者 信 用 2009 年 7 月 号 34 頁

22 するという 姿 勢 のように 思 われる いずれにしても 前 払 式 支 払 手 段 の 法 的 性 格 について そのすべてをとらえた 通 説 的 な 考 え 方 は 存 しないようである が 共 通 している 点 として 1 利 用 によって 債 務 弁 済 効 力 が 生 ずる 2 発 行 などに 際 して 対 価 を 支 払 う( 対 価 性 あり) 3 原 則 として 支 払 った 対 価 の 返 還 義 務 がないということがあげられよう なお この 点 企 業 が 発 行 するポイントは あくまでも 企 業 が 販 売 促 進 の ために 広 告 宣 伝 費 等 を 活 用 して 付 与 される おまけ であり 対 価 なしで 付 与 されるものとなっている よって ポイントは 対 価 性 の 有 無 の 点 で 前 払 式 支 払 手 段 と 決 定 的 に 違 いがあるといえる 3 使 用 期 限 と 消 滅 時 効 収 益 の 帰 属 の 時 期 とは 異 なる 問 題 として 使 用 期 限 のない 前 払 式 証 票 の 発 行 者 は いつまで 引 換 えに 応 じなければならないかという 問 題 がある また 前 払 式 証 票 の 発 行 者 は 未 引 換 部 分 について 一 定 額 を 供 託 しておかなければ ならない 義 務 があるが 当 該 供 託 金 の 額 を 計 算 する 基 になる 未 引 換 金 額 にい つまで 計 上 しておかなければならないかという 問 題 もある 前 払 式 証 票 の 発 行 者 で 組 織 する 業 界 団 体 が 未 引 換 金 額 への 計 上 に 関 して 金 融 庁 に 書 面 照 会 した 結 果 (10) 金 融 庁 は 消 滅 時 効 が 完 成 しているか 否 かにつ いては 回 答 を 避 けつつも 発 行 者 は 消 滅 時 効 の 利 益 を 放 棄 する 可 能 性 がある (10) 金 融 庁 における 一 般 的 な 法 令 解 釈 に 係 る 書 面 照 会 手 続 ( 回 答 書 )( 平 成 19 年 9 月 14 日 ) 発 行 日 から5 年 以 上 経 過 した 前 払 式 証 票 は 証 票 に 基 づいて 発 行 者 が 所 持 人 に 対 して 負 担 する 債 務 を 商 法 522 条 にいう 商 行 為 によって 生 じる 債 務 に 該 当 し 時 効 によってもはや 代 価 の 弁 済 に 充 てられなくなった 額 ( 前 払 式 証 票 施 行 規 則 第 2 条 )と 解 釈 して これら 時 効 にかかった 証 票 を 直 前 の 基 準 日 末 使 用 残 高 から 控 除 す ることは 可 能 かどうか と 照 会 していることに 対 し 前 払 式 証 票 について 消 滅 時 効 が 完 成 した 場 合 にあっても 債 務 者 ( 前 払 式 証 票 発 行 者 )において 消 滅 時 効 の 利 益 を 放 棄 等 する 可 能 性 があることから 利 用 者 保 護 の 観 点 からは 消 滅 時 効 の 完 成 後 に 前 払 式 証 票 を 使 用 させない 債 務 者 ( 前 払 式 証 票 発 行 者 )の 意 思 が 利 用 者 の 通 常 知 りうる 方 法 により 外 部 に 明 らかにされていない 限 り 当 該 前 払 式 証 票 が 代 価 の 弁 済 に 充 てられなくなった ということはできず 当 該 前 払 式 証 票 の 金 額 を 直 前 の 基 準 日 末 使 用 残 高 から 控 除 することはできない と 回 答 している http://www.fsa.go.jp/common/noact/index.html

23 ことから 発 行 者 の 意 思 が 通 常 知 りうる 方 法 で 外 部 に 明 らかにされない 限 り 供 託 金 の 計 算 のもとになる 未 引 換 金 額 から 控 除 することはできない 旨 回 答 し ている 照 会 内 容 等 から 推 測 すると 前 払 式 証 票 の 発 行 者 は 一 般 に 顧 客 に 対 する サービスの 一 環 として 時 効 の 援 用 を 行 わず 引 換 え 請 求 に 対 してほとんど 無 期 限 に 近 い 対 応 をしているものと 思 われ そのことは 本 件 通 達 が 創 設 された 昭 和 55 年 当 時 において 戦 前 に 発 行 された 前 払 式 証 票 が 預 り 金 処 理 のままに されていたという 事 例 もあった (11) ことからもわかる 第 3 節 自 家 発 行 型 と 第 三 者 発 行 型 前 払 式 支 払 手 段 は 発 行 事 業 者 と 財 やサービスの 提 供 事 業 者 との 関 係 から 自 家 発 行 型 と 第 三 者 発 行 型 に 区 別 される 自 家 発 行 型 前 払 式 支 払 手 段 とは 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 業 者 と 物 品 やサービ スの 提 供 業 者 が 同 一 の 場 合 であり 物 品 やサービスの 代 価 の 支 払 いのために 提 示 又 は 交 付 するものである これに 対 し 第 三 者 発 行 型 前 払 式 支 払 手 段 とは 自 家 発 行 型 前 払 式 支 払 手 段 以 外 のものをいい 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 業 者 と 物 品 やサービスの 提 供 業 者 とが 異 なるものである 第 4 節 発 行 及 び 利 用 の 状 況 1 発 行 者 数 及 び 発 行 額 の 推 移 前 払 式 証 票 規 制 法 の 規 制 対 象 となる 前 払 式 証 票 を 発 行 する 者 の 数 は 下 表 4 (12) のとおり 第 三 者 型 の 発 行 者 数 は 減 少 傾 向 にあるものの 自 家 型 の 発 行 者 (11) 窪 田 悟 嗣 ( 五 訂 版 ) 法 人 税 基 本 通 達 逐 条 解 説 税 務 研 究 会 出 版 局 2008 年 162 頁 (12) 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 ホームページ: 関 連 統 計 : 前 払 式 証 票 の 発 行 者 数 の 推 移 より http://www.maesho.or.jp/

24 数 は 増 大 する 傾 向 にある また 前 払 式 証 票 の 発 行 額 等 の 推 移 は 下 表 5 (13) のとおり 発 行 額 回 収 額 及 び 未 使 用 残 高 は 平 成 17 年 度 以 降 大 きく 増 大 し ている 表 4 前 払 式 証 票 の 発 行 者 数 の 推 移 ( 単 位 : 発 行 者 数 ) H16/3 末 H17/3 末 H18/3 末 H19/3 末 H20/3 末 第 三 者 型 発 行 者 1,465 1,420 1,376 1,315 1,260 自 家 型 発 行 者 430 434 463 484 510 表 5 前 払 式 証 票 の 発 行 額 等 の 推 移 ( 単 位 : 億 円 ) H15 年 度 H16 年 度 H17 年 度 H18 年 度 H19 年 度 年 間 発 行 額 93,566 91,611 109,637 124,118 134,754 年 間 回 収 額 93,251 91,408 109,435 123,751 134,304 使 用 残 高 18,363 18,552 18,955 19,427 20,068 2 電 子 マネーの 発 行 枚 数 及 び 決 済 件 数 等 Edy Suica ICOCA PASMO nanaco WAON SUGOCA 及 び Kitaca は 電 子 マネーと 呼 ばれることがある これらは 平 成 21 年 3 月 末 での 発 行 枚 数 が1 億 枚 を 越 えおり (14) SUGOCA 及 び Kitaka を 除 いても 平 成 21 年 12 月 末 には 1 億 2 千 枚 を 越 えている 上 記 8つの 電 子 マネーの 平 成 20 年 度 の 決 済 件 数 は 約 11 億 件 であり また 決 済 金 額 は 8172 億 円 となっており 最 新 の 平 成 21 年 の 数 値 としては SUGOCA 及 び Kitaka を 除 いても 決 済 件 数 が 14 億 件 ( 対 前 年 度 比 28.2% 増 ) 決 済 金 額 が1 兆 2 千 億 ( 対 前 年 度 比 46.8% 増 )となって (13) 前 掲 注 (1) (14) 日 本 銀 行 決 済 機 構 局 決 済 システム 等 に 関 する 調 査 レポート 最 近 の 電 子 マネー の 動 向 について(2008 年 度 ) (2009 年 7 月 )

