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177 箇所名 那珂市 -1 都道府県茨城県 市区町村那珂市 地区 瓜連, 鹿島 2/6 発生面積 中 地形分類自然堤防 氾濫平野 液状化発生履歴 なし 土地改変履歴 大正 4 年測量の地形図では 那珂川右岸の支流が直線化された以外は ほぼ現在の地形となっている 被害概要 瓜連では気象庁震度 6 強

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来る条件とした また本工法は がけに近接して施工する場合 掘削及び混合 攪拌から 転圧 締固め施工時 施工に伴うがけへの影響を避けることが難しいので がけに影響を与えず施工出来る場合を条件とした 具体的にはバックホー等の施工機械を がけに近接配置して施工することを避けるとともに 特にがけ近接部分の転

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第 3 章 間知ブロック積み擁壁の標準図 133

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業種地質調査業務 (H29) 改正現行備考 第 1 章地質調査積算基準第 1 章地質調査積算基準 第 1 節地質調査積算基準 第 1 節地質調査積算基準 別表第 1 別表第 1 (1) 諸経費率標準値 (1) 諸経費率標準値 対象額 100 万円以下 100 万円を超え 3000 万円以下 3000

別紙 40 東京都市計画高度地区の変更 都市計画高度地区を次のように変更する 面積欄の ( ) 内は変更前を示す 種類面積建築物の高さの最高限度又は最低限度備考 第 1 種 約 ha 建築物の各部分の高さ ( 地盤面からの高さによる 以下同じ ) は 当該部分から前面道路の反対側の境界線 高度地区

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耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

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和泉市の宅地開発における制度

図 -3.1 試験湛水実績図 平成 28 年度に既設堤体と新設堤体が接合された抱土ゾーンにおいて調査ボーリングを実施し 接合面の調査を行った 図 -2.2に示すように 調査ボーリングのコア観察結果からは 新旧堤体接合面における 材料の分離 は認められなかった また 境界面を含む透水試験結果により得ら

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7-2 材料 (1) 材料一般 1. アンカーの材料は JIS などの公的機関の規格により保証されているものか もしくは所要の品質や性能を有していることを確認したものとする 2. アンカーの材料を組み立てる場合には 各材料は他の材料に悪影響を与えないことを確認したものを使用する 1) 材料に関する一

南栗橋地区の地震被害における道路復旧後の測量に関する説明会 日時 : 平成 24 年 1 月 28 日 ( 土 ) A 地区 午前 10 時から B 地区 午後 2 時から 平成 24 年 1 月 29 日 ( 日 ) C 地区 午前 10 時から D 地区 午後 2 時から 場所 : 栗橋コミュニ

第 4 章軟弱地盤対策 4-1 適用 1. 本要領は 軟弱地盤上に道路を建設する場合に実施する各対策工法の設計に適用する 2. 本章にない事項は 表 4.1 の関係図書によるものとする 表 4.1 関係図書 関係図書発行年月発行 H29.4 道路土工構造物技術基準 同解説 ( 公社 ) 日本道路協会

目 次 頁 1. 軟弱地盤対策検討委員会について 1 2. 当該区間の地形および地質の概要 2 3. 検討箇所 1 について 5 4. 検討箇所 2 について 9 5. 今後 予測以上の沈下が発生する可能性が高い箇所の検討 ( 案 ) 12

スライド 1

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1. 設計手順 ディープウェル工事の設計は 下記に示す手順で実施する 掘削区域内への排水量の検討 ディープウェル仕様の仮定 ( 径 深さ ) ディープウェル 1 本当たりの揚水能力の検討 ディープウェル本数 配置の設定 井戸配置で最も不利な点を所要水位低下させるのに必要な各井戸の合計排水量の検討 -

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ⅱ 調査地点調査地点は 事業実施区域の敷地境界 2 地点とし 調査時において 風上 風下となる地点とした 調査地点を図 7.4-1に示す ⅲ 調査方法調査方法を表 7.4-3に示す 表 悪臭の調査方法 調査項目 悪臭の状況 気象の状況 調査方法 臭気指数 : 三点比較式臭袋法試料採取時の

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参考資料 ( 美祢都市計画区域 ) 目次 1. 区域区分の二次検討 25 23

