目 次 1. 事 案 の 概 要 2. 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 の 概 要 3. 他 国 における 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 4. 特 定 機 器 該 当 性 5. 法 104 条 の5 所 定 の 協 力 義 務 の 法 的 性 質 6. 不 法 行 為 に



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必 要 なものとして 政 令 で 定 める 原 材 料 等 の 種 類 及 びその 使 用 に 係 る 副 産 物 の 種 類 ごとに 政 令 で 定 める 業 種 をいう 8 この 法 律 において 特 定 再 利 用 業 種 とは 再 生 資 源 又 は 再 生 部 品 を 利 用 することが

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

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4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

(5) 事 業 者 等 自 転 車 及 び 自 動 車 の 製 造 輸 入 販 売 又 は 修 理 を 業 として 行 っている 者 及 びそ れらの 者 の 団 体 並 びにその 他 の 事 業 者 をいう (6) 所 有 者 等 自 動 車 の 所 有 権 占 有 権 若 しくは 使 用 権 を

を 行 わなければならない 適 正 な 運 用 方 針 を 厳 格 に 運 用 することによっては じめて 人 がみだりにその 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 の 保 護 と 犯 罪 発 生 の 抑 止 という 防 犯 カメラの 設 置 目 的 との 調 和 が 実 現 され

定款

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

住 民 監 査 請 求 に 係 る 監 査 結 果 第 1 請 求 の 受 付 1 請 求 の 受 付 日 平 成 25 年 10 月 15 日 2 請 求 人 ( 省 略 ) 3 請 求 の 趣 旨 ( 原 文 のまま 掲 載 ) 請 求 の 要 旨 阿 波 町 大 道 北 54 番 地 1 と

(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

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損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

弁護士報酬規定(抜粋)

若 しくは 利 益 の 配 当 又 はいわゆる 中 間 配 当 ( 資 本 剰 余 金 の 額 の 減 少 に 伴 うものを 除 きます 以 下 同 じです )を した 場 合 には その 積 立 金 の 取 崩 額 を 減 2 に 記 載 す るとともに 繰 越 損 益 金 26 の 増 3 の

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積 み 立 てた 剰 余 金 の 配 当 に 係 る 利 益 準 備 金 の 額 は 利 益 準 備 金 1 の 増 3 に 記 載 します ⑸ 平 成 22 年 10 月 1 日 以 後 に 適 格 合 併 に 該 当 しない 合 併 により 完 全 支 配 関 係 がある 被 合 併 法 人 か

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

(10) 本 工 事 の 契 約 締 結 日 において 現 場 代 理 人 を 工 事 現 場 に 常 駐 で 配 置 し 得 ること ただし 本 入 札 の 一 般 競 争 入 札 参 加 申 込 書 の 提 出 日 現 在 において 3カ 月 以 上 直 接 的 かつ 恒 常 的 な 雇 用 関

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固定資産評価審査申出とは

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

<4D F736F F D F936F985E8C9A927A95A892B28DB88B408AD68BC696B18B4B92F E646F63>

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

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平成22年度

●労働基準法等の一部を改正する法律案

1

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

は し が き

現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

答申書

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

入札公告 機動装備センター

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解 第 1 説 源 泉 徴 収 について (1) 弁 護 士 報 酬 に 関 する 源 泉 徴 収 弁 護 士 の 業 務 に 関 する 報 酬 又 は 料 金 は 所 得 税 法 204.1により 源 泉 徴 収 の 対 象 と されています ( ) そして この 報 酬 又 は 料 金 について

Taro-別紙1 パブコメ質問意見とその回答

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

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人 に 使 用 される 者 としての 勤 続 期 間 を 当 該 職 員 となつた 者 の 職 員 としての 勤 続 期 間 に 通 算 することと 定 められている 法 人 に 限 る )をいう 3 第 一 項 の 退 職 手 当 通 算 予 定 職 員 とは 任 命 権 者 又 はその 委 任

H28記入説明書(納付金・調整金)8

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

基 準 地 価 格 3 年 に1 度 審 議 直 近 ではH23 年 12 月 に 審 議 土 地 評 価 替 えの 流 れと 固 定 資 産 評 価 審 議 会 基 準 地 とは 土 地 評 価 の 水 準 と 市 町 村 間 の 均 衡 を 確 保 するための 指 標 となるものであり 各 市


