違 反 是 正 事 例 ( 事 例 6-3) テーマ < 消 防 用 設 備 設 置 工 事 の 基 準 違 反 に 対 する 違 反 通 告 措 置 平 成 22 年 > 平 成 22 年 消 防 設 備 士 が 建 物 5 階 のベランダに 設 置 した 緩 降 機 の 取 り 付 け 方 法 が 不 適 切 であったことから 違 反 事 項 を 通 告 した 事 例 防 火 対 象 物 の 概 要 用 途 複 合 用 途 (16) 項 イ 建 物 耐 火 5/1 延 べ 504 m2( 特 定 階 段 一 系 統 ) 設 置 工 事 場 所 5 階 用 途 : 2 項 ハ(レンタルルーム) 違 反 処 理 の 経 緯 (1) 立 入 検 査 平 成 16 年 11 月 29 日 立 入 検 査 5 階 避 難 器 具 未 設 置 等 平 成 17 年 9 月 26 日 立 入 検 査 同 上 平 成 22 年 6 月 29 日 立 入 検 査 5 階 避 難 器 具 未 設 置 等 長 期 にわたり 違 反 している 対 象 物 として 立 入 検 査 を 実 施 した (2) 設 置 工 事 の 受 注 避 難 器 具 の 未 設 置 について 改 修 指 導 を 受 けた5 階 レンタ 依 頼 主 ( 5 階 占 有 者 a) ルルームを 経 営 する a は 避 難 器 具 ( 緩 降 機 )の 設 置 工 事 を 消 防 設 備 業 者 B 社 に 依 頼 した 依 頼 受 諾 依 頼 を 受 けた B 社 の b は 消 防 設 備 士 資 格 の 甲 種 第 5 類 を 持 っていなかったことから メーカー 系 消 防 設 備 業 者 元 請 け 業 者 B 社 ( b ) の C 社 の c に 設 置 工 事 を 依 頼 した C 社 の cは 受 注 した 設 置 工 事 を 下 請 けに 任 せることとし 依 頼 受 諾 消 防 設 備 業 者 D 社 の x が 実 際 の 避 難 器 具 ( 緩 降 機 )の 設 置 仲 請 け 業 者 C 社 ( c ) 工 事 を 担 当 することとなった この 一 連 の 受 発 注 は 口 頭 で 行 われており 最 終 的 に 緩 降 依 頼 受 諾 機 の 設 置 工 事 を 行 った D 社 の x は 今 回 の 依 頼 内 容 は 設 工 事 業 者 D 社 ( x, y ) 置 工 事 の 作 業 のみで 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 は 含 まれてい ない との 認 識 であった (3) 設 置 工 事 の 着 手 ア 平 成 22 年 8 月 2 日 D 社 の x は 設 置 工 事 に 伴 う 現 場 確 認 を 元 請 けである B 社 の b と 行 い 避 難 器 具 の 降
下 空 間 避 難 空 地 等 から 室 内 でなくベランダに 緩 降 機 を 設 置 することとし C 社 の c に 発 注 した 消 防 側 から 改 修 指 導 を 受 けた a は B 社 の b に 対 し 設 置 工 事 の 早 期 着 手 を 指 示 した 元 請 けである B 社 の b は D 社 の x に 依 頼 主 a の 指 示 内 容 を 伝 え 早 期 の 設 置 工 事 と 立 ち 会 うことを 連 絡 した イ 平 成 22 年 8 月 20 日 D 社 の x は 同 僚 の y と 共 に 避 難 器 具 ( 緩 降 機 )の 設 置 工 事 を 行 った この 設 置 工 事 に 際 し D 社 の y や B 社 の b が 補 助 作 業 ( 工 事 器 具 の 準 備 や 路 上 のおける 安 全 管 理 等 )を 行 った (4) 設 置 工 事 の 内 容 緩 降 機 の 固 定 をベランダの 床 面 にすると 工 事 後 に 固 定 部 から 雨 水 の 漏 えいがあるため ベランダの 腰 壁 の 壁 体 に 固 定 することとした 取 付 け 時 の 工 法 を 金 属 拡 張 アンカーによるボルト 固 定 の 標 準 工 法 により 施 工 するこ ととしたが 当 該 建 物 の 建 築 図 面 等 は 建 物 関 係 者 から 提 供 されなかったため ドリルでコ ンクリート 壁 に 試 掘 の 穴 開 け( 穿 孔 )を 行 った 工 事 手 順 参 考 図 金 属 拡 張 アンカー は 左 図 のテーパーボル トにスリーブをかませて 掘 削 した 穴 にはめ 込 む その 後 スリーブを 打 ち 込 み 棒 でたたき 込 むと テーパーボルトの 埋 設 側 の 先 端 部 が 拡 大 していることから スリーブが 拡 張 してコンク リート 壁 に 食 込 み 固 定 される テーパーボルトと スリーブを 挿 入 スリーブを 打 設 金 属 拡 張 アンカー で 緩 降 