Report Clinical Hint マイクロスコープ 活 用 術 Windows & Mac の 画 像 編 集 方 法 日 本 大 学 松 戸 歯 学 部 歯 内 療 法 学 講 座 診 療 教 授 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 会 長 東 京 都 開 業 吉 田 歯 科 診 療 室 デンタルメンテナンスクリニック 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 事 務 局 長 辻 本 恭 久 吉 田 格 はじめに 顕 微 鏡 を 使 いたいという 先 生 や 歯 科 衛 生 士 が 増 えている 筆 者 らが 所 属 す る 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 には 若 い 先 生 を 中 心 に 頻 繁 に 新 入 会 員 の 登 録 があり 裾 野 の 拡 がりを 実 感 している その 方 たちに 顕 微 鏡 を 使 う 目 的 を 伺 うと 信 頼 性 の 高 い 精 密 な 治 療 を 提 供 したいと いうことは 当 然 だが もう 一 つ 治 療 中 の 動 画 を 記 録 して 患 者 説 明 やプレゼ ンテーションに 用 いたいという 的 を 射 た 話 であり 同 感 である( 図 1 3) 顕 微 鏡 を 医 療 に 応 用 する 利 点 は 拡 大 照 明 記 録 の3 点 と 言 われるが 記 録 は 動 画 としてリアルタイムに 保 存 できるところが 顕 微 鏡 特 有 の 利 点 であ り 歯 科 医 学 の 中 では 新 しい 分 野 であ る 従 来 からの 静 止 画 記 録 に 代 わるも のではないが 臨 場 感 から 来 る 説 得 力 に 優 れ また 基 本 的 に 撮 り 直 しができ ない 一 発 勝 負 であることから 信 憑 性 は 揺 るぎない 現 在 の 顕 微 鏡 には 何 かしらの 動 画 撮 影 システムが 組 み 込 まれており 誰 も が 覗 いたままの 動 画 を 手 軽 に 記 録 する ことができる しかしその 活 用 にあた り 1 時 間 の 治 療 動 画 を1 時 間 かけて 説 明 やプレゼンテーションに 用 いるわけに はいかないので 不 要 部 分 をカットし 一 本 に 編 集 する 必 要 がある 動 画 編 集 というと 例 えば 運 動 会 の 記 録 にBGM や 装 飾 を 入 れて 一 本 の 作 品 に という お 父 さんの 趣 味 を 連 想 するかもしれな い あるいはスマートフォンで 録 画 し た 楽 しい 出 来 事 を 直 ちに 動 画 投 稿 サイ トにアップするための 編 集 もあるだろ う しかし 臨 床 動 画 とはそのような 凝 っ た 演 出 や 即 時 性 は 不 要 であり 難 しい ことは 考 えずに 不 要 部 分 をカットし 一 本 の 記 録 とすればよい 発 表 用 には 講 演 時 間 を 考 慮 した 上 で 要 所 を 抽 出 し ストーリー 性 を 持 って 話 せるようにす る また 必 要 に 応 じてテロップを 挿 入 す ることもある 凝 った 場 面 転 換 効 果 や BGMは 不 要 であり あくまで 淡 々と 無 駄 のないよう 編 集 されていればよい 本 稿 では 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 の 認 定 審 査 で 必 須 となる 臨 床 動 画 のガイドラ インに 準 じ( 図 4) MacとWindowsを 例 に 動 画 編 集 ソフトの 初 歩 を 解 説 する 図 1 優 れた 光 学 特 性 を 備 えた Leica M-320 図 2 動 画 によるプレゼンテーションを 行 う 筆 者 ( 吉 田 格 ) 図 3 Leica M-320を 使 用 しての 診 療 風 景 ( 辻 本 恭 久 ) 症 例 は 実 験 的 冒 険 的 なものではなく 一 般 的 な 治 療 であることが 望 ましい 施 術 部 位 に 焦 点 が 合 っており 適 切 な 倍 率 と 照 度 で 撮 影 されている 一 般 歯 科 診 療 に 必 要 な 安 全 衛 生 面 に 配 慮 されている( 手 袋 の 着 用 清 潔 な 器 具 の 使 用 切 削 器 具 類 の 逸 脱 や 誤 接 触 がない 等 ) 治 療 の 妥 当 