接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

キ 短 時 間 労 働 者 の 雇 用 管 理 の 改 善 等 に 関 する 法 律 ( 平 成 5 年 法 律 第 76 号 ) ク 労 働 契 約 法 ( 平 成 19 年 法 律 第 128 号 ) ケ 健 康 保 険 法 ( 大 正 11 年 法 律 第 70 号 ) コ 厚 生 年 金 保

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関税評価

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製 造 業 者 は 製 造 販 売 業 者 の 管 理 監 督 の 下 適 切 な 品 質 管 理 を 行 い 製 品 を 製 造 します なお 製 造 業 は 製 造 に 特 化 した 許 可 となっており 製 造 業 の 許 可 のみでは 製 品 を 市 場 に 出 荷 することはできま せん

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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の 基 礎 の 欄 にも 記 載 します ア 法 人 税 の 中 間 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場 合 は 中 間 イ 法 人 税 の 確 定 申 告 書 ( 退 職 年 金 等 積 立 金 に 係 るものを 除 きます ) 又 は 連 結 確 定 申 告 書 に 係 る 申 告 の 場

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第1章 総則

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

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( 運 用 制 限 ) 第 5 条 労 働 基 準 局 は 本 システムの 維 持 補 修 の 必 要 があるとき 天 災 地 変 その 他 の 事 由 によりシステムに 障 害 又 は 遅 延 の 生 じたとき その 他 理 由 の 如 何 を 問 わず その 裁 量 により システム 利 用 者

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

した 開 示 決 定 等 に 当 たっては, 法 11 条 を 適 用 して, 平 成 23 年 5 月 13 日 まで 開 示 決 定 等 の 期 限 を 延 長 し, 同 年 4 月 11 日 付 け 防 官 文 第 号 により,1 枚 目 を 一 部 開 示 した そして, 同 年

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第 4 条 (1) 使 用 者 は 2 年 を 超 えない 範 囲 内 で( 期 間 制 勤 労 契 約 の 反 復 更 新 等 の 場 合 は その 継 続 勤 労 した 総 期 間 が2 年 を 超 えない 範 囲 内 で) 期 間 制 勤 労 者 を 使 用 することができる ただ し 次 の

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

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私 的 録 音 録 画 補 償 金 事 件 判 決 について 中 小 路 大 大 軒 敬 子 園 部 正 人

目 次 1. 事 案 の 概 要 2. 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 の 概 要 3. 他 国 における 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 4. 特 定 機 器 該 当 性 5. 法 104 条 の5 所 定 の 協 力 義 務 の 法 的 性 質 6. 不 法 行 為 に 基 づく 損 害 賠 償 義 務 の 有 無 7. 被 告 各 製 品 の 販 売 による 補 償 金 請 求 権 の 侵 害 の 有 無

1. 事 案 の 概 要 控 訴 審 判 決 知 財 高 判 平 23.12.22 平 23(ネ)10008 号 第 一 審 判 決 東 京 地 判 平 22.12.27 平 21(ワ)40387 号 一 審 原 告 : 私 的 録 画 補 償 金 を 受 ける 権 利 を 行 使 することができる 唯 一 の 指 定 管 理 団 体 ( 一 般 社 団 法 人 私 的 録 画 補 償 金 管 理 協 会 :SARVH) 一 審 被 告 : 地 上 デジタル 放 送 用 BSデジタル 放 送 用 及 び 東 経 110 度 CSデジタル 放 送 用 の チューナーを 搭 載 するのみで アナログ 放 送 用 のチューナーを 搭 載 していないDVD 録 画 機 器 (アナログチューナー 非 搭 載 DVD 録 画 機 器 被 告 各 製 品 )を 製 造 する 製 造 業 者 で 当 該 録 画 機 器 に 関 する 私 的 録 画 補 償 金 相 当 額 を 上 乗 せ 徴 収 せず 支 払 っていない 者 ( 東 芝 ) 一 審 原 告 が 著 作 権 法 104 条 の5の 協 力 義 務 の 履 行 として 又 は 協 力 義 務 違 反 の 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 として 被 告 各 製 品 に 関 する 私 的 録 画 補 償 金 相 当 額 の 支 払 い 請 求 を 行 った ( 平 成 24 年 11 月 8 日 上 告 棄 却 )