機 等 を 固 定 する 場 合 穿 孔 深 さと 埋 込 深 さの 下 限 ( 金 属 拡 張 ア ンカーはその 呼 び 径 ごと 定 められた 壁 面 に 対 する 穿 孔 深 さの 下 限 とスリーブの 埋 込 深 さ)やコ ンクリートの 厚 さに 対 する 穿 孔 深 さの 限 界 ( 残 りコンクリートの 厚 さを 50mm 以 上 とするため のコンクリートの 厚 さに 対 する 穿 孔 深 さの 最 大 値 )が 決 められている 金 属 拡 張 アンカー 呼 び 径 が M12 のものを 使 用 する 場 合 コンクリートの 壁 に 開 ける 穿 孔 深 さは 最 小 でも 70mm としなければならず またこの 穿 孔 深 さを 得 るためにはコンクリートの 厚 さが 最 小 でも 120mm なければならない
D 社 の x は 固 定 用 の 金 属 拡 張 アンカーに 外 径 17.3 の M12 を 使 用 し 80mm 程 度 掘 り 進 んだ 所 でドリルの 手 ごたえが 無 くなり 穴 の 内 部 を 確 認 したところ 腰 壁 の 内 部 が 空 洞 になっていることを 確 認 した x は 当 該 設 置 場 所 では 取 付 けに 必 要 な 強 度 が 得 られないことから 元 請 け 業 者 の B 社 の b に 工 事 の 続 行 が 無 理 である 旨 を 伝 えたが b からは 壁 に 穴 を 開 けたからにはその 場 所 に 取 り 付 けるしかない との 指 示 を 受 け 設 置 工 事 を 続 行 した D 社 の x は 試 掘 の 穴 の 周 囲 4か 所 に 緩 降 機 の 取 付 け 用 穴 をあけたが 金 属 拡 張 アン カーM12 の 基 準 に 満 たない 穿 孔 深 さ 45mm 程 度 の 穴 を 掘 って 緩 降 機 を 設 置 した (5) 着 工 届 出 違 反 の 発 覚 平 成 22 年 8 月 24 日 消 防 法 令 違 反 に 対 する 違 反 調 査 のため a から 供 述 録 取 を 行 った 際 a は B 社 の b を 同 席 させ 緩 降 機 の 設 置 工 事 に 伴 う 設 置 届 を 持 参 した 当 該 設 置 届 に 添 付 された 試 験 結 果 報 告 書 の 試 験 日 は 平 成 22 年 8 月 20 日 となっており 試 験 実 施 者 は 消 防 設 備 士 資 格 の 甲 種 第 5 類 を 持 っている B 社 の h であった そこで 消 防 職 員 が 当 該 建 物 の5 階 ベランダを 確 認 すると 緩 降 機 が 設 置 されていたこ とから 着 工 届 出 がない 工 事 として 着 工 届 出 義 務 違 反 が 発 覚 した (6) 技 術 上 の 基 準 違 反 の 発 覚 平 成 22 年 9 月 9 日 着 工 届 出 義 務 違 反 の 違 反 調 査 と 並 行 して 緩 降 機 の 検 査 を 行 うこととし B 社 の b と D 社 の x の 立 ち 会 いのもと 緩 降 機 の 設 置 に 伴 う 検 査 が 行 われた 検 査 員 が 取 り 付 け 部 分 のコンクリートの 厚 さや 穿 孔 深 さについて 確 認 したところ D 社 の x が 設 置 場 所 の コンクリートの 厚 さが 十 分 でない 旨 を 供 述 した (7) 違 反 調 査 [ 供 述 録 取 ] ア 平 成 22 年 9 月 9 日 及 び 16 日 B 社 の b は 設 置 工 事 の 受 注 発 注 の 経 緯 および 設 置 工 事 の 内 容 について 以 下 の 内 容 を 供 述 した (ア) 設 置 工 事 の 作 業 自 体 には 従 事 していない (イ) 当 該 設 置 場 所 への 金 属 拡 張 アンカーによる 緩 降 機 の 取 り 付 けを 指 示 した (ウ) 8 月 20 日 D 社 の x は 金 属 拡 張 アンカーの 締 付 けトルク 試 験 の 数 値 が 基 準 以 下 であ ったにも 関 わらずそのまま 設 置 工 事 を 続 行 させた (エ) 8 月 24 日 に 持 参 した 設 置 届 は 8 月 20 日 に 締 め 付 け 強 度 が 得 られなかったこと から x が 試 験 実 施 者 名 を 未 記 入 のまま 他 の 関 係 書 類 と 併 せて b に 手 渡 したも ので b が 関 連 する 職 員 h の 名 前 を 無 断 で 使 用 し 報 告 したものであった (オ) 当 該 設 置 工 事 に 伴 う 着 工 届 は 届 出 の 必 要 はないものと 思 い 込 んでいた(b は 乙 種 第 6 類 のみ 取 得 しているため) (カ) C 社 から 9 月 3 日 に 金 属 拡 張 アンカー 部 分 の 補 修 工 事 の 要 請 があった (キ) 9 月 3 日 に 再 度 金 属 拡 張 アンカーの 締 付 けトルク 試 験 を 行 ったところ 基 準 値 の 測 定 結 果 が 得 られた
