IFRS Global office 2010 年 11 月 IFRS in Focus IASB 金 融 負 債 の 会 計 に 関 する IFRS 第 9 号 の 改 訂 を 公 表 注 : 本 資 料 は Deloitte の IFRS Global Office が 作 成 し 有 限 責 任 監 査 法 人 トーマツ が 翻 訳 したものです この 日 本 語 版 は 読 者 のご 理 解 の 参 考 までに 作 成 したものであり 原 文 については 英 語 版 ニュースレターをご 参 照 下 さい 目 次 はじめに 負 債 の 信 用 リスクの 変 動 の 影 響 の 表 示 デリバティブ 負 債 に 関 する 原 価 による 例 外 規 定 の 削 除 発 効 日 および 経 過 措 置 要 点 IAS 第 39 号 に 含 まれていた 金 融 負 債 の 分 類 規 準 は 変 更 されずに IFRS 第 9 号 に 移 行 され 償 却 原 価 および 損 益 を 通 じて 公 正 価 値 で 測 定 という IAS 第 39 号 の 分 類 カテゴリーは 維 持 される 公 正 価 値 オプションを 使 用 して 損 益 を 通 じて 公 正 価 値 で 測 定 の 指 定 を 行 った 金 融 負 債 については 負 債 の 信 用 リスクの 変 動 に 起 因 する 当 該 負 債 の 公 正 価 値 の 変 動 は 会 計 上 のミスマッチを 生 じたり 増 大 させない 限 り その 他 の 包 括 利 益 (OCI) で 直 接 認 識 される OCI への 計 上 額 は 負 債 が 決 済 または 消 滅 した 場 合 に リサイクル されない 資 産 固 有 のパフォーマンス リスクから 信 用 リスクを 区 別 するため 信 用 リスクの 意 味 が 明 確 化 された 市 場 価 格 のない 資 本 性 金 融 商 品 の 引 渡 しにより 決 済 されるデリバテ ィブ 負 債 についての IAS 第 39 号 の 原 価 による 例 外 規 定 が 削 除 され た 改 訂 された 基 準 書 の 発 効 日 は 2013 年 1 月 1 日 である はじめに 2010 年 10 月 28 日 国 際 会 計 基 準 審 議 会 (IASB)は IFRS 第 9 号 金 融 商 品 の 改 訂 版 を 公 表 した 改 訂 された 基 準 書 は 2009 年 11 月 に 公 表 された 金 融 資 産 の 分 類 および 測 定 に 対 する 要 求 を 維 持 する 一 方 金 融 負 債 の 分 類 お よび 測 定 に 関 するガイダンスが 追 加 されている IFRS 第 9 号 の 再 構 成 の 一 環 として IASB は IFRS 第 39 号 金 融 商 品 : 認 識 および 測 定 の 金 融 商 品 の 認 識 中 止 ガイダンスと 関 連 する 適 用 指 針 を IFRS 第 9 号 にコピーしている
金 融 負 債 の 分 類 および 測 定 に 関 する IFRS 第 9 号 のガイダンスは 現 在 IAS 第 39 号 に 含 まれる 金 融 負 債 の 分 類 規 準 を 変 更 していない 言 い 換 えれば 金 融 負 債 は 引 き 続 き 全 部 または 一 部 が 償 却 原 価 または 損 益 を 通 じて 公 正 価 値 (FVTPL) で 測 定 される 組 込 デリバティブを 金 融 負 債 である 主 契 約 から 分 離 する 概 念 も 変 更 されない 売 買 目 的 保 有 の 金 融 負 債 は 引 き 続 き FVTPL で 測 定 され その 他 のすべての 金 融 負 債 は 公 正 価 値 オプションが 適 用 されない 限 り IAS 第 39 号 の 現 行 規 準 を 使 用 して 償 却 原 価 で 測 定 され る しかし IAS 第 39 号 とは 以 下 の2つの 異 なる 点 がある 負 債 の 信 用 リスクに 起 因 する 公 正 価 値 変 動 の 影 響 の 表 示 市 場 価 格 のない 資 本 性 金 融 商 品 の 引 渡 しにより 決 済 されるデリバティブ について 原 価 による 例 外 規 定 の 削 除 この 改 訂 されたガイダンスは 金 融 商 品 の 基 準 書 である IAS 第 39 号 を 置 換 え る IASB の 包 括 的 なプロジェクトの 第 1 フェーズの 結 