6-3 わが 国 の 再 処 理 (その1) 1. はじめに わが 国 は 原 子 力 の 平 和 利 用 に 取 り 組 み 始 めた 当 初 よ り 再 処 理 を 国 内 で 行 う 方 針 のもとで 技 術 の 開 発 と 事 業 としての 実 施 を 進 めてきた 再 処 理 に 係 わる 主 要 な 施 設 には 以 下 がある 1 日 本 原 子 力 研 究 所 { 現 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 (JAEA)} 再 処 理 特 別 研 究 棟 (JRTF) 2 同 燃 料 サイクル 安 全 工 学 研 究 施 設 (NUCEF) 3 動 力 炉 核 燃 料 開 発 事 業 団 ( 現 JAEA) 東 海 再 処 理 工 場 (TRP) 4 同 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 (CPF) 5 同 リサイクル 機 器 試 験 施 設 (RETF) 6 日 本 原 燃 株 式 会 社 再 処 理 工 場 (RRP) 本 節 ではこれらの 施 設 を 概 説 する また 海 外 委 託 し た 再 処 理 についても 言 及 する 再 処 理 施 設 に 関 する 年 表 と 原 子 力 長 期 計 画 1) における 再 処 理 についての 記 述 を それぞれ 第 1 表 と 第 2 表 に 掲 げる 第 1 表 再 処 理 に 係 わる 主 要 施 設 の 動 向 と 関 連 事 項 年 再 処 理 施 設 の 動 向 2) 関 連 事 項 1955 年 原 子 力 基 本 法 成 立 (12 月 16 日 ) 1956 年 日 本 原 子 力 研 究 所 発 足 (6 月 15 日 ) 原 子 燃 料 公 社 発 足 (8 月 10 日 ) 1967 年 原 子 燃 料 公 社 解 散 動 力 炉 核 燃 料 開 発 事 業 団 発 足 (10 月 2 日 ) 1968 年 再 処 理 特 別 研 究 棟 で 再 処 理 試 験 を 実 施 原 子 力 委 員 会 は 特 殊 核 物 質 の 民 間 所 有 を 認 めるこ とを 決 定 (7 月 ) 1974 年 東 海 再 処 理 工 場 竣 工 1977 年 東 海 再 処 理 工 場 運 転 開 始 日 米 原 子 力 交 渉 における 合 意 (9 月 12 日 ) INFCE 総 会 (10 月 ) 1980 年 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 竣 工 日 本 原 燃 サ-ビス 株 式 会 社 発 足 (3 月 1 日 ) 1983 年 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 にて Pu を 回 収 (9 月 29 日 ) 1992 年 東 海 再 処 理 工 場 ガラス 固 化 技 術 開 発 施 設 (TVF) 竣 日 本 原 燃 株 式 会 社 発 足 (7 月 1 日 ) 工 1993 年 日 本 原 燃 再 処 理 工 場 着 工 (4 月 28 日 ) 1994 年 燃 料 サイクル 安 全 工 学 研 究 施 設 完 成 (6 月 30 日 ) 1995 年 東 海 再 処 理 工 場 リサイクル 機 器 試 験 施 設 着 工 もんじゅ 2 次 ナトリウム 漏 洩 事 故 (12 月 8 日 ) 1997 年 東 海 再 処 理 工 場 アスファルト 固 化 処 理 施 設 事 故 (3 月 11 日 ) 1999 年 日 本 原 燃 再 処 理 事 業 の 開 始 (12 月 3 日 ) 2002 年 日 本 原 燃 再 処 理 工 場 の 化 学 試 験 を 開 始 (11 月 1 日 ) 2004 年 日 本 原 燃 再 処 理 工 場 のウラン 試 験 を 開 始 (12 月 21 日 ) 2005 年 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 発 足 (10 月 1 日 ) 2006 年 日 本 原 燃 再 処 理 工 場 のウラン 試 験 を 終 了 (1 月 22 日 ) アクティブ 試 験 を 開 始 (3 月 31 日 ) 2011 年 東 日 本 大 震 災 (3 月 11 日 ) ( 1 )
