Ⅱ 我 が 国 の 安 全 保 障 に 資 する 場 合 i) 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 3 ( 要 件 はi)と 同 じ) ⅱ) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 4 物 品 役 務 相 互 提 供 協 定 (ACSA)

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スライド 1

Transcription:

1 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 判 断 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 策 定 後 二 年 間 の 中 間 報 告 慶 應 義 塾 大 学 法 学 部 非 常 勤 講 師 /CISTEC 輸 出 管 理 アドバイザー 森 本 正 崇 1 はじめに 2014 年 4 月 1 日 に 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 ( 以 下 三 原 則 という )が 策 定 されて 以 来 まもなく 二 年 になる 1 本 稿 では 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 策 定 後 二 年 間 の 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 判 断 状 況 をまとめてみ たい 2 防 衛 装 備 移 転 の 判 断 プロセス はじめに 防 衛 装 備 移 転 の 判 断 プロセスを 振 り 返 っておく 外 国 為 替 及 び 外 国 貿 易 法 ( 以 下 外 為 法 という )では 国 際 的 な 平 和 及 び 安 全 の 維 持 を 妨 げることとなると 認 められる 貨 物 や 技 術 の 国 外 移 転 を 許 可 対 象 としている 許 可 対 象 となる 貨 物 は 外 為 法 第 48 条 第 1 項 を 受 けて 輸 出 貿 易 管 理 令 別 表 第 1に 列 挙 されており 別 表 第 1では1から 16まで 分 野 ごとに 貨 物 が 列 挙 されている このう ち 最 初 の1の 項 に 列 挙 されている 貨 物 が 許 可 対 象 の 武 器 である 2 同 様 に 許 可 対 象 の 技 術 は 外 為 法 第 25 条 第 1 項 を 受 けて 外 国 為 替 令 別 表 に 列 挙 さ れており 別 表 の1の 項 が 許 可 対 象 の 武 器 技 術 とな る このうち 三 原 則 の 対 象 となる 防 衛 装 備 と は 1の 項 の 武 器 のうち 軍 隊 が 使 用 するもので あって 直 接 戦 闘 の 用 に 供 される 武 器 ( 三 原 則 対 象 の 武 器 ) および 三 原 則 対 象 の 武 器 の 設 計 製 造 又 は 使 用 に 係 る 技 術 をいう 3 三 原 則 は 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 基 準 である 具 体 的 には 外 為 法 に 基 づき 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 に 当 たり 許 可 申 請 があった 際 の 許 可 基 準 として 用 いら れることになる 三 原 則 と 同 時 に 策 定 された 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 ( 以 下 運 用 指 針 とい う )では 三 原 則 は 外 為 法 の 運 用 基 準 である と 明 示 されている 4 三 原 則 においては 移 転 を 認 め 得 る 場 合 が 限 定 列 挙 されており 運 用 指 針 と 合 わせて ( 参 考 1)の ように 1~14まで14 類 型 が 定 められている ( 参 考 1)のいずれかに 該 当 しない 移 転 は 認 められない ( 許 可 されない) 運 用 指 針 では さらに 要 件 が 限 定 されており I 5 ( 参 考 1) 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 三 原 則 運 用 指 針 I 平 和 貢 献 国 際 協 力 の 積 極 的 な 推 進 1 移 転 先 が 外 国 政 府 2 移 転 先 が 国 際 連 合 若 しくはその 関 連 機 関 又 は 国 連 決 議 に 基 づいて 活 動 を 行 う 機 関 1 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 ( 平 成 26 年 4 月 1 日 閣 議 決 定 )(http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2014/ icsfiles/afieldfi le/2014/04/01/20140401-1.pdf) 2 2 ~ 16の 項 は 武 器 に 転 用 可 能 な 民 生 品 (デュアルユース 品 )が 規 定 されている 3 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 3 頁 4 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 ( 平 成 26 年 4 月 1 日 国 家 安 全 保 障 会 議 決 定 )(http://www.kantei.go.jp/jp/ kakugikettei/2014/ icsfiles/afieldfile/2014/04/01/20140401-2.pdf) 5 森 本 正 崇 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 について CISTECジャーナルNo.151(2014)3 頁 21

Ⅱ 我 が 国 の 安 全 保 障 に 資 する 場 合 i) 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 3 ( 要 件 はi)と 同 じ) ⅱ) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 4 物 品 役 務 相 互 提 供 協 定 (ACSA) 6 に 基 づく 物 品 又 は 役 務 の 提 供 5 米 国 との 相 互 技 術 交 流 の 一 環 6 米 国 からのライセンス 生 産 品 に 係 る 部 品 や 役 務 の 提 供 米 軍 への 修 理 等 の 役 務 提 供 7 我 が 国 との 間 で 安 全 保 障 面 での 協 力 関 係 がある 国 に 対 する 救 難 輸 送 警 戒 監 視 及 び 掃 海 に 係 る 協 力 iii) 自 衛 隊 等 の 活 動 及 び 邦 人 の 安 全 確 保 自 衛 隊 を 含 む 政 府 機 関 ( 以 下 自 衛 隊 等 という )の 活 動 又 は 邦 人 の 安 全 確 保 9 公 人 警 護 又 は 公 人 の 自 己 保 存 のための 装 備 品 の 輸 出 10 危 険 地 域 で 活 動 する 邦 人 の 自 己 保 存 のための 装 備 品 の 輸 出 等 Ⅲ 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 観 点 から 影 響 が 極 めて 小 さいと 判 断 される 場 合 11 誤 送 品 の 返 送 12 返 送 を 前 提 とする 見 本 品 の 輸 出 13 海 外 政 府 機 関 の 警 察 官 により 持 ちこまれた 装 備 品 の 再 輸 出 14 等 ( 出 典 ) 筆 者 作 成 の 場 合 は 平 和 貢 献 国 際 協 力 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 がある 場 合 Ⅱの 場 合 は 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 がある 場 合 に 限 り 移 転 を 認 め 得 るとしている 7 また Ⅲの 事 例 は 運 用 指 針 上 誤 送 品 の 返 送 等 となっており 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 影 響 が 極 めて 小 さいと 判 断 さ れる 事 例 は 列 挙 されている 事 例 に 限 られない(14 参 照 ) 8 その 上 で 移 転 を 認 め 得 る 案 件 に 該 当 するもの は 仕 向 先 及 び 最 終 需 要 者 の 適 切 性 当 該 