論 となるものである 他 の フェーズ すなわち 減 損 および ヘッジ 会 計 は 未 だ 完 了 していない 負 債 の 信 用 リスクの 変 動 の 影 響 の 表 示 負 債 の 信 用 リスクに 関 する 改 訂 された 指 針 は FVTPL で 測 定 されたすべての 負 債 に 適 用 されるわけではない デリバティブ 負 債 などの 売 買 目 的 保 有 の 金 融 負 債 および 公 正 価 値 オプションで 指 定 されるローン コミットメントと 金 融 保 証 契 約 は 引 き 続 き 公 正 価 値 で 測 定 され 全 ての 変 動 は 損 益 で 認 識 される 公 正 価 値 オプションを 使 用 して FVTPL に 指 定 されるその 他 全 ての 金 融 負 債 に ついては 負 債 の 信 用 リスクに 関 する 改 訂 されたガイダンスが 適 用 され 信 用 リスクの 変 動 に 起 因 する 負 債 の 公 正 価 値 変 動 を その 他 の 包 括 利 益 (OCI) で 認 識 し 残 りの 公 正 価 値 変 動 額 は 損 益 で 認 識 する IASB が 本 ガイダンスを 公 表 することの 主 たる 要 素 の 1 つは 金 融 負 債 が 公 正 価 値 で 測 定 される 場 合 に 発 生 する 直 感 と 相 容 れない(counterintuitive) 結 果 であることが しばしば 引 用 される 信 用 の 低 下 を 経 験 した 企 業 が 負 債 の 公 正 価 値 の 減 少 により 損 益 を 創 出 する( 信 用 低 下 により 企 業 が 直 面 する 可 能 性 のある 損 失 を 潜 在 的 に 相 殺 する) 一 方 信 用 改 善 の 結 果 損 失 が 認 識 される( 信 用 品 質 の 改 善 につながる 可 能 性 のある 企 業 が 創 出 する 利 益 を 潜 在 的 にあいまいにする) しかし 信 用 リスクに 起 因 する 公 正 価 値 変 動 を OCI に 認 識 することが 会 計 上 のミスマッチを 生 じるまたは 増 大 させる 場 合 企 業 は 全 ての 公 正 価 値 変 動 を 損 2
益 で 認 識 する 会 計 上 のミスマッチの 評 価 にあたり 企 業 は 負 債 の 信 用 リス クの 変 動 の 影 響 が FVTPL で 測 定 される 別 の 金 融 商 品 の 公 正 価 値 変 動 によ って 損 益 が 相 殺 されることを 予 想 するかどうかを 判 定 しなければならない そ のような 予 想 は 負 債 の 特 徴 とその 他 の 金 融 商 品 の 特 徴 との 経 済 的 関 係 を 基 礎 としなければならない この 判 定 は 企 業 によって 当 初 認 識 時 点 で 行 われ 再 評 価 されない 企 業 は 判 定 に 使 用 した 方 法 を 財 務 諸 表 の 注 記 で 開 示 しな ければならない プロジェクトの 本 パートの 開 発 中 に IASB によって 議 論 された 設 例 の 1 つ が 会 計 上 のミスマッチが 生 じることがあるモーゲージ ファンディングに 関 連 するものであった この 設 例 においては モーゲージ バンクは 顧 客 に 資 金 を 貸 付 け モーゲージ ローンと 同 一 の 条 件 (すなわち 残 高 期 間 通 貨 償 還 条 件 )の 債 券 を 売 却 することによって ローンの 資 金 を 調 達 する モ ーゲージ ローンの 条 件 は 借 手 が 特 定 の 債 券 を 公 正 価 値 で 回 収 することに よって ローンを 繰 上 返 済 することを 認 めている 債 券 の 信 用 リスクの 変 動 の 影 響 と モーゲージ ローンの 公 正 価 値 変 動 との 間 に 契 約 上 の 関 連 があ る 公 正 価 値 オプションを 使 用 した 結 果 銀 行 が 債 券 の 信 用 リスクの 変 動 に 起 因 する 公 正 価 値 変 動 を OCI を 通 じて 認 識 する 一 方 ローンの 公 正 価 値 変 動 の 全 体 を 損 益 で 認 識 した 場 合 結 果 として 会 計 上 のミスマッチとなる 本 基 準 書 は 信 用 リスクを 資 産 固 有 のパーフォーマンス リスク(すなわち 単 一 の 資 産 または 資 産 グループが 未 履 行 となり それにより 