イオン 交 換 樹 脂 の 試 験 方 法 三 菱 化 学 株 式 会 社 機 能 化 学 本 部 イオン 交 換 樹 脂 事 業 部 100-8251 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 1-1-1ハ レスヒ ル TEL 03-6748-7146 FAX 03-3286-1209-1 -
イオン 交 換 樹 脂 の 試 験 方 法 1. 原 液 の 調 整 イオン 交 換 樹 脂 に 接 触 させる 原 液 は 出 来 るだけ 懸 濁 物 (SS) 油 分 酸 化 剤 を 除 去 して 下 さい 2. 樹 脂 銘 柄 の 選 定 樹 脂 銘 柄 の 選 定 や 吸 着 挙 動 を 大 まかに 確 認 するための 方 法 としては バッチ 法 カラム 法 の2 通 りの 方 法 があります 以 下 にそれぞれの 方 法 について 示 します (1)バッチ 法 バッチ 法 によるテストは 検 討 初 期 に 有 効 な 銘 柄 を 選 定 する 為 の 簡 易 法 であり あくまでも 目 的 に 合 った 銘 柄 を 大 まかに 決 める 方 法 です コンディショニング 済 みの 樹 脂 約 10 ml をビーカーや 三 角 フラスコに 投 入 し 原 液 を 所 定 量 注 ぎます 樹 脂 が 浮 遊 する 程 度 の 強 さで 攪 拌 または 振 盪 しながら 0.5~2 時 間 反 応 さ せた 後 上 澄 み 液 または 樹 脂 を 濾 別 した 濾 液 を 分 析 することにより 効 果 を 確 認 します この 時 一 定 時 間 毎 に 分 析 を 行 うと 吸 着 速 度 を 知 ることが 出 来 ます 尚 マグネチックスターラーを 使 用 すると イオン 交 換 樹 脂 の 種 類 によっては 樹 脂 が 破 砕 する 場 合 があるので 注 意 願 います (2)カラム 法 コンディショニング 済 みの 樹 脂 10~20 ml をカラムに 充 填 し 原 液 を SV5~20 の 流 速 で 流 します 処 理 液 を 一 定 量 採 取 して 分 析 することにより 効 果 を 確 認 します 被 吸 着 物 質 の 分 子 量 が 大 きい 場 合 や 液 の 粘 度 が 高 い 場 合 は 遅 い 流 速 で 流 します コンディショニングについては 3.(3) 項 を 御 参 照 下 さい 3.カラム 通 液 条 件 の 確 認 設 定 銘 柄 を 選 定 した 後 工 業 化 を 前 提 とした 通 液 条 件 の 確 認 や 再 生 条 件 の 最 適 化 をカラム 通 液 試 験 で 行 います ( 特 殊 ケースとしてはバッチ 法 で 工 業 化 する 場 合 があります ) (1) 実 験 装 置 実 験 用 カラムとしては 上 記 樹 脂 選 定 時 の 小 スケール 実 験 の 場 合 は 10~15mmΦのガラス カラムが 便 利 ですが 本 試 験 では 直 径 20mm 程 度 以 上 のカラムを 使 用 し イオン 交 換 樹 脂 の 充 填 層 高 は 60 cm 以 上 になるようして 下 さい 更 に 逆 洗 操 作 を 行 う 場 合 は 樹 脂 層 高 と 同 程 度 の 逆 洗 スペースを 有 するカラムが 必 要 です ( 設 計 データの 採 取 が 目 的 でない 場 合 は 上 記 条 件 より 小 スケールで また 逆 洗 を 行 わ なくても 構 いません) 尚 塩 ビ 製 やアクリル 製 のカラムは 使 用 溶 媒 実 験 温 度 などに 制 限 がありますので 注 意 が 必 要 です カラムは 支 持 台 等 に 垂 直 に 固 定 して 下 さい 実 験 装 置 例 を 図 1に 示 します ポンプが 無 い 場 合 は 原 液 容 器 をカラムより 高 い 位 置 に 設 置 して 重 力 で 液 を 流 すことも 可 能 です 弱 酸 性 カチオン 交 換 樹 脂 弱 塩 基 性 アニオン 交 換 樹 脂 等 のイオン 形 による 体 積 変 化 が 大 き な 樹 脂 を 用 いる 場 合 は 樹 脂 の 膨 潤 圧 力 によりカラムが 破 損 する 危 険 がありますので ガ ラスカラム 使 用 時 には 大 口 径 のカラムを 使 用 するなど 御 留 意 下 さい (2) 樹 脂 充 填 方 法 カラムへの 樹 脂 充 填 は 予 めメスシレンダーを 用 いて 水 中 での 体 積 を 正 確 に 測 り 取 った 所 定 量 の 樹 脂 を 水 を 張 ったカラム 内 にスラリー 状 態 で 投 入 して 下 さい ( 図 -2) この 際 樹 脂 層 中 に 気 泡 を 入 れないように 注 意 してください もしも 気 泡 が 入 ってしま - 2 -
