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(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

別紙3

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

(5) 事 業 者 等 自 転 車 及 び 自 動 車 の 製 造 輸 入 販 売 又 は 修 理 を 業 として 行 っている 者 及 びそ れらの 者 の 団 体 並 びにその 他 の 事 業 者 をいう (6) 所 有 者 等 自 動 車 の 所 有 権 占 有 権 若 しくは 使 用 権 を

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Transcription:

体 罰 の 根 絶 をめざして 一 体 罰 は 違 法 行 為 である 二 体 罰 は 児 童 生 徒 の 心 身 を 傷 つける 三 体 罰 は 教 育 への 信 頼 を 失 わせる 四 体 罰 は 教 育 に 必 要 ない 五 体 罰 は 必 ず 根 絶 できる 平 成 25 年 9 月 改 訂 版 埼 玉 県 教 育 委 員 会

目 次 1 懲 戒 と 体 罰 (1) 懲 戒 と 法 令 1 (2) 懲 戒 体 罰 に 関 する 解 釈 運 用 1 体 罰 の 禁 止 及 び 児 童 生 徒 理 解 に 基 づく 指 導 の 徹 底 について( 通 知 ) 2 (3) 体 罰 で 教 育 はできない 8 (4) 体 罰 で 問 われる 責 任 9 ア 行 政 上 の 責 任 ( 懲 戒 処 分 ) 9 イ 刑 事 上 の 責 任 10 ウ 民 事 上 の 責 任 11 2 学 校 における 体 罰 の 現 状 (1) 全 国 の 現 状 13 (2) 本 県 の 現 状 16 (3) 事 例 19 ア 刑 事 裁 判 の 判 例 19 イ 民 事 裁 判 の 判 例 20 ウ 本 県 における 処 分 事 例 21 3 体 罰 の 根 絶 をめざして (1) 学 校 で 取 り 組 むべきこと 22 (2) 教 員 一 人 一 人 が 取 り 組 むべきこと 23 (3) 運 動 部 活 動 の 指 導 の 在 り 方 25 (4) 体 罰 防 止 のための 自 己 チェックリスト 26 監 修 埼 玉 県 教 育 局 体 罰 防 止 連 絡 会 議 県 立 学 校 部 県 立 学 校 人 事 課 高 校 教 育 指 導 課 生 徒 指 導 課 保 健 体 育 課 特 別 支 援 教 育 課 市 町 村 支 援 部 小 中 学 校 人 事 課 義 務 教 育 指 導 課 家 庭 地 域 連 携 課 スポーツ 振 興 課 人 権 教 育 課

1 懲 戒 と 体 罰 (1) 懲 戒 と 法 令 学 校 教 育 法 第 11 条 校 長 及 び 教 員 は 教 育 上 必 要 があると 認 めるときは 文 部 科 学 大 臣 の 定 めるとこ ろにより 児 童 生 徒 及 び 学 生 に 懲 戒 を 加 えることができる ただし 体 罰 を 加 え ることはできない 学 校 教 育 法 施 行 規 則 第 26 条 第 1 項 校 長 及 び 教 員 が 児 童 等 に 懲 戒 を 加 えるに 当 つては 児 童 等 の 心 身 の 発 達 に 応 ずる 等 教 育 上 必 要 な 配 慮 をしなければならない 埼 玉 県 立 中 学 校 管 理 規 則 第 11 条 第 1 項 校 長 及 び 教 員 は 教 育 上 必 要 があると 認 めるときは 生 徒 に 懲 戒 を 加 えることが できる ただし 体 罰 を 加 えることはできない 埼 玉 県 立 高 等 学 校 通 則 第 27 条 第 1 項 校 長 及 び 教 員 は 教 育 上 必 要 があると 認 めるときは 生 徒 に 懲 戒 を 加 えることが できる 但 し 体 罰 を 加 えることはできない 埼 玉 県 立 特 別 支 援 学 校 管 理 規 則 第 12 条 第 3 項 通 則 第 十 条 から 第 十 条 の 五 まで < 中 略 > 第 二 十 七 条 の 規 定 は 高 等 部 に 準 用 する 懲 戒 は 教 育 上 の 目 的 に 応 じた 教 育 作 用 として 行 われるものです あくまでも 立 ち 直 りを 期 待 しての 教 育 的 指 導 であることを 一 人 一 人 の 教 員 が 理 解 することが 大 切 です 懲 戒 を 加 えるに 当 たっては 児 童 生 徒 の 性 格 行 動 心 身 の 発 達 状 況 問 題 行 動 の 程 度 等 に 配 慮 して 行 うことが 求 められています また 懲 戒 は 児 童 生 徒 の 教 育 を 受 ける 権 利 を 制 限 することもあるため 慎 重 に 行 わなけ ればなりません 埼 玉 県 教 育 委 員 会 では 高 等 学 校 における 懲 戒 について 生 徒 懲 戒 の 手 続 等 に 関 する 基 準 で その 基 準 を 定 めています (2) 懲 戒 体 罰 に 関 する 解 釈 運 用 指 導 上 許 される 懲 戒 と 禁 止 されている 体 罰 の 区 別 について 文 部 科 学 省 は 次 のとおり 平 成 25 年 3 月 の 通 知 で その 解 釈 運 用 等 について 示 しています 1