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 が 我 が 国 の 安 全 保 障 上 及 ぼす 懸 念 の 程 度 を 複 合 的 に 考 慮 して 移 転 の 可 否 を 厳 格 に 審 査 する こととなっている 9 最 後 に 三 原 則 や 運 用 指 針 では 防 衛 装 備 の 移 転 仕 向 先 の 適 切 性 三 原 則 最 終 需 要 者 の 適 切 性 ( 参 考 2) 個 別 案 件 の 審 査 要 素 運 用 指 針 仕 向 国 地 域 が 国 際 的 な 平 和 及 び 安 全 並 びに 我 が 国 の 安 全 保 障 にどのような 影 響 を 与 えているか 等 最 終 需 要 者 による 防 衛 装 備 の 使 用 状 況 及 び 適 正 管 理 の 確 実 性 等 我 が 国 の 安 全 保 障 上 及 ぼす 懸 念 の 程 度 移 転 される 防 衛 装 備 の 性 質 技 術 的 機 微 性 用 途 ( 目 的 ) 数 量 形 態 ( 完 成 品 又 は 部 品 か 貨 物 又 は 技 術 かを 含 む ) 並 びに 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 可 能 性 等 ( 出 典 ) 運 用 指 針 より 筆 者 作 成 6 自 衛 隊 と 相 手 国 軍 との 間 で 一 方 が 物 品 や 役 務 の 提 供 を 要 請 した 場 合 には 他 方 が 提 供 できるようにした 協 定 で 現 在 日 本 は 米 国 及 びオーストラリアと 締 結 している 防 衛 白 書 平 成 25 年 版 140 233 頁 ( 日 経 出 版 2013) 7 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 1 頁 8 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 2 頁 9 同 上 22 CISTEC Journal 2016.3 No.162

に 当 たり 原 則 として 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 に ついて 我 が 国 の 事 前 同 意 を 相 手 国 政 府 に 義 務 付 ける こととしている ただし ( 参 考 3)に 掲 げる 事 例 の 場 合 には 仕 向 先 の 管 理 体 制 の 確 認 をもって 適 正 な 管 理 を 確 保 することも 可 能 となっている ( 参 考 3) 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 義 務 付 けないことが 可 能 な 事 例 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 事 前 同 意 を 義 務 付 けないことが 可 能 な 事 例 I 平 和 貢 献 国 際 協 力 の 積 極 的 な 推 進 a 緊 急 性 人 道 性 が 高 い 場 合 b 移 転 先 が 国 際 連 合 若 しくはその 関 連 機 関 又 は 国 連 決 議 に 基 づいて 活 動 を 行 う 機 関 c 国 際 入 札 の 参 加 に 必 要 となる 技 術 情 報 又 は 試 験 品 の 提 供 を 行 う 場 合 d 金 額 が 少 額 かつ 数 が 少 量 で 安 全 保 障 上 の 懸 念 が 小 さい と 考 えられる 場 合 Ⅱ 我 が 国 の 安 全 保 障 に 資 する 場 合 e 部 品 等 を 融 通 し 合 う 国 際 的 なシステムに 参 加 する 場 合 i) 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 f 部 品 等 をライセンス 元 に 納 入 する 場 合 ⅱ) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 g 我 が 国 から 移 転 する 部 品 及 び 技 術 の 相 手 国 への 貢 献 が 相 当 程 度 小 さいと 判 断 できる 場 合 ⅲ) 自 衛 隊 の 活 動 及 び 邦 人 の 安 全 確 保 h 自 衛 隊 等 の 活 動 又 は 邦 人 の 安 全 確 保 に 必 要 な 海 外 移 転 で ある 場 合 Ⅲ 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 観 点 から 影 響 が 極 めて 小 さいと 判 i 誤 送 品 の 返 送 断 される 場 合 j 返 送 を 前 提 とする 見 本 品 の 輸 出 k 貨 物 の 仮 陸 揚 げ l 等 ( 出 典 ) 筆 者 作 成 3 これまでの 国 家 安 全 保 障 会 議 の 判 断 2014 年 4 月 の 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 策 定 から 本 稿 執 筆 (2016 年 2 月 末 )までの 間 に 国 家 安 全 保 障 会 議 (NSC)で 審 議 された 案 件 の 概 要 を 時 系 列 で 以 下 にまとめる 公 表 された 案 件 は 全 て 移 転 を 認 め 得 ると 判 断 された 案 件 であり これらの 案 件 以 外 に 審 議 中 の 案 件 や 移 転 を 認 めなかった 案 件 がある かどうかについては 不 明 である 2で 確 認 したように 防 衛 装 備 移 転 を 認 めるため には まず 移 転 を 認 め 得 る 案 件 であることを 確 認 し ( 参 考 1) 次 いで 個 別 案 件 の 考 慮 要 素 を 判 断 する ( 参 考 2) さらに 第 三 国 移 転 の 事 前 承 認 の 有 無 を 判 断 することになる( 参 考 3) 各 案 件 において これらの 要 素 がどのように 判 断 されたのかにつき 検 討 したい 案 件 A ペトリオットPAC-2の 部 品 (シーカージャ イロ)の 米 国 への 移 転 (2014 年 7 月 ) 10 本 件 で 検 討 されたジャイロは 既 に 米 国 における 生 産 が 終 了 しており 生 産 ラインが 存 在 しない そ の 上 で NSCは 米 国 によるペトリオットPAC-2 の 生 産 維 持 に 寄 与 するものとして 米 国 政 府 から 我 が 国 に 関 心 が 表 明 されていることから 米 国 との 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 するものであり 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 を 有 する と 判 断 した 続 けて 本 件 海 外 移 転 に 際 し 我 が 国 企 業 が 部 品 を 生 産 することになることから 我 が 国 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 の 確 保 に 資 するものである とも 言 う 個 別 案 件 の 審 査 については NSCは 仕 向 地 は 米 国 であり 最 終 需 要 者 は 米 国 のライセンス 元 で あることから 適 正 管 理 の 確 実 性 は 高 い としてい る 同 時 に 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 が 不 要 な 場 合 にも 該 当 する そのため 最 終 需 要 者 である 米 国 企 業 10 内 閣 官 房 外 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 ペトリオットPAC- 2の 部 品 (シーカージャイロ)の 米 国 への 移 転 について ( 平 成 26 年 7 月 17 日 ) 23