25 いる さらに 平 成 22 年 度 の 発 行 額 が3 兆 円 を 上 回 るという 見 通 しもある (15) このように 上 記 の 電 子 マネーは 利 用 できる 範 囲 が 大 都 市 圏 のチェーン 店 から 地 方 の 商 店 街 や 自 動 販 売 機 自 治 体 などに 広 がり 利 便 性 が 高 まって いることから (16) ここ 数 年 急 速 に 利 用 が 拡 大 していることがわかる 上 記 8 つの 電 子 マネーとクレジットカードやデビットカードなどのポストペイ( 事 後 払 い) 型 の 利 用 状 況 ( 表 8)を 比 較 してみても 電 子 マネーの 約 7 割 がコ ンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで 利 用 されているという 新 聞 報 道 (17) があるように それぞれの 利 用 シーンが 異 なることから1 件 当 たりの 金 額 などに 差 があるが 電 子 マネーが 支 払 手 段 の 一 つとして 認 知 されつつあ る 状 況 が 分 かる なお 電 子 マネーという 名 称 には 定 まった 定 義 はなく プリベイド 式 のみ をさす 場 合 もある 一 方 で 後 払 い 式 をも 含 めた 広 い 概 念 を 指 す 場 合 もある 本 稿 では 基 本 的 に 上 記 に 示 したようなプリペイド 式 の 前 払 式 支 払 手 段 を 指 す 名 称 として 使 用 する 表 6 主 な 電 子 マネーの 発 行 枚 数 等 ( )は 前 年 比 発 行 累 計 枚 数 うち 携 帯 電 話 端 末 台 数 H19 年 9 月 末 6,649 万 枚 767 万 台 24.7 万 台 H20 年 3 月 末 8,061 942 35.8 H20 年 9 月 末 9,308 1,078 39.3 H21 年 3 月 末 H21 年 12 月 末 10,503 (+30.3%) 12,365 (+32.8%) 1,205 (+27.9%) 48.0 (+34.1%) (15) 日 本 経 済 新 聞 平 成 22 年 4 月 20 日 朝 刊 14 版 電 子 マネーの 市 場 規 模 (きょう のことば) (16) 日 本 経 済 新 聞 平 成 22 年 2 月 3 日 朝 刊 14 版 (17) 日 本 経 済 新 聞 平 成 21 年 9 月 11 日 夕 刊 4 版 暮 らしに 溶 け 込 む 電 子 マネー( 上 )

26 H21 年 12 月 末 の( ) 内 数 字 は H20 年 9 月 末 との 比 較 値 である H21 年 12 月 末 の 数 値 は SUGOKA Kitaka を 除 いた 数 値 である 表 7 主 な 電 子 マネーの 決 済 件 数 等 ( )は 前 年 比 決 済 件 数 決 済 金 額 1 件 当 たり 金 額 H19 年 度 810 百 万 件 5,636 億 円 696 円 H20 年 度 H21 年 1,116 (+37.8%) 1,431 (+28.2%) 8,172 (+45.0%) 12,000 (+46.8%) H21 年 の 数 値 は 1 年 間 の 数 値 であるが H19 と H20 は1 年 度 間 の 数 値 である H21 年 の( ) 内 数 字 は H20 年 度 との 比 較 値 である H21 年 の 数 値 は SUGOKA Kitaka を 除 いた 数 値 である 732 表 8 他 の 小 口 決 済 手 段 との 比 較 主 な 電 子 マネー デビットカード クレジットカード 年 間 決 済 件 数 1,116 百 万 件 12.6 百 万 件 4,547 百 万 件 年 間 決 済 金 額 81.7 百 億 円 76.9 百 億 円 3,477 百 億 円 1 件 当 たり 金 額 732 円 6,103 円 7,646 円 主 な 電 子 マネーとデビットカードは H20 年 度 クレジットカードは H18 年 度 の 数 字 である 3 前 払 式 証 票 の 使 用 期 間 ( 使 用 期 限 ) (18) 前 払 式 証 票 の 使 用 期 間 ( 使 用 期 限 )の 有 無 を 発 行 形 式 から 見 てみると 表 9のとおり 発 行 形 式 が 進 化 するに 従 い 使 用 期 限 の 定 めのないものが 数 多 く (18) 前 掲 注 (1)

27 発 行 されるようになっている これは 最 近 の 非 接 触 型 の IC 式 などにおいて は コンピュータ 管 理 が 進 み 発 行 日 利 用 金 額 利 用 日 及 び 未 使 用 残 高 な どを 管 理 できるようになったことが 原 因 の 一 つではないかと 考 えられる ま た 使 用 期 限 の 定 めのある 前 払 式 証 票 の 使 用 期 限 年 数 は 表 10 のとおり 5 年 とするものが 全 体 の 66.7%であり 5 年 までに 使 用 期 限 を 迎 えるものは 全 体 のほぼ9 割 に 当 たる 89.9%となっている 以 上 のことから 現 在 発 行 されている 前 払 式 証 票 は 使 用 期 限 の 定 めがな いものが 全 体 の9 割 と 大 勢 を 占 めている これに 対 し 使 用 期 限 の 定 めがある ものは 全 体 の1 割 程 度 を 占 めるにすぎず その 大 部 分 が 発 行 から5 年 で 使 用 期 限 が 到 来 することとなっている よって 使 用 期 限 の 定 めがあり 使 用 可 能 期 間 を 長 期 間 と 定 めているものはきわめて 小 数 派 であるといえる 表 9 媒 体 別 使 用 期 間 ( 使 用 期 限 )の 有 無 区 分 紙 式 磁 気 式 IC 式 件 数 構 成 比 件 数 構 成 比 件 数 構 成 比 な し 394 件 76.7% 28 件 87.5% 26 件 89.7% あ り 120 23.3 4 12.5 3 10.3 合 計 514 100.0 32 100.0 29 100.0 表 10 使 用 期 間 ( 使 用 期 限 ) 使 用 期 間 発 行 者 数 構 成 比 使 用 期 間 発 行 者 数 構 成 比 1 年 19 件 14.7% 10 年 2 件 1.6 2 年 3 2.3 年 月 指 定 8 6.2 3 年 8 6.2 その 他 3 2.3 5 年 86 66.7 合 計 129 100.0

28 第 2 章 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 会 計 処 理 の 現 状 本 件 通 達 の 定 めの 内 容 発 行 業 者 が 採 用 している 会 計 処 理 の 方 法 及 び 本 件 通 達 に 関 する 裁 判 例 の 内 容 は どのようになっているのであろうか それらの 内 容 を 概 観 することによって 前 払 式 証 票 の 発 行 に 係 る 会 計 処 理 の 現 状 を 見 てみ たい 第 1 節 法 人 税 基 本 通 達 の 取 扱 い 1 本 則 方 式 法 人 税 基 本 通 達 2-1-39 は 法 人 が 商 品 の 引 渡 し 又 は 役 務 の 提 供 を 約 し た 商 品 引 換 券 等 ( 通 達 では 商 品 引 換 券 と 定 義 している )を 発 行 し その 対 価 を 受 領 した 場 合 における 当 該 対 価 の 額 は 発 行 した 日 の 属 する 事 業 年 度 の 益 金 の 額 に 算 入 することを 本 則 としている( 以 下 本 則 方 式 ) 本 則 方 式 は 当 該 年 度 において 商 品 等 と 引 きかえられた 商 品 引 換 券 等 の 引 換 え 原 価 を 損 金 の 額 に 算 入 すると 同 時 に 事 業 年 度 末 において 商 品 の 引 渡 し 又 は 役 務 の 提 供 を 了 していない 商 品 引 換 券 等 ( 以 下 未 引 換 券 )があるとき は 未 引 換 券 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 しているか 否 かに 係 わらず 当 該 未 引 換 券 に 係 る 商 品 の 引 渡 し 等 に 要 する 費 用 の 見 積 額 として 次 の 区 分 に 応 じ それぞれ 次 に 示 す 金 額 を 当 該 事 業 年 度 の 損 金 の 額 に 算 入 することがで きるものとしている( 法 人 税 基 本 通 達 2-2-11) この 場 合 事 業 年 度 末 に 計 上 した 費 用 の 見 積 額 に 相 当 する 金 額 は 翌 事 業 年 度 において 益 金 の 額 に 算 入 する( 洗 替 える)こととなっているが 費 用 の 見 積 計 上 を 認 める 期 間 は 発 行 した 事 業 年 度 から4 年 目 までとなっている ちなみに 未 引 換 券 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 している 場 合 には 通 常 次 項 に 述 べるただし 書 方 式 を 適 用 すると 思 われるから 下 記 未 引 換 券 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 する 場 合 を 適 用 して 費 用 の 額 を 見 積 計 上 す