当 該 資 産 にリンク する 債 務 の 基 づく 金 額 から 発 行 企 業 を 免 除 するリスク)から 区 別 することにつ いて 更 なるガイダンスを 提 供 している 基 準 書 は 資 産 固 有 のパフォーマン ス リスクの 設 例 を 提 供 している 本 基 準 書 に 提 供 されている 資 産 固 有 のパフォーマンス リスクの 設 例 の 1 つは 特 別 目 的 事 業 体 (SPE)の 発 行 した 債 券 の 資 金 を 確 保 するため 当 該 SPE の 資 産 が 法 的 に 隔 離 されている 場 合 における 当 該 SPE 発 行 の 債 券 についてである 使 途 制 限 付 き 資 産 (ring-fenced assets)がキャッシュ フロ ーを 生 み 出 す 場 合 にのみ 債 券 の 投 資 家 に 支 払 が 行 われる 当 該 資 産 が キャッシュ フローを 創 出 しない 場 合 SPE は 投 資 家 への 支 払 義 務 を 負 わな い 資 産 のパフォーマンスが 債 務 金 額 を 決 定 するため 当 該 債 券 の 固 有 リス クは 資 産 固 有 のパフォーマンス リスクとみなされる 信 用 リスクと 資 産 固 有 のパフォーマンス リスクとの 差 異 は 微 妙 であり それゆえ 負 債 条 件 の 考 慮 が 重 要 となる 債 券 上 の 金 額 が 資 産 のパフォーマンスによって 変 動 しな い 場 合 リスクは 資 産 固 有 のパフォーマンス リスクではなく 信 用 リスクとみ なされる 3
改 訂 されたガイダンスは 信 用 リスクに 起 因 し OCI で 認 識 した 金 額 のリサイク ルを 禁 止 しているが その 他 の 資 本 項 目 への 振 替 は 認 められる これは 企 業 が 契 約 上 の 金 額 と 異 なる 金 額 で 満 期 前 に 金 融 負 債 の 認 識 を 中 止 する 場 合 に 関 連 する この 場 合 OCI の 残 余 金 額 は 他 の 資 本 項 目 ( 例 えば 利 益 剰 余 金 )に 振 替 えられ 振 替 金 額 と 振 替 理 由 が 開 示 される 他 方 企 業 が 契 約 条 件 に 則 り 満 期 に 負 債 を 返 済 する 場 合 負 債 の 信 用 リスクの 変 動 の 累 積 的 影 響 は 純 額 がゼロになるため 振 替 るべき 金 額 はない 改 訂 された IFRS 第 9 号 は 信 用 リスクに 起 因 する 負 債 の 公 正 価 値 変 動 を 隔 離 する 方 法 について IFRS 第 7 号 金 融 商 品 - 開 示 の 既 存 のガイダンスを 維 持 している IFRS 第 7 号 は 2 つの 技 法 を 認 めている 1) (ベンチマーク 金 利 他 の 企 業 の 金 融 商 品 の 価 格 コモディティ 価 格 外 国 為 替 レート 価 格 またはレートの 指 数 の 変 動 などの) 市 場 リスク の 変 化 に 起 因 しない 公 正 価 値 変 動 2) 信 用 リスクをより 忠 実 に 表 現 する 代 替 的 方 法 信 用 リスクの 変 動 に 起 因 する 公 正 価 値 変 動 の 測 定 に 使 用 した 方 法 は 開 示 し なければならない デリバティブ 負 債 に 関 する 原 価 による 例 外 規 定 の 削 除 IFRS 第 9 号 の 金 融 資 産 を 取 扱 うパートは 公 正 価 値 が 信 頼 性 をもって 測 定 で きない 市 場 価 格 のない 資 本 性 金 融 商 品 および 関 連 するデリバティブ 資 産 に ついての IAS 第 39 号 の 原 価 による 例 外 規 定 を 削 除 している IFRS 第 9 号 の 金 融 資 産 のパートが 公 表 された 時 点 では 公 正 価 値 が 信 頼 性 をもって 測 定 できない 市 場 価 格 のない 資 本 性 金 融 商 品 の 引 渡 によって 決 済 されるデリバ ティブ 負 債 ( 例 えば 企 業 が 行 使 時 に 非 上 場 株 式 をオプション 保 有 者 に 引 渡 す 売 建 オプション)については 原 価 による 例 外 規 定 は 維 持 されていた し かし 今 回 改 訂 されたガイダンスは 資 産 負 債 を 問 わず すべてのデリバティ ブを 公 正 価 値 で 測 定 するよう 