2. 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 の 概 要 電 子 情 報 技 術 産 業 協 会 ( J E I T A ) 日 本 記 録 メ デ ィ ア 工 業 会 ( J R I A ) 消 費 者 ( 支 払 義 務 者 ) 製 造 業 者 輸 入 業 者 指 定 管 理 団 体 私 的 録 音 補 償 金 管 理 協 会 ( S A R A H ) 私 的 録 画 補 償 金 管 理 協 会 ( S A R V H ) 権 利 者 分 配 金 共 通 目 的 基 金 ( 2 0 % )

2. 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 の 概 要 指 定 管 理 団 体 のみが 私 的 録 音 録 画 補 償 金 を 受 ける 権 利 を 有 する( 法 104 条 の2 第 1 項 ) 裁 判 上 裁 判 外 の 行 為 を 行 う 権 限 を 有 する( 同 条 2 項 ) 特 定 機 器 特 定 記 録 媒 体 の 購 入 者 が 支 払 義 務 を 負 う( 法 104 条 の4 第 1 項 ) 特 定 機 器 特 定 記 録 媒 体 の 製 造 又 は 輸 入 を 業 とする 者 は 私 的 録 音 録 画 補 償 金 の 支 払 の 請 求 及 びその 受 領 に 関 し 協 力 しなければならない( 法 104 条 の5) 補 償 金 の 額 は 文 化 庁 長 官 の 認 可 事 項 ( 法 104 条 の6) 補 償 金 の20%は 著 作 権 等 の 保 護 に 関 する 事 業 等 のために 支 出 しなければな らない( 法 104 条 の8)

3. 他 国 における 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 1965 年 ドイツ( 当 時 の 西 ドイツ)が 私 的 録 音 補 償 金 制 度 を 採 用 著 作 権 先 進 国 を 中 心 に 日 本 を 含 めて25カ 国 で 同 制 度 を 導 入 (2008 年 1 月 現 在 ) 補 償 金 の 対 象 は 録 画 機 器 記 録 媒 体 の 一 方 または 双 方 ( 国 により 異 な る) 補 償 金 の 額 は 定 額 料 率 アナログとデジタルで 金 額 設 定 が 異 なる 場 合 もあ る( 国 により 異 なる) イギリスでは 私 的 複 製 そのものが 原 則 違 法 私 的 録 音 録 画 補 償 金 制 度 は ない

省 略

3(1)ドイツの 私 的 録 音 補 償 金 制 度 対 象 :アナログ デジタルの 録 音 録 画 の 機 器 記 憶 媒 体 MP3プレーヤー (ipodなど)も 含 む 補 償 金 支 払 者 : 製 造 業 者 輸 入 業 者 ( 日 本 は 機 器 記 憶 媒 体 の 購 入 者 ) 請 求 権 行 使 者 : 集 中 管 理 団 体

3(2)フランス 対 象 は アナログ デジタルの 録 音 録 画 媒 体 MP3プレーヤー USBメモリー カード HDも 含 む 機 器 は 対 象 外 補 償 金 支 払 者 : 製 造 業 者 輸 入 業 者 ( 日 本 は 機 器 記 憶 媒 体 の 購 入 者 ) 請 求 権 行 使 者 : 集 中 管 理 団 体 ( 使 用 料 徴 収 分 配 協 会 )

3(3) 米 国 の 私 的 録 音 補 償 金 制 度 デジタル 家 庭 内 録 音 法 (Audio Home Recording Act, AHRA ) デジタル 録 音 の 機 器 媒 体 のみが 対 象 録 画 は 対 象 外 権 利 者 は 映 像 にコピーガードをかけており 私 的 目 的 でも 録 画 されないように 対 応 補 償 金 支 払 者 : 製 造 業 者 輸 入 業 者 ( 日 本 は 機 器 記 憶 媒 体 の 購 入 者 ) 請 求 権 行 使 者 : 著 作 権 局 長

