Withコロナ時代のイノベーション戦略

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Transcription:

With コロナ時代のイノベーション戦略 ~ 大企業等 300 名緊急アンケート結果から考える ~ デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 2020 年 5 月

はじめに 2020 年 5 月初旬現在 COVID-19 は世界中で猛威を振るっており ここ数十年で類を見ない全世界での公衆衛生上の危機となり 経済活動 イノベーション活動 スタートアップにも深刻な影響を及ぼしている 感染拡大のピークアウト ソーシャルディスタンスを解除した際の第 2 波 第 3 波の感染の抑制については判断が難しい状況ではあるが 中国をはじめ世界各地で経済活動が再開され始めている 4 月下旬までに 2500 万人を超える失業者が発生している米国でも 経済活動再開の議論が活発化してきている状況であり 日本でも近く経済活動をどのように本格的に再開するかの議論がされるものと考えられる このような状況の中 イノベーション活動をどのように再開 継続するか 各企業は難しい判断を迫られている 本稿では With コロナ時代のイノベーション戦略 と題して 大企業およびベンチャーキャピタル (VC)300 名超に実施した COVID-19 のイノベーション活動への影響調査アンケートの結果を踏まえ 現在 With コロナ Post コロナ の時間軸でのどのようにイノベーション活動を行うかについて考察する 2

基礎とした調査結果の概要および回答者属性 アンケート調査の概要 回答者属性 調査名 : COVID-19( 新型コロナウィルス ) のイノベーション活動への影響調査アンケート N=324 調査方法 : Web を通じたアンケート調査 調査対象 : 大企業 VC 等の Morning Pitch 会員 *1 324 名 24 15 13 事業会社金融系投資機関独立系投資機関 調査期間 : 2020 年 4 月 17 日 ~2020 年 4 月 22 日 272 その他 実施主体 : デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 (DTVS) *1:DTVS と野村證券が主催するベンチャー企業と大企業の事業提携を生み出すプラットフォーム Morning Pitch *2: 小数点第 1 位について四捨五入しているので合計が 100% にならない箇所が存在する 3

Executive Summary COVID-19 の影響を受けて 50% を超える大企業がスタートアップとの協業を含めたイノベーション活動を 3 割以上減少させる見込みである 一方で スタートアップへの投資を行う VC は 不況期こそが良質のスタートアップを生み出すと考えており この機会こそチャンスであるととらえている 日本の VC の約 25% グローバルでも約 30% の VC がスタートアップへの投資を増加させる意向である COVID-19 環境下では時間軸を意識してイノベーション戦略を立てることが肝要となる まずは イノベーション活動に取り組む意義 領域を明確にし 予算削減および活動縮小を最小限にとどめる その後 With コロナ期で成果の出やすい領域に集中し Post コロナ期の中長期を意識した新規事業創出に活動を広げることが有効と考えられる With コロナ期には セールスプロセスのデジタル化 プロダクトの遠隔提供 省人化 遠隔での顧客対応など 比較的短期で成果が見込めるデジタルトランスフォーメーション関連項目にフォーカスすべきと考えられる Post コロナ期で重要になる新規事業創出においては 80% を超える企業が 人の価値観の変化 ワークスタイルの変化 に新規事業機会を見出している スタートアップは デジタルトランスフォーメーションの加速 規制の緩和といった機会を活用して 新たな顧客層の開拓 遠隔での新商品開発 政府との協力などによりビジネスモデルを急速に変革している 顧客のニーズが急速に変化する環境下では 急速にモデルを変革できるスタートアップと共創することが有効である 今こそスタートアップと協力し 変革を起こす時である 4

現時点で COVID-19 の影響を完全に予測することは困難である 楽観シナリオ ダウンサイドリスク 9 ヶ月 3 年 速やかなワクチン開発と 集団免疫獲得 アジアでの再発なし アメリカ EU の感染の抑え込み 他の国々への拡散が最小 2020 年 Q4 までに 経済活動が回復 自粛インパクトが最小限に止まり 消費が以前の活動レベルに戻る 政府介入により多くの中小企業が存続 サプライチェーンが速やかに再構築 疫学 経済 アメリカ EUにおける大惨事のような大流行 アジアにおける大流行の第 2 波 新興国における感染が深刻化 深刻な長期的不景気 2 年超に及ぶ深刻な低需要 多くの企業の倒産 廃業 サプライチェーンの大規模崩壊 官民のリーダーシップの取り組みが奏功し 信用が上昇 企業の社会的責任がビジネス信条と調和して段階的に増加 通信回線と5Gが偏在的に配備されることによる急速なデジタルトランスフォーメーション 5 社会政策環境技術 政治 リーダーへの不信 社会不安 孤立主義の蔓延 幅広い業界 国々で政府救済 政府介入増大によるプライバシー問題