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3. 市街化調整区域における土地利用の調整に関し必要な事項 区域毎の面積 ( 単位 : m2 ) 区域名 市街化区域 市街化調整区域 合計 ( 別紙 ) 用途区分別面積は 市町村の農業振興地域整備計画で定められている用途区分別の面積を記入すること 土地利用調整区域毎に市街化区域と市街化調整区域それぞ


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西松建設技報

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( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6

茨木市では 緑あふれる魅力あるまちづくりを進めるため 民有地での緑化について その費用の一部を補助しています 生垣を設置 壁面を緑化 道路に面して新たに生垣を設置する 道路にはみ出している生垣を改良する [ 生垣緑化 ] 道路 壁面 擁壁 フェンス 市街化区域で 道路から眺望できる建築物や擁壁の壁面

5. 被害の概要札幌市東区東 15 丁目 ( 屯田通り ) では約 3.0km にわたって道路陥没が発生し, 交通障害が生じた. 加えて, 札幌市北区の西 4 丁目北 34 条 ~37 条においても道路陥没が発生した. 札幌市清田区里塚 1 条では宅地造成地盤の液状化が生じ, 道路や家屋に著しい沈下

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つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

現期間偶発作 としての津波 一般部門 ( 安全 安心 )Ⅱ:No.20 日高港 岸壁 (-7.5m)( 耐震 ) 上部工の嵩上げ 整備上部工天端高既存上部工天端高 設計津波水位見込 津波越流 腹付の実施によるマウンドの洗堀防止 ( 基礎工の嵩上げや拡幅による本体部分の滑落防止被覆ブロック設置 ( 重

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予定建築物等以外の建築等の制限 法 42 条 立地基準編第 5 章 (P127~P131) 法第 42 条で規定されている 予定建築物等以外の建築等の制限 については 次のとおりとする 1 趣旨開発許可処分は 将来その開発区域に建築又は建設される建築物又は特定工作物がそれぞれの許可基準に適合する場合

6 章擁壁工 6.1 プレキャスト擁壁工 6.2 補強土壁工 ( テールアルメ工 多数アンカー工 ) 6.3 ジオテキスタイル工 6.4 場所打擁壁工 場所打擁壁 (1) 場所打擁壁 (2) 1-6-1

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津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

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8.6. 地盤沈下 ( 軟弱地盤上の盛土等 )

8.6. 地盤沈下 ( 軟弱地盤上の盛土等 ) 8.6.1. 現況調査 (1) 調査内容地盤沈下の現況調査は 表 8.6-1 に示すとおり 地形 地質の状況 及び 地盤沈下の状況 を把握した 表 8.6-1 調査内容 ( 地盤沈下 ) 調査内容地盤沈下 ( 軟弱地盤の盛土等 ) 地形 地質の状況 軟弱地盤の分布 土の工学的特性地盤沈下の状況 地盤沈下の範囲 沈下量 (2) 調査方法調査方法は 表 8.6-2 に示すとおりとした 表 8.6-2 調査方法 ( 地盤沈下 ) 調査項目 地形 地質の状況 軟弱地盤の分布 土の工学的特性 地盤沈下の状況 地盤沈下の範囲 沈下量 調査方法 地質調査 ( ボーリング調査 ) により把握するものとした 土質試験により把握するものとした 既存文献資料により 地盤沈下の範囲 沈下量について把握するものとした ボーリング調査結果は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) に掲載している (3) 調査地域及び調査地点地形 地質の調査地点 ( ボーリング調査地点 ) は 既存資料を参考に調査地域の地形や地質区分を確認できるよう配慮して選定した ボーリング調査地点は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) の図 8.5-5 に示すとおりである (4) 調査期間等ボーリング調査は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) の表 8.5-5 に示す時期に実施した (5) 調査結果ア既存資料調査 ( ア ) 地盤沈下の状況仙台平野地域の昭和 49 年から平成 18 年の累積地盤変動量は 図 8.6-1 に示すとおりである 事業予定地付近の昭和 49 年から平成 18 年の地盤沈下量は 6cm 程度となっている 8-6- 1

事業予定地 出典 : 仙台市の環境 ( 平成 23 年 2 月仙台市環境局 ) 図 8.6-1 仙台平野地域水準測量累積地盤変動量及び地盤沈下観測井 8-6- 2

