立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科 I SSN1349 371X So c i a lde s i gner Contents P1 2 発 行 立教大学大学院 巻頭インタビュー 豊かな社会の実現へ NPOがなすべきこと 21世紀社会デザイン研究科 NPO法人シーズ 市民活動を支える制度をつくる会 副代表理事 松原明さん P3 Vol.17 香港からの便り 大学院 仕事 新院生室紹介 P4 5 キャンパスの声 修了生紹介 P6 インタビュー 中村陽一 2 1世紀社会デザイン研究科委員長 P7 公開講演会 シリーズ3.1 1以後の日本と社会デザイン 報告 P8 公開講演会レポート オープン大学院報告 編集責任 笠原清志 編 集 長 木舟辰平 発 行 日 211年9月9日 17 1 8 5 1 東京都豊島区西池袋3 34 1 日本初 社会組織 非営利組織 危機管理 3 つの分野を学べる大学院 巻頭インタビュー 豊かな社会の実現へ NPOがなすべきこと 市民活動の社会的基盤を強化するため 活発な活動を展開しているNPO法人 シーズ 市民活動を支える制度をつく る会 同会で現在 副代表理事を務める松原明さんに 今年度通常国会で成立した改正NPO法の評価や 2 1世紀のN POのあり方について聞きました 度の骨格は 今回のNPO法改正によって認定NPO法人の数は どの程度増えるでしょうか これで大筋 固まったと 2 1年にできた制度では認定NPO法人になるための いえます ハードルがあまりに高過ぎました 一昨年までに7回改 政権交代の 正されていますが 制度がかえって複雑になり逆に使い 影響も大き づらくなっていました それに対し 新制度は非常にシ かったです ンプルで使いやすく 多くのNPO法人にとって一気に手 ね 社会の の届く範囲になったと思います 認定要件が大幅に緩和 イノベー され仮認定手続きもできたので 認定法人の数は劇的に ションを起 増えるでしょう 現在では約2団体ですが 来年には5 こすために 団体以上になると期待しています は しかる 懸念しているのは都道府県の処理能力です そのため べきタイミ シーズとしても認定作業が円滑に進むための側面支援を ングで社会 松原明 まつばら あきら さん NPO法人 シー ズ 市民活動を支える制度をつくる会 副代表理事 1994年に同会を設立 事務局長などを経て 2 1年よ り現職 NPO法 NPO法人制度創設を民間サイド で主導 日本ファンドレイジング協会 NPO法人会 計基準協議会などの設立にも携わってきた していきます 各地の中間支援組織と連携して 全国の のシステム NPO法人に制度改正の周知を図るキャンペーンや 行政 自体をスク 機関などを対象に新制度に対応できる人材を育成するイ ラップアン ベントを企画中です ドビルドする必要があります 日本は現在 大きな時代 2 1年にできたNPO法は微修正ではなく大胆に改革 の曲がり角にあり 従来の社会システムでは成り立たな する必要がありましたが 今回はそれができました 監 いのは明らかです これからの5 年を見据えた大胆な改 査の仕組みなど制度の細かい積み残しはありますが 制 革が求められていました 1
公開講演会 オープン大学院ウィーク報告 7月6日 水 開催 2 1世紀社会デ 日本 韓国 和解から新しい未来へ ザイン研究科は 21世紀社会デザイン研究科 社会デザイン研究所主催 6月1 1日から1 7 日にかけてオー 司会 プン大学院ウィ カプリオ マーク 21世紀社会デザイン研究科 ークを開催しま 異文化コミュニケーション学部教授 した 前期に開 パネリスト 講中の授業から 金仲燮 キム ジュンソプ 氏 3 2科目が一般に 慶尚大学校社会科学大学社会学科教授 も公開され 6人程の方が参加を申し込みました 初日の6月 金 奎 キム ミンギュ 氏 1 1日には 