29 る 事 例 はほとんどないと 考 えられる なお 連 結 法 人 が 商 品 引 換 券 等 を 発 行 した 場 合 の 当 該 商 品 引 換 券 等 の 発 行 に 係 る 収 益 の 帰 属 の 時 期 に 関 する 本 則 方 式 は 法 人 税 基 本 通 達 2-1-39 及 び 同 2-2-11 と 同 様 の 取 扱 いが 連 結 納 税 基 本 通 達 2-1-42 及 び 同 2-2-11 に 定 められており 連 結 法 人 が 商 品 引 換 券 等 を 発 行 した 場 合 において も 一 般 の 法 人 と 同 様 の 取 扱 いとなっている 未 引 換 券 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 する 場 合 ( 算 式 ) 当 該 事 業 年 度 終 了 の 時 における 未 引 換 券 の うち 当 該 事 業 年 度 及 び 当 該 事 業 年 度 開 始 の 日 前 3 年 以 内 に 開 始 した 各 事 業 年 度 におい て 発 行 したものに 係 る 対 価 の 額 の 合 計 額 原 価 率 上 記 以 外 の 場 合 ( 算 式 ) 当 該 事 業 年 度 及 び 当 該 事 業 年 度 開 始 の 日 前 3 年 以 内 に 開 始 した 各 事 業 年 度 におい - て 発 行 した 商 品 引 換 券 等 に 係 る 対 価 の 額 の 合 計 額 左 の 各 事 業 年 度 において 商 品 の 引 渡 し 等 を 行 った 商 品 引 換 券 等 に 係 る 対 価 の 額 の 合 計 額 原 価 率 ( 注 ) 上 記 2つの 算 式 の 原 価 率 は 次 の 区 分 に 応 じそれぞれ 次 により 計 算 し た 割 合 とする イ 第 三 者 発 行 型 の 場 合 分 母 の 商 品 引 換 券 等 と 引 換 えに 他 の 者 に 支 払 った 金 額 の 合 計 額 当 該 事 業 年 度 において 回 収 された 商 品 引 換 券 等 に 係 るその 発 行 の 対 価 の 額 の 合 計 額

30 ロ 自 家 発 行 型 の 場 合 分 母 の 金 額 に 係 る 当 該 事 業 年 度 の 売 上 原 価 又 は 役 務 提 供 の 原 価 の 額 その 引 渡 し 又 は 提 供 を 約 した 商 品 又 は 役 務 と 種 類 等 を 同 じくする 商 品 又 は 役 務 の 販 売 又 は 提 供 に 係 る 当 該 事 業 年 度 の 収 益 の 額 の 合 計 額 2 ただし 書 方 式 法 人 税 基 本 通 達 2-1-39 のただし 書 きには あらかじめ 所 属 の 税 務 署 長 又 は 国 税 局 長 の 確 認 を 受 けることなどを 条 件 に 次 のような 取 扱 いを 定 めて いる( 以 下 ただし 書 方 式 ) つまり ただし 書 方 式 は 商 品 引 換 券 等 の 発 行 者 が 商 品 引 換 券 等 を 発 行 年 度 ごとに 区 分 して 管 理 することを 要 件 に 商 品 引 換 券 等 の 発 行 に 係 る 対 価 の 全 額 を 預 り 金 として 処 理 し 商 品 の 引 渡 し 等 に 応 じて 商 品 の 引 渡 し 等 のあった 日 の 属 する 事 業 年 度 の 収 益 に 計 上 するという 取 扱 いである この 場 合 引 き 渡 された 商 品 などの 売 上 原 価 は 商 品 の 引 渡 し 等 のあった 日 の 属 する 事 業 年 度 の 損 金 となる そして 商 品 引 換 券 等 を 発 行 した 事 業 年 度 終 了 の 日 の 翌 日 から3 年 を 経 過 した 日 の 属 する 事 業 年 度 終 了 の 時 つまり 発 行 日 の 属 する 事 業 年 度 から 起 算 して5 年 目 の 事 業 年 度 末 に その 段 階 で 引 換 えがなされていない 商 品 引 換 券 等 の 額 をすべて 収 益 に 計 上 することと 定 めている その 場 合 未 引 換 券 その 後 商 品 等 と 引 き 換 えられるとしても 発 行 事 業 年 度 から5 年 目 の 事 業 年 度 末 において その 後 の 引 換 え 原 価 の 見 積 計 上 を 認 め ないことから 発 行 から6 年 目 以 降 に 商 品 等 への 引 換 えがあった 場 合 引 換 え 費 用 は 実 際 に 引 き 換 えられた 事 業 年 度 の 損 金 として 計 上 されることにな る 当 然 のことながら 発 行 日 の 属 する 事 業 年 度 から 起 算 して5 年 目 の 事 業 年 度 末 以 前 に 有 効 期 限 が 来 るものについては 有 効 期 限 の 日 の 翌 日 の 属 する 事 業 年 度 に 収 益 に 計 上 することとなる なお ただし 書 方 式 は 本 則 方 式 と 同 様 に 連 結 法 人 に 関 する 規 定 があり ( 連 結 納 税 基 本 通 達 2-1-42) 連 結 法 人 についても 同 様 の 取 扱 いが 定 めら

31 れている (19) 第 2 節 収 益 計 上 に 係 る 会 計 処 理 の 実 態 前 払 式 証 票 の 発 行 者 で 組 織 する 業 界 団 体 は 前 払 式 証 票 の 収 益 計 上 に 係 る 会 計 処 理 などに 関 してアンケート 調 査 を 実 施 しており 前 払 式 証 票 の 年 度 別 区 分 管 理 の 有 無 及 び 収 益 計 上 方 法 に 関 する 調 査 結 果 は 表 11 及 び 表 12 のとおりで ある なお この 実 態 調 査 は 1,295 の 前 払 式 証 票 の 発 行 者 を 対 象 として 行 っ たもので 全 体 の 43.0%に 当 たる 557 の 発 行 者 から 回 答 が 得 られた 結 果 である 前 払 式 証 票 の 発 行 及 び 回 収 時 の 年 度 別 区 分 管 理 については 表 11 のとおり 6 割 以 上 の 発 行 者 が 年 度 別 に 区 分 管 理 を 行 っているものの 残 りの 発 行 者 のう ち 少 なくとも2 割 以 上 が 年 度 別 区 分 管 理 を 行 っていないことが 分 かる 年 度 別 区 分 管 理 を 行 っていない 発 行 者 は 発 行 者 全 体 の4 分 の1 程 度 (23+16 (23 (23+61)))と 推 測 される 次 に 収 益 の 計 上 方 法 について 法 人 税 基 本 通 達 のどの 方 法 で 計 上 している か とのアンケートに 対 する 結 果 は 表 12 のとおり 回 答 した 発 行 者 の 少 な くとも4 分 の3 程 度 (24.3+49.1)が 本 件 通 達 のいずれかの 方 法 で 収 益 を 計 上 していることがわかる 残 りの 2 割 強 の 発 行 者 がどのような 方 法 で 収 益 を 計 上 しているかは 回 答 がないため 不 明 である 表 11 と 表 12 を 見 てみると ただし 書 方 式 は 年 度 別 区 分 管 理 が 必 要 となる から 全 ての 年 度 別 区 分 管 理 を 行 っていない 発 行 者 (23%)とごく 一 部 の 年 度 別 区 分 管 理 を 行 っている 発 行 者 を 含 めた 全 体 の 24.3%の 発 行 者 が 本 則 方 式 を 採 用 しているものと 推 測 され また ただし 書 方 式 を 採 用 していると 回 答 した 発 行 者 (49.1%)は 年 度 別 区 分 管 理 を 行 っている 発 行 者 の 多 くが 採 用 しているものと 推 測 することができる (19) 前 掲 注 (1)