からジャイロの 管 理 体 制 を 確 認 する こととし さ らに ジャイロが 組 み 込 まれたペトリオットPAC- 2は 米 国 以 外 の 第 三 国 に 移 転 されることが 想 定 され ていることから これを 一 元 的 に 管 理 する 米 国 国 防 省 からPAC-2ユーザー 以 外 への 移 転 が 厳 しく 制 限 されること 等 その 管 理 体 制 についても 確 認 する と し それによって 適 正 管 理 が 確 保 されるとしてい る 以 上 をまとめると 本 件 については 以 下 のように なる 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 か 個 別 案 件 の 審 査 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 の 義 務 付 け 案 件 Aの 判 断 Ⅱ ⅱ) 6 米 国 からのライセンス 生 産 品 に 係 る 部 品 の 提 供 (ただし NSC 発 表 本 文 で 明 示 されてはいない) 安 全 保 障 上 の 積 極 的 な 意 義 米 国 との 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 する 我 が 国 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 確 保 に 資 する (ただし 積 極 的 な 意 義 として 明 示 されてはいない) 仕 向 地 は 米 国 最 終 需 要 者 は 米 国 のライセンス 元 ジャイロはPAC-2の 一 部 品 であることや 米 国 からの 要 求 仕 様 が 明 示 されているラ イセンス 生 産 品 であること 等 を 考 慮 すれば 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はない 事 前 同 意 不 要 Ⅱ ⅱ) f 部 品 等 をライセンス 元 に 納 入 する 場 合 最 終 需 要 者 である 米 国 企 業 のジャイロの 管 理 体 制 を 確 認 する 米 国 国 防 省 からPAC-2ユーザー 以 外 への 移 転 が 厳 しく 制 限 されること 等 その 管 理 体 制 についても 確 認 する 案 件 B 英 国 との 共 同 研 究 のためのシーカーに 関 す の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 を 有 する と 判 断 した る 技 術 情 報 の 移 転 (2014 年 7 月 ) 11 本 件 は 日 英 間 で 事 業 開 始 に 向 けて 調 整 中 のミサ イルの 誘 導 性 能 向 上 に 関 する 共 同 研 究 に 関 して 我 が 国 から 英 国 にシーカーに 関 する 技 術 情 報 を 移 転 す るものである NSCは 日 英 間 の 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 するほか 将 来 の 自 衛 隊 の 能 力 向 上 個 別 案 件 の 審 査 に 関 して NSCは 最 終 需 要 者 は 英 国 国 防 省 及 びその 契 約 者 であり 適 正 管 理 の 確 実 性 は 高 い と 判 断 した さらに 日 英 間 では 政 府 間 協 定 があり 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 英 国 政 府 に 義 務 付 けている そのため 移 転 後 の 適 正 管 理 が 確 保 されるとしている に 資 する 可 能 性 があることから 我 が 国 の 安 全 保 障 案 件 Bの 判 断 Ⅱ ⅰ)3 12 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 か 安 全 保 障 上 の 積 極 的 な 意 義 日 英 間 の 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 する 将 来 の 自 衛 隊 の 能 力 向 上 に 資 する 可 能 性 仕 向 地 は 英 国 最 終 需 要 者 は 英 国 国 防 省 及 びその 契 約 者 個 別 案 件 の 審 査 シーカーはミサイルの 能 力 を 決 定 する 枢 要 な 構 成 要 素 の 一 つではあるが 日 英 間 で は 政 府 間 協 定 があり 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 英 国 政 府 に 義 務 付 け ており 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はない 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 の 義 務 付 け 事 前 同 意 必 要 上 記 日 英 政 府 間 協 定 で 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 英 国 政 府 に 義 務 付 け 11 内 閣 官 房 外 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 英 国 との 共 同 研 究 のためのシーカーに 関 する 技 術 情 報 の 移 転 について ( 平 成 26 年 7 月 17 日 ) 12 本 件 は 共 同 研 究 案 件 であり II i) 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 に 当 たると 明 示 されてはいない 文 言 上 は II ii) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 とも 読 めそうだが 運 用 指 針 で 限 定 列 挙 されている 事 例 (4~7)のいず れにも 当 てはまらないため II i)なのではないかと 推 察 される 24 CISTEC Journal 2016.3 No.162

案 件 C 豪 州 との 潜 水 艦 の 共 同 開 発 生 産 の 実 現 可 能 性 の 調 査 のための 技 術 情 報 の 移 転 (2015 年 5 月 ) 13 本 件 は 豪 州 政 府 からの 要 請 を 受 け 豪 州 の 将 来 潜 水 艦 計 画 への 協 力 可 能 性 につき 豪 州 政 府 と 協 議 を 開 始 するに 当 たり 我 が 国 から 潜 水 艦 に 関 する 技 術 情 報 の 提 供 が 必 要 となったものである NSCは 豪 州 の 将 来 潜 水 艦 プログラムに 関 する 共 同 開 発 生 産 の 実 現 可 能 性 の 調 査 のために 我 が 国 から 豪 州 に 対 して 技 術 情 報 を 移 転 することは 豪 州 との 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 に 資 することから 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 を 有 する と 判 断 した 個 別 案 件 の 審 査 に 関 して NSCは 最 終 需 要 者 は 豪 州 国 防 省 及 びその 契 約 者 であり 適 正 管 理 の 確 実 性 は 高 い と 判 断 した さらに 本 件 実 現 可 能 性 調 査 のために 移 転 される 技 術 情 報 は 豪 州 政 府 内 での 検 討 に 必 要 な 主 要 寸 法 や 性 能 情 報 等 に 限 られ 潜 水 艦 の 全 部 又 は 一 部 の 建 造 を 可 能 とするようなもので はない ことから 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はな いとする その 上 で 豪 州 政 府 内 での 検 討 に 必 要 な 技 術 情 報 に 限 り 移 転 を 行 うものであり 運 用 指 針 上 の 相 手 国 への 貢 献 が 相 当 程 度 小 さいと 判 断 できる 場 合 に 該 当 するため 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 不 要 とした 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 か 個 別 案 件 の 審 査 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 の 義 務 付 け 案 件 Cの 判 断 Ⅱ ⅰ) 3 豪 州 との 将 来 潜 水 艦 プログラムに 関 する 共 同 開 発 生 産 (の 実 現 可 能 性 の 調 査 ) 安 全 保 障 上 の 積 極 的 な 意 義 豪 州 との 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 に 資 する 仕 向 地 は 豪 州 最 終 需 要 者 は 豪 州 国 防 省 及 びその 契 約 者 以 下 の 要 素 より 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はない 主 要 寸 法 や 技 術 情 報 等 に 限 られ 潜 水 艦 の 全 部 または 一 部 の 建 造 を 可 能 とするよう なものではないこと 豪 州 国 防 省 から 技 術 情 報 について 豪 州 政 府 内 での 検 討 以 外 の 目 的 に 使 用 しない こと 第 三 国 に 移 転 しないこと 等 の 管 理 体 制 を 確 認 する 事 前 同 意 不 要 Ⅱ ⅰ) g 相 手 国 への 貢 献 が 相 当 程 度 小 さいと 