実際の用いられ方に基づく動態助詞“着”の教え方



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インターネット 技 術 を 活 用 したマルチリンガル 言 語 運 用 教 育 システムと 教 育 手 法 の 研 究, 基 盤 (B)(2) 課 題 番 号 14310218, 東 京 外 国 語 大 学, 2005, 186-203. アスペクト 助 詞 着 の 実 際 の 使 用 状 況 と 文 法 教 材 への 応 用 三 宅 登 之 東 京 外 国 語 大 学 外 国 語 学 部 助 教 授 1.はじめに 持 続 相 を 表 わすアスペクト 助 詞 1 の 着 は, 中 国 語 の 初 級 文 法 では 必 ず 学 習 すると 言 っ てよいほどの 基 礎 的 な 文 法 項 目 であるが, 初 級 文 法 の 段 階 での 着 の 提 示 の 仕 方 はテキ ストによって 様 々である 今 いくつか 手 元 の 初 級 テキストの 実 例 を 見 てみよう (1) 2 持 続 の 着 動 詞 接 尾 辞 動 作 作 用 の 持 続 や 状 態 の 存 続 を 表 す ~ている ~て ある 他 看 着 电 视 呢 瓶 子 里 插 着 一 朵 花 儿 cf. 她 穿 着 一 件 红 大 衣 状 態 の 存 続 她 在 穿 衣 服 呢 動 作 の 進 行 このテキストでは, 動 作 の 持 続 を 表 わす 例 文 が 最 初 の 他 看 着 电 视 呢 であると 思 われ るが,これでは 下 に 参 照 として 挙 げてある 副 詞 在 を 用 いた 動 作 の 進 行 とはどのよ うに 異 なるのかという 疑 問 が 生 じる 次 のテキストを 見 てみよう (2) 3 動 作 状 態 の 持 続 動 詞 + 着 ( 呢 ) (~している) 他 戴 着 一 条 新 领 带 他 打 着 电 话 呢 爸 爸 在 沙 发 上 坐 着 他 在 车 站 前 边 儿 站 着 窗 户 关 着 呢 動 作 状 態 の 持 続 ということは, 着 には 動 作 の 持 続 と 状 態 の 持 続 の2つ 1 動 態 助 詞 時 態 助 詞 動 詞 接 尾 辞 等 の 別 の 名 称 を 用 いるテキストもある 本 稿 では ア スペクト 助 詞 という 名 称 を 用 いるが,いずれの 名 称 を 用 いても 本 稿 の 論 旨 には 影 響 しない 2 中 国 語 初 級 テキスト 北 京 の 風 [ 改 訂 版 ] 木 村 英 樹 小 野 秀 樹 陳 蓉, 白 帝 社,2000 年,99 頁 3 新 編 例 文 中 心 初 級 中 国 語 牧 田 英 二 楊 立 明, 同 学 社,2003 年,48 頁 186

の 意 味 があるということになる その 中 でとりわけ 本 稿 で 議 論 していく 動 作 の 持 続 の ケースは 他 打 着 电 话 呢 がその 例 であると 思 われるが,そもそもこのような 文 が 頻 度 的 に,また 使 用 環 境 として 状 態 の 持 続 の 場 合 とまったく 同 等 に 用 いられるのかどうか, 検 討 の 価 値 がありそうである またこのテキストではこの 着 の 項 目 のすぐ 前 の 箇 所 で 進 行 を 表 す 副 詞 在 を 提 示 しているのであるが,その 中 に 爸 爸 正 在 打 电 话 呢, 你 安 静 点 儿 という 用 例 がある これでは 学 習 者 は 電 話 をかけているところだ という 事 態 は 打 着 电 话 呢 で 表 わすのか,それとも 正 在 打 电 话 呢 なのかという 点 で 混 乱 してしまう 恐 れもあろう 本 稿 では,アスペクト 助 詞 着 の 文 法 的 意 味 は 何 かというような 理 論 的 テーマよりも, むしろ 着 は 実 際 の 中 国 語 ではどのように 用 いられているかという 面 に 重 点 を 置 き 検 討 していく そして 着 のその 実 際 の 使 用 状 況 に 基 づいて, 初 級 文 法 の 段 階 で 着 をど のような 形 で 提 示 すればよいかを 考 えてみたい 2. 実 際 のテキストにおける 着 の 提 示 情 況 本 稿 ではまず,このような 初 級 段 階 で 必 ず 出 てくるアスペクト 助 詞 着 について, 実 際 に 初 級 用 テキストでどのように 提 示 されているかを 調 査 した 具 体 的 には, 手 元 にある 合 計 33 種 の 市 販 されている 初 級 用 中 国 語 テキストをサンプルとして,その 中 で 着 が 文 法 項 目 として 提 示 されている 箇 所 を 探 し, 文 法 解 説 の 箇 所 に 提 示 されている 例 文 をすべて 収 集 した 以 下 ではそのすべての 例 文 を,その 着 の 表 している 意 味 と 用 いられている 文 型 に 基 づいて,(A) 静 態 義,( B) 動 態 義,( C) V 1 着 +V 2 の 形,( D) 存 在 文 の 形 の4つに 分 類 して 列 挙 した 静 態 義 動 態 義 の 意 味 するところについては 後 述 する 例 文 の 後 に 括 弧 の 数 字 があるものは,その 同 一 の 例 文 がその 数 字 の 回 数 出 現 したという 意 味 である (A) 静 態 義 她 今 天 穿 着 一 条 很 漂 亮 的 裙 子 她 穿 着 很 漂 亮 的 衣 服 她 穿 着 一 条 牛 仔 裤 她 穿 着 一 件 红 毛 衣 他 穿 着 新 衣 服 她 穿 着 一 件 白 色 的 衬 衫 他 穿 着 漂 亮 的 衣 服 今 天 他 穿 着 一 件 中 山 装 她 穿 着 厚 厚 的 羽 绒 衣 你 带 着 照 相 机 呢 吗? 我 没 带 着 她 带 着 手 表 下 雨 了, 你 带 着 伞 吧 你 带 着 钱 呢 吗? 他 戴 着 一 条 新 领 带 他 戴 着 一 个 很 奇 怪 的 眼 镜 他 没 戴 着 戒 指 他 戴 着 一 副 近 视 眼 镜 她 等 着 你 呢, 快 去 吧 (2) 我 等 着 你, 别 着 急 有 人 等 着 你 呢 他 在 屋 子 里 等 着 你 快 走, 他 们 等 着 我 们 呢 187