イ現地調査 ( ア ) 地形 地質の状況 1 ボーリング調査結果を踏まえた軟弱地盤の分布状況本事業では 事業予定地内の 7 地点においてボーリング調査を実施している 調査結果は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) の表 8.5-6 に 事業予定地内の推定断面図は同様に図 8.5-4(1)~(5) 示すとおりである 2 土の工学的特性 ( 土質試験結果 ) (a) 粘性土の土質試験結果事業予定地の粘性土の土質試験結果は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) の表 8.5-10 に示すとおりである (b) 砂質土の土質試験結果事業予定地の砂質土の土質試験結果は 8.5 地形 地質 ( 現況地形 土地の安定性 ) の表 8.5-11 に示すとおりである 8-6- 3

8.6.2. 予測 (1) 工事による影響 ( 切土 盛土 掘削等 ) ア予測内容事業予定地及びその隣接地における地盤沈下の範囲及び沈下量について予測するものとし 以下の 2 点について解析を行った 解析内容 1 計画盛土厚に対する沈下量の検討 2 最終沈下量が計画盛土高で終息する盛土厚 ( 余盛り量 ) の検討 イ予測地域及び予測地点予測地域は 事業予定地とその隣接地とし 軟弱地盤対策工法の選定後に影響範囲を踏まえ確定することとした 予測地点は 予測地域と同様とした ウ予測時期予測時期は 工事の影響が最大となる時期とした エ予測方法予測方法は 圧密理論式を基本とした理論的解析によるものとした 沈下量及び沈下時間については 道路土工 - 軟弱地盤対策工指針 ( 昭和 61 年 11 月 日本道路協会 ) に示される次式に基づき予測を行った 1 沈下量 e0 e1 S = H 予測式 1 1+ e0 ここに S : 沈下量 (cm) e 0 : 圧密層の初期間隙比 e 1 : 圧密層の圧密後間隙比 H : 圧密層の層厚 (cm) 砂質土の間隙比は 道路土工 - 軟弱地盤対策工指針 ( 日本道路協会 ) による砂の圧力 - 間隙比曲線を用いた 8-6- 4

2 沈下時間 Sc = S U d t = 2 Tv 予測式 2 Cv ここに S c : 圧密度 U における沈下量 (cm) t : 任意の圧密度 U に達するのに要する時間 (day) S : 圧密層厚として換算した層の合計沈下量 (cm) U : 圧密度 (%) Tv : 時間係数 Cv : 圧密係数 (cm 2 /day) D : 最大排水距離 (cm) 両面排水の場合 d =H /2 片面排水の場合 d =H ( 本検討採用条件 ) H : 換算深さ (cm) 表 8.6-3 圧密度 U- 時間係数 Tv の関係 U(%) 10 20 30 40 50 60 70 80 90 Tv 0.008 0.031 0.071 0.126 0.196 0.287 0.403 0.567 0.848 8-6- 5

オ予測結果 ( ア ) 計画盛土厚による沈下量計画盛土厚による沈下量の検討は 図 8.6-2 に示す検討断面で実施した 予測式 1を用いて算出した計画盛土高における沈下予測結果は 表 8.6-4 に示すとおりである 検討地点としている事業予定地内の全ての地点で総沈下量 20cm 内外 ( うち圧密沈下量 3~16cm 程度 ) が発生するものと予測する この沈下量により 計画盛土厚で施工した場合には 沈下終息後の盛土天端高が計画高より最大 23cm 低くなるため 以降において計画盛土高で沈下が終息する盛土厚の検討を行った 検討地点 基礎地盤の地質 盛土基面高 H 表 8.6-4 計画盛土厚による沈下予測結果 盛土条件 (m) 盛土天端高 H 計画盛土厚 D 即時沈下量 検討結果 (m) 圧密沈下量 総沈下量 沈下後の盛土天端高 (m) B-1 有機質土 3.88 4.90 1.02 0.05 0.06 0.11 4.79 B-2 粘性土 2.77 4.60 1.83 0.07 0.13 0.20 4.40 B-3 粘性土 2.65 4.40 1.75 0.07 0.15 0.22 4.18 B-4 粘性土 2.40 4.10 1.70 0.07 0.16 0.23 3.87 B-5 有機質土 2.42 3.70 1.28 0.05 0.10 0.15 3.55 B-6 有機質土 2.30 3.60 1.30 0.08 0.03 0.11 3.49 B-7 有機質土 2.24 3.30 1.06 0.05 0.07 0.12 3.18 注 ) 盛土基面高は 東北地方太平洋沖地震による復興支援 ( 圃場整備 ) の一環として表土を提供する事としている そのため 表土のすきとり分を考慮し 現況地盤から 30cm 分を除外した S=1:2,000 検討断面 1 B-1(H=4.58m) Dep=21.42m 検討断面 2 B-2(H=3.07m) Dep=13.45m B-3(H=2.95m) Dep=11.45m B-4(H=2.70m) Dep=19.28m 検討断面 3 B-5(H=2.72m) Dep=21.35m B-6(H=2.60m) Dep=11.45m B-7(H=2.54m) Dep=19.42m 図 8.6-2 検討位置 8-6- 6