った 場 合 は 棒 などを 挿 入 して 気 泡 を 抜 いて 下 さい ゴム 栓 樹 脂 原 液 定 量 ポンプ 電 導 度 セル 容 器 図 1 装 置 図 2 樹 脂 充 填 法 (3) 樹 脂 のコンディショニング 一 般 の 強 酸 性 樹 脂 や 強 塩 基 性 樹 脂 のイオン 形 は 塩 (Na 又 は Cl) 形 です また 弱 酸 性 樹 脂 や 弱 塩 基 性 樹 脂 の 場 合 でも 一 部 塩 形 となっています その 為 使 用 前 に 樹 脂 のコンディ ショニングとして 再 生 操 作 を 実 施 する 必 要 があります 再 生 剤 の 使 用 量 は 以 下 の 通 りです この 量 は 通 常 行 われる 再 生 の 2 倍 量 です 強 酸 性 樹 脂 300 ~ 500 g-hcl/l-r 強 塩 基 性 樹 脂 300 ~ 500 g-naoh/l-r 弱 酸 性 樹 脂 100 ~ 150 g-hcl/l-r 弱 塩 基 性 樹 脂 100 ~ 150 g-naohll-r イオン 交 換 樹 脂 の 使 い 始 めは 微 量 の 不 純 物 が 溶 出 します この 溶 出 物 を 早 く 減 少 させる ための 操 作 もコンディショニングと 言 います このための 操 作 は 再 生 と 塩 負 荷 を2~ 3 回 繰 り 返 します (4)イオン 交 換 樹 脂 操 作 の 工 程 再 生 通 液 操 作 の 一 般 例 として 以 下 に 工 程 を 示 します 各 操 作 方 法 は 次 の 4. 実 験 操 作 を 参 照 下 さい 逆 洗 沈 静 展 開 率 は 樹 脂 層 高 の 1.3~1.5 倍 15~30 分 間 5~10 分 間 水 抜 樹 脂 面 上 約 5 cm 再 生 4.(4) 参 照 押 出 再 生 工 程 と 同 一 流 速 で 1.5~2 L/L-R 洗 浄 (1) 通 液 工 程 と 同 一 流 速 で 30~60 分 - 3 -
スイートニングオン 通 液 工 程 と 同 一 流 速 で 1~2 L/L-R 通 液 4.(8) 参 照 スイートニングオフ 通 液 工 程 と 同 一 流 速 で 1~2 L/L-R 洗 浄 (2) 通 液 工 程 と 同 一 流 速 で 15~30 分 間 4. 実 験 操 作 以 下 にカラム 法 の 実 験 操 作 について 説 明 いたしますが 状 況 に 応 じて(1) 逆 洗 ~(2) 沈 静 は 省 いて 構 いません また 液 を 回 収 する 必 要 が 無 い 場 合 は(7)スイートニングオンと(8) スイートニングオフを 行 う 必 要 がありません (1) 逆 洗 通 液 中 に 混 入 した SS 成 分 および 使 用 中 に 破 砕 した 樹 脂 をカラム 外 へ 排 出 する 事 と 圧 密 化 した 樹 脂 層 をほぐし 再 生 薬 剤 との 接 触 効 率 を 高 める 事 を 目 的 に 実 施 します 逆 洗 は 上 向 流 で 樹 脂 層 が 1.3~1.5 倍 に 展 開 する 様 な 流 速 で 流 出 水 が 透 明 になる 迄 行 なっ て 下 さい 尚 逆 洗 展 開 率 は 使 用 銘 柄 や 水 温 により 各 々 異 なりますので ダイヤイオ ンデータシートを 御 覧 の 上 流 速 設 定 を 行 って 下 さい (2) 沈 静 逆 洗 により 展 開 した 樹 脂 層 を 自 然 に 沈 降 させる 工 程 です (3) 水 抜 沈 静 工 程 終 了 後 カラム 上 部 の 水 を 樹 脂 面 上 約 5cm の 位 置 迄 水 を 抜 き 出 す 工 程 です 再 生 剤 の 希 釈 をさける 為 実 施 いたします (4) 再 生 負 荷 型 の 樹 脂 を 遊 離 型 に 変 換 する 工 程 で 使 用 樹 脂 により 再 生 剤 の 種 類 再 生 剤 の 使 用 量 は 各 々 異 なります 一 般 的 な 再 生 剤 濃 度 は 以 下 