1) 第 2 表 原 子 力 長 期 計 画 における 再 処 理 事 業 に 関 する 記 述 回 年 内 容 第 1 回 1956 年 極 力 国 内 技 術 によることとし, 原 子 燃 料 公 社 をして 集 中 的 に 実 施 せしめる 初 期 には 日 本 原 子 力 研 究 所 が 研 究 的 に 実 施 するが,その 後 は 核 燃 料 物 質 の 散 逸 を 防 止 し, 安 全 性 を 確 保 するため 原 子 燃 料 公 社 において 集 中 的 に 実 施 するものとする 第 2 回 1961 年 原 子 力 発 電 の 規 模 が 増 大 した 段 階 においては,わが 国 において 再 処 理 を 行 なう 必 要 がある 原 子 燃 料 公 社 に 再 処 理 パイロットプラントを 建 設 し, 再 処 理 の 工 業 化 試 験 を 実 施 する この 再 処 理 パイロットプラント 建 設 に 関 する 基 礎 的 資 料 を 得 るため, 日 本 原 子 力 研 究 所 に 設 置 されるホッ ト ケーブを 利 用 して 両 者 協 力 のもとに 溶 媒 抽 出 法 に 関 する 工 学 的 試 験 研 究 を 実 施 する 第 3 回 1967 年 当 分 の 間 は, 原 子 燃 料 公 社 の 再 処 理 工 場 において 行 なうものとするが, 将 来 は 民 間 企 業 において 再 処 理 事 業 が 行 なわれることが 期 待 される 日 本 原 子 力 研 究 所 と 原 子 燃 料 公 社 が 協 力 して, 熱 中 性 子 炉 と 高 速 増 殖 炉 の 燃 料 を 対 象 とし, 乾 式 をはじめ 各 種 方 式 の 研 究 開 発 を 行 なうこととし, 研 究 開 発 計 画 の 具 体 化 について 検 討 するものとす る 第 4 回 1972 年 再 処 理 事 業 の 安 定 操 業 のためには,スケールメリットを 生 かすことが 重 要 なので, 電 気 事 業 者 を 含 む 関 係 業 界 において 早 急 に 協 調 体 制 の 確 立 をすすめることが 望 まれる 第 5 回 1978 年 第 二 再 処 理 工 場 は, 本 格 的 な 商 業 施 設 として,その 建 設 運 転 は, 電 気 事 業 者 を 中 心 とする 民 間 が 行 うものとし, 昭 和 65 年 頃 の 運 転 開 始 を 目 途 に, 速 やかに 建 設 に 着 手 することが 必 要 である 第 二 再 処 理 工 場 の 運 転 開 始 までの 措 置 としては, 海 外 への 委 託 によって 対 処 するものとする 第 6 回 1982 年 当 面 年 間 再 処 理 能 力 1,200トンの 民 間 再 処 理 工 場 の 建 設 を 促 進 するとともに,さらに 将 来 の 需 要 の 伸 びに 対 応 する 再 処 理 計 画 についても 今 後 検 討 していくこととする 第 7 回 1987 年 事 業 化 が 具 体 的 に 進 展 しているところであり,これまで 開 発 を 進 めてきた 動 力 炉 核 燃 料 開 発 事 業 団 から 事 業 主 体 等 への 技 術 移 転 を 円 滑 に 進 め, 事 業 主 体 等 の 技 術 力 の 向 上 を 図 ることが 重 要 であ る また, 事 業 