4. 特 定 機 器 該 当 性 著 作 権 法 30 条 2 項 特 定 機 器 :デジタル 方 式 の 録 音 又 は 録 画 の 機 能 を 有 する 機 器 であって 政 令 で 定 めるもの(1 放 送 等 の 業 務 用 の 特 別 の 性 能 を 有 するもの 2 本 来 の 機 能 に 附 属 する 機 能 として 録 音 又 は 録 画 の 機 能 を 有 するものを 除 く) 特 定 記 録 媒 体 : 当 該 機 器 によるデジタル 方 式 の 録 音 又 は 録 画 の 用 に 供 され る 記 録 媒 体

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 録 音 機 器 著 作 権 法 施 行 令 第 1 条 第 1 項 法 第 30 条 第 2 項 の 政 令 で 定 める 機 器 のうち 録 音 の 機 能 を 有 するものは 次 に 掲 げる 機 器 ( 他 の 機 器 との 間 の 音 の 信 号 に 係 る 接 続 の 方 法 で 法 第 30 条 第 2 項 の 特 別 の 性 能 を 有 する 機 器 に 用 いるものとして 文 部 科 学 省 令 で 定 めるものを 用 いる 機 器 を 除 く )であつて 主 として 録 音 の 用 に 供 するもの( 次 項 に 規 定 するものを 除 く )とする DAT(デジタル オーディオ テープレコーダー) 回 転 ヘッド 技 術 を 用 いた 磁 気 的 方 法 に より 32キロヘルツ 44.1キロヘルツ 又 は48キロヘルツの 標 本 化 周 波 数 ( 後 述 )でアナログデジタ ル 変 換 ( 後 述 )が 行 われた 音 を 幅 が3.81ミリメートルの 磁 気 テープに 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (1 項 1 号 ) 固 定 ヘッド 技 術 を 用 いた 磁 気 的 方 法 により 32キ ロヘルツ 44.1キロヘルツ 又 は48キロヘルツの 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 われた 音 を 幅 が3.78ミリメートルの 磁 気 テープに 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (1 項 2 号 ) DCC(デジタル コンパクト カセット) MD(ミニ ディスク) 磁 気 的 かつ 光 学 的 方 法 により 44.1キロヘルツの 標 本 化 周 波 数 でアナ ログデジタル 変 換 が 行 われた 音 を 直 径 が64ミリメートルの 光 磁 気 ディスクに 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (1 項 3 号 ) オーディオ 用 CD-R(コンパクトディスク レコーダブル) オーディオ 用 CD-RW(コン パクトディスク リライタブル) 光 学 的 方 法 により 44.1キロヘルツの 標 本 化 周 波 数 でアナロ グデジタル 変 換 が 行 われた 音 を 直 径 が80ミリメートル 又 は120ミリメートルの 光 ディスク( 一 枚 の 基 板 からなるものに 限 る )に 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (1 項 4 号 )

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 録 画 機 器 同 施 行 令 第 1 条 第 2 項 法 第 30 条 第 2 項 の 政 令 で 定 める 機 器 のうち 録 画 の 機 能 を 有 するものは 次 に 掲 げる 機 器 (ビデオカメラとしての 機 能 を 併 せ 有 するものを 除 く )であつて 主 として 録 画 の 用 に 供 するもの(デジタル 方 式 の 録 音 の 機 能 を 併 せ 有 するものを 含 む )とする DVCR(デジタル ビデオ カセット レコーダー) 回 転 ヘッド 技 術 を 用 いた 磁 気 的 方 法 により その 輝 度 については13.5メガヘルツの 標 本 化 周 波 数 で その 色 相 及 び 彩 度 については3.375メガヘルツの 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 われた 影 像 を 幅 が6.35ミリメートルの 磁 気 テープ( 幅 奥 行 及 び 高 さが125ミリメートル 78ミリ メートル 及 び14.6ミリメートルのカセットに 収 容 されているものに 限 る )に 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 D-VHS(データ ビデオ ホーム システム) 回 転 ヘッド 技 術 を 用 いた 磁 気 的 方 法 に より いずれの 標 本 化 周 波 数 によるものであるかを 問 わずアナログデジタル 変 換 が 行 わ れた 影 像 を 幅 が12.65ミリメートルの 磁 気 テープに 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (2 項 2 号 )