写 24 文 科 初 第 1269 号 平 成 25 年 3 月 13 日 各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 教 育 長 各 指 定 都 市 教 育 委 員 会 教 育 長 各 都 道 府 県 知 事 附 属 学 校 を 置 く 各 国 立 大 学 法 人 学 長 小 中 高 等 学 校 を 設 置 する 学 校 設 置 会 社 を 所 轄 する 構 造 改 革 特 別 区 域 法 第 12 条 第 1 項 の 認 定 を 受 けた 各 地 方 公 共 団 体 の 長 殿 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 長 布 村 幸 彦 印 文 部 科 学 省 スポーツ 青 少 年 局 長 久 保 公 人 印 体 罰 の 禁 止 及 び 児 童 生 徒 理 解 に 基 づく 指 導 の 徹 底 について( 通 知 ) 昨 年 末 部 活 動 中 の 体 罰 を 背 景 とした 高 校 生 の 自 殺 事 案 が 発 生 するなど 教 職 員 による 児 童 生 徒 への 体 罰 の 状 況 について 文 部 科 学 省 としては 大 変 深 刻 に 受 け 止 めております 体 罰 は 学 校 教 育 法 で 禁 止 されている 決 して 許 されない 行 為 であり 平 成 25 年 1 月 23 日 初 等 中 等 教 育 局 長 スポーツ 青 少 年 局 長 通 知 体 罰 禁 止 の 徹 底 及 び 体 罰 に 係 る 実 態 把 握 について においても 体 罰 禁 止 の 徹 底 を 改 めてお 願 いいたしました 懲 戒 体 罰 に 関 する 解 釈 運 用 については 平 成 19 年 2 月 に 裁 判 例 の 動 向 等 も 踏 まえ 問 題 行 動 を 起 こす 児 童 生 徒 に 対 する 指 導 について (18 文 科 初 第 1019 号 文 部 科 学 省 初 等 中 等 教 育 局 長 通 知 ) 別 紙 学 校 教 育 法 第 11 条 に 規 定 する 児 童 生 徒 の 懲 戒 体 罰 に 関 する 考 え 方 を 取 りまとめましたが 懲 戒 と 体 罰 の 区 別 等 についてより 一 層 適 切 な 理 解 促 進 を 図 るとともに 教 育 現 場 において 児 童 生 徒 理 解 に 基 づく 指 導 が 行 われるよう 改 めて 本 通 知 において 考 え 方 を 示 し 別 紙 において 参 考 事 例 を 示 しました 懲 戒 体 罰 に 関 する 解 釈 運 用 については 今 後 本 通 知 によるものとします また 部 活 動 は 学 校 教 育 の 一 環 として 行 われるものであり 生 徒 をスポーツや 文 化 等 に 親 しませ 責 任 感 連 帯 感 の 涵 養 (かんよう) 等 に 資 するものであるといった 部 活 動 の 意 義 をもう 一 度 確 認 するとともに 体 罰 を 厳 しい 指 導 として 正 当 化 することは 誤 りであると 2