32 表 11 年 度 別 区 分 管 理 の 状 況 表 12 収 益 計 上 の 方 法 区 分 割 合 区 分 割 合 管 理 していない 23% 本 則 方 式 24.3% 管 理 している 61 ただし 書 方 式 49.1 回 答 なし 16 回 答 なし 22.2 第 3 節 裁 判 例 法 廷 において 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 係 る 収 益 の 帰 属 の 時 期 が 争 われた 例 は 多 くない そのような 中 で 次 の 名 古 屋 地 裁 平 成 13 年 7 月 16 日 判 決 ( 平 成 12( 行 ウ)14 号 法 人 税 法 更 正 処 分 取 消 請 求 事 件 - 棄 却 確 定 以 下 名 古 屋 地 裁 判 決 ) は 先 例 的 な 意 義 を 持 つものといわれている (20) (21) ものであり 判 決 内 容 の 概 要 は 以 下 のとおりである 1 争 いのない 事 実 原 告 Xは 石 油 類 の 卸 小 売 業 を 営 む 株 式 会 社 である Xは 平 成 8 年 2 月 1 日 から 同 9 年 1 月 31 日 までの 事 業 年 度 ( 以 下 本 件 事 業 年 度 ) 中 に 関 係 先 店 舗 においてプリペイドカード( 以 下 本 節 において 本 件 商 品 券 )を 発 行 した 本 件 事 業 年 度 における 本 件 商 品 券 の 発 行 対 価 の 総 額 は 合 計 5 億 332 万 5238 円 で そのうち 未 使 用 部 分 に 係 る 発 行 金 額 は 合 計 9987 万 1420 円 で ある Xは 本 件 事 業 年 度 分 の 法 人 税 について 平 成 9 年 3 月 28 日 に 確 定 申 告 をし た( 以 下 本 件 申 告 )が その 際 本 件 商 品 券 については 商 品 と 引 換 えが 終 了 した4 億 345 万 3818 円 のみを 収 益 に 計 上 し 未 使 用 部 分 に 係 る 合 計 9987 (20) 加 藤 就 一 プリペイドカード 発 行 に 係 る 対 価 は 発 行 時 の 事 業 年 度 の 収 益 として 計 上 すべきであるとされた 事 例 判 例 タイムズ 1125 号 246 頁 (2003 年 ) (21) 高 橋 靖 商 品 券 と 法 人 税 ジュリスト 1232 号 201 頁 (2002 年 )

33 万 1420 円 は 預 り 金 として 処 理 し 収 益 としては 申 告 しなかった 本 件 商 品 券 の 未 使 用 部 分 に 係 る 発 行 対 価 を 本 件 事 業 年 度 の 収 益 として 計 上 するとした 場 合 当 該 部 分 に 係 る 原 価 の 額 は 合 計 8012 万 1288 円 となるが この 原 価 の 額 について Xは 積 極 的 には 争 っていない 本 件 は 被 告 Y 税 務 署 長 がXに 対 し 本 件 事 業 年 度 の 法 人 税 について 平 成 10 年 3 月 31 日 付 で 更 正 処 分 ( 以 下 本 件 更 正 処 分 )をしたため Xが 本 件 更 正 処 分 は 適 法 な 申 告 に 対 してなされたものであり 更 正 処 分 の 要 件 を 欠 く 違 法 な 処 分 であると 主 張 して その 取 消 しを 求 めたものである 2 争 点 本 件 の 争 点 は 本 件 更 正 処 分 について 国 税 通 則 法 第 24 条 に 定 める 更 正 処 分 の 要 件 が 存 したか 否 かである すなわち Xが 本 件 申 告 において 行 ったように 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 に 際 して 収 受 する 対 価 について 発 行 時 に 収 益 計 上 することなく 預 り 金 として 処 理 し 実 際 に 前 払 式 支 払 手 段 の 所 持 者 が 商 品 等 と 引 換 えを 行 った 時 点 で 収 益 計 上 する 方 法 ( 以 下 本 節 において 原 告 方 式 )により 申 告 することは 法 人 税 法 第 22 条 及 び 法 人 税 基 本 通 達 2-1-33( 現 在 の 基 通 2-1-39 のこ と )に 反 し 更 正 処 分 の 対 象 となるか 否 かである 当 事 者 双 方 が 主 張 した 争 点 は 以 下 の3 点 である (1) 争 点 1 ある 会 計 慣 行 が 当 該 業 種 において 一 般 化 していた 場 合 その 会 計 慣 行 は 税 法 上 も 認 められるべきか (ア) 原 告 の 主 張 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 は 各 事 業 年 度 の 収 益 の 額 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 処 理 の 基 準 ( 以 下 公 正 妥 当 処 理 基 準 )に 従 って 計 算 されるものとする 旨 定 めているが その 趣 旨 は 課 税 所 得 金 額 の 計 算 に 関 する 規 定 を 法 人 税 法 及 び 同 法 施 行 令 等 において 完 結 的 に 定 めることは 繁 雑 に 過 ぎ かつ 困 難 であることから 企 業 会 計 における 損 益 計 算 が

34 健 全 な 会 計 慣 行 に 基 づいて 適 切 に 処 理 されていれば 法 人 税 の 課 税 所 得 の 金 額 の 計 算 も 企 業 の 損 益 計 算 を 前 提 とすることとし 法 人 税 の 課 税 の 目 的 に 照 らして 企 業 会 計 の 処 理 をそのまま 受 け 入 れることが 適 当 ではな い 部 分 についてだけ 法 人 税 法 に 特 段 の 定 めを 置 いて 規 制 を 加 えるとい うものであると 解 される したがって 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 の 公 正 妥 当 処 理 基 準 とは 税 法 以 前 の 企 業 会 計 の 分 野 におけるものを 指 すと 解 すべきであり ある 会 計 慣 行 が 当 該 業 種 において 一 般 化 していて それが 健 全 な 慣 行 として 継 続 的 に 行 われ かつ 社 会 的 に 認 知 されておりさえすれば 当 該 会 計 慣 行 に 従 っ てなした 申 告 が 不 適 法 となることはない (イ) 被 告 の 主 張 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 が 公 正 妥 当 処 理 基 準 を 定 めた 趣 旨 は 企 業 が 会 計 処 理 において 用 いている 基 準 ないし 慣 行 のうち 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められるものについては それによる 所 得 計 算 を 是 認 するが そうでな いものについては 税 法 上 も 認 めないというものであるから 税 法 解 釈 上 支 障 を 生 じ 公 正 妥 当 な 内 容 の 基 準 であると 認 められない 慣 行 は 同 項 にいう 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 該 当 しないと 解 すべきである (2) 争 点 2 原 告 方 式 は 公 正 妥 当 な 会 計 処 理 基 準 といえるか (ア) 原 告 の 主 張 前 払 式 支 払 手 段 は 発 行 者 がその 前 払 式 支 払 手 段 を 持 参 した 顧 客 に 対 し 券 面 額 まで 商 品 等 を 給 付 する 債 務 を 負 担 したことを 示 すものである から その 発 行 の 際 に 収 受 する 対 価 の 額 の 性 質 は 預 り 金 というべきであ り 原 告 方 式 は 正 規 の 簿 記 の 原 則 に 従 ったものである 現 に 一 般 の 簿 記 の 教 科 書 は 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 時 及 び 商 品 との 引 換 えがされたと きの 経 理 処 理 の 方 法 について 現 在 も 原 告 方 式 による 説 明 をしているの であって このことは 税 務 大 学 校 の 簿 記 の 教 科 書 についても 同 様 である したがって 原 告 方 式 は 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 合 致 するものであり 本