化 を 通 じて 国 産 技 術 の 定 着 化 を 図 るため, 関 係 機 関 が 協 力 して,それぞれの 特 長 を 活 かしつつ 研 究 開 発 を 進 め, 長 期 的 視 点 に 立 って, 国 際 競 争 力 をも 有 する 自 立 型 の 産 業 への 展 開 に 向 けて 技 術 的 基 盤 を 強 化 していく 必 要 がある 1990 年 代 半 ば 頃 の 運 転 開 始 を 目 途 に 計 画 が 進 められている 年 間 再 処 理 能 力 800トンの 民 間 第 一 再 処 理 工 場 の 円 滑 な 建 設 運 転 を 推 進 する さた, 民 間 第 二 再 処 理 工 場 については, 自 主 的 な 技 術 に よって, 経 済 性 のより 優 れたものとして 建 設 されることが 重 要 であり,これを 達 成 すべく 長 期 的 な 視 点 に 立 脚 し,2010 年 頃 の 運 転 開 始 を 目 途 に, 研 究 開 発 の 推 進 等 各 般 の 施 策 を 総 合 的 に 進 める 第 8 回 1994 年 東 海 再 処 理 工 場 は, 安 定 運 転 を 進 め, 六 ケ 所 再 処 理 工 場 の 操 業 開 始 まで 再 処 理 需 要 の 一 部 を 賄 う とともに, 同 工 場 の 操 業 開 始 以 降 は, 軽 水 炉 MOX 使 用 済 燃 料, 新 型 転 換 炉 使 用 済 燃 料, 高 速 増 殖 炉 使 用 済 燃 料 等 の 再 処 理 のための 技 術 開 発 の 場 として 活 用 していきます 現 在 建 設 中 の 六 ケ 所 再 処 理 工 場 ( 年 間 処 理 能 力 800トン)については,2000 年 過 ぎの 操 業 開 始 を 目 指 すこととし,その 順 調 な 建 設, 運 転 により 商 業 規 模 での 再 処 理 技 術 の 着 実 な 定 着 を 図 っていき ます 民 間 第 二 再 処 理 工 場 は, 核 燃 料 リサイクルの 本 格 化 時 代 において 所 要 の 核 燃 料 の 供 給 を 担 うもの として 重 要 な 意 義 を 持 っています 同 工 場 は, 六 ケ 所 再 処 理 工 場 の 建 設 運 転 経 験 や 国 内 の 今 後 の 技 術 開 発 の 成 果 を 踏 まえて 設 計 建 設 することを 基 本 とし, 軽 水 炉 MOX 燃 料 等 も 再 処 理 が 可 能 なも のとするとともに 優 れた 経 済 性 を 目 指 すこととします 第 9 回 2000 年 民 間 事 業 者 は 我 が 国 に 実 用 再 処 理 技 術 を 定 着 させていくことができるよう この 我 が 国 初 の 商 業 規 模 の 再 処 理 工 場 を 着 実 に 建 設 運 転 していくことが 期 待 される 核 燃 料 サイクル 開 発 機 構 は 現 在 東 海 再 処 理 施 設 において 従 来 の 再 処 理 に 加 え 高 燃 焼 度 燃 料 や 軽 水 炉 使 用 済 MOX 燃 料 等 の 再 処 理 技 術 の 実 証 試 験 等 を 行 うこととしており これらの 成 果 は 将 来 に 重 要 な 貢 献 をもたらすと 考 えられるので 成 果 について 段 階 的 に 評 価 を 受 けながら 実 施 するこ とが 必 要 である ( 2 )