原 価 による 測 定 の 例 外 規 定 を 削 除 している 発 効 日 および 経 過 措 置 IFRS 第 9 号 の 改 訂 版 は 改 訂 前 の IFRS 第 9 号 と 同 一 の 発 効 日 すなわち 2013 年 1 月 1 日 が 発 効 日 となる IASB は 新 たな 金 融 商 品 基 準 書 のすべて のフェーズについて 同 一 の 発 効 日 を 定 める 意 向 を 示 している 改 訂 版 は 早 期 適 用 も 認 めているが 企 業 が 金 融 負 債 の 分 類 および 測 定 に 関 連 するガイダ ンスの 早 期 適 用 を 選 択 する 場 合 は 過 去 に 最 終 化 された IFRS 第 9 号 の 要 求 も 同 時 に 適 用 しなければならない 現 在 IFRS 第 9 号 の 金 融 負 債 に 関 するガ イダンスの 早 期 適 用 を 望 む 企 業 は 金 融 資 産 のガイダンスについても 早 期 適 用 が 求 められる 過 去 のフェーズの 適 用 を 要 求 する 理 由 は 企 業 間 比 較 が 不 可 能 となる 可 能 性 を 減 少 さるためである 改 訂 された 基 準 書 は IAS 第 8 号 に 従 って 遡 及 適 用 される 4
トーマツグループは 日 本 におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド( 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 )のメンバーファーム 各 社 ( 有 限 責 任 監 査 法 人 トーマツ および 税 理 士 法 人 トーマツ ならびにそれぞれの 関 係 会 社 )の 総 称 です トーマツグループは 日 本 で 最 大 級 のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり 各 社 がそれぞれの 適 用 法 令 に 従 い 監 査 税 務 コンサルティング ファイナンシャル アドバイザリーサービス 等 を 提 供 しております また 国 内 約 40 都 市 に 約 7,000 名 の 専 門 家 ( 公 認 会 計 士 税 理 士 コンサルタントなど)を 擁 し 多 国 籍 企 業 や 主 要 な 日 本 企 業 をクライアントとしています 詳 細 はトーマツグループ Web サイト (www.tohmatsu.com)をご 覧 ください Deloitte(デロイト)は 監 査 税 務 コンサルティングおよびファイナンシャル アドバイザリーサービスをさまざまな 業 種 の 上 場 非 上 場 クライアントに 提 供 しています 全 世 界 140 ヵ 国 を 超 えるメンバーファームのネットワークで ワールドクラスの 品 質 と 地 域 に 対 する 深 い 専 門 知 識 により いかなる 場 所 でもクライアントの 発 展 を 支 援 しています デロイトの 約 169,000 人 におよぶ 人 材 は standard of excellence となることを 目 指 し 誠 実 性 卓 越 した 価 値 の 提 供 相 互 信 頼 文 化 的 多 様 性 といった 価 値 観 を 共 通 するカルチャーで 結 ばれています 継 続 的 な 知 識 習 得 チャレンジングな 経 験 豊 富 なキャリア 形 成 の 機 会 といった 環 境 を 生 かしながら Deloitte のプロフェッショナルは 企 業 責 任 (CSR)を 強 化 し 社 会 からの 信 頼 を 築 き 各 々の 地 域 社 会 に 貢 献 していきます Deloitte(デロイト)とは デロイト トウシュ トーマツ リミテッド( 英 国 の 法 令 に 基 づく 保 証 有 限 責 任 会 社 )およびそのネットワーク 組 織 を 構 成 するメンバーファームのひ とつあるいは 複 数 を 指 します デロイト トウシュ トーマツ リミテッドおよび 各 メンバーファームはそれぞれ 法 的 に 独 立 した 別 個 の 組 織 体 です その 法 的 な 構 成 につい ての 詳 細 は www.tohmatsu.com/deloitte/をご 覧 ください 2010 Deloitte Touche Tohmatsu LLC Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited 5