vol SPRING 特集地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~

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学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

< 基本方針 > 一般社団法人移住 交流推進機構 ( 以下 JOIN という ) は 地方に新しい生活や人生の可能性を求めて移住 交流を希望する方々への情報発信や そのニーズに応じた地域サービスを提供するシステムを普及することにより 都市から地方への移住 交流を推進し 人口減少社会における地方の振興

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

01-02_入稿_0415

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち


第3節 重点的な取り組み

各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

宮城の将来ビジョン 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 富県宮城の実現 ~ 県内総生産 10 兆円への挑戦 ~ 認知度集計表 ( 回答者属性別 ) 内容について知っている 言葉は聞いたことがある 効知らない ( はじめて聞く言葉である ) 県全体 度数 ,172

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

平成 31 年 3 月 20 日更新 全国女性の参画マップ 平成 30 年 12 月作成 内閣府男女共同参画局

「オリンピック・レガシーに関する意識調査」(第2回)結果概要

活動状況調査

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

し環境の整備や 大会 合宿等の誘致 グッズや特産品の物販 体験型観光など スポーツを生かしたにぎわいの創出を進めることにより 交流人口の増加を図るとともに 将来的な市への移住 定住の促進を目指す 事業 スポーツを生かした交流によるにぎわい創設事業 KPI 観光交流客数 地域ブランド調査魅力度全国ラン

第 1 部 施策編 4

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

起業家を総合的に支援する 起業支援センターながおか と連携することで 高い事業 効果を実現するものである 数値目標 未来の起業家応援事業若者提案プロジェクト事業支援事業年月 KPI 支援による年間起業 起業に結びついた若者 10~39 歳の転出超過 創業件数 プロジェクト数 の抑制 申請時 0 件

ニュースリリース 平成 26 年 10 月 24 日中日信用金庫株式会社日本政策金融公庫 日本公庫 地方公共団体 地域金融機関 中間支援組織と連携し ソーシャルビジネス支援ネットワークを設立 このたび 中日信用金庫 ( 理事長 : 山田功 ) 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公庫 ) は 地域の

0-1表紙

日本政策金融公庫 日本政策金融公庫 国民生活事業のご案内 国民生活事業のご案内

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

用への助成を除くと 住宅に関する融資や助成制度等の情報提供の充実 との回答割合が高い( 子育て住み替え意識調査 ) 以上のことから 住宅が手狭であることを理由に市外へ転出する若い世代が相当数存在し また その傾向が強まっていることがうかがえる また 住み替え後は4LDKの間取りを中心とした持ち家 (

5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

八街市教育振興基本計画(平成26年~平成35年)

4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

数値目標 KPI 山口ゆめ花博の山口きらら博記念公園県外からの入場者数の年間利用者数 年月 申請時 - 57 万人 平成 28 年 12 月 初年度 - 57 万人 平成 30 年 3 月 2 年目 6 万人 87 万人 平成 31 年 3 月 3 年目 - 67 万人 平成 32 年 3 月 対象

基本指針の概要 1 基本指針改定の趣旨近年 地域社会における社会的課題が多様化 複雑化する中 行政 企業 NPO 自治会などが互いに協力して課題解決に取り組み 地域社会をより住み良いものとしていくことが今後ますます重要となっています このため 従前の NPO 活動に関する基本指針 の基本的な考え方を

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

PowerPoint プレゼンテーション

本町は 過疎地域における人口減少や少子高齢化 核家族化の進展という構造的な課題を抱え 若年層の人口流出や世代間交流の機会が少ない現代社会現象が問題となっている また 本町は 県を代表する観光地であるが 観光入込客数は 瀬戸大橋が開通した昭和 63 年をピークに減少しており 平成 27 年には約 23

様式 重点項目 産業を担う人材確保対策の推進 雇用情勢の改善を背景に 就職相談者の減少が見込まれる中にあっても 本県産業の持続的な発展を図るため 優れた人材を確保していく必要があることから 県内外の学生や若年者をはじめとした幅広い世代 UI ターン希望者に対するきめ細かな支援により 人材確保を図りま

資料1 第1回会議のポイントについて


いる 少子化の要因として 未婚化 晩婚化の進行や第 1 子出産年齢の上昇 長時間労働 子育て中の孤立感や負担感が大きいことなど 様々な要因が複雑に絡み合っており きめ細かな少子化対策が必要となっている 市民アンケート調査 ( 平成 27 年 8 月 ) の結果によると 少子化対策について すぐ取り組

下関市立大学広報第71号

北見市総合計画.indd

2018 年度事業計画書 Ⅰ 基本方針 1. 健康関連分野を取り巻く環境と直近の動向 健康医療分野が政府の日本再興戦略の重点分野に位置づけられ 健康 医療戦略が策定されるなど 予防や健康管理 生活支援サービスの充実 医療 介護技術の進化などにより 成長分野としてマーケットは大きく拡大することが期待さ

(2) 熟練技能者等の派遣による若年技能者等に対する実技指導ものづくりマイスター対象職種以外の職種で企業等から実技指導の要請を受けた場合 熟練技能者等を派遣し実施します (3) 学校単位の製作実演のイベント熟練技能者等を小中学校 訓練施設等へ派遣し 製作実演 ものづくり体験等を行う ものづくり体験教

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地域子育て支援拠点事業について

Microsoft PowerPoint - 資料8 家計相談支援事業について

持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)

H28秋_24地方税財源

農山性化1 農山漁村の 6 次産業化の考え方 雇用と所得を確保し 若者や子供も集落に定住できる社会を構築するため 農林漁業生産と加工 販売の一体化や 地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するなど 農山漁村の 6 次産業化を推進 現 状 農山漁村に由来する様々な地域資源 マーケットの拡大を図りつつ

姫路市及びたつの市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約 姫路市 ( 以下 甲 という ) 及びたつの市 ( 以下 乙 という ) は 連携中枢都市圏構想推進要綱 ( 平成 26 年 8 月 25 日付け総行市第 200 号総務省自治行政局長通知 ) に基づく連携中枢都市圏である播磨圏域 ( 以下

で広く体幹トレーニング推進することにより 健康なまち としてイメージア ップを図り魅力の向上につとめ 転出の抑制や転入の促進へとつなげる 数値目標 体幹づくりを通じて行う地域活性化事業 KPI 体幹トレーニング参加移住者数のべ人数年月のべ人数 申請時 0 0 H29.3 初年度 H30.

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

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Microsoft Word - 基本方針案ver.3.33

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

第 3 次 山形県総合発展計画 短期アクションプラン ( 平成 25 年度 ~28 年度 ) 平成 2 5 年 3 月 山形県

質問 1 企業 団体にお勤めの方への質問 あなたの職場では定年は何歳ですか?( 回答者数 :3,741 名 ) 定年は 60 歳 と回答した方が 63.9% と最も多かった 従業員数の少ない職場ほど 定年は 65 歳 70 歳 と回答した方の割合が多く シニア活用 が進んでいる 定年の年齢 < 従業

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資料 2-2 成長戦略改訂に向けた地域活性化の取組みについて ( 案 ) 内閣官房地域活性化統合事務局 成長戦略の改訂に向け これまでの施策の成果が実感できない地方において 新たな活力ある地域づくりと地域産業の成長のためのビジョンを提供しその具体化を図る 超高齢化 人口減少社会における持続可能な都市

トヨタの森づくり 地域・社会の基盤である森づくりに取り組む

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スライド 1


資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

それぞれのとやま色 先輩たちの就職はどうだった? 若者の正規雇用率 15 34歳 は 全国1位 新規大卒者等の 就職率は98.8 非正規雇用者が 拡大する中 富山は 若者の正規雇用率が 高くなっています 産業が集積している 富山では 企業は 新卒採用に意欲的に 取り組んでいます 77.8% 富山 1