COVID-19 による環境変化が激しい中で 時間軸を意識して段階的に対応していくことが重要となる 今 Respond: 対応 With コロナ Recover: 回復 Post コロナ Thrive: 成長 Prepare Manage Continuity Learn and Emerge Stronger Prepare for the Next Normal 時間軸 1 ヶ月 ~3 ヶ月 2 ヶ月 ~9 か月 6 ヶ月 ~18 ヶ月 目標 状況を把握し 対応方針を策定 活動を再開する 環境に合わせて イノベーション活動を 最適化させる ビジネスモデルを刷新 新規事業を創造する 6

目次 Respond 状況を把握し対応方針を策定 活動を再開する Recover 環境に合わせてイノベーション活動を最適化させる Thrive ビジネスモデルの刷新 新規事業の創造

85% の企業が COVID-19 が事業に与える影響をマイナスと回答しており 62% の企業が影響が 6 ヶ月超に及ぶと回答している COVID-19 が貴社に与える影響全体について教えてください 全業種 COVID-19 が事業に与える影響 N=324 COVID-19 が貴社の活動に影響を与える期間はどの程度と考えられますか? 全業種 事業活動に影響を与える期間 N=324 37% 2% 13% 48% プラス どちらともいえないマイナス 非常にマイナス 15% 38% 9% 3% 9% 26% 影響はない ~3 ヶ月 ~6 ヶ月 ~12 ヶ月 ~24 ヶ月それ以上 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 8

イノベーション活動および投資活動を昨年比 30% 以上減少させる企業が 50% を超えている 過去 1 年間を 100% とした場合 今後 1 年間の活動はどの程度になると考えられますか? 28% 事業会社 過去 1 年間を100% とした場合の今後 1 年間の活動量 N=269 4% 3% 10% 13% 43% 0%-50% 未満 50%-70% 未満 70%-90% 未満 90%-100% 未満 100%-110% 未満 110% 以上 昨年と比べてどの程度の投資額になると予想していますか? 17% 6% 8% 100 110 90-100 11% 70-90 VC CVC 昨年比投資額 N=133 24% 0-50 33% 50-70 0%-50% 未満 50%-70% 未満 70%-90% 未満 90%-100% 未満 100%-110% 未満 110% 以上 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 9

2000 年 ~2002 年のドットコムバブル崩壊 2007 年 ~2008 年の金融恐慌の直後では グローバルの VC 投資額が前年比で 21.6% から 29.3% 落ち込んだ 景気後退の後 グローバルの VC 投資が元の水準に回復するまでには 一定の期間を要した グローバルにおける景気後退後の VC 投資額の変化 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 比率変化 (%) グローバルにおける VC 投資額の比率変化 ( 前年比率 ) 凡例回復期間 0.0% 3 年 1 年 (-10.0%) (-20.0%) -21.6% -29.3% (-30.0%) 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 出所 :https://startupgenome.com/reports/covid-19-impact-startup-ecosystem よりデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社作成 10

一方で ドットコムバブル崩壊および金融危機の時期に組成されたファンドのパフォーマンス (TVPI,IRR) が過去最高もしくはそれに準じる水準となっている グローバルでのファンドの設立年とパフォーマンス 倍率 ( ) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 ファンド設立 7 年後の TVPI( 設立年毎 ) 2.11 1.64 1.56 1.51 1.47 1.35 1.37 IRR(%) 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% ファンド設立 7 年後の IRR( 設立年毎 ) 29.4% 18.9% 21.2% 13.4% 14.4% 12.2% 9.1% 0.0 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 設立年 0.0% 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 設立年 出所 :https://pitchbook.com/news/reports/q2-2020-pitchbook-analyst-note-buyout-funds-in-times-of-crisis よりデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社作成 11

