Windows Server 2012 NIC チーミング 機 能 検 証 2013 年 9 月 9 日 第 1.0 版 株 式 会 社 日 立 製 作 所 IT プラットフォーム 事 業 本 部
用 語 および 略 号 Windows Server 2012 マイクロソフトが2012 年 にリリースした Windows Server OS Hyper-V マイクロソフトが 提 供 する 仮 想 化 技 術 の 名 称 仮 想 マシン Hyper-V 上 で 動 作 する OS 実 行 環 境 Hyper-V 仮 想 環 境 Hyper-Vをインストールしたサーバーコンピューターと 仮 想 マシンを 含 む Hyper-V 環 境 全 体 NIC Network Interface Card の 略 ネットワークと 接 続 するためのデバイス NIC チーミング 複 数 のNICを 論 理 的 な 単 一 のNICとして 構 成 し リンク 障 害 に 対 する 冗 長 化 とネットワーク 帯 域 の 負 荷 分 散 を 実 現 する 技 術 リンク 障 害 NICに 障 害 が 発 生 したり NICと 外 部 スイッチとの 通 信 経 路 に 障 害 が 発 生 し て 通 信 ができなくなる 事 象 フェールオーバー チーミングを 構 成 するNICにリンク 障 害 が 発 生 した 場 合 残 りの 正 常 に 通 信 可 能 なNICが 処 理 を 引 き 継 ぎ ネットワーク 通 信 を 維 持 すること フェールバック リンク 障 害 が 回 復 した 場 合 に フェールオーバーにより 他 のNICに 引 き 継 が れていた 処 理 が 元 のNICに 戻 されること 仮 想 スイッチ 仮 想 マシンをネットワークで 接 続 するため 仮 想 化 されたサーバー 内 でソフ トウェアにより 提 供 される 論 理 的 なスイッチ リンクアグリゲーション ネットワーク 機 器 間 を 結 ぶ 複 数 の 通 信 経 路 を1つの 論 理 的 な 通 信 経 路 にと して 利 用 し 帯 域 を 拡 張 する 技 術 LACP Link Aggregation Control Protocol の 略 物 理 的 な 通 信 経 路 の 状 態 をチェ ックし 動 的 にリンクアグリゲーションできる 技 術 登 録 商 標 および 商 標 について Microsoft Windows Windows Server Hyper-V は 米 国 Microsoft Corporation の 米 国 およびその 他 の 国 における 登 録 商 標 または 商 標 です その 他 このドキュメントで 記 載 する 製 品 名 および 会 社 名 は 各 社 の 商 標 または 登 録 商 標 です 本 文 中 では R および は 明 記 しておりません 1
目 次 1 はじめに... 3 2 Windows Server 2012 の NIC チーミング... 3 2.1 NIC チーミングの 概 要... 3 2.2 Hyper-V 仮 想 環 境 における NIC チーミングの 重 要 性... 4 2.3 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 構 成 要 件... 4 2.4 NIC チームの 作 成... 5 2.5 設 定 項 目 の 解 説... 6 3 検 証 シナリオ... 9 3.1 仮 想 環 境 におけるネットワーク 可 用 性 向 上... 9 3.2 仮 想 環 境 におけるネットワーク 帯 域 拡 張...10 4 検 証 内 容 と 結 果...11 4.1 検 証 (1): Hyper-V 環 境 におけるフェールオーバー 検 証...11 4.2 検 証 (2): Hyper-V 環 境 における 負 荷 分 散 検 証...13 4.3 検 証 (3): 負 荷 分 散 モード 設 定 検 証...15 5 まとめ...17 付 録...18 2