中村陽一 研究科委員長による 特別講義 も開催 東北亜歴史財団研究委員 現役の院生も含めて多くの人が参加しました 野中章弘 2 1世紀社会デザイン研究科教授 特別講義 のテーマは ソーシャルビジネスとNGO NPO 中村委員長の 特別講義 3.1 1以後の社会デザインのなかで 3.1 1以前に見え始めて いたこと 3.1 1が露わにした社会デザインの必要性から 求めら れる社会デザインとそのための哲学 行動をCSR 企業の社会 的責任 SB ソーシャルビジネス CB コミュニティビジ ネス NGO NPOなどを手がかりに考えてみる狙いがありま した NGO NPOの現状と課題 SB CBの社会的背景等に ついての説明 NPO SBの今後の動向 中村委員長の東日本 大震災復興プロジェクトの紹介など講義の内容は盛りだくさん あっという間に時間が過ぎたため 残念ながら質疑応答の時間 はなかったものの 参加者が皆真剣に講義に聞き入っていたの が印象的でした 歴史をみて将来をつくる という全体テーマのも 講義の冒頭には 本研究科が学部を下に持たない独立研究科 と 差別 対立 葛藤を乗り越え 東アジアの新し として2 2年に開設されて 今年1 周年を迎えたこと 全国で い社会デザインを構築していくために何をすべきか も珍しい非営利組織の経営と現代社会の危機管理を学ぶMBA 3人のパネリストによる考察や提言が行われました コースであることが紹介されました また 幅広い年齢層と多 最初に 金仲燮氏が韓国における被差別民 白丁 種多様なバックグラウンドをもつ院生が集まっていて 地方議 の歴史と衡平運動 人権都市づくりについて 次に 員が多く在籍していたことなど 本研究科の特徴についても説 金 奎氏が歴史教科書問題の観点から東アジアにお 明がありました ける歴史和解を話しました 二人の発表をうけて野 公開された通常講義では 担当の教官が講義の最初にその講 中章弘氏が 論理的 合理的思考のもと なぜ相手 義の目的や授業の流れと普段の様子などについて説明 特別講 が心を痛めているか 相手の心に耳を傾ける必要性 義 の真剣な空気そのままに 参加者は授業で配布される資料 を説きました に目を通したり 熱心に授業の討論に聞き入ったりしていまし 白丁は日本における部落とほぼ同義語であり 歴 た なかには受験しようか迷っている様子で 仕事と学業の両 史教科書も今年の8月に選定が行われたため どち 立について現役の院生に尋ねている人もいました 研究科への らも日本人は自分たちの問題として すぐにでも議 進学を検討している人にとっては 院生から直接研究科の様子 論しなければなりません しかし 日本は議論を先 を聞くことのできる貴重な機会でもあったようです 送りし続けています ふれなければ忘れる という 編集後記 認識は 野中氏が言うように間違っています 東ア ジアの新しい社会デザイン構築に向けて 積極的に 議論していかなければなりません そのためには 金 奎氏が言うように 日本人一人ひとりが健全な 歴史認識をもつ必要があります 短期的な利益に目 をくらませるのではなく 東アジアにおける平和的 共生という長期的な視点をもって社会デザインを 行っていくために 誠実に歴史と向き合うことが重 要であると深く感じさせる講演会でした 例年なら7月下旬発行の上半期号は東日 本大震災の影響で 9月の発行になりました 震災と原発事故は 今も被災地を中心に社会 全体に様々な影響を及ぼしています 本号に は 本研究科にとっての 3 11 の意味に ついて中村委員長のインタビューも載って います ぜひお読み下さい 今号の編集スタッフ 編集責任者 笠原清志 編集長 木舟辰平 岩間初音 佐藤瑠美 三瓶恭祐 冨田眞紀子 中谷尚高 原井梢衣 矢野正高 山田好徳 9期 池村えみ 石本嵩人 遠藤美根子 岡田晃 熊本洋一 志賀正樹 白根麻衣子 出口秋江 豊浦万莉絵 中島桃子 長谷川翔士 我妻美穂 1 期 8