判 断 できる 場 合 (ただし 上 記 管 理 体 制 を 豪 州 国 防 省 へ 確 認 ) 案 件 D イージス システムに 係 るソフトウェア 及 び 部 品 等 の 米 国 への 移 転 (2015 年 7 月 ) 14 本 件 は 防 衛 省 が 次 期 イージス システム 搭 載 護 衛 艦 に 搭 載 するイージス システムを 米 国 政 府 から 調 達 するに 当 たり イージス 艦 用 ディスプレイシス テムについて 米 国 国 防 省 より 日 本 企 業 の 製 造 参 画 の 提 案 を 受 けたものである このうちソフトウェア は 米 国 国 防 省 管 理 下 のデータベースに 登 録 し 米 国 等 のイージス システム 保 有 国 間 で 活 用 可 能 な 状 態 とすることが 製 造 参 画 の 条 件 となっている 部 品 や 関 連 する 技 術 情 報 ( 部 品 等 )は 我 が 国 のイージ ス 艦 に 用 いられるのみであるものの 将 来 的 には イージス システム 保 有 国 間 で 共 有 される 可 能 性 が ある NSCは 米 国 等 のイージス システム 保 有 国 と の 間 でソフトウェア 及 び 部 品 等 を 融 通 し 供 給 の 安 定 化 を 図 ることは 同 盟 国 たる 米 国 との 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 するほか 民 生 技 術 の 活 用 を 通 じた 我 が 国 にとっての 調 達 コストの 低 減 我 が 国 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 の 確 保 に 資 するため 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 を 有 する と 判 断 した 個 別 案 件 の 審 査 に 関 して NSCは 最 終 需 要 者 は イージス システムを 製 造 する 米 国 企 業 であること から 適 正 管 理 の 確 実 性 は 高 い と 判 断 した ま た ソフトウェア 及 び 部 品 等 は 表 示 機 能 に 係 るも 13 内 閣 官 房 外 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 豪 州 との 潜 水 艦 の 共 同 開 発 生 産 の 実 現 可 能 性 の 調 査 のための 技 術 情 報 の 移 転 につ いて ( 平 成 27 年 5 月 18 日 ) 14 内 閣 官 房 外 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 イージス システムに 係 るソフトウェア 及 び 部 品 等 の 米 国 への 移 転 について ( 平 成 27 年 7 月 23 日 ) 25

のであってイージス システムの 中 の 一 部 であるこ と 等 を 考 慮 すれば 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はな い とした さらに 本 件 海 外 移 転 は 部 品 等 を 融 通 し 合 う 国 際 的 なシステムに 参 加 するものである と 共 に 我 が 国 から 移 転 する 部 品 及 び 技 術 の 相 手 国 への 貢 献 が 相 当 程 度 小 さいと 判 断 できる 場 合 に 当 たる 場 合 に 該 当 するため 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 不 要 とした そのため 最 終 需 要 者 である 米 国 企 業 からソフトウェア 及 び 部 品 等 の 管 理 体 制 を 確 認 し 米 国 国 防 省 からはイージス システム 保 有 国 以 外 への 移 転 が 厳 しく 制 限 されること 等 その 管 理 体 制 についても 確 認 することとした 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 か 個 別 案 件 の 審 査 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 の 義 務 付 け 案 件 Dの 判 断 Ⅱ ⅰ)3 15 安 全 保 障 上 の 積 極 的 な 意 義 ソフトウェア 及 び 部 品 等 を 融 通 し 供 給 の 安 定 化 を 図 ることで 米 国 との 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 する 民 生 技 術 の 活 用 を 通 じた 我 が 国 にとっての 調 達 コストの 低 減 我 が 国 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 の 確 保 に 資 する 仕 向 地 は 米 国 最 終 需 要 者 はイージス システムを 製 造 する 米 国 企 業 ソフトウェア 及 び 部 品 等 は 表 示 機 能 に 係 るものであってイージス システムの 中 の 一 部 であること 等 を 考 慮 すれば 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はない 事 前 同 意 不 要 Ⅱ ⅰ) e 部 品 等 を 融 通 し 合 う 国 際 的 なシステムに 参 加 する 場 合 g 相 手 国 への 貢 献 が 相 当 程 度 小 さいと 判 断 できる 場 合 最 終 需 要 者 である 米 国 企 業 の 管 理 体 制 を 確 認 する 米 国 国 防 省 からイージス システム 保 有 国 以 外 への 移 転 が 厳 しく 制 限 されること 等 その 管 理 体 制 についても 確 認 する 案 件 E 豪 州 将 来 潜 水 艦 の 共 同 開 発 生 産 を 我 が 国 が 実 施 することとなった 場 合 の 構 成 品 等 の 豪 州 への 移 転 (2015 年 11 月 ) 16 本 件 は 案 件 Cを 受 け 我 が 国 が 豪 州 将 来 潜 水 艦 の パートナーに 選 定 された 場 合 に 将 来 潜 水 艦 の 設 計 建 造 建 造 後 の 運 用 維 持 に 必 要 な 構 成 品 等 が 豪 州 へ 移 転 されることにつき NSCが 判 断 を 示 した ものである NSCは 次 の 三 点 を 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 と 認 めた ⑴ 豪 州 との 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 に 資 する 上 情 報 収 集 警 戒 監 視 能 力 向 上 を 通 じた 海 洋 安 全 保 障 にも 資 する ⑵ 戦 闘 システムは 米 豪 が 共 同 開 発 することで 日 米 豪 の 協 力 進 展 が 期 待 できることから 日 米 同 盟 の 強 化 に 資 する ⑶ 将 来 の 我 が 国 潜 水 艦 の 能 力 向 上 に 資 する 個 別 案 件 の 審 査 に 関 して NSCは 最 終 需 要 者 は 豪 州 国 防 省 及 びその 契 約 者 であって 適 正 管 理 の 確 実 性 は 高 い とした さらに 日 豪 間 では 政 府 間 協 定 があり 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 英 国 政 府 に 義 務 付 けている そのため 移 転 後 の 適 正 管 理 が 確 保 されるとしている 最 後 に 豪 州 で 建 造 を 行 う 場 合 等 に 関 連 して 豪 州 への 直 接 投 資 が 必 要 となる 可 能 性 があるが NSC は 当 該 直 接 投 資 は 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 上 認 め 得 るとされた 移 転 に 伴 うものであり 国 際 的 な 平 和 及 び 安 全 を 損 なうものではないと 判 断 した 15 本 件 も II i) 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 に 当 たると 明 示 されてはいない 文 言 上 は II ii) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 とも 読 めそうだが 運 用 指 針 で 限 定 列 挙 されている 事 例 (4~7)のいずれにも 当 てはまら ないため Ⅱi)なのではないかと 推 察 される 16 内 閣 官 房 外 務 省 財 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 豪 州 将 来 潜 水 艦 の 共 同 開 発 生 産 を 我 が 国 が 実 施 することとなった 場 合 の 構 成 品 等 の 豪 州 への 移 転 について ( 平 成 27 年 11 月 26 日 ) 26 CISTEC Journal 2016.3 No.162