図 8.6-3(1) 検討断面 1 図 8.6-3(1) 検討断面 1 8-6- 7

図 8.6-3(2) 検討断面 2 図 8.6-3(2) 検討断面 2 8-6- 8

図 8.6-3(3) 検討断面 3 図 8.6-3(3) 検討断面 3 8-6- 9

( イ ) 最終沈下量が計画盛土高で終息する盛土厚 ( 余盛り量 ) 計画盛土厚で発生する沈下量により 沈下終息後の盛土天端が計画ラインより最大 23cm 程度低くなる検討結果が得られたため 沈下量を考慮した施工盛土厚の予測を行った 検討位置としては 水田の検討地点がすべて網羅される検討断面 2 及び検討断面 3をモデル地盤として 次の地点とした 検討断面 2:B-2 地点 B-3 地点 B-4 地点検討断面 3:B-5 地点 B-6 地点 B-7 地点予測式 1を用いて算出した沈下予測結果は 表 8.6-5 に示すとおりである 基礎地盤の地質が粘性土である検討断面 2では 表 8.6-4に示したとおり 計画盛土厚 (1.70~1.83m) に対する最終沈下量が 20~23cm 程度であったため 沈下後の盛土天端高は 3.87~4.40mと予測していた そのため 表 8.6-5 に示すとおり 盛土厚を 22~26cm 増やすことで 沈下後の計画盛土高は約 4.10~4.60m で終息するものと予測する 基礎地盤の地質が有機質土である検討断面 3では 表 8.6-4 に示したとおり 計画盛土厚 (1.06~1.30m) に対する最終沈下量が 11~15cm 程度であったため 沈下後の盛土天端高は 3.18~3.55mと予測していた そのため 盛土厚を 12~ 17cm 増やすことで 沈下後の計画盛土高は約 3.30~3.70mで終息するものと予測する 検討地点 基礎地盤の地質 表 8.6-5 余盛り量を踏まえた沈下予測結果 盛土基面高 H(m) 盛土条件 盛土天端高 1 H(m) 盛土厚 D(m) 最終沈下量 S(m) 沈下後の盛土天端高 H(m) 圧密度 90% 到達日数 ( 日 ) B-2 粘性土 2.77 1 4.82 2.05 0.22 4.60 36 2 B-3 粘性土 2.65 1 4.64 1.99 0.24 4.40 65 2 B-4 粘性土 2.40 1 4.36 1.96 0.26 4.10 77 2 B-5 有機質土 2.42 1 3.87 1.45 0.17 3.70 18 2 B-6 有機質土 2.30 1 3.72 1.42 0.12 3.60 0 2 B-7 有機質土 2.24 1 3.44 1.20 0.14 3.30 10 2 1: 盛土基面高は 東北地方太平洋沖地震による復興支援 ( 圃場整備 ) の一環として表土を提供する事としている そのため 表土のすきとり分を考慮し 現況地盤から 30cm 分を除外した 2: 盛土速度 30cm/day とした場合の 盛立て完了後からの経過日数を示す 8-6- 10