グローバルで見ると GP の約 30% が投資を増加させる意向 直近でのグローバル VC 調査における GP のスタンス 2019 年と比べた 2020 年の投資ペースの見込み (2019 年比 ) 1~10% 削減 12% 変更なし 24% 10% 超削減 35% GP(VC/PE) へのアンケート調査 10% 超増加 18% 1~10% 増加 10% 変更なし 10% 超増加 1~10% 増加 10% 超削減 1~10% 削減 出所 :https://pitchbook.com/news/articles/investors-are-cautious-on-private-markets-during-shutdowns-pitchbook-survey-shows よりデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社作成 12

投資の増加を見込む CVC は 10% にとどまるが 約 25% の VC が投資を増加させる意向 昨年と比べてどの程度の投資額になると予想していますか? 昨年と比べてどの程度の投資額になると予想していますか? CVC 昨年比投資額 N=97 VC 昨年比投資額 N=36 10% 4% 14% 6% 34% 31% 0%-50% 未満 50%-70% 未満 70%-90% 未満 90%-100% 未満 11% 14% 100 110 90-100 25% 70-90 6% 14% 0-50 31% 50-70 0%-50% 未満 50%-70% 未満 70%-90% 未満 90%-100% 未満 100%-110% 未満 110% 以上 100%-110% 未満 110% 以上 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 13

景気後退局面に素晴らしい事業 企業が育つとも考えられている Google や PayPal は ドットコムバブルの不況の余波を乗り越え成長し Airbnb Square Stripe は世界金融危機の真っ只中に設立された 50 社超のユニコーンが 2007 年 ~2009 年の金融危機に設立された 出所 : https://startupgenome.com/blog/impact-of-covid19-on-global-startup-ecosystems 多くのアマゾンのような素晴らしい会社が厳しい時代を経験して生まれた 厳しい時代は経営を筋肉質にし 少しの資本で多くのことを成し得る体質にする A lot of the best companies like Amazon and many of them have been born through tough times. It makes you costefficient and you achieve a lot with little monies. ( 顧客体験を重視しプロダクトを磨き上げる ) 正しいことをしているプレーヤーが生き残る 顧客体験ではなく 資本でパワープレーを仕掛けてくる会社は苦しむことになるだろう So I think the right players would survive but the players who use capital as a source of comparative measure instead of customer experience they will potentially struggle. 出所 : https://techcrunch.com/2020/04/16/delivery-hero-ceo-shares-what-hes-learned-about-managing-logistics-during-a-pandemic/ 14

イノベーション活動 スタートアップ協業を推進するうえでの最大の課題は 本業への影響 予算の凍結となっている 現状イノベーション活動 スタートアップ協業を推進する上で課題となっている事項には何がありますか? あてはまる事項すべて回答してください 事業会社 イノベーション活動 スタートアップ協業を推進するうえでの課題 N=268 ( 複数回答 ) 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 175 151 149 138 112 76 71 57 28 13 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 15

イノベーション活動に今取り組む意義 注力領域を明確にすることが重要になる サービス業オープンイノベーション組織代表 将来の不況期を予測して準備していたイノベーション活動に取り組む意義の説明資料を活用して COVID-19 の影響発生後すぐに取り組む意義を説明した 結果 活動の制限を最低限に抑えることができた 金融危機の際にも活動を続け VC およびスタートアップ企業への出資を継続した その際の活動のパフォーマンスが高く 結果が出た実績がある 現状では バーチャルイベント 遠隔会議を活用してスタートアップへの発掘 接触を続けている 企業 CVC 代表者 製造業オープンイノベーション組織代表 全社アジェンダに入っている重要案件と 取り組みが具体的になっており経費削減効果 成果が見込める DX( デジタルトランスフォーメーション ) 関連の取り組みなどに絞って イノベーション活動を推進する方針である 16

Respond まとめ 項目 COVID-19 のイノベーション活動への影響と対応 本業の不振 予算削減への対応 取り組み意義の説明 考察 85% の企業が事業へのマイナスの影響を見込んでおり 60% 超の企業が COVID-19 の影響が半年以上続くと考えている 50% 超の企業が昨年と比して 30% 以上イノベーション活動および投資額を減少させる見込みがある 不況期にこそ良質のスタートアップが生まれていること 不況期のファンドパフォーマンスが高いことを示し 今こそオープンイノベーションの絶好の機会であることを経営陣およびマネジメントに説明する必要がある 50% 超の企業が 本業の不振 予算の削減をイノベーション活動を推進する課題として挙げている 経営上の重要アジェンダ 成果の出やすい遠隔化 非接触化などの DX にフォーカスし 厳しい環境下でもイノベーション活動を継続する意義を明確化することが望まれる 出所 :Morning Pitch Channel の入山章栄教授とのセッションおよび各種リサーチ結果をもとにデロイトトーマツベンチャーサポート作成 17