いう 認 識 を 持 ち 部 活 動 の 指 導 に 当 たる 教 員 等 は 生 徒 の 心 身 の 健 全 な 育 成 に 資 するよう 生 徒 の 健 康 状 態 等 の 十 分 な 把 握 や 望 ましい 人 間 関 係 の 構 築 に 留 意 し 適 切 に 部 活 動 指 導 をすることが 必 要 です 貴 職 におかれましては 本 通 知 の 趣 旨 を 理 解 の 上 児 童 生 徒 理 解 に 基 づく 指 導 が 徹 底 さ れるよう 積 極 的 に 取 り 組 むとともに 都 道 府 県 指 定 都 市 教 育 委 員 会 にあっては 所 管 の 学 校 及 び 域 内 の 市 区 町 村 教 育 委 員 会 等 に 対 して 都 道 府 県 知 事 にあっては 所 轄 の 私 立 学 校 に 対 して 国 立 大 学 法 人 学 長 にあっては 附 属 学 校 に 対 して 構 造 改 革 特 別 区 域 法 第 12 条 第 1 項 の 認 定 を 受 けた 地 方 公 共 団 体 の 長 にあっては 認 可 した 学 校 に 対 して 本 通 知 の 周 知 を 図 り 適 切 な 御 指 導 をお 願 いいたします 記 1 体 罰 の 禁 止 及 び 懲 戒 について 体 罰 は 学 校 教 育 法 第 11 条 において 禁 止 されており 校 長 及 び 教 員 ( 以 下 教 員 等 という )は 児 童 生 徒 への 指 導 に 当 たり いかなる 場 合 も 体 罰 を 行 ってはならない 体 罰 は 違 法 行 為 であるのみならず 児 童 生 徒 の 心 身 に 深 刻 な 悪 影 響 を 与 え 教 員 等 及 び 学 校 への 信 頼 を 失 墜 させる 行 為 である 体 罰 により 正 常 な 倫 理 観 を 養 うことはできず むしろ 児 童 生 徒 に 力 による 解 決 への 志 向 を 助 長 させ いじめや 暴 力 行 為 などの 連 鎖 を 生 む 恐 れがある もとより 教 員 等 は 指 導 に 当 たり 児 童 生 徒 一 人 一 人 をよく 理 解 し 適 切 な 信 頼 関 係 を 築 くことが 重 要 で あり このために 日 頃 から 自 らの 指 導 の 在 り 方 を 見 直 し 指 導 力 の 向 上 に 取 り 組 むこ とが 必 要 である 懲 戒 が 必 要 と 認 める 状 況 においても 決 して 体 罰 によることなく 児 童 生 徒 の 規 範 意 識 や 社 会 性 の 育 成 を 図 るよう 適 切 に 懲 戒 を 行 い 粘 り 強 く 指 導 す ることが 必 要 である ここでいう 懲 戒 とは 学 校 教 育 法 施 行 規 則 に 定 める 退 学 ( 公 立 義 務 教 育 諸 学 校 に 在 籍 する 学 齢 児 童 生 徒 を 除 く ) 停 学 ( 義 務 教 育 諸 学 校 に 在 籍 する 学 齢 児 童 生 徒 を 除 く ) 訓 告 のほか 児 童 生 徒 に 肉 体 的 苦 痛 を 与 えるものでない 限 り 通 常 懲 戒 権 の 範 囲 内 と 判 断 されると 考 えられる 行 為 として 注 意 叱 責 居 残 り 別 室 指 導 起 立 宿 題 清 掃 学 校 当 番 の 割 当 て 文 書 指 導 などがある 2 懲 戒 と 体 罰 の 区 別 について (1) 教 員 等 が 児 童 生 徒 に 対 して 行 った 懲 戒 行 為 が 体 罰 に 当 たるかどうかは 当 該 児 童 生 徒 の 年 齢 健 康 心 身 の 発 達 状 況 当 該 行 為 が 行 われた 場 所 的 及 び 時 間 的 環 境 懲 戒 の 態 様 等 の 諸 条 件 を 総 合 的 に 考 え 個 々の 事 案 ごとに 判 断 する 必 要 がある この 際 単 に 懲 戒 行 為 をした 教 員 等 や 懲 戒 行 為 を 受 けた 児 童 生 徒 保 護 者 の 主 観 のみによ り 判 断 するのではなく 諸 条 件 を 客 観 的 に 考 慮 して 判 断 すべきである (2)(1)により その 懲 戒 の 内 容 が 身 体 的 性 質 のもの すなわち 身 体 に 対 する 侵 害 を 内 容 とするもの( 殴 る 蹴 る 等 ) 児 童 生 徒 に 肉 体 的 苦 痛 を 与 えるようなもの( 正 座 直 立 等 特 定 の 姿 勢 を 長 時 間 にわたって 保 持 させる 等 )に 当 たると 判 断 された 場 合 3