35 件 申 告 の 内 容 は 法 の 規 定 に 合 致 した 適 法 なものである (イ) 被 告 の 主 張 原 告 方 式 によった 場 合 もはや 商 品 の 引 渡 し 等 がなされる 可 能 性 がな い 前 払 式 支 払 手 段 の 対 価 が 永 久 に 預 り 金 名 目 で 負 債 として 計 上 され 続 け ることになるが このような 経 理 処 理 が 妥 当 であるとは 到 底 考 え 難 い したがって 原 告 方 式 は 会 計 理 論 の 面 からみても 妥 当 な 経 理 処 理 の 方 法 であるとはいえず この 点 でも 法 人 税 法 第 22 条 第 4 項 の 公 正 妥 当 処 理 基 準 には 該 当 しない (3) 争 点 3 本 件 通 達 の 処 理 方 式 は 公 正 妥 当 な 処 理 基 準 といえるか (ア) 被 告 の 主 張 本 件 通 達 新 設 後 本 件 事 業 年 度 までの 間 に 20 年 近 くもの 期 間 が 経 過 し ており この 間 に 本 件 通 達 の 定 める 会 計 処 理 の 方 法 ( 以 下 本 節 におい て 通 達 方 式 )は 公 正 で 妥 当 な 会 計 処 理 の 基 準 として 社 会 に 広 く 定 着 する に 至 っている (イ) 原 告 の 主 張 国 税 庁 長 官 の 通 達 によってその 会 計 慣 行 が 当 該 業 種 で 一 般 化 するとは いえないし その 通 達 と 異 なる 取 扱 いが 法 令 の 規 定 に 違 反 するものであ ることにもならない 3 判 決 の 主 旨 ( 抜 粋 ) (1) 公 正 妥 当 処 理 基 準 とは 企 業 会 計 と 税 法 の 関 係 について 検 討 するに 課 税 所 得 は 企 業 による 会 計 処 理 の 結 果 を 基 礎 として これに 税 法 等 を 適 用 して 計 算 されるもので あるから 税 法 以 前 の 概 念 や 原 理 を 前 提 としている 法 22 条 4 項 は 税 法 が 繁 雑 なものとなることを 避 ける 目 的 で 客 観 的 にみて 規 範 性 合 理 性 が あり 公 正 妥 当 な 会 計 処 理 の 基 準 であると 認 められる 方 式 に 基 づいて 所 得 計 算 がなされている 限 り これを 認 めようとするものであると 解 されるが

36 税 法 は 納 税 義 務 の 適 正 な 確 定 及 び 履 行 を 確 保 することを 目 的 としているか ら 適 正 公 平 な 税 収 の 確 保 という 観 点 から 弊 害 を 有 する 会 計 処 理 方 式 は 法 22 条 4 項 にいう 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 該 当 しないというべきである (2) 原 告 方 式 の 問 題 点 商 品 引 換 券 等 が 発 行 された 場 合 残 額 が 僅 少 であるとか 当 初 から 収 集 目 的 で 購 入 した 等 の 理 由 から 顧 客 が 引 換 えをすることなく 死 蔵 したり あるいはカード 自 体 を 紛 失 したり 失 念 したために 長 期 間 引 換 えが なされないまま 発 行 者 において 事 実 上 給 付 義 務 を 免 れることとなる 部 分 が 一 定 の 確 率 で 必 ず 発 生 すると 考 えられるのであって 現 に 証 拠 によれ ば 戦 前 に 発 行 された 商 品 引 換 券 等 が 本 件 通 達 の 制 定 された 昭 和 55 年 ころ まで 預 り 金 処 理 されていたという 事 例 もあったことが 認 められる 原 告 方 式 により 処 理 した 場 合 には 引 換 え 未 了 部 分 に 係 る 発 行 代 金 相 当 額 は 永 久 に 預 り 金 として 処 理 され 続 けることとなるが かかる 事 態 は 企 業 の 会 計 処 理 として 妥 当 なものとはいい 難 い 上 発 行 者 が 事 実 上 確 定 的 な 利 益 を 享 受 するにもかかわらず 税 務 当 局 は 当 該 発 行 代 金 部 分 に 対 する 課 税 をなし 得 なくなるという 税 務 上 重 大 な 弊 害 を 生 ぜしめることが 明 らかであ る (3) 通 達 方 式 の 合 理 性 と 更 正 処 分 要 件 の 有 無 本 件 通 達 の 制 定 後 税 務 会 計 に 関 する 解 説 書 や 税 務 関 係 雑 誌 法 人 税 法 や 基 本 通 達 の 解 説 書 において 原 告 方 式 に 弊 害 があること 及 び 商 品 引 換 券 等 の 発 行 代 金 については 通 達 方 式 によるべきことが 繰 り 返 し 説 明 されて いることが 認 められるところ 本 件 通 達 が 発 せられたのは 昭 和 55 年 であり 本 件 事 業 年 度 までの 間 に 17 年 近 くもの 期 間 が 経 過 していることからすれ ば たとえ 最 近 の 簿 記 の 解 説 書 の 中 に 商 品 引 換 券 等 の 記 帳 処 理 につき( 原 告 主 張 )のような 解 説 をしているものが 依 然 として 存 するとしても 遅 く とも 本 件 事 業 年 度 当 時 においては 税 務 申 告 上 は 原 告 方 式 によらず 通 達 方 式 によるべきこと 及 びその 合 理 性 が 既 に 広 く 知 られていたというべきであ る したがって 原 告 方 式 によりなされた 本 件 申 告 は ( 上 記 (2)の 点 な

37 どからしても) 公 正 妥 当 処 理 基 準 に 合 致 しない 方 式 に 基 づく 申 告 として 国 税 通 則 法 24 条 所 定 の 更 正 の 要 件 を 具 備 していたというべきである (カッ コ 内 は 筆 者 が 加 筆 した ) 商 品 引 換 券 等 の 発 行 代 金 が 発 行 時 において 発 行 者 の 確 定 的 な 収 入 になると 解 することに 会 計 理 論 上 特 段 の 問 題 はな く 通 達 方 式 は 公 正 かつ 妥 当 な 方 法 であると 認 められる 上 企 業 の 会 計 処 理 の 基 準 として 既 に 広 く 知 られていたものとなっていたので あるから このような 通 達 方 式 により 原 告 の 所 得 額 を 算 定 することは 適 法 である

38 第 3 章 前 払 式 支 払 手 段 を 取 り 巻 く 諸 問 題 第 1 節 商 品 等 との 引 換 えの 実 態 業 界 団 体 が 行 った 実 態 調 査 によれば 最 近 の 前 払 式 証 票 の 引 換 状 況 は 表 13 前 払 式 証 票 の 引 換 額 の 推 移 (22) 及 び 表 14 年 度 別 未 使 用 残 高 率 (23) のとお りとなっている この 二 つの 表 は ベースとなる 実 態 調 査 は 同 じであるが 対 象 としている 発 行 法 人 数 が 異 なることから 結 果 として 引 換 率 などに 若 干 の 違 いが 生 じている 表 13 によれば 発 行 から5 年 目 までに 93.96%が 引 き 換 えられるものの 10 年 目 までの5 年 間 も 全 体 の 3.29%に 当 たる 前 払 式 証 票 が 引 き 続 き 引 き 換 えられ 10 年 目 末 での 引 換 率 は 97.25%となっている また 表 14 によれば 発 行 から の3 年 間 に9 割 近 くの 前 払 式 証 票 が 引 き 換 えられる 一 方 で 率 にすれば 若 干 で はあるが その 後 も 引 換 えが 行 われ 10 年 目 末 で 95% 程 度 まで 引 き 換 えられて いることがわかる 実 態 調 査 が 行 われた 平 成 18 年 当 時 の 前 払 式 証 票 は 表 13 及 び 表 14 の2つの 表 から 見 ると 発 行 から5 年 間 程 度 では 引 換 えが 終 了 しておらず 10 年 間 程 度 の 長 期 に 渡 って 継 続 して 引 き 換 えられていると 認 められる ただし 書 方 式 は 発 行 から4 年 目 までは 預 り 金 処 理 を 認 めるものの 5 年 目 の 事 業 年 度 末 で 商 品 の 引 渡 し 又 は 役 務 の 提 供 を 了 していない 前 払 式 証 票 ( 以 下 未 引 換 証 票 )のすべてを 収 益 に 計 上 する 旨 定 めている この 取 扱 いは 本 件 通 達 が 創 設 された 昭 和 55 年 ころの 百 貨 店 の 商 品 券 が 発 行 から5 年 間 でほぼ 全 て が 引 き 換 えられ 未 引 換 残 がほとんど 残 らない 実 態 にあったことや 商 法 522 条 の 定 める 商 事 消 滅 時 効 が5 年 とされていることに 理 由 があったようである (22) 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 ホームページ: 協 会 の 活 動 について: 前 払 式 証 票 の 未 引 換 残 高 の 税 務 処 理 について 別 紙 2(2009.2.2) http://www.maesho.or.jp/attach/zeimushori.2022.pdf (23) 前 掲 注 (1)