2

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

平成 22 年 4 月 9 日新しい公共円卓会議資料 平成 2 2 年 4 月 9 日第 5 回 新しい公共 円卓会議谷口委員提出資料 ソーシャルビジネスの振興について 1. 新しい公共とソーシャルビジネスの関係 2. ソーシャルビジネスの課題とこれまでの取り組み 3. 事業者及び支援者が集う 場

政策評価書3-3(4)

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4 平成 年度のと 基本目標 1 しごとをつくり 安心して働けるようにする 本市の基幹産業である農漁業を魅力あるものにするため 六次産業化や高収益型農業を推進し 新規就農者や農業後継者の育成にました また 働く場所の確保と地域経済の活力向上のために企業誘致へのや 創業支援プログラムの作成

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中国留学生から見た青森県の地域活性化について

県別 大学進学 37県で流出超過!|旺文社教育情報センター

三浦市長 吉 田 英男 新年明けまして おめでとうございます 市民の皆様には 気持ちも新たに 素晴らしい新年をお 迎えになられたこととお喜び申し上げます 昨年は 消えた年金問題 薬害肝炎犠牲者への対応 安倍首相の突然の辞任 ねじれ国会 による審議の停滞など 国政においては 国民に目を向けているとは思

1. 調査の目的 物価モニター調査の概要 原油価格や為替レートなどの動向が生活関連物資等の価格に及ぼす影響 物価動向についての意識等を正確 迅速に把握し 消費者等へタイムリーな情報提供を行う ( 参考 )URL:

地域再生計画 1 地域再生計画の名称 DMO による広域観光連携 2 地域再生計画の作成主体の名称 石巻市 東松島市 3 地域再生計画の区域 石巻市及び東松島市の全域 4 地域再生計画の目標 4-1 圏域の現状 2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災から5 年が経過した これまで 復興

平成28年版高齢社会白書(概要版)

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沖縄公庫の業務との関連で見た 沖縄の中小企業

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

スライド 1

(別紙1)

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6 平成 年 4 月号 栄区版 栄区版 平成 年 4 月号 7 み ん なで つくる 安 全 安 心 のまち セ ーフコミュニ ティ さ か え ペ ージ はさ か え 区 版 で す 栄区を 一人ひとりのきらめきで 大好きなまち ナンバー1に 区の事業に関す

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

2. 開催内容開催期間 : 平成 29 年 8 月 21 日 ( 月曜日 )~9 月 15 日 ( 金曜日 ) 開催場所 :( 出張面接審査 ) 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 ( イベント開催場所 ) 仙台市 盛岡市主催 : 特許庁 東北経済産業局共催 :( 独 ) 工業所有権情報

2019 年 2 月 19 日 地 移住 (IJU ターン ) を 援する相談窓 ふるさと回帰 援センター 2018 年の移住相談の傾向 ならびに 移住希望地域ランキング公開 2018 年移住希望地域 1 位 : 野県 2 位 : 静岡県 3 位 : 北海道 2017 年移住希望地域 1 位 : 野

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5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について


経営理念 宇宙と空を活かし 安全で豊かな社会を実現します 私たちは 先導的な技術開発を行い 幅広い英知と共に生み出した成果を 人類社会に展開します 宇宙航空研究開発を通して社会への新たな価値提供のために JAXAは 2003年10月の発足以来 宇宙航空分野の基礎研究から開発 利用に至るまで一貫して行

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

平成30年版高齢社会白書(全体版)

Transcription:

vol.05 2016 SPRING 特集地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~

表 紙 の は なし 薄紫の花穂が房状に垂れ下がって咲く藤は 一輪一輪が 05 vol. 2 0 16 S P R I N G 蝶のような可憐な形で 高貴な美しさを持つ花 女性に例 えられることが多く 優しさ 歓迎 など素敵な花言葉がた 05 くさんあるそうです 週末あたり 近所の神社や公園で 藤の 花のお花見はいかがですか vol. イラスト たなかみか 題字 園元伸子 日本公庫 危機対応等円滑化業務部 特集 地方創生 地域の宝を見直すとき 2 016 S P R I N G 5 3 俳優 永島敏行 加藤勝信 地域の宝を見直すとき 公庫への期待 一億総活躍社会の実現に向けて 内閣府特命担当大臣 地方創生 炉辺談話 役者と 農業の経験が僕の音色になった 寄 稿 特集 地方創生総括官 山崎史郎 地方創生 に向けた国の取り組みについて 内閣官房まち ひと しごと創生本部 岡田秀二 美しく 強く しなやかな 静岡型 地方創生の推進 川勝平太 富士大学学長 破綻寸前自治体のチャレンジ 回 ワ ン ポ イ ン ト 解 説 寄 稿 寄 稿 静岡県知事 島をまるごとブランド化 島根県隠岐郡海士町 事例 1 行政に頼らない 住民自治の地域おこし 政策金融あれこれ 第 名古屋支店 森林化社会実現への課題 動く支店 ご意見 ご感想 編集後記 5 事例 17 やねだん 鹿児島県鹿屋市串良町柳谷集落 18 地方創生における日本公庫の取り組み 19 2 4 地方版総合戦略 地方版総合戦略とは 都道府県まち ひと しごと創生総合戦略 と 市町村まち ひと しごと創生総合戦略 の総称 地方公共団体が策定する地方創生のための総合戦略のこと を指す 地方創生については 国と地方が一体となり 中長期的視点に立って取り組む必要 がある そのため 政府は 地方公共団体が人口の現状と将来の展望を提示し 具体的な目 標や施策などを平成27年度中に策定することを求め さらに 平成28年度から具体的な事 業を本格的に推進していく段階と位置づけている 地方版総合戦略は 地方公共団体自らが 客観的な分析に基づいてその課題を把握し 地方ごとの 処方せん を示すものであり 地 域の実情に沿った地域性のあるものとすることが重要となる 2

役者として自分の言葉を持ちたかった それが農業に携わるきっかけでした 30 代前半 ロンドンへ芝居の勉強に行ったときのことです 議論好きなイギリス人たちとの会話の中で よく 日本とは? という質問を投げかけられました そのとき 僕は彼らと議論できるだけの言葉を何一つ持ち合わせておらず そんな自分に愕然としました 日本人とは何か 答えが分からないまま その疑問がいつまでもひっかかっていました もう一つのきっかけは 子どもが生まれたことです 僕は千葉県の蘇我という田舎で いつも泥まみれになって遊んで育ったのに 東京にはそういう育て方ができる場所がありません 公園でさえ 花を摘むことも 木に登ることも 土を掘ることもできません 娘に泥まみれになって遊ぶ楽しさを教えてあげたい そのときに思い出したのが 映画祭を行っていた秋田県横手市十文字町の田んぼでした 映画祭で親交のあった農家の友達に 米作りをやりたいんだけど 一度体験させてくれない? と頼んでみました 最初は 子どもを遊ばせるために農業やってんじゃねぇ って怒られましたけど それでも引き下がらなかったら そこまで言うなら 一度やってみっか と言ってくれたんです 米作りをして気付いたのは 米作りという行為がいかに日本人のアイデンティティと深く結びついているかということでした また 米作りをきっかけに 僕は各地で体験型農業にかかわるようになりました 多くの農業関係者と知り合い 全国に素晴らしい農産物があることを知りました その農産物と生産者の熱意を多くの消費者に知ってもらいたいと考え 2004年5 月に東京 銀座で青空市場を始めました これが生産者からも消費者からも大変好評で 今は東京 丸の内の地下道で 丸の内行幸マルシェ を毎週金曜日に開催しています 僕は 農業に携わることで 役者だけやっていたのでは絶対に得られないものを得られたと思っています 地方へ行き 泥にまみれ 農家と交流してため込んできたものが 言葉では表せない僕の音色になりました たとえ同じセリフを口にしても 僕は他の役者とは異なる音色で言葉を伝えられるようになったと思います 役者と農業を続けてきた経験が 僕の 役者としての言葉 を生み出してくれたのだと思っています 役者と農業の経験が僕の音色になった 永島敏行 ( ながしまとしゆき ) 俳優 映画 テレビ ラジオ 舞台などで幅広く活躍 1993 年から農業に携わり 東京などで生産者 消費者の交流の場 青空市場マルシェ を定期開催している 農水省 ディスカバー農山漁村の宝 本場の本物 の選定委員を歴任 2016 年 10 月 14 20 日 東京 紀伊國屋ホールで舞台 孤独と美しさのはざまで ( 仮題 ) に出演 俳優永島敏行 ( ながしまとしゆき ) 炉辺談話 3