は 体 罰 に 該 当 する 3 正 当 防 衛 及 び 正 当 行 為 について (1) 児 童 生 徒 の 暴 力 行 為 等 に 対 しては 毅 然 とした 姿 勢 で 教 職 員 一 体 となって 対 応 し 児 童 生 徒 が 安 心 して 学 べる 環 境 を 確 保 することが 必 要 である (2) 児 童 生 徒 から 教 員 等 に 対 する 暴 力 行 為 に 対 して 教 員 等 が 防 衛 のためにやむを 得 ず した 有 形 力 の 行 使 は もとより 教 育 上 の 措 置 たる 懲 戒 行 為 として 行 われたものではな く これにより 身 体 への 侵 害 又 は 肉 体 的 苦 痛 を 与 えた 場 合 は 体 罰 には 該 当 しない ま た 他 の 児 童 生 徒 に 被 害 を 及 ぼすような 暴 力 行 為 に 対 して これを 制 止 したり 目 前 の 危 険 を 回 避 したりするためにやむを 得 ずした 有 形 力 の 行 使 についても 同 様 に 体 罰 に 当 たらない これらの 行 為 については 正 当 防 衛 又 は 正 当 行 為 等 として 刑 事 上 又 は 民 事 上 の 責 めを 免 れうる 4 体 罰 の 防 止 と 組 織 的 な 指 導 体 制 について (1) 体 罰 の 防 止 1 教 育 委 員 会 は 体 罰 の 防 止 に 向 け 研 修 の 実 施 や 教 員 等 向 けの 指 導 資 料 の 作 成 など 教 員 等 が 体 罰 に 関 する 正 しい 認 識 を 持 つよう 取 り 組 むことが 必 要 である 2 学 校 は 指 導 が 困 難 な 児 童 生 徒 の 対 応 を 一 部 の 教 員 に 任 せきりにしたり 特 定 の 教 員 が 抱 え 込 んだりすることのないよう 組 織 的 な 指 導 を 徹 底 し 校 長 教 頭 等 の 管 理 職 や 生 徒 指 導 担 当 教 員 を 中 心 に 指 導 体 制 を 常 に 見 直 すことが 必 要 である 3 校 長 は 教 員 が 体 罰 を 行 うことのないよう 校 内 研 修 の 実 施 等 により 体 罰 に 関 する 正 しい 認 識 を 徹 底 させ 場 合 によっては 体 罰 もやむを 得 ない などといった 誤 った 考 え 方 を 容 認 する 雰 囲 気 がないか 常 に 確 認 するなど 校 内 における 体 罰 の 未 然 防 止 に 恒 常 的 に 取 り 組 むことが 必 要 である また 教 員 が 児 童 生 徒 への 指 導 で 困 難 を 抱 えた 場 合 や 周 囲 に 体 罰 と 受 け 取 られかねない 指 導 を 見 かけた 場 合 には 教 員 個 人 で 抱 え 込 まず 積 極 的 に 管 理 職 や 他 の 教 員 等 へ 報 告 相 談 できるようにするなど 日 常 的 に 体 罰 を 防 止 できる 体 制 を 整 備 することが 必 要 である 4 教 員 は 決 して 体 罰 を 行 わないよう 平 素 から いかなる 行 為 が 体 罰 に 当 たるかに ついての 考 え 方 を 正 しく 理 解 しておく 必 要 がある また 機 会 あるごとに 自 身 の 体 罰 に 関 する 認 識 を 再 確 認 し 児 童 生 徒 への 指 導 の 在 り 方 を 見 直 すとともに 自 身 が 児 童 生 徒 への 指 導 で 困 難 を 抱 えた 場 合 や 周 囲 に 体 罰 と 受 け 取 られかねない 指 導 を 見 かけ た 場 合 には 教 員 個 人 で 抱 え 込 まず 積 極 的 に 管 理 職 や 他 の 教 員 等 へ 報 告 相 談 する ことが 必 要 である (2) 体 罰 の 実 態 把 握 と 事 案 発 生 時 の 報 告 の 徹 底 1 教 育 委 員 会 は 校 長 に 対 し 体 罰 を 把 握 した 場 合 には 教 育 委 員 会 に 直 ちに 報 告 する 4

