島 根 大 学 医 学 部 紀 要, 第 37 巻,67 ~ 72 頁,2014 年 12 月 短 報 40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 受 診 希 望 への 影 響 要 因 (40 歳 未 満 の 就 労 者 / 胃 がん 検 診 ) 河 内 亨 介 1) 矢 田 昭 子 2) 2) 佐 藤 美 紀 子 Impact Factors of Workers Under the Age of 40 Who Hope to Consult Gastric-Cancer Screening (worker under the age of 40 / gastric-cancer screening) Kyosuke KOCHI, Akiko YATA and Mikiko SATO Abstract A questionnaire survey was conducted for the knowledge and awareness of gastriccancer screening for 59 workers belonging to Group A from 25 to 39 years of age. The 47 people in the whole has responded to the questionnaire(response rate: 79%). We were assayed in a group of people who do not try to undergo cancer screening with those who try to do it by the chisquare(χ 2 )and Fisher s exact tests. There were significant correlations of the subjects to undergo screening between those groups, the presence or absence of children, and the presence or absence of knowledge of cancer mortality (p<0.05). We were also asked to them about necessary support to spread the cancer knowledge, and the subjects were extracted from the answers:[the innovation of the screening system]such as the reduction of screening fees, and[environment in which the information can be obtained at any time]including information of cancer at workplace. It was suggested that it was necessary to create an environment that the correct information about cancer could be obtained. 要 旨 40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 に 関 する 知 識 や 意 識 が 受 診 希 望 にどのように 影 響 する のか 明 らかにすることを 目 的 として,A 団 体 に 所 属 する25 ~ 39 歳 の 就 労 者 59 名 に 質 問 紙 調 査 を 実 施 した 調 査 用 紙 の 回 収 数 は47 名 ( 回 収 率 79%)であった 検 診 を 受 診 しようと 思 う 人 と 思 わ ない 人 においてχ 2 検 定,Fisher の 直 接 確 率 検 定 を 行 った 結 果, 有 意 な 関 連 が 認 められたのは 子 どもの 有 無 がん 死 亡 率 についての 知 識 の 有 無 (p<0.05)であった また,がんの 知 識 を 普 及 させるために 必 要 とする 支 援 についての 自 由 記 述 を 質 的 帰 納 的 に 分 析 した 結 果, 検 診 費 用 の 負 担 軽 減 などの 検 診 制 度 の 改 革, 職 場 でのがん 情 報 の 獲 得 などの いつでも 情 報 収 集 が 可 能 な 環 境 が 抽 出 された 検 診 対 象 年 齢 になる 前 からがんに 関 する 正 しい 知 識 が 得 られるような 環 境 づくり を 行 うことの 必 要 性 が 示 唆 された Ⅰ.