イ 平 成 22 年 9 月 9 日 及 び 16 日 D 社 の x 及 び y は 設 置 工 事 の 受 注 発 注 の 経 緯 および 設 置 工 事 の 内 容 について 以 下 の 内 容 を 供 述 した (ア) 当 該 設 置 工 事 に 伴 う 着 工 届 は B 社 の b が 届 け 出 るものと 思 い 込 んでいた (イ) 設 置 工 事 の 主 な 作 業 は 自 分 が 行 った (ウ) 当 該 設 置 場 所 への 金 属 拡 張 アンカーによる 緩 降 機 の 取 り 付 け 指 示 は B 社 の b が 行 った (エ) 8 月 20 日 金 属 拡 張 アンカーの 締 付 けトルク 試 験 の 数 値 が 基 準 以 下 であったにも 関 わらず そのまま 設 置 工 事 を 続 行 した (オ) 8 月 下 旬 C 社 の c から 9 月 9 日 に 強 度 不 足 の 補 修 工 事 立 ち 会 い 要 請 があった (カ) その 前 に C 社 の x に 金 属 拡 張 アンカー 部 分 は 補 修 工 事 が 必 要 である 旨 の 話 しを していた (キ) 9 月 3 日 に 再 度 金 属 拡 張 アンカーの 締 付 けトルク 試 験 を 行 ったところ 基 準 値 の 測 定 結 果 であった (8) 違 反 調 査 [ 実 況 見 分 ] 平 成 22 年 10 月 28 日 緩 降 機 の 撤 去 工 事 に 際 して 以 下 の 状 況 を 確 認 した 金 属 拡 張 アンカーのテーパーボルトとスリーブが 壁 面 から 約 15mm 程 度 突 出 していた (9) 違 反 調 査 の 結 果 及 び 違 反 通 告 の 内 容 ア B 社 の b について 法 第 17 条 の 12 違 反 ( 誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 技 術 基 準 に 反 する 工 事 ) 及 び 法 第 17 条 の 14 違 反 ( 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 着 工 届 出 義 務 違 反 )の 事 実 は 確 認 できない 違 反 通 告 なし イ C 社 の c について 法 第 17 条 の 12 違 反 ( 誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 技 術 基 準 に 反 する 工 事 ) 及 び 法 第 17 条 の 14 違 反 ( 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 着 工 届 出 義 務 違 反 )の 事 実 は 確 認 できない 違 反 通 告 なし ウ D 社 の x について 法 第 17 条 の 12 違 反 ( 誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 技 術 基 準 に 反 する 工 事 ) 及 び 法 第 17 条 の 14 違 反 ( 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 着 工 届 出 義 務 違 反 )の 事 実 は 確 認 できた 違 反 通 告 については 以 下 のとおり 誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 ( 技 術 基 準 違 反 の 工 事 ) 法 第 17 条 の 12 8 点 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 着 工 届 出 義 務 違 反 法 第 17 条 の 14 4 点 計 12 点 エ D 社 の y について 法 第 17 条 の 12 違 反 ( 誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 技 術 基 準 に 反 する 工 事 )の 事 実 は 確 認 できたが 法 第 17 条 の 14 違 反 ( 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 着 工 届 出 義 務 違 反 )の 事 実 に ついては 確 認 でなかった 違 反 通 告 については 以 下 のとおり