我 在 这 儿 等 着 她 等 着 你 中 山 在 教 室 里 等 着 她 你 干 吗 老 躲 着 我? 你 跟 着 我, 别 落 下 你 跟 着 我 窗 户 关 着 呢 门 开 着 门 开 着 呢 (2) 门 都 开 着 门 开 着, 可 是 家 里 没 有 人 窗 户 开 着 门 开 着 呢 吗? 电 视 没 开 着 门 开 着 呢, 请 进 窗 户 没 开 着 你 拿 着 他 拿 着 一 本 书 他 拿 着 一 张 照 片 你 手 里 拿 着 什 么 呢? 他 在 床 上 躺 着 她 在 床 上 躺 着 呢 你 别 起 来, 躺 着 吧 她 站 着 老 师 站 着, 学 生 坐 着 他 在 车 站 前 边 儿 站 着 快 坐 下, 别 站 着 他 在 图 书 馆 前 边 站 着 坐 着 她 坐 着 你 坐 着 (2) 他 们 都 在 椅 子 上 坐 着 你 坐 着, 我 去 沏 茶 爸 爸 在 沙 发 上 坐 着 呢 (2) 你 坐 着 吧 我 马 上 就 回 来 (B) 動 態 義 笑 着 跑 着 吃 着 饭 他 写 着 字 (2) 你 听 着! 你 看 着 我 的 眼 睛! 他 看 着 电 视 呢 他 看 着 书 呢 他 说 着 话 呢 他 们 谈 着 话 呢 他 默 默 地 凝 视 着 窗 外 他 打 着 电 话 呢 他 们 开 着 会 呢, 你 等 一 会 儿 再 来 吧 他 正 等 着 你 呢 他 们 正 开 着 会 呢 他 来 的 时 候, 我 正 在 打 着 电 话 呢 他 正 说 着 话 呢 现 在 正 上 着 课 呢 他 正 穿 着 衣 服 呢 他 正 吃 着 饭 呢 他 们 正 看 着 足 球 比 赛 他 们 俩 正 在 下 着 棋 呢 他 正 在 听 着 广 播 呢 你 等 一 下, 他 正 穿 着 衣 服 呢 我 们 正 说 着 话, 小 刘 进 来 了 (C) V 1 着 +V 2 の 形 坐 着 吃 饭 坐 着 看 电 视 188

站 着 讲 课 他 站 着 打 电 话 他 站 着 看 书 孩 子 们 躺 着 看 书 呢 他 经 常 躺 着 看 书 躺 着 看 书 对 眼 睛 不 好 我 走 着 去 他 们 是 走 着 去 的, 没 坐 汽 车 我 们 走 着 去 吧 (2) 我 们 喝 着 咖 啡 听 音 乐 吧 她 们 带 着 孩 子 去 公 园 玩 儿 了 他 忙 着 打 扫 房 间 (D) 存 在 文 の 形 墙 上 写 着 字 黑 板 上 写 着 字 桌 子 上 放 着 照 片 桌 上 放 着 一 台 收 录 机 桌 子 上 放 着 很 多 新 书 桌 子 上 放 着 五 本 书 桌 子 上 放 着 一 架 照 相 机 桌 子 上 放 着 一 本 字 典 房 间 里 放 着 一 个 大 沙 发 墙 上 挂 着 一 幅 地 图 墙 上 挂 着 中 国 地 图 墙 上 挂 着 一 张 地 图 公 园 里 种 着 很 多 樱 花 树 信 里 边 夹 着 一 张 相 片 他 旁 边 儿 站 着 一 个 人 头 上 戴 着 一 顶 帽 子 瓶 子 里 插 着 一 朵 花 儿 (A)と(B)は 着 自 体 の 文 法 的 意 味,(C)と(D)は 使 われる 文 の 文 型 というように, いわば 二 重 の 基 準 になっているのであるが, 実 際 にテキストでは 着 の 提 示 の 箇 所 で(C) と(D)の 用 法 について 紹 介 されることが 多 いので,そのまま 分 類 した 本 稿 で 議 論 の 焦 点 を 当 てたいのは,(A)と(B)の 着 自 体 の 文 法 的 意 味 の 内,( B)の 動 態 義 のほうである ここでは,(B)の 用 例 の 中 の 多 くに, 動 作 の 進 行 を 表 す 副 詞 在 正 正 在 や 語 気 助 詞 呢 などが 含 まれている 点 に 注 意 したい その 意 味 合 いについては 後 述 する 着 の 動 態 義 は 文 法 的 意 味 としては 存 在 するのであるが,それが 実 際 の 中 国 語 でどのように 使 わ れているか,またその 使 われ 方 が 初 級 テキストに 正 確 に 反 映 されているかという 点 につい て, 本 稿 では 考 察 していきたい 3. 着 が 表 すことができる 意 味 本 稿 では 着 の 実 際 の 使 われ 方 を 検 討 するが,まずここでは 着 の 文 法 的 意 味 を 確 認 しておきたい 大 枠 でくくると 着 は 持 続 を 表 すと 言 えるが,その 持 続 の 中 身 は 状 態 の 持 続 と 動 作 の 持 続 の2つに 分 類 できる 状 態 の 持 続 は 先 行 研 究 によっては その 動 作 事 態 の 静 的 な 持 続 と, 動 作 を 行 った 後 に 残 存 する 結 果 状 態 の 持 続 の2つに 分 けている 場 合 があるが, 本 稿 ではいずれも 静 態 義 にまとめた 次 のような 例 が 該 当 する 189