Respond 状況を把握し対応方針を策定 活動を再開する Recover 環境に合わせてイノベーション活動を最適化させる Thrive ビジネスモデルの刷新 新規事業の創造

遠隔 非接触対応のための DX 関連事業での新規事業開発の増加が予測されている 今後どのような領域での新規事業開発が増加すると考えますか? あてはまる事項すべて回答してください 今後新規事業開発が増加する領域 (N=270 大企業担当者へサーベイ実施複数回答可 ) リモートワーク関連 189 遠隔医療 医療 介護全般 176 173 生産性向上 オペレーション自動化 教育 149 149 AR VR MR 医療診断ロボティクス物流 129 127 124 121 デジタルマーケティング メンタルヘルス 103 100 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200( 回答数 ) 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 19

オンラインでの提供顧客への展開隣接地域 存既存既 Recoverにおけるフォーカス領域 比較的短期の時間軸では遠隔 オンライン対応による自社プロセスおよびプロダクトの最適化が有効と考えらえる 今までになかった 顧客 / 市場 市場の創出 プロダクト改革 遠隔提供 新技術導入 20 プロセス改革 AI 適用 RPA 遠隔対応オンライン化 既存製品の改良社会にとって遠隔対応新たな価値の創造 製品サービス 出所 :Deloitte 7Cells を参考に講演者分析

イノベーション活動 スタートアップ協業を推進するうえでの主要な課題は 対面でのコミュニケーションや遠隔への対応が主要な課題となっている 現状イノベーション活動 スタートアップ協業を推進する上で課題となっている事項には何がありますか? あてはまる事項すべて回答してください 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 事業会社 イノベーション活動 スタートアップ協業を推進するうえでの現状の課題 N=268 ( 複数回答 ) 175 151 149 138 112 76 71 57 28 13 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 21

投資活動においては 同様に対面でのスタートアップとの面談の実施 デューデリジェンスの遂行 その他遠隔でのコミュニケーションが大きな課題となっている 現状イノベーション活動 スタートアップ協業を推進する上で課題となっている事項には何がありますか? あてはまる事項すべて回答してください VC CVC 投資活動を推進する上で課題となっている事項 N=116( 複数回答 ) 80 70 73 60 50 40 30 20 10 39 35 32 28 23 7 5 0 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成 22

Recover まとめ 項目 領域のフォーカス COVID-19 で苦しむ事業部への貢献 自社のイノベーションプロセスの最適化 考えられる対応策 COVID-19 環境下では 遠隔対応 非接触対応のデジタル化での新規事業開発に期待が寄せらている COVID-19 の自社への影響を分析し セールスプロセスのデジタル化 プロダクトの遠隔提供 省人化など自社への影響が大きい分野でスタートアップ活用の可能性を検討することが有効であると考えられる COVID-19 の環境下では 事業部が従来より更に既存事業に集中する力学が働くと考えらえる イノベーション活動の推進のためには事業部を従来より強力にサポートすることが必要である 情報の探索に関しては アクセラレーターなどのオンラインイベントを活用する 一度 面談した相手に対してはオンラインでも商談を進める 現状をアフターコロナに向けた実証実験の最適の機会ととらえ 実証実験についてもオンラインの環境 結果を重視し推進することが有効と考えられる 出所 :Morning Pitch Channel の入山章栄教授とのセッションおよび各種リサーチ結果をもとにデロイトトーマツベンチャーサポート作成 23

Respond 状況を把握し対応方針を策定 活動を再開する Recover 環境に合わせてイノベーション活動を最適化させる Thrive ビジネスモデルの刷新 新規事業の創造

COVID-19 の環境下では 顧客ニーズ 実現可能性 実行可能性が大幅に変動 イノベーションのまたとない機会が到来している Testing Innovation Framework (DVF) Desirability ( 顧客に望まれているか ) イノベーションにおける最適領域 Feasibility ( 実現可能か ) ( 組織 技術 経済性 ) Viability ( 実行可能か ) 25

