1/100 スケール 駆 逐 艦 長 波 建 造 中 間 公 開 書 1
2 2016 年 3 月 13 日 発 行
本 報 告 書 の 目 的 この 発 行 物 はサークル 主 ツバサが 1/100 スケールで 再 現 している 駆 逐 艦 長 波 最 終 予 想 姿 の 製 作 進 行 状 況 を 端 的 に 解 説 するものである 建 造 しているモデルは 図 面 発 行 元 である 深 雪 会 が 保 有 する 2000 年 9 月 23 日 版 駆 逐 艦 長 波 最 終 姿 を 適 用 した つまり 当 時 と 現 在 との 考 証 には 差 異 があり よって 本 製 作 は 最 終 姿 予 想 としま す 本 公 開 書 ではその 該 当 箇 所 を 併 せて 解 説 する 発 行 物 とする 駆 逐 艦 長 波 モデルとしている 駆 逐 艦 長 波 は 旧 日 本 海 軍 の 保 有 していたマル 4 計 画 のうちの 1 隻 であり ステキな 艦 影 で ある 夕 雲 型 の 4 番 艦 仮 称 第 119 号 艦 は 藤 永 田 造 船 所 にて 造 られ 1942 年 6 月 30 日 に 竣 工 した 当 時 は 開 戦 中 であったため 装 備 を 整 えた 後 に 横 須 賀 鎮 守 府 へ 直 ちに 相 模 湾 付 近 を 哨 戒 任 務 に 就 いた 7 月 20 日 に 横 須 賀 を 出 撃 して 各 海 域 での 作 戦 に 赴 き 長 波 サマがルンガ 沖 夜 戦 で 大 活 躍 する 事 となる そし て 1944 年 11 月 11 日 に 戦 没 するまで 幾 多 の 海 域 で 活 躍 した 実 艦 夕 雲 型 諸 元 Figure-1 排 水 量 基 準 :2,077t 公 試 :2,520t 陽 炎 型 の 発 展 型 ともいえる 夕 雲 型 であるが 陽 炎 型 で 問 題 であった 船 体 とプロペラの 適 用 に 解 消 できない 問 題 が 全 長 119.3m 全 幅 10.8m 吃 水 3.76m 主 缶 ロ 号 艦 本 式 缶 3 基 最 大 速 力 35.0kt 航 続 距 離 18kt=5,000 里 あった これにより 安 定 して 最 大 速 力 35kt が 出 ていなかっ た 為 船 体 形 状 を 見 直 し 艦 尾 の 形 を 改 善 し 全 長 を 500mm 延 長 したのが 夕 雲 型 であった 前 型 の 陽 炎 型 との 違 いでは 主 砲 塔 は D 型 交 流 一 次 電 源 の 採 用 艦 橋 断 面 を 緩 い 楔 形 として 空 気 抵 抗 を 減 少 させた こと これらにより 基 準 排 水 量 も 80t 近 く 増 大 したが 0.5kt 程 度 速 力 が 向 上 し 35.0ktを 安 定 して 出 力 する 事 が 出 来 るよ うになった なお 濱 波 で 昭 和 18 年 10 月 10 日 宮 津 沖 公 試 中 に 35.42kt を 記 録 している 夕 雲 型 の 後 期 型 では 対 空 機 関 銃 を 増 載 し 電 探 には 22 号 電 探 を 装 備 して 竣 工 したが 早 期 竣 工 艦 も 機 会 を 見 ては 装 備 された 旧 日 本 海 軍 にとって 魚 雷 襲 撃 戦 用 艦 隊 型 駆 逐 艦 夕 雲 型 は 最 終 完 成 版 に 相 応 しく 18 隻 全 てが 戦 没 し 果 てた 3
模 型 と 実 艦 との 差 異 1 模 型 では 図 面 を 基 に 長 波 の 最 終 形 態 を 再 現 するにあた って Figure-2 のような 13 号 対 空 電 波 探 信 儀 と 呼 ばれ る 電 探 の 配 備 が 1943 年 から 始 まった(なお 夕 雲 型 で の 搭 載 の 事 実 について 著 者 は 断 定 できない) この 模 型 では 長 波 に 13 号 対 空 電 探 を 装 備 した 状 態 で 製 作 し 竣 工 時 とは 違 った 勇 ましさが 見 えてくる 実 艦 の 長 波 は 竣 工 時 このような 装 備 は 搭 載 しておりま せんでしたが 被 弾 による 大 改 装 を 受 け 