よう 求 めるとともに 日 頃 から 主 体 的 な 体 罰 の 実 態 把 握 に 努 め 体 罰 と 疑 われる 事 案 があった 場 合 には 関 係 した 教 員 等 からの 聞 き 取 りのみならず 児 童 生 徒 や 保 護 者 からの 聞 き 取 りや 必 要 に 応 じて 第 三 者 の 協 力 を 得 るなど 事 実 関 係 の 正 確 な 把 握 に 努 めることが 必 要 である あわせて 体 罰 を 行 ったと 判 断 された 教 員 等 については 体 罰 が 学 校 教 育 法 に 違 反 するものであることから 厳 正 な 対 応 を 行 うことが 必 要 であ る 2 校 長 は 教 員 に 対 し 万 が 一 体 罰 を 行 った 場 合 や 他 の 教 員 の 体 罰 を 目 撃 した 場 合 には 直 ちに 管 理 職 へ 報 告 するよう 求 めるなど 校 内 における 体 罰 の 実 態 把 握 のため に 必 要 な 体 制 を 整 備 することが 必 要 である また 教 員 や 児 童 生 徒 保 護 者 等 から 体 罰 や 体 罰 が 疑 われる 事 案 の 報 告 相 談 があ った 場 合 は 関 係 した 教 員 等 からの 聞 き 取 りや 児 童 生 徒 や 保 護 者 からの 聞 き 取 り 等 により 事 実 関 係 の 正 確 な 把 握 に 努 めることが 必 要 である 加 えて 体 罰 を 把 握 した 場 合 校 長 は 直 ちに 体 罰 を 行 った 教 員 等 を 指 導 し 再 発 防 止 策 を 講 じるとともに 教 育 委 員 会 へ 報 告 することが 必 要 である 3 教 育 委 員 会 及 び 学 校 は 児 童 生 徒 や 保 護 者 が 体 罰 の 訴 えや 教 員 等 との 関 係 の 悩 み を 相 談 することができる 体 制 を 整 備 し 相 談 窓 口 の 周 知 を 図 ることが 必 要 である 5 部 活 動 指 導 について (1) 部 活 動 は 学 校 教 育 の 一 環 であり 体 罰 が 禁 止 されていることは 当 然 である 成 績 や 結 果 を 残 すことのみに 固 執 せず 教 育 活 動 として 逸 脱 することなく 適 切 に 実 施 されな ければならない (2) 他 方 運 動 部 活 動 においては 生 徒 の 技 術 力 身 体 的 能 力 又 は 精 神 力 の 向 上 を 図 ることを 目 的 として 肉 体 的 精 神 的 負 荷 を 伴 う 指 導 が 行 われるが これらは 心 身 の 健 全 な 発 達 を 促 すとともに 活 動 を 通 じて 達 成 感 や 仲 間 との 連 帯 感 を 育 むものであ る ただし その 指 導 は 学 校 部 活 動 顧 問 生 徒 保 護 者 の 相 互 理 解 の 下 年 齢 技 能 の 習 熟 度 や 健 康 状 態 場 所 的 時 間 的 環 境 等 を 総 合 的 に 考 えて 適 切 に 実 施 しなけ ればならない 指 導 と 称 し 部 活 動 顧 問 の 独 善 的 な 目 的 を 持 って 特 定 の 生 徒 たちに 対 して 執 拗 かつ 過 度 に 肉 体 的 精 神 的 負 荷 を 与 える 指 導 は 教 育 的 指 導 とは 言 えない (3) 部 活 動 は 学 校 教 育 の 一 環 であるため 校 長 教 頭 等 の 管 理 職 は 部 活 動 顧 問 に 全 て 委 ねることなく その 指 導 を 適 宜 監 督 し 教 育 活 動 としての 使 命 を 守 ることが 求 めら れる 5