公庫への期待 一億総活躍社会の実現に向けて 内閣府特命担当大臣加藤勝信大臣寄稿政府は今 少子高齢化 という構造的な課題に真正面から取り組み 一億総活躍社会 の実現を目指しています それは 女性も男性も お年寄りも若者も 障害や難病のある方も 一度失敗を経験した方も 誰もが個性を尊重され 家庭で 地域で 職場で 将来の夢や希望に向けて今よりももう一歩前へ踏み出すことができる社会 多様性が認められる社会です 従来の 三本の矢 を束ね 一層強化した新たな第一の矢である強い経済の実現に取り組みます この取り組みを通じて得られる成長の果実によって 第二 第三の矢である子育て支援 社会保障の基盤を強化します これにより 消費の拡大に加え 労働参加と多様性のなかから生まれるアイデア イノベーションを通じて生産性の向上を促し 経済のさらなる成長につなげるという 成長と分配の好循環 を生み出す新たな経済社会システムを構築していきます 日本公庫は こうした政府の施策と軌を一にした支援策を実施されています 女性の活躍については 2 つの異なる金融機関が協力し 女性が事業を営む法人などを支援するユニークなスキームが動き出しました 東京都民銀行との連携による女性活躍応援協調融資スキーム LadyGo! です 意欲ある女性が まさに一歩を踏み出すための支援策として このようなスキームが大いに活用されることを期待しています 若者については 起業教育の推進を目的とした 高校生ビジネスプラン グランプリ です 私も一昨年の秋 実際に学校を訪れ 出張授業の現場を拝見しました 日本公庫の職員のサポートも受けながら 高校生が自由な発想でビジネスプランを作成し 創意工夫を凝らしたプレゼンテーションで競い合う姿を見て 大変心強く思いました こうした体験を通じ 生徒の皆さんが社会に対する関心を深め 明日の日本を支える人材に育っていくことを確信しています そのほかにも 日本公庫は 創業に再チャレンジされる方々や 高齢者の介護や子育て支援 障害者の就労支援など地域や社会が抱える課題の解決を目指して ビジネスの手法で取り組む方々への支援を行っています こうした取り組みの一つひとつの積み重ねが 新たなアイデアやイノベーションを生み 新たな価値の創造につながっていきます 日本公庫におかれては 今後とも 国の進める政策と事業に取り組む方々を融資等を通じて つなぐ 役割を果たして頂きながら 一億総活躍社会の実現に向け 成長と分配の好循環 を後押しして頂くことを期待しています 4

Special Report 地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 地方創生とは 地方における雇用の創出によって新たな人の流れを生み出し 地方の活力を取り戻すこと 地方創生にあたっては 地域の人々の思い それを体現しようとするリーダーの存在といった 内 なるエネルギーと 行政による施策や外部の有識者たちの知見といった 外 の動きが呼応することが重要だ 本特集では 内 と 外 双方のキーマンたちへの取材を通して 地方創生の取り組みの課題と今後の展望を探る arc image gallery/amanaimages

寄稿 地方創生 に向けた国の取り組みについてい住宅 通勤事情や子育て環境などから出生率が1.15(14 年)と最も低くなっており 東京圏に若い世代が集中する 東京一極集中 は 日本全体の人口減少にも結びついている 人口減少は経済社会に大きな影響を及ぼす 人口減少に伴って進行する高齢化により 働き手 が減少し その結果 経済規模の縮小や1 人当たりの国民所得の低下を引き起こすおそれ(人口オーナス)があるからである このため 第二次安倍改造内閣では 人口減少を克服し とりわけ事態が深刻な地方の活性化を図る観点から 総理大臣を本部長とし 全閣僚で構成する まち ひと しごと創生本部 を設置し 問題克服に正面から取り組むこととした まち ひと しごと創生 とは 地方に しごと が ひと を呼び ひと が しごと を呼び込む好循環を確立することで 地方への新たな人の流れを生み出すこと その好循環を支える まち に活力を取り戻し 人々が安心して生活を営み 子どもを産み育てられる社会環境をつくり出すことを目指すものである このため 国は まち ひと しごと創生長期ビジョン および まち ひと しごと創生総合戦略 を平6 年1 成2 2 月に閣議決定し 施策展開を図ってきている このまま推移すれば 人口減少は3 段階を経て加速度的に進むことが見込まれる 第1 段階 は 若年人口は減少するが 老年人口は増加する時期(10 ~40 年) 第2 段階 は若年人口の減少に加え 老年人口が維持または微減へと転じる時期0 ~6 (4 0 年) 第3 段階 は 若年人口の激減に加え老年人口も減少していく時期(60 年以降)である 現状から見ると 東京都区部や中核市 特例市は 第1 段階 だが 人口5 万人以下の都市は 第2 段階 過疎地域の市町村は 第3 段階 に既に該当している このように 地方では 将来世代の形成が期待される若年層の大量流出という 社会減 と 出生率低下の 自然減 の両者があいまって 都市部に比べ数十年も早く人口減少に至っているが 人口減少は将来的には地方にとどまらない 地方から大都市への人材供給が枯渇すれば いずれ大都市も衰退することとなる 近年の人口移動は 東京圏への人口流入が顕著となっている 東京圏への人口流入は 東日本大震災後に一旦低下したが 12 年以降4 年連続増加し 15 年は約12 万人の転入超過となっている その内訳は 15 ~19 歳で2.6万人 20 ~24 歳が6.7万人と若い世代が大半を占めており かつ増加傾向にある 東京圏は 厳し今 なぜ地方創生が求められているのか 一言で言えば 我が国が人口減少時代に突入したことが背景にある 我が国の合計特殊出生率(以下 出生率)は 1970年代後半以降急速に低下し 人口規模が長期的に維持される 人口置換水準(現在は2.07) を下回る状態が約40 年間続いている その結果 08 年をピークに遂に人口減少局面に突入した 直近の状況は深刻さを増しており 14 年の出生率は1.42と9 年ぶりに低下し 年間出生数も約100万人と過去最低の水準となった 内閣官房まち ひと しごと創生本部地方創生総括官山崎史郎 ( やまさきしろう ) 山口県出身 78 年東京大学法学部卒 厚生省入省 内閣府政策統括官などを経て 14 年から内閣官房まち ひと しごと創生本部事務局長代理 ( 15 年から地方創生総括官 ) Special Report 地方創生が目指す将来の方向今 なぜ地方創生か日本は 人口減少時代 に突入加速する東京圏への集中国の 総合戦略 の策定地域によって異なる人口減少の状況6