2. わが 国 の 再 処 理 に 係 わる 主 要 な 施 設 の 概 要 2.1 再 処 理 特 別 研 究 棟 (JRTF) 3) 1956 年 にホットケーブ 建 家 の 建 設 を 開 始 以 降 分 析 建 家 プルトニウム 精 製 建 家 等 が 順 次 付 加 された 施 設 の 外 観 を 第 1 図 に 示 す JRR-3の 使 用 済 みウラン アルミニ ウム 金 属 燃 料 を 対 象 とし 溶 解 と 溶 媒 抽 出 による 試 験 を 実 施 した 主 要 な 設 備 は 溶 解 槽 パルスカラム 濃 縮 槽 ミキサセトラである ホット 試 験 は 第 3 表 に 示 すように3 回 に 分 け1968 年 から 1969 年 にかけて 実 施 された 使 用 済 み 燃 料 の 燃 焼 度 は 約 400 650 MWd/tであり 約 600 kgが 試 験 に 供 された 合 計 約 212 gのプルトニウムが 精 製 回 収 された 施 設 は 現 在 廃 止 措 置 の 途 上 にある 4) 受 け 1971 年 に 建 設 に 着 手 した 1974 年 10 月 に 設 備 工 事 及 び 通 水 試 験 を 終 了 以 降 化 学 試 験 とウラン 試 験 を 実 施 した 施 設 の 外 観 を 第 2 図 に 示 す 1977 年 9 月 には 東 海 再 処 理 工 場 の 運 転 に 関 し 日 米 政 府 の 合 意 に 基 づき 核 不 拡 散 の 観 点 からU Pu 共 回 収 技 術 が 開 発 されることとなった 7) 同 年 9 月 22 日 に 動 力 試 験 炉 (JPDR)の 使 用 済 み 燃 料 を 用 いて 最 初 のせん 断 を 開 始 し た U Pu 混 合 脱 硝 のためのマイクロ 波 加 熱 脱 硝 法 による 混 合 転 換 施 設 を1983 年 に 完 成 させた 第 2 図 東 海 再 処 理 工 場 の 外 観 第 1 図 再 処 理 特 別 研 究 棟 の 外 観 第 3 表 湿 式 再 処 理 試 験 のホット 試 験 の 概 要 ホット 試 験 番 号 第 1 次 (HR-1) 第 2 次 (HR-2) 第 3 次 (HR-3) 試 験 期 間 1968 年 3 月 ~5 月 1968 年 6 月 ~8 月 1968 年 12 月 ~1969 年 3 月 使 用 済 燃 料 燃 焼 度 (MWd/t) 約 400 約 500~ 600 約 550~ 650 冷 却 期 間 1 年 4~9ヶ 月 半 86~405 日 ウラン 量 (kg) 90.7 297.0 198.1 プルトニウム 量 約 27 約 130 約 109 (g)( 溶 解 後 ) FP 含 量 (γ-ci) 640 22,500 11,400 抽 出 されたプル 18 105 88.5 トニウム 量 (g) 2.2 東 海 再 処 理 工 場 (TRP) 5),6) 東 海 再 処 理 工 場 の 設 計 は1963 年 から 開 始 され その 詳 細 設 計 はフランスSGN 社 ( Saint Gobain Tehniques Nouvelles)により 行 われた 1970 年 1 月 に 設 置 の 承 認 を 処 理 対 象 燃 料 の 種 類 は 第 4 表 に 示 すように 軽 水 炉 ウラ ン 燃 料 と 新 型 転 換 炉 (ATR) 燃 料 である 軽 水 炉 使 用 済 みウラン 燃 料 の 処 理 能 力 は1 日 あたり 最 大 0.7 t( 金 属 ウラ ン 換 算 ) 年 間 最 大 210 t( 同 左 )である これまでに 累 積 1,140 tの 燃 料 を 処 理 した 内 訳 を 第 5 表 に 示 す 以 下 設 備 の 概 要 を 述 べる 10) 8) 第 4 表 東 海 再 処 理 工 場 の 処 理 対 象 燃 料 の 種 類 燃 焼 度 (GWd/t) 炉 型 燃 料 初 期 濃 縮 度 等 ( 最 高 ) 平 均 最 高 軽 水 炉 ウラン ウラン 濃 縮 度 4w/o 28 以 下 35 以 下 ウラン ウラン 濃 縮 度 約 2.3w/o 17 以 下 30 以 下 新 型 転 混 合 酸 換 炉 原 核 分 裂 物 質 量 約 1.4w/o 12 以 下 20 以 下 化 物 (A) 型 炉 混 合 酸 (ATR) 核 分 裂 物 質 量 約 2.0w/o 17 以 下 20 以 下 化 物 (B) 9) 第 5 表 東 海 再 処 理 施 設 の 処 理 実 績 処 理 量 (t) BWR 644 PWR 376 ATR(UO 2 ) 82 ATR(MOX) 29 JPDR 9 累 積 1,140 ( 3 )