(3) 门 开 着 呢 / 他 穿 着 一 身 新 衣 服 ( 吕 叔 湘 主 编 (1999) 现 代 汉 语 八 百 词 ( 增 订 本 ) 商 务 印 书 馆 ) 動 作 の 持 続 は, 典 型 的 には 可 視 的 な 動 きのある 動 作 行 為 が 持 続 している 場 合 を 指 す 先 行 研 究 では 進 行 義 としているものもあるが, 本 稿 では 進 行 義 は 副 詞 在 正 正 在 などが 担 っている 意 味 であり, 着 は 持 続 を 表 すと 考 え, 動 態 義 として 扱 う 次 のような 例 が 該 当 する (4) 人 们 跳 着, 唱 着 / 妈 妈 读 着 信, 脸 上 露 出 高 兴 的 神 色 / 雪 正 下 着 呢 / 他 们 正 看 着 节 目 呢 / 一 场 热 烈 的 讨 论 正 在 进 行 着 ( 八 百 词 ) (5) 大 家 正 在 议 论 着 新 来 的 厂 长 / 锅 里 正 煮 着 茶 叶 蛋 / 妈 妈 在 晾 着 衣 服 ( 张 斌 主 编 (2001) 现 代 汉 语 虚 词 词 典 商 务 印 书 馆 ) (6) 敲 着 锣, 打 着 鼓 / 孩 子 们 跳 着 蹦 着 走 进 学 校 / 他 们 在 大 声 唱 着 歌 / 一 个 人 在 屋 里 看 着 书, 听 着 音 乐 / 等 会 儿, 我 洗 着 头 呢 ( 侯 学 超 编 (1998) 现 代 汉 语 虚 词 词 典 北 京 大 学 出 版 社 ) 繰 り 返 しとなるが, 本 稿 では 主 要 にはこの 動 態 義 の 方 を 問 題 としたいので, 特 に 主 要 な 工 具 書 3 点 から 例 を 引 用 した ここにおいても, 先 ほどのテキストでの 用 例 と 同 様 に, 用 例 中 に 副 詞 在 などが 混 在 している 点 に 注 目 したい 4. 着 はどのように 用 いられるか 着 がどういう 文 法 的 意 味 を 表 すことができるかという 点 はそれはそれで 先 行 研 究 も 多 く, 興 味 深 い 問 題 ではあるが, 本 稿 では 以 降 はそのような 意 味 を 有 する 着 が, 実 際 の 中 国 語 の 中 でどのように 用 いられているかを 考 察 する まず 着 の 使 用 環 境 について 言 及 している 先 行 研 究 から, 関 連 の 記 述 をいくつか 検 討 する 4.1. 刘 等 (2001) 刘 等 (2001)は 着 的 用 法 の 箇 所 で 着 の 用 い 方 を 次 のようにまとめている 4 (7) (A) 状 態 の 持 続 ( 静 態 義 ) A1. 連 動 文 の 第 一 動 詞 我 微 笑 着 淡 淡 地 说 / 他 闹 着 让 我 带 他 出 去 玩 儿 A2. 存 在 文 墙 上 挂 着 一 幅 山 水 画 (B) 動 作 の 持 続 ( 動 態 義 ) B1. 命 令 文 你 先 歇 着, 我 出 去 看 看 B2. 動 作 の 持 続 の 叙 述 交 通 艇 嗖 嗖 地 向 前 疾 驶 着 B3. 说 着 ~ ( 狼 ) 说 着, 就 向 东 郭 先 生 扑 去 B4.V 着 V 着 孩 子 哭 着 哭 着 睡 着 了 (C)その 他 有 着 / 代 表 着 / 充 满 着 4 (A)(B) 等 の 分 類 に 際 しての 記 号 は 本 稿 の 筆 者 が 便 宜 上 付 した 190

以 上 のような 分 類 の 後,B2.の 動 作 の 持 続 の 箇 所 で 小 説 から 長 い 用 例 を 引 用 した 後, 次 の ような 興 味 深 いコメントを 述 べている ( 下 線 は 本 稿 の 筆 者 ) (8) 例 4( 略 ) 是 张 承 志 的 小 说 北 方 的 河 中 一 章 开 头 的 一 段, 其 中 有 不 少 表 示 动 作 持 续 的 着, 这 是 表 示 动 作 持 续 的 着 的 典 型 用 法 这 样 用 的 着 通 常 都 出 现 在 文 学 作 品 故 事 展 开 前 的 背 景 描 写 中, 即 不 是 在 叙 述 动 作 的 进 行 也 就 是 说, 表 示 动 作 持 续 的 着 的 功 能 主 要 仍 然 是 描 写 在 一 般 口 语 中, 很 少 这 样 用 着 因 此 对 不 想 写 小 说 的 人 来 说, 很 少 用 到 这 个 着 ここで 述 べられていることを 一 言 でまとめれば, 着 には 動 態 義 があるにはあるが, 実 際 に 自 由 に 用 いられるのではなく,その 使 用 には 大 きな 制 限 があるということになろう 口 語 ではあまり 用 いられず, 小 説 などのストーリーが 展 開 する 前 段 階 の 背 景 描 写 で 用 いら れるのが 主 であるということである 4.2. 陈 (1980) 実 際 に 文 学 作 品 を 対 象 として,どのような 着 がどの 環 境 で 用 いられているかを 調 査 したのが 陈 (1980)である (9) 状 态 持 续 态 是 附 着 动 词 作 为 主 要 动 词 的 典 型 用 法, 而 动 作 持 续 态 极 少 用 于 主 要 动 词 作 助 词 主 要 动 词 占 总 数 用 在 占 总 数 用 在 从 占 总 数 表 祈 占 总 数 品 着 总 数 动 作 持 续 状 态 持 续 的 % 状 语 中 的 的 % 句 中 的 的 % 使 语 气 的 的 % 赵 184 1 32 17.93 135 73.37 4 7.61 2 1.09 舍 645 10 170 27.91 227 35.19 235 36.43 3 0.47 鲁 228 16 85 44.30 84 36.84 42 18.43 1 0.43 赵 赵 树 理 李 有 才 板 话 小 二 黑 结 婚 传 家 宝 登 记 / 舍 老 舍 骆 驼 祥 子 / 鲁 鲁 迅 彷 徨 (9)は,3 名 の 作 家 の 作 品 に 出 現 したアスペクト 助 詞 の 着 をすべてカウントし,その 出 現 した 環 境 ごとに 分 類 したものである 主 要 动 词 とは 動 詞 句 1つが 述 語 に 位 置 したも の, 状 语 はここでは 連 動 文 の 第 一 動 詞 を, 从 句 は 複 文 の 従 属 句, 表 祈 使 语 气 的 は 命 令 文 を 指 す 主 要 动 词 に 出 現 する 着 の 数 を 見 ると, 着 を 伴 った 単 独 の 動 詞 述 語 文 は 意 外 に 大 きな 割 合 は 占 めておらず,さらにその 中 でも 動 作 持 続 ( 動 態 義 )は 状 態 持 続 ( 静 態 義 )に 対 して 数 が 非 常 に 少 ないことがわかる 例 えば 北 京 語 の 使 用 者 である 老 舎 の 着 を 伴 った 動 詞 述 語 文 の 内 訳 は, 動 態 義 が10 例 に 対 して 静 態 義 が170 例 である 点 など に 注 目 したい 191