性 があり 治 療 方 針 に 意 見 が 分 かれるような 内 容 でないことが 望 ましい 顕 微 鏡 使 用 の 必 然 性 がある チェッキングビュー( 作 業 確 認 用 )ではなく ワーキングビュー( 見 ながらの 施 術 )であること 閲 覧 者 に 解 りやすいテロップが 挿 入 されており それが 施 術 部 位 を 隠 していないこと 症 例 提 示 に 無 関 係 な 映 像 や 音 声 がないこと( 自 己 紹 介 飾 り BGMなど) 鏡 視 の 場 合 は 適 切 なミラーを 用 い 鮮 明 に 記 録 されていること 画 質 が 著 しく 劣 化 していないこと 図 4 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 認 定 医 制 度 審 査 ガイドライン( 抜 粋 ) 54 Dental Magazine
Windowsによる 動 画 編 集 辻 本 恭 久 著 者 がWindows 用 に 使 用 している ソフトはCorel Video Studio X8(Corel Corporation)である これを 用 いて 行 う 編 集 方 法 について すなわち 静 止 画 (X 線 写 真 口 腔 内 写 真 器 具 の 写 真 等 )と 治 療 動 画 を 組 み 合 わせたり タイ トルや 説 明 文 を 挿 入 する 方 法 などにつ いて 順 を 追 って 解 説 する ただし 初 心 者 向 けとしての 解 説 であり 詳 細 は メーカーが 出 している 説 明 書 を 精 読 し てもらいたい 現 在 では ほとんどの 方 がデジタル 製 品 を 使 用 していると 思 うが アナロ グで 撮 影 された 写 真 や 動 画 はあらかじ めデジタルに 変 換 しておかなければな らない また ビデオ 編 集 ソフトウェ アを 使 用 して 元 の 画 像 より 飛 躍 的 に 高 画 質 になるわけではないので 心 得 て もらいたい 動 画 の 取 り 込 み ビデオの 複 数 カット 図 5 ソフトを 開 き 1を 左 クリックすると 下 段 に ここにビデオクリップをド ラッグ という 個 所 がある ここを 右 クリックすると ビデオ 挿 入 写 真 挿 入 オーディオを 挿 入 字 幕 の 挿 入 などが 出 てくる ビデオ 挿 入 をクリックし PC 内 や 外 付 けHDDから 自 身 の 編 集 したい 動 画 を 選 び 開 くと 選 んだ 動 画 が 上 下 の 画 面 に 現 れる さらに 画 像 の 編 集 から ビデオの 複 数 カット を 選 択 し クリックする 図 6 ビデオの 複 数 カットを 行 うための 画 面 である この 画 面 でトリムされたビ デオを 再 生 しながら 自 分 のほしい 部 分 だけを 選 択 する 再 生 すると 自 動 的 に 上 下 の 挿 画 が 動 き 出 す 1の 画 面 は 撮 影 された 動 画 のフィルムが1コマずつ 流 れて いると 考 えればよい 細 かく 設 定 したいときは2のオレンジの 線 を 基 準 にする とよい 静 止 画 の 挿 入 タイトルの 書 き 込 み ❹ ❸ 図 7 マークインを 設 定 あるいは マークアウトを 設 定 は1の 部 分 である ほしい 画 像 の 始 まり 部 で を ここで 終 わりたいという 個 所 で をク リックすると 2に 編 集 された 動 画 として 現 れる また その 再 生 時 間 もここ に 示 される いくつかこの 操 作 を 行 ったら 右 下 にある OK をクリックすると 編 集 前 の 動 画 が 編 集 後 の 動 画 に 代 わって 現 れる たとえば3つのカットを 行 えば 3つの 動 画 が 現 れることになる 図 8 術 前 や 術 後 のX 線 写 真 を 動 画 の 中 に 取 り 込 みたいときは ここにビデオク リップをドラッグ を 右 クリックして 写 真 挿 入 を 選 択 し 自 分 の 挿 入 したい 静 止 画 を 選 択 する 治 療 動 画 の 前 後 に 入 れた 場 合 は1のような 状 態 になる ド ラッグされた 静 止 画 や 動 画 はクリック&ドラッグで 簡 単 に 配 置 替 えをすること ができる この 際 2のように 術 前 デンタル 写 真 とタイトルを 入 れたい 場 合 には3をクリックすると 挿 入 可 能 なエリア(4)が 示 される フォントや 色 等 は 上 段 右 の 画 面 で 操 作 できる Dental Magazine 55