39 そうすると 前 払 式 証 票 の 商 品 等 への 引 換 えの 実 態 を 前 提 に 考 えると 本 件 通 達 が 発 行 から5 年 目 末 までに 収 益 計 上 処 理 を 終 わらせる 取 扱 いとの 間 には 乖 離 が 生 じているといえる 表 13 前 払 式 証 票 の 引 換 額 の 推 移 ( 単 位 : 百 万 円 ) 引 換 率 発 行 額 引 換 額 未 引 換 額 未 引 換 率 単 年 度 累 計 1 年 目 発 行 額 61,372 1 年 目 31,828 51.86% 51.86% 29,544 48.14% 2 年 目 17,933 29.22% 81.08% 11,612 18.92% 3 年 目 4,670 7.61% 88.69% 6,941 11.31% 4 年 目 2,142 3.49% 92.18% 4,799 7.82% 5 年 目 1,092 1.78% 93.96% 3,707 6.04% 5 年 目 までの 合 計 57,665 93.96% 6 年 目 687 1.12% 95.08% 3,020 4.92% 7 年 目 497 0.81% 95.89% 2,522 4.11% 8 年 目 393 0.64% 96.53% 2,130 3.47% 9 年 目 245 0.40% 96.93% 1,884 3.07% 10 年 目 196 0.32% 97.25% 1,688 2.75% 10 年 目 までの 合 計 59,684 97.25% 表 14 年 度 別 未 使 用 残 高 率 初 年 度 2 年 目 3 年 目 4 年 目 5 年 目 6 年 目 7 年 目 8 年 目 9 年 目 10 年 目 43.0% 17.3% 11.4% 8.8% 7.4% 6.6% 6.0% 5.4% 5.3% 5.1%

40 第 2 節 引 当 金 計 上 の 厳 格 化 適 正 化 を 求 める 動 き 日 本 公 認 会 計 士 協 会 は 会 社 法 及 び 関 連 法 務 省 令 等 に 対 応 すべき 事 項 を 検 討 し 従 来 の 租 税 特 別 措 置 法 上 の 準 備 金 及 び 特 別 法 上 の 引 当 金 又 は 準 備 金 に 関 す る 記 述 を 整 理 するとともに 企 業 会 計 上 の 引 当 金 である 役 員 退 職 慰 労 引 当 金 等 に 関 して 現 状 の 会 計 慣 行 を 踏 まえた 監 査 上 の 留 意 事 項 を 追 加 し 監 査 第 一 委 員 会 報 告 第 42 号 租 税 特 別 措 置 法 上 の 準 備 金 及 び 特 別 法 上 の 引 当 金 又 は 準 備 金 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い の 改 正 について ( 以 下 改 正 監 査 取 扱 )として 平 成 19 年 4 月 13 日 に 公 表 した 改 正 監 査 取 扱 によれば 負 債 計 上 を 中 止 した 項 目 に 係 る 引 当 金 (24) として 履 行 可 能 性 が 低 いと 判 断 して 一 旦 は 負 債 計 上 を 中 止 した 債 務 について その 後 の 請 求 に 応 じるとすれば 負 債 計 上 中 止 後 であっても 将 来 に 費 用 発 生 の 可 能 性 があることから 企 業 会 計 原 則 注 解 18 の 引 当 金 の 要 件 を 満 たしている 可 能 性 があり リスクの 備 えとして 引 当 金 計 上 の 要 否 を 検 討 する 必 要 があるとしてい る ちなみに 企 業 会 計 原 則 注 解 18 は 1 将 来 の 特 定 の 費 用 又 は 損 失 であって 2その 発 生 が 当 期 以 前 の 事 象 に 起 因 し 3 発 生 の 可 能 性 が 高 く かつその 金 額 を 合 理 的 に 見 積 もることができる 場 合 には 当 期 の 負 担 に 属 する 金 額 を 当 期 の 費 用 又 は 損 失 として 引 当 金 に 繰 り 入 れることを 求 めている (24) 改 正 監 査 取 扱 は 法 律 上 の 債 務 性 が 残 っている 可 能 性 があるものでも 債 務 履 行 の 可 能 性 を 考 慮 して 一 定 の 要 件 を 満 たす 場 合 に 負 債 計 上 を 中 止 ( 利 益 計 上 )する 会 計 処 理 を 行 う 場 合 がある この 場 合 法 律 上 の 債 務 性 の 争 点 があるものの 債 権 者 から 返 還 ( 支 払 ) 請 求 を 受 けた 場 合 は それに 応 じて 返 還 ( 支 払 )している 実 務 が ある これについては 負 債 計 上 の 中 止 処 理 自 体 容 認 できるかどうかの 問 題 はあるも のの 実 務 慣 行 として 定 着 している 場 合 は 最 終 的 に 債 権 者 から 返 還 ( 支 払 ) 請 求 されず 債 務 を 履 行 する 可 能 性 が 低 い 場 合 も 想 定 されるため 負 債 計 上 の 中 止 自 体 を 否 定 する 必 要 はないと 考 えられる しかし 負 債 計 上 の 中 止 処 理 後 将 来 返 還 ( 支 払 ) 請 求 に 応 じた 場 合 費 用 が 発 生 することになるため 引 当 金 の 要 件 を 満 たしてい る 可 能 性 がある このような 会 計 事 象 については 将 来 の 返 還 ( 支 払 )リスクに 対 する 備 えとして 注 解 18 の 引 当 金 計 上 の 要 否 を 検 討 する 必 要 がある なお 当 該 金 額 に 重 要 性 がない 場 合 はこの 限 りではない また 過 去 の 返 還 ( 支 払 ) 実 績 が 把 握 さ れていないなど 金 額 が 合 理 的 に 算 定 できない 場 合 は 返 還 ( 支 払 ) 請 求 時 に 費 用 計 上 することもやむを 得 ないと 判 断 されるが その 場 合 でも 合 理 的 な 算 定 が 可 能 となるよう 早 期 に 対 応 することが 必 要 である という

41 ところで ただし 書 方 式 は 発 行 から 足 掛 け5 年 目 末 に 未 引 換 証 票 に 係 る 預 り 金 処 理 を 中 止 し 全 額 を 収 益 に 計 上 する 旨 定 めているが その 後 に 商 品 等 へ の 引 換 えを 求 められ 引 換 えに 応 じることによって 引 換 費 用 が 発 生 している 実 態 があったとしても 発 行 から 足 掛 け5 年 目 末 において 費 用 の 見 積 計 上 を 認 め ていない また 本 則 方 式 は 発 行 した 事 業 年 度 において 発 行 対 価 の 全 額 を 収 益 に 計 上 するとともに 発 行 から 足 掛 け4 年 目 までの 間 に 限 って 商 品 等 への 引 換 え 費 用 を 見 積 り 損 金 に 計 上 することを 認 めている しかしながら 発 行 から5 年 目 末 には 前 期 に 損 金 計 上 した 見 積 原 価 の 全 額 を 益 金 に 戻 り 入 れるが その 後 に 発 生 する 可 能 性 のある 引 換 原 価 の 見 積 り 計 上 は 認 めていない しかしながら 前 節 において 述 べたとおり 商 品 等 への 引 換 えの 実 態 は 長 期 化 しており また 第 1 章 第 2 節 3( 使 用 期 限 と 消 滅 時 効 )で 述 べたとおり 発 行 者 には 時 効 の 援 用 を 行 わない 商 慣 習 があることから 発 行 から6 年 目 以 降 においても 引 換 費 用 の 発 生 する 可 能 性 は 高 く その 額 を 経 験 則 上 合 理 的 に 見 積 もることは 可 能 である そうすると 発 行 から6 年 目 以 降 についても 将 来 の 引 換 費 用 の 発 生 に 対 する 備 えが 必 要 となり 引 当 金 計 上 の 厳 格 化 適 正 化 を 求 める 立 場 からすると 本 件 通 達 の 取 扱 いについては 何 らかの 対 応 が 求 められることとなる 第 3 節 課 税 実 務 上 の 取 扱 い 本 件 通 達 は これまで 大 きな 改 正 もなく 現 在 に 至 っている しかしながら 本 章 でこれまで 述 べてきたような 問 題 が 指 摘 されることから 前 払 式 証 票 の 発 行 業 者 で 組 織 する 業 界 団 体 は 国 税 庁 に 対 して 税 務 当 局 の 確 認 を 受 けた 年 度 区 分 管 理 方 法 を 採 用 し 長 期 にわたり 発 行 引 換 えの 実 績 管 理 を 行 う 実 務 対 応 が 可 能 で 引 換 えの 実 態 が( 足 掛 け5 年 目 後 も 引 き 続 き 相 当 割 合 の 引 換 えが 進 む) 状 況 にある 場 合 には 足 掛 け5 年 目 以 降 の 各 事 業 年 度 終 了 時 において 実 績 データを 基 礎 として 合 理 的 に 見 積 もられる 将 来 の 引 換 費 用 を 計 上 し 損 金 の 額 に 算 入 できる よう 要 望 した これに 対 し 国 税 当 局 は 業 界 団 体 の 照 会 内

42 容 のとおりの 運 用 解 釈 を 認 める 旨 の 回 答 を 行 っているようである (25) ここで 業 界 団 体 がいう 将 来 の 引 換 費 用 とは 次 の 算 式 で 求 められる 金 額 とされ また この 取 扱 いは 前 払 式 証 票 の 年 度 区 分 を 行 っていることが 前 提 であるから ただし 書 方 式 を 採 用 している 発 行 法 人 が 対 象 となるが 年 度 区 分 管 理 を 行 っている 発 行 法 人 で 原 則 方 式 を 採 用 している 法 人 もあることから 税 務 当 局 の 確 認 を 受 けた 年 度 区 分 管 理 を 行 っているすべての 発 行 法 人 が 対 象 と なる 将 来 の 引 換 費 用 = 発 行 額 ( 各 事 業 年 度 終 了 時 の 未 引 換 残 高 率 - 将 来 にお いて 最 終 的 に 引 換 えが 見 込 まれない 割 合 ) 原 価 率 原 価 率 とは 法 人 税 基 本 通 達 2-2-11( 注 )2で 求 めた 値 この 対 応 策 は 足 掛 け5 年 目 以 降 も 将 来 の 引 換 費 用 の 見 積 額 を 損 金 計 上 する ことが 可 能 となることから 引 換 実 態 などの 問 題 への 対 応 策 として 実 効 性 ある 取 扱 いといえるが 次 のような 問 題 を 指 摘 できる 1 収 益 の 計 上 時 期 は 延 長 できないか 運 用 解 釈 の 処 理 方 法 は 本 件 通 達 同 様 発 行 から 足 掛 け5 年 目 までに 収 益 計 上 することになっているが 引 換 実 態 に 沿 う 処 理 方 法 とするため 収 益 計 上 時 期 そのものを 延 長 することはできないのであろうか 2 引 換 費 用 の 見 積 計 上 は どの 時 点 までか 運 用 解 釈 の 処 理 方 法 は 引 換 費 用 の 見 積 計 上 期 間 の 延 長 を 認 めているが 見 積 計 上 が 認 められる 限 界 はいつまでであろうか 3 年 度 区 分 管 理 を 行 っていない 場 合 は どのようにするか 運 用 解 釈 の 処 理 方 法 を 採 るためには 年 度 区 分 管 理 を 行 うことが 要 件 と されているが 年 度 区 分 管 理 を 行 っていない 場 合 は どのような 救 済 措 置 (25) 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 ホームページ 前 払 式 証 票 の 未 引 換 残 高 の 税 務 処 理 について (2009.2.2)http://www.maesho.or.jp/attach/zeimushori2122.pdf によれば 社 団 法 人 前 払 式 証 票 発 行 協 会 及 び 全 国 共 通 商 品 券 連 絡 協 議 会 は 平 成 20 年 12 月 25 日 国 税 庁 に 対 して 前 払 式 証 票 の 未 引 換 残 高 に 係 わる 収 益 計 上 等 につ いて という 照 会 文 書 を 提 出 し 業 界 団 体 の 求 める 取 扱 いを 認 めるよう 要 請 したと ころ 照 会 内 容 とおりの 運 用 解 釈 をしても 差 し 支 えない 旨 の 回 答 を 得 たとしている

43 が 考 えられるのであろうか 4 退 蔵 収 益 の 取 扱 いは どのようにすべきか 将 来 において 最 終 的 に 引 換 えが 見 込 まれない 前 払 式 支 払 手 段 に 係 る 収 益 ( 以 下 退 蔵 収 益 )は 本 件 通 達 の 取 り 扱 いにおいては 足 掛 け5 年 目 で 収 益 計 上 することになっているが 同 取 扱 いは 適 正 といえるのであろうか 5 チャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 は どのように 取 り 扱 うべきか 運 用 解 釈 の 処 理 方 法 がチャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 にも 認 められるか 否 か は 不 明 である また チャージ 式 前 払 式 支 払 手 段 と 従 来 からの 前 払 式 支 払 手 段 とでは 取 扱 いを 変 える 必 要 性 があるのであろうか 第 4 節 規 制 法 をめぐる 問 題 1 前 払 式 証 票 規 制 法 の 諸 問 題 (1) 法 律 の 適 用 範 囲 に 係 る 問 題 近 年 主 にインターネット 上 での 決 済 に 使 用 することを 目 的 とする 前 払 式 の 決 済 サービスとして サーバー 管 理 型 のサービスが 誕 生 した このサ ーバー 管 理 型 サービスにおいては プリペイド 時 に 受 取 った 証 票 には ID 番 号 や 記 号 等 が 記 載 されているのみで 金 額 物 品 及 び 役 務 の 数 量 等 が 記 載 又 は 記 録 されていない このように サーバー 管 理 型 サービスで 発 行 さ れる 証 票 類 には 前 払 式 証 票 規 制 法 第 2 条 が 定 める 証 票 その 他 の 物 に 記 載 され 又 は 電 磁 的 方 法 により 記 録 されている 金 額 ( 又 は 物 品 又 は 役 務 の 数 量 ) の 表 示 がないことから 同 法 の 定 める 証 票 等 には 該 当 せず 同 サ ービスは 前 払 式 証 票 規 制 法 の 埒 外 になっていた (2) 払 戻 しに 係 る 問 題 前 払 式 証 票 の 多 くは 発 行 業 者 が 定 める 約 款 上 原 則 として 払 戻 しがで きないこととなっているものの 前 払 式 証 票 規 制 法 には 払 戻 しを 禁 止 する 規 定 はない ところで 銀 行 法 ( 昭 和 56 年 法 律 第 59 号 ) 第 2 条 に 定 める 為 替 取 引 の

44 意 義 は 隔 地 者 間 で 直 接 現 金 のやり 取 りをせずに 資 金 移 動 することにある とされている (26) から 仮 に 前 払 式 証 票 の 払 戻 しが 可 能 となれば 受 け 取 った 前 払 式 証 票 を 現 金 化 することによって 為 替 取 引 を 行 ったと 同 じ 結 果 を 生 ずることとなる つまり 払 戻 しが 可 能 な 前 払 式 証 票 を 発 行 すること で 銀 行 を 業 としない 前 払 式 証 票 の 発 行 者 が 銀 行 業 務 の 一 つである 為 替 取 引 を 行 う 結 果 となる さらに 払 戻 しが 可 能 となれば 前 払 式 証 票 は 出 資 の 受 入 れ 預 り 金 及 び 金 利 等 の 取 締 りに 関 する 法 律 ( 昭 和 29 年 法 律 第 295 号 )( 以 下 出 資 法 という )で 禁 止 している 預 り 金 (27) と 同 視 でき るという 側 面 もある このように 前 払 式 証 票 の 払 戻 しが 自 由 に 行 われるとなれば 前 払 式 証 票 を 利 用 して 隔 地 者 間 で 資 金 の 移 動 を 行 うことが 可 能 となり 銀 行 法 及 び 出 資 法 に 抵 触 する 可 能 性 が 生 じることから 前 払 式 証 票 規 制 法 に 払 戻 しの 規 定 がないことは 問 題 があるといわざるを 得 ない 状 態 にあった 2 資 金 決 済 法 の 成 立 (1) 法 改 正 の 動 き 昭 和 63 年 当 時 プリペイドカードの 法 制 度 上 の 論 点 を 幅 広 い 角 度 から 検 討 するため 当 時 の 大 蔵 省 銀 行 局 長 及 び 証 券 局 長 の 私 的 研 究 会 として プ (26) 最 高 裁 昭 和 13 年 3 月 12 日 小 法 廷 決 定 ( 刑 集 55 巻 2 号 97 頁 )は 銀 行 法 2 条 2 項 2 号 は それを 行 う 営 業 が 銀 行 業 に 当 たる 行 為 の 一 つとして 為 替 取 引 を 行 うこ と を 掲 げているところ 同 号 にいう 為 替 取 引 を 行 うこと とは 顧 客 から 隔 地 者 間 で 直 接 現 金 を 輸 送 せずに 資 金 を 移 動 する 仕 組 みを 利 用 して 資 金 を 移 動 するこ とを 内 容 とする 依 頼 を 受 けて これを 引 き 受 けること 又 はこれを 引 き 受 けて 遂 行 することをいうと 解 するのが 相 当 である と 判 示 している (27) 出 資 の 受 入 れ 預 り 金 及 び 金 利 等 の 取 締 りに 関 する 法 律 ( 昭 和 29 年 法 律 第 295 号 )は 第 2 条 1 項 で 業 として 預 り 金 をするにつき 他 の 法 律 に 特 別 の 規 定 がある 者 を 除 く 外 何 人 も 業 として 預 り 金 をしてはならない と 定 め 同 2 項 は 前 項 の 預 り 金 とは 不 特 定 かつ 多 数 の 者 からの 金 銭 の 受 入 れであ ると 定 めている また 金 融 庁 が 定 める 事 務 ガイドラインは 預 り 金 の 該 当 要 件 として 1 不 特 定 かつ 多 数 の 者 が 相 手 であること 2 金 銭 の 受 け 入 れであること 3 元 本 の 返 還 が 約 されてい ること 4 主 として 預 け 主 の 便 宜 のために 金 銭 の 価 額 を 保 管 することを 目 的 とする ものであること の4つのすべてに 該 当 するものとしている