1944 年 1 月 25 日 に 呉 へと 護 送 され 帰 投 そこで 本 格 的 な 大 修 理 に 入 っ ているが この 時 には 13 号 対 空 電 探 の 配 備 が 本 格 的 に 始 まっており 指 向 性 の 高 い 13 号 対 空 電 探 を 装 備 して いたと 予 測 して 搭 載 した そして 何 より この 電 探 は 見 た 目 がかっこいいので どうしても 搭 載 したかった Figure-2 模 型 と 実 艦 との 差 異 2 夕 雲 型 は 直 径 (ダイヤ)φ3.5mの 3 枚 スクリュー プロペラを 採 用 している この 模 型 では RABOESCH φ40mm (オランダ) 製 の 模 型 スクリュー プロペラをφ40mm の 2 軸 正 転 および 反 転 の 双 方 装 備 で これはφ0.5mm 程 度 のサイズオーバーで 実 艦 よりもφ0.5m オーバー となってしまっている 反 転 φ35mm は 模 型 建 造 中 の 現 在 入 手 不 可 能 となっている 為 くしくも 妥 協 箇 所 の 一 つとしている 自 作 案 も 少 し 考 えてはみたが 将 来 には 自 立 航 行 可 能 な 模 型 となるためにこの 案 は 見 送 った なお 艦 尾 から 見 て 正 転 を 右 舷 側 反 転 を 左 舷 側 に 配 置 している Figure-3 4
模 型 と 実 艦 との 差 異 3 Figure-4-1 このモデルでは 2 番 主 砲 が 撤 去 され 代 わ りに 対 空 機 銃 台 が 増 設 されています 2000 年 版 での 図 面 では 考 証 があまく 1944 年 当 時 呉 での 改 装 の 際 では 撤 去 されていなかっ た と い う 考 証 が 有 力 と な っ て い ま す Figure-4-1 を 夕 雲 竣 工 時 Figure-4-2 を 長 波 最 終 形 態 の 仮 定 としていますが 今 回 のモ Figure-4-2 デルを 製 作 するに 当 たって 非 常 に 悩 んだ 箇 所 でありその 結 論 を 未 だに 迷 っている 次 第 ですが 搭 載 予 定 で 作 っていた 12.5cm 連 装 砲 D 型 3 基 のうち 1 基 が 内 部 で 破 損 した 状 態 の 為 現 状 復 旧 するまでの 間 は Figure-4-2 とする Figure-4 動 力 分 散 装 置 Figure-5 この 模 型 では 電 動 出 力 装 置 を 1 基 のみ 搭 載 し Figure-5 のような 分 散 装 置 よって 同 調 装 置 の 簡 素 化 と 消 費 電 力 の 削 減 を 図 っている なおこの 動 力 分 散 装 置 は 専 用 として 設 計 及 び 開 発 し 友 人 であるヤマンダ 氏 によって 製 作 された 完 成 した 装 置 の 動 作 試 験 は 良 好 で 現 在 では 艦 内 に 実 装 されている 5
電 熱 式 発 煙 装 置 第 1 煙 突 送 風 機 First Chimney Blower 電 熱 式 発 煙 装 置 Electric-heat Smoke Generator Figure-6 模 型 の 模 擬 演 出 として 煙 突 直 下 に 小 型 の 電 熱 式 煙 発 生 アセンブリを 搭 載 している この 煙 発 生 装 置 はスモ ーク 蒸 留 液 を 使 った 発 生 装 置 で これは 熱 によって 蒸 留 液 から 簡 単 にスモークを 発 生 させているが 非 常 に 効 率 の 悪 い 装 置 である 為 にその 煙 発 生 量 は 気 休 め 程 度 である 鎖 箱 鎖 は 錨 を 結 束 しているマスタリングを 経 由 して 接 続 されいる この 鎖 の 全 長 は 長 く 艦 船 内 部 に 格 納 する 必 要 があり この 模 型 には Figure-7(グレー 色 )の 箇 所 に 錨 箱 と して 区 画 を 設 けている 構 想 当 初 は 投 錨 抜 錨 の 動 作 をセミアク Figure-7 鎖 箱 Chain Box ティブで 動 作 を 再 現 することを 目 指 してい たが 操 作 用 のチャンネル 数 を 増 やす 必 要 があり 予 算 の 都 合 でこれを 断 念 6