はじめに 現 在 日 本 では, 国 民 の2 人 に1 人 ががんになり,3 人 に1 人 ががんで 死 亡 している がんは 日 本 の 死 因 の 1) 島 根 大 学 医 学 部 附 属 病 院 看 護 部 Department of Nursing, Shimane University Hospital 2) 島 根 大 学 医 学 部 臨 床 看 護 学 講 座 Department of Clinical Nursing, Shimane University Faculty of Medicine 第 1 位 であり,その 中 でも 胃 がんは,がんの 部 位 別 死 亡 数 の 第 2 位 である 1) 胃 がんの 死 亡 率 を 低 下 させるた めには, 検 診 を 受 け, 早 期 発 見, 早 期 治 療 を 行 うこと が 重 要 であるが,2010 年 の 胃 がん 検 診 受 診 率 は10.2% と, 他 のがん 検 診 受 診 率 と 比 較 しても 低 値 である 1) ま た, 検 診 対 象 年 齢 に 達 した 年 に 受 診 する 者 の 割 合 は1 割 に 満 たず 2), 受 診 行 動 には, 過 去 の 受 診 経 験 が 大 き く 関 与 している 3) との 報 告 もあることから, 検 診 対 象 年 齢 に 達 した 年 に 速 やかに 受 診 することが 課 題 である 検 診 を 受 診 しない 理 由 については, 時 間 がない, 面 倒,
68 河 内 亨 介 矢 田 昭 子 佐 藤 美 紀 子 受 診 方 法 を 知 らない 3) と 報 告 されている 加 えて, 成 人 期 は 自 分 の 意 思 よりも, 会 社 や 職 場 といった 組 織 の 目 標 や 役 割 を 優 先 させる 特 徴 があることや 4), 時 間 的 制 約 があることから, 就 労 者 は 特 に 受 診 が 困 難 であるこ とが 推 察 される これらのことから, 検 診 対 象 年 齢 に なった 年 に 速 やかに 受 診 するために, 胃 がん 検 診 対 象 年 齢 前 である40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 受 診 希 望 や,その 影 響 要 因 を 知 る 必 要 があるが, 先 行 研 究 では 明 らかにされていない そこで, 本 研 究 では, 胃 がん 検 診 の 対 象 年 齢 になった 年 に 速 やかに 受 診 行 動 をとるために 必 要 な 支 援 への 示 唆 を 得 るため,40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 受 診 希 望 お よび,その 影 響 要 因 を 明 らかにすることを 目 的 とした Ⅱ. 用 語 の 定 義 就 労 者 とは, 雇 用 主 非 雇 用 者, 常 勤 非 常 勤 などの 雇 用 形 態 は 問 わず, 何 らかの 職 業 に 就 いている 者 とする Ⅲ. 研 究 方 法 1. 研 究 対 象 A 団 体 に 所 属 する25 ~ 39 歳 の 就 労 者 59 名 2. 研 究 期 間 平 成 24 年 4 月 ~ 平 成 24 年 12 月 3.データ 収 集 方 法 A 団 体 の 責 任 者 に 文 書 と 口 頭 で 研 究 依 頼 を 行 い 研 究 実 施 の 許 可 を 得 た A 団 体 の 責 任 者 から, 月 1 回 行 わ れる 集 会 で, 対 象 者 に 研 究 の 目 的 方 法 倫 理 的 配 慮 等 について 説 明 した 文 書 と 調 査 用 紙 を 配 布 していただ いた 調 査 は 無 記 名 自 記 式 質 問 紙 調 査 とした 調 査 用 紙 は 集 会 場 に 設 置 した 回 収 箱 で 回 収 した 4. 調 査 内 容 1) 個 人 属 性 性 別, 年 齢, 運 動 習 慣 の 有 無, 喫 煙 習 慣 の 有 無, 飲 酒 習 慣 の 有 無 2) 胃 がん 検 診 の 受 診 希 望 検 診 対 象 年 齢 である40 歳 になった 時 に, 受 診 を 希 望 するか 否 かと,その 理 由 受 診 を 希 望 する 理 由 につい ては,1 自 分 の 健 康 が 気 になる,2 知 人 に 胃 がんの 人 がいた,3 家 族 に 胃 がんの 人 がいた,4 勧 められた, 5 胃 に 不 快 感 がある,6 何 事 にも 気 になる 性 格,7そ の 他 の7 項 目 から 複 数 回 答 とした また, 受 診 を 希 望 しない 理 由 については,1 面 倒,2 仕 事 が 忙 しい,3 検 査 が 苦 痛,4 受 診 方 法 が 分 からない,5 健 康 に 自 信 がある,6 自 分 ががんになると 思 わない,7 費 用 がか かる,8 時 間 がかかる,9その 他 の9 項 目 から 複 数 回 答 とした なお,その 他 には, 自 由 記 載 欄 を 設 けた 3) 日 常 生 活 での 健 康 管 理 の 意 識 宗 像 5) による 生 活 行 動 に 対 する 保 健 行 動 の 優 先 性 尺 度 を 用 いた 質 問 項 目 は,1. 