輸 送 キャスクに 収 納 された 燃 料 を 受 け 入 れる 水 プー ルにおいて 燃 料 集 合 体 をキャスクから 取 り 出 し 集 合 体 の 密 封 容 器 を 複 数 備 えたバスケットに 移 す バスケット は 水 プールにて 保 管 する 燃 料 のせん 断 は 集 合 体 を 単 位 としてせん 断 機 を 用 い て 行 う 端 末 部 を 切 断 除 去 した 後 UO 2 充 填 部 を3 5 cm の 長 さにせん 断 する せん 断 片 は 重 力 により 溶 解 槽 へと 落 下 させる この 時 燃 料 分 配 器 により 振 り 分 け 所 定 の 溶 解 槽 に 投 入 する せん 断 片 は 溶 解 槽 において 硝 酸 により 燃 料 を 浸 出 溶 解 する 溶 解 槽 の 構 造 を 第 3 図 に 示 す 約 400 kguの 燃 料 を バスケットに 入 れ2 本 の 溶 解 部 に 装 荷 する 硝 酸 を 加 えな がら 蒸 気 により 加 熱 し 燃 料 を 溶 解 する 溶 解 部 の 底 部 から 酸 素 を 吹 き 込 み 溶 液 を 撹 拌 するとともに 酸 化 窒 素 を 酸 化 する 得 られた 溶 解 液 は 硝 酸 溶 液 を 加 えてウラン 濃 度 を 調 整 する バスケットには 溶 けなかった 被 覆 片 (ハ ル)が 残 り これは 高 レベル 放 射 性 固 体 廃 棄 物 として 処 理 する 溶 解 液 はパルスフィルタにより 固 体 粒 子 類 を 除 去 する 溶 媒 抽 出 工 程 は 核 分 裂 生 成 物 (FP)を 分 離 除 去 する 分 離 第 1サイクル( 共 除 染 ) ウランとプルトニウムを 分 離 する 分 離 第 2サイクル( 分 配 ) ウランとプルトニウム をそれぞれ 精 製 濃 縮 するウラン 精 製 サイクル 及 びプル トニウム 精 製 サイクルから 成 る 抽 出 溶 媒 は30% TBP n- ドデカンであり いずれにおいても 抽 出 器 はミキサセト ラを 用 いる Pu 分 配 は 硝 酸 ウラナス ヒドラジン 混 合 溶 液 を 用 いてPu(III) に 還 元 して 行 う 得 られた 製 品 はそれ ぞれを 濃 縮 する また 各 工 程 から 発 生 した 溶 液 からウ ランやプルトニウムを 回 収 するリワーク 工 程 を 有 する 得 られた 製 品 は Uは 流 動 床 式 脱 硝 塔 によりUO 3 粉 末 に Puはマイクロ 波 加 熱 法 によりMOX 粉 末 に 転 換 する 放 射 性 気 体 廃 棄 物 に 関 して 槽 類 換 気 セル 換 気 等 は ろ 過 洗 浄 などにより 処 理 した 後 に 主 排 気 塔 から 排 出 さ れる 放 射 性 希 ガス(Kr Xe)を 液 化 蒸 留 法 により 分 離 する 技 術 をクリプトン 回 収 技 術 開 発 施 設 において 開 発 し た 放 射 性 液 体 廃 棄 物 はいくつかに 区 分 して 処 理 してい る 溶 媒 抽 出 による 分 離 第 1サイクルにおいて 核 分 裂 生 成 物 を 含 む 水 溶 液 (ラフィネート 抽 出 残 液 )が 生 じ こ れは 蒸 発 濃 縮 して 高 放 射 性 廃 液 として 貯 蔵 する 高 放 射 性 廃 液 はガラス 固 化 技 術 開 発 施 設 (TVF) においてガラ ス 固 化 し 得 られたガラス 固 化 体 を 貯 蔵 する 