顧客の変化 機会の変化 80% 以上の事業会社が 人の価値観の変化 ワークスタイルの変革 を新規事業の機会として捉えている 新規事業を構想する上で機会ととらえている事項をすべて回答してください 新規事業を構想する上で機会ととらえている領域 (N=270 大企業担当者へサーベイ実施複数回答可 ) 人の価値観の変化 219 ワークスタイルの変化 216 消費行動の変化 178 顧客接点のデジタル化 154 オペレーションのデジタル化 140 移動の変化 120 サプライチェーンの変化 95 0 50 100 50 % 150 200 80 % 250 ( 回答数 ) 26 出所 : デロイトトーマツベンチャーサポートが実施したオープンイノベーションへの影響調査をもとに作成

機会の変化 著名ベンチャーキャピタリストのメアリー ミーカー氏の見解 COVID-19 による社会の変化については まだわかり始めたばかりの段階 過去に ウイルスによって世界が大きく変わったこともあるが 今回は科学とテクノロジーの力で影響が抑えられる可能性もある ベンチャーキャピタリストメアリー ミーカー氏 医療 テクノロジーとヘルスケアが結びつき 遠隔診断 ポイントオブケア 自動化や AI 導入が進む 科学者やその他専門家はより大きな 声 を手にした 世界規模で ドリームチーム により昼夜問わず研究が進んでいる 在宅 DX が加速し 新しいワークライフバランスが確立されつつある 今のところ在宅勤務はうまくいっている 今後の課題としては以下が挙がっている 在宅 : オフィス比率の最適化 文化の維持 トレーニング 人材管理 セキュリティ オフィスエリアの活用方法 オンデマンドエコノミー モビリティや宿泊関連は需要減も 日用品やフードデリバリーは堅調である オンデマンドエコノミーはこのままプレゼンスを保ち 就職口としても存在感を発揮する 今後 今回の問題の解決には 大規模かつ論理的な 政府 ビジネス 起業家の関与が必要 出所 :BOND Capital 27

実現可能性への影響 今回の COVID-19 の影響でデジタル化の流れが急激に加速化し リーチし得る顧客層 顧客数が変化し 取り得るビジネスモデルが変化する可能性がある デジタルシフトのスピード デジタルの浸透度 COVID-19 COVID-19 を織り込んだ未来 COVID-19 が発生しなかった時の未来 時間 28

実行可能性への影響 受入環境 規制への影響 COVID-19 により 規制緩和が進み 新たな環境が生み出される政府 企業によるデータ活用が進み プライバシーの問題にも注目が集まる 歴史学者サピエンス全史著者ユヴァル ノア ハラリ氏 緊急時の時限的ルールは 撤廃されるまで長い時間を要することが多い 通常では起こりえないスピードで各種決定がなされているとともに 完全ではないテクノロジー等も使われることになる 今回の COVID-19 危機が 監視の歴史 における重大な分岐点になるかもしれない 皮膚より上 から 皮膚の下 の監視へと劇的な移行が起きているだけに その懸念は強くなる これまで取得されていた主な個人情報 COVID-19 対策で始まる 皮膚の下 の監視 生体情報 ( 体温 血圧等 ) ニューノーマル に? 経済学者大不平等著者ブランコ ミラノヴィッチ氏 COVID-19 対策は長く残る テロ対策で始まった空港での検査が今もそのままになっている 生き延びるために 政府が大きな力を持つようになる ただし 一度持った力を弱めることは難しい 出所 : 各種ニュース Financial Times 29

COVID-19 の環境下では 顧客ニーズ 実行可能性 実現可能性が大幅に変動 イノベーションのまたとない機会が到来している 赤字 : 大幅な変化が想定される項目 評価基準 Desirability Feasibility Viability 顧客からの魅力度 実現可能性 ( 組織 技術 経済性 ) 実行可能性 検討項目顧客のニーズ市場競争力価格マーケティング / ブランディング顧客基盤パートナー要件オペレーションモデルサプライチェーン機能営業 / 販路テクノロジー / システム顧客の受入環境規制 / 政策 / 法的障壁難易度 ( 投資額の制約 / リソース調達を含む ) 30