病 気 になると 他 のこ とを 犠 牲 にしてでも, 休 養 するほうである,2.いく ら 仕 事 がたまっていても 健 康 のためには 無 理 はしない ほうである,3. 生 活 の 中 で 最 も 注 意 していることは, 健 康 のことである,4.ちょっとした 病 気 でも 休 養 を とり,まず 治 すことを 考 えるほうであるの4 項 目 であ り, 選 択 肢 は, 大 いにそうである,まあそうである, あまりそうでない,そうでないの4 段 階 である 4)がん 胃 がん 胃 がん 検 診 に 関 する 知 識 がんの 知 識 に 関 する13 項 目 の 質 問 と, 胃 がん 胃 が ん 検 診 の 知 識 に 関 する11 項 目 の 質 問 を 独 自 に 作 成 し, の2 項 選 択 法 を 用 いた 5)がん 検 診 受 診 率 を 高 めるための 支 援 ニーズ がんの 知 識 を 普 及 させたり,がん 検 診 の 受 診 率 を 高 めるため, 対 象 者 が 保 健 医 療 関 係 者 に 求 める 支 援 ニー ズについて, 自 由 記 述 を 用 いた 5. 分 析 方 法 統 計 ソフト PASW Statistics 18を 用 いて, 胃 がん 検 診 を 受 診 希 望 ありと 受 診 希 望 なしで, 性 別, 既 婚 未 婚, 子 どもの 有 無, 喫 煙 飲 酒 運 動 習 慣 の 有 無 といった 個 人 属 性 との 関 連 性 について,χ 2 検 定,Fisher の 直 接 確 率 検 定 を 行 った また, 保 健 信 念 モデル 5) をもとに, がんになることによる 脅 威 を 感 じているか 否 かは 受 診 希 望 に 影 響 を 及 ぼすと 推 察 されるため,がん 死 亡 率 の 知 識 の 有 無 ( 知 識 を 問 う 質 問 項 目 に 対 する 正 解 者 不 正 解 者 )と 受 診 希 望 との 関 連 性 についても,χ 2 検 定, Fisher の 直 接 確 率 検 定 を 行 った 生 活 行 動 に 対 する 保 健 行 動 の 優 先 性 尺 度 については, 大 いにそうである と 答 えた 場 合 を1 点 として,4 項 目 を 加 算 し, 胃 がん 検 診 を 受 診 しようと 思 う 人 と 思 わない 人 で t 検 定 を 行 っ た いずれも 有 意 水 準 は0.05%とした がんの 知 識 を 普 及 させるための 支 援 ニーズについて の 自 由 記 述 は, 記 載 されている 内 容 をコード 化 し, 類 似 性 に 従 ってカテゴリー 化 した
40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 受 診 希 望 への 影 響 要 因 69 6. 倫 理 的 配 慮 A 団 体 の 責 任 者 に 研 究 の 目 的, 方 法, 研 究 への 協 力 は 自 由 意 思 に 基 づくこと, 研 究 の 参 加 不 参 加 により 不 利 益 はないこと,プライバシーの 保 護,データは 目 的 以 外 に 使 用 しないこと, 統 計 処 理 を 行 った 上 で 公 表 す ることを 文 書 と 口 頭 で 説 明 し, 研 究 実 施 の 承 認 を 得 た 対 象 者 には, 前 述 の 倫 理 的 配 慮 について 記 載 した 依 頼 文 と 調 査 用 紙 を,A 団 体 の 責 任 者 から 配 布 していただ き, 調 査 用 紙 の 提 出 により 同 意 が 得 られたとした 調 査 用 紙 は 無 記 名 とし, 個 人 の 特 定 ができないように 配 慮 した データは 鍵 のかかる 部 屋 で 厳 重 に 管 理 し, 研 究 終 了 後, 一 定 期 間 経 過 した 後 に 廃 棄 することとした 自 分 の 健 康 が 気 になるから が23 名 と 最 も 多 かった 受 診 しようと 思 わない 理 由 は, 仕 事 が 忙 しいから が 9 名 と 最 も 多 かった( 表 2,3) 表 2 胃 がん 検 診 受 診 希 望 n =47 表 3 胃 がん 検 診 受 診 希 望 の 有 無 に 対 する 理 由 ( 複 数 回 答 ) Ⅳ. 