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Taro-事務処理要綱250820

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をしたことから, 原 告 が, 四 日 市 税 務 署 長 の 所 属 する 国 を 被 告 として, 本 件 再 更 正 処 分 のうち 課 税 総 所 得 金 額 2361 万 7000 円, 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 182 万 8105 円 を 超 える 部 分 及 び 本 件 賦 課 決 定 処 分 の 各 取 消 しを 求 める 事 案 である 1 関 係 法 令 の 定 め (1) 所 得 税 法 の 規 定 ア 所 得 税 法 33 条 1 項 は, 譲 渡 所 得 とは, 資 産 の 譲 渡 による 所 得 をいう 旨 規 定 し, 同 条 3 項 は, 譲 渡 所 得 の 金 額 は,その 年 中 の 当 該 所 得 に 係 る 総 収 入 金 額 から 当 該 所 得 の 基 因 となった 資 産 の 取 得 費 及 びその 資 産 の 譲 渡 に 要 した 費 用 の 額 の 合 計 額 を 控 除 し,その 残 額 の 合 計 額 から 譲 渡 所 得 の 特 別 控 除 額 を 控 除 した 金 額 とする 旨 規 定 している イ 所 得 税 法 34 条 1 項 は, 一 時 所 得 とは, 利 子 所 得, 配 当 所 得, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 給 与 所 得, 退 職 所 得, 山 林 所 得 及 び 譲 渡 所 得 以 外 の 所 得 の うち, 営 利 を 目 的 とする 継 続 的 行 為 から 生 じた 所 得 以 外 の 一 時 の 所 得 で 労 務 その 他 の 役 務 又 は 資 産 の 譲 渡 の 対 価 としての 性 質 を 有 しないものをい う 旨 規 定 している ウ 所 得 税 法 36 条 1 項 は,その 年 分 の 各 種 所 得 の 金 額 の 計 算 上 収 入 金 額 と すべき 金 額 又 は 総 収 入 金 額 に 算 入 すべき 金 額 は, 別 段 の 定 めがあるものを 除 き,その 年 において 収 入 すべき 金 額 ( 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 な 利 益 をもって 収 入 する 場 合 には,その 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 な 利 益 の 価 額 )とする 旨 規 定 している (2) 租 税 特 別 措 置 法 ( 平 成 22 年 法 律 第 6 号 による 改 正 前 のもの 以 下 同 じ ) ( 以 下 措 置 法 という )の 規 定 ア 措 置 法 37 条 の10 第 1 項 は, 平 成 16 年 1 月 1 日 以 後 にした 株 式 等 の 譲 渡 に 係 る 譲 渡 所 得 について, 他 の 所 得 と 区 分 して 当 該 譲 渡 所 得 の100 分 の15に 相 当 する 金 額 の 所 得 税 を 課 し, 損 失 の 金 額 がある 場 合 には 当 該 -2-

損 失 の 金 額 は 生 じなかったものとみなす 旨 規 定 している イ 措 置 法 37 条 の11の2 第 1 項 は, 平 成 13 年 9 月 30 日 以 前 から 引 き 続 き 所 有 していた 上 場 株 式 等 を 平 成 15 年 1 月 1 日 から 平 成 22 年 12 月 31 日 までの 間 に 譲 渡 した 場 合 の 収 入 金 額 から 控 除 する 取 得 費 は, 当 該 上 場 株 式 等 の 平 成 13 年 10 月 1 日 における 価 額 の100 分 の80に 相 当 する 金 額 とすることができる 旨 規 定 している 2 前 提 事 実 ( 証 拠 等 を 掲 記 していない 事 実 は 争 いがない ) (1) 本 件 譲 渡 原 告 は,B 社 に 対 し, 平 成 21 年 3 月 2 日 にA 社 株 式 112 万 株 を, 同 年 11 月 24 日 にA 社 株 式 31 万 7550 株 を,いずれも 市 場 外 における 相 対 取 引 により 代 金 1 株 当 たり550 円 で 譲 渡 した A 社 株 式 は,C 市 場 に 上 場 された 上 場 株 式 であるところ, 本 件 譲 渡 が 行 わ れた 日 の 同 市 場 における 終 値 ( 本 件 市 場 単 価 )は, 平 成 21 年 3 月 2 日 が2 90 円, 同 年 11 月 24 日 が426 円 であった (2) 課 税 処 分 等 の 経 緯 別 紙 2 課 税 処 分 等 の 経 緯 のとおり 3 被 告 の 主 張 する 各 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 別 紙 3 被 告 の 主 張 する 各 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 のとおり なお, 原 告 は, 後 記 4の 争 点 に 関 する 部 分 のほかに, 各 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 について 争 っていない 4 争 点 本 件 株 式 の 譲 渡 価 額 のうち, 本 件 市 場 単 価 を 基 に 算 出 された 本 件 株 式 の 評 価 額 を 超 える 部 分 ( 本 件 差 額 )を 原 告 の 譲 渡 所 得 ではなく 一 時 所 得 として 課 税 することの 適 否 5 争 点 についての 当 事 者 の 主 張 争 点 についての 当 事 者 の 主 張 の 要 旨 は, 以 下 のとおりである(より 詳 細 な 主 -3-

張 は, 後 記 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 中 の 適 宜 の 箇 所 に 記 載 する ) (1) 被 告 の 主 張 の 要 旨 ア 資 産 が 高 額 譲 渡 された 場 合 の 所 得 区 分 と 所 得 税 法 36 条 の 解 釈 所 得 税 法 における 譲 渡 所 得 課 税 は, 資 産 の 値 上 がり 益 を 課 税 対 象 とする ものであり, 対 価 を 伴 う 資 産 の 譲 渡 の 場 面 において, 譲 渡 価 額 の 全 額 が 総 収 入 金 額 に 算 入 されるのは, 当 該 譲 渡 価 額 が 自 由 競 争 原 理 の 下 で 価 格 形 成 要 因 を 取 り 込 んで 形 成 された 合 理 的 なものであり, 全 体 において 資 産 の 価 値 を 表 していることを 前 提 にしているからである したがって, 当 該 譲 渡 価 額 に 資 産 の 価 値 を 構 成 しない 合 理 的 根 拠 のない 金 額 が 含 まれているの であれば, 当 該 金 額 は 譲 渡 所 得 課 税 の 対 象 とはならない 譲 渡 所 得 につき, 所 得 税 法 36 条 1 項 に 基 づいて 課 税 対 象 となるのは, 対 価,すなわち 資 産 の 価 値 を 表 す 価 格 が 限 度 になると 解 されるのであって, 同 項 に 基 づいて 実 際 の 譲 渡 価 額 の 全 額 が 総 収 入 金 額 に 算 入 されるのは, 当 該 譲 渡 価 額 が 正 常 な 取 引,すなわち 自 由 競 争 の 原 理 の 下 で 形 成 されたもの として, 全 体 として 資 産 の 価 値 を 表 している 場 合 であり,そもそも 譲 渡 所 得 の 対 価 とならないものについては,これとは 別 に, 改 めて36 条 に 基 づ き 総 収 入 金 額 に 算 入 すべき 金 額 を 算 定 することとなる したがって, 個 人 がその 有 する 資 産 を 時 価 に 比 して 高 額 な 金 額 で 譲 渡 し た 場 合 における,その 実 際 の 譲 渡 価 額 とその 譲 渡 の 時 における 時 価 との 差 額 の 課 税 関 係 については,その 譲 渡 価 額 が 諸 般 の 事 情 に 照 らして 合 理 的 な 根 拠 に 基 づくものと 認 められるときは, 実 際 の 譲 渡 価 額 を 収 入 金 額 とする が,その 資 産 の 譲 渡 の 機 会 にその 譲 渡 の 相 手 方 である 法 人 から 実 質 的 に 贈 与 を 受 けたと 認 められるときは, 原 則 として, 譲 渡 所 得 等 の 金 額 は, 通 常 の 取 引 価 額 に 相 当 する 部 分 の 金 額 を 収 入 金 額 とし, 実 質 的 に 贈 与 等 を 受 け たと 認 められる 部 分 の 金 額 については,その 譲 渡 をした 者 の 一 時 所 得 等 の 収 入 金 額 とされる -4-

イ 上 場 株 式 の 高 額 譲 渡 の 場 合 の 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 の 認 定 方 法 上 場 株 式 を 譲 渡 した 場 合 における 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 に 計 上 すべき 上 場 株 式 の 対 価 の 額 は, 株 式 の 取 引 が 公 正 な 価 格 により 円 滑 かつ 迅 速 に 行 わ れるための 流 通 機 構 として 証 券 取 引 所 が 存 在 していることからすると, 資 産 の 客 観 的 交 換 価 値 を 当 事 者 間 で 証 券 取 引 所 の 価 格 によらないことがあ らかじめ 約 定 されていたとしても, 当 事 者 間 の 取 引 価 格 が 合 理 的 であると 客 観 的 に 判 断 されるような 特 段 の 事 情 が 認 められる 場 合 を 除 き, 証 券 取 引 所 における 終 値 によるのが 相 当 である しかるに, 原 告 は, 自 らが 実 質 的 なオーナーとして 最 終 的 な 決 定 権 を 持 つB 社 との 間 で 相 対 取 引 を 行 えば, 自 己 に 都 合 の 良 い 金 額 で 譲 渡 すること が 可 能 であることを 奇 貨 として, 本 件 株 式 の 譲 渡 により, 課 税 されること なく 自 らの 借 入 金 の 返 済 及 び 相 続 税 の 納 付 のための 資 金 を 獲 得 するため, その 一 存 で, 本 件 株 式 の 客 観 的 交 換 価 値 である 本 件 市 場 単 価 に 合 理 的 根 拠 なく 金 額 を 上 乗 せして 本 件 取 引 単 価 を 設 定 したものである このように, 本 件 取 引 単 価 は 競 争 原 理 が 働 いて 形 成 されたものではなく, 本 件 譲 渡 の 時 価 を 判 断 するに 当 たり, 上 場 株 式 の 適 正 価 格 である 市 場 価 格 によらないこ との 特 段 の 事 情 は 認 められない そうすると, 上 場 株 式 の 適 正 価 格 である 本 件 市 場 単 価 と 本 件 取 引 単 価 と の 差 額,すなわち, 本 件 差 額 は, 本 件 株 式 の 対 価 としての 客 観 的 交 換 価 値 に 含 まれるものではなく, 本 件 譲 渡 に 乗 じて,B 社 から 原 告 へ 資 金 を 移 し, それにより 原 告 の 個 人 的 な 借 入 金 の 返 済 等 をすべく 行 われた,B 社 から 原 告 への 資 金 提 供,すなわち 贈 与 であると 認 められる このように, 本 件 差 額 は, 税 法 上 の 譲 渡 対 価 とはなり 得 ない したがって, 本 件 差 額 は, 本 件 譲 渡 日 において, 原 告 が 法 人 であるB 社 からの 贈 与 により 取 得 した 金 品 であるから 所 得 税 の 課 税 対 象 となり,その 所 得 区 分 は, 利 子 所 得, 配 当 所 得, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 給 与 所 得, 退 -5-