地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 特集 1 産 官 学 金 労 言 の総力の結集こうした動きを踏まえ 地方公共団体においては 地方人口ビジョン および 地方版総合戦略 の策定が進んでおり 15 年度中にはほぼ全ての団体で策定されることとなる 地方創生の取り組みを成功させる鍵は 地域の総合力の発揮である 従来は ややもすれば 行政は行政 産業は産業 という縦割りの状況が見られたが それでは地方創生は実現しない 地方版総合戦略 の策定をはじめ地方創生の取り組みには 産 官 学 金 労 言 の知見を結集させ 具体的な数値目標を設定するとともに 具体的なプロジェクトを地域ぐるみで推進していくことが必要不可欠である 2 金融機関のノウハウや情報等の活用 産 官 学 金 労 言 の連携のうち 金 つまり金融機関の役割は非常に大きい 地方はさまざまな点でリソースが不足しがちであり 地域の経済分析や事業のプランニングをする際には 金融機関のノウハウや情報 ネットワークが必要であり 金融機関が地方創生に参画することの意義は極めて大きい 地方創生に関する金融機関の取り組み状況については まち ひと しごと創生本部 が 金融機関向けにモニタリング調査を実施しているが 地方版総合戦略 の策定に関して 金融機関の約8割が地方公共団体と接触している(ほぼ全ての地方公共団体が金融機関との接触を持っている)状況にある 実際に地方公共団体と金融機関が連携して 新たな事業の創出や民間投資の促進に係るプロジェクトを組成 遂行するなど 意欲的な取り組み事例も見られる こうした取り組みは 地方創生にとって有意義であり 今後とも大いに期待したい 16 年度は 地方において策定された戦略を踏まえ いよいよ具体的な事業を本格的に推進する段階となる キーワードは 地方創生の深化 地方の意欲的な取り組みに対して 国として 情報 人材 財政の3つの側面から強力に支援していく考えである(地方創生版三本の矢) 1 つ目は 地域経済分析システム(RESAS)をはじめとする 情報支援 2 つ目は 地方に人材を派遣する地方創生人材支援制度や人材の育成などの 人的支援 そして3 つ目は 地方創生推進交付金等や地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)などによる 財政支援 である 地方創生は 地方自らが主体的に取り組んでいくべきものであり 今回がラストチャンス ここで頑張らないと 待つのは衰退のみ というくらいの強い覚悟をもって取り組んでもらいたいと考えている 一方で すぐには成果が現れるとも限らない PDCAサイクルを回しながら 粘り強く取り組んでいく姿勢が求められることは言うまでもない 戦略策定から事業推進の段階へ地方の総合力の発揮 7

寄稿美しく 強く しなやかな 静岡型 地方創生の推進静岡県知事川勝平太 ( かわかつ へいた ) 1948 年生まれ 早稲田大学第一政治経済学部卒 同大学院経済学研究科修士課程修了 英オックスフォード大学博士号取得 早稲田大学教授 国際日本文化研究センター教授 学校法人静岡文化芸術大学学長を経て 2009 年県知事に当選し 現在 2 期目 京都府出身 王国 茶の生産 消費額も日本一 704品目に及ぶ花かき卉生産を生かした 食の都 茶の都 花の都 づくりを進めています これらは 観光立国 のモデル事業です 今や世界の中の静岡県として まさに 世界に羽ばたく ふじのくに の立ち姿が現れてきました 京都を中心に東洋文明を受容した 京都時代 は遠く去り 東京を中心に西洋文明の受容に努めた 東京時代 も終焉しつつあります 東西文明は現代の日本に血肉化しており 課題は東西文明の調和と地域の個性の発揮です 静岡県の目標は 富国有徳の理想郷 ふじのくに づくり です 原点は日本のシンボル富士山です 霊峰から導き出される価値(景観の美しさを大事にする 和を尊ぶ 自然への畏敬の念を醸成する 危機管理を怠らない 四季の感覚を取り戻す 大地の恵みを大切にする 不死 長寿を重んじ 不二 一人一人を大切にする等々)に基づく地域づくりを進めています 富士の国 とは日本のことでもあります 富士の国 としての新日本の理想モデルをつくる 言い換えれば ポスト東京時代 を開くのが目的です 日本公庫と静岡県は 昨年11 月 地方創生に係る包括連携に関する協定を締結し 地域産業の振興 中小企業の支援 企業誘致の情報発信 創業支援 女性起業者への支援など 地方創生に協働で取り組む体制が整いました 国民生活事業 中小企業事業 農林水産事業が一体となった政策金融機関としての高い知見は 本県の取り組みを加速する推進力になると確信しています 霊峰富士を擁する本県の豊かな潜在力 場の力 が顕在化してきました 富士山の世界遺産 同時に茶草場農法が世界農業遺産 南アルプスがユネスコエコパーク 韮山反射炉が世界遺産等々 地域資源が続々と国際認定を受け 2 年半余で23 件にもなり 全国屈指です イギリス開催のラグビーワールドカップで五郎丸選手やマレ サウ選手など静岡県選手が大活躍し 本県は2019年のワールドカップ日本大会の会場の一つに選ばれました 加えて 翌2020年の東京五輪の自転車競技の会場が静岡県に決まりました これと同時にスポーツを通じた交流が台湾 モンゴル イタリアなど続々と広がっています 食材の品目数439は日本一で 食材のSpecial Report 世界に羽ばたく ふじのくに ポスト東京時代の日本の理想郷を創る8

地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 特集東日本大震災を受け いや それ以前から東海地震対策を講じており 危機管理は常に最優先です 過去30 年余りで2 兆数千億円の防災対策費を投じ 日本の防災最先進県です 最近は世界各国からの視察も引きも切らず 自他共に許す防災モデル県です 平成24 年に県下全線162kmが開通した新東名高速道路を軸にした 内陸のフロンティア を拓く取り組みは早々に国の総合特区に指定されましたが さらに県下26 の市町で53 の県独自の 地域指定 が続き 危機管理と地域成長の両立を図るプロジェクトとして注目されています そのほか エネルギーの地産地消 浜岡原発における安全技術のメッカへの志向 医薬品 医療機器生産額日本一に象徴される健康産業などの新成長産業の育成 健康寿命日本一の延伸 子育てや人材育成なども時代を先取りしています 国の要請に応え昨年10 月に 地方創生の羅針盤 美しい ふじのくに まち ひと しごと創生長期人口ビジョン と 総合戦略 を策定しましたが その基礎は ふじのくに づくりのプロジェクトですでに進行中のものを組み替えて策定しました 注目すべきものとして 経済 金融界と一体で取り組む 産業成長戦略 の推進 家屋 建築と自然が調和する豊かな暮らし空間の創出 社会総がかり 地域ぐるみの教育の推進 健康寿命の延伸 ふじのくに型 人生区分 の提示 子育ては命をつなぐ幸せの愛をはぐくむ尊い仕事 の理念の普及による静岡型子育て支援などは 特に他の範となる先駆的な取り組みです また 大学生等が参画する 次代を担う若者たちによる県民会議 を立ち上げ 未来の主役である若者の意見を施策に反映するなど オール静岡で取り組みを推進しています 日本公庫と緊密な連携を図りながら 本県の地方創生を全国モデルとして まさに日本のために ふじのくに づくりに邁進します 世界遺産に登録された富士山と韮山反射炉 地域資源が続々と国際認定を受け その数は全国屈指を誇る静岡県は 日本一多彩な農林水産物を生かした 食 茶 花 の都づくりを進めている国に先駆けた地方創生の取り組み 食 茶 花 の都づくり世界遺産 富士山 と 韮山反射炉 9

島根県鳥取県岡山県広島県海士町 Case 1 島根県松江市の七類港から高速船で揺られること2時間 海士町の表玄関 菱浦港で船を下りると ずらりと並ぶ大きなポスターが目に入る ないものはない コンビニもない ショッピングモールもない 信号は 子どもたちが都会に出たときに戸惑うことのないよう 学習用 に設置されたものが一つあるだけだ 便利さが当たり前に慣れた都会人には想像もつかない所かもしれない ところが今 この ないものはない 離島の町に全国からIターンやUターンしてくる人が増え 島の高校に 留学 する生徒も相次いでいる 町は 住民総合サービス株式会社 島をまるごとブランド化破綻寸前自治体のチャレンジ島根県隠岐郡海士町日本海の島根半島から約60 キロの沖合い 島根県隠岐郡海士町は一時 財政再建団体という破綻寸前にまで追い込まれ 唯一の高校は生徒数が激減し廃校もささやかれた その苦境から十有余年 今では地方創生の代表的な成功例の一つとして 全国から大きな注目を集めている Special Report

地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 特集先細りに陥った海士町に新たな火をつけ 上昇気流の流れをもたらすきっかけとなったのは 山内道雄町長の登場だ 2002年の町長選に当選してすぐ 自らの給与を50 %カットした 当時は国からの補助金減少 地方交付税の削減というなかにあって 07 年には北海道夕張市が陥った財政再建団体への転落が現実味を帯びて語られていた 新町長の動きに町の幹部職員がすぐさま反応した 山内町長は 給与カットは私一人のつもりでしたが 職員たちも自らカットを申し出てくれました 彼らの危機感が住民の意識変化につながりました と振り返る 町は住民総合サービス株式会社そのもの 税金を払う住民は株主 町長は経営を委託された社長 幹部は取締役 住民サービスは配当です というのが 山内町長の持論だ さらに 行政は上から目線のことが多いのですが 住民があってこその公務員 私自身は営業マンのつもりです と続ける この 営業マン の目線が 海士町のその後に大きな変化をもたらした 大きな変化の一つが CAS(Cells Alive System )の導入だ 海士町にとって大きなハンデは 特産品である生鮮食品が 東京などの大消費地に届くまでには時間がかかり過ぎること これに対してCASは 食品の細胞組織を壊すことなく凍結し 長期間獲れたての鮮度を保持できるシステムだ 就任早々 このCASを知った山内町長は 既存の流通機構を一新しよう と決断 周囲には 近場の島根県内など市場はある と反対の声もあったが 05 年から総額5億円をかけて第三セクターの導入に踏み切った 町の一般会計予算約50 億円の1割に相当する思い切った投資である CASは新たな市場開拓だけでなく 価格安定による所得増をもたらした その代表例が 岩ガキの養殖だ 新鮮さが売り物の岩ガキを 取引単価が全国で一番高い東京築地市場に新鮮なまま持ち込むことができれば それだけで漁業者の収入は増える さらに飲食店への直販 年間契約販売 中国や米国向けの輸出も可能になった 現在 年間50 万個を生産しているが 受注に追い付かない状況だという この岩ガキの生産 流通革命のキーマンとなったのが 脱サラして海士町に移り住んだIターン組だ 水産業とは無関係だった彼らは よそ者の視点 で地元漁業者や他のIターン Uターン組を巻き込み 隠岐海士のいわがき 春香 ブランドを創り出した 海士町では 1998年度から商品開発研修生制度を導入し よそ者 の発想と視点を取り入れた特産品づくりや商品化を試みている 島の味覚や魅力を まるごと全国に届ける 島まるごとブランド化戦略だ 島内の人間だと 気づかない点も多い 島外の人の視点を取り入れて町にあるものを磨き直す 一番評価の厳しい東京で認められればブランドになります と 山内町長は語る 海士町ブランドの走りは 島じゃ常識新システムで流通機構を一新ポイントは よそ者の発想 長期間鮮度を保持できる CAS の導入で 海士町の岩ガキは全国区のブランドに海士町山内道雄町長 11

Case 1 さざえカレー 牛肉や豚肉が手に入りにくい町民にとって カレーにサザエを入れることは当たり前のこと だが 島外の人にとっては意外であり新鮮だった 商品化するや すぐさま年間5万食を販売 15 年度の売上高は3000万円に達する見込みだ 平城京時代から伝わる海士の天然塩 干しなまこ 海藻などブランド化候補は まだまだ数多い そのなかで今 大きな期待を集めているのが隠岐牛だ 従来 隠岐牛は子牛の段階で神戸や松阪など全国の産地に売られ 成牛に育てられた後 それぞれのブランド牛として出荷されてきた しかし 隠岐牛ブランドは 海士町で繁殖から肥育まで手掛け 直接東京市場に売り出す 新規参入したのは地元建設会社の飯古建設 公共事業の減少で 一時は売上高が3分の1まで落ち込んだ 公共事業に頼る時代ではない と判断した田仲寿夫社長は 畜産業への進出を決意し 04 年に隠岐潮風ファームを立ち上げた 隠岐牛は高い評価を受け 隠岐の子牛の価格上昇につながり 地元の畜産業に活気が出てきました 厩舎や牧野整備などの新たな建設需要があり投資以上の効果が出ています (田仲社長) 今夏には東京 銀座に隠岐牛肉を中心としたパイロットショップを開店し さらなる飛躍を目指す 海士町では 新ブランドづくりに引きつけられるかのように 大卒以上の高学歴者のIターンが増えている この傾向は高校生にも見られる 地元唯一の島前高校は 08 年には入学者が28 人にまで減り 統廃合の危機を迎えた 高額な費用がかかる高校生の島外流出は 家族ぐるみの転出にもつながる事態を招いた 人を育てることが地域活性化 という山内町長の考えの下 海士町中心に 隠岐島前高校魅力化プロジェクトを立ち上げ 東京 大阪などで 島留学生 の募集説明会を開いた 島外からの意欲ある生徒には寮費や食費を補助し 学校と連携した公営の塾 隠岐國学習センター では大学進学に備えた独自プログラムを受けることができる 昨年4月の島留学生は 全校生徒160人の半分にも上った 常松徹校長は 留学生にとっては 自然や町民など島全体が教育資源です 一方 地元生は留学生から大きな刺激を受けています と評価する 海士町の地方創生の取り組みは長い歴史を持ち 島全体にわたる その基本は 島の外からマネーを稼ぐこと (山内町長)にある しかし ただ稼ぐだけではない その背景には 住民 観光客を意識した現場主義がある 内部部局の町職員を減らす一方で 産業振興や定住対策部門を拡充 その職員を役場から町の玄関口である菱浦港ターミナルに移した 職員はお客の声が聞こえる所で仕事をすべき (山内町長)なのだ 町内民宿のサービス基準も統一し 観光協会職員がクリーニングも担当する 海士町は ないものはない と開き直っているのではない 自然に恵まれ 暮らすために必要なものは十分にある 大事なものは すべてある という 島民の誇りの声なのだ (文/ジャーナリスト杉本哲也)建築会社が畜産業に進出各地で 島留学生 募集説明会島前高校常松徹校長隠岐潮風ファーム田仲寿夫代表ミネラル分豊富な飼料を食べ 雄大な自然のなかでのびのび育てられる隠岐牛 Special Report 12

地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 特集九州南端にある大隅半島の中央部 鹿屋市の市街地から車で30 分ほどの串良町柳谷地区 地元の人たちが やねだん と呼ぶこの集落は 人口300人足らずにもかかわらず 年間5000~6000人もの人が視察に訪れる 補助金に頼らない自立した地域づくりの秘密を知りたいためである 外国の方も毎年約30 カ国から視察に見えます アフリカ アジア 最近は南米からが増えています 豊重哲郎氏は事もなげに言う 結 (ゆい)をどうやっているのか 見たいと言って来ます 結 とは かつて農村にあった相互扶助の仕組みである 今は廃れたが 田植えや家の屋根の葺ふき替えなどで 互いに手を貸したり共同で作業したりして助け合ってきた 地域内のつながりが弱まり 若い人たちが都会に流れ 高齢化が進むと 過疎化に歯止めがかからない 20 年前のやねだんも そうだった 豊重氏は 新たな絆きずなを根付かせて そんな集落に元気を取り戻した 豊重氏は 簡単なことです と説明してくれた まず 住民でできることは住民自治でやる 次いで補助金を当てにせず 地域でビジネスをやって自主財源を持つ 第3 に 住民に本気で地域活動に参加してもらうために 自主財源の利益を住民に還元する 当初からこの3 つをセットで考えてきました 現在 やねだんでは さつまいもを栽培し自主財源の確保で集落活動の根幹を支える行政に頼らない住民自治の地域おこしやねだん(鹿児島県鹿屋市)豊重哲郎氏鹿児島県鹿屋市串良町柳谷集落 通称 やねだん は 行政に頼らない地域づくりのモデルとして知られる 住民の高い自治意識を引き出したのは 柳谷町内会長の豊重哲郎氏(75 )である 気さくな人柄に類いまれなリーダーシップを秘めた豊重氏に 独自の地方創生論を聞いた Case 2 鹿児島県熊本県宮崎県やねだん ( 柳谷集落 ) 13