結 果 調 査 用 紙 の 配 布 数 は59で, 回 収 数 は47であった( 回 収 率 79%) 有 効 回 答 率 は100%であった 1. 個 人 属 性 性 別 は47 名 全 員 男 性 であった 平 均 年 齢 は33 歳 であっ た 既 婚 者 は36 名 (76.6%), 未 婚 者 は11 名 (23.4%)で, 子 どもいる 者 は29 名 (61.7%),いない 者 は18 名 (38.3%) であった 運 動 習 慣 のある 者 は8 名 (17.0%),ない 者 は38 名 (80.9%), 喫 煙 習 慣 のある 者 は18 名 (38.3 % ), な い 者 は29 名 (61.7%), 飲 酒 習 慣 のある 者 は33 名 (70.2%),ない 者 は14 名 (29.8%)であった( 表 1) 表 1 対 象 者 の 個 人 属 性 n =47 3. 日 常 生 活 での 健 康 管 理 の 意 識 胃 がん 検 診 を 受 診 しようと 思 う 者 の 生 活 行 動 に 対 する 保 健 行 動 の 優 先 性 尺 度 得 点 の 平 均 値 は0.13±0.56 点 であった 胃 がん 検 診 を 受 診 しようと 思 わない 者 の 平 均 値 は0.71±0.27 点 であり, 有 意 な 差 は 認 められな かった(p=0.4 5 ) 4.がん 胃 がん 胃 がん 検 診 の 知 識 に 関 する 正 答 率 がんについての 質 問 で 正 答 率 が 最 も 低 かった 項 目 は, 日 本 国 民 の5 人 に1 人 ががんで 死 亡 している ( 正 答 率 30.4%)であった 胃 がん 胃 がん 検 診 についての 質 問 で 正 答 率 が 最 も 低 かった 項 目 は, 胃 がんの 原 因 の1 つはピロリ 菌 である ( 正 答 率 58.7%)であった ( 表 4) 2. 胃 がん 検 診 受 診 希 望 検 診 対 象 年 齢 になった 年 に, 検 診 を 受 診 しようと 思 う 者 は31 名 (66%), 思 わない 者 は14 名 (29.8%), 無 回 答 2 名 (4.3%)であった 受 診 しようと 思 う 理 由 は, 5. 受 診 希 望 への 影 響 要 因 受 診 希 望 の 有 無 と 有 意 な 関 連 が 認 められたのは, 子 ど もの 有 無, 日 本 国 民 の5 人 に1 人 ががんで 死 亡 してい る という 問 題 に 対 する 正 解 者 と 不 正 解 者 ( 以 後,がん 死 亡 率 の 知 識 の 有 無 とする )であった(p<0.05)( 表 5)
70 河 内 亨 介 矢 田 昭 子 佐 藤 美 紀 子 6.がん 検 診 受 診 率 を 高 めるための 支 援 ニーズ 対 象 者 が 保 健 医 療 関 係 者 に 求 めるニーズは, 検 診 対 象 年 齢 である40 歳 以 上 での 検 診 の 義 務 化, 検 診 費 用 の 負 担 軽 減 などの 検 診 制 度 の 改 革 であった また, 対 象 者 自 身 で 学 校 でのがん 情 報 の 獲 得, 身 近 な 職 場 でのがん 情 報 の 獲 得, マスメディアからの がん 情 報 の 獲 得 ができるように, 保 健 医 療 関 係 者 に は いつでも 情 報 収 集 が 可 能 な 環 境 をつくることを 望 んでいた( 表 6) 表 4 がん 胃 がん 胃 がん 検 診 に 関 する 知 識 についての 質 問 項 目 表 5 胃 がん 健 診 受 診 希 望 への 影 響 要 因
40 歳 未 満 の 就 労 者 の 胃 がん 検 診 受 診 希 望 への 影 響 要 因 71 Ⅴ. 考 察 受 診 希 望 には 子 どもの 有 無,がん 死 亡 率 の 知 識 の 有 無 が 関 連 していることが 明 らかになり, 子 どものいる 者,がん 死 亡 率 の 知 識 のある 者 が 受 診 を 希 望 すること が 示 された 保 健 信 念 モデルでは, 病 気 に 伴 う 結 果 の 重 大 性 の 認 知 が 保 健 行 動 をとる 心 理 的 準 備 状 態 を 高 め ると 言 われている 5) 子 どもがいる 者 は, 親 としての 役 割 を 遂 行 できなくなるなど,がんになる 影 響 を 認 知 し ていることが 受 診 希 望 に 結 びついたと 考 えられる ま た,がんの 死 亡 率 を 認 知 し, 脅 威 