低 放 射 性 の 廃 液 は 従 来 アスファルト 固 化 処 理 を 行 ってきたが 1997 年 に 発 生 したアスファルト 固 化 処 理 施 設 の 事 故 に 伴 い 終 息 した これに 替 えて I Sr Cs 等 の 限 外 ろ 過 や 吸 着 等 による 除 染 硝 酸 イオンの 分 解 に 基 づく 低 放 射 性 廃 棄 物 処 理 技 術 開 発 施 設 (LWTF)を 建 設 した 11) 使 用 した 抽 出 溶 媒 は85% リン 酸 を 加 えて TBPを 分 離 する 方 法 に より 処 理 し TBPをPVCもしくはエポキシ 固 化 する 放 射 性 固 体 廃 棄 物 は 内 包 する 放 射 性 核 種 と 燃 性 によ り 分 類 し 圧 縮 や 焼 却 等 の 処 理 の 後 容 器 に 入 れて 保 管 している 分 析 に 関 しては 工 程 管 理 計 量 管 理 及 び 保 障 措 置 の ために 水 溶 液 や 溶 媒 等 を 分 析 している 運 転 に 必 要 なユーティリティには 電 気 圧 縮 空 気 水 ( 工 業 用 水 純 水 ) 蒸 気 等 があり 集 中 して 供 給 するた めに 再 処 理 施 設 ユーティリティ 施 設 が 建 設 された 東 海 再 処 理 工 場 はいくつかの 故 障 や 事 故 等 のトラブル を 経 験 してきた 主 なものには 次 が 挙 げられる 酸 回 収 蒸 発 缶 の 交 換 酸 回 収 蒸 発 缶 の 修 理 溶 解 槽 の 補 修 新 溶 解 槽 の 設 置 アスファルト 固 化 処 理 施 設 の 火 災 爆 発 事 故 第 3 図 溶 解 槽 の 構 造 JAEAの 第 2 期 中 期 計 画 では ガラス 固 化 軽 水 炉 MOX 燃 料 と 高 燃 焼 度 燃 料 の 処 理 に 関 する 技 術 開 発 に 取 り 組 ん でいる 12) 2.3 燃 料 サイクル 安 全 工 学 研 究 施 設 (NUCEF) 13) 燃 料 サイクル 安 全 工 学 研 究 施 設 (Nuclear Fuel Cycle Safety Engineering Research Facility; NUCEF)は 核 燃 料 サ イクルバックエンドに 関 する 総 合 的 研 究 施 設 であり 高 度 化 再 処 理 プロセスに 関 する 研 究 が 行 われている 1994 年 に 施 設 は 完 成 し 臨 界 実 験 を 行 う 実 験 棟 A と 化 学 的 な 試 験 に 供 する 実 験 棟 B(バックエンド 研 究 施 設, Back-End Cycle Key Elements Research Facility; BECKY)から 成 る ( 4 )
BECKY は αγ セル( 受 入 セル プロセスセルと 化 学 セル) 27 基 のグローブボックス 21 基 のフード 等 から 構 成 さ れる αγ セルの 様 子 を 第 4 図 に 示 す プロセスセルでは 45 GWd/t の 使 用 済 み 燃 料 を 3 kg/y 185 TBq(5 kci)の 高 レベル 放 射 性 廃 液 を 使 用 できる 大 型 再 処 理 施 設 の 定 常 時 における 閉 じ 込 め 安 全 につい て 溶 解 と 溶 媒 抽 出 の 試 験 を 行 い これらを 確 証 した 14) また 高 度 化 再 処 理 プロセスについて Npの 制 御 やソル トフリー 溶 媒 洗 浄 等 を 実 証 した 処 理 工 場 の 分 離 第 一 サイクルで 発 生 した 廃 液 を 最 大 111 TBq(3,000 Ci) 用 い ガラス 固 化 の 試 験 固 化 体 の 物 性 測 定 等 を 行 う 分 離 技 術 に 関 しては 1982 年 9 月 に 高 速 実 験 炉 常 陽 の 