誠 実 業 務 実 施 義 務 違 反 ( 技 術 基 準 違 反 の 工 事 ) 法 第 17 条 の 12 8 点 (10) 消 防 設 備 業 者 に 対 する 指 導 書 ア 平 成 22 年 12 月 24 日 D 社 に 対 して 以 下 の 事 項 について 指 導 書 を 交 付 した (ア) 消 防 用 設 備 等 の 設 置 工 事 を 実 施 する 場 合 は 法 令 を 遵 守 し 技 術 上 の 基 準 に 適 合 するものとなるようにすること (イ) 法 第 17 条 の 5 の 規 定 に 基 づく 政 令 で 定 める 工 事 を 行 う 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 要 否 について 確 認 し 必 要 な 場 合 は 工 事 に 着 手 しようとする 日 の 10 日 前 ま でに 管 轄 消 防 署 長 へ 届 け 出 ること (ウ) 消 防 設 備 等 の 工 事 を 発 注 する 場 合 は 当 該 工 事 が 法 第 17 条 の 5 及 び 令 第 36 条 の 2 に 規 定 する 工 事 に 該 当 するかを 確 認 すること (エ) 該 当 する 工 事 を 発 注 する 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 責 任 を 明 確 にすること イ 平 成 23 年 1 月 14 日 C 社 に 対 して 以 下 の 事 項 について 指 導 書 を 交 付 した (ア) 法 第 17 条 の 5 の 規 定 に 基 づく 政 令 で 定 める 工 事 を 行 う 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 要 否 について 確 認 し 必 要 な 場 合 は 工 事 に 着 手 しようとする 日 の 10 日 前 までに 管 轄 消 防 署 長 へ 届 け 出 ること (イ) 消 防 設 備 等 の 工 事 を 発 注 する 場 合 は 当 該 工 事 が 法 第 17 条 の 5 及 び 令 第 36 条 の 2 に 規 定 する 工 事 に 該 当 するかを 確 認 すること (ウ) 該 当 する 工 事 を 発 注 する 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 責 任 を 明 確 にすること ウ 平 成 23 年 1 月 25 日 B 社 に 対 して 以 下 の 事 項 について 指 導 書 を 交 付 した (ア) 法 第 17 条 の 5 の 規 定 に 基 づく 政 令 で 定 める 工 事 を 行 う 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 要 否 について 確 認 し 必 要 な 場 合 は 工 事 に 着 手 しようとする 日 の 10 日 前 までに 管 轄 消 防 署 長 へ 届 け 出 ること (イ) 消 防 設 備 等 の 工 事 を 発 注 する 場 合 は 当 該 工 事 が 法 第 17 条 の 5 及 び 令 第 36 条 の 2 に 規 定 する 工 事 に 該 当 するかを 確 認 すること (ウ) 該 当 する 工 事 を 発 注 する 場 合 は 着 工 届 の 作 成 及 び 届 出 の 責 任 を 明 確 にすること (エ) 試 験 結 果 報 告 書 の 試 験 実 施 者 の 欄 には 試 験 を 実 施 もしくはその 結 果 を 確 認 した 者 の 氏 名 を 記 載 すること
( 事 例 6-3)グループ 検 討 テーマ < 消 防 用 設 備 設 置 工 事 の 基 準 違 反 に 対 する 違 反 通 告 措 置 平 成 22 年 > 1, 違 反 事 項 の 確 認 消 防 設 備 の 工 事 や 点 検 において 行 われた 技 術 基 準 に 反 する 工 事 や 基 準 に 反 する 点 検 につい て 違 反 調 査 を 実 施 したことがありますか グループ 内 で 経 験 して 内 容 を 話 あってください どんな 事 案 に 対 してどのような 姿 勢 でのぞ みましたか 2, 違 反 者 の 特 定 違 反 者 に 関 する 違 反 調 査 を 行 う 際 どのような 方 法 で 何 を 確 認 しておく 必 要 がありますか 3, 違 反 事 実 の 特 定 複 数 の 人 物 が 関 与 する 違 反 行 為 について 違 反 調 査 を 進 める 場 合 どのようことに 留 意 して 調 査 違 反 事 実 の 特 定 をすすめることが 必 要 でしょうか また B 社 の b に 関 する 着 工 届 の 義 務 違 反 について どのように 考 えるのかグループ 内 で 話 し 合 ってください アドバイザーが 付 加 提 示 した 課 題 の 検 討 及 びその 他 グループで 意 見 が 出 た 内 容 (テキストに 資 料 として 消 防 設 備 士 危 険 物 取 扱 者 の 違 反 通 告 制 度 を 掲 載 しています )