今までになかったオンラインでの提供顧客への展開存既存既 Thrive におけるフォーカス領域 時間軸を意識しながら変化する環境の中で対応していくことが重要となる 顧客 / 市場 市場の創出隣接地域 プロダクト改革 遠隔提供 新技術導入 ビジネス刷新 需要の変化を捉えた全く新しいビジネスの創造 31 既存製品の改良社会にとって遠隔対応新たな価値の創造 製品サービス 出所 :Deloitte 7Cells を参考に講演者分析

スタートアップを中心にビジネスのトランスフォーメーションが始まっている ビジネス刷新の例 企業名 Without Corona With Corona 新商品の提供新顧客への展開 Airbnb Uber, Uber Eats 宿泊予約 訪問先の現地での ローカル体験 サービスの提供 ライドヘイリング ToC 向けの宅配サービスを提供 オンラインでの体験サービスを提供開始 ToB 向けの宅配個人宅間の宅配小売りからの宅配を開始 遠隔需要への対応 Miro ClassPass デジタルホワイトボードなど在宅 遠隔でのリアルタイムコラボレーションツール開発 ジムのフィットネスセッションの予約サービス Fortune100 の 80% が顧客になり $50M を追加調達陣容を 1.5 倍に拡大予定 ライブストリーミングトレーニングの提供開始 規制緩和の活用政府との協力 LabCorp Ola がんや糖尿病の在宅での検査キットを開発 モビリティプラットホームライドヘイリングサービス提供 EUA を活用して COVID-19 の在宅テストキットの初 FDA 認可 政府と協力し 市場で 170 万人以上の農業従事者と車両の動きを追跡管理 出所 : 各社 HPなどからデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社作成 32

Thrive まとめ 項目 COVID-19 とイノベーションの関係 Desirability の変化 ( 顧客に望まれるもの ) 考察 COVID-19 により イノベーションに影響を与える各要素 (DVF) に変革が起こっており 今こそがイノベーションの絶好の機会である Post コロナの時代を見据えて ユーザーが求めるものの変化に着目して新規事業を構想することが重要となる 80% 超の企業が COVID-19 による人の価値観 ワークスタイルの変化に 50% 超の企業が DX に事業機会を見出している 人の価値観の変化としては リーダーシップへの信頼 情報利用への認識 孤立主義 地域コミュニティの見直しなどが挙げられる ワークスタイルの変化においては 地理的空間的制約からの解放 多様性の受容などが大きなテーマとなる これらの変化は COVID-19 終息後も一定割合 一定期間継続すると考えられる Feasibility の変化 ( 実現可能性 ) COVID-19 の影響で DX の流れが急激に加速化し リーチし得る顧客層 顧客数が変化し 採算が成り立つビジネスモデルが大幅に変化する可能性がある 例えば 従来と比して顧客獲得コストが激変し 今まで成り立たなかったビジネスが採算性を確保できるようになる可能性がある 出所 :Morning Pitch Channel の入山章栄教授とのセッションおよび各種リサーチ結果をもとにデロイトトーマツベンチャーサポート作成 33

Thrive まとめ 項目 Viability の変化 ( 実行可能性 ) スタートアップおよびオープンイノベーションへの期待 考察 COVID-19 の影響で グローバルでの遠隔ヘルスケアサービス 位置情報とヘルスデータの統合解析 検査キットおよび治療薬の認可 無人配送などの規制が緩和されている データに対する規制 考え方が変化し 信頼できる主体がデータを有効に活用することに対する理解と期待が高まる 政府がデータを扱うパートナーとしてテックジャイアントやスタートアップとの協業を進める動きもある スタートアップは デジタルトランスフォーメーションの進展 規制の緩和といった機会を活用して ビジネスモデルを急速に変革している Uber は デリバリー領域において 個人間の宅配を開始するとともに BtoB 向け 小売り向けに顧客層を拡大している ClassPass は 複数ジムが利用なサブスクリプションからオンラインフィットネスへと移行している ライドヘイリングサービスを展開する Ola は 政府と連携して位置情報 本人確認画像を活用した追跡管理システムを提供し 情報インフラへと発展を遂げている 急速な対応が求められる COVID-19 環境下においては 迅速なピボットが可能なスタートアップとのオープンイノベーションを検討することが重要となる 出所 :Morning Pitch Channelの入山章栄教授とのセッションおよび各種リサーチ結果をもとにデロイトトーマツベンチャーサポート作成 34