使 用 済 み 燃 料 のせん 断 をもって 最 初 のホット 試 験 を 開 始 した 16) この 試 験 では 約 30 gのpuを 回 収 した 2006 年 からは 高 速 増 殖 炉 サイクル 実 用 化 研 究 開 発 (FaCTプロジ ェクト)の 一 環 として 先 進 湿 式 再 処 理 並 びに 乾 式 再 処 理 技 術 の 試 験 を 行 っている 17) 第 4 図 NUCEF のバックエンド 研 究 施 設 の αγ セル 2.5 リサイクル 機 器 試 験 施 設 (RETF) 高 速 炉 燃 料 再 処 理 に 関 して 経 済 性 と 信 頼 性 のあるプ ロセス エンジニアリング 技 術 を 確 立 するために 新 型 機 器 及 びプロセスを 確 証 する 試 験 施 設 として 計 画 され た 18) 保 守 設 備 を 備 えた 大 型 セルが 主 たる 試 験 設 備 であ り この 中 に 遠 隔 保 守 対 応 をした 機 器 類 を 取 り 付 けたラ ックを 設 置 する 方 式 である 試 験 機 器 には レーザ 切 断 式 燃 料 集 合 体 解 体 器 回 転 ドラム 型 連 続 式 溶 解 槽 遠 心 式 清 澄 機 遠 心 式 溶 媒 抽 出 器 電 解 槽 が 考 えられた 機 器 の 能 力 は 最 大 10 kg/h( 約 50 t/yの 施 設 規 模 に 相 当 )であ り 溶 解 と 溶 媒 抽 出 の 試 験 は 最 大 16 hの 運 転 が 想 定 され た 1995 年 に 建 設 工 事 が 開 始 され 試 験 等 と 関 連 する 内 装 の 工 事 ( 第 一 期 )が 終 了 したところで 計 画 は 中 断 して いる 施 設 の 外 観 を 第 6 図 に 示 す 2.4 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 (CPF) 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 (Chemical Processing Facility; CPF)は 高 速 炉 燃 料 の 再 処 理 に 関 し 使 用 済 み 燃 料 からの 分 離 技 術 と 高 放 射 性 廃 液 のガラス 固 化 技 術 の 研 究 を 行 うために 設 置 された 15) 施 設 の 外 観 を 第 5 図 に 示 す 第 6 図 リサイクル 機 器 試 験 施 設 の 外 観 1) 3. 海 外 返 還 委 託 第 5 図 高 レベル 放 射 性 物 質 研 究 施 設 の 外 観 分 離 とガラス 固 化 のそれぞれの 試 験 のために 5つずつ のセル(A 系 列 B 系 列 )を 備 える A 系 列 セルでは 燃 料 セルを 試 料 としてせん 断 溶 解 溶 媒 抽 出 ( 共 除 染 分 配 精 製 )を 行 い 回 収 したUとPuはグローブボック スにて 転 換 した 後 に 貯 蔵 する B 系 列 セルでは 東 海 再 JRR-2 JMTR と 京 都 大 学 原 子 炉 に 使 用 された 燃 料 は 米 国 政 府 から 賃 借 したものであったので 1966 年 から 米 国 原 子 力 委 員 会 のアイダホ 化 学 工 場 にて 再 処 理 を 行 うた めに 輸 送 された また わが 国 は 発 電 炉 の 使 用 済 み 燃 料 を 海 外 に 委 託 して きている 電 気 事 業 者 は 英 国 BNFL 及 びフランス COGEMA と 再 処 理 の 委 託 契 約 を 結 び 使 用 済 み 燃 料 を 輸 送 した 契 約 量 は 軽 水 炉 燃 料 について 両 社 に 約 ( 5 )