道のりは容易ではなかった 輪番制の町内会長ではもう駄目だと高齢者たちが危機感を持って根回しした結果 選挙になり 私は95 %の票を得て選ばれたのです 20 年前 55 歳のときである ならば 集落が一丸となって動き出したのかというと 現実は甘くない 8 割は無関心層です この人たちの意識を変え 反目する人を味方にするまで 5 年かかりました 最初の3 年は大変でしたよ と振り返る そのために 目配り 気配り 心配りが必要なんです 人の気持ちの裏まで読んで手をている これを原料に酒造メーカーに委託して 焼酎やねだん を造って販売している 売れ過ぎちゃってね 7 割は通信販売で あとはここに来ないと買えません と笑顔を見せる 韓国の居酒屋にも輸出しているという さらに やねだんでは 付近の土壌から採取した土着菌を米ぬかに混ぜて発酵させ 堆肥を作っている これで土づくりをした畑で育てたさつまいもが 焼酎の原料になる 土着菌の利用も住民自治の賜物である ここは畜産が盛んで 現在 牛は400頭ほどいます 20 年前 住民の一番の不満は 家畜が垂れ流す糞尿の悪臭やハエの問題でした 役所に対策を求めても 何の解決にもならない でも 土着菌を使って改善できると分かったので みんなで協力して土着菌作りに取り組んだのです 土着菌を飼料に混ぜて家畜に与えると 微生物の働きで糞尿の悪臭を抑えられる 土着菌センターを集落に設けて 家畜の飼料用と堆肥を製造販売している 焼酎などの収益と合わせて 自主財源は毎年500万~600万円 になるそうだ 高齢者ボーナスとして 85 歳以上の方に毎年1 万円を差し上げています 高校生が 自らデザインした袋に感謝のメッセージを添えて直接渡すんです 皆さん喜びますよ 行政によるばらまきとは異なる 自分たちも一緒に草取りなどをして汗を流して稼いだお金ですから うれしさが違います こういう還元が本当の福祉だと思います 豊重氏は 住民自治を持続させるために組織を作った 館長の私 副館長 会計 監査委員2 人がいて それに高齢者部 青少年育成部など6 つの専門部があります 各専門部は 自主財源から上限30 万円の交付金を受けて自主運営しています 役員の手当を含めても 年間270万円あれば住民の負担なしで組織を運営できます 館長 というのは 10 年前の自治体合併まで町内会長を自治公民館長といっていたからだ 300万円ほど残る自主財源はすべて住民福祉に還元する 高齢者ボーナスは ほんの一例だ 具合が悪くなったときに近所に知らせる警報装置を設置しました 足腰が弱った人には 手押しのシルバーカートを30 台ほど無償貸与しています 青少年育成の一環として 小中学生の補習教育のために 教員経験者による 寺子屋 も開いている よし これだ と思ったら 即座に実行できます 例えば 5 0 万円出すから 高校生に東日本大震災の被災地に研修のために3 泊4 日で行っておいで という具合にね 豊重氏は快活に語るが ここに至るまでの上 / 住民総出で取り組んでいるさつまいもの生産活動左 / 焼酎 やねだん は全国から注文が殺到する人気ぶり下 / やねだんの農業と酪農を支える土着菌 Case 2 人の気持ちを裏まで読む 目配り 気配り 心配り 利益を住民に還元する本当の意味での福祉Special Report 14

こちらが本業なんです 町内会長はボランティア と笑う しかし 地域おこしのリーダーは バカになれる人でないとできません と言う 豊重氏は根っからの 世話好き である 余計なことをするとの批判も受けた 損得を考えたらバカらしくてできないだろう 町内会長になった20 年前 やねだんの人口は330人 高齢化率は47 %だった 10 年間で人口は285人に減り その後 古民家を再生して芸術家を誘致するなどして314人まで持ち直したが お年寄りが亡くなっていくので今年1 月時点で279人まで減った 高齢化率は38 ~39 %である 集落機能を維持するために 中学生以下の人口を1 割以上に維持したいと努力しています 高校生クラブで活動した連中がいったん外に出て 最近 戻ってくるようになりました 自分たちの子ども時代の経験から 子育てにはやねだんがいいと思うのでしょう Uターン組から今年 久々に赤ちゃんが3 人生まれます と目を細める 後継者にそろそろバトンタッチします と言う豊重氏だが 年2 回 地域リーダーを養成する 故郷創世塾 を開いている 既に18 回を数え 修了生が全国に717人いる 講演依頼は引きも切らない 今や地方創生のリーダー的存在だ 引退どころか まだまだ多忙な日々が続くに違いない (文/ジャーナリスト森一夫)打つ心配りを欠いては駄目です 最初に組織したのは高校生クラブ これを住民たちの心をつなぐ起爆剤にしようと考えた 高校生クラブが活動すれば 幼稚園児も含めて子どもたちが動く それを見に来るのは 親よりもじいちゃん ばあちゃんたちです 高齢者と孫たちがつながると 地域活動は回転し出すのです 住民によるさつまいも作りはこうして軌道に乗った だが 反目する人には別の手立てが必要だった 私の父は町会議員でした 選挙で争った人にしたら 息子の私が町内会長になるのは いい気持ちがしない でも こうした反目が代々続いたら やねだんは永遠に一枚岩になれない その人の心を動かそうと考えついたのが メッセージ放送でした 母の日 父の日 敬老の日に有線放送で 遠くに住む子どもたちから父母へのメッセージを伝えている 反目していた人と疎遠だった子どものメッセージを黙って流したら わだかまりは一気に解消した 豊重氏は 地域おこしを企画し 住民の参画意識を引き出して推進する いわば地域経営者である こうした経営感覚は 若い頃から挫折を乗り越えて身に付けた 8 人兄弟の5 男坊だった豊重氏は 地元の商業高校を卒業して 当然のように故郷を出た 意気揚々と東京の銀行に就職したものの 入行研修から大卒とは別扱いである 初任給は高卒8500円 大卒が1 万2000円で 将来 支店長にもなれない がっくりです 親に反対されたが 29 歳で 何か事業をやろう と やねだんに戻った 養鰻業を経て 40 歳で鰻料理の うなぎの川豊 を開店した 懸命に働いて借金を返し 娘3 人を育て上げたのが54 歳である ほっとしたところで 町内会長に推された 鰻の店は閉めたが 鰻のエキスで作る栄養補助食品の製造販売は今も続けている 地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ 特集リーダーは地域経営者故郷創世塾で後継者を育てる地域再生リーダー養成をミッションに 2007 年スタートした故郷創世塾 これまで 18 回開催され 卒塾生は 700 名を数える 15