45 リペイド カード 等 に 関 する 研 究 会 が 立 ち 上 げられ 平 成 元 年 2 月 17 日 に 検 討 結 果 が 報 告 されたことを 受 け 平 成 元 年 12 月 に 前 払 式 証 票 規 制 法 が 成 立 し 公 布 されている この プリペイド カード 等 に 関 する 研 究 会 報 告 書 には 第 三 者 発 行 型 では いわば 利 用 者 があらかじめ 資 金 を 発 行 主 体 に 預 けておき 物 品 サービスの 需 要 が 生 じ 給 付 があった 時 点 で 物 品 サービス 給 付 者 への 代 金 支 払 を 指 図 しているのと 同 様 の 効 果 を 持 っており 当 座 預 金 による 資 金 決 済 に 極 めて 類 似 した 機 能 を 持 つとも 考 えられる この 点 で 第 三 者 発 行 型 プ リペイドカードの 発 行 主 体 は 金 融 機 関 に 類 似 していると 考 えられる との 記 述 があり 当 時 から 前 払 式 証 票 の 為 替 取 引 との 類 似 点 に 関 する 問 題 点 は 指 摘 されていた このような 中 通 称 電 子 マネーと 呼 ばれるチャージ 式 の 前 払 式 支 払 手 段 は 入 金 と 出 金 が 繰 り 返 し 行 われ また 多 くの 店 舗 で 自 由 に 商 品 等 と 交 換 できることなどの 利 便 性 もあいまって ますます 利 用 が 拡 大 している 一 方 小 口 の 資 金 決 済 に 関 しては 近 年 の 情 報 通 信 技 術 の 革 新 やインター ネットの 普 及 等 により 前 払 式 支 払 手 段 のほかにも 銀 行 とは 異 なる 新 た な 資 金 決 済 サービスが 普 及 発 達 していることから 将 来 の 経 済 成 長 の 原 動 力 となる 革 新 的 な 変 化 (イノベーション)を 期 待 して 銀 行 を 業 としな い 者 にも 為 替 取 引 が 可 能 な 環 境 を 用 意 するための 法 改 正 が 望 まれた このような 経 緯 から 1 前 払 式 支 払 手 段 に 関 する 諸 問 題 を 法 制 度 面 から 整 備 すること 2 送 金 業 務 を 金 融 機 関 以 外 の 業 態 にも 認 める 法 制 度 を 導 入 すること などを 主 な 内 容 とする 資 金 決 済 法 が 平 成 22 年 4 月 1 日 に 施 行 さ れている (2) 資 金 決 済 法 の 主 な 内 容 イ サーバー 管 理 型 サービスの 規 制 対 象 化 前 払 式 証 票 規 制 法 は 金 額 や 数 量 などの 価 値 が 紙 磁 気 カード 及 び IC カードなどの 証 票 に 記 録 されているもののみに 適 用 されることから サ ーバー 内 に 価 値 が 記 録 されるサーバー 管 理 型 サービスは 適 用 の 対 象 とな

46 らなかった しかし 証 票 に 記 録 する 形 式 及 びサーバー 管 理 型 サービス のいずれもが 前 払 式 の 支 払 手 段 である 点 については 共 通 しており 両 者 の 違 いは 経 済 的 価 値 の 記 録 保 存 方 法 のみである そこで 資 金 決 済 法 は 前 払 式 証 票 規 制 法 における 前 払 式 証 票 に 代 え 前 払 式 支 払 手 段 という 新 たな 概 念 を 定 義 し( 資 金 決 済 法 第 3 条 1 項 ) 前 払 式 支 払 手 段 の 範 囲 を 従 来 の 前 払 式 証 票 のほかにサー バー 管 理 型 サービスにおける 支 払 手 段 なども 加 え( 資 金 決 済 法 第 3 条 1 項 1 2 号 ) 規 制 の 対 象 を 拡 大 した ロ 払 戻 しの 原 則 禁 止 前 払 式 支 払 手 段 の 払 戻 しが 自 由 にできる 場 合 の 問 題 点 は 既 に 述 べた そこで 資 金 決 済 法 では 発 行 業 務 の 廃 止 など 一 定 の 例 外 的 な 場 合 を 除 き 前 払 式 支 払 手 段 を 払 戻 し 禁 止 規 定 ( 資 金 決 済 法 第 20 条 2 項 )が 創 設 されている 例 外 的 に 払 戻 しを 認 める 場 合 として 1 業 務 の 全 部 又 は 一 部 の 廃 止 などの 場 合 ( 同 法 第 20 条 1 項 1 号 ) 2 第 三 者 型 の 発 行 者 が 法 人 ではない 場 合 営 利 を 目 的 としていない 法 人 の 場 合 及 び 純 資 産 額 が 少 ないことを 理 由 に 登 録 を 取 り 消 された 場 合 ( 同 法 第 20 条 1 項 2 項 及 び3 項 )などのほか 特 定 の 地 域 に 限 定 して 利 用 される 前 払 式 支 払 手 段 など も 払 戻 しが 可 能 となる 模 様 である (28) ハ 資 金 移 動 業 の 創 設 現 在 為 替 取 引 を 行 うことができるのは 銀 行 法 上 の 免 許 を 得 た 銀 行 その 他 の 預 金 取 扱 金 融 機 関 のみとなっているが 銀 行 等 が 行 う 送 金 業 務 (28) 杉 浦 宣 彦 前 払 式 支 払 手 段 をめぐる 法 制 度 の 現 状 と 今 後 の 課 題 ジュリスト 1391 号 (2009)26 頁 同 氏 は 資 金 決 済 法 でも 前 払 式 支 払 手 段 の 払 戻 しを 原 則 禁 止 す ることが 明 らかにされた(20 条 2 項 ) しかし 同 項 ただし 書 で ただし 払 戻 金 額 が 少 額 である 場 合 その 他 の 前 払 式 支 払 手 段 の 発 行 の 業 務 の 健 全 な 運 営 に 支 障 が 生 ず るおそれがない 場 合 として 内 閣 府 令 で 定 める 場 合 は この 限 りでない として 払 戻 しの 例 外 が 認 められることが 明 らかになった つまり 送 金 に 利 用 することを 目 的 とした 前 払 式 支 払 手 段 は 預 り 金 や 為 替 取 引 に 該 当 するため 許 されないものの 払 戻 金 額 が 少 額 である 場 合 ( 例 えば 地 域 限 定 のプリペイドカードの 払 戻 し 等 )などに ついては 許 されるのではないかと 考 えられる という