4.3. 刘 (1985) 刘 (1985)では, 曹 禺 の 戯 曲 の 中 に 出 現 する 着 を 調 査 し, 場 面 や 舞 台 の 解 説 をするト 書 き 部 分 のほうが, 登 場 人 物 の 会 話 の 部 分 よりも, 着 の 使 用 頻 度 が 高 いことを 示 してい る (10) 篇 目 分 类 总 字 数 ( 约 ) 着 次 数 频 率 % 场 景 描 写 舞 台 提 示 15000 230 1.53 雷 雨 人 物 语 言 83000 168 0.2 场 景 描 写 舞 台 提 示 16000 344 2.15 日 出 人 物 语 言 82000 143 0.17 场 景 描 写 舞 台 提 示 16000 610 3.81 北 京 人 人 物 语 言 80000 141 0.18 5. 動 態 義 の V 着 の 性 質 5.1. V 着 の 非 自 立 性 以 下 では 主 に 動 詞 V が 着 を 伴 った V 着 が 動 態 義 を 表 す 場 合,どのような 性 質 を 帯 びるかを 検 討 しよう まず, V 着 を 伴 った 文 はそこで 文 を 言 い 切 ることができず, 統 語 的 に 自 立 しえない,いわば 非 自 立 性 とでも 言 うべき 性 質 を 持 っているという 指 摘 が 少 なくない 5.1.1. 陈 (1980) 陈 (1980)によると, 動 態 義 の V 着 が 述 語 となった 以 下 のような 文 では,それぞれa.の 形 では 文 が 言 い 切 りにならず, 文 が 成 立 するためにはb.のように 後 に 続 く 内 容 が 必 要 であ るという (11)a.? 他 们 开 着 会 b. 他 们 开 着 会, 外 头 下 起 雪 来 了 (12)a.? 外 头 下 着 雪 b. 外 头 下 着 雪, 可 一 点 也 不 冷 (13)a.? 一 场 热 烈 的 讨 论 进 行 着 b. 一 场 热 烈 的 讨 论 进 行 着, 到 深 夜 还 没 结 束 (14)a.? 她 唱 着 我 爱 北 京 天 安 门 b. 她 唱 着 我 爱 北 京 天 安 门 走 上 台 去 そしてそれぞれのa.は,ある 情 況 を 提 供 しただけで,その 情 況 の 下 で 起 こった 出 来 事 は 192

まだ 言 われていないという 語 感 を 与 えるという 5.1.2. 刘 (1999) 刘 (1999)にも 同 様 の 指 摘 が 見 える V 着 が 述 語 となった 下 のa.のような 例 は 不 成 立 で それぞれb.のような 形 をとる 必 要 があるという (15)a.* 我 们 说 着 话 b. 我 们 说 着 话, 天 就 黑 下 来 了 (16)a.* 下 着 雨 b. 天 这 么 黑, 又 下 着 雨, 我 看 就 别 去 了 またそもそも 動 態 義 を 表 わすためには V 着 (O) よりも V(O) 呢 を 用 いるという V 着 (O) は 単 独 では 使 い 得 ないということである (17)a.* 睡 着 觉 b. 睡 觉 呢 (18)a.* 洗 着 衣 服 b. 洗 衣 服 呢 (19)a.* 做 着 功 课 b. 做 功 课 呢 5.1.3. 马 (1987) 马 (1987)は, 现 代 汉 语 八 百 词 ( 增 订 本 ) にある(4)の 内 の1 例 (20) 一 场 热 烈 的 讨 论 正 在 进 行 着 について,このような 文 は 書 面 語 であり 口 語 で 実 際 に 用 いられる 言 い 方 とは 非 常 に 距 離 が あるという 北 京 方 言 の 口 語 では, 動 作 の 進 行 は 副 詞 を 用 いる 他 に, 主 要 には 文 末 に 語 気 助 詞 呢 を 用 いて 表 すという (21) 我 们 干 活 儿 呢 (22) 小 李 遛 弯 儿 呢 さらには, 進 行 ( 動 態 義 )を 表 す 動 詞 は 着 を 伴 わず, 状 態 ( 静 態 義 )を 表 す 動 詞 だけ が 着 を 伴 うのが 実 際 の 口 語 の 情 況 であり,この 点 が 書 面 語 との 大 きな 違 いであると 述 べ ている 193

5.2. V 着 の 背 景 化 5.2.1. 着 の 背 景 化 作 用 上 で 述 べたように, V 着 は 非 自 立 的 で, 後 半 に 他 の 成 分 を 伴 うのが 常 であるが,このよ うな V 着 を 含 む 側 の 成 分 は 意 味 的 には 背 景 となり, 後 半 部 分 を 前 景 化 させる 役 割 を 担 っ ている 刘 (1999)によると 次 のような 文 において, (23) 吃 着 饭, 又 把 那 件 事 商 量 了 一 下 (24) 我 冒 着 大 雨, 等 了 你 俩 钟 头 前 半 部 分 の(それだけでは 自 立 しえない) V 着 (O) は 背 景 条 件 や 情 況 を 提 示 しており, 文 全 体 ではこのような 背 景 や 情 況 の 下 で 何 が 起 こったかを 述 べているという また, 荒 川 (2003)によると, (25) 东 郭 先 生 赶 着 驴, 在 路 上 慢 慢 地 走 着 (26) 张 老 师 像 雷 一 般 地 打 着 呼 噜 (27) 枪 声 的 回 音 在 山 谷 中 反 复 振 荡 着 これらは 統 語 的 には 独 立 しているものの, 使 われる 環 境 が 限 られており, 文 章, 特 に 小 説 の 地 の 文 においてよく 使 われ,その 後 に 書 かれた 出 来 事 の 背 景 となっているという 連 動 文 の V 着 V の V 着 も 後 の 動 詞 の 背 景 となっているし, 次 のような 複 文 でも (28) 我 们 正 说 着 话, 他 来 了 我 们 正 说 着 话 の 部 分 は, 他 来 了 という 出 来 事 があったときに,その 背 景 を 示 して いるという 方 (2000)も V 着 を 含 んだ 動 詞 述 語 文 が, 談 話 全 体 の 中 で 背 景 情 報 となって いることを 指 摘 している 関 連 して 指 摘 すれば, 動 態 義 の V 着 O はその 非 自 立 性 ゆえに 独 立 しないが, 文 末 に 語 気 助 詞 呢 を 付 けると 一 応 は 文 が 成 立 する しかしこの 動 態 義 の V 着 O 呢 は 使 われる 環 境 が 一 定 の 場 面 に 限 られている (29)A: 来 电 话 了, 你 接 一 下 电 话 B: 我 做 着 饭 呢 このBの 我 做 着 饭 呢 は, 自 分 は 食 事 を 作 っている 情 況 にあるので, 電 話 に 出 ることが 194