1 はじめに Windows Server 2012 では 新 機 能 として NIC チーミング 機 能 が OS に 標 準 搭 載 されました NIC チーミン グとは 複 数 のネットワークアダプターを 束 ねて 論 理 的 な 単 一 のネットワークアダプターとして 構 成 し リ ンク 障 害 に 対 する 冗 長 化 とネットワーク 帯 域 の 負 荷 分 散 を 実 現 する 機 能 です 本 ドキュメントでは 以 下 の 情 報 を 提 供 することを 目 的 としています Windows Server 2012 に 新 機 能 として 搭 載 された NIC チーミング 機 能 の 概 要 説 明 NIC チーミングの 設 定 項 目 の 説 明 と それぞれの 特 徴 の 説 明 本 ドキュメントは 株 式 会 社 日 立 製 作 所 と 日 本 マイクロソフト 株 式 会 社 の 共 同 で 実 施 した 検 証 に 基 づき 作 成 しております 記 載 する 内 容 は 弊 社 環 境 にて 実 施 した 検 証 結 果 に 基 づいており 実 運 用 環 境 下 での 動 作 および 性 能 を 保 証 するものではありません また 仕 様 は 予 告 なく 変 更 する 場 合 があります あらかじめ ご 了 承 ください 2 Windows Server 2012 の NIC チーミング 2.1 NIC チーミングの 概 要 NIC チーミングは 複 数 の NIC を 束 ねて 論 理 的 な 単 一 の NIC として 構 成 し リンク 障 害 に 対 する 冗 長 化 と ネットワーク 帯 域 の 負 荷 分 散 を 実 現 する 技 術 です Windows Server 2008 R2 以 前 の Windows Server では NIC チーミングはネットワークアダプターベンダーのテクノロジーとして 提 供 され OS として NIC チーミング をサポートしていませんでしたが Windows Server 2012 からは 新 機 能 として NIC チーミング 機 能 が OS に 標 準 搭 載 されました Windows Server 2012 OS 標 準 NIC チーミングの 提 供 するソリューションは 以 下 の2つです ネットワークの 冗 長 化 を 提 供 し リンク 障 害 に 対 する 耐 障 害 性 を 向 上 します 複 数 のネットワークアダプターにトラフィックを 負 荷 分 散 することにより ネットワーク 帯 域 を 増 やすこと ( 帯 域 拡 張 )ができます Windows Server 2012 OS 標 準 NIC チーミングは Hyper-V 仮 想 化 環 境 に 冗 長 化 されたネットワーク 環 境 を 提 供 できます また OS 標 準 機 能 として 搭 載 されたことにより マイクロソフトのサポートを 受 けることが 可 能 になりました 3
2.2 Hyper-V 仮 想 環 境 における NIC チーミングの 重 要 性 Windows Server システムにて 冗 長 構 成 をとるシステムでは ネットワークの 冗 長 化 も 重 要 なテクノロジー です Windows Server の 仮 想 化 環 境 上 での 構 築 が 主 流 になってきている 状 況 において 仮 想 マシンから の 通 信 が 集 中 する 物 理 NIC の 冗 長 化 は 重 要 性 を 増 しています 物 理 NIC には 通 信 が 集 中 するため 性 能 のボトルネックとなる 可 能 性 があり 十 分 な 帯 域 の 確 保 も 必 要 になります Windows Server 2012 標 準 NIC チーミング 機 能 は Hyper-V 仮 想 環 境 にネットワークの 冗 長 化 と 負 荷 分 散 を 提 供 することができます 図 2.1 仮 想 環 境 におけるネットワーク 冗 長 化 2.3 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 構 成 要 件 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 構 成 には 以 下 の 構 成 要 件 があります 最 大 32 個 のネットワークアダプターで NIC チームを 構 成 できます リンク 速 度 の 異 なるネットワークアダプターでチームを 作 成 することはサポートされていません サードパーティーの 提 供 する NIC チーミングと 併 用 することはサポートされていません イーサーネット NIC 以 外 はサポートされません そのため 無 線 LAN はサポートされていません 4