を 感 じていることに より, 受 診 への 動 機 づけが 行 われたと 考 えられる こ れらのことから,がんに 関 する 正 しい 情 報 の 提 供, 動 機 づけへの 支 援 が 求 められる 受 診 を 希 望 する 者 は 約 7 割 であり,その 理 由 で 最 も 多 かったのは 自 分 の 健 康 が 気 になるから であった なお, 生 活 行 動 に 対 する 保 健 行 動 の 優 先 性 尺 度 の 測 定 結 果 においては, 受 診 を 希 望 する 者 と 希 望 しない 者 で 有 意 差 はなく,いずれも 得 点 が 低 かったことから, 対 象 集 団 は, 保 健 行 動 を 優 先 している 集 団 ではなく, 成 人 期 の 就 労 者 の 特 徴 である, 会 社 など 組 織 の 目 標 や 役 割 を 優 先 している 4) 集 団 であると 考 えられる それ にも 関 わらず, 受 診 を 希 望 する 者 が 約 7 割 いたことは, 受 診 希 望 理 由 に 示 されていた 通 り, 自 己 の 脆 弱 性 を 認 知 していることが 影 響 していると 考 えられる このこ とから,がんに 関 する 一 般 的 な 情 報 提 供 のみならず, 個 人 の 身 体 心 理 社 会 的 特 徴 を 踏 まえた 教 育 など, 各 人 が 自 分 自 身 のこととして 考 えることができるよう な 支 援 が 必 要 である 受 診 を 希 望 しない 者 は 約 3 割 であり, 受 診 を 希 望 し ない 理 由 については, 仕 事 が 忙 しい 検 診 は 時 間 が かかる 受 診 方 法 がわからない ということが 示 され た この 結 果 は,40 歳 以 上 の 者 を 対 象 とした 川 上 ら 3) の 研 究 結 果 と 一 致 する 40 歳 未 満 から,このような 認 識 を 持 っている 場 合 は, 検 診 対 象 年 齢 になった 時 にも 受 診 行 動 に 結 びつきにくいと 推 察 されるため, 検 診 対 象 年 齢 になる 前 の 早 期 から 周 知 啓 発 活 動 を 行 う 必 要 がある 職 業 をもち, 時 間 的 な 制 約 がある 中 でも, 受 診 率 を 高 めるためには, 対 象 者 の 支 援 ニーズを 踏 まえ, 職 場 での 情 報 提 供 や, 定 期 的 な 受 診 機 会 の 提 供 などの 受 診 しやすい 環 境 を 整 えることが 必 要 である Ⅵ. 結 論 1. 受 診 希 望 の 有 無 と 有 意 な 関 連 が 認 められたのは 子 どもの 有 無 がん 死 亡 率 についての 知 識 の 有 無 であった(p<0.0 5 ) 2. 受 診 を 希 望 する 者 は 約 7 割 であり,その 理 由 は 自 分 の 健 康 が 気 になるから が 最 も 多 かった また, 受 診 を 希 望 しない 者 は 約 3 割 であり,その 理 由 は 仕 事 が 忙 しい が 最 も 多 かった 3.がん 知 識 を 普 及 させるための 支 援 ニーズは 検 診 制 度 の 改 革 いつでも 情 報 収 集 が 可 能 な 環 境 で あった 4. 胃 がん 検 診 対 象 年 齢 になる 前 の 早 期 から, 身 近 な 職 場 等 でのがんに 関 する 正 しい 情 報 提 供, 受 診 行 動 への 動 機 づけの 支 援 が 必 要 である 文 献 1) 独 立 行 政 法 人 国 立 がん 研 究 センターがん 対 策 情 報 センター:がん 情 報 サービス,http://ganjoho.jp, 平 成 26 年 8 月 8 日. 2) 草 野 健, 渋 江 正, 他 :がん 検 診 における 受 診 率 拡 大 の 基 本 的 考 え 方, 日 本 消 化 器 がん 検 診 学 会 雑 誌,48,(4),404-418,2010. 3) 川 上 ちひろ, 岡 本 直 幸, 大 重 賢 治, 杤 久 保 修 :が 表 6 がん 検 診 受 診 率 を 高 めるための 支 援 ニーズ
72 河 内 亨 介 矢 田 昭 子 佐 藤 美 紀 子 ん 検 診 受 診 行 動 に 関 する 市 民 意 識 調 査, 厚 生 の 指 標 54,(5),16-23,2007. 4) 小 林 寛 伊, 坂 本 すが, 他 : 看 護 学 入 門 8 成 人 看 護 Ⅰ, メヂカルフレンド 社,7,2012. 5) 宗 像 恒 次 : 行 動 科 学 からみた 健 康 と 病 気,メヂカ ルフレンド 社,96,125,2005. ( 受 付 2014 年 8 月 11 日 )