別 紙 学 校 教 育 法 第 11 条 に 規 定 する 児 童 生 徒 の 懲 戒 体 罰 等 に 関 する 参 考 事 例 本 紙 は 学 校 現 場 の 参 考 に 資 するよう 具 体 の 事 例 について 通 常 どの ように 判 断 されうるかを 示 したものである 本 紙 は 飽 くまで 参 考 として 事 例 を 簡 潔 に 示 して 整 理 したものであるが 個 別 の 事 案 が 体 罰 に 該 当 するか 等 を 判 断 するに 当 たっては 本 通 知 2(1)の 諸 条 件 を 総 合 的 に 考 え 個 々の 事 案 ごとに 判 断 する 必 要 がある (1) 体 罰 ( 通 常 体 罰 と 判 断 されると 考 えられる 行 為 ) 身 体 に 対 する 侵 害 を 肉 容 とするもの 体 育 の 授 業 中 危 険 な 行 為 をした 児 童 の 背 中 を 足 で 踏 みつける 帰 りの 会 で 足 をぶらぶらさせて 座 り 前 の 席 の 児 童 に 足 を 当 てた 児 童 を 突 き 飛 ばして 転 倒 させる 授 業 態 度 について 指 導 したが 反 抗 的 な 言 動 をした 複 数 の 生 徒 らの 頬 を 平 手 打 ちする 立 ち 歩 きの 多 い 生 徒 を 叱 ったが 聞 かず 席 につかないため 頬 をつね って 席 につかせる 生 徒 指 導 に 応 じず 下 校 しようとしている 生 徒 の 腕 を 引 いたところ 生 徒 が 腕 を 振 り 払 ったため 当 該 生 徒 の 頭 を 平 手 で 叩 (たた)く 給 食 の 時 間 ふざけていた 生 徒 に 対 し 口 頭 で 注 意 したが 聞 かなかっ たため 持 っていたボールペンを 投 げつけ 生 徒 に 当 てる 部 活 動 顧 問 の 指 示 に 従 わず ユニフォームの 片 づけが 不 十 分 であった ため 当 該 生 徒 の 頬 を 殴 打 する 被 罰 者 に 肉 体 的 苦 痛 を 与 えるようなもの 放 課 後 に 児 童 を 教 室 に 残 留 させ 児 童 がトイレに 行 きたいと 訴 えたが 一 切 室 外 に 出 ることを 許 さない 別 室 指 導 のため 給 食 の 時 間 を 含 めて 生 徒 を 長 く 別 室 に 留 め 置 き 一 切 室 外 に 出 ることを 許 さない 宿 題 を 忘 れた 児 童 に 対 して 教 室 の 後 方 で 正 座 で 授 業 を 受 けるよう 言 い 児 童 が 苦 痛 を 訴 えたが そのままの 姿 勢 を 保 持 させた 6