2.4 NIC チームの 作 成 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングはサーバーマネージャによる GUI での 操 作 と Power Shell で 作 成 することができます サーバーマネージャから 作 成 する 場 合 は [ローカルサーバー] の [NIC チーミング] を 選 択 し [NIC チーミング] ウィンドウでチームに 参 加 させるネットワークアダプターを 選 択 して [ 新 しいチームに 追 加 ]を 選 択 します 図 2.2 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 新 規 作 成 (1) [チームの 新 規 作 成 ] 画 面 では [チーム 名 ] [チーミングモード] [ 負 荷 分 散 モード] [スタンバイア ダプター]などの 各 種 設 定 を 行 うことができます ( 図 2.3) これら 設 定 については 2.5 章 で 解 説 します チー ミングの 構 成 を Power Shell で 行 う 場 合 は New-NetLbfoTeam Set-NetLbfoMember Set-NetLbfoTeam コマンドレットを 使 用 します 設 定 項 目 について 2.5 章 で 説 明 図 2.3 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 新 規 作 成 (2) 5
2.5 設 定 項 目 の 解 説 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミング 機 能 には 複 数 の 設 定 項 目 があります 効 果 的 な 負 荷 分 散 を 行 うために 環 境 に 応 じて 適 切 な 設 定 を 行 う 必 要 があります 以 下 にそれぞれの 項 目 について 説 明 しま す a) 負 荷 分 散 モード 負 荷 分 散 モードは 負 荷 分 散 のアルゴリズムを 選 択 するための 項 目 です 主 に 送 信 方 向 (サーバー 外 部 スイッチ)の 負 荷 分 散 に 関 係 します 負 荷 分 散 モードには [アドレスのハッシュ] と [Hyper-V ポート] 設 定 があり [アドレスのハッシュ] にはさらに3つの 細 分 設 定 があります アドレスのハッシュ(Transport Ports) 送 信 元 と 送 信 先 の IP アドレス+TCP ポートを 元 に 計 算 したハッシュ 値 を 用 いて チーミングを 構 成 す る 各 物 理 NIC に 分 散 します デフォルトでこの 設 定 が 選 択 されています アドレスのハッシュ(IP アドレス) 送 信 元 と 送 信 先 の IP アドレスを 元 に 計 算 したハッシュ 値 を 用 いて チーミングを 構 成 する 各 物 理 NIC 分 散 します 設 定 は Power Shell で 行 います 一 度 Power Shell で 設 定 すると 設 定 変 更 は GUI 画 面 で 行 えるようになります Power Shell での 設 定 例 : Set-NetLbfoTeam -LoadBalancingAlgorithm IPAddresses アドレスのハッシュ(MAC アドレス) 送 信 元 と 送 信 先 の MAC アドレスを 元 に 計 算 したハッシュ 値 を 用 いてチーミングを 構 成 する 各 物 理 NIC に 分 散 します 設 定 は Power Shell で 行 います なお 一 度 Power Shell で 設 定 すると 設 定 変 更 は GUI 画 面 で 行 えるようになります Power Shell での 設 定 例 : Set-NetLbfoTeam -LoadBalancingAlgorithm MACAddresses Hyper-V ポート 仮 想 マシンと 仮 想 スイッチの 仮 想 的 な 接 続 点 である Hyper-V スイッチポートを 元 に 負 荷 分 散 を 行 いま す この 設 定 のメリットは [Hyper-V ポート] を 選 択 した 場 合 個 々の 仮 想 マシンが 使 用 する 物 理 NIC を 固 定 化 することができ NIC での 処 理 をオフロードする VMQ を 効 率 的 に 利 用 できる 点 です 留 意 点 は 1つの 仮 想 マシンが 使 用 可 能 な 帯 域 は 物 理 NIC1つ 分 になる 点 です 6
b) チーミングモード チーミングモードは 外 部 スイッチとの 依 存 関 係 と 負 荷 分 散 に 関 係 する 設 定 項 目 です 主 に 受 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー)の 負 荷 分 散 に 関 係 します チーミングには 3 つの 設 定 値 があります 設 定 値 の 特 徴 を 表 2.1 に 示 します 表 2.1 チーミングモードの 特 徴 チーミングモード スイッチ 依 存 冗 長 化 負 荷 分 散 スタンバイ アダプター 構 成 スイッチに 依 存 しない - 表 2.2 参 照 静 的 チーミング - LACP - スイッチに 依 存 しない NIC と 接 続 する 外 部 スイッチ 