できないという 意 味 を 表 すという 5 これはいわば 動 態 義 の V 着 を 含 んだ 文 が, 文 末 に 呢 が 付 くことによって 統 語 的 には 独 立 するものの, 語 用 論 的 には 依 然 として 背 景 のままであ り 続 け,この 発 話 によって 本 当 に 聞 き 手 に 伝 達 したい 主 要 な 意 図 を 前 景 化 させているので あると 解 釈 することができる 5.2.2. V 着 の 様 々なレベルでの 背 景 化 以 上 の 指 摘 をまとめると, 動 態 義 の V 着 はそれを 含 む 部 分 を 背 景 化 させる 作 用 をもっ ており,それは 句 から 節,そして 文 章 全 体 へと 様 々なレベルで 認 められると 考 えられる (30)はその 情 況 を 図 式 化 したものである 動 態 義 の V 着 はそれ 自 身 が 様 々な 成 分 の 中 心 に 来 ることは 基 本 的 にはないのであって, 教 材 を 作 成 する 際 もそのような 実 態 を 反 映 させ る 必 要 があると 言 えるであろう (30) 背 景 前 景 句 走 着 去 節 我 们 说 着 话, 天 就 黑 下 来 了 文 章 东 郭 先 生 赶 着 驴, 在 路 上 慢 慢 地 走 着 驴 背 上 驮 着 一 个 口 袋, 口 袋 里 装 着 很 多 书 忽 然 从 后 边 跑 来 一 只 狼, 慌 慌 张 张 地 对 东 郭 先 生 说 : 仁 慈 的 先 生, 救 救 我 吧! 打 猎 的 在 后 边 追 我, 要 把 我 打 死 ( 东 郭 先 生 和 狼 基 础 汉 语 课 本 第 四 册 ) 6.コーパスを 用 いた 調 査 6.1. 使 用 コーパス 本 稿 では, 以 上 のような 着 の 性 質 が 実 際 の 中 国 語 に 現 れているかどうかを,コーパス を 用 いて 調 査 した 今 回 調 査 対 象 にしたコーパスは 当 代 北 京 口 语 语 料 ( 北 京 语 言 学 院 语 言 教 学 研 究 所,1993 年 )である これは, 北 京 を6つの 地 区 に 分 け,それぞれの 地 区 から, 職 業 年 齢 民 族 の 異 なる 計 374 人 の 人 を 抽 出 し,6つの 話 題 についてインタビューを 行 い,その 自 由 回 答 の 発 言 をその まま 忠 実 に 記 録 したものである 言 い 間 違 いなどもそのまま 記 録 した 口 語 のコーパスであ 5 V 着 O 呢 のこのような 性 質 については, 刘 (1999), 马 (1987), 陳 (1997)を 参 照 195

る テキストファイルにして 合 計 およそ180 万 字 の 分 量 であるが, 今 回 の 調 査 ではそのうち 東 城 区 の 部 分 のデータ 合 計 約 318,000 字 を 調 査 対 象 とし,その 発 話 の 中 に 出 現 するアスペク ト 助 詞 着 を 調 べた 6.2. 調 査 結 果 調 査 の 結 果, 東 城 区 のデータ 中 での V 着 の 総 出 現 数 は472であった それを 動 詞 V に 基 づいて 分 類 し, 出 現 回 数 の 多 い V 着 は 何 かを 調 べた 以 下 は 出 現 回 数 の 多 い V 着 の 第 1 位 から 上 位 13 位 までの 結 果 である (31) V 着 出 現 例 回 数 带 着 36 我 自 己 呢, 曾 经 带 着 自 己 的 小 孩 儿, 到 北 戴 河 去 玩 儿 了 一 次 跟 着 31 啊, 因 为 有 些 家 长 呀, 我 们 一 带 孩 子 出 去 玩 儿 去, 他 们 甚 至 于 后 面 儿 偷 偷 跟 着, 看 着 自 己 的 孩 子 看 着 28 啊, 尽 管 它 这 长 城 也 是 人 工 建 造 的 哈, 一 个 它, 我 觉 得 特 别 这 个, 嗯, 看 着 特 别 壮 观 帮 着 15 退 休 以 后 在, 家 里 能, 帮 着 干 这 一 般 的, 家 务 事 儿, 能, 照 顾 一 下, 我 哥 哥 的 小 孩 儿 有 时 候 儿 呆 着 15 在 家 呆 着 吃 饭 哪, 这 这 这 吃 饭 的 问 题 都 解 决 不 了, 还 交 学 费? 坐 着 15 屋 里, 在 屋 里 坐 着 也 是 发 抖 啊, 不 许, 不 想 干 别 的 事 儿 拿 着 14 后 来 半 道 儿 上 呢, 又 碰 上 几 个 当 兵 的, 他 们 呢, 拿 着 录 音 机, 放 着 流 行 歌 曲, 还, 还, 还 觉 得 挺 有 意 思, 挺 热 闹 的 等 着 13 就 是, 嗯, 就 是, 现 在 还 等 着 分 房 呢 活 着 10 像 那 个 我 爱 人 的 奶 奶 吧, 现 在 也 活 着 呢 想 着 8 在 这 个 时 间, 在 这 一 段 儿 时 间 里 呢, 我 也 总 想 着 能 够 多 学 点 儿 东 西 啊, 嗯, 学 好 了, 把 这 一 天 的 工 作, 一 天 的 生 活, 让 它 充 实 起 来 写 着 8 青 年 湖 哇, 出 城 往 往 往 往 西 北 走, 出 城 那 个 就 是 那, 就 往 北 走 有 一 个 牌 子, 写 着 青 年 湖 公 园 进 去 就 是 站 着 8 就 是 有 那 么, 你 看 我 们 坐 满 了, 大 车 是 二 十 八 个 座 儿, 然 后 站 着 那 么 十 几 个 人 儿 吧, 是 哈, 不 到 五 十 人 指 着 7 嗯, 我 母 亲, 还 有 一 个, 还 有 一 个 祖 母, 都 在 一 块 儿 生 活, 指 着 我 父 亲, 靠 小 学 教 师 那 点 儿 薪, 那 点 儿 薪 金 この 上 位 13 位 の V 着 だけを 見 てもすぐにわかるのは,これらはすべて 基 本 的 には 静 態 義 を 表 すものばかりであって, 動 態 義 の V 着 は 頻 度 数 上 位 にまったく 顔 を 出 していない 196