防 衛 装 備 の 海 外 移 転 を 認 め 得 る 場 合 か 個 別 案 件 の 審 査 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 の 義 務 付 け 案 件 Eの 判 断 Ⅱ ⅰ) 3 豪 州 との 将 来 潜 水 艦 を 豪 州 と 共 同 で 設 計 建 造 安 全 保 障 上 の 積 極 的 な 意 義 豪 州 との 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 に 資 する 上 情 報 収 集 警 戒 監 視 能 力 向 上 を 通 じた 海 洋 安 全 保 障 に 資 する 日 米 同 盟 の 強 化 に 資 する 将 来 の 我 が 国 潜 水 艦 の 能 力 向 上 に 資 する 仕 向 地 は 豪 州 最 終 需 要 者 は 豪 州 国 防 省 及 びその 契 約 者 日 豪 間 では 政 府 間 協 定 があり 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 豪 州 政 府 に 義 務 付 けており 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 問 題 はない 事 前 同 意 必 要 上 記 日 豪 政 府 間 協 定 で 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 を 豪 州 政 府 に 義 務 付 け 4 許 可 状 況 昨 年 10 月 経 済 産 業 省 は 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 許 可 の 状 況 に 関 する 年 次 報 告 書 ( 以 下 年 次 報 告 という )と 公 表 した 17 これは 運 用 指 針 に おいて 経 済 産 業 大 臣 は 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 許 可 の 状 況 につき 年 次 報 告 書 を 作 成 し 国 家 安 全 保 障 会 議 において 報 告 の 上 公 表 するものとする と 定 められたことに 対 応 したものである 18 年 次 報 告 では 2014 年 4 月 1 日 ~2015 年 3 月 31 日 の 許 可 状 況 が 取 りまとめられている 許 可 状 況 は( 参 考 4)のとおりである 19 ( 参 考 4) 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 許 可 状 況 三 原 則 運 用 指 針 件 数 仕 向 地 I 平 和 貢 献 国 際 協 力 の 積 極 的 な 推 進 1 移 転 先 が 外 国 政 府 31 中 国 (29) 他 2 移 転 先 が 国 際 連 合 若 しくはその 関 連 機 関 又 は 国 連 決 議 に 基 南 スーダン(12) 他 18 づいて 活 動 を 行 う 機 関 Ⅱ 我 が 国 の 安 全 保 障 に 資 する 場 合 i)3 同 盟 国 等 との 国 際 共 同 開 発 生 産 12 米 国 (7) 英 国 (5) ⅱ) 同 盟 国 等 との 安 全 保 障 防 衛 分 野 における 協 力 の 強 化 4 物 品 役 務 相 互 提 供 協 定 (ACSA) 20 に 基 づく 物 品 又 は 役 0 務 の 提 供 5 米 国 との 相 互 技 術 交 流 の 一 環 0 6 米 国 からのライセンス 生 産 品 に 係 る 部 品 や 役 務 の 提 供 米 軍 への 修 理 等 の 役 務 提 供 5 7 我 が 国 との 間 で 安 全 保 障 面 での 協 力 関 係 がある 国 に 対 米 国 (5) 0 する 救 難 輸 送 警 戒 監 視 及 び 掃 海 に 係 る 協 力 ⅲ) 自 衛 隊 等 の 活 動 及 び 邦 人 の 安 全 確 保 米 国 (1406) 英 国 (178) カナダ(32) ドイツ 8 自 衛 隊 等 の 活 動 に 係 る 装 備 品 の 一 時 的 な 輸 出 購 入 1713 (29) フランス(26) イスラエル(10) 他 した 装 備 品 の 返 送 及 び 技 術 情 報 の 提 供 9 公 人 警 護 又 は 公 人 の 自 己 保 存 のための 装 備 品 の 輸 出 1 アフガニスタン(1) 10 危 険 地 域 で 活 動 する 邦 人 の 自 己 保 存 のための 装 備 品 の 輸 出 0 Ⅲ 我 が 国 の 安 全 保 障 上 の 観 点 から 影 響 が 極 めて 小 さいと 判 断 さ 米 国 (9) フランス(2) オーストラリア(1) れる 場 合 11 誤 送 品 の 返 送 12 12 返 送 を 前 提 とする 見 本 品 の 輸 出 0 13 海 外 政 府 機 関 の 警 察 官 により 持 ちこまれた 装 備 品 の 再 輸 出 0 14 等 49 ( 出 典 ) 年 次 報 告 書 を 基 に 筆 者 作 成 17 経 済 産 業 省 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 許 可 の 状 況 に 関 する 年 次 報 告 書 ( 平 成 27 年 10 月 ) 18 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 4 頁 19 経 済 産 業 省 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 許 可 の 状 況 に 関 する 年 次 報 告 書 5-6 頁 20 自 衛 隊 と 相 手 国 軍 との 間 で 一 方 が 物 品 や 役 務 の 提 供 を 要 請 した 場 合 には 他 方 が 提 供 できるようにした 協 定 で 現 在 日 本 は 米 国 及 びオーストラリアと 締 結 している 防 衛 白 書 平 成 25 年 版 ( 日 経 出 版 2013)140 233 頁 27

5 分 析 (1) 安 全 保 障 上 の 意 義 の 判 断 我 が 国 防 衛 上 の 意 義 これまでNSCで 防 衛 装 備 移 転 を 認 め 得 ると 判 断 された5 件 は 米 国 英 国 豪 州 向 けの 案 件 であ る いずれの 案 件 も 二 国 間 の 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 すると 判 断 されている 案 件 Aでは 米 国 による ペトリオットPAC-2の 生 産 維 持 に 寄 与 するもの として 米 国 政 府 から 我 が 国 に 関 心 が 表 明 されている こと が 挙 げられている 対 象 となったジャイロは 既 に 米 国 での 生 産 は 終 了 しており 米 国 で 生 産 して いない 製 品 の 供 給 という 要 素 を 評 価 したと 言 えよ う また 部 品 生 産 が 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 確 保 に 資 するという 点 は 日 本 の 防 衛 に 必 要 な 部 品 の 供 給 先 の 多 角 化 を 安 全 保 障 上 の 意 義 と 評 価 したと 思 われる 案 件 Bでは 元 々ミサイルの 誘 導 能 力 向 上 に 関 す る 共 同 研 究 に 日 英 政 府 間 で 合 意 しており その 一 環 での 移 転 のため 政 府 レベルでは 共 同 研 究 に 合 意 す る 時 点 で 安 全 保 障 上 の 意 義 を 認 めていたと 言 えよ う 共 同 研 究 は 将 来 の 自 衛 隊 の 能 力 向 上 に 資 する 可 能 性 があると 判 断 されている これは 共 同 研 究 のように 必 ずしも 具 体 的 な 能 力 向 上 が 具 現 化 されて いない 時 点 でも 可 能 性 の 段 階 で 安 全 保 障 上 の 意 義 をNSCは 評 価 している 案 件 Cおよび 案 件 Eは 一 連 の 事 業 のため 合 わせ て 検 討 する 案 件 Cでは 豪 州 への 潜 水 艦 の 技 術 情 報 の 移 転 を 豪 州 との 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 に 資 す る とだけ 言 っているが 技 術 情 報 を 一 方 的 に 移 転 することが 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 