(2) 存在による影響 ( 改変後の地形 工作物等の出現 ) ア予測内容本事業では 基盤整備後 戸建て住宅や集合住宅 低層の業務 商業施設を誘致する計画としており 余盛り量を踏まえた基盤整備だけでは不充分と考え 供用開始後の建築物や構造物の加重等の沈下量を事前に促進させておくためのプレロード工法を前提とした施工盛土厚を予測した イ予測地域及び予測地点予測地域は 工事による影響 ( 切土 盛土 掘削等 ) と同様とした ウ予測時期予測時期は 工事による影響 ( 切土 盛土 掘削等 ) と同様とした エ予測方法予測方法は 工事による影響 ( 切土 盛土 掘削等 ) と同様とした オ予測結果供用開始後の建築物等の荷重を踏まえた沈下量は 表 8.6-6 に示すとおりである なお プレロード盛土の厚さは 表 8.6-7 に示す一般的な木造 鉄骨造住宅の荷重を参考に 盛土 1m 程度 (19 kn/ m3 厚さ 1m=19 kn/ m2 ) とした 表 8.6-6 プレロード盛土量を踏まえた沈下予測結果 検討地点 基礎地盤の地質 盛土基面高 H(m) 盛土天端高 1 H(m) 盛土条件 盛土天端高 2 H(m) 盛土厚 D(m) 最終沈下量 S(m) 沈下後の盛土天端高 H(m) 圧密度 90% 到達日数 ( 日 ) B-2 粘性土 2.77 1 4.82 5.82 3.05 0.30 5.52 40 2 B-3 粘性土 2.65 1 4.64 5.64 2.99 0.34 5.30 73 2 B-4 粘性土 2.40 1 4.36 5.36 2.96 0.37 4.99 87 2 B-5 有機質土 2.42 1 3.87 4.87 2.45 0.31 4.56 22 2 B-6 有機質土 2.30 1 3.72 4.72 2.42 0.20 4.52 0 2 B-7 有機質土 2.24 1 3.44 4.44 2.20 0.27 4.17 13 2 1: 盛土基面高は 東北地方太平洋沖地震による復興支援 ( 圃場整備 ) の一環として表土を提供する事としている そのため 表土のすきとり分を考慮し 現況地盤から 30cm 分を除外した 2: 盛土速度 30cm/day とした場合の 盛立て完了後からの経過日数を示す 表 8.6-7 建物の荷重 階数 荷重 (kn/ m2 ) 1 階建て 7( 5~ 9) 2 階建て 10( 8~12) 3 階建て 14(12~16) 出典 : 小規模建築物基礎設計指針 (2008 年 日本建築学会 ) 8-6- 11

本事業はプレロード工法の採用により 圧密沈下の残留沈下量は 2cm~4cmとなる これは 表 8.6-8 に示す木造布基礎の許容沈下量の標準値 2.5 cm~ 最大値 4.0 cm以内にあり 基盤整備後の建築物等の施工に伴う即時沈下の影響は小さいものと予測する 表 8.6-8 許容沈下量の参考値 沈下の種類 即時沈下 圧密沈下 基礎形式 布基礎 べた基礎 布基礎 べた基礎 標準値 2.5 cm 3~(4) cm 10 cm 10~(15) cm 最大値 4.0 cm 6~(8) cm 20 cm 20~(30) cm 出典 : 小規模建築物基礎設計指針 ( 日本建築学会 ) 8-6- 12

8.6.3. 環境の保全及び創造のための措置 (1) 工事による影響本事業はプレロード工法の採用により 圧密沈下の残留沈下量は 2cm~4 cmとなると予測した また 本事業の実施にあたっては 周辺地域における住宅その他の建物等への地盤沈下の影響に対してさらに 以下の環境保全措置を講ずることとする 工事期間中 事業予定地内の地盤高を測量し その変動を把握しながら工事を進める (2) 存在による影響 ( 改変後の地形 工作物の出現 ) 本事業はプレロード工法の採用により 圧密沈下の残留沈下量は 木造布基礎の許容沈下量の標準値 2.5 cm~ 最大値 4.0 cm以内にあり 基盤整備後の建築物等の施工に伴う即時沈下の影響は小さいものと予測した また 本事業の実施にあたっては 計画地内に建設される住宅その他の建物等への地盤沈下の影響に対してさらに 以下の環境保全措置を講ずることとする 建築着工前にサウンディング試験(2 宅地に 1 箇所程度 ) などにより 建築基礎地盤の強度の確認を行う 環境保全措置 実施期間 実施位置 効果及び変化 実行可能性 副次的な影響 表 8.6-9 環境の保全のための措置の検討結果整理 工事中 地盤高測量による変動の把握 事業予定地内 建築着工前の基礎地盤強度の確認 効果を定量的に把握できないが 実行可能な範囲で影響を低減できる 可能 なし 8-6- 13