ということである 带 着 ( 持 っている) 跟 着 ( 付 き 従 っている) 拿 着 ( 持 っている) は 言 うまでもなく 可 視 的 な 動 きのない 静 態 義 である 看 着 ( 見 ている)は 先 行 研 究 では 動 態 義 にするものも 実 は 少 なくないが, 見 ている という 状 態 が 持 続 している 際, 身 体 に 目 立 つ 動 きはなく, 静 かな 状 態 が 持 続 しているわけであり, 意 味 論 的 には 静 態 義 であると 考 えるべきである 帮 着 ( 手 伝 っている)では, 人 の 手 伝 いをしている 際 には 具 体 的 に は 何 か 個 別 の 動 きをしている 可 能 性 もあるが, 帮 という 動 詞 自 体 は,そのような 個 別 的 な 動 作 を 超 えた, 抽 象 的 な 関 係 として 捉 えている 表 現 である 呆 着 (じっとしている) は 文 字 通 りじっとしている 状 態 である 坐 着 ( 座 っている) 写 着 ( 書 いてある) 站 着 ( 立 っている)の 三 者 は 語 彙 アスペクトの 面 からは 同 じ 類 に 属 する これらは, 坐 着 を 例 にとれば, 立 っている 状 態 から 腰 を 下 ろしつつある 動 きのある 動 態 の 段 階 と, 座 り 終 え た 後, 動 きがなく 座 っている 状 態 が 持 続 する 静 態 の 段 階 の2つを 兼 ね 備 えている 動 詞 であ る 従 って 理 論 的 には, 坐 着 が 腰 を 下 ろしつつある, 写 着 が 書 いている, 站 着 が 立 ち 上 がりつつある という 動 きのある 段 階 を 指 すことも 可 能 と 思 われるが, 実 際 には(31)の 例 にあるように, 座 っている 書 いてある 立 っている という 静 的 な 状 態 の 持 続 を 表 す 例 がほとんどである 等 着 ( 待 っている) 活 着 ( 生 きている)も, 実 際 には 動 作 主 は 個 別 の 他 の 動 作 をしているかも 知 れないが,これらの 動 詞 自 体 はある 種 の 抽 象 的 な 状 態 を 表 している 想 着 ( 思 っている) 6 は 心 理 活 動 動 詞 であり, 心 理 活 動 は 外 からは 動 きの 見 えない 静 態 義 である 指 着 ( 頼 っている)は あてにする, 頼 る とい う 意 味 項 目 であり,これも 明 らかに 二 者 の 関 係 を 表 しており, 静 態 義 に 属 する 以 上 のことから, 着 は 動 態 義 と 静 態 義 の2つの 意 味 を 表 すことが 可 能 であるといえど も,コーパスを 調 査 した 結 果, 実 際 に 使 われている 話 し 言 葉 では, 動 詞 がアスペクト 助 詞 着 を 伴 ったもので 常 用 されるのはほぼすべてが 静 態 義 のものであって, 動 態 義 のもの はほとんど 用 いられていないということがわかる 6.3. 動 態 義 の V 着 か? さて, 実 はコーパスの 中 にも 動 きのある 動 作 行 為 を 表 すと 考 えられる 動 詞 が 着 を 伴 っている 例 がないわけではない ではこれらの V 着 は 実 際 にはどのように 用 いられてい るであろうか 動 きのある 動 作 行 為 を 表 す 動 詞 が 着 を 伴 っている 実 例 をいくつか 拾 っ て 検 討 してみよう 動 詞 = 吃 の 例 : (32) 就 等 于 在 家 里 就 怎 么 着 哈 也 得 是 吃 着 父 母, 有 点 儿 不 忍 心, 不 落 忍 動 詞 = 开 ( 车 ) の 例 : (33) 嗯 司 机 一 人 儿 在 上 头 开 着, 连 乘 客 带 售 票, 都 下 来 推 车, 那 时 候 儿 比 较 那 什 么 6 想 着 には 北 京 方 言 で 忘 れずに~する という 意 味 項 目 もあるが,このような 場 合 は(31) の 数 からは 排 除 されている 197

動 詞 = 跑 の 例 : (34) 小 的 那 小 的 时 候 儿, 满 街 上 跑 着 玩 儿 動 詞 = 骑 ( 平 板 车 ) の 例 : (35) 是 哇, 我 那 个, 骑 着 骑 着 呢, 这 个, 先 扔 了 两 回 呢, 慢 慢 儿 能 凑 合 上 大 街 了 動 詞 = 推 の 例 : (36) 嗯, 完 后, 推 着 车 给 老 头 儿 给 送 到 那 地 方 儿 動 詞 = 煮 の 例 : (37) 一 买 好 几 个 猪 头, 煮 着 吃 動 詞 = 走 の 例 : (38) 我 说 这 车 太 受 罪 还 不 如 走 着 舒 服 呢 これらが, 動 きのある 動 作 行 為 を 表 す 動 詞 が 着 を 伴 っている 例 である 吃 は 典 型 的 な 動 きのある 動 作 行 為 を 表 す 動 詞 と 言 えようが,(32)での 吃 父 母 は 言 うまでもなく 両 親 を 食 べる のではなく, 両 親 に 頼 って 食 っていく( 生 活 する) というように, 具 体 的 な 食 べる という 行 為 から, 生 きる, 生 活 する という 抽 象 度 が 増 した 意 味 に 変 化 している また, 他 の 多 くの 例 は 連 動 構 造 などの 前 半 部 分 に 生 起 し, 後 半 に 対 する 背 景 と なっている 点 に 注 意 したい (34) 跑 着 + 玩 儿, (36) 推 着 车 + 给 老 头 儿 给 送 到 那 地 方 儿, (37) 煮 着 + 吃,(38) 走 着 + 舒 服 などすべてそうである また,(33) は 複 文 というレベルにおいて, 司 机 一 人 儿 在 上 头 开 着 ( 運 転 手 は 車 中 で 運 転 しながら) が, 他 の 乗 客 たちは 降 りて 後 ろから 押 したということの 背 景 となっている 残 る(35)は, V 着 V 着 の 形 で 後 半 部 分 の 出 来 事 が 起 こる 前 提 となる 状 態 を 述 べているのである このように,このコーパスの 中 には 動 きのある 動 作 行 為 を 表 す 動 詞 が 着 を 伴 ってい る 例 もあるにはあるが,その 例 を 見 ると 基 本 的 には 後 半 部 分 に 対 する 背 景 としての 役 割 を 担 っているか,もしくは 他 の 意 味 項 目 で 用 いられており 具 体 的 な 動 作 の 意 味 は 持 っていな いかのどちらかであり, V 着 が 単 独 で 述 語 になった 動 詞 述 語 文 として 動 態 義 を 表 してい るものは 極 めて 少 ないと 考 えられる 6.4. 在 V 着 について 動 態 義 と 関 連 してしばしば 言 及 されるのが, 着 と, 進 行 を 表 す 副 詞 在 の 併 用 であ る これまで 述 べたような, 非 自 立 的 な 動 態 義 の V 着 の 自 立 性 を 増 す 手 段 として,その 前 に 進 行 を 表 す 副 詞 在 正 在 正 を 併 用 すれば 文 が 成 立 するという 指 摘 は 多 い ま た,この 点 は 事 実 としては 事 実 であろう ところが,ではこのような 形 式 がいったいどのくらいの 頻 度 で 実 際 の 中 国 語 ( 特 に 口 語 ) で 用 いられているかを 知 るために, 本 稿 のコーパスにおける 在 V 着 正 在 V 着 正 V 着 の 出 現 を 調 査 したところ, 該 当 する 例 は1 例 も 存 在 しなかったのである 7 これは 在 V 着 7 在 + 場 所 を 表 す 語 句 + V 着 は 除 く 198