するわけではない 21 0 0 0 0 その 点 案 件 Eで 述 べられているように 豪 州 の 将 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 来 潜 水 艦 のパートナーに 選 定 されれば という 条 件 が 成 就 した 場 合 に 安 全 保 障 上 の 意 義 が 認 められる と 考 えられる 案 件 Eでは 具 体 的 には3つの 要 素 ( 防 衛 協 力 の 一 層 の 強 化 日 米 同 盟 の 強 化 我 が 国 潜 水 艦 の 能 力 向 上 )が 評 価 されているが 少 なくと も 案 件 Cや 案 件 Eの 決 定 は 選 定 されることが 確 実 ではない 場 合 でも つまりNSCが 判 断 する 時 点 では 安 全 保 障 上 の 意 義 は 具 現 化 されていない 時 点 ( 選 定 されなければ 永 久 に 具 現 化 されない)でも 仮 に 選 定 されれば という 条 件 付 きで 安 全 保 障 上 の 意 義 を 認 めたと 言 える 意 義 が 必 ずしも 具 現 化 されてい ない 時 点 での 判 断 という 点 は 案 件 Bも 同 様 である 最 後 に 案 件 Dは ソフトウェア 及 び 部 品 等 を 融 通 し 供 給 の 安 定 化 を 図 ることを 米 国 との 安 全 保 障 防 衛 協 力 の 強 化 に 資 すると 評 価 している 案 件 Aのように 米 国 で 生 産 していない 製 品 の 供 給 と 比 較 すると 案 件 Dは 供 給 体 制 の 一 角 を 担 う 場 合 と 言 え よう それによって 調 達 コストの 低 減 我 が 国 の 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 ひいては 我 が 国 の 防 衛 力 の 確 保 に 資 すると 評 価 した 案 件 Aと 案 件 Dを 合 わせて 評 価 すると 我 が 国 の 安 全 保 障 の 観 点 から 積 極 的 な 意 義 があるかどう かという 観 点 からは 単 に 米 国 との 共 同 生 産 の 一 角 を 占 めることではなく 一 角 を 占 めることによって 防 衛 生 産 基 盤 の 維 持 等 我 が 国 の 防 衛 に 意 義 を 有 す ることも 求 められているのではないかと 思 われる 同 様 に 案 件 Bも 将 来 の 自 衛 隊 の 能 力 向 上 に 資 する 可 能 性 を 評 価 している 案 件 Cや 案 件 Eも 同 様 であ る ただし 案 件 Eでは 単 に 将 来 の 我 が 国 潜 水 艦 の 能 力 向 上 に 資 する と 言 うだけであり 公 表 され たNSCの 判 断 からは なぜ 豪 州 に 潜 水 艦 を 供 与 する ことが ( 豪 州 の 能 力 向 上 は 自 明 であるにせよ) 我 が 国 の 潜 水 艦 の 能 力 向 上 に 資 するのかは 判 然 としな い 防 衛 生 産 基 盤 の 強 化 であるのか 新 たな 研 究 開 発 の 機 会 となるからなのか NSCにとっては 自 明 の ことかもしれないが 具 体 的 な 意 義 についても 説 明 することが 望 ましいのではないかと 思 われる 以 上 これまでの 案 件 を 検 討 すると 次 の 二 点 を 指 摘 することができよう 第 一 に 安 全 保 障 上 の 意 義 は NSCの 判 断 時 点 では 必 ずしも 具 現 化 していない 場 合 も 評 価 対 象 としている 共 同 研 究 のように 研 究 成 果 の 可 能 性 や 潜 水 艦 のように 選 定 されれば と いう 条 件 付 きで 判 断 している 防 衛 装 備 の 研 究 開 発 や 調 達 サイクルを 考 えれば 当 然 のことではある が これまでの 判 断 実 績 からこうした 要 素 が 明 らか となった 第 二 に 安 全 保 障 上 の 意 義 が 認 められるためには 二 国 間 の 安 全 保 障 関 係 の 強 化 は 重 要 な 要 素 である が 我 が 国 防 衛 上 の 意 義 こそが 必 須 の 要 素 ではない かと 考 えられる 具 体 的 には 自 衛 隊 の 能 力 向 上 や 防 衛 生 産 基 盤 の 維 持 等 が 考 えられる 21 日 本 と 潜 水 艦 を 共 同 開 発 生 産 する 意 思 が 全 くないが 同 盟 国 等 から 潜 水 艦 の 技 術 情 報 提 供 を 依 頼 されて 場 合 を 想 定 してみたい 28 CISTEC Journal 2016.3 No.162

(2) 技 術 的 機 微 性 NSC 審 議 の 必 要 性 個 別 案 件 の 審 査 では いずれの 案 件 も 安 全 保 障 上 の 問 題 はない と 判 断 されている 22 審 査 要 素 の 一 つ 安 全 保 障 上 の 懸 念 の 程 度 については 判 断 要 素 に 技 術 的 機 微 性 がある そこで 技 術 的 機 微 性 に 着 目 して 安 全 保 障 上 の 懸 念 の 判 断 過 程 を 確 認 したい 案 件 Aでは 米 国 のライセンス 生 産 品 であること が 理 由 として 挙 げられている ライセンス 生 産 品 を ライセンス 元 に 納 入 するので 移 転 の 技 術 的 機 微 性 は 低 いと 判 断 されたかと 思 われる 案 件 Cでは 主 要 寸 法 や 技 術 情 報 等 に 限 られ 潜 水 艦 の 全 部 または 一 部 の 建 造 を 可 能 とするようなものではない こと 案 件 Dでは ソフトウェア 及 び 部 品 等 は 表 示 機 能 に 係 るものであってイージス システムの 中 の 一 部 で ある ことが 挙 げられている これらも 移 転 の 技 術 的 機 微 性 が 低 いと 判 断 されたものと 思 われる もっとも 技 術 的 機 微 性 が 低 いのであれば わざわ ざNSCで 審 議 する 必 要 があるのかどうか 自 体 が 議 論 の 余 地 がある 運 用 指 針 によれば NCSで 審 議 する 対 象 は 移 転 を 認 める 条 件 の 適 用 について 特 に 慎 重 な 検 討 を 要 するとき や 仕 向 先 等 の 適 切 性 安 全 保 障 上 の 懸 念 の 程 度 等 について 特 に 慎 重 な 検 討 を 要 するとき である 23 これらの 案 件 が 特 に 慎 重 な 検 討 を 要 する 場 合 に 当 たるのであろうか なお 同 様 の 類 型 について 過 去 に 政 府 として 海 外 移 転 を 認 め 得 るとの 判 断 を 行 った 実 績 がないとき は 国 家 安 全 保 障 会 議 幹 事 会 での 審 議 とされている 24 なお いかに 技 術 的 機 微 性 が 低 かろうとも 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 対 象 は 全 て 防 衛 装 備 (すなわち 武 器 や 武 器 技 術 )である その 点 案 件 Aでは ジャ イロは 米 国 のライセンス 元 からの 要 求 性 能 を 基 に 汎 用 的 な 技 術 を 用 いて 我 が 国 で 生 産 している とあり 案 件 Dでは 民 生 品 で 使 用 されている 汎 用 的 な 技 術 を 用 いて 設 計 製 造 を 行 う とある し かしながら 汎 用 的 な 技 術 を 用 いて とあるもの の あくまでも 防 衛 装 備 であり(だからこそNSCの 審 議 対 象 となっている) 汎 用 技 術 (いわゆるデュ アルユース 技 術 )ではない (3) 二 国 間 協 定 - 有 益 だがそれだけでは 十 分 ではない 案 件 Bおよび 案 件 Eでは 安 全 保 障 上 の 問 題 は ない とする 理 由 に 二 国 間 協 定 を 挙 げている 二 国 間 協 定 で 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 について 事 前 同 意 を 義 務 付 けている ただ 二 国 間 協 定 で 確 保 さ れる 管 理 は 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 だけであり 技 術 情 報 の 適 正 な 管 理 に 有 益 であるが それだ けでは 十 分 ではない なぜなら 適 正 な 管 理 は 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 防 止 だけではないからで ある そのため 次 に 説 明 する 仕 向 先 の 管 理 体 制 確 認 が 実 質 的 には 重 要 となる 二 