使 用 材 料 箇 所 主 要 材 料 説 明 船 体 構 造 甲 板 甲 板 上 構 造 艤 装 品 類 マスト 塑 性 加 工 また 入 手 が 容 易 な 材 料 として 採 用 また 材 料 価 格 も 安 価 な 事 か 桧 材 ら 使 用 した 切 削 加 工 も 容 易 であるが 桧 (ヒノキ)の 香 は 大 変 良 かった 艦 首 艦 尾 は 木 材 での 形 状 再 現 の 難 しさからパテ 材 を 採 用 した 板 状 の 材 料 として 比 較 的 入 手 しやすい 材 料 また 重 心 位 置 が 極 力 高 くなる バルサ 材 事 を 抑 えるために 軽 い 材 料 として 採 用 した 実 艦 でのリノリウム 押 えの 金 具 材 再 現 として 真 鍮 線 を 敷 設 している 製 作 が 比 較 的 容 易 な 紙 を 採 用 しているが 防 水 処 置 としてラッカー 系 の 塗 料 工 作 用 紙 コピー 用 紙 とウレタン 系 クリアーにより 加 工 結 果 的 には 所 謂 FRP 材 と 似 たような 効 果 が 生 まれ 通 常 の 紙 より 強 度 を 飛 躍 的 に 向 上 させる 事 ができた マストは 必 要 強 度 を 得 るため 基 本 を 鋼 材 の 採 用 とした また 半 田 付 けによる 鋼 材 針 金 溶 接 が 施 されているが 一 部 では 金 属 用 瞬 間 接 着 剤 やセメダインが 適 用 され ている セメダイン 系 接 着 剤 船 体 構 造 から 艤 装 品 類 など 至 る 箇 所 に 使 用 している 接 着 剤 副 資 材 エポキシ 系 接 着 剤 瞬 間 接 着 剤 鋼 材 または 銅 材 を 紙 木 材 などの 異 種 材 料 同 士 の 接 着 に 用 いる マストの 結 合 スクリューとスクリューシャフトのロックタイとして 用 いる 後 工 程 建 造 スケジュール 2016 年 日 程 着 手 事 項 3 月 上 旬 ~ 同 月 中 旬 艦 首 造 形 艦 尾 甲 板 装 着 3 月 上 旬 ~4 月 中 旬 7M 等 のカッター 製 作 3 月 上 旬 ~5 月 下 旬 ボラード フェアリーダ 通 風 筒 絡 車 等 の 設 置 3 月 下 旬 スクリュー プロペラ 連 続 運 転 試 験 4 月 上 旬 ~5 月 下 旬 爆 雷 投 射 機 爆 雷 投 下 軌 条 爆 雷 装 填 台 の 設 置 4 月 中 旬 ~6 月 下 旬 武 器 装 品 の 手 摺 キャンバス 結 束 用 手 摺 等 の 細 部 再 現 4 月 中 旬 ~6 月 下 旬 舷 外 電 路 の 敷 設 5 月 上 旬 ~ 同 月 中 旬 対 空 機 銃 の 設 置 7 月 上 旬 ~9 月 下 旬 手 摺 の 敷 設 10 月 上 旬 ~ 同 月 中 旬 舷 側 艦 名 塗 装 艦 尾 艦 名 10 月 下 旬 浸 水 防 止 最 終 確 認 試 験 11 月 上 旬 ~12 月 上 旬 アクセサリ 備 品 等 の 設 置 2017 年 日 程 着 手 事 項 1 月 上 旬 ~2 月 下 旬 空 中 線 張 り 3 月 上 旬 ~ 同 月 下 旬 航 行 テスト 高 速 航 行 の 限 度 測 定 回 頭 性 能 確 認 4 月 ~6 月 駆 逐 艦 長 波 操 船 要 領 といった 手 順 書 の 作 成 6 月 30 日 竣 工 8 月 中 旬 コミケ 等 で 駆 逐 艦 長 波 の 航 行 シーン 映 像 の 頒 布 を 目 指 したい 上 記 スケジュールは 大 幅 な 余 裕 を 持 たせている 為 前 倒 しになる 可 能 性 があります また 建 造 の 段 階 による トラブル 対 応 やる 気 間 宮 さんのありがたい 補 給 等 よってはスケジュールが 前 後 することもあります 7
発 行 著 者 Web mail :Art Book Chipika :ツバサ :http://www.abchipika.jp :chipika13@hotmail.com 8