❸ 図 9 動 画 のタイトル 挿 入 は 上 図 に 示 したように1のタイムラインビューに 変 え ないとできない 2をクリックすると3のように ここをダブルクリックすると タイトルが 追 加 されます と 出 てくるので ここにタイトルや 説 明 文 を 入 れるこ とができる 図 10 これら 挿 入 された 文 字 は 時 間 調 整 を 行 うことができる 通 常 静 止 画 は5 秒 程 度 に 設 定 されているが 時 間 を 調 整 したい 場 合 には それぞれの 画 面 の 右 端 にカーソルを 合 わせて 動 かすことでできる さらに 写 真 に 合 わせて 文 字 の 出 現 時 間 も 合 わせることができる 図 のように 文 字 出 現 時 間 を 長 く 設 定 してし まうと 次 の 動 画 に 文 字 がかぶってしまうので 注 意 しなければならない 音 声 や 音 楽 等 も 入 れられるが 今 回 は 解 説 を 省 く レンダリング 図 11 以 上 の 作 業 が 終 了 したら 1の 完 了 をクリックし 保 存 したい 種 類 を 選 択 し( 通 常 は 元 の 画 像 のまま 使 用 する) ファイル 名 を 付 ける そして 開 始 を クリックすると レンダリングが 始 まる 図 12 終 了 すると レンダリングが 終 了 したことが 表 示 される パワーポイントでの 使 用 図 13 完 成 した 動 画 をパワーポイントに 張 り 付 けるのは できる 場 合 とできな い 場 合 がある 動 画 のサイズが 大 きい 場 合 画 質 を 落 とさなければならないの で 著 者 はハイパーリンクでの 動 画 提 示 を 行 っている 1のようにタイトルを 打 ち 込 んで 右 クリックするとハイパーリンクを 選 べるので それをクリックする 図 14 すると 動 画 がある 部 分 とリンクすることができる スライドショーを 展 開 しハイパーリンクさせている 文 字 が 出 てきたときにクリックすると 編 集 し た 動 画 が 始 まる 独 立 した 画 面 なので 大 きさの 調 整 はその 場 で 行 うとよい 56 Dental Magazine
Macによる 動 画 編 集 吉 田 格 MacintoshコンピュータにはiMovie という 動 画 編 集 ソフトが 最 初 からイン ストールされている 本 稿 執 筆 時 点 の 最 新 バージョンは10.0.9であり ここ ではその 基 本 的 使 用 法 を 記 す なお このバージョンは16:9のいわ ゆる 横 長 画 面 専 用 であり 旧 来 の4:3の 動 画 を 扱 う 場 合 は imovie11(バー ジョン9) 以 前 が 必 要 である しかし 残 念 ながら 既 に 入 手 不 可 となっているの で どうしても 最 新 のMacintoshコン ピュータで4:3の 動 画 を 扱 う 必 要 があ る 場 合 は フリーソフトの VideoPad Video Editor Free [http://www.nchsoftware.com/videopad/index.html]が 使 えるようである 図 15 最 新 のiMovieは 紫 のアイコンで16:9 専 用 である 旧 来 の4:3を 扱 う 場 合 は アイコンが 黒 と 金 色 のバージョン9 以 下 を 用 意 する 必 要 がある 図 16 録 画 されたデータを 取 り 込 むにはいくつか 方 法 があるが ここではSD カードなどに 保 存 されたデータを 取 り 込 むことを 想 定 する ファイル メニュー から メディアを 読 み 込 む を 選 択 すると ファイルを 選 択 する 画 面 が 表 示 され るので 元 画 像 を 選 択 して 読 み 込 む 図 17 読 み 込 みが 完 了 したら メニューバーの 新 規 ボタンから ムービー を 選 択 する 図 18 作 成 ウインドウが 開 くので テーマなし を 選 択 適 当 な 名 称 を 入 力 し OK を 押 す 図 19 筆 者 はここで 作 業 を 容 易 にするために ウインドウ メニューから プロジェク トとイベントを 入 れ 替 え を 選 択 して 作 業 画 面 の 左 上 と 下 を 入 れ 替 えている 図 20 タイムラインにずらりと 並 んだサムネイル 一 つあたりの 時 間 を 好 みに 設 定 する 筆 者 は10 秒 をよく 用 いる Dental Magazine 57