8.6.4. 評価 (1) 工事による影響 ( 切土 盛土 掘削等 ) ア回避低減に係る評価 ( ア ) 評価方法調査及び予測の結果並びに保全対策を踏まえ 周辺地域における住宅その他の建物等への地盤沈下の影響が 事業者の実行可能な範囲で回避され または 低減されているものであるか否かを評価した ( イ ) 評価結果本事業はプレロード工法の採用により 圧密沈下の残留沈下量は 2cm~4 cmとなると予測した また 本事業では 工事期間中 事業予定地内の地盤高を測量し その変動を把握しながら工事を進めるなどの環境の保全のための措置を講ずることとしていることから 工事中の盛土に伴う地盤沈下の影響は 実行可能な範囲内で 最大限の回避 低減が図られていると評価する イ基準や目標との整合性に係る評価 ( ア ) 評価方法予測結果が以下に示す基準又は目標との整合が図られているかを評価する 周辺地域に対する地盤沈下の影響を未然に防止すること ( イ ) 評価結果本事業では 工事中に実施するプレロード工法により 圧密沈下をあらかじめ促進させていることから 周辺地域に対する地盤沈下の影響を未然に防止することと整合が図られていると評価する 8-6- 14

(2) 存在による影響 ( 改変後の地形 工作物等の出現 ) ア回避低減に係る評価 ( ア ) 評価方法調査及び予測の結果並びに保全対策を踏まえ 周辺地域における住宅その他の建物等への地盤沈下の影響が 事業者の実行可能な範囲で回避され または 低減されているものであるか否かを評価した ( イ ) 評価結果本事業はプレロード工法の採用により 圧密沈下の残留沈下量は 木造布基礎の許容沈下量の標準値 2.5 cm~ 最大値 4.0 cm以内にあり 基盤整備後の建築物等の施工に伴う即時沈下の影響は小さいものと予測した 本事業地では 建築着工前にサウンディング試験 (2 宅地に 1 箇所程度 ) などにより 建築基礎地盤の強度の確認を行うなどの環境の保全のための措置を講ずることとしていることから 改変後の地形や 工作物等の出現による盛土地盤の地盤沈下の影響は 実行可能な範囲内で 最大限の回避 低減が図られていると評価する イ基準や目標との整合性に係る評価 ( ア ) 評価方法予測結果が以下に示す基準又は目標との整合が図られているかを評価する 事業予定地内の地盤沈下の影響を未然に防止すること ( イ ) 評価結果本事業では 工事中に実施するプレロード工法により 圧密沈下をあらかじめ促進させていることから 地盤沈下の影響を未然に防止することと整合が図られていると評価する (3) 東日本大震災からの復旧に係る評価ア評価方法復旧は長期にわたるため その詳細な内容 進捗等については未知数である そのため 予測評価を行う時点で 明確になっている事項や確実に想定できる事項については 必要に応じて予測条件に盛り込み 定性的に予測 評価した イ評価結果事業予定地北側一帯の既成市街地では 震災により一部地盤沈下などによる交通 電気 ガス 水道などのライフラインの寸断等の影響を受けたが 大規模な現況地盤の崩落 陥没などは見られなかった 事業予定地においても 市道の陥没 農業用排水路の部分的な崩落等が局所的に見られたものの 現況地盤に極端な変化はなかった 現況調査で実施したボーリング調査は 震災前後で実施しているが 地質についてもその前後で極端な変化は認められていない 8-6- 15

本事業では 基盤形成にあたり 地震等による地形地質の変化が生じないよう 十分な施工計画を検討 実施していくことから 事業予定地の基盤は 整備後の地形を維持できるものと評価する なお 現時点では盛土材の調達先が未定である このため 震災復旧による堰堤の嵩上げ等で良質な盛土材の調達が困難な場合 調達できる盛土材の性状を踏まえ 地盤の安定を図ることができるよう必要な対策を講ずるものとする 8-6- 16