側 で 特 別 な 設 定 が 不 要 なモードです デフォルトでこの 値 が 設 定 されて います このモードを 選 択 した 場 合 負 荷 分 散 は 負 荷 分 散 モードの 設 定 によって 変 わります( 表 2.2) ま た このモードでのみスタンバイアダプター 構 成 がサポートされます 表 2.2 チーミングモード [スイッチに 依 存 しない] 構 成 における 負 荷 分 散 の 特 徴 負 荷 分 散 負 荷 分 散 モード アドレスのハッシュ 送 信 方 向 (サーバー 外 部 スイッチ) 負 荷 分 散 可 1つの 仮 想 マシンが 複 数 の 物 理 NIC を 使 って 負 荷 分 散 可 能 受 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー) 負 荷 分 散 不 可 仮 想 マシンのトラフィックの 合 計 が 物 理 NIC 1 つ 分 迄 Hyper-V ポート 負 荷 分 散 可 1つの 仮 想 マシンの 最 大 トラフィックは 送 受 信 合 計 で 物 理 NIC1 つ 分 迄 静 的 チーミング NIC と 接 続 する 外 部 スイッチ 側 で 静 的 リンクアグリゲーションを 設 定 することにより 受 信 方 向 ( 外 部 スイ ッチ サーバー)のネットワークを 負 荷 分 散 により 帯 域 拡 張 するモードです スループットは 外 部 スイッチ の 負 荷 分 散 仕 様 に 準 じます 7
LACP NIC と 接 続 する 外 部 スイッチ 側 で LACP( 動 的 リンクアグリゲーション)を 設 定 することにより 受 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー)のネットワークを 負 荷 分 散 により 帯 域 拡 張 するモードです このモードは 外 部 スイッチが LACP に 対 応 している 必 要 があります このモードを 選 択 した 場 合 受 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー)のスループットは 外 部 スイッチの 負 荷 分 散 仕 様 に 準 じます c) スタンバイアダプター この 設 定 を 使 用 すると チーミングを 構 成 する 物 理 NIC の 中 から 任 意 の 1 つの NIC を スタンバイに 設 定 することができます アクティブな NIC が 壊 れた 場 合 はスタンバイ NIC がアクティブになり 通 信 を 継 続 します スタンバイアダプターを 設 定 した 場 合 NIC が1つ 壊 れた 場 合 でも アクティブなNICの 数 を 一 定 に 保 つことができます 8
3 検 証 シナリオ 3.1 仮 想 環 境 におけるネットワーク 可 用 性 向 上 Windows Server 2012 では OS レベルで NIC チーミングがサポートされ Hyper-V 環 境 において NIC 障 害 に 対 する 冗 長 化 を 提 供 することができるようになりました NIC が 冗 長 化 されていない 仮 想 環 境 では NIC に 障 害 が 発 生 すると 全 ての 仮 想 マシンにネットワーク 障 害 がおよぶ 恐 れがあります 1 つの 物 理 環 境 上 で 多 数 の 仮 想 マシンが 稼 動 することの 多 い VDI 環 境 において 物 理 NIC に 障 害 が 発 生 すると 影 響 は 大 きくなります ( 図 3.1) 図 3.1 VDI 環 境 で NIC に 障 害 があった 場 合 全 ての 仮 想 マシンに 影 響 が 及 ぶ Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングを 使 用 することにより 物 理 NIC で 障 害 が 発 生 した 場 合 でも 瞬 時 に 通 信 経 路 が 切 替 り(フェールオーバー) 仮 想 マシンのネットワーク 通 信 を 継 続 できます ( 図 3.2) 本 検 証 では 多 数 の 仮 想 OS を 搭 載 した Microsoft-VDI 環 境 において NIC チーミングを 構 成 した Windows Server 2012 Hyper-V 上 でリンク 障 害 を 発 生 させ フェールオーバーによる 仮 想 マシンへのネットワークの 影 響 について 検 証 します 図 3.2 VDI 環 境 における NIC チーミング フェールオーバー 9
3.2 仮 想 環 境 におけるネットワーク 帯 域 拡 張 VDI 環 境 の 様 に 多 数 の 仮 想 マシンを 稼 動 させた 環 境 では 仮 想 マシンのネットワークトラフィックが 物 理 NIC に 集 中 し ネットワークのボトルネックになる 可 能 性 が 考 えられます NIC チーミングにより 負 荷 分 散 するこ とによりネットワーク 帯 域 を 増 やすことができ ボトルネック 解 消 の 手 段 を 提 供 することができます ( 図 3.3) 図 3.3 仮 想 環 境 におけるネットワーク 帯 域 拡 張 本 検 証 では 負 荷 分 散 機 能 を 使 用 することにより NIC チーミングによってネットワーク 帯 域 が 拡 張 されること を 確 認 すると 共 に ネットワーク 帯 域 の 実 効 速 度 を 検 証 します また Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングには 負 荷 分 散 モード 設 定 に 複 数 の 設 定 値 が 存 在 します 本 検 証 では 負 荷 分 散 モードについて 検 証 し 設 定 内 容 によるスループットの 違 いを 確 認 します 10
4 検 証 内 容 と 結 果 4.1 検 証 (1): Hyper-V 環 境 におけるフェールオーバー 検 証 検 証 目 的 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミング 環 境 において NIC のフェールオーバー 動 作 が 仮 想 マシンの 通 信 に 与 える 影 響 を 確 認 します また NIC フェールオーバー 前 後 のネットワークトラフィックを 測 定 し ネット ワークの 切 断 状 況 とその 影 響 を 確 認 します 検 証 項 目 フェールオーバー 機 能 の 有 効 性 を 確 認 する フェールオーバーによる 仮 想 マシン 利 用 時 の 影 響 を 確 認 する 検 証 方 法 検 証 用 サーバーに 仮 想 クライアント 10 台 が 稼 動 する Hyper-V 環 境 を 構 築 します 検 証 用 サーバーの 1Gbps NIC を 2 つ 使 用 してチーミングを 構 成 します ( 図 4.1) チーミングモードは [スイッチに 依 存 しな い] 負 荷 分 散 モードは [アドレスのハッシュ(Transport Ports)] NIC(1)をアクティブ NIC(2)をスタンバ イに 設 定 します チーミングを 構 成 すると OS からは[Microsoft Network Adapter Multiplexor]という 仮 想 的 な1つの NIC として 認 識 されます この 仮 想 NIC のスループットを 計 測 することにより 仮 想 環 境 のネットワーク 全 体 の スループットを 計 測 することができます 図 4.1 仮 想 クライアント 環 境 の NIC フェールオーバー 検 証 構 成 テストツールを 用 いて 仮 想 クライアントからファイルサーバーにネットワークトラフィックを 発 生 させ Windows Server2012 のパフォーマンスモニター 上 で 表 4.1 のカウンターを 用 いて 1 秒 間 隔 で NIC(1)と NIC(2)のスループット 及 び 合 計 スループットを 計 測 しました 11
説 明 表 4.1 パフォーマンスモニター 測 定 項 目 パフォーマンスカウンター 名 1 NIC(1)のスループット \Network Adapter(NIC_1)\Bytes Sent/sec 2 NIC(2)のスループット \Network Adapter(NIC_2)\Bytes Sent/sec 3 合 計 スループット \Network Adapter(Microsoft Network Adapter Multiplexor Driver)\Bytes Sent/sec 検 証 内 容 と 結 果 NIC フェールオーバー 前 後 でネットワークのスループットを 計 測 したデータを 図 4.2 に 示 します 測 定 は Windows Server2012 のパフォーマンスモニターを 使 って 行 い 表 4.1 のカウンタを 使 って 計 測 しました 障 害 発 生 フェールオーバー フェールバック 1 NIC (1)スループット (Active 設 定 ) 2 NIC (2)スループット (Standby 設 定 ) 3 合 計 スループット 図 4.2 パフォーマンスモニター 計 測 結 果 計 測 開 始 から 30 秒 後 に NIC(1)でリンク 障 害 を 発 生 させ NIC(1)から NIC(2)へのフェールオーバーを 発 生 させました リンク 障 害 によりフェールオーバーが 発 生 したことは