図 21 タイムラインをカーソルでなぞると 右 上 画 面 に 当 該 部 位 が 表 示 される 必 要 とされる 部 分 をマウスでクリックしてドラッグすると 黄 色 の 枠 が 現 れ 選 択 範 囲 の 時 間 が 表 示 される この 時 点 では 大 雑 把 に 選 択 すればよく 微 調 整 は 図 30で 行 う 図 22 マウスボタンを 離 すと + マークが 現 れ それをクリックすると 左 上 の ウインドウに 当 該 部 位 がコピーされる 同 様 の 操 作 を 繰 り 返 し 必 要 部 位 を 次 々に 選 択 し タイムラインに 並 べる 選 択 された 元 画 像 には 下 部 にオレンジ ラインが 入 る 選 択 した 部 分 はクリップと 呼 ばれる 図 23 タイムラインは 横 一 列 に 並 んで 行 くので 筆 者 は 見 やすくするために 表 示 から タイムラインを 折 り 返 す を 選 択 している 図 24 サムネイル 下 部 の 青 い 部 分 には 白 く 音 量 が 表 示 されている 音 声 は 不 要 なので すべてのクリップの 音 量 ラインを 下 にドラッグして0%にする 図 25 画 面 右 上 トリミングボタンをクリックし サイズ 調 整 して 切 り 取 る を 選 択 すると 白 い 枠 が 現 れ 画 面 の 不 要 部 位 16:9を 保 ったままカットすることがで きる 必 要 部 位 が 偏 っている 場 合 はこれにより 中 央 に 見 せることができる レ ントゲン 写 真 など 静 止 画 を 挿 入 するときは 最 初 から Ken Burns という 拡 大 エ フェクトがオンになっているので 必 ずオフにする 図 26 ビデオの 最 初 に 入 れるタイトル 画 面 を 造 る 画 面 左 下 の コンテンツライ ブラリ から 地 図 と 背 景 を 選 択 すると 右 側 に 様 々な 背 景 の 候 補 が 現 れる こ こでは ブラック を 選 択 し 編 集 中 のタイムライン 先 頭 にドラッグ&ドロップ する 4 秒 の 黒 い 画 面 が 作 成 されるので ここにタイトルや 名 前 を 入 力 する 58 Dental Magazine
図 27 画 面 左 下 の コンテンツライブラリ から タイトル を 選 択 すると 右 側 にテロップのスタイル 候 補 が 現 れる ここでは 中 心 を 選 択 し 図 25で 作 っ た 黒 い 画 面 の 上 部 にドラッグ&ドロップする 図 28 タイムラインのサムネイル 上 部 に テロップ 挿 入 を 示 す 紫 色 の 帯 ができ る クリックすると 黄 色 の 枠 が 現 れ 右 上 のビデオ 表 示 部 に 直 接 テキストを 入 力 することができる 図 29 動 画 中 のテロップは 図 26と 同 様 な 手 法 で 下 や 上 をドラッグ&ドロッ プしテキストを 入 力 する このときテキストが 施 術 部 位 を 隠 さないように 注 意 する 白 文 字 が 見 づらいようであれば 黒 文 字 に 変 更 する 図 30 1クリップの 長 さやテロップ 表 示 時 間 は 黄 色 い 枠 の 左 や 右 の 辺 をク リックしたまま 左 右 に 動 かすと 自 由 に 調 整 できる 微 調 整 はこの 段 階 で 行 えば 良 い 動 画 編 集 ソフトの 扱 いは 取 っ 付 きにくいかもしれない が 上 記 のような 単 なるカットやテロップの 挿 入 だけなら ハードルは 低 い まずはどんどん 操 作 してみてはいかがだ ろう また 映 画 やニュース 番 組 を 参 考 に テロップなどの 見 せ 方 を 参 考 にするのも 良 いだろう なお 日 本 顕 微 鏡 歯 科 学 会 では 会 員 向 けホームページ 内 に 動 画 編 集 ソフトの 使 用 法 をアップする 予 定 である 認 定 医 認 定 歯 科 衛 生 士 の 取 得 をお 考 えの 方 はぜひ 参 考 にし ていただきたい 図 31 編 集 が 完 了 した 一 連 のタイムラインを 一 本 のファイルとして 出 力 する 共 有 ボタンをクリックし ファイル を 選 択 指 定 した 場 所 に 動 画 ファイルを 保 存 する なお 解 像 度 は 1280 720 品 質 は 高 で 十 分 である Dental Magazine 59