国 間 協 定 が 不 要 である と 判 断 されているその 他 の 事 例 ではなおさらである (4) 仕 向 先 の 管 理 体 制 確 認 - 文 書 ではなく 実 態 が 重 要 米 国 の 武 器 輸 出 管 理 法 (Arms Export Control Act(AECA))では 武 器 輸 出 許 可 の 要 件 として 目 的 外 使 用 や 第 三 国 移 転 の 事 前 承 認 と 並 び 武 器 の セキュリティ 確 保 (maintain the security) およ び 米 国 政 府 の 管 理 水 準 と 同 等 のセキュリティ 保 護 が 要 求 されている 25 こうした 要 件 は 我 が 国 の 適 正 な 管 理 の 確 保 に 当 たって 必 要 とされる 要 件 を 考 える 際 に 有 益 な 示 唆 を 与 えてくれる 運 用 指 針 では 管 理 体 制 の 確 認 に 当 たっては 誓 約 書 等 の 文 書 による 確 認 を 実 施 する としている が 文 書 の 確 認 だけでは 必 ずしも 十 分 ではない 26 続 けて そのほか 移 転 先 の 防 衛 装 備 の 管 理 の 実 態 管 理 する 組 織 の 信 頼 性 移 転 先 の 国 又 は 地 域 の 輸 出 管 理 制 度 やその 運 用 実 態 等 についても 移 転 時 点 において 利 用 可 能 な 情 報 に 基 づいて 確 認 する と しているが 特 に 移 転 先 の 防 衛 装 備 の 管 理 の 実 態 管 理 する 組 織 の 信 頼 性 は 非 常 に 重 要 な 判 断 要 素 となろう こうした 観 点 から 改 めてNSCの 判 断 を 見 ると 案 件 A 案 件 C 案 件 Dでは 移 転 先 の 管 理 の 実 態 を 確 認 する ( 上 記 案 件 A 案 件 C 案 件 Dの 判 断 の 表 における 印 参 照 )となっている これらは い ずれも 適 正 管 理 の 確 保 を 確 認 するに 当 たって 実 質 的 に 重 要 な 要 素 であるが NSCが 判 断 する 時 点 ではま 22 余 談 であるが 輸 出 管 理 のリスク 管 理 的 な 側 面 から 見 れば およそ 全 ての 防 衛 装 備 移 転 はリスクがゼロとは 言 えないので 安 全 保 障 上 の 問 題 はない という 表 現 は 若 干 正 確 性 を 欠 くのではないかと 思 われる 23 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 3 頁 24 同 上 25 22 U.S.C. 2753(a). 26 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 の 運 用 指 針 3 頁 29

0 0 0 0 0 0 0 0 0 だ 確 認 されてはいない 換 言 すれば NSCは 確 認 できれば という 条 件 付 きで 移 転 を 認 めたとも 言 える したがって これらの 要 素 は 経 済 産 業 大 臣 に 許 可 申 請 があった 際 許 可 するか 否 かを 判 断 するに 当 たって 残 された 重 要 な 考 慮 要 素 となろうし その 意 味 で 経 済 産 業 大 臣 の 責 任 は 重 大 である 確 認 で きなければ NSCは 認 め 得 ると 判 断 したが 経 済 産 業 大 臣 が 不 許 可 とすることも 十 分 にあり 得 る これ ら 要 素 の 確 認 結 果 ( 輸 出 許 可 / 不 許 可 の 判 断 )は 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 状 況 として 経 済 産 業 大 臣 から NSCへ 報 告 されることとなろう 27 また 年 次 報 告 においても 経 済 産 業 大 臣 が 確 認 した 具 体 的 な 内 容 が 記 載 されれば 情 報 公 開 に 資 する 上 輸 出 者 の 予 見 可 能 性 も 向 上 する 反 対 に 案 件 Bや 案 件 Eは 二 国 間 協 定 の 存 在 だけ で 適 正 管 理 の 確 保 が 確 保 されるとしているが これ らの 協 定 自 体 に 目 的 外 使 用 及 び 第 三 国 移 転 の 事 前 同 意 に 加 え 移 転 先 ( 英 国 や 豪 州 )での 適 正 管 理 の 確 保 の 方 策 についても 規 定 し その 上 で 管 理 体 制 を 確 認 するか 案 件 Eに 先 立 つ 案 件 Cのように 国 内 で の 管 理 体 制 の 確 認 が 別 途 必 要 なのではないかと 思 わ れる 重 要 なことは 文 書 や 協 定 手 続 規 定 の 存 在 で はなく maintain the security の 実 態 である (5) 自 国 の 管 理 体 制 確 立 - 日 本 版 DSSの 必 要 性 (4)で 確 認 すべき 適 正 管 理 の 水 準 については AECAが 規 定 するように 自 国 と 同 等 水 準 と 考 えるの が 基 本 となろう 日 米 間 で 防 衛 関 連 情 報 をやり 取 り するための 手 続 を 定 めた 秘 密 軍 事 情 報 の 保 護 のた めの 秘 密 保 持 の 措 置 に 関 する 日 本 国 政 府 とアメリカ 合 衆 国 政 府 との 間 の 協 定 (GSOMIA)でも 第 6 条 で 情 報 を 提 供 する 締 約 国 政 府 により 与 えられて いる 保 護 と 実 質 的 に 同 等 の 保 護 を 与 えるために 適 当 な 措 置 をとる と 規 定 されている こうした 情 報 保 護 の 基 本 を 防 衛 装 備 移 転 に 当 ては めて 考 えると 防 衛 装 備 移 転 後 の 移 転 先 での 適 正 な 管 理 は 国 内 での 防 衛 装 備 関 連 情 報 の 適 正 な 管 理 が 前 提 であることが 分 かる 具 体 的 には 漏 えいさせた くない 情 報 を 適 切 に 秘 密 に 指 定 し かつそのように 管 理 する 体 制 が 求 められることになる 秘 密 指 定 の 必 要 性 はもちろん 政 府 ( 特 に 防 衛 省 )が 判 断 する が 実 際 に 秘 密 情 報 が 所 在 するのは 防 衛 産 業 である ので 政 府 から 防 衛 産 業 に 秘 密 情 報 の 適 正 な 管 理 を 求 めることになろう こうした 措 置 と 同 等 の 保 護 を 移 転 先 に 求 めることになる 米 国 では 米 国 国 防 省 傘 下 の 国 防 保 全 局 (Defense Security Service(DSS))が 防 衛 産 業 が 管 理 する 国 家 秘 密 の 保 護 を 監 視 している 28 しかしながら 日 本 にはDSSに 相 当 する 機 関 がない 2015 年 10 月 に 防 衛 省 に 防 衛 装 備 庁 ( 装 備 庁 )が 発 足 したことか ら 所 掌 上 は 装 備 庁 が 最 も 近 似 しているが 現 時 点 において 装 備 庁 内 にDSSに 相 当 する 部 局 はないも のと 思 われる 29 なお DSSはあくまでも 既 に 指 定 された 秘 密 情 報 の 防 衛 産 業 内 での 管 理 を 所 掌 し ているのであり 秘 密 指 定 そのものは 秘 密 情 報 を 保 有 する 政 府 機 関 の 責 任 である 30 (3)から(5)は 一 連 の 要 素 となっている NSC の 審 議 から 逆 算 したため この 順 番 で 検 討 したが 実 態 としては(5)の 確 保 が(4)を 可 能 にし (4) を 前 提 に(3)があるという 構 図 になろう 31 (6)NSC 判 断 のタイミング- 予 見 可 能 性 向 上 (の 萌 芽 ) 経 済 産 業 省 の 年 次 報 告 によると NSCが 認 め 得 る と 判 断 した 案 件 (2014 年 度 であれば 案 件 Aと 案 件 B) のうち 実 際 に 許 可 をした 案 件 は 案 件 Bを1 件 だ けであった 32 つまり 案 件 Aは NSCの 判 断 (2014 年 27 運 用 指 針 では 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 状 況 について 報 告 を 行 う ことが 国 家 安 全 保 障 会 議 及 び 国 家 安 全 保 障 会 議 幹 事 会 の 審 議 対 象 となっている 基 本 的 には 年 次 報 告 を 念 頭 に 置 いていると 思 われるが 運 用 指 針 を 見 る 限 り 報 告 事 項 は 年 次 報 告 に 限 定 はされていない 28 Defense Security Service, 2015 Targeting U.S. Technologies, August 11, 2015, p.4. 