Windows Server のイベントログ( 付 録 B)から 確 認 することができます パフォーマンスモニターの 計 測 結 果 ( 図 4.2)から 検 証 開 始 時 に NIC(1)を 使 って 送 信 されていたトラフィ ックが フェールオーバーにより NIC(2)に 移 ることが 確 認 できました またフェールオーバー 時 には 切 り 替 えに 伴 うスループットの 低 下 が 確 認 され その 時 間 は1 秒 未 満 でした さらに 90 秒 時 点 で 切 戻 し(フェールバック)を 発 生 させました パフォーマンモニターの 計 測 により NIC(2)で 送 信 されていたトラフィックが NIC(1)に 戻 ることが 確 認 できました フェールバック 時 のスループッ トの 低 下 はフェールオーバー 時 に 比 べて 小 さく その 時 間 は1 秒 未 満 でした 12
次 に NIC フェールオーバーの 前 後 で 仮 想 クライアントへのリモートデスクトップ 接 続 と 仮 想 クライア ントからのファイル 送 信 について NIC のフェールオーバー/フェールバックの 影 響 を 監 視 しました 結 果 は リモート 接 続 ファイル 送 信 共 にフェールオーバー フェールバック 前 後 で 切 断 は 発 生 しません でした ( 表 4.2) 表 4.2 NIC フェールオーバー/フェールバック 時 の 接 続 性 測 定 リモートデスクトップ 接 続 ファイル 送 信 フェールオーバー ( 切 断 事 象 なし) ( 切 断 事 象 なし) フェールバック ( 切 断 事 象 なし) ( 切 断 事 象 なし) 検 証 (1)まとめ NIC のフェールオーバー 前 後 でネットワークに1 秒 未 満 の 切 断 が 発 生 しましたが その 前 後 で 仮 想 マシ ンのリモートデスクトップ 接 続 とファイル 送 信 が 失 敗 することはなく フェールオーバー 動 作 がネットワーク に 与 える 影 響 は 軽 微 と 考 えられます また フェールオーバーに 比 べてフェールバック 時 切 替 え 時 のスループットの 低 下 は 僅 かで フェール バックの 影 響 も 軽 微 と 考 えられます 4.2 検 証 (2): Hyper-V 環 境 における 負 荷 分 散 検 証 検 証 目 的 VDI 環 境 の 様 に 多 数 の 仮 想 マシンが 稼 動 する 環 境 では 仮 想 マシンのネットワークトラフィックが 物 理 NIC でボトルネックになる 可 能 性 が 考 えられます Window Server 2012 標 準 NIC チーミングの 負 荷 分 散 機 能 を 利 用 することにより ネットワークを 帯 域 拡 張 してボトルネックの 問 題 に 対 処 することができます 本 検 証 では Hyper-V 仮 想 環 境 において Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 負 荷 分 散 機 能 が 有 効 であることを 確 認 します 図 4.3 Hyper-V 環 境 における 負 荷 分 散 検 証 13
検 証 方 法 検 証 用 サーバーに 仮 想 クライアント 10 台 が 稼 動 する Hyper-V 環 境 を 構 築 します 検 証 用 サーバーの 1Gbps NIC を 2 つ 使 用 してチーミングを 構 成 し チーミングモードは[スイッチに 依 存 しない]に 設 定 します それぞれの 仮 想 クライアントからネットワークテストツールでトラフィックを 発 生 させ 表 4.1 のパフォーマ ンスモニターカウンタを 用 いて 合 計 スループットを 計 測 します 計 測 は 負 荷 分 散 モード[アドレスのハッ シュ(Transport Ports)] [Hyper-V ポート]のそれぞれで 20 回 実 施 し 最 小 値 最 大 値 平 均 値 を 計 測 し ました 検 証 内 容 と 結 果 Windows パフォーマンスモニタにより 計 測 した スループットの 最 大 値 と 最 小 値 平 均 値 を 表 4.3 にまと めます 表 4.3 VDI 環 境 における NIC チーミングの 合 計 スループット [ 単 位 :Gbps] 負 荷 分 散 モード 設 定 最 小 値 平 均 値 最 大 値 アドレスのハッシュ 1.15 1.46 1.63 Hyper-V ポート 1.14 1.50 1.66 負 荷 分 散 モードが[アドレスのハッシュ] の 場 合 は 平 均 で 1.46Gbps [Hyper-V ポート]の 場 合 は 平 均 で 1.50Gbps