職 所 得, 山 林 所 得 及 び 譲 渡 所 得 のいずれの 所 得 にも 該 当 せず, 営 利 を 目 的 とする 継 続 的 行 為 から 生 じた 所 得 以 外 の 一 時 の 所 得 で, 労 務 その 他 の 役 務 又 は 資 産 の 譲 渡 の 対 価 としての 性 質 を 有 しないものであるから, 所 得 税 法 34 条 2 項 に 規 定 する 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 に 計 上 すべき 金 額 となる なお, 本 件 譲 渡 は, 外 観 ないし 形 式 は 単 なる 本 件 株 式 の 売 買 契 約 である が,その 実 体 ないし 実 質 は 本 件 株 式 の 本 件 市 場 単 価 に 基 づく 適 正 な 対 価 としての 価 額 に, 原 告 の 借 入 金 等 の 返 済 等 に 必 要 となる 資 金 の 確 保 が 可 能 となるよう 金 額 を 上 乗 せして 決 定 された 価 格 による 本 件 株 式 の 売 買 契 約 であると 解 される (2) 原 告 の 主 張 の 要 旨 ア 資 産 が 高 額 譲 渡 された 場 合 の 所 得 区 分 と 所 得 税 法 36 条 の 解 釈 所 得 税 法 36 条 は, 収 入 金 額 を, 金 銭 をもって 収 入 する 場 合 は そ の 年 において 収 入 すべき 金 額 とすることを 基 本 としつつ, 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 な 利 益 をもって 収 入 する 場 合 ( 同 条 1 項 括 弧 書 き)について, 特 に 当 該 物 若 しくは 権 利 を 取 得 し, 又 は 当 該 利 益 を 享 受 する 時 における 価 額 ( 同 条 2 項 ),すなわち, 時 価 を 基 礎 として 算 定 す る 旨 規 定 している そして, 金 銭 をもって 収 入 する 場 合 の その 年 におい て 収 入 すべき 金 額 は, 別 段 の 定 め がない 限 り, 現 実 に 収 受 されるべ き 金 銭 を 指 す したがって, 金 銭 をもって 対 価 が 支 払 われる 譲 渡 契 約 譲 渡 取 引 については, 別 段 の 定 め がない 限 り, 当 該 譲 渡 契 約 に 定 めた 譲 渡 価 額 そのものが 収 入 金 額 となる そして, 所 得 税 法 は, 上 記 の 別 段 の 定 め として,59 条 1 項 1 号 ( 法 人 に 対 する 贈 与 等 ) 及 び2 号 ( 法 人 に 対 する 著 しく 低 い 価 額 での 譲 渡 )な どを 置 き,これらの 場 合 は, 総 収 入 金 額 は 時 価 を 基 準 として 算 定 されるこ とになるが, 法 人 に 対 する 高 い 価 額 での 譲 渡 の 場 合 については, 特 に 定 め た 規 定 はない -6-

譲 渡 所 得 の 総 収 入 金 額 についての 特 別 な 規 定 ( 別 段 の 定 め)がないにも かかわらず, 譲 渡 所 得 課 税 の 趣 旨 のみを 根 拠 として, 解 釈 により, 時 価 を 基 礎 として 総 収 入 金 額 を 算 定 することは, 租 税 法 律 主 義 に 反 し, 許 されな い イ 上 場 株 式 の 高 額 譲 渡 の 場 合 の 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 の 認 定 方 法 仮 に 株 式 を 譲 渡 した 場 合 の 売 主 の 収 入 金 額 が 当 該 株 式 の 時 価 をもって 算 出 されるとしても, 上 場 株 式 の 時 価 は 必 ずしも 市 場 価 格 に 限 定 されるも のではなく, 個 々の 取 引 ごとに 売 買 の 当 事 者 が 合 意 決 定 した 価 格 も 時 価 となり 得 る 本 件 取 引 単 価 は, 原 告 及 びB 社 が,A 社 の1 株 当 たり 純 資 産 額, 本 件 譲 渡 株 式 数, 当 時 の 株 式 市 場 の 状 況 等 を 考 慮 した 上 で 合 意 決 定 した 金 額 であり, 客 観 的 に 合 理 的 な 範 囲 内 の 金 額 である 被 告 は, 本 件 差 額 がB 社 から 原 告 に 贈 与 された 旨 主 張 するが, 被 告 も 認 めるとおり, 本 件 譲 渡 は, 本 件 取 引 単 価 を 売 買 価 格 とする1 個 の 売 買 契 約 であるから,このような 原 告 とB 社 間 の 私 法 上 の 合 意 内 容 や 法 形 式 を 無 視 した 恣 意 的 一 方 的 認 定 は 許 されない 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 1 資 産 が 高 額 譲 渡 された 場 合 の 所 得 区 分 と 所 得 税 法 36 条 の 解 釈 (1) 所 得 税 法 は, 利 子 所 得, 配 当 所 得, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 給 与 所 得, 退 職 所 得, 山 林 所 得, 譲 渡 所 得 及 び 一 時 所 得 という 所 得 区 分 を 設 けるほか( 同 法 23 条 ないし34 条 ),それらに 含 まれない 所 得 を 全 て 雑 所 得 として 課 税 の 対 象 としており( 同 法 35 条 ), 人 の 担 税 力 を 増 加 させる 経 済 的 利 得 は 全 て 所 得 を 構 成 するという 包 括 的 所 得 概 念 を 採 用 して, 所 得 がその 性 質 や 発 生 の 態 様 によって 担 税 力 が 異 なるという 前 提 に 立 って, 公 平 負 担 の 観 点 から, 各 種 の 所 得 について,それぞれの 担 税 力 に 応 じた 計 算 方 法 を 定 め,また,そ れぞれの 態 様 に 応 じた 課 税 方 法 を 定 めるために, 所 得 をその 源 泉 ないし 性 質 によって10 種 類 に 分 類 している -7-

また, 所 得 税 法 は, 所 得 金 額 の 計 算 の 通 則 として 同 法 36 条 を 置 き, 同 条 1 項 は,その 年 分 の 各 種 所 得 の 総 収 入 金 額 に 算 入 すべき 金 額 は, 別 段 の 定 め があるものを 除 き,その 年 において 収 入 すべき 金 額 ( 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 な 利 益 をもって 収 入 する 場 合 には,その 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 な 利 益 の 価 額 )とする 旨 規 定 している (2) 所 得 税 法 33 条 1 項 は, 譲 渡 所 得 とは, 資 産 の 譲 渡 による 所 得 をいう 旨 規 定 し, 同 条 3 項 は, 譲 渡 所 得 の 金 額 は,その 年 中 の 当 該 所 得 に 係 る 総 収 入 金 額 から 当 該 所 得 の 基 因 となった 資 産 の 取 得 費 及 びその 資 産 の 譲 渡 に 要 し た 費 用 の 額 の 合 計 額 を 控 除 し,その 残 額 の 合 計 額 から 譲 渡 所 得 の 特 別 控 除 額 を 控 除 した 金 額 とする 旨 規 定 している そして, 譲 渡 所 得 に 対 する 課 税 は, 資 産 の 値 上 がりによりその 資 産 の 所 有 者 に 帰 属 する 増 加 益 を 所 得 として,その 資 産 が 所 有 者 の 支 配 を 離 れて 他 に 移 転 するのを 機 会 に,これを 清 算 して 課 税 する 趣 旨 のものであり( 最 高 裁 昭 和 47 年 12 月 26 日 第 三 小 法 廷 判 決 民 集 26 巻 10 号 2083 頁, 最 高 裁 昭 和 50 年 5 月 27 日 第 三 小 法 廷 判 決 民 集 29 巻 5 号 641 頁 参 照 ), 売 買 交 換 等 によりその 資 産 の 移 転 が 対 価 の 受 入 れを 伴 うときは, 上 記 増 加 益 が 対 価 のうちに 具 体 化 されるので, 法 はこれを 課 税 の 対 象 としてとらえたもの であると 解 される そうすると, 有 償 の 譲 渡 が 行 われる 場 合 において 譲 渡 所 得 として 課 税 される 対 象 は, 当 該 資 産 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 する 金 額 であると 解 することが 相 当 である したがって, 個 人 がその 有 する 資 産 を 有 償 で 譲 渡 した 場 合 であっても, 当 該 譲 渡 金 額 中 に 当 該 資 産 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 しない 部 分 があるときは, 当 該 部 分 は, 譲 渡 所 得 の 課 税 対 象 で はないこととなる (3) 所 得 税 法 34 条 は, 一 時 所 得 とは, 利 子 所 得, 配 当 所 得, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 給 与 所 得, 退 職 所 得, 山 林 所 得 及 び 譲 渡 所 得 以 外 の 所 得 のうち, 営 利 を 目 的 とする 継 続 的 行 為 から 生 じた 所 得 以 外 の 一 時 の 所 得 で 労 務 その -8-