特集 地方創生 ~ 地域の宝を見直すとき ~ Special Report 地方創生における日本公庫の取り組み 地方版総合戦略 の策定への参画 平成 26 年 12 月に閣議決定された まち ひと しご と創生総合戦略 において 各地方自治体が 地方版 総合戦略 を策定するに際し 地域の民間金融機関と連携のうえ 日本公庫も参画することが求められています 日本公庫は 沖縄を除く 全国すべての地方自治体と接触し 策定状況等の把握を行い 地方自治体からの要請等を踏まえ その策定に参画しています 平成 28 年 1 月 7 日時点で 507の地方自治体から策定への協力要請を受け このうち 278 先については 支店長等が総合戦略策定委員等に就任しています 日本公庫では 地方版総合戦略 策定の協力要請を受ける以前から 地域活性化を目的とした地域プロジェクト ( 被災地においては 震災復興への取り組みの観点を踏まえたプロジェクトに参画中 ) に参画してきました この取り組みでは 平成 27 年度第 3 四半期までに335プロジェクトに参画 約 7 割のプロジェクトにおいて 融資支援を行っています このような地域プロジェクト参画での取り組みを通じて得た経験や実績を生かし 地方版総合戦略 の策定に協力してきました 地方版総合戦略 に係る各種施策の実施 推進に向けた取り組み事例 日本公庫では 全国 152 支店のネットワークを活用した商談会やセミナー等の開催 民間金融機関との協調融資による支援など 日本公庫の経営資源を生かしたさまざまな取り組みを行っています 商談会 各種セミナー等の開催を支援山口支店 下関支店では 山口県まち ひと しごと創生総合戦略 の個別施策である 創業支援 農林水産物の販路拡大支援 ものづくり起業支援 に参画しています 県や山口市が主催するセミナーの開催支援のほか 県主催の展示商談会 ( ビジネスメッセ ) では 岩国支店 徳山支店も含めた県内 4 支店が 販路拡大に向けた支援を行いました 民間金融機関と連携して支援高松支店では 香川県の かがわ創生総合戦略 における産業成長戦略の重点プロジェクト オリーブ産業強化プロジェクト に参画し さまざまな提案活動を行っています 讃岐牛の新ブランド オリーブ牛 の生産者に対して 百十四銀行と連携し 牛導入資金などの運転資金の融資を行うなど 地域産品のブランド化に貢献しています UIJ ターン創業支援セミナーの開催 日本公庫では 複数の都道府県との共催で UIJ ターンにて起業を志す方を対象としたイベントを開催し ています 平成 28 年 2 月 7 日 首都圏在住で九州への移住 起業を希望する方を対象に 沖縄を除く九州全県 トーマツベンチャーサポートおよび日本公庫が連携し 九州移住 起業フェア を都内にて開催 当日は 福岡県に本社を置くベンチャー企業や宮崎県の NPO 法人などによるパネルディスカッションやトークセッションなどを行いました 20を超える地方自治体が 地域情報の案内や移住 定住の相談に対応 延べ 482 人の方が参加され 相談ブースで気軽に興味のある話を聞けた 内容がバラエティに富んでおり良かった などのお声を頂きました 地方版総合戦略 は 平成 27 年度の策定期間を経て 各種施策を本格的に推進する段階に入りました 日本公庫は これまでの経験や知見 制度融資等を生かした機能を発揮し 各種施策の実行 推進に向け 今後も積極的に協力してまいります まち ひと しごと創生貸付利率特例制度 平成 28 年 2 月から 地方の取り組み支援の一環として まち ひと しごと創生総合戦略 の 基本目標 の達成に貢献する事業者の方に対する利率特例が始まりました ご利用条件がございます 最寄りの支店の窓口に お気軽にご相談ください お問い合わせ事業資金相談ダイヤル ( 平日 9 時 ~19 時 ) 0120-154-505 16

政策金融 あれこれ 第 回 森林化社会実現への課題 いかかっ ている 地球温 のあらゆる国や地域に襲 常気象による災害が世界 ばならない 性化の実現 も当然考慮されなけれ ては 地方消滅への対処や 地域活 ものとなっているが 森林の齢級構 いる また 搬出間伐は実効性ある 産に供する森林の減少が始まって て利用することで 今後の温暖化ガス るだけでなく 木材やエネルギーとし を吸収す 況である そんななかで 森林は 温 暖化問題への対処は待 っ たなしの状 ると思われる新たな事態や動きの 増す 以下では 制度金融に関連す 役割 は 今後一層拡大 し 重要性 を 金融 を 捉 えると その 対象分野 と から 改めて森林 林業関係の制度 グロー バル化と地域化の両視点 たな動きとして最も気になるのは 森林 林業の本質問題に係る新 ムについても同様である 体像や 川上から川下までのシステ のにな っ ていない 森林経営の 主 論理と実現性はなお確固 としたも 成 は 歪 なままで その 平準化への いびつ 排出を実質ゼロに抑えることから 社 一端を紹介し 森林 林業関係制度 アメリカ発の世界的動向 年金基金 ばならないことを主張している また ずは森林化社会の実現を図らなけれ 会を実現するには その核として ま この 点 から 私 は 低炭素循環型社 給率向上が実現している しかし の成果から 国産材の生産拡大 自 していることと 我が国の政策支援 世界的に森林資源が縮小 劣化 それを 実現 すべく 管理経営 するの が森林に期待するのはその運用益 経営構造への 移行 である 投資家 拡大と その論理による森林管理 等の機関投資家による 森林投資の 響を持つ 暖化ガスの太宗を占める 会 経済 環境のあり方に決定的な影 金融への関心醸成を図りたい 岡田 秀二 一方では再造林放棄地が拡大し 生 CO2 目標とする社会 経済の実現と係っ 富士大学 学長 定できない 森林 林業関係の制度金 崩壊の回路からの脱却の可能性も否 その議論からは 停滞 後退 劣化 が やっと聞かれるようになってきた 一方 国内では森林ビジネスの話題 空間に取り込まれているのである 森林はすでに グローバルな巨大金融 収益追求目的に開放すると明言する 活用ビジネス へ転換し 森林利用を 軸足を 林業 木材から 森林 林地の REITと呼ばれる いずれも経営の と す べ く 組 織 変 更 し た も の は 森林部門 を 分離 し 森林 を 投資対象 ジ ャ ー だ 過去の統合的木材企業が はTIMO と呼 ばれるフ ァ ンドマネ 1951年北海道生まれ 岩手大学農学部卒業 後 北海道大学で農学博士の学位を取得 北 海道立総合経済研究所研究員 岩手大学助 教授 岩手大学教授を経て 岩手大学名誉教 授 現在富士大学学長 この間 林政審議会 会長を2期務め 現在は中山間地域等直接支 払制度第三者委員会会長 融は 新たな出番を迎えている 17 5 異