のスループットを 計 測 しました 今 回 の 検 証 条 件 では 負 荷 分 散 モードによるスループットの 違 いは 見 られず ほぼ 同 様 の 測 定 結 果 となりました Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングは 複 数 の NIC を 用 いて 負 荷 分 散 を 実 現 することができま すが ネットワークトラフックはランダムに 各 物 理 NIC に 分 散 されるため 場 合 によっては1つの NIC に 負 荷 が 偏 り 他 の NIC が 殆 ど 使 われないケースも 発 生 し その 場 合 は 最 小 値 に 近 いスループットとなります 一 方 ランダムに 分 散 された 結 果 トラフィックが 均 等 に 分 散 された 場 合 は 最 大 値 に 近 いスループット が 得 られます 検 証 (2)まとめ Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングを 用 いることにより VDI 環 境 において 送 信 方 向 (サーバー 外 部 スイッチ) の 負 荷 分 散 を 行 えることが 確 認 できました なお 検 証 (2)の 構 成 では 負 荷 分 散 モード の 違 いによるスループットの 差 は 認 められませんでした 14
4.3 検 証 (3): 負 荷 分 散 モード 設 定 検 証 検 証 目 的 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングには 複 数 の 設 定 項 目 があります 2.5 章 の 表 2.2 で 示 しま したように [スイッチに 依 存 しない] モードと [アドレスのハッシュ] 設 定 の 組 み 合 わせの 場 合 受 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー)の 負 荷 分 散 は 実 現 できません しかし 送 信 方 向 ( 外 部 スイッチ サーバー) の 負 荷 分 散 においては [アドレスのハッシュ] の 方 が 有 利 なケースがあります 本 検 証 では [Hyper-V ポート] より [アドレスのハッシュ] 設 定 が 有 利 となるケースについて 検 証 します 検 証 方 法 Hyper-V 仮 想 環 境 上 に 仮 想 ファイルサーバー1 台 構 築 します ファイルサーバー 上 のファイルを 4 台 の クライアントから 同 時 にダウンロードし チーミングを 構 成 した NIC 上 で 表 4.1 のパフォーマンスモニター カウンタを 用 いて 合 計 スループットを 計 測 します この 計 測 は [アドレスのハッシュ(TranceportPorts)] と [Hyper-V ポート] それぞれの 負 荷 分 散 設 定 で 20 回 計 測 し 合 計 スループットの 平 均 値 を 測 定 しま す 検 証 内 容 と 結 果 上 記 検 証 方 法 によって 得 られた 計 測 結 果 を 図 4.4 に 示 します [アドレスのハッシュ] 設 定 では 平 均 1.53Gbps のスループットを 計 測 しました 対 して [Hyper-V ポート] 設 定 では 平 均 0.91Gbps となりまし た [ Gbps ] 2.0 1.5 1.53 1.0 0.91 0.5 0.0 Hyper-Vポート アドレスのハッシュ 図 4.4 負 荷 分 散 モードによる スループットの 違 い( 平 均 値 ) 15
負 荷 分 散 モードの 設 定 を [アドレスのハッシュ] にした 場 合 は 1つの 仮 想 マシンから 複 数 の NIC を 使 って 送 信 することが 可 能 です 一 方 [Hyper-V ポート] を 選 択 した 場 合 1つの Hyper-V スイッチポー トが1つの 物 理 NIC を 使 用 するため 仮 想 マシンの 最 大 スループットは NIC 1つ 分 のスループットとなり ます ( 図 4.5) 図 4.5 Hyper-V 環 境 における 負 荷 分 散 モード 設 定 検 証 [Hyper-V ポート] の 場 合 仮 想 マシンが 使 う 物 理 NIC は Hyper-V スイッチポートの 値 に 基 づいてラン ダムに 決 定 されます そのため 仮 想 マシンの 数 が 少 ない 場 合 1 つの 物 理 NIC に 全 ての 仮 想 マシンの トラフィックが 片 寄 ってしまい Hyper-V 環 境 全 体 で NIC1 枚 分 のスループットしか 出 ない 場 合 があります 仮 想 マシンの 数 が 多 い 場 合 は