他 の 役 務 又 は 資 産 の 譲 渡 の 対 価 としての 性 質 を 有 しないものをいう 旨 規 定 している そうすると, 資 産 の 譲 渡 の 対 価 としての 性 質 を 有 しないもの, 例 えば, 法 人 からの 贈 与 により 取 得 する 金 品 ( 業 務 に 関 して 受 けるもの 及 び 継 続 的 に 受 けるものを 除 く )は, 一 時 所 得 たる 性 質 を 有 することとなる (4) 以 上 によれば, 個 人 がその 有 する 資 産 を 法 人 に 対 して 有 償 で 譲 渡 した 場 合 における 課 税 関 係 は, 当 該 譲 渡 価 額 が, 当 該 資 産 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 する 限 りにおいて, 譲 渡 所 得 に 係 る 収 入 金 額 として 課 税 されるが, 当 該 譲 渡 価 額 中 に 当 該 資 産 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 しておらず, 法 人 か ら 贈 与 された 金 品 ( 業 務 に 関 して 受 けるもの 及 び 継 続 的 に 受 けるものを 除 く 以 下 同 じ )としての 性 格 を 有 する 部 分 があると 認 められるときは, 当 該 部 分 の 金 額 については, 一 時 所 得 に 係 る 収 入 金 額 として 課 税 されるべきことと なる そして, 譲 渡 する 資 産 が 上 場 株 式 であるときは,その 譲 渡 価 額 がその 資 産 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 しているかどうかは, 当 該 上 場 株 式 の 市 場 価 格, 当 該 取 引 の 動 機 ないし 目 的, 当 該 取 引 における 価 格 の 決 定 の 経 緯, 当 該 価 格 の 合 理 性 などの 諸 点 に 照 らして 判 断 すべきものと 解 される (5) これに 対 し, 原 告 は, 金 銭 をもって 収 入 する 場 合 の その 年 において 収 入 すべき 金 額 ( 所 得 税 法 36 条 1 項 )は, 現 実 に 収 受 されるべき 金 銭 を 指 すものであり, 金 銭 をもって 対 価 が 支 払 われる 譲 渡 契 約 については, 当 該 譲 渡 契 約 に 定 めた 譲 渡 価 額 が 直 ちに 譲 渡 所 得 における 収 入 金 額 となると 解 す べきであると 主 張 する しかしながら, 前 記 (1)のとおり, 所 得 税 法 は, 所 得 をその 源 泉 ないし 性 質 によって10 種 類 に 分 類 して 課 税 することとしているのであり, 所 得 税 法 36 条 は,この 分 類 を 前 提 として 性 質 が 決 定 された 各 種 所 得 につき, 所 得 金 額 の 計 算 の 通 則 として,その 年 分 の 各 種 所 得 の 総 収 入 金 額 に 算 入 すべき 金 額 の 算 定 方 法 を 定 めたものにすぎない 同 条 の 規 定 は, 所 得 としての 性 質 決 定 -9-

を 経 た 上 で 適 用 されるものであるから, 同 条 の 規 定 の 存 在 は, 上 記 (4)で 判 示 したような 所 得 の 性 質 決 定 を 妨 げるものではない したがって, 原 告 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない 2 認 定 事 実 前 記 前 提 事 実 並 びに 後 掲 各 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 以 下 の 事 実 が 認 められる (1) 原 告 とB 社 との 関 係 ア B 社 は, 石 油,ガスその 他 燃 料 類 の 販 売 等 を 目 的 とする 株 式 会 社 であり, D 株 式 会 社 が 平 成 16 年 5 月 に 株 式 会 社 Bを 吸 収 合 併 し, 同 年 6 月 1 日 に 商 号 をD 株 式 会 社 から 株 式 会 社 Bに 変 更 したものである( 乙 5の1ないし 4) イ 原 告 は,D 株 式 会 社 の 昭 和 55 年 7 月 設 立 当 時 から 同 社 の 代 表 取 締 役 を 務 め, 平 成 14 年 4 月 10 日 に 代 表 取 締 役 を 一 旦 辞 任 したが, 上 記 の 吸 収 合 併 及 び 商 号 変 更 を 経 たB 社 の 取 締 役 に, 平 成 18 年 8 月 10 日 に 就 任 し た 原 告 は, 財 務 副 大 臣 に 就 任 する 直 前 である 平 成 20 年 7 月 31 日 に 同 社 の 取 締 役 を 辞 任 したが, 財 務 副 大 臣 を 辞 任 した 後 の 平 成 23 年 5 月 25 日 に 再 び 取 締 役 に 就 任 し, 平 成 24 年 4 月 23 日 には 代 表 取 締 役 に 就 任 し た( 乙 5の1ないし4) 本 件 譲 渡 が 行 われた 平 成 21 年 当 時 のB 社 の 代 表 取 締 役 は,E 及 び 原 告 の 妻 であるFであったが( 乙 5の1), 原 告 は,B 社 の 実 質 的 なオーナー として, 取 締 役 退 任 中 も 就 任 中 と 同 様 に 経 営 に 関 与 し, 同 社 の 経 営 上 の 意 思 決 定 に 強 い 影 響 力 を 有 していた( 乙 7 答 2, 乙 8 答 6) ウ B 社 の 発 行 済 株 式 の 総 数 は17 万 株 であるところ( 乙 5の1), 原 告 は, 本 件 3 月 譲 渡 の 時 点 において, 発 行 済 株 式 総 数 の90% 以 上 に 当 たる15 万 4000 株 を 保 有 していた( 乙 6の1 2 枚 目 ) 原 告 は, 本 件 11 月 譲 渡 の 時 点 では,B 社 の 株 式 を 保 有 していなかったが, 保 有 していた 株 式 -10-

の 全 てを 原 告 の 妻 子 に 贈 与 していた( 乙 6の2 2 枚 目 ) (2) 本 件 譲 渡 に 係 る 原 告 の 意 図 ないし 動 機 ア 原 告 は, 本 件 3 月 譲 渡 が 行 われた 平 成 21 年 3 月 末 時 点 において,1 株 式 会 社 G 銀 行 H 支 店 ( 以 下 G 銀 行 という )から1 億 8300 万 円 ( 乙 12 8 枚 目 )を,2 株 式 会 社 I 銀 行 本 店 営 業 部 ( 以 下 I 銀 行 といい, G 銀 行 と 併 せて 本 件 各 金 融 機 関 という )から1 億 7410 万 円 ( 乙 13 6 枚 目 )を 借 り 入 れており( 以 下, 原 告 のG 銀 行 からの 借 入 金 を G 銀 行 原 告 借 入 金 といい, 原 告 のI 銀 行 からの 借 入 金 を I 銀 行 原 告 借 入 金 という ), 上 記 各 借 入 金 の 担 保 として,A 社 株 式 をG 銀 行 に63 万 株,I 銀 行 に37 万 株 を 差 し 入 れていた( 乙 14,15) また, 原 告 は,B 社 からも2 億 0521 万 8580 円 を 借 り 入 れていた ( 乙 16の1 及 び2) イ 原 告 の 実 父 Jは, 平 成 年 月 日 に 死 亡 し, 原 告 は, 平 成 年 月 日 までに 相 続 税 を 納 付 する 必 要 があった ウ 原 告 は,A 社 株 式 を 売 却 することにより,その 譲 渡 代 金 をもって, 上 記 アの 借 入 金 を 解 消 し, 上 記 イの 相 続 税 を 納 付 したいという 意 図 ないし 動 機 を 有 していた (3) 本 件 譲 渡 による 債 務 解 消 スキーム 原 告 は, 平 成 20 年 11 月,G 銀 行 に 対 し, 原 告 の 債 務 全 額 をB 社 に 引 き 受 けさせ,B 社 を 原 告 の 資 産 管 理 会 社 にしたい,その 際, 原 告 が 保 有 するA 社 株 式 をB 社 に 現 物 出 資 し,B 社 の 債 務 超 過 状 態 を 解 消 することとしたい 旨 の 申 入 れをした( 乙 9 答 2, 乙 33 1 枚 目 ) 原 告 が 申 し 入 れた 上 記 スキームは,A 社 株 式 63 万 株 の 現 物 出 資 によりB 社 の 資 本 金 が 増 資 されることから,B 社 がその 信 用 を 基 にG 銀 行 からG 銀 行 原 告 借 入 金 と 同 額 の 融 資 を 受 け, 当 該 融 資 金 を 原 告 に 貸 し 付 け, 原 告 がB 社 から 貸 し 付 けられた 資 金 によってG 銀 行 原 告 借 入 金 を 返 済 するというもの -11-

であった しかし,このスキームによると, 原 告 の 借 入 先 がG 銀 行 からB 社 に 替 わる だけであり, 原 告 の 債 務 は 解 消 されないことから, 原 告 は, 平 成 21 年 2 月, G 銀 行 に 対 し,E 及 びB 社 の 顧 問 税 理 士 であるK 税 理 士 を 通 じて, 原 告 の 債 務 解 消 のスキームを, 上 記 現 物 出 資 ではなく, 本 件 株 式 を 措 置 法 37 条 の1 1の2 第 1 項 所 定 のみなし 取 得 価 額 でB 社 に 売 却 し,その 代 金 で 借 入 金 を 返 済 するスキームに 変 更 したい 旨 の 申 入 れを 行 い,その 後,G 銀 行 から 上 記 ス キームについて 了 承 を 得 た( 乙 9 答 2, 乙 33 9 枚 目 ) 上 記 のスキームにより 原 告 の 債 務 を 解 消 するためには, 原 告 は, 本 件 株 式 の 譲 渡 価 格 を 最 低 でも 自 己 の 借 入 金 額 を 上 回 る 金 額 とする 必 要 があった( 乙 8 答 9) (4) 本 件 取 引 単 価 の 決 定 の 経 緯 ア 原 告,E 及 びK 税 理 士 は, 平 成 21 年 1 月 24 日,A 社 株 式 の 譲 渡 につ いて 協 議 した 原 告 は,A 社 株 式 の 市 場 単 価 の 動 向 や 業 績, 純 資 産 価 格, 原 告 が 平 成 2 年 に77 万 株 を 取 得 したときの 単 価 等 から, 相 場 価 格 自 体 が 安 すぎると 考 えており,A 社 株 式 を1 株 1000 円 でB 社 に 譲 渡 したい 旨 の 希 望 を 述 べ た これに 対 し,K 税 理 士 は,A 社 株 式 が 上 場 株 式 であり, 当 時 の 相 場 が 200 円 台 後 半 であったことから,1 株 1000 円 の 譲 渡 価 格 は 高 すぎる として, 課 税 上 の 問 題 が 生 じることを 指 摘 した ( 甲 15 4 頁 ないし6 頁, 甲 16 3 頁 ないし4 頁, 乙 7 答 3, 乙 8 答 2) イ K 税 理 士 の 指 摘 を 受 けて, 原 告 は, 財 務 省 のL 秘 書 官 に 対 し, 上 場 株 式 の 相 対 取 引 の 場 合 の 課 税 関 係 について 確 認 を 依 頼 した そうしたところ, 平 成 21 年 2 月 6 日,L 秘 書 官 から, 国 税 庁 に 確 認 した 結 果 として, 一 般 論 としては, 株 式 を 時 価 を 超 える 価 格 で 売 却 した 場 合 には, 時 価 に 相 当 す る 金 額 が 譲 渡 所 得 として 課 税 され, 時 価 を 超 える 部 分 の 金 額 は, 一 時 所 得 -12-

( 場 合 によっては 雑 所 得 又 は 給 与 所 得 )として 課 税 されること, 上 場 株 式 の 時 価 について, 基 本 的 には 取 引 所 価 格 が 時 価 となるものの, 個 々の 取 引 ごとに 個 別 の 事 情 等 がある 場 合 には, 取 引 所 価 格 を 基 準 として 個 別 の 事 情 等 を 勘 案 して 時 価 を 判 定 することになる(ケース バイ ケースである) 旨 の 報 告 を 受 けた( 甲 15 6 頁 ないし7 頁, 乙 11 別 紙 8) ウ 原 告 は, 平 成 21 年 2 月 9 日,L 秘 書 官 からの 報 告 内 容 をK 税 理 士 に 伝 えた( 乙 11 別 紙 8) K 税 理 士 が, 本 件 株 式 は 平 成 13 年 9 月 30 日 以 前 に 取 得 されていたもので,みなし 取 得 価 額 の 特 例 に 該 当 し, 平 成 13 年 10 月 1 日 の 終 値 の80%である1 株 568 円 で 取 引 すれば, 株 式 譲 渡 に 係 る 所 得 税 が 課 税 されないことを 原 告 に 伝 えたところ, 原 告 は, その 金 額 ならいい と 述 べ, 同 月 10 日,K 税 理 士 に 対 し, 1 大 量 の 株 の 取 得 がB 社 の 営 業 に 有 用 である 2 百 万 株 単 位 の 取 得 は 通 常 であれば150 0~2000 円 と 思 われるが 現 在 価 格 300 円 の 倍 の600 円 ぐらいで どうか 3 私 の 取 得 原 価 についても 念 の 為 568 円 を 確 認 してほしい として, 上 記 みなし 取 得 価 額 が568 円 で 誤 りがないかについての 確 認 と, 本 件 株 式 の 取 引 単 価 を600 円 とすることの 妥 当 性 を 四 日 市 税 務 署 に 至 急 確 認 するよう 指 示 をした( 甲 15 7 頁, 乙 8 答 2, 乙 11 別 紙 9) エ K 税 理 士 が, 平 成 21 年 2 月 12 日, 四 日 市 税 務 署 に 相 談 をしたところ, 株 式 の 時 価 算 定 には 合 理 的 な 根 拠 が 必 要 であり,これがない 場 合 には, 売 却 金 額 と 時 価 との 差 額 に 利 益 供 与 等 の 問 題 が 発 生 するとの 説 明 を 受 けた ( 甲 15 7 頁, 乙 8 答 2) K 税 理 士 は,568 円 はみなし 取 得 価 額 そのものであるし,これに 近 い 金 額 でなければ 原 告 も 納 得 しないことから, 端 数 を 切 った550 円 を 売 主 買 主 双 方 が 納 得 した 金 額 とすればよいと 考 え, 原 告 にその 金 額 を 確 認 した ところ, 原 告 は 本 件 取 引 単 価 を550 円 とすることを 了 承 した( 乙 8 答 2) -13-

オ Eは, 原 告 から 本 件 取 引 単 価 が 示 されたことを 受 け,B 社 が 原 告 からA 社 株 式 を 本 件 取 引 単 価 で 購 入 することを 各 取 締 役 に 個 別 に 説 明 し, 各 取 締 役 から 承 諾 を 得 た( 乙 7 答 5) なお, 本 件 3 月 譲 渡 について,Eから 本 件 株 式 の 指 値 をしたことはなか った( 乙 8 答 6, 乙 10 答 2) カ 原 告 は 実 父 の 相 続 税 を 納 付 する 資 金 が 足 りなかったことから, 本 件 11 月 譲 渡 をすることにしたが,その 際 の 取 引 単 価 も, 原 告 の 申 入 れに 基 づき, 本 件 3 月 譲 渡 と 同 じ1 株 550 円 とされた ( 甲 15 8 頁 ないし9 頁, 甲 16 7 頁, 乙 8 答 10, 乙 11 答 9) (5) 本 件 譲 渡 原 告 は,B 社 に 対 し, 平 成 21 年 3 月 2 日 にA 社 株 式 112 万 株 を, 同 年 11 月 24 日 にA 社 株 式 31 万 7550 株 を,いずれも 市 場 外 における 相 対 取 引 により 代 金 1 株 当 たり550 円 で 譲 渡 した C 市 場 における 各 日 の 終 値 は, 本 件 3 月 譲 渡 時 が290 円, 本 件 11 月 譲 渡 時 が426 円 であった (6) 売 買 代 金 の 決 済 状 況 及 び 代 金 の 使 途 ア 本 件 3 月 譲 渡 に 係 る 譲 渡 代 金 の 使 途 等 (ア) 原 告 の 本 件 各 金 融 機 関 からの 借 入 金 の 返 済 B 社 は, 平 成 21 年 7 月 31 日 にI 銀 行 から1 億 7400 万 円, 同 年 8 月 19 日 にG 銀 行 から1 億 7800 万 円 の 融 資 を 受 け( 乙 13 4 枚 目, 乙 12 5 枚 目 ),それらの 金 員 を 本 件 3 月 譲 渡 の 譲 渡 代 金 として, 融 資 を 受 けた 日 のうちに 原 告 に 支 払 い,すなわち, 同 年 7 月 31 日 に1 億 7463 万 6536 円 を, 同 年 8 月 19 日 に1 億 7800 万 円 を 原 告 に 支 払 った( 乙 13 3 枚 目, 乙 12 3 枚 目, 乙 17) 原 告 は,B 社 から 支 払 を 受 けた 上 記 金 員 によって, 同 年 7 月 31 日 にI 銀 行 原 告 借 入 金 の 全 額 を, 同 年 8 月 19 日 にG 銀 行 原 告 借 入 金 の 全 額 をそれぞれ 返 済 した( 乙 13 5 枚 目 及 び6 枚 目, 乙 12 7 枚 目 及 び8 枚 目 ) -14-

また, 原 告 が 本 件 各 金 融 機 関 からの 借 入 れの 担 保 として 差 し 入 れてい たA 社 株 式 100 万 株 (G 銀 行 63 万 株,I 銀 行 37 万 株 )は, 本 件 3 月 譲 渡 によりB 社 が 取 得 したが,B 社 は 当 該 株 式 を 本 件 各 金 融 機 関 に 対 し, 原 告 が 借 り 入 れていた 借 入 金 と 同 様 に, 上 記 融 資 の 担 保 としてG 銀 行 に63 万 株 を,I 銀 行 に37 万 株 をそれぞれ 差 し 入 れた( 乙 18,1 9) 当 時,B 社 は 債 務 超 過 の 状 態 にあり, 本 件 各 金 融 機 関 から 融 資 を 受 け るには, 本 件 譲 渡 によって 得 たA 社 株 式 を 担 保 に 入 れなければならなか ったところ, 前 記 のとおり,A 社 株 式 は 原 告 の 本 件 各 金 融 機 関 に 対 する 借 入 債 務 の 担 保 に 供 されていたことから,B 社 は, 原 告 の 本 件 各 金 融 機 関 からの 借 入 金 返 済 分 とほぼ 同 額 の 融 資 しか 受 けることができなかっ た( 乙 6の1, 乙 8 答 8) (イ) 原 告 のB 社 からの 借 入 金 の 返 済 原 告 は, 平 成 21 年 3 月 31 日, 本 件 3 月 譲 渡 によってB 社 に 計 上 さ れた 原 告 への 未 払 金 と 相 殺 することにより, 原 告 のB 社 からの 借 入 金 の 全 額 を 返 済 した( 乙 6の1 3 枚 目, 乙 16の1 及 び2) (ウ) B 社 の 未 払 金 本 件 3 月 譲 渡 の 譲 渡 代 金 から 上 記 (ア)の 支 払 額 と 上 記 (イ)の 相 殺 に 供 された 額 を 控 除 した 残 額 は,B 社 の 原 告 に 対 する 未 払 金 とされた( 乙 8 答 7) イ 本 件 11 月 譲 渡 に 係 る 譲 渡 代 金 の 使 途 等 (ア) 相 続 税 の 納 付 B 社 は, 平 成 21 年 12 月 4 日,G 銀 行 から7000 万 円 の 融 資 を 受 け( 乙 12 4 枚 目 及 び6 枚 目 ), 同 日, 本 件 11 月 譲 渡 の 代 金 として, 上 記 融 資 金 額 と 同 額 の7000 万 円 を 原 告 名 義 の 株 式 会 社 M 銀 行 N 支 店 普 通 預 金 ( 口 座 番 号 )に 振 り 込 んだ( 乙 17, 乙 20 1 枚 目 ) -15-

そして, 同 日, 同 口 座 から,7052 万 3900 円 が 出 金 され( 乙 20 2 枚 目 ), 原 告 の 相 続 税 の 納 付 が 行 われた( 乙 21 3 枚 目 ) なお, 上 記 G 銀 行 からの 融 資 7000 万 円 は,Eが 原 告 の 相 続 税 の 納 税 資 金 として 融 資 を 申 し 込 んだものであり,G 銀 行 からは, 当 該 融 資 の 条 件 として, 債 務 者 ( 借 入 先 )はB 社 とすること, 並 びに 原 告 が 相 続 す るA 社 株 式 30 万 株 及 びB 社 名 義 のA 社 株 式 を 一 部 担 保 として 差 し 入 れることが 条 件 であると 提 示 された( 乙 22) B 社 は, 上 記 提 示 を 了 承 して, 当 該 条 件 のとおり 債 務 者 となって 融 資 を 受 け, 本 件 譲 渡 によっ て 同 社 が 取 得 した30 万 株 を 含 むA 社 株 式 35 万 株 を 担 保 として 差 し 入 れた( 乙 18) (イ) B 社 の 未 払 金 本 件 11 月 譲 渡 の 譲 渡 代 金 から 上 記 (ア)の 支 払 額 を 控 除 した 残 額 1 億 0465 万 2500 円 は,B 社 の 原 告 に 対 する 未 払 金 とされた( 乙 8 答 10) 3 検 討 (1) 前 記 2の 認 定 事 実 によれば,1A 社 株 式 はC 市 場 に 上 場 されており, 同 市 場 におけるA 社 株 式 の 終 値 ( 本 件 市 場 単 価 )は, 本 件 3 月 譲 渡 時 が290 円, 本 件 11 月 譲 渡 時 が426 円 であったこと,2 原 告 は, 自 己 の 借 入 債 務 の 解 消 及 び 相 続 税 の 納 付 に 必 要 な 資 金 を 調 達 するという 目 的 を 実 現 するために 本 件 譲 渡 を 企 図 したこと,3 原 告 は,A 社 株 式 に 係 る 市 場 価 格 が 安 すぎると して, 当 初 1 株 1000 円 での 譲 渡 を 希 望 したが,K 税 理 士 から 市 場 価 格 を 大 きく 上 回 る 価 格 での 譲 渡 には 課 税 上 問 題 がある 旨 を 指 摘 されたことから, 本 件 株 式 のみなし 取 得 価 額 (568 円 )を 基 準 として 本 件 取 引 単 価 を550 円 と 決 定 したものであり, 本 件 取 引 単 価 によっても, 上 記 2の 目 的 を 実 現 す るに 足 りる 資 金 調 達 が 可 能 であったことが 認 められる さらに,4 原 告 は, B 社 の 実 質 的 なオーナーとして, 同 社 の 経 営 上 の 意 思 決 定 に 強 い 影 響 力 を 有 -16-

していたことからすると,B 社 における 本 件 株 式 の 価 格 決 定 には 原 告 の 意 向 が 強 く 反 映 されたことが 推 認 される 他 方,5 後 記 (2)ア(イ)で 判 示 すると おり, 当 時 債 務 超 過 の 状 態 にあったB 社 に, 多 額 の 借 入 れをしてまで 市 場 価 格 よりも 高 い 価 格 で 本 件 株 式 を 購 入 すべき 事 情 があったとは 認 められない これらの 点 を 総 合 勘 案 すれば, 原 告 は, 自 己 の 借 入 金 の 返 済 及 び 相 続 税 の 納 付 のために 必 要 な 一 定 規 模 の 資 金 を 調 達 するという 目 的 を 達 成 するため の 手 段 として, 本 件 譲 渡 時 におけるA 社 株 式 の 市 場 価 格 の 水 準 ( 本 件 市 場 単 価 )をあえて 無 視 して, 本 件 市 場 単 価 に 一 定 の 金 額 を 上 乗 せして 本 件 取 引 単 価 を 設 定 し, 本 件 譲 渡 を 行 ったものと 認 めることができる そして, 以 上 のような 本 件 株 式 の 市 場 価 格, 本 件 譲 渡 の 動 機 ないし 目 的, 本 件 譲 渡 における 価 格 の 決 定 の 経 緯, 当 該 価 格 の 合 理 性 などの 諸 点 に 照 らせ ば, 本 件 譲 渡 における 本 件 株 式 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 するのは, 本 件 取 引 単 価 のうち, 本 件 市 場 単 価 の 部 分 に 限 られると 解 される そうすると, 本 件 市 場 単 価 と 本 件 取 引 単 価 との 差 額 部 分 である 本 件 差 額 は, 本 件 株 式 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 格 を 有 するとはいえず, 法 人 であるB 社 から 贈 与 された 金 員 としての 性 格 を 有 するものというべきである (2) 原 告 の 主 張 についての 検 討 ア 本 件 譲 渡 の 動 機 について (ア) 原 告 の 動 機 について a 原 告 は, 自 己 の 借 入 金 返 済 の 動 機 に 関 し, 本 件 譲 渡 当 時, 本 件 各 金 融 機 関 から 借 入 金 の 返 済 督 促 を 受 けるような 切 迫 した 事 情 は 一 切 な かった 旨 主 張 する しかし, 前 記 2(3)で 認 定 したとおり, 原 告 がG 銀 行 に 債 務 の 解 消 に 向 けたスキームを 提 案 して 交 渉 を 進 め,その 後, 同 銀 行 に 対 して, 原 告 の 債 務 が 残 ることとなる 現 物 出 資 スキームから 原 告 の 債 務 が 清 算 される 売 買 スキームへの 変 更 を 申 し 出 ていたことからすれば, 原 告 -17-

にとって 本 件 各 金 融 機 関 に 対 する 債 務 の 清 算 が 本 件 譲 渡 の 強 い 動 機 となっていたことは 明 らかであり, 本 件 各 金 融 機 関 から 返 済 の 督 促 が あったか 否 かは, 上 記 の 認 定 判 断 を 左 右 するものではない b 原 告 は, 原 告 の 各 借 入 債 務 の 合 計 金 額 と 本 件 3 月 譲 渡 の 譲 渡 価 格 が 一 致 していないことを 指 摘 して, 原 告 が 自 己 の 借 入 債 務 額 を 基 準 とし て 取 引 単 価 を 設 定 したものではない 旨 主 張 する しかし, 前 記 2(3) 及 び(4)で 認 定 した 事 実 関 係 によれば, 本 件 取 引 単 価 は, 本 件 譲 渡 価 額 が 少 なくとも 原 告 の 債 務 額 を 上 回 るように 設 定 されたことが 明 らかであり, 本 件 譲 渡 価 格 と 原 告 の 借 入 債 務 額 が 一 致 しないことは,この 認 定 判 断 を 何 ら 左 右 するものではない (イ) B 社 の 動 機 について 原 告 は,B 社 にも 本 件 株 式 を 取 得 する 動 機 があったと 主 張 し,Eも, 原 告 にA 社 株 式 の 譲 渡 を 持 ちかけた 理 由 として,A 社 の 大 株 主 となるこ とでB 社 の 対 外 的 な 信 用 を 得 ることが 目 的 であり,そうすることで, 仕 入 先 との 交 渉 が 有 利 になり, 与 信 の 枠 を 広 げるといったメリットがあっ た 旨 申 述 し( 乙 10 答 2), 実 際 にA 社 株 式 を 取 得 して 大 株 主 となっ た 後 の 効 果 については, 価 額 交 渉 が 楽 になったとか, 支 払 期 限 を1か 月 くらい 猶 予 してもらえるようになった 旨 説 明 する( 同 答 3) しかし, Eの 上 記 申 述 内 容 は 具 体 性 に 欠 けている 上,B 社 がそのようなメリット を 享 受 したことを 示 す 客 観 的 な 証 拠 は 何 ら 提 出 されていない その 他, 本 件 に 顕 れた 全 証 拠 によっても, 本 件 譲 渡 当 時, 債 務 超 過 状 態 にあった B 社 が, 多 額 の 融 資 を 受 けてまで, 本 件 市 場 単 価 よりも 高 い 本 件 取 引 単 価 でA 社 株 式 の 購 入 を 急 がなければならないような 具 体 的 な 事 情 があ ったとは 認 められない この 点, 原 告 は,A 社 がB 社 との 一 切 の 取 引 を 解 消 するようなことが あれば,B 社 は 経 営 が 成 り 立 たなくなる,いわば 依 存 関 係 にあったと 主 -18-

張 し,Eもその 旨 供 述 する( 甲 16 2 頁 ) しかし, 仮 にB 社 がA 社 に 依 存 する 関 係 にあったとしても, 原 告 が,A 社 の 大 株 主 であるととも にB 社 の 大 株 主 でもあったことや, 原 告 自 身,A 社 の 大 株 主 が 原 告 であ ってもB 社 であっても,A 社 に 対 する 原 告 の 影 響 力 は 変 わらないと 考 え ていた 旨 申 述 していたこと( 乙 11 答 2)からすれば,B 社 がA 社 か ら 取 引 を 打 ち 切 られたり, 取 引 上 不 利 に 取 り 扱 われたりするような 事 態 は 容 易 に 想 定 されなかったというべきである また, 原 告 は, 将 来, 原 告 がA 社 株 式 を 第 三 者 に 譲 渡 する 可 能 性 は 否 定 できないし, 原 告 が 不 慮 の 事 故 等 で 急 死 するようなことがあればA 社 株 式 が 相 続 により 分 散 するおそれがあるとも 主 張 する しかし, 原 告 が 主 張 するようなおそれは 極 めて 抽 象 的 なものにすぎず, 債 務 超 過 状 態 に あったB 社 が 多 額 の 融 資 を 受 けてまで, 本 件 市 場 単 価 より 高 い 本 件 取 引 単 価 でA 社 株 式 の 取 得 を 急 がなければならないような 具 体 的 な 事 情 が あったとは 認 められない イ 価 格 決 定 のプロセスの 合 理 性 について (ア) 原 告 は,K 税 理 士 に 相 談 したり,L 秘 書 官 や 四 日 市 税 務 署 に 本 件 譲 渡 の 課 税 関 係 について 照 会 するなどして, 自 身 の 当 初 の 希 望 価 格 から 妥 協 して 本 件 取 引 単 価 を 決 定 しており, 原 告 が 恣 意 的 に 本 件 取 引 単 価 を 設 定 したわけではない 旨 主 張 する しかし, 前 記 2(4)アで 認 定 したとおり, 原 告 の 譲 渡 希 望 価 格 は 市 場 価 格 を 大 きく 上 回 っており, 課 税 上 の 問 題 点 が 指 摘 されていたのであるか ら, 原 告 の 当 初 の 希 望 額 から 譲 歩 して 本 件 取 引 単 価 が 設 定 されたとして も,それにより 本 件 取 引 単 価 の 合 理 性 が 基 礎 付 けられるものではない (イ) 原 告 は, 本 件 譲 渡 については,B 社 の 取 締 役 会 で 適 切 に 意 思 決 定 が されており, 原 告 の 意 向 のみで 本 件 取 引 単 価 が 決 定 されたものではない 旨 主 張 し,Eもこれに 沿 う 陳 述 をする( 甲 16 5ないし8 頁 ) -19-

しかし,Eが, 税 務 調 査 の 際,B 社 の 取 締 役 会 を 開 催 して 審 議 した 事 実 はなく,Eが 各 取 締 役 に 個 別 に 説 明 をして 承 諾 を 得 た 上 で, 事 後 に 取 締 役 会 議 事 録 を 作 成 して 各 取 締 役 から 署 名 押 印 をもらった 旨 申 述 して いたこと( 乙 7 答 5)に 照 らすと,これと 異 なるEの 上 記 陳 述 をにわ かに 採 用 することはできず, 他 に,B 社 において, 原 告 の 強 い 影 響 力 を 排 除 して, 同 社 の 事 業 上 の 必 要 性 等 の 観 点 から, 本 件 譲 渡 について 適 切 に 意 思 決 定 がされたことを 認 めるに 足 りる 証 拠 はない ウ 本 件 取 引 単 価 の 合 理 性 について (ア) 原 告 は, 本 件 取 引 単 価 の 決 定 に 当 たり, 平 成 21 年 3 月 期 のA 社 株 式 の1 株 当 たりの 純 資 産 額 が 約 925 円 であったことを 考 慮 した 旨 主 張 する しかし, 前 記 のとおり, 本 件 取 引 単 価 はみなし 取 得 価 額 を 基 準 として 設 定 されたものであるし, 原 告 自 身, 税 務 調 査 の 際 に, 当 時 のA 社 株 式 の 時 価 と 純 資 産 から 算 出 した 単 価 との 平 均 から 本 件 取 引 単 価 を 算 出 し たというのは,いわゆる 後 付 けの 単 価 設 定 根 拠 である 旨 申 述 していたこ と( 乙 11 答 7 及 び8)に 照 らすと, 原 告 がA 社 株 式 の1 株 当 たりの 純 資 産 価 格 を 考 慮 して 本 件 取 引 単 価 を 設 定 したとは 認 め 難 い (イ) また, 原 告 は,C 市 場 の 規 模 及 びA 社 株 式 の 出 来 高 に 比 して 本 件 譲 渡 が 大 量 の 取 引 であることや, 本 件 譲 渡 が 自 益 権 のみならず,A 社 の 会 社 支 配 にも 影 響 を 及 ぼし 得 る 共 益 権 をも 目 的 とした 取 引 であったこと から, 本 件 取 引 単 価 が 客 観 的 に 合 理 的 な 価 格 であった 旨 主 張 する しかし, 本 件 譲 渡 が 大 量 取 引 であったことは, 原 告 とB 社 が 市 場 外 で の 相 対 取 引 を 選 択 した 理 由 にはなっても, 本 件 取 引 単 価 が 本 件 市 場 単 価 から 乖 離 して 高 額 となった 理 由 を 合 理 的 に 説 明 するものではない この 点 について, 原 告 は, 市 場 取 引 の 約 4 年 分 にも 及 ぶ 大 量 の 株 式 を 時 間 や 手 間 をかけずに 確 実 に 取 得 することについて 付 加 価 値 が 加 わるのは 当 -20-

然 であると 主 張 するが, 前 記 のとおり 本 件 取 引 単 価 はみなし 取 得 価 額 を 基 準 として 設 定 されたものであり, 本 件 市 場 単 価 に 上 乗 せされた 金 額 が 原 告 の 主 張 するような 付 加 価 値 に 相 当 するものであると 評 価 すること はできない また,A 社 の 会 社 支 配 に 影 響 を 及 ぼし 得 る 共 益 権 を 目 的 とした 取 引 で あったとする 点 についても, 原 告 自 身,A 社 の 支 配 関 係 について, 大 株 主 が 原 告 であってもB 社 であっても 原 告 のA 社 に 対 する 影 響 力 は 変 わ らないとして,A 社 の 支 配 関 係 が 本 件 譲 渡 によって 特 段 影 響 を 受 けない という 趣 旨 の 申 述 をしていたこと( 乙 11 答 2)に 照 らすと, 本 件 取 引 単 価 の 合 理 性 を 基 礎 付 けるものとはいえない (ウ) 原 告 は, 本 件 3 月 譲 渡 時 の 株 式 市 場 は, 平 成 20 年 9 月 のリーマン ショックの 影 響 により, 現 実 の 株 式 価 値 と 市 場 価 格 が 乖 離 していると 考 えられていた 時 期 であり,A 社 株 式 の 市 場 価 格 をリーマンショック 以 前 及 び 平 成 23 年 当 時 の 市 場 価 格 の 水 準 と 比 較 すれば, 本 件 取 引 単 価 が 高 額 すぎるとの 評 価 は 当 を 得 たものではなく, 平 成 21 年 中 の 市 場 価 格 の 変 動 のみを 取 り 上 げてみても, 本 件 3 月 譲 渡 時 点 の 市 場 価 格 290 円 は 同 年 の 安 値 に 程 近 い 水 準 であり, 本 件 11 月 譲 渡 時 点 まででも 市 場 価 格 は426 円 まで 回 復 していたから, 本 件 譲 渡 の 取 引 当 事 者 が, 本 件 市 場 単 価 が 安 すぎると 認 識 したことが 正 しかったことは 明 らかである, 平 成 24 年 10 月 1 日 現 在 のA 社 株 式 の 市 場 価 格 ( 終 値 )は540 円 であり ( 甲 14), 本 件 取 引 単 価 と 同 等 の 水 準 まで 株 価 が 回 復 したことからも, 本 件 取 引 単 価 が 何 ら 高 額 にすぎなかったことが 実 証 されているなどと 主 張 する しかし,リーマンショックによる 景 気 動 向 及 び 株 式 市 場 への 影 響 は, A 社 株 式 に 特 有 の 事 情 ではなく,リーマンショック 後 の 市 場 価 格 も,リ ーマンショックの 景 気 動 向 や 企 業 業 績 への 影 響 等 を 踏 まえた 一 般 投 資 -21-

家 の 判 断 に 基 づき, 自 由 競 争 原 理 の 下 で 形 成 されたものであるというべ きであるから,リーマンショックがあったからといって,C 市 場 におけ るA 社 株 式 の 価 格 が 現 実 の 株 式 価 値 と 乖 離 していたと 直 ちにいうこと はできない また, 本 件 譲 渡 時 における 本 件 取 引 単 価 が 合 理 的 であるか 否 かを 判 断 するに 当 たり, 平 成 20 年 9 月 以 前 から 平 成 24 年 10 月 ま での 前 後 4 年 にもわたる 市 場 価 格 の 変 動 を 参 照 することに 合 理 性 があ るとはいえないし, 仮 にこの 点 を 措 くとしても, 本 件 譲 渡 後 にA 社 株 式 の 市 場 価 格 の 終 値 が 本 件 取 引 単 価 (550 円 )まで 回 復 したのは, 本 件 3 月 譲 渡 から2 年 以 上 も 経 過 した 平 成 23 年 3 月 31 日 であったので あるから( 甲 10 3 枚 目 ), 原 告 の 上 記 主 張 は, 単 なる 結 果 論 をいう ものにすぎず, 採 用 することができない この 点 について, 原 告 は, 本 件 譲 渡 当 時,A 社 株 式 の 市 場 価 格 が 少 な くとも 本 件 取 引 単 価 の 水 準 まで 回 復 することが 合 理 的 に 予 測 されてい たと 主 張 する しかし, 本 件 譲 渡 当 時,リーマンショックの 影 響 により 日 本 経 済 が 大 幅 な 景 気 後 退 の 状 況 にあったことは 公 知 の 事 実 であり,ま た,A 社 が 営 業 利 益 を 大 幅 に 減 額 修 正 するなど 業 績 の 悪 化 が 指 摘 されて いたこと( 乙 36の1 及 び2)からすれば, 本 件 譲 渡 時 において, 市 場 価 格 が 本 件 取 引 単 価 の 水 準 まで 回 復 することが 合 理 的 に 予 測 される 状 況 にあったとは 認 められず, 他 にこれを 認 めるに 足 りる 証 拠 はない (エ) 原 告 は,O( 以 下 O 社 という )が,1 平 成 19 年 12 月 5 日, 本 件 譲 渡 と 同 様 の 市 場 外 取 引 にて, 単 価 614 円 でA 社 株 式 102 万 4 000 株 を 購 入 したこと,2 本 件 11 月 譲 渡 の3か 月 後 である 平 成 22 年 2 月 25 日 に, 単 価 700 円 でA 社 株 式 121 万 株 の 第 三 者 割 当 を 受 けたことも, 本 件 取 引 単 価 の 合 理 性 を 基 礎 付 けるものである 旨 主 張 する しかし,1については, 譲 渡 当 日 におけるA 社 株 式 のC 市 場 における 終 値 が 譲 渡 価 格 と 同 じ614 円 であったこと( 乙 27),2については, -22-

当 該 第 三 者 割 当 が,A 社 の 意 向 により, 大 株 主 であるO 社 との 業 務 提 携 資 本 提 携 の 強 化 を 目 的 として 実 施 されたものであること( 乙 11 別 紙 7)からすれば,O 社 に 対 する 譲 渡 価 格 及 び 割 当 価 格 をもって 本 件 取 引 単 価 の 合 理 性 を 基 礎 付 けることはできないというべきである 4 小 括 以 上 のとおり, 本 件 差 額 は, 本 件 株 式 の 譲 渡 の 対 価 たる 性 質 を 有 するとはい えず,その 所 得 区 分 としては, 利 子 所 得, 配 当 所 得, 不 動 産 所 得, 事 業 所 得, 給 与 所 得, 退 職 所 得, 山 林 所 得 及 び 譲 渡 所 得 のいずれの 所 得 にも 該 当 せず, 営 利 を 目 的 とする 継 続 的 行 為 から 生 じた 所 得 以 外 の 一 時 の 所 得 で 労 務 その 他 の 役 務 又 は 資 産 の 譲 渡 の 対 価 としての 性 質 を 有 しないものに 該 当 するから, 所 得 税 法 34 条 所 定 の 一 時 所 得 となるというべきである なお, 以 上 のように 解 することは, 本 件 譲 渡 における 譲 渡 金 額 につき, 所 得 税 法 上 の 所 得 の 性 質 決 定 を 行 うものにすぎず, 私 法 上 の 法 律 関 係 から 離 れて 課 税 庁 において 独 自 の 法 律 行 為 を 設 定 してそれを 前 提 にして 課 税 することを 許 容 するものではない 5 本 件 再 更 正 処 分 及 び 本 件 賦 課 決 定 処 分 の 適 法 性 (1) 原 告 は, 争 点 に 関 する 部 分 のほかに 本 件 再 更 正 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 を 争 っていないところ, 平 成 21 年 分 所 得 税 について 原 告 の 納 付 すべき 税 額 は 別 紙 3の 第 1の1(9) 記 載 のとおりであると 認 められ, 本 件 再 更 正 処 分 におけ る 原 告 の 納 付 すべき 税 額 はこれと 同 額 であるから, 本 件 再 更 正 処 分 は 適 法 で ある (2) また, 原 告 は, 争 点 に 関 する 部 分 のほかに 本 件 更 正 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 を 争 っていないところ, 本 件 更 正 処 分 における 原 告 の 納 付 すべき 税 額 は 上 記 の 平 成 21 年 分 所 得 税 について 原 告 の 納 付 すべき 税 額 を 下 回 っているか ら, 本 件 更 正 処 分 は 適 法 である そして, 本 件 更 正 処 分 により 原 告 が 新 たに 納 付 すべきこととなった 税 額 に 基 づいて 計 算 した 過 少 申 告 加 算 税 の 額 は 別 -23-

紙 3の 第 2の1 記 載 のとおりであると 認 められ, 本 件 賦 課 決 定 処 分 における 過 少 申 告 加 算 税 の 額 はこれと 同 額 であるから, 本 件 賦 課 決 定 処 分 は 適 法 であ る 第 4 結 論 よって, 原 告 の 請 求 はいずれも 理 由 がないから 棄 却 することとし, 訴 訟 費 用 の 負 担 につき, 行 政 事 件 訴 訟 法 7 条, 民 事 訴 訟 法 61 条 を 適 用 して, 主 文 のとおり 判 決 する 東 京 地 方 裁 判 所 民 事 第 38 部 裁 判 長 裁 判 官 谷 口 豊 裁 判 官 中 丸 隆 裁 判 官 竹 林 俊 憲 -24-

( 別 紙 2) 課 税 処 分 等 の 経 緯 1 確 定 申 告 及 び 修 正 申 告 原 告 は, 平 成 22 年 3 月 11 日, 四 日 市 税 務 署 長 に 対 して, 平 成 21 年 分 の 所 得 税 の 確 定 申 告 をし( 以 下 本 件 確 定 申 告 という ),また, 同 年 10 月 6 日, 本 件 確 定 申 告 における 課 税 総 所 得 金 額 の 金 額 に 雑 所 得 の 金 額 4000 円 を 加 算 する 平 成 21 年 分 の 所 得 税 の 修 正 申 告 をした( 以 下, 当 該 修 正 申 告 を 本 件 修 正 申 告 といい, 提 出 された 修 正 申 告 書 を 本 件 修 正 申 告 書 という ) 2 確 定 申 告 及 び 修 正 申 告 における 譲 渡 所 得 金 額 原 告 は, 本 件 確 定 申 告 及 び 本 件 修 正 申 告 における 株 式 譲 渡 に 係 る 譲 渡 所 得 の 金 額 について, 次 のとおり 計 算 していた (1) 総 収 入 金 額 について 株 式 譲 渡 に 係 る 総 収 入 金 額 について, 原 告 は,C 市 場 に 上 場 されているA 社 株 式 の1 株 当 たりの 単 価 を550 円 ( 本 件 取 引 単 価 )として, 平 成 21 年 3 月 2 日 に112 万 株 を, 同 年 11 月 24 日 に31 万 7550 株 をB 社 に 譲 渡 した として, 本 件 3 月 譲 渡 及 び 本 件 11 月 譲 渡 に 係 る 各 収 入 金 額 (それぞれ6 億 1 600 万 円 及 び1 億 7465 万 2500 円 )の 合 計 金 額 7 億 9065 万 250 0 円 を 計 上 した (2) 取 得 費 について 原 告 は, 本 件 譲 渡 に 係 る 総 収 入 金 額 から 控 除 する 取 得 費 の 金 額 について, 措 置 法 37 条 の11の2の 規 定 に 基 づき,1 本 件 3 月 譲 渡 に 係 る 取 得 費 を6 億 3 616 万 円 ( 本 件 3 月 譲 渡 による 譲 渡 株 式 数 112 万 株 に, 平 成 13 年 10 月 1 日 におけるA 社 株 式 の 終 値 に 相 当 する 金 額 710 円 に100 分 の80を 乗 じた 金 額 568 円 を 乗 じた 金 額 ),2 本 件 11 月 譲 渡 に 係 る 取 得 費 を1 億 80 23 万 6000 円 ( 本 件 11 月 譲 渡 による 譲 渡 株 式 数 31 万 7550 株 のうち, 30 万 1000 株 については 同 株 数 に 上 記 みなし 取 得 価 額 568 円 を 乗 じ -25-

た 金 額 1 億 7096 万 8000 円 とし, 残 りの1 万 6550 株 については 実 際 の 取 得 金 額 926 万 8000 円 1 株 当 たり560 円 とした 金 額 )とし, 上 記 1 及 び2の 合 計 金 額 8 億 1639 万 6000 円 を 取 得 費 として 計 上 した (3) 譲 渡 所 得 の 金 額 について 本 件 譲 渡 に 係 る 譲 渡 所 得 の 金 額 について, 原 告 は, 上 記 (1)の 合 計 金 額 7 億 9 065 万 2500 円 から 上 記 (2)の 合 計 金 額 8 億 1639 万 6000 円 を 差 し 引 いた 2574 万 3500 円 とした( はマイナスの 金 額 を 表 す 以 下 同 じ ) 3 本 件 更 正 処 分 及 び 本 件 賦 課 決 定 処 分 四 日 市 税 務 署 長 は, 原 告 の 平 成 21 年 分 の 所 得 税 について, 平 成 23 年 7 月 5 日 付 けで, 本 件 譲 渡 に 係 る 譲 渡 所 得 の 計 算 上, 総 収 入 金 額 に 計 上 すべき 金 額 は, 1 本 件 3 月 譲 渡 におけるA 社 株 式 の1 株 当 たりの 単 価 を 本 件 市 場 単 価 (290 円 )で 譲 渡 したとして 計 算 した 収 入 金 額 3 億 2480 万 円 と2 本 件 11 月 譲 渡 に おけるA 社 株 式 の1 株 当 たりの 単 価 を 本 件 市 場 単 価 (426 円 )で 譲 渡 したとし て 計 算 した 収 入 金 額 1 億 3527 万 6300 円 の 合 計 額 4 億 6007 万 630 0 円 であり, 原 告 の 申 告 における 本 件 3 月 譲 渡 に 係 る 収 入 金 額 (6 億 1600 万 円 )と 上 記 1の 金 額 (3 億 2480 万 円 )との 差 額 2 億 9120 万 円 及 び 原 告 の 申 告 における 本 件 11 月 譲 渡 に 係 る 収 入 金 額 (1 億 7465 万 2500 円 )と 上 記 2の 金 額 (1 億 3527 万 6300 円 )との 差 額 3937 万 6200 円 の 合 計 金 額 3 億 3057 万 6200 円 ( 本 件 差 額 )は, 譲 渡 所 得 の 総 収 入 金 額 に 計 上 す べきものでなく, 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 に 計 上 すべき 金 額 であるとして, 一 時 所 得 の 所 得 金 額 1 億 6503 万 8100 円, 納 付 すべき 税 額 6393 万 0700 円 ( 差 引 納 付 すべき 税 額 6609 万 3800 円 )とする 本 件 更 正 処 分 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 金 額 を963 万 7000 円 とする 本 件 賦 課 決 定 処 分 を 行 った 4 異 議 申 立 て 原 告 は, 平 成 23 年 8 月 11 日, 名 古 屋 国 税 局 長 に 対 し, 本 件 更 正 処 分 等 の 全 -26-

部 取 消 しを 求 める 異 議 申 立 てをしたところ, 同 局 長 は, 同 年 11 月 30 日 付 けで, 原 告 に 対 し, 上 記 異 議 申 立 てを 棄 却 する 旨 の 決 定 をした 5 審 査 請 求 及 び 本 件 訴 訟 提 起 原 告 は, 平 成 23 年 12 月 27 日, 国 税 不 服 審 判 所 長 に 対 し, 本 件 更 正 処 分 等 の 全 部 取 消 しを 求 めて 審 査 請 求 をしたが, 審 査 請 求 の 日 から3か 月 を 経 過 しても 裁 決 がされなかったため, 平 成 24 年 4 月 16 日, 本 件 訴 訟 を 提 起 し, 同 年 5 月 1 日, 上 記 審 査 請 求 を 取 り 下 げた 6 本 件 再 更 正 処 分 四 日 市 税 務 署 長 は, 原 告 の 平 成 21 年 分 の 所 得 税 について, 平 成 25 年 3 月 1 5 日 付 けで, 原 告 が 申 告 した 雑 所 得 の 金 額 等 に 誤 りがあるとして, 課 税 総 所 得 金 額 1 億 8865 万 5000 円, 納 付 すべき 税 額 6422 万 6400 円 とする 本 件 再 更 正 処 分 を 行 った( 乙 37,38) 7 訴 えの 変 更 原 告 は, 平 成 25 年 6 月 25 日 付 け 訴 えの 変 更 申 立 書 により, 前 記 第 1 請 求 欄 記 載 のとおり 請 求 の 趣 旨 を 変 更 した( 記 録 上 明 らかな 事 実 ) 以 上 -27-