の 通 りです 強 酸 樹 脂 3 ~8 % HCl または H 2 SO 4 強 塩 基 樹 脂 3 ~8 % NaOH 弱 酸 樹 脂 0.5~5 % HCl 弱 塩 基 樹 脂 0.5~5 % NaOH 再 生 剤 注 入 に 要 する 時 間 は 強 酸 樹 脂 でおよそ 30 分 強 塩 基 樹 脂 ではおよそ 45 分 を 目 安 に して 下 さい 尚 再 生 レベルを 一 定 以 上 に 上 げても 再 生 剤 使 用 量 に 見 合 った 再 生 効 果 は 得 られません 故 に 以 下 の 再 生 率 および 再 生 剤 使 用 量 で 管 理 するのが 一 般 的 です 再 生 率 再 生 剤 便 用 量 強 酸 樹 脂 50 ~ 70% 100~300g/L-R 強 塩 基 樹 脂 Ⅰ 型 30 ~ 50% Ⅱ 型 50 ~ 70% 100~300g/L-R 弱 酸 樹 脂 80 ~100% 60~120g/L-R 弱 塩 基 樹 脂 80 ~100% 60~120g/L-R - 4 -
以 上 は 不 純 物 ( 不 要 物 )を 吸 着 した 樹 脂 の 再 生 方 法 ですが この 他 の 使 用 方 法 として 特 殊 薬 液 より 有 価 物 を 吸 着 させるケースもあります この 場 合 には, 適 当 な 溶 離 液 を 用 い て 目 的 物 を 溶 離 し その 後 再 生 を 行 う 場 合 と 再 生 を 兼 ねた 溶 離 を 行 う 場 合 があります (5) 押 出 し 再 生 の 延 長 の 工 程 であり カラム 中 に 残 存 している 未 反 応 の 再 生 剤 を 再 生 時 と 同 一 流 速 で 純 水 を 用 いて 押 出 す 工 程 です 純 水 はイオン 交 換 樹 脂 量 の 1.5~2 倍 量 を 用 います (6) 洗 浄 (1) カラム 中 に 残 存 する 再 生 剤 を 完 全 に 出 す 工 程 です 通 常 は 通 液 工 程 と 同 一 流 速 で 30~ 60 分 間 実 施 します ここ 迄 の 工 程 で 再 生 工 程 が 終 了 します (7) スイートニングオン 特 殊 薬 液 処 理 を 行 う 場 合 薬 液 を 通 液 することによって 樹 脂 層 中 の 水 が 順 次 置 換 されてい きます この 置 換 する 工 程 を 言 います (8) 通 液 カラム 出 口 薬 液 が 一 定 濃 度 以 上 となった 所 から 処 理 液 として 回 収 が 始 まり イオンがリー クして 所 定 の 液 質 が 得 られなくなるまでを 通 液 と 言 います 通 液 時 の 流 速 は 通 常 の 水 処 理 においては SV=20~50 その 他 の 場 合 は SV=10 以 下 です (9) スイートニングオフ 薬 液 処 理 に 於 いて 通 液 後 にカラム 内 の 原 液 を 水 で 置 換 する 工 程 であり 出 口 原 液 濃 度 が 所 定 の 濃 度 以 下 になる 迄 を 言 います この 部 分 は 処 理 液 または 甘 水 として 回 収 します (10) 洗 浄 (2) 薬 液 処 理 に 於 いて 再 生 後 の 洗 浄 と 同 様 に 実 施 します 洗 浄 水 の 使 用 量 は 再 生 後 に 比 べ 1/2 程 度 です 5. 装 置 化 のための 確 認 事 項 実 装 置 化 を 前 提 として 通 液 流 速 温 度 処 理 量 再 生 レベル ライフ 等 を 確 認 し 最 適 処 理 条 件 を 設 定 します 以 下 に 確 認 する 項 目 を 示 しますが ライフについては 通 常 のカラム 試 験 で 推 定 することは 難 しく 加 速 サイクル 試 験 やパイロットによる 長 期 試 験 実 機 装 置 が 稼 動 している 場 合 は サ ンプル 吊 るし 試 験 等 を 行 います * 通 液 条 件 処 理 量 液 質 流 速 温 度 ph 等 * 再 生 条 件 薬 剤 種 類 使 用 量 濃 度 流 速 温 度 パイロットプラントは 設 計 条 件 の 再 確 認 評 価 および 配 付 用 サンプル 製 造 の 為 に 行 うことが あります 通 常 は 実 装 置 の 1/10 のスケール 以 下 であり 大 きくても 50~100 L 程 度 の 樹 脂 量 で 行 います 以 上 - 5 -