3.2 マルチパスシミュレーション Difference Of Arrival をから その信号の送出位置を求 マルチパス誤差の特性を把握するため 実験と同様な める OCTPASS の最大の特徴は 地上局において受信し 条件でマルチパスシミュレーションにより各種のパラメー た RF 信号を 光ファイバ信号伝送技術を用いた装置 ROF: タで測距誤差を計算するため 基礎的なマルチパスシミュ Radio On Fiber にて主処理装置に伝送する点にある レーションプログラムを作成して検討した これは 送信 ROF 装置は RF 信号を光信号に変換し伝送することによ 機の波形を記録したデータを利用し マルチパスの遅延 り 同軸ケーブルと比べて長距離の RF 信号伝送が可能で 減衰 位相差をパラメータとして 直接波と合成し 時間 ある ROF 装置を利用することにより 従来システムに 検出を行うことにより 誤差特性を得ることができる そ はない3つの利点が生じる の結果 DAC においては 10ns から20ns 程度の遅延におい ⑴ 時刻同期が不要 て誤差が最大となることが分かった TDOA は 各地上局における信号の到達時間 TOA: Time Of Arrival を互いに減算することにより求める 3.3 測位実験装置主局系の開発 OCTPASS では TOA 導出は主処理装置だけで行う こ 平成15年度に行った ACAS による受動測位実験におい のため 地上局間の同期は必要がなく 同期に起因する時 て DAC を使用した場合 信号の飽和による誤差があった 刻検出の劣化は発生しない これにより TOA が精度良 この問題を解決するため 信号の初期から利得を制御する く得られるため 測位精度が向上する IAGC Instantaneous Automatic Gain Control 機能を持 ⑵ 測位確率の向上 つ1090MHz 受信機を主局系と従局系の一部について製作 マルチラテレーション測位において 二次元位置を求め した これは DME/P Distance Measuring Equipment/ るためには 最低3つの地上局の TOA が必要となる 得 Precise においても使用された遅延線を利用したフィード られる TOA が2つ以下となると測位ができない フォワード型制御により利得制御を行う方式である 従来システムは 地上局毎に信号を検出し TOA を求 める このため マルチパス等で信号劣化し信号検出でき 4 考察等 ない地上局が発生すると 測位できない マルチパス環境においては 測位誤差が発生する以前 一方 OCTPASS では 主処理装置において 複数の地 に信号が正常に検出できず 測位自体ができない場合があ 上局の RF 信号を観測し いずれか1つの地上局が信号を る 従って検出確率を向上することが第一に必要である 検出すると 同時に全ての地上局の信号を捕捉する この OCTPASS は従来のマルチラテレーションと同様 監視領 ため ある地上局の受信信号がマルチパスで劣化し信号を 域内の周囲に地上局を設置し 到達時間差 TDOA: Time 検出できない場合でも 他地上局により信号検出できれば 距離 m 距離 m 図1 仙台空港における測位結果 20
このため本年度は 評価システムに受信局1局を追加 し 送受信局の再配置とアンテナ設置の改善等を行って ADS-B とマルチラテレーションの評価試験を実施した 3 研究成果 3.1 ADS-B 受信局の製作 マルチラテレーションでは 良好な位置精度を得るため には 3局以上の受信局がターゲットを取り囲むように配 置する必要がある これまでの評価では 受信局数の不足 から滑走路の両端において十分な受信局の配置が得られな かったため 受信局1局を製作した 受信局の仕様はこれ までと同様である 図1 受信局を設置した車両の外観 3.2 地上評価システムの設置調整 3.3 ADS-B とマルチラテレーションの評価試験 本年度製作した ADS-B 受信局を評価システムに組み込 受信局の追加と設置方法の改善を行い 空港面および むための設置調整を行った 追加受信局1局を滑走路両端 ターミナルエリアでの ADS-B とマルチラテレーションの に配置させるために 試験エリアを東西に分割して エリ 評価試験を実施した 特に導入が急がれているマルチラテ アに合わせて受信局を移動させて対応することとした こ レーションの空港面評価を積極的に実施した 図2に評価 のため 容易に移動できるように受信局を車両に設置した システムの構成と仙台空港における配置を示す 評価シス 図1に受信局を設置した車両の外観を示す テムは スキッタ信号や SSR 応答を受信処理する受信局 4局 受信処理に加えて SSR 質問を送信する送受信局2 局 各局の時刻同期を取るためにスキッタ信号を送信する アンテナ高上昇 位置移動 RU2 受信局 アンテナ高上昇 RU4 受信局 ENRI 電子航 法研 究所 研 所 電子航 法 究 RU3(受信局) 実験用移動局 滑走路西側実験 滑走路東側実験 基準送信局 RU1(送受信局) 西側実験時追加 RU6 受信局 アンテナ位置移動 RU5 送受信局 ターゲット処理装置 東側実験時追加 RU6 受信局 図2 評価システムの構成と仙台空港における配置 改善前 改善後 ターミナルビル ターミナルビル 図3 ターミナルビル付近の追尾処理航跡の比較 58
シミュレーション時刻 航空機シンボル 丸印 とセパレーションボックス 水色 通常状態 橙色 コンフリクト状態 データブロック 便名 高度 ボックス長 15分 50NM トラック1 トラック2 トラック3 トラック11 トラック12 緑線 航空路 白点 フィックス 図1 動的経路計画シミュレータ水平面表示画面 コンフリクト検出シミュレーション Flight Information Region および那覇 FIR の全空域を 更新した場合の効果を推定した シミュレーションでは 想定した経路 米国側ゲートの空域を拡張した経路を比較 新経路の旧経路に対する飛行時間短縮量と燃料節約量を求 した 現状空域モデルの経路に対する拡張空域モデルの経 めた 新予報の経路は旧予報の経路に対して 1機当りの 路の短縮量と消費燃料の節約量を求めた 東京から北米西 飛行時間短縮量の平均値は0.3分 最大値は1.8分 燃料節 海岸とハワイへの50NM 横間隔付経路の場合 拡張空域モ 約量の平均値は66lbs 最大値は360lbs となった 6時間 デルの全経路の平均値で 飛行時間の短縮量の最大値が1.4 毎の時間帯で経路を更新した場合 飛行時間短縮量の平均 分 燃料節約量の最大値が610lbs 1 lbs=0.454kg である 値は0.9分 最大値は2.6分 燃料節約量の平均値は273 lbs 東アジアから北米西海岸までの最適経路の場合 飛行時間 最大値は796lbs となった の短縮量と燃料節約量の平均値が台北発で1.2分と400lbs 上海発で2.1分と600lbs ソウル発で9.5分と3,200lbs である 3.4 経路間隔短縮のシミュレーション 飛行時間の短縮量と燃料節約量の最大値は 台北が11分と 東行 PACOTS 経路の横間隔を50NM 1 NM 1,852m 3,000lbs 上海が13分と3,900lbs ソウルが32分と9,800lbs から30NM に短縮した場合の効果を推定した また 経路 である これらの日は経路が現在より北側に設定された 作成の緯度単位を1度間隔から1 6度間隔に向上した場合 の効果を推定した さらに 航空機の縦間隔を時間間隔 3.3 動的経路のシミュレーション の15分から50NM と30NM に短縮した場合の効果を推定し 東行 PACOTS について 運用時間帯の24時間前の気象 た 予報を使用して算出した経路に対して 12時間前の気象予 経路の横間隔を短縮した場合では 5本の経路におい 報を使用して経路を更新した場合の効果を推定した また て 標準フライトを設定し 飛行時間短縮量と消費燃料節 経路の運用時間帯内で偏西風の時間移動に対応して経路を 約量を求めた 現在の横間隔50NM に比較して1機当りの 89