上っています からふるの川村美香税理士は 資金にかかる相談対応が手薄だったので 日本公庫の女性職員がメンバーに加わったことで相談の幅が広がりました 今後も同じ女性として さまざまな事情で起業に踏み出すことができなかった女性たちの思いを受け止め アイディアを形にしていきたい と語っています 15 年2 月 からふる相談会から初の女性起業家が誕生したのを皮切りに 同年12 月までに5 名の女性が起業に至っています 名古屋支店では 創業資金融資のほか 起業に関心のある女性が気軽に相談に行ってみようと思うきっかけ作りのため からふる相談会や起業家の紹介などメディアへの情報発信も積極的に行っています さらに 起業前後の女性を対象に起業や日本公庫名古屋支店では 愛知県内の女性起業家を1人でも多く発掘しバックアップするため 2014年8 月から 県の外郭団体である公益財団法人あいち男女共同参画財団(以下 財団)と 県内で活躍する女性士業家のグループ からふる女性応援士隊 (以下 からふる)と連携し 女性を対象に起業相談やセミナーなどの取り組みを行っています 起業に興味のある女性向けの相談会 からふる女性応援士隊個別相談会 を立ち上げた財団とからふるにとって 当初の課題は 資金面の相談対応の充実でした そこで 女性の創業融資につながるスキームを検討していた名古屋支店に話があり 官 民 金 による連携が実現しました からふる相談会では 税理士 司法書士などのほか 日本公庫の女性職員がメンバーに加わることで 帳簿作成 税務処理 会社設立登記 資金調達など創業に係る全ての相談をワンストップで行えるようになりました 前例がないだけに 最初は手探りで始めた活動でしたが 参加者全員が女性であり 初歩的な質問でも気兼ねなく相談できる雰囲気が好評で 現在までの相談者は延べ40 名に悩みなどの意見交換を行う女性経営者座談会も開催 先輩女性経営者を囲んでの座談会は好評で さまざまな業種の女性起業家が集まりました 昨年11 月に自然食カフェをオープンした藤田直子さんからは 先輩の女性経営者や同時期に起業を目指した女性と話せる機会はなかなかないので 皆さんと交流ができ大変心強かったです とのお声をいただきました 相談会は ネットワーク作りにも生かされているようです 女性の起業は 地域の活性化や女性自身の自己実現の場として大変重要であり 全国的にも注目されています 名古屋支店では 新たな女性起業家誕生の契機にするべく 今後もからふる相談会などの取り組みを広くアピールし 愛知県内の女性起業家の発掘 サポートに積極的に取り組んでまいります (文/名古屋支店眞野奈々)相談者が続々と起業 創業融資や対外発信により継続的にフォローからふる女性応援士隊代表川村美香税理士動く支店 Vol.6 名古屋支店アイディアを形に参加者全員が女性の相談会官民の支援組織と連携し 女性起業家を後押し先輩女性経営者を囲んでの座談会の様子 経営上の悩みや意見交換で盛り上がった 18

ご意見 ご感想 業にとってやや暗いニュースが多いと思っ 際の顧客の写真を載せると 興味が湧き ていましたが 日本のトップランナーの考 やすくていいと思いました え方を知って刺激を受けました 今後 京都府 みのり受託組合 武田栄治 様 ワインの輸出に本格的に取り組みたいと 考えています 海外のバイヤーは品質や もっと若手農業者に焦点を当てた記事 価格だけでなく その企業が環境や福祉 4Hクラブなど があると 若手の刺激に にどのように貢献しているかも取り引きを 函館地域では10年ほど前から未利用 行う重要なポイントとしています 今後も の海藻に着目し 地域一体で がごめ昆 日本公庫つなぐ で紹介されるさまざま 布等 の商品化 ブランド化に取り組ん な経営者の意見を参考にしたいです でまいりました 4号の特集 攻めの農林 山梨県 40代 ぶどう生産 ワイン醸造 様 大阪府 株式会社サンエッセン 様 自分も農業を営むため 第4号の農業 特集を大変興味深く拝見させていただき ました 農業を取り巻く環境が大きく変化 水産業の展開 は ブランドに関連する 先進的な事例紹介など 共感する部分 ずっと地元にいる農業後継者は現状 していくなか 攻めの経営 に取り組ん が多く また 新たな気づきを与えられる 維持で精一杯になっていますが 非農家 でいらっしゃる方々の成功事例は大変参 など 業務を遂行するうえで大変参考に 出身の新規就農者の方々の前向きな姿 考になりました なりました 今後も 全国各地域の情報 勢はとても新鮮でした 後継者となって を得るツールとして大いに活用させてい 間もない私も 飼養技術の向上が課題 ただきたいと存じます 北海道 公益財団法人函館地域産業振興財団 産業支援課 金澤透 様 攻めの農林水産業の展開 という時 奈良県 松田隆文 様 です 農業のOSを作りたい という考 農業は間違いなく成長産業だ を え方には強く共感しました 農業のOSが 拝読して 農業の成長産業化には企業 あれば もっと若い新規就農者が増える 的経営が不可欠であることを改めて感じ と思います ました また 各経営者が自らの強みを 山梨県 20代 酪農後継者 様 生かし 次代を見据えた事業展開を行っ ていることに感心させられました 今後も 流に乗った特集でしたが 改めてそのス ピードの必要性を実感させられる記事で 第4号の記事で 若手稲作農家25人 した 先進的な技術や経営手法につい が取り組む農商工連携プロジェクトの記 の担い手を支援する場で活用していき てその認識を深めるというような段階から 事を拝見しました 農地が分散していな たいと思います 取り組み 実践し もう定着させていくと がら 生産や経営の集約化に努めている いうところに来ていることを痛感し 自身 という記事がとても印象的でした 貴誌を通じて新情報をキャッチし 農業 徳島県農業会議 田中智 様 岐阜県関市でも若い世代に話題となっ 私は将来的に起業を考えており 現在 春に向け 新しい世界へ挑戦していく勇 た 刃物のない 人生なんて という動画 創業に関する情報収集をしています こ 気とそれを実現していくための緻密さを が 刃物のまち 関を知ってもらういい機 のたび 日本公庫つなぐ 第4号を拝見 いま一度 考えさせられる第4号でした 会になりました 幅広い世代の挑戦する し 地元である福岡支店の創業支援の取 記事を今後も期待しています り組みを知ることができました 広報誌な と比べその遅れに焦りさえ感じました これからも 農業をぐいぐいと引っ張るよ うな誌面作りを期待します 岐阜県 関市役所商工課 野原崇寛 様 自身が新規就農者なので 他の新規 全国的 に 農家 が 減少していること TPPの影響を受けることなど 日本の農 どを通じて 創業の頼れるパートナーの 存在がもっと広く周知されるといいなと思 秋田県 有限会社 正八 様 いました 就農者についての記事には興味があり 福岡県 宮崎悠 様 もっと載せてほしいです 表紙には 実 編 集 後 記 特集でご紹介した島根県海士町と鹿児島県鹿屋市のやねだん は 地域が育んできた 宝 を大切にしながら 新しい可能性に向 けてチャレンジしています その行動力と熱い思いが 人を引きつ け 仕事を生み 魅力ある地域を創り出すのでしょう 私が取材 で訪れた海士町は 隠岐牛や岩ガキなどおいしいものがいっぱい詰まった島 そして何より 島を 語る島民の方々の目が生き生きと輝き 楽しそうなのが印象的でした さて 日本公庫つなぐ は おかげさまで創刊から2年目を迎えることができました これからも皆さまのお役に立つ情報を取り 上げるべく 編集担当一同 企画 取材に邁進していく所存です 次号もどうぞお楽しみに 藤下 19 なっていいと思いました 日本公庫つなぐ へのご意見募集 本誌へのご意見 ご感想をお待ちしており ます お寄せいただいたご意見などは 日本 公庫つなぐ に掲載します 誌面の都合上 編集させていただくことがあります FAX送付先 宛 先 03-3270-1643 日本政策金融公庫 広報部 日本公庫つなぐ 編集担当 日本公庫ホームページでもご意見 ご感想を 承っております

第 5 号 2016 年 4 月発行 制作 編集 /( 株 ) 日経 BP コンサルティング編集アドバイザー / 森一夫 企画 発行 /( 株 ) 日本政策金融公庫広報部 100-0004 東京都千代田区大手町 1-9-4 Tel.03-3270-0631 日本公庫国民生活事業では 創業事例集を発行しております 全国の創業企業 50 社の方々が どのようなきっかけで どのように創業したのか そして今後どのような事業展開を検討しているのかを紹介しております 本事例集は 公庫ホームページでもご覧いただけます 起こす!50 検索 日本公庫つなぐ は 日本公庫ホームページでもご覧になれます 広報部では 本誌へのご意見 ご感想をお待ちしております http://www.jfc.go.jp/ 日本公庫つなぐ検索 本誌掲載の記事 写真 イラストなどの無断転用 転載はお断りします