COVID-19 による環境変化が激しい中で 時間軸を意識して段階的に対応していくことが重要となる 今 Respond: 対応 With コロナ Recover: 回復 Post コロナ Thrive: 成長 Prepare Manage Continuity Learn and Emerge Stronger Prepare for the Next Normal 時間軸 1 ヶ月 ~3 ヶ月 2 ヶ月 ~9 か月 6 ヶ月 ~18 ヶ月 目標 状況を把握し 対応方針を策定 活動を再開する 環境に合わせて イノベーション活動を 最適化させる ビジネスモデルを刷新 新規事業を創造する 対応 他社活動 動向理解 取り組み意義の説明 活動の再開 短期で成果が見込める領域への集中 プロセスの最適化 新環境でのニーズ洞察 規制変更への着目 グローバルベンチマーク 35

COVID-19 の環境下におけるイノベーション活動について相談窓口を開設するとともに 今後もウェビナー等を通じた情報発信を行います 今回の調査結果を踏まえたご相談と今後の情報発信について 1 COVID-19 下でのイノベーション活動に関する相談窓口の開設 COVID-19 の環境下におけるイノベーション活動に関するご相談については 以下 URL までお問い合わせください DTVS 受付窓口 https://tohmatsu.smartseminar.jp/public/application/add/2039 2 COVID-19 下でのイノベーション活動に関するウェビナーの開催 Morning Pitch Channel での視聴今回のアンケート結果をもとに 4 月 27 日に早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏と議論したセミナーの様子を MP チャンネル (Youtube) にて配信しています 併せてご覧ください https://www.youtube.com/watch?v=nxmadnbfrbs 3 COVID-19 関連テーマの Morning Pitch の開催 ( 検討中 ) 今後も Morning Pitch では COVID-19 関連のテーマを扱っていきます http://morningpitch.com/ 36

編著者 デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社 COO 木村将之 mkimura@deloitte.com 特別協力 早稲田大学ビジネススクール教授入山章栄 執筆協力 デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社熊谷健介デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社松本寛子デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社竹内豪デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社前出忠彦デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社澁谷勇人デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社吉田哲郎 37

デロイトトーマツグループは 日本におけるデロイトアジアパシフィックリミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイトトーマツ合同会社並びにそのグループ法人 ( 有限責任監査法人トーマツ デロイトトーマツコンサルティング合同会社 デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 デロイトトーマツ税理士法人 DT 弁護士法人およびデロイトトーマツコーポレートソリューション合同会社を含む ) の総称です デロイトトーマツグループは 日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり 各法人がそれぞれの適用法令に従い 監査 保証業務 リスクアドバイザリー コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリー 税務 法務等を提供しています また 国内約 30 都市に 1 万名を超える専門家を擁し 多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています 詳細はデロイトトーマツグループ Web サイト ( www.deloitte.com/jp ) をご覧ください Deloitte( デロイト ) とは デロイトトウシュトーマツリミテッド ( DTTL ) そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人のひとつまたは複数を指します DTTL( または Deloitte Global ) ならびに各メンバーファームおよびそれらの関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体です DTTL はクライアントへのサービス提供を行いません 詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください デロイトアジアパシフィックリミテッドは DTTL のメンバーファームであり 保証有限責任会社です デロイトアジアパシフィックリミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は それぞれ法的に独立した別個の組織体であり アジアパシフィックにおける 100 を超える都市 ( オークランド バンコク 北京 ハノイ 香港 ジャカルタ クアラルンプール マニラ メルボルン 大阪 上海 シンガポール シドニー 台北 東京を含む ) にてサービスを提供しています Deloitte( デロイト ) は 監査 保証業務 コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリー リスクアドバイザリー 税務およびこれらに関連するプロフェッショナルサービスの分野で世界最大級の規模を有し 150 を超える国 地域にわたるメンバーファームや関係法人のグローバルネットワーク ( 総称して デロイトネットワーク ) を通じ Fortune Global 500 の 8 割の企業に対してサービスを提供しています Making an impact that matters を自らの使命とするデロイトの約 312,000 名の専門家については (www.deloitte.com) をご覧ください 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり その性質上 特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません また 本資料の作成または発行後に 関連する制度その他の適用の前提となる状況について 変動を生じる可能性もあります 個別の事案に適用するためには 当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき 本資料の記載のみに依拠して意思決定 行動をされることなく 適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited