第 72 回厚生科学審議会予防接種 ワクチン分科会副反応検討部会 令和 3 年度第 22 回薬事 食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料 ( 令和 3) 年 11 月 12 日 HPV ワクチンについて

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現在にいたっております その結果 現在 HPVワクチンは定期接種でありながら 接種対象となる12 歳から16 歳の女子に対する接種がほとんど行われていないのが現状です このような状況は先進国では日本だけで見られていることであり 将来 子宮頸がんの発症が他国に比べて著しく高くなるというような事態が起き

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なお, 世間では HPV ワクチンのことを 子宮頸がんワクチン と呼んでいるが, ワクチンの性格上, 本稿では HPV ワクチン ( 正確には HPV 感染症予防ワクチン ) と表現する HPV 感染と子宮頸がんとの関係子宮頸がんの原因のひとつとして,HPV 感染による細胞の癌化が証明されている H

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ヒブ ( インフルエンザ菌 b 型 ) 対象者 : 生後 2ヶ月から5 歳未満までのお子さん標準的な接種開始期間は 生後 2ヶ月から7ヶ月未満です 生後 2ヶ月を過ぎたら 早目に接種しましょう 接種方法 : 接種開始時の年齢により接種方法が異なります 接種開始が生後 2ヶ月から7ヶ月未満の場合 (

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る反ワクチン団体は 痛みに苦しむ女子や家族をメデイアに登場させ 因果関係があるかのように不安を募らせました WHO は 2013 年 6 月 13 日 HPV ワクチンに関する安全性声明を発表しました 国内では その翌日の 6 月 14 日に厚労省副反応検討部会が開催され 安全性を説明できる十分なデ

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避するためには 子宮頸がん検診を定期的に受診することが必要不可欠であること 3 HPV ワクチンの長期成績は未だ確認されていないこと このため 将来的に追加接種が必要となる可能性もあること 4 10 歳未満の小児 妊娠中の女性及び高齢者に対する有効性と安全性は確立されていないこと 5 HPV は性行

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問 4. 接種後 いつもと違う体調の変化はありましたか (1,103 人に対する比 ) 1 はい 289 人 (26.2%) 2 いいえ 796 人 (72.2%) 3 未回答 18 人 ( 1.6%) * 接種後 何らかの症状があったと答えた方は 26.2% であった 未回答 の者の中には よくわ

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

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いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

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資料 10 HPV ワクチンの有効性及び安全性に関する疫学研究の概要 1. 研究事業名 厚生労働科学研究費補助金新興 再興感染症及び予防接種政策推進事業 2. 研究課題名 子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究 3. 研究予定期間 平成 27 年 7 月 7 日から 3 年計画 (

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平成 22 年第 2 四半期エイズ発生動向 ( 平成 22(2010) 年 3 月 29 日 ~ 平成 22(2010) 年 6 月 27 日 ) 平成 22 年 8 月 13 日 厚生労働省エイズ動向委員会

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( 救済給付の要件 ) 第 3 条この要綱による救済給付の要件とする県単独補助事業は 次の各号に掲げる要綱に基づく事業とする 一山梨県子宮頸がん予防ワクチン接種促進事業費補助金交付要綱 ( 平成 22 年 6 月 16 日から平成 23 年 3 月 31 日まで ) 二平成 23 年度山梨県子宮頸が

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2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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お知らせ 柔道整復師の資格を取得される皆さま 関係の皆さまへ 平成 30 年 4 月から 柔道整復療養費の受領委任を取り扱う 施術管理者 になる場合は 実務経験と研修の受講が必要となる方向で 以下のとおり検討しています 柔道整復療養費の受領委任の取扱いを管理する 施術管理者 になるための要件について

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一について第一に 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号 以下 感染症法 という )第十二条の規定に基づき 後天性免疫不全症候群(以下 エイズという )の患者及びその病原体を保有している者であって無症状のもの(以下 HIV感染者 という )(以下 エイズの患者等

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第 72 回厚生科学審議会予防接種 ワクチン分科会副反応検討部会 令和 3 年度第 22 回薬事 食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料 1 2021( 令和 3) 年 11 月 12 日 HPV ワクチンについて

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 1

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 2

令和 3 年 10 月 1 日開催第 69 回副反応検討部会 令和 3 年第 18 回安全対策調査会における HPV ワクチンに関する審議概要 論点 HPV ワクチンに関する課題への対応として 1 HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスの整理 2 HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援についての状況 3 HPV ワクチンに関する情報提供それぞれについて整理した上で 現在 HPV ワクチンの定期接種の積極的な勧奨が差し控えられていることについて 審議 主なご意見 HPV ワクチン接種後に生じた多様な症状と HPV ワクチンとの関連についてのエビデンスは認められていない また 海外の大規模調査において 子宮頸がんに対する予防効果が示されてきている HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 適切な対応がなされてきた HPV のリーフレットが分かりやすく改訂され リーフレット等の個別通知が行われるようになり 現在 ワクチンの安全性と有効性について 十分な情報提供が行われるようになっている 大きな方向性として 積極的勧奨の再開を妨げる要素はない 一方で HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 以下のようなご意見があった 地域で不安なく接種できるよう 協力医療機関の体制強化や地域の医療機関や学校等の連携強化が必要 最新のエビデンス等を踏まえたリーフレットの改訂が必要 積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方への対応 ( キャッチアップ ) について検討が必要等 3

HPV ワクチンに関する課題と課題を審議 整理する審議会 課題 1 HPVワクチンのリスク ( 安全性 ) とベネフィット ( 有効性 ) の整理課題 2 HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援課題 3 HPVワクチンの安全性 有効性等に関する情報提供本合同会議において議論 ( その後 予防接種 ワクチン分科会において引き続き議論 ) 課題 4 積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した方への対応 ( キャッチアップ ) 積極的な勧奨の取扱いについて本合同会議としての結論が出た後 予防接種 ワクチン分科会 * において議論 * 予防接種の対象者など 予防接種及びワクチンに関する重要事項の調査審議等が所掌 4

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 5

課題 1HPV ワクチンのリスク ( 安全性 ) とベネフィット ( 有効性 ) の整理 に関する最近の知見 取組状況と主なご意見について 最近の知見 取組状況 ( 1 0 月 1 日合同会議資料より ) (HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて ) HPV ワクチン接種後に生じた症状 ( 慢性疲労 体位性頻脈症候群 自己免疫性疾患など ) と HPV ワクチンとの関連について国内外でこれまで調査が行われているが ワクチン接種との関連性は明らかになっていない 国内外の研究において HPV ワクチン接種による HPV の感染や子宮頸部の高度異形成の予防効果が示され ワクチンの有効性は 10 年以上の長期間持続することを示唆する結果が示されている さらに近年 海外の大規模調査において 子宮頸がんの予防効果も確認されてきている HPV ワクチン未接種の女性や男性においても HPV 感染とそれによる子宮頸部異形成や肛門性器疣贅に対する集団免疫効果が報告されている 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 ワクチンの安全性と有効性に関するエビデンスについて 追加のエビデンスがあれば評価を行うべきではないか 6

子宮頸がんとCIN3に対する2 価 HPVワクチンの有効性 ( 英国 ) 英国では 2008 年の2 価 HPVワクチンの導入から10 年以上が経過している 2 価ワクチンの有効性を調査するため 大規模ながん登録データを使用し ワクチン接種群 (12-13 歳の定期接種群 14-16 歳及び16-18 歳の2つのキャッチアップ接種群の3 群 : 合計 1370 万人年 ) と参照群 ( ワクチン導入前の4つの非接種群 ) で子宮頸がん及びCIN3 病変の発生率の比較を行った 接種時の年齢毎の子宮頸がん発生率の減少率は 16-18 歳接種群で34%(95%CI: 25-41%) 14-16 歳接種群で62%(95%CI: 52 71%) 12-13 歳接種群で87%(95%CI: 72-94%) であった CIN3 発生率の減少率は 16-18 歳接種群で39%(95%CI: 36-41%) 14-16 歳接種群で75%(95%CI: 72 77%) 12-13 歳接種群で97%(95%CI: 96-98%) であった 英国では 2019 年 6 月末の時点で ワクチンの接種によって 448 例の子宮頸がん及び 17,235 例のCIN3の発生が減少したと推定された HPVワクチン接種プログラムの導入は 英国の子宮頸がん発生の減少に大きく寄与した 出生コホートの分類 (1~7 群 ) の概要 CIN: 子宮頸部異形成軽度 (CIN1) 中等度(CIN2) 高度(CIN3) に分類各出生コホートにおける子宮頸がんの発生率比子宮頸がんの累積発生率子宮頸がん CIN3 出典 :Milena Falcaro, etal. Lancet November 3, 2021 https://doi.org/10.1016/s0140-6736(21)02178-4. 7

HPV ワクチンの副反応疑い報告の推移 過去 2~3 年の間 副反応疑い報告の割合は 0.50% 未満で 概ね横ばいであった 2021 年 10 月 1 日副反応検討部会 安全対策調査会資料 1-1 より改訂 定期接種化 (H25.4 月 ) 60 50 40 30 20 10 0 注 1) 副反応疑い報告数 : 報告期間が複数月にまたがる副反応疑い報告数について 報告数を報告期間 ( 月 ) で除したひと月当たりの報告数を示している 注 2) 割合 : それぞれの期間における副反応疑い報告数 ( 分子 ) を施設納入数 ( 分母 ) で除したもの 分子 分母はともにサーバリックスとガーダシルの合計値を使用 注 3) 施設納入数には 任意接種で用いられたものや納入されたが使用されなかったものも含まれる 注 4) 副反応疑い報告は報告日ベースであるため 発症からある程度期間が経過した後に報告される場合があることに留意が必要 H30 版リーフレットによる情報提供を開始 (H30.1 月 ) R2 版リーフレット等の個別送付を開始 (R2.10 月 ) 2.50% 2.00% 1.50% 1.00% 0.50% 0.00% 積極的勧奨差し控え (H25.6 月 ) H25/4 H25/6 H25/8 H25/10 H25/12 H26/2 H26/4 H26/6 H26/8 H26/10 H26/12 H27/2 H27/4 H27/6 H27/8 H27/10 H27/12 H28/2 H28/4 H28/6 H28/8 H28/10 H28/12 H29/2 H29/4 H29/6 H29/8 H29/10 H29/12 H30/2 H30/4 H30/6 H30/8 H30/10 H30/12 H31/2 H31/4 R1/6 R1/8 R1/10 R1/12 R2/2 R2/4 R2/6 R2/8 R2/10 R2/12 R3/2 R3/4 R3/6 製造販売業者からの報告医療機関からの報告医療機関からの報告 ( うち重篤 ) ( 注 ) 製造販売業者からの報告には 医療機関から報告された症例と重複している症例が含まれている可能性があり 重複症例は 医療機関報告として計上している 期間 H25 年 4 月 -7 月 H25 年 8 月 - H25 年 10 月 H26 年 4 月 - H27 年 7 月 - H28 年 3 月 - H28 年 5 月 - H28 年 9 月 - H28 年 12 月 H29 年 5 月 - H29 年 9 月 - H30 年 1 月 - H30 年 5 月 - H30 年 9 月 - H31 年 1 月 - R1 年 5 月 -8 R1 年 9 月 - 9 月 -H26 年 3 月 H27 年 6 月 H28 年 2 月 4 月 8 月 11 月 -H29 年 4 月 8 月 12 4 月 8 月 12 月 4 月月 12 月 R2 年 1 月 -4 月 R2 年 5 月 -9 R2 年 10 月 - R3 年 1 月 -3 R3 年 4 月 -6 月 12 月月月 製造販売業者からの報告 83 39 88 88 38 22 54 19 40 37 16 13 7 10 6 14 13 3 5 13 15 25 医療機関からの報告 208 53 92 258 167 17 31 38 30 11 6 12 3 4 2 4 6 4 3 15 29 26 医療機関からの報告 ( うち重篤 ) 87 27 62 206 140 14 24 32 25 11 4 10 2 3 0 3 6 0 3 5 7 8 施設納入数 250302 13531 30224 54275 8577 2439 3615 2775 4389 3828 5319 7425 9288 11489 13731 16180 23140 28462 56742 78830 100759 109105 ( ) 報告数 納入本数 期間については 過去の副反応検討部会において報告された HPV ワクチンの副反応疑い報告状況について より抜粋し サーバリックスとガーダシルの合計値を使用 重篤 とは 死亡 障害 それらに繋がるおそれのあるもの 入院相当以上のものが報告対象とされている 8

課題 1HPV ワクチンのリスク ( 安全性 ) とベネフィット ( 有効性 ) の整理 に関する主なご意見と今後の方向性について 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 ワクチンの安全性と有効性に関するエビデンスについて 追加のエビデンスがあれば評価を行うべきではないか 今後の方向性 ( 案 ) 10 月 1 日の合同会議において 近年の主要なエビデンスについて資料としてお示しした ( 参考資料 3-2 として再掲 ) 合同会議以降 HPV ワクチンの有効性 ( 子宮頸がんの予防効果 ) に関する新たなエビデンスが確認された HPV ワクチン接種後に生じた多様な症状と HPV ワクチンとの関連についてのエビデンスがこれまで認められていないことなどから 現在のエビデンスによれば ワクチンの安全性についての特段の懸念は認められない その上で 合同会議において 今後も新たなエビデンスを収集しつつ 安全性の評価を行っていく 9

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 10

課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援 に関する最近の知見 取組状況と主なご意見について 最近の知見 取組状況 ( 1 0 月 1 日合同会議資料より ) (HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について ) 1 救済に係る速やかな審査 2 定期接種化前の基金事業で行われたワクチン接種による通院について 予防接種法と同等の医療費 医療手当となるよう予算事業により措置 3 身近な地域で適切な診療を提供するための協力医療機関の整備等を通じた医療的な支援の充実 4 各都道府県等への相談窓口の設置など生活面での支援の強化 5 疫学的観点からの研究の実施など調査研究の推進 などの支援策が継続して行われている 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 < 協力医療機関の診療実態の把握 体制強化について > HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の診療実態を把握すべきではないか 協力医療機関の体制を強化すべきではないか < 地域における連携について > ワクチン接種を行う地域の医療機関に対して ワクチン接種後に生じた症状への適切な対応方法や協力医療機関についての周知を行うべきではないか 地域における相談支援体制において 学校や地域の医療機関との連携が重要ではないか 11

HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 1 調査概要 目的 協力医療機関の診療体制 患者の受診状況を把握する 方法 webアンケート調査 調査対象 全 84 協力医療機関 (61 医療機関が回答 回収率 72.6%) 調査期間 2021 年 10 月 13 日 ~11 月 2 日 調査項目 診療体制について 窓口となる診療科 連携可能な診療科 診療を行う医師数 受診を希望した場合の予約までの最短日数 患者の受診状況について 令和元年度 ~ 令和 3 年度 (9 月末時点 ) の新規受診者数 延べ受診者数 継続して受診している患者数 受診に至った経緯 受診後の対応 その他 都道府県等との連携の取組み状況 診療充実のために必要な事項 12

HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 2 診療体制について 協力医療機関は 診療を行う医師や関係する診療科間の連携など 必要な診療を提供するための体制が一定程度維持されている [ 医療機関数 ] 20 15 10 5 15 15 診療を行う医師数 17 14 [ 医療機関数 ] 30 20 10 25 受診希望から予約までの最短日数 17 13 2 4 0 1 人 2~4 人 5~9 人 10 人 ~ 0 ~3 日 4~7 日 8~14 日 15 日 ~ 不明 診療を行う医師数の中央値 5 人 予約までの最短日数の中央値 7 日 [ 医療機関数 ] 窓口科 + 連携可能診療科数 20 18 15 10 10 8 8 6 5 4 3 4 0 1 科 2 科 3 科 4 科 5 科 6 科 7 科 8 科 ~ [ 医療機関数 ] 50 40 30 20 10 0 42 窓口 連携診療科に挙げられた主な診療科 33 32 29 27 26 19 15 窓口科 + 連携可能診療科数の中央値 3 科 13

新規受診者延べ受診者継続受診14 HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 3 患者の受診状況について 多くの協力医療機関では 過去 2 年半の間 HPV ワクチン接種後に生じた症状で受診した患者がいない状態が続いている 参考 平成 26 年 11 月 22 日 ~ 平成 29 年 3 月の間に 協力医療機関を受診した患者数 ( 実人数 ):715 人 令和元年度新規受診者 [ 医療機関数 ] 60 55 40 20 5 1 0 0 人 1 人 2 人 [ 医療機関数 ] 令和元年度延べ受診者 60 55 40 20 3 1 0 2 0 0 人 1~10 人 11~20 人 21~30 人 31 人 ~ 継続受診者 * 48 医療機関 あり なし 令和 2 年度新規受診者 [ 医療機関数 ] 60 40 20 0 [ 医療機関数 ] 60 40 20 0 13 医療機関 52 50 * 令和 3 年 9 月末時点 8 3 0 人 1 人 2 人 令和 2 年度延べ受診者 6 2 1 0 0 人 1~10 人 11~20 人 21~30 人 31 人 ~ [ 医療機関数 ] 60 40 20 0 48 8 [ 医療機関数 ] 60 40 20 0 52 [ 医療機関数 ] 60 40 20 0 令和 3 年度 * 新規受診者 5 2 1 1 0 人 1 人 2 人 3 人 4 人 50 継続受診者 * 令和 3 年度 * 延べ受診者 *9 月末まで 2 0 1 2 0 人 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 ~ 9 *9 月末まで 0 2 0 0 人 1~10 人 11~20 人 21~30 人 31 人 ~ * 令和 3 年 9 月末時点

HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 4 患者の受診の経緯 受診後の対応について 協力医療機関への受診の経緯は ほとんどが地域の医療機関からの紹介であったが 都道府県 市町村から紹介されるケースもみられた 受診後の対応の多くは 当該協力医療機関で受診終了 (16 人 43%) 継続対応 (15 人 41%) 紹介元の医療機関へ逆紹介 (4 人 11%) のいずれかであった 新規受診者 * の受診経緯 1 人 受診後の対応 * 1 人 1 人 4 人 36 人 15 人 16 人 地域の医療機関からの紹介 都道府県 市町村からの紹介 協力医療機関を直接受診した患者はなし 受診終了 紹介元の医療機関へ逆紹介 その他 継続対応 その他の医療機関へ紹介 専門医療機関への紹介患者はなし *2019( 令和元 ) 年 4 月 ~2021( 令和 3) 年 9 月末までの新規受診者 37 人について 15

HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 5 都道府県等との連携について 協力医療機関と都道府県等との連携については 約 4 割の医療機関が都道府県等からの患者の紹介を受ける体制がある一方で 都道府県 市町村職員との意見交換や職員研修などについては 今後 体制強化を図る余地があると考えられた 質問 : 都道府県等と協力医療機関が連携して行っている取組みがあれば教えてください 都道府県等との連携に関する取組 ( 全 61 医療機関 ) HPV ワクチン接種後に症状が生じた患者さんの紹介を受ける 27 HPV ワクチン接種後に症状が生じた患者さんに関する情報共有 12 都道府県 市町村職員に対する研修や意見交換会の実施 6 HPV ワクチンの接種を実施している医療機関職員に対する研修の実施 2 その他 2 0 5 10 15 20 25 30 [ 医療機関数 ] 16

HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の実態調査 6 診療充実のためのニーズについて 協力医療機関における診療充実のためのニーズとして 協力医療機関向け研修会の実施 説明 情報提供のための資材などが挙げられた また 他の協力医療機関との連携など関係機関間の連携に関するニーズも挙げられた 質問 : 今後 HPV ワクチン接種後に生じた症状に対する診療を充実していくためにはどのようなことが必要でしょうか 診療充実のためのニーズ ( 全 61 医療機関 ) 説明 情報提供するための資材 28 協力医療機関向け研修会の実施 27 他の協力医療機関や専門医療機関との連携 26 その他 7 0 5 10 15 20 25 30 [ 医療機関数 ] 協力医療機関向け研修会と情報提供資材に関して具体的に希望する内容 ( 自由記載 ) の主な回答 協力医療機関向け研修会 多くの患者に対応している協力医療機関における具体例 ( 症状や対応した診療科など ) の共有 多様な症状 の病態 初期対応 他科との連携方法 不登校への対応について 関係する医療機関の役割分担について等 情報提供資材 有害事象の一覧 頻度 転機についての情報 HPV ワクチン接種後に限らず起こる可能性がある症状であることの説明 多様な症状 についての説明等 17

実態調査を踏まえた協力医療機関等の強化のポイント 実態調査の結果 協力医療機関において 診療を行う医師や関係する診療科間の連携など 必要な診療を提供するための体制が一定程度維持されていることが明らかになった一方で 多くの協力医療機関では HPV ワクチン接種後に生じた症状で受診した患者がいない状態が続いていた 協力医療機関と都道府県等との連携については 約 4 割の医療機関が都道府県等からの患者の紹介を受ける体制がある一方で 都道府県 市町村職員との意見交換や職員研修などについては 今後 体制強化を図る余地がみられた 協力医療機関における診療充実のためのニーズとして 協力医療機関向け研修会の実施 説明 情報提供のための資材などが挙げられた また 他の協力医療機関との連携など関係機関間の連携に関するニーズも挙げられた 強化のポイント 研修会について 例 : これまで定期的に実施してきた協力医療機関向けの研修会について 引き続き実施するとともに 協力医療機関のニーズ等を踏まえ内容を充実 協力医療機関同士など関係機関の連携について 例 : 協力医療機関同士が互いに相談できる体制の構築や 協力医療機関と都道府県等とが必要な情報の共有 意見交換や職員研修等ができるような連携の強化 協力医療機関の診療実態の把握のための調査について 例 : 協力医療機関の診療実態を把握するための調査 ( たとえば 協力医療機関における患者の受療動向や受診した患者の症状等についての丁寧な追跡調査 ) の継続的な実施 18

これまで実施されてきた協力医療機関向け研修会の概要 < 概要 > 協力医療機関等における診療の参考としてもらうため 当該医療機関で診療に従事する医師等を対象とした研修会を年 1 回程度開催 < 対象者 > ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の医師等 窓口診療科だけでなく診療に従事する医師等 < 研修プログラム> 専門家から学ぶHPVワクチンの診療と患者さんへの伝え方 (1)HPV ワクチンの概要 ワクチンの効果と副反応 WHO のワクチン副反応の考え方 (2) 診療体制の整備に関する取組事例 大学医学部附属病院の取組み 大学医学部附属病院における診療の実際 (3) 診療の実際 今後の診療の構築に関する考え方など 診療の実技面 1 小児に対する初期対応のポイント 2 モデル症例シミュレーション 19

HPV ワクチンに関する文部科学省から学校に対する周知の例 子宮頸がん予防ワクチンの接種に関連したと思われる症状により教育活動の制限が生じた生徒への適切な対応について ( 平成 25 年 9 月 3 日事務連絡文部科学省スポーツ 青少年局学校健康教育課 初等中等教育局特別支援教育課 ) 各都道府県 指定都市教育委員会学校保健主管課等に対し 以下について周知の上 当該生徒に対する適切な対応や個別の配慮等に 引き続き 取り組むよう協力依頼 教職員等のワクチン接種に関連した症状に関する理解を深めるとともに 必要に応じて学級担任 養護教諭 関係教職員等が連携しつつ 個々の生徒の心身の状態に応じ 学習面を含め学校生活の様々な面での適切な配慮を依頼 ワクチン接種後に体調の変化が認められた生徒が 医療機関及び市区町村又は保健所等行政機関に相談されたことがない場合については 当該生徒やその保護者に連絡して 関係機関への受診又は相談を勧めることについても配慮を依頼 学校における学習面での支援や 医療機関等への受診 相談の勧奨などの対応について依頼 この事務連絡は 行政からの説明会等において定期的に周知されている 20

都道府県従来からある連携の枠組みを再活性化するとともに 重要な取組みについてはさらに強化していく 医療機関接種前 接種時に関係する連携 支援等 接種後に関係する連携 支援等 強化の例 1 協力医療機関のニーズ等を踏まえた研修会の充実 地域の中核医療機関と して 診療体制を整備 地域の医療機関から紹 介された患者の受入れ 必要に応じて専門医療 機関を紹介 地域における HPV ワクチン接種にかかる診療 相談体制の強化のイメージ 研究班の専門医療機関 研修会などによる診療体制支援 協力医療機関 相談 紹介 診療支援 相談 紹介 強化の例 3 診療実態を継続的に把握 強化の例 2 必要な情報の共有 意見交換や職員研修等ができるような連携の強化 情報提供 相談 相談窓口 都道府県携連携 必要な支援の調整相談連学習面などでの支援 市町村 関係団体 ( 医師会 関係学会等 ) 情報提供等の支援 診療支援 地域の医療機関 受診 必要に応じて情報提供 相談 学校 21

課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援 に関する主なご意見と今後の方向性についてその 1 < 協力医療機関の診療実態の把握 体制強化について > 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 HPV ワクチン接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の診療実態を把握すべきではないか 協力医療機関の体制を強化すべきではないか 今後の方向性 ( 案 ) 協力医療機関の実態調査の結果 必要な診療を提供するための体制が一定程度維持されている一方で 近年 ワクチン接種後に生じた症状で受診する患者がいない医療機関も多く 研修会や関係機関間の連携にかかるニーズがあることが明らかになった 今後 協力医療機関の診療実態を把握するための調査を継続的に実施していく これまで定期的に実施してきた協力医療機関向けの研修会について 引き続き実施するとともに 協力医療機関のニーズ等を踏まえ内容の充実を行っていく 協力医療機関同士が互いに相談できる体制の構築や 協力医療機関と都道府県等が必要な情報を共有できるような連携の強化を行っていく 22

課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援 に関する主なご意見と今後の方向性についてその 2 < 地域における連携について > 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 今後の方向性 ( 案 ) ワクチン接種を行う地域の医療機関に対して ワクチン接種後に生じた症状への適切な対応方法や協力医療機関についての周知を行うべきではないか 地域における相談支援体制において 都道府県等と 学校や地域の医療機関との連携が重要ではないか 地域の医療機関がワクチン接種後に生じた症状への適切な対応方法や協力医療機関等への紹介をより円滑に実施できるよう また 地域の医療機関の医師が担っている学校医に他の医療機関や都道府県等との必要な連携を取っていただけるよう 地域の医療機関に対して 必要な情報の周知を行っていく 地域における相談支援体制について衛生部局と教育部局の連携が重要であることから 必要な周知等を行えるよう 関係機関との一層の連携を図っていく 23

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 24

課題 3HPV ワクチンに関する情報提供 に関する最近の知見 取組状況と主なご意見について 最近の知見 取組状況 ( 1 0 月 1 日合同会議資料より ) (HPV ワクチンに関する情報提供について ) 接種対象者等が情報に接する機会を確保し 接種について検討 判断できるよう 自治体からの情報提供資材 ( リーフレット等 ) の個別送付が広がってきている 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 < 情報提供の内容について > リーフレットについて 最新のエビデンス等を踏まえた改訂をすべきではないか 9 価ワクチンに関する情報についても提供すべきではないか < 情報提供の方法について > 学校における適切な情報提供も重要ではないか 25

情報提供の目的 HPV ワクチンの情報提供について 公費によって接種できるワクチンの一つとしてHPVワクチンがあることについて知っていただく HPVワクチン接種について検討 判断するためのワクチンの有効性 安全性に関する情報等や 接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を 接種対象者及びその保護者に届ける 情報提供の内容 読みやすさ わかりやすさを重視する行政用語 専門用語を極力排除する読みやすく簡潔な文章にする等 HPV ワクチンの情報提供については 令和 2 年 9 月 25 日に本部会でまとめられた 情報提供の目的や読みや すさ わかりやすさを重視する視点を踏襲しつつ 主に以下の点についてリーフレットを更新する 本人 保護者向け概要版 ( ピンク ) 本人保護者向け詳細版( 水色 ) 表紙メッセージの更新 各種データの更新 最新のエビデンスを踏まえたHPVワクチンの 効果 と リスク の追記 修正 情報がアップデートされるもの( 例 : 国内の接種率 9 価ワクチンなど ) については 厚労省 HPとリンクした情報提供 積極的勧奨の差し控え に関する記載の見直し等 医療従事者向け ( 緑 ) 医療従事者にとっても読みやすいレイアウトへ変更 各種データの更新 最新のエビデンスを踏まえたHPVワクチンの 効果 と リスク の追記 修正 詳細な情報( 例 :HPVワクチンのエビデンスのまとめ 副反応疑い報告の提出方法) や 情報がアップデートされるもの ( 例 :9 価ワクチンなど ) は 厚労省 HPとリンクした情報提供等 26

表紙メッセージ 本人 保護者向けリーフレット ( 概要版 ) の主な改訂内容 現行改訂案 修正 あなたと 関係のあるがんがあります HPV ワクチンを知ってください ~ あなたと関係のあるがんがあります ~ H P V ワクチンの効果 ( 概要版 ) 追記 修正 HPV の中には子宮けいがんをおこしやすい種類のものがあります HPV ワクチンは このうち一部の感染を防ぐことができます そのことにより 子宮けいがんの原因の 50~70% を防ぎます また HPV ワクチンで がんになる手前の状態 ( 前がん病変 ) が減るとともに がんそのものを予防する効果があることも分かってきています ワクチンで防げる種類の HPV が 子宮けいがんの原因の 50~70% を占めます 積極的勧奨の差し控え に関する記載 このご案内は 小学校 6 年 ~ 高校 1 年相当の女の子やその保護者の方に 子宮けいがんや HPV ワクチンについて知っていただくためのものです 接種をおすすめするお知らせをお送りするのではなく 希望される方が接種を受けられるよう みなさまに情報をお届けしています 見直し 27

本人 保護者向けリーフレット ( 詳細版 ) の主な改訂内容 現行 改訂案 日本の接種率 ( 詳細版 ) 追記 日本の接種率が参照できるようにする なお 今後変化する可能性が高いため 最新値が確認できるよう 具体的な数字を記載するのではなく 厚生労働省ホームページを参照するような記載とする 日本の接種率は 厚生労働省ホームページ 定期の予防接種実施者数 参照 URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/5.html 9 価 ( 詳細版 ) 追記新しいワクチンであるシルガード 9 については 現在 専門家により公費による接種の対象とするか検討中です 最新の情報は 厚生労働省ホームページ ~ をご覧ください URL:~ H P V ワクチンの効果 ( 詳細版 ) 追記 修正 公費で受けられる HPV ワクチンは 子宮けいがんをおこしやすいタイプである HPV16 型と 18 型の感染を防ぐことができます そのことにより 子宮けいがんの原因の 50~70% を防ぎます 1 1 ワクチンで防げる HPV16 型と 18 型が 子宮けいがんの原因の 50~70% を占めます 公費で受けられる HPV ワクチンの接種により 感染予防効果を示す抗体を少なくとも 12 年維持できることがこれまでの研究でわかっています 2 2 ワクチンの誕生 (2006 年 ) 以降 期待される効果について研究が続けられています 海外や日本で行われた疫学調査 ( 集団を対象として病気の発生などを調べる調査 ) では HPVワクチンを導入することにより 子宮けいがんの前がん病変を予防する効果が示されています また 接種が進んでいる一部の国では 子宮けいがんそのものを予防する効果があることも分かってきています 28

( 参考 ) がん教育推進のための教材 における子宮頸がん HPV ワクチン取扱い 学校においてがん教育を実施するに当たり 効果的な指導が行えるよう 文部科学省が作成しているがん教育推進のための教材の中で 子宮頸がん HPV ワクチンについても取り上げられている 子宮頸がん HPV ワクチンに関連する部分のみ抜粋 3 がんの経過と様々ながんの種類 (2) がんの種類とその特徴表 2 主ながんの種類子宮頸がん 子宮体がん がん教育推進のための教材 ( 令和 3 年 3 月改訂 文部科学省 ) 子宮のがんには 子宮の入口 ( 頸部 ) にできるものと 子宮本体 ( 体部 ) にできるものがある 頸部にできるものでは 初期の段階では症状がないことが多い 特に症状がなくても 20 歳を過ぎたら 2 年に 1 回子宮頸がんの検診を受けることが勧められている 4 がんの予防 (3) 感染対策 胃がん 肝がん 子宮頸がんなどは ウイルスや細菌等の感染が原因で発生するものが多いと言われています これらのがんへの対策として検査があります ( 略 ) また ウイルスの感染が原因となるがんには ワクチンの接種により 予防することができるものもあります ( 1) 1 子宮頸がんについては 日本では 小学校 6 年 ~ 高校 1 年相当の女の子を対象に 子宮頸がんの原因となる HPV( ヒトパピローマウイルス ) の感染を防ぐワクチンの接種を提供しています HPV の感染を防ぐことで 将来の子宮頸がんを予防できると期待されています ( 厚生労働省 小学校 6 年 ~ 高校 1 年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ ( 概要版 )) 29

< 情報提供の内容について > 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供 に関する主なご意見と今後の方向性について 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見今後の方向性 ( 案 ) リーフレットについて 最新のエビデンス等を踏まえた改訂をすべきではないか 9 価ワクチンに関する情報についても提供すべきではないか < 情報提供の方法について > 1 0 月 1 日合同会議における主なご意見 学校における適切な情報提供も重要ではないか ワクチン接種について検討 判断するために必要な情報を 接種対象者等に届ける観点から 本人 保護者向けのリーフレットについては 最新のエビデンス等を踏まえた改訂や 積極的な勧奨の差し控えに関する記載の見直し 情報が更新されるもの (9 価ワクチンの情報を含む ) について厚生労働省のホームページとリンクした情報提供を行うよう修正を加える 医療従事者向けのリーフレットについては 最新のエビデンス等を踏まえた改訂や 詳細な情報等 (9 価ワクチンの情報を含む ) について厚生労働省のホームページとリンクした情報提供を行うよう修正を加える 今後の方向性 ( 案 ) 学校における取組みのあり方については 文部科学省と検討していく 30

HPV ワクチンについて目次 1.HPV ワクチンに関する前回の審議について 2.HPV ワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について 2-1. 課題 1HPV ワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 2-2. 課題 2HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 2-3. 課題 3HPV ワクチンに関する情報提供について 3. 論点 31

HPV ワクチンの課題への今後の対応の方向性 ( 案 ) と論点 <HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について> 1.HPVワクチンの安全性 有効性に関する最新のエビデンスについて 10 月 1 日の合同会議において 近年の主要なエビデンスが示された 合同会議以降 HPVワクチンの有効性 ( 子宮頸がんの予防効果 ) に関する新たなエビデンスが確認された 現在のエビデンスによれば ワクチンの安全性についての特段の懸念は認められない その上で 合同会議において 今後も新たなエビデンスを収集しつつ 安全性の評価を行っていく 2.HPV ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について 協力医療機関の実態調査の結果 必要な診療を提供するための体制が一定程度維持されている一方で 近年 ワクチン接種後に生じた症状で受診する患者がいない医療機関も多く 研修会や関係機関間の連携にかかるニーズがあることが明らかになった 今後 協力医療機関の診療実態を把握するための調査を継続的に実施していく これまで定期的に実施してきた協力医療機関向けの研修会について 引き続き実施するとともに 協力医療機関のニーズ等を踏まえ内容の充実を行っていく 協力医療機関同士が互いに相談できる体制の構築や 協力医療機関と都道府県等が必要な情報を共有できるような連携の強化を行っていく 地域の医療機関がワクチン接種後に生じた症状への適切な対応方法や協力医療機関等への紹介をより円滑に実施できるよう また 地域の医療機関の医師が担っている学校医に他の医療機関や都道府県等との必要な連携を取っていただけるよう 地域の医療機関に対して 必要な情報の周知を行っていく 地域における相談支援体制について衛生部局と教育部局との連携が重要であることから 必要な周知等を行えるよう 関係機関との一層の連携を図っていく 3.HPV ワクチンに関する情報提供について ワクチン接種について検討 判断するために必要な情報を 接種対象者等に届けることを目的として 本人 保護者向けのリーフレットについては 最新のエビデンス等を踏まえた改訂や 積極的な勧奨の差し控えに関する記載の見直し 厚生労働省のホームページとリンクした情報提供を行うよう修正を加える 医療従事者向けのリーフレットについては 最新のエビデンス等を踏まえた改訂や 厚生労働省のホームページとリンクした情報提供を行うよう修正を加える 学校における取組みのあり方については 文部科学省と検討していく 論点 今後 HPV ワクチンの安全性を引き続き評価し HPV ワクチン接種後に何らかの症状が生じた方の相談体制や医療体制を強化するとともに こうした症状に苦しんでいる方に寄り添った支援策を継続し HPV ワクチンに関する情報提供を充実していく こうした点を踏まえ HPV ワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることについてどう考えるか 32