29 防 衛 省 設 置 法 第 36 条 では 装 備 庁 の 任 務 として 装 備 品 等 について 研 究 開 発 調 達 補 給 及 び 管 理 の 適 正 かつ 効 率 的 な 遂 行 を 任 務 とする とするとあり DSSの 任 務 は 文 字 通 り 装 備 品 等 に 関 する 情 報 管 理 の 適 正 さを 保 つ 業 務 と 言 えよう こ のほか 日 本 版 DSSの 候 補 として 論 理 的 には 特 定 秘 密 の 保 護 に 関 する 法 律 を 所 掌 する 内 閣 情 報 調 査 室 なども 考 えられる 30 そのため 何 が 保 護 する 必 要 がある 技 術 情 報 かを 判 断 する 枠 組 みが 必 要 である 31 前 掲 注 (30)を 踏 まえれば 保 護 対 象 の 技 術 を 判 断 する 枠 組 みの 構 築 が (5) 以 前 に 求 められる 米 国 の 国 防 技 術 安 全 保 障 局 (Defense Technology Security Agency(DTSA))のような 機 能 が 求 められよう 森 本 正 崇 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 後 の 課 題 ~2 年 目 の 武 器 輸 出 管 理 ~ 防 衛 技 術 ジャーナルNo.415(2015 年 10 月 )17 頁 森 本 正 崇 武 器 輸 出 管 理 の 課 題 わが 国 の 安 全 保 障 を 確 保 する 制 度 と 運 用 PHP Policy Review Vol.9 No.68(2015 年 3 月 30 日 )5-7 頁 32 経 済 産 業 省 防 衛 装 備 の 海 外 移 転 の 許 可 の 状 況 に 関 する 年 次 報 告 書 7 頁 30 CISTEC Journal 2016.3 No.162

7 月 )から 半 年 以 上 防 衛 装 備 移 転 は 行 われていな い( 武 器 輸 出 許 可 が 出 されていない) (NSCの 判 断 からは あまり 考 えにくいものの)(4)で 指 摘 した 適 正 管 理 に 問 題 があり 不 許 可 と 経 済 産 業 大 臣 が 判 断 した 可 能 性 もあるが NSCが 実 際 の 契 約 前 に も し 契 約 したら という 前 提 で 判 断 を 行 った 可 能 性 の 方 が 高 いのではないかと 思 われる 案 件 Cは 契 約 す るために 必 要 な 情 報 提 供 に 対 する 判 断 であり 契 約 前 であることは 自 明 であるし 案 件 Eも 契 約 されれ ば という 条 件 付 きで 判 断 されている このように NSCが 判 断 するタイミングは 防 衛 装 備 移 転 契 約 前 であることが 頻 繁 に 見 受 けられる こうしたNSCの 判 断 は 実 質 的 にドイツの 武 器 輸 出 管 理 制 度 にある 契 約 前 の 事 前 照 会 制 度 と 類 似 した 機 能 を 果 たせる 可 能 性 がある ドイツの 事 前 照 会 制 度 では 契 約 前 に 実 際 に 許 可 申 請 をした 場 合 にどのような 判 断 をされ るかの 感 触 を 政 府 から 得 ることができる 同 時 に 実 際 の 許 可 申 請 における 政 府 の 判 断 を 拘 束 するもので もない 33 また (4)で 指 摘 したような 適 正 管 理 の 確 保 のように 許 可 要 件 を 予 め 指 定 している 側 面 も 指 摘 できる もしそのように 機 能 すれば 輸 出 者 の 予 見 可 能 性 に 資 する しかしながら 現 時 点 では 残 念 ながらどのタイミングで どの 案 件 がNSCの 審 議 対 象 となるかについて 輸 出 者 には 何 の 手 がかりも なく 予 見 可 能 性 の 向 上 に 資 するものではない (7) 手 続 - 暗 中 模 索 これまでのNSCの 審 査 を 振 り 返 ると (1)で 指 摘 したように 安 全 保 障 上 の 意 義 は 将 来 の 可 能 性 や 契 約 成 就 の 場 合 といった 仮 定 や 条 件 付 きで 認 められ ている また (6)で 検 討 したように 許 可 申 請 前 に 政 府 の 方 針 を 明 示 するという 側 面 もあり 輸 出 者 の 目 から 見 れば 防 衛 装 備 移 転 手 続 の 透 明 化 に 資 す る 萌 芽 をみることができる しかしながら 輸 出 者 にとって NSCの 手 続 は はるか 彼 方 にあり どの ようにしてNSCの 審 議 にたどり 着 くのか 依 然 とし て 全 く 分 からない 安 全 保 障 貿 易 情 報 センターは 昨 年 末 に 防 衛 装 備 移 転 に 係 る 手 続 き 的 環 境 整 備 に 向 けた 課 題 につい て( 要 望 ) ( 以 下 要 望 書 という )を 経 済 産 業 省 に 提 出 した 34 詳 細 は 要 望 書 を 参 照 して 頂 きたい が 本 稿 では 要 望 書 の 最 初 に 取 り 上 げられている 商 談 や 展 示 会 での 問 題 点 を 簡 単 に 紹 介 したい 要 望 書 によれば 展 示 会 への 出 品 や 商 談 で 武 器 技 術 の 提 供 ( 具 体 的 には 武 器 の 性 能 や 仕 様 等 を 説 明 すること) があり 得 るが 法 令 上 の 手 続 き 環 境 の 整 備 の 不 十 分 さにより 円 滑 にできない 状 況 にある という 政 府 側 からは 防 衛 装 備 の 移 転 について 海 外 に 向 けて 積 極 的 なPRがなされている 一 方 で 当 事 者 の 企 業 側 が 上 記 の 法 的 手 続 き 上 の 問 題 により 円 滑 なやりとりができず 不 審 不 信 を 買 ってしま い ひいては 我 が 国 全 体 の 姿 勢 に 疑 問 符 が 投 げかけ られかねない と 危 惧 も 示 されている (8) 対 外 直 接 投 資 - 基 本 的 に 無 関 係 だが 最 後 に 案 件 Eでは NSCは 豪 州 で 潜 水 艦 建 造 を 行 う 場 合 等 に 行 われる 対 外 直 接 投 資 について 国 際 的 な 平 和 及 び 安 全 を 損 なうものではないと 判 断 した 35 本 件 における 対 外 直 接 投 資 への 言 及 は 次 の 意 味 合 いがあると 考 えられる 第 一 に (6)で 指 摘 した 効 果 がある 予 め NSCで 相 場 観 を 醸 成 しているので 豪 州 潜 水 艦 関 連 事 業 で 対 外 直 接 投 資 を 考 える 投 資 者 の 予 見 可 能 性 が 高 まったと 言 えよう 第 二 に 対 外 直 接 投 資 は 防 衛 装 備 移 転 ではない つまり 三 原 則 が 対 象 とする 行 為 ではない NSCの 審 議 は 対 外 直 接 投 資 審 査 の 必 要 条 件 ではない 第 三 に 上 記 二 点 をまとめると あくまでも 対 外 直 接 投 資 は 財 務 大 臣 に 審 査 する 責 任 があり 内 容 面 からも 手 続 面 からも 三 原 則 上 の 制 約 はない そのた め 今 後 の 対 外 直 接 投 資 において NSCの 審 査 や 判 断 がないと 財 務 大 臣 は 判 断 できない( 又 は 認 めな い) とは 言 えない 他 方 で NSCが 必 要 であると 判 断 した 案 件 については 投 資 の 適 切 性 について NSCとして 判 断 を 示 すことができる 前 例 となった と 言 える 33 Federal Ministry for Economic Affairs and Energy, Report by the Government of the Federal Republic of Germany on Its Policy on Exports of Conventional Military Equipment in 2013, p.9(2014). 34 CISTEC 防 衛 装 備 移 転 手 続 等 WG 防 衛 装 備 移 転 に 係 る 手 続 き 的 環 境 整 備 に 向 けた 課 題 について( 要 望 ) ( 平 成 27 年 12 月 11 日 ) (http://www.cistec.or.jp/service/boueisoubi_data/youbou_20151211.pdf) 35 そのため 案 件 Eの 発 表 文 には 案 件 AからDまでの 内 閣 官 房 外 務 省 経 済 産 業 省 防 衛 省 に 加 え 対 外 直 接 投 資 規 制 を 所 掌 する 財 務 省 が 入 っている 31