正 在 V 着 正 V 着 という 形 式 が, 文 法 的 には 正 しいものの, 実 際 の 口 語 ではまずほとん ど 用 いられていないという 事 実 を 意 味 する 8 ところが 初 級 テキストの 調 査 結 果 を 見 ると 明 らかなように, 着 を 提 示 する 項 目 の 用 例 で, 在 V 着 正 在 V 着 正 V 着 のタイプを 用 いているものが 少 なくない 2.で 述 べた 調 査 結 果 の (B) 動 態 義 の 箇 所 の 例 を 見 ると,そのような 例 の 多 さに 驚 く 実 際 に 用 いら れる 頻 度 がほとんどないような 形 式 を, 初 級 文 法 の 段 階 の 用 例 として 提 示 することは, 学 生 に 過 度 な 負 担 を 強 い, 学 習 の 効 率 を 下 げるだけであるから,ぜひ 改 めるべきであると 考 える 7. 結 論 にかえて テキストでの 提 示 例 試 案 7.1. 留 意 すべきポイント さて,これまで 述 べてきたことから, 初 級 テキストの 文 法 項 目 で 着 を 提 示 する 際 に 留 意 すべきポイントをまとめると, 次 の3 点 になるのではないかと 思 われる (39) 1(ⅰ) 動 詞 述 語 文 での 着, (ⅱ) 連 動 文 での 着, (ⅲ) 存 在 文 での 着,の3 者 に 項 目 を 厳 密 に 区 分 し,かつ 相 互 にリンクさせる 2 動 詞 述 語 文 での 例 は 静 態 義 しか 扱 わず, 動 態 義 の 例 文 は 提 示 しない 3 副 詞 在 正 在 正 と 併 用 した 例 は 提 示 せず,これらの 副 詞 は 動 作 の 進 行 の 箇 所 で 提 示 し, 持 続 の 着 とは 区 別 する 1は 着 が 実 際 に 用 いられている 環 境 によって 区 分 したものである (ⅰ)の 動 詞 述 語 文 が 基 本 となり,これが(ⅱ) 連 動 文 や(ⅲ) 存 在 文 という 構 文 においてもよく 用 いられるという ことである 従 来 のテキストでも 実 際 には 着 の 箇 所 で(ⅱ) 連 動 文 や(ⅲ) 存 在 文 について 言 及 されているのは,2.での 調 査 結 果 の 示 すところである 実 際 この3 者 は 文 法 項 目 として は 別 物 で, 別 の 箇 所 で 提 示 されることになるであろうから, 学 習 者 が 着 が 使 われる 環 境 を 把 握 し 復 習 しやすいように,それそれがテキストのどの 箇 所 で 学 習 する 項 目 かを 確 認 しやすくするのが 望 ましい 2と3は 内 容 的 には 関 連 するが,いずれも 本 稿 でのコーパス 調 査 の 結 果 が 示 す 言 語 事 実 を, 初 級 テキストの 文 法 項 目 の 提 示 の 仕 方 にも 反 映 させようという 考 えに 基 づいている さて,これらのポイントに 基 づき, 以 下 ではテキストでの 着 の 提 示 の 仕 方 について, 想 定 されるモデルケースを 示 してみよう 8 先 行 研 究 においても, 例 えば 陆 1998では 次 のように, 在 V 着 の 形 式 の 不 自 然 さについて 指 摘 をしている 在 和 着 似 很 少 叠 用, 一 般 不 说 :? 他 在 学 着? 我 在 吃 着 饭? 他 在 洗 着 衣 服 199

7.2. 提 示 のモデルケース 以 下 に, 着 を 初 級 文 法 項 目 として 提 示 する 際 のモデルケースを 示 す (40) 第 x 課 動 詞 + 着 ~ 状 態 の 持 続 を 表 す 他 在 沙 发 上 坐 着 他 在 床 上 躺 着 我 去 的 时 候, 发 现 门 开 着 房 间 里 没 有 人, 门 都 锁 着 呢 今 天 她 穿 着 一 件 很 好 看 的 衬 衫 他 に 着 を 使 うケース 動 詞 1 着 + 動 詞 2で( 第 y 課 ) 存 在 文 で( 第 z 課 ) 第 y 課 動 詞 1+ 着 + 動 詞 2 の 形 ( 第 x 課 ) 動 詞 1 着 [ 付 帯 状 況 ] + 動 詞 2[ 動 作 ] 她 抱 着 孩 子 去 医 院 躺 着 看 书 对 眼 睛 不 好 这 个 东 西 炒 着 吃 开 着 窗 户 睡 觉 很 凉 快 第 z 課 存 在 文 ( 第 x 課 ) 場 所 / 時 間 + 動 詞 着 + 人 / 物 墙 上 贴 着 一 张 中 国 地 图 桌 子 上 放 着 一 本 词 典 床 上 躺 着 一 个 病 人 客 厅 里 坐 着 两 位 客 人 (39)で 述 べた 点 に 基 づき,まず 着 の 出 てくる 項 目 を3つに 分 ける 上 記 の 例 で 言 え ば, 第 x 課 で 動 詞 述 語 文 における 着 自 身 の 解 説, 第 y 課 で 連 動 文 に 用 いられる 着, 第 z 課 で 存 在 文 に 用 いられる 着 である それぞれ 別 個 に 提 示 しつつも, 連 動 文 や 存 在 文 を 学 習 する 際,そこで 用 いられている 着 が 本 来 どのような 文 法 的 意 味 を 持 つ 成 分 な のかを 常 に 参 照 できるように,また 着 本 来 の 意 味 を 学 習 する 際 にも,それが 一 般 の 動 詞 述 語 文 以 外 に,どのような 構 文 で 常 用 されるかも 参 照 できるように, 相 互 をリンクさせ ると 便 利 である ( 関 係 図 を(41)に 示 す ) また, 第 x 課 で 着 とはどういう 意 味 を 表 すものかを 示 す 際, 提 示 する 例 文 はすべて 動 きの 静 かな 状 態 の 持 続 ( 静 態 義 )のものにし, 動 きのある 動 作 の 進 行 ( 動 態 義 )の 例 は 200