( 別 紙 3) 被 告 の 主 張 する 各 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 第 1 本 件 再 更 正 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 1 被 告 主 張 額 の 根 拠 本 訴 において 被 告 が 主 張 する 原 告 の 平 成 21 年 分 の 所 得 税 に 係 る 納 付 すべき 税 額 等 は, 以 下 のとおりである (1) 総 所 得 金 額 1 億 9145 万 7994 円 上 記 金 額 は, 次 のアないしエの 合 計 金 額 である なお, 総 所 得 金 額 の 計 算 において, 後 記 (2)の 譲 渡 損 失 の 金 額 を 他 の 所 得 金 額 から 差 し 引 くことはできない ア 配 当 所 得 の 金 額 1440 万 4980 円 上 記 金 額 は, 本 件 修 正 申 告 書 ( 甲 2 1 枚 目 )において, 原 告 が 所 得 金 額 の 配 当 5 欄 に 記 載 した 金 額 と 同 額 である イ 給 与 所 得 の 金 額 1122 万 4167 円 上 記 金 額 は, 本 件 修 正 申 告 書 ( 甲 2 1 枚 目 )において, 原 告 が 所 得 金 額 の 給 与 6 欄 に 記 載 した 金 額 と 同 額 である ウ 雑 所 得 の 金 額 79 万 0747 円 上 記 金 額 は, 本 件 修 正 申 告 書 ( 甲 2 1 枚 目 )において, 原 告 が 所 得 金 額 の 雑 所 得 7 欄 に 記 載 した 金 額 に, 原 告 が 受 給 した 公 的 年 金 に 係 る 所 得 金 額 78 万 6747 円 を 加 算 した 金 額 である エ 一 時 所 得 の 金 額 1 億 6503 万 8100 円 上 記 金 額 は, 所 得 税 法 22 条 2 項 2 号 の 規 定 により, 次 の(ア)から(イ) を 控 除 した 金 額 3 億 3007 万 6200 円 の2 分 の1に 相 当 する 金 額 で ある (ア) 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 3 億 3057 万 6200 円 上 記 金 額 は, 本 件 差 額 と 同 額 である -28-

なお, 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 から 控 除 すべき 当 該 総 収 入 金 額 を 得 るた めに 支 出 した 金 額 は, 本 件 においては 零 円 である (イ) 一 時 所 得 の 特 別 控 除 額 50 万 円 上 記 金 額 は, 所 得 税 法 34 条 3 項 に 規 定 する 一 時 所 得 の 特 別 控 除 額 で ある 上 記 (ア)の 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 から 当 該 総 収 入 金 額 を 得 るため に 支 出 した 金 額 ( 零 円 )を 控 除 した 金 額 は,50 万 円 以 上 となることか ら, 同 特 別 控 除 額 は50 万 円 となる (2) 株 式 等 の 譲 渡 所 得 の 金 額 3 億 5631 万 9700 円 上 記 金 額 は, 次 のアからイを 控 除 した 金 額 である ア 総 収 入 金 額 4 億 6007 万 6300 円 上 記 金 額 は, 本 件 差 額 が 一 時 所 得 の 総 収 入 金 額 に 計 上 すべき 金 額 となる ことから, 本 件 修 正 申 告 における 譲 渡 所 得 の 総 収 入 金 額 7 億 9065 万 2 500 円 ( 甲 2 7 枚 目 未 公 開 分 チ 欄 )から 本 件 差 額 の 金 額 3 億 3 057 万 6200 円 を 減 算 した 金 額 である イ 取 得 費 の 金 額 8 億 1639 万 6000 円 上 記 金 額 は, 本 件 確 定 申 告 及 び 本 件 修 正 申 告 において, 原 告 が 本 件 譲 渡 に 係 る 取 得 費 として 計 上 した 金 額 と 同 額 である( 乙 1 6 枚 目 4の 金 額 ) (3) 所 得 控 除 の 額 の 合 計 額 280 万 2626 円 上 記 金 額 は, 社 会 保 険 料 控 除 の 額 99 万 3934 円, 生 命 保 険 料 控 除 の 額 5 万 円, 寄 附 金 控 除 の 額 137 万 8692 円 及 び 基 礎 控 除 の 額 38 万 円 の 合 計 額 であり, 本 件 修 正 申 告 書 ( 甲 2 2 枚 目 )において, 原 告 が 所 得 から 差 し 引 かれる 金 額 の 合 計 25 欄 に 記 載 した 金 額 と 同 額 である (4) 課 税 総 所 得 金 額 1 億 8865 万 5000 円 上 記 金 額 は, 前 記 (1)から(3)を 控 除 した 金 額 (ただし, 通 則 法 118 条 1 項 の 規 定 により1000 円 未 満 の 端 数 を 切 り 捨 てた 後 のもの )である (5) 課 税 総 所 得 金 額 に 対 する 税 額 7266 万 6000 円 -29-

上 記 金 額 は, 前 記 (4)の 課 税 総 所 得 金 額 1 億 8865 万 5000 円 に 所 得 税 法 89 条 1 項 規 定 の 税 率 を 乗 じた 金 額 である (6) 配 当 控 除 の 金 額 72 万 0249 円 上 記 金 額 は, 前 記 (1)ア 記 載 の 配 当 所 得 1440 万 4980 円 に 所 得 税 法 9 2 条 1 項 規 定 の 割 合 である100 分 の5を 乗 じた 金 額 である (7) 差 引 所 得 税 額 7194 万 5751 円 上 記 金 額 は, 前 記 (5)から(6)を 控 除 した 金 額 である (8) 源 泉 徴 収 税 額 771 万 9257 円 上 記 金 額 は, 本 件 修 正 申 告 書 ( 甲 2 1 枚 目 )において, 原 告 が 税 金 の 計 算 の 源 泉 徴 収 税 額 39 欄 に 記 載 した 金 額 に, 原 告 が 受 給 した 公 的 年 金 に 係 る 源 泉 所 得 税 額 1 万 9086 円 を 加 算 した 金 額 である (9) 納 付 すべき 税 額 6422 万 6400 円 上 記 金 額 は, 前 記 (7)から(8)を 差 し 引 いた 金 額 (ただし, 通 則 法 119 条 1 項 の 規 定 により100 円 未 満 の 端 数 を 切 り 捨 てた 後 のもの )である 2 本 件 再 更 正 処 分 の 適 法 性 本 訴 において 被 告 が 主 張 する 原 告 の 平 成 21 年 分 の 所 得 税 に 係 る 納 付 すべき 税 額 は, 上 記 1(9)のとおりであるところ, 当 該 金 額 は, 本 件 再 更 正 処 分 の 金 額 と 同 額 であるから, 本 件 再 更 正 処 分 は 適 法 である 第 2 本 件 賦 課 決 定 処 分 の 根 拠 及 び 適 法 性 1 本 件 更 正 処 分 は 適 法 であるところ, 原 告 には, 本 件 更 正 処 分 により 新 たに 納 付 すべき 税 額 の 計 算 の 基 礎 となった 事 実 のうち, 本 件 更 正 処 分 前 における 税 額 の 計 算 の 基 礎 とされていなかったことについて, 通 則 法 65 条 4 項 に 規 定 する 正 当 な 理 由 があるとは 認 められない したがって, 原 告 に 課 されるべき 過 少 申 告 加 算 税 の 額 は,1 本 件 更 正 処 分 に より 原 告 が 新 たに 納 付 すべきこととなった 所 得 税 額 6609 万 円 ( 本 件 更 正 処 分 による 納 付 すべき 税 額 6393 万 0700 円 に, 本 件 修 正 申 告 における 還 付 -30-

金 の 額 に 相 当 する 税 額 216 万 3169 円 を 加 算 した 金 額 6609 万 386 9 円 について, 通 則 法 118 条 3 項 の 規 定 により1 万 円 未 満 の 端 数 を 切 り 捨 て た 後 のもの )に, 通 則 法 65 条 1 項 の 規 定 に 基 づき100 分 の10の 割 合 を 乗 じた 金 額 660 万 9000 円 と,2 通 則 法 65 条 2 項 の 規 定 に 基 づき, 本 件 更 正 処 分 により 原 告 が 新 たに 納 付 すべきこととなった 税 額 6609 万 380 0 円 と 本 件 修 正 申 告 によって 増 加 した 税 額 1800 円 ( 本 件 修 正 申 告 における 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 216 万 3169 円 と 本 件 確 定 申 告 における 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 216 万 4969 円 の 差 額 )の 合 計 額 6609 万 560 0 円 のうち, 期 限 内 申 告 税 額 553 万 5202 円 ( 期 限 内 申 告 である 本 件 確 定 申 告 の 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 216 万 4969 円 に 源 泉 徴 収 税 額 770 万 0171 円 を 加 算 した 金 額 )を 超 える 部 分 に 相 当 する 税 額 6056 万 円 ( 通 則 法 118 条 3 項 の 規 定 により1 万 円 未 満 の 端 数 を 切 り 捨 てた 後 のもの )に 100 分 の5を 乗 じた 金 額 302 万 8000 円 の 合 計 額 963 万 7000 円 である 2 本 訴 において 被 告 が 主 張 する 原 告 に 課 されるべき 過 少 申 告 加 算 税 の 額 は, 上 記 1のとおりであるところ, 当 該 金 額 は, 本 件 賦 課 決 定 処 分 における 過 少 申 告 加 算 税 の 額 と 同 額 であるから, 本 件 賦 課 決 定 処 分 は 適 法 である 以 上 -31-