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 録 画 機 器 DVD 等 光 学 的 方 法 により 特 定 の 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 わ れた 影 像 又 はいずれの 標 本 化 周 波 数 によるものであるかを 問 わずアナログデジタル 変 換 が 行 われた 影 像 を 直 径 が120ミリメートルの 光 ディスク(レーザー 光 が 照 射 される 面 から 記 録 層 までの 距 離 が0.6ミリメートルのものに 限 る )であつて 次 のいずれか 一 に 該 当 するものに 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (2 項 3 号 ) イ 記 録 層 の 渦 巻 状 の 溝 がうねつておらず かつ 連 続 していないもの MVDISC (マルチメディア ビデオ ディスク)? ロ 記 録 層 の 渦 巻 状 の 溝 がうねつており かつ 連 続 しているもの DVD-RW (デジタル バーサタイル ディスク リライタブル) DVD+RW(デジタル バーサタイ ル ディスク リライタブル) ハ 記 録 層 の 渦 巻 状 の 溝 がうねつており かつ 連 続 していないもの DVD-RAM (デジタル バーサタイル ディスク ランダム アクセス メモリ)

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 録 画 機 器 Blu-ray(ブルーレイ ディスク レコーダー) 光 学 的 方 法 ( 波 長 が405ナノ メートルのレーザー 光 を 用 いることその 他 の 文 部 科 学 省 令 で 定 める 基 準 に 従 う ものに 限 る )により 特 定 の 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 われ た 影 像 又 はいずれの 標 本 化 周 波 数 によるものであるかを 問 わずアナログデジタ ル 変 換 が 行 われた 影 像 を 直 径 が120ミリメートルの 光 ディスク(レーザー 光 が 照 射 される 面 から 記 録 層 までの 距 離 が0.1ミリメートルのものに 限 る )であつ て 前 号 ロに 該 当 するものに 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 (2 項 4 号 )

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 特 定 記 録 媒 体 著 作 権 法 施 行 令 第 1 条 の2 法 第 30 条 第 2 項 の 政 令 で 定 める 記 録 媒 体 のうち 録 音 の 用 に 供 されるものは 前 条 第 一 項 に 規 定 する 機 器 によるデジタル 方 式 の 録 音 の 用 に 供 される 同 項 各 号 に 規 定 する 磁 気 テープ 光 磁 気 ディスク 又 は 光 ディスク( 小 売 に 供 された 後 最 初 に 購 入 する 時 に 録 音 されていないもの に 限 る )とする 法 第 30 条 第 2 項 の 政 令 で 定 める 記 録 媒 体 のうち 録 画 の 用 に 供 されるも のは 前 条 第 二 項 に 規 定 する 機 器 によるデジタル 方 式 の 録 画 (デジタル 方 式 の 録 音 及 び 録 画 を 含 む )の 用 に 供 される 同 項 各 号 に 規 定 する 磁 気 テープ 又 は 光 ディスク( 小 売 に 供 された 後 最 初 に 購 入 する 時 に 録 画 されていないもの に 限 る )とする 2

4. 特 定 機 器 該 当 性 -デジタルアナログ 変 換 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 われた 音 / 影 像 を に 固 定 / 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 アナログデジタル 変 換 :アナログ 信 号 をデジタル 信 号 に 変 換 すること 標 本 化 周 波 数 :1ヘルツは 1 秒 間 に1 回 の 周 波 数 振 動 数 鈴 木 啓 一 郎 =アイティ アシスト

4. 特 定 機 器 該 当 性 -デジタルアナログ 変 換 DATの 場 合 音 声 (アナログ) 電 気 信 号 (アナログ) A/Dコンバーター デジタル 信 号 磁 気 テープに 録 音 磁 気 テープ 読 み 取 り デジタル 信 号 D/Aコンバーター 電 気 信 号 (アナログ) アナログ 放 送 の 録 音 機 器 の 場 合 アナログ 放 送 信 号 (アナログ) A/Dコンバーター デジタル 信 号 DVD 等 に 録 画 被 告 各 製 品 の 場 合 地 デジ 放 送 信 号 等 (デジタル) 暗 号 解 除 DVD 等 に 録 画 地 デジ 放 送 信 号 撮 影 対 象 音 (アナログ) (ベータカム(アナログ 信 号 )) A/Dコンバーター デジタル 信 号