5,600 tu ガス 炉 燃 料 について BNFL に 約 1,500 tu であ り 2001 年 6 月 までに 契 約 の 全 量 が 輸 送 された 再 処 理 により 回 収 されたPuはわが 国 に 返 還 されるこ ととしており フランスからは1984 年 と1992 年 から1993 年 にかけて 行 われた 第 1 回 は1984 年 11 月 15 日 に 輸 送 され た また 第 2 回 では 約 1.1 tのpuが 輸 送 船 あかつき 丸 により 日 本 原 子 力 発 電 東 海 港 に 運 ばれ 旧 動 力 炉 核 燃 料 開 発 事 業 団 に 受 け 入 れられた 参 考 文 献 1) 原 子 力 の 研 究 開 発 及 び 利 用 に 関 する 長 期 計 画. 2) 六 ヶ 所 再 処 理 工 場 に 関 連 する 事 項 は 次 より 日 本 原 燃 株 式 会 社, 当 社 のあゆみ, 平 成 22 年 5 月 更 新. 3) 日 本 原 子 力 研 究 所 原 研 史 編 纂 委 員 会, 日 本 原 子 力 研 究 所 史, 日 本 原 子 力 研 究 所 (2005). 4) 三 森, 宮 島, デコミッショニング 技 報, 12, 49 58 (1995). 5) 動 燃 三 十 年 史 編 集 委 員 会, 動 燃 三 十 年 史, 動 力 炉 核 燃 料 開 発 事 業 団 (1998). 6) 河 田, JNC-TN1420 2005-002 (2005). 7) M. Koizumi, K. Ohtsuka, H. Ohshima, H. Isagawa, H. Akiyama, A. Todokoro, K. Naruki, J. Nucl. Sci. Technol., 20(7), 529-536 (1983). 8) 再 処 理 事 業 指 定 申 請 書. 9) 東 海 再 処 理 施 設 の 処 理 実 績, http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/tokai/center/saishori/ images/saisyori_jisseki.pdf 10) 動 燃 技 報, 第 55 号 (1985). 11) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構, 未 来 を 拓 く 原 子 力, 83 (2008). 12) 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構, 独 立 行 政 法 人 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 の 中 期 目 標 を 達 成 するための 計 画 ( 中 期 計 画 ), 平 成 22 年 4 月 1 日 ~ 平 成 27 年 3 月 31 日, 変 更 認 可 平 成 24 年 3 月 30 日 (2012). 13) NUCEF 実 験 計 画 検 討 グループ, JAERI-M 94-066 (1994). 14) Y. Morita, T. Asakura, H. Mineo, S. Hotoku, G. Uchiyama, JAERI-Conf 2005-007, 25 30 (2005). 15) 有 田, 動 力 炉 技 報, No. 27, 105 110 (1978). 16) 篠 原, 大 内, 根 本, 橋 本, 出 光, 樫 原, 堀 江, PNC-TN841 83-80 (1983). 17) 次 世 代 原 子 力 システム 研 究 開 発 部 門, JAEA-Evaluation 2011-003 (2011). 18) 小 島, 日 本 原 子 力 学 会 誌, 36(10), 911 918 (1994). 日 本 原 子 力 研 究 開 発 機 構 駒 義 和 (2013 年 4 月 15 日 ) ( 6 )