たとえそのような 例 が 文 法 的 に 作 れたとしても 提 示 しない また, 動 作 の 進 行 を 表 す 在 正 在 正 を 提 示 する 課 と 明 確 に 差 別 化 するため,さらには 実 際 の 使 用 頻 度 が 極 めて 低 いタイプの 用 例 を 排 除 するため, 動 詞 が 着 を 伴 いながら 副 詞 在 正 在 正 が 共 起 した 在 / 正 在 / 正 + 動 詞 + 着 の 形 の 用 例 は 扱 わない (41) 着 の 文 法 的 意 味 連 動 文 に お ける 着 存 在 文 に お ける 着 7.3. 実 際 のテキストでの 提 示 例 最 後 に, 実 際 のテキストで 筆 者 がこれまで 述 べた 考 えをどのように 実 践 しているかを 紹 介 しよう テキストは 次 のものである (42) 公 式 でわかる 初 級 中 国 語 三 宅 登 之 張 国 璐 石 黒 ひさ 子, 朝 日 出 版 社,2005 年 4 月 1 日 初 版 発 行 以 下, 着 に 関 連 する 文 法 項 目 の 箇 所 を 抜 粋 する 第 10 課 文 法 2 (55ページ) 動 詞 1+ 着 + 動 詞 2の 形 link 第 4 課 4, 第 16 課 2 公 式 動 詞 1 着 [ 付 帯 状 況 ]+ 動 詞 2[ 動 作 ] ~しながら(しておいて)~する 她 抱 着 孩 子 去 医 院 Tā bàozhe háizi qù yīyuàn. 躺 着 看 书 对 眼 睛 不 好 Tǎngzhe kàn shū duì yǎnjing bù hǎo. 开 着 窗 户 睡 觉 很 凉 快 Kāizhe chuānghu shuìjiào hěn liángkuai. 第 16 課 文 法 2 (80ページ) 状 態 の 持 続 を 表 す 着 他 在 沙 发 上 坐 着 Tā zài shāfā shang zuîzhe. 我 去 的 时 候, 发 现 门 开 着 Wǒ qù de shíhou, fāxiàn mãn kāizhe. 房 间 里 没 有 人, 门 都 锁 着 呢 Fángjiān li mãi yǒu rãn, mãn dōu suǒzhe ne. 今 天 她 穿 着 一 件 很 好 看 的 衬 衫 Jīntiān tā chuānzhe yí jiàn hěn hǎokàn de chânshān. 他 に 着 を 使 うケース 201

動 詞 1 着 + 動 詞 2で link 第 10 課 2 存 在 文 で link 第 18 課 1 第 18 課 文 法 1 (87ページ) 存 現 文 (1) 存 在 文 公 式 場 所 / 時 間 + 動 詞 + 着 + 人 / 物 墙 上 贴 着 一 张 中 国 地 图 Qiáng shang tiēzhe yì zhāng Zhōngguï dìtú. 桌 子 上 放 着 一 本 词 典 Zhuōzi shang fàngzhe yì běn cídiǎn. 床 上 躺 着 一 个 病 人 Chuáng shang tǎngzhe yí ge bìngrãn. 以 上 述 べてきたことが 本 稿 の 考 える 着 の 提 示 方 法 である ただ 本 稿 で 述 べたこと 以 外 にも, 類 似 した 意 味 を 表 す 進 行 相 の 副 詞 在 正 在 正 とどのように 区 別 して 教 授 するかという 点 や, 語 気 助 詞 呢 との 共 起 の 問 題,さらにはどのような 練 習 問 題 が 効 果 的 かなど, 様 々な 問 題 点 が 残 っているので, 今 後 の 検 討 課 題 としたい 参 考 文 献 岑 玉 珍 (1998) 着 字 句 的 教 学 探 讨, 赵 金 铭 等 编 对 外 汉 语 教 学 探 讨 集, 北 京 大 学 出 版 社 陈 刚 (1980) 试 论 着 的 用 法 及 其 与 英 语 进 行 式 的 比 较, 中 国 语 文 第 1 期 ( 杨 自 俭 等 编 1990 英 汉 对 比 研 究 论 文 集, 上 海 外 语 教 育 出 版 社 ) 方 梅 (2000) 从 V 着 看 汉 语 不 完 全 体 的 功 能 特 征, 语 法 研 究 和 探 索 ( 九 ), 商 务 印 书 馆 刘 宁 生 (1985) 论 着 及 其 相 关 的 两 个 动 态 范 畴, 语 言 研 究 第 2 期 刘 一 之 (1997) 现 代 汉 语 助 词 着 的 语 法 意 义 及 其 来 源, 聖 徳 学 園 岐 阜 教 育 大 学 紀 要 第 33 巻 http://els.nii.ac.jp/pdfout.php3?1099637277 (1999) 北 京 口 语 中 的 着, 语 言 学 论 丛 第 22 辑, 商 务 印 书 馆 (2001) 北 京 话 中 的 着 ( zhe) 字 新 探, 北 京 大 学 出 版 社 刘 月 华 (1992) 着 的 用 法, 郑 懿 德 马 盛 静 恒 刘 月 华 杨 甲 荣 (1992) 汉 语 语 法 难 点 释 疑, 华 语 教 学 出 版 社 刘 月 华 潘 文 娱 故 韡 (2001) 实 用 现 代 汉 语 语 法 ( 增 订 本 ), 商 务 印 书 馆 陆 俭 明 (1998) 关 于 北 京 话 里 的 着 ( zhe), 京 都 産 業 大 学 国 際 言 語 科 学 研 究 所 所 報 第 19 巻 (1999) 着 ( zhe) 字 补 议, 中 国 语 文 第 5 期 马 希 文 (1987) 北 京 方 言 里 的 着, 方 言 第 1 期 ( 逻 辑 语 言 计 算 马 希 文 文 选 商 务 印 书 馆,2003 ) 钱 乃 荣 (2000) 体 助 词 着 不 表 示 进 行 意 义, 汉 语 学 习 第 4 期 202

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