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 第 一 審 の 判 断 施 行 令 1 条 2 項 3 号 の アナログデジタル 変 換 が 行 われた 影 像 との 文 言 は 変 換 処 理 が 行 われる 場 所 がその 機 器 内 で 行 われたものか それ 以 外 の 場 所 で 行 われたものかについては 何 ら 規 定 していないのであるから そのような 変 換 処 理 が 行 われる 場 所 の 如 何 に 関 わらず アナログ 信 号 をデジタル 信 号 に 変 換 する 処 理 が 行 われた 影 像 を 意 味 すると 解 するのが 相 当 であるとし 被 告 各 製 品 の 特 定 機 器 該 当 性 を 肯 定 した

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 控 訴 審 の 判 断 著 作 権 法 30 条 2 項 に 基 づき 政 令 で 録 音 録 画 機 器 ( 特 定 機 器 )の 範 囲 を 定 めるには, その 当 時 利 用 されていた 機 器 が 対 象 とする 録 音 録 画 源 と 録 音 録 画 規 格 を 前 提 にし, 当 該 録 音 録 画 機 器 の 普 及 の 状 況 や 利 用 実 態 が 検 討 され, 関 係 者 の 協 議 等 に 基 づく 合 意 の 程 度 が 勘 案 されてきたものであるところ, 著 作 権 法 施 行 令 1 条 2 項 に3 号 が 追 加 された 当 時, 録 画 源 がアナログテレビ 放 送 である ことが 念 頭 に 置 かれ,この 録 画 源 についてDVD 録 画 が 行 われる 機 器 を 録 画 補 償 金 の 対 象 とする 点 で 関 係 者 の 大 方 の 合 意 が 得 られたことから, 同 号 の 追 加 が 閣 議 決 定 されたものであ ると 認 定 し, 同 号 所 定 の アナログデジタル 変 換 によって 行 われた 影 像 を 連 続 して 固 定 する 機 能 を 有 する 機 器 との 要 件 は,アナログ 放 送 をデジタル 変 換 して 録 画 が 行 われることを 規 定 したものであり, しかも,この 変 換 は,DVD 録 画 機 器 に 搭 載 されるアナログチューナーからのアナログ 信 号 を 対 象 にするものであるから, 当 該 機 器 においてアナログチューナーを 搭 載 しないDVD 録 画 機 器 については,アナログデジタル 変 換 が 行 われず,したがって3 号 該 当 性 は 否 定 される

4. 特 定 機 器 該 当 性 - 控 訴 審 の 判 断 について 立 法 者 は 施 行 令 1 条 1 項 1 号 の 録 音 機 器 を 特 定 する 要 件 としての アナログデジタル 変 換 が 行 われた につき 場 所 的 限 定 がないことを 規 定 の 文 言 によって 示 したと 積 極 的 に 明 らかにしている 平 成 11 年 には 施 行 令 1 条 2 項 2 号 が 改 正 され デジタル 衛 星 放 送 をそのまま 録 画 す るD-VHS 録 画 機 器 が 補 償 金 の 対 象 とされていた また 平 成 12 年 12 月 1 日 からBS デジタル 放 送 の 開 始 が 決 定 しており 地 上 デジタル 放 送 に 移 行 することも 決 定 していた ( 施 行 令 1 条 2 項 3 号 が 追 加 されたのは 平 成 12 年 7 月 ) 施 行 令 1 条 2 項 3 号 に 特 定 の 標 本 化 周 波 数 でアナログデジタル 変 換 が 行 われた 影 像 と いずれの 標 本 化 周 波 数 によるものであるかを 問 わずアナログデジタル 変 換 が 行 われた 影 像 が 併 記 されており 仮 に 前 者 が 機 器 内 部 でA/D 変 換 をするものだとして も 後 者 は 他 の 機 器 でA/D 変 換 した 映 像 を 意 味 するのではないか CG 等 最 初 からデジタルで 制 作 された 放 送 用 コンテンツや フルデジタルカメラによって 撮 影 された 映 像 は アナログデジタル 変 換 が 一 度 もされていないのではないか?