チームを 構 成 する 物 理 NIC にトラフィックが 均 等 に 分 散 される 可 能 性 が 高 くなり 有 効 な 負 荷 分 散 を 実 現 できます 検 証 (3) まとめ 負 荷 分 散 モードの 設 定 が [Hyper-V ポート] の 場 合 1 つの 仮 想 マシンは 1 つの 物 理 NIC を 使 用 しま す そのため 今 回 の 検 証 にように 仮 想 マシンの 数 が 少 ない 場 合 は Hyper-V 環 境 全 体 スループットが 物 理 NIC1つ 分 になる 可 能 性 があります 一 方 [アドレスのハッシュ] 設 定 では 仮 想 マシンが1 台 の 場 合 でも 負 荷 分 散 が 可 能 であることが 確 認 できました 仮 想 マシンの 数 が 少 ない 場 合 は[アドレスのハッシュ] 設 定 が 負 荷 分 散 効 率 の 面 で 有 利 です 16
5 まとめ Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングについて 今 回 の 検 証 で 有 効 性 を 確 認 することができました 検 証 から 得 られた 結 果 を 以 下 にまとめます フェールオーバー 所 要 時 間 NIC 障 害 時 のフェールオーバーによる 切 り 替 え 時 間 は 1 秒 未 満 でした また NIC 障 害 復 旧 に 伴 う フェールバックの 切 り 替 え 時 間 も 1 秒 未 満 でした フェールオーバーによるネットワーク 通 信 への 影 響 NIC フェールオーバーの 前 後 で 仮 想 マシンと 外 部 ネットワーク 間 の 通 信 の 失 敗 は 確 認 されず NIC フェールオーバーによるネットワーク 通 信 への 影 響 は 軽 微 であると 考 えられます チーミングによる 帯 域 拡 張 Windows Server 2012 標 準 NIC チーミングの 負 荷 分 散 は 有 効 であり それによりネットワークの 帯 域 拡 張 が 実 現 できることを 確 認 しました 負 荷 分 散 モード 選 択 の 考 慮 点 負 荷 分 散 モードの 設 定 値 の 違 いが NIC チーミングの 負 荷 分 散 にどのような 影 響 を 与 えるのか 確 認 しました 仮 想 マシンの 数 や トラフィックの 向 きによって 選 択 すべき 負 荷 分 散 モードは 異 なります 効 果 的 な 負 荷 分 散 を 行 うためには システム 環 境 と 利 用 シナリオを 考 慮 して 負 荷 分 散 モードを 設 定 する 必 要 があります 17
付 録 付 録 A 検 証 環 境 仮 想 化 サーバー 機 種 名 日 立 BladeSymphony BS320 OS Windows Server 2012 Datacenter CPU Intel Xeon E5440 2 内 蔵 ディスク 10000rpm SAS 144GB RAID 1 メモリ 32GB ネットワーク 1Gbps 4 仮 想 クライアント #1~#10 OS CPU ディスク メモリ Windows 8 Enterprise 1 仮 想 CPU 128GB 容 量 差 分 仮 想 ディスク 2048MB 付 録 B NIC フェールオーバー 関 連 イベントログ Windows Server のイベントログから NIC フェールオーバー/フェールバックを 確 認 することができます NIC フェールオーバーが 発 生 するとイベントログに 以 下 のイベントが 記 録 されます ログ : システム ソース : MsLbfoSysEvtProvider イベント ID : 16949 レベル : 警 告 メッセージ : Member Nic {(NIC_GUID)} Disconnected. NIC フェールバックが 発 生 するとイベントログに 以 下 のイベントが 記 録 されます ログ : システム ソース : MsLbfoSysEvtProvider イベント ID : 16950 レベル : 情 報 メッセージ : Member Nic {(NIC_GUID)} Connected. 付 録 C 参 照 URL NIC チーミングの 概 要 http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/hh831648.aspx Windows Server 2012 NIC Teaming (LBFO) Deployment and Management http://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=30160 18