5. 法 104 条 の5 所 定 の 協 力 義 務 の 法 的 性 質 第 1 審 協 力 という 用 語 は 抽 象 的 で 広 範 な 内 容 を 包 含 しうる 用 語 であり 特 定 の 具 体 的 な 行 為 を 想 定 できない 法 104 条 の5においても 協 力 の 具 体 的 な 行 為 ないし 内 容 が 特 定 されていない 法 第 5 章 のその 他 の 規 定 を 見 ても 上 記 の 協 力 の 内 容 を 具 体 的 に 特 定 する 旨 の 規 定 はない このように 法 104 条 の5においては 特 定 機 器 の 製 造 業 者 等 において しなければならない も のとされる 行 為 が, 具 体 的 に 特 定 して 規 定 されていないのであるから, 同 条 の 規 定 をもって, 特 定 機 器 の 製 造 業 者 等 に 対 し, 原 告 が 主 張 するような 具 体 的 な 行 為 (すなわち, 特 定 機 器 の 販 売 価 格 に 私 的 録 画 補 償 金 相 当 額 を 上 乗 せして 出 荷 し, 利 用 者 から 当 該 補 償 金 を 徴 収 して, 原 告 に 対 し 当 該 補 償 金 相 当 額 の 金 銭 を 納 付 すること( 以 下 上 乗 せ 徴 収 納 付 という ))を 行 うべ き 法 律 上 の 義 務 を 課 したものと 解 することは 困 難 というほかなく, 法 的 強 制 力 を 伴 わない 抽 象 的 な 義 務 としての 協 力 義 務 を 課 したものにすぎないと 解 するのが 相 当 である

5. 法 104 条 の5 所 定 の 協 力 義 務 の 法 的 性 質 控 訴 審 上 乗 せ 徴 収 納 付 形 式 を 前 提 にして 制 定 されたものであるが 法 文 上 一 義 的 に 明 確 ではない その 他 の 方 法 もあり 得 る よって 協 力 義 務 の 履 行 請 求 はで きない

6. 不 法 行 為 に 基 づく 損 害 賠 償 義 務 の 有 無 第 1 審 法 的 強 制 力 を 伴 わない 抽 象 的 な 義 務 としての 協 力 義 務 を 履 行 しなかったこ とについて, 不 法 行 為 としての 違 法 性 が 認 められるとはいえない 控 訴 審 上 乗 せ 徴 収 納 付 形 式 により 徴 収 支 払 いが 行 われてきた 実 態 協 力 義 務 が 規 定 されていること 認 可 につき 製 造 業 者 の 意 見 を 聞 くこととされていることか らして 協 力 しない 場 合 違 反 に 至 った 経 緯 や 態 様 によっては 指 定 管 理 団 体 が 被 った 損 害 を 賠 償 する 場 合 があり 得 る

7. 被 告 各 製 品 の 販 売 による 補 償 金 請 求 権 の 侵 害 の 有 無 第 1 審 私 的 録 画 補 償 金 相 当 額 を 上 乗 せせずに 被 告 各 製 品 を 販 売 した 被 告 の 行 為 が, 不 法 行 為 としての 違 法 性 を 有 するものと 評 価 されるためには, 少 なくとも, 被 告 に, 被 告 各 製 品 を 販 売 するに 当 たって 私 的 録 画 補 償 金 相 当 額 を 上 乗 せして 販 売 しなければならない 法 的 な 作 為 義 務 があることが 前 提 とされなければならない 法 104 条 の5の 協 力 義 務 の 法 的 性 質 からすれば, 同 条 の 協 力 義 務 が, 被 告 の 法 的 な 作 為 義 務 の 根 拠 とならないことは 明 らかであり,また,そのほかに,かかる 作 為 義 務 が 生 ずべき 法 律 上 の 根 拠 も 認 められない 控 訴 審 特 定 機 器 に 当 たらないと 認 定 されているので 判 断 されていない