(2) 認 められる 懲 戒 ( 通 常 懲 戒 権 の 範 囲 内 と 判 断 されると 考 えられる 行 為 )(ただし 肉 体 的 苦 痛 を 伴 わないものに 限 る ) 学 校 教 育 法 施 行 規 則 に 定 める 退 学 停 学 訓 告 以 外 で 認 められると 考 えられるものの 例 放 課 後 等 に 教 室 に 残 留 させる 授 業 中 教 室 内 に 起 立 させる 学 習 課 題 や 清 掃 活 動 を 課 す 学 校 当 番 を 多 く 割 り 当 てる 立 ち 歩 きの 多 い 児 童 生 徒 を 叱 って 席 につかせる 練 習 に 遅 刻 した 生 徒 を 試 合 に 出 さずに 見 学 させる (3) 正 当 な 行 為 ( 通 常 正 当 防 衛 正 当 行 為 と 判 断 されると 考 えられる 行 為 ) 児 童 生 徒 から 教 員 等 に 対 する 暴 力 行 為 に 対 して 教 員 等 が 防 衛 のため にやむを 得 ずした 有 形 力 の 行 使 児 童 が 教 員 の 指 導 に 反 抗 して 教 員 の 足 を 蹴 ったため 児 童 の 背 後 に 回 り 体 をきつく 押 さえる 他 の 児 童 生 徒 に 被 害 を 及 ぼすような 暴 力 行 為 に 対 して これを 制 止 し たり 目 前 の 危 険 を 回 避 するためにやむを 得 ずした 有 形 力 の 行 使 休 み 時 間 に 廊 下 で 他 の 児 童 を 押 さえつけて 殴 るという 行 為 に 及 んだ 児 童 がいたため この 児 童 の 両 肩 をつかんで 引 き 離 す 全 校 集 会 中 に 大 声 を 出 して 集 会 を 妨 げる 行 為 があった 生 徒 を 冷 静 に させ 別 の 場 所 で 指 導 するため 別 の 場 所 に 移 るよう 指 導 したが なお も 大 声 を 出 し 続 けて 抵 抗 したため 生 徒 の 腕 を 手 で 引 っ 張 って 移 動 させ る 他 の 生 徒 をからかつていた 生 徒 を 指 導 しようとしたところ 当 該 生 徒 が 教 員 に 暴 言 を 吐 きつばを 吐 いて 逃 げ 出 そうとしたため 生 徒 が 落 ち 着 くまでの 数 分 間 肩 を 両 手 でっかんで 壁 へ 押 しつけ 制 止 させる 試 合 中 に 相 手 チームの 選 手 とトラブルになり 殴 りかかろうとする 生 徒 を 押 さえつけて 制 止 させる 以 上 7

(3) 体 罰 で 教 育 はできない 体 罰 を 根 絶 するためには 教 員 一 人 一 人 が 体 罰 は 法 令 上 許 されないことを 理 解 すると ともに 教 育 の 原 点 に 立 ち 返 り 以 下 のことを 踏 まえ 体 罰 で 教 育 はできない ことを 強 く 自 覚 する 必 要 があります 体 罰 は 違 法 な 行 為 であり 人 権 侵 害 である 体 罰 は 学 校 教 育 法 第 11 条 によって 明 確 に 禁 止 されており 児 童 生 徒 の 人 権 を 踏 みに じる 行 為 です 体 罰 はどのような 理 由 からも 弁 解 できません 体 罰 は 児 童 生 徒 に 屈 辱 感 を 与 え 心 を 強 く 傷 つけるとともに 教 員 や 学 校 への 信 頼 を 失 わせる 体 罰 は 力 による 強 制 であり 児 童 生 徒 は 屈 辱 感 をもち 教 員 や 学 校 への 不 信 感 を 抱 きま す 体 罰 には 教 育 的 効 果 がないばかりでなく 逆 に 児 童 生 徒 と 教 員 との 信 頼 関 係 を 破 壊 し それまでの 多 くの 教 員 の 努 力 をすべて 水 の 泡 にしてしまいます 体 罰 は 児 童 生 徒 の 意 欲 を 奪 い 暴 力 容 認 の 考 えを 植 えつける 体 罰 は 成 長 しようとする 児 童 生 徒 の 意 欲 を 失 わせ 暴 力 による 問 題 解 決 を 肯 定 する 考 えを 植 えつけます 体 罰 を 受 けた 児 童 生 徒 が 将 来 指 導 的 立 場 になったとき 安 易 に 体 罰 に 頼 るようになるで しょう 体 罰 の 連 鎖 です また 体 罰 はいじめや 校 内 暴 力 不 登 校 非 行 等 の 引 き 金 になることもあります 体 罰 が 必 要 なときもある という 考 え 方 は 間 違 いである 愛 のムチ という 言 葉 があります 児 童 生 徒 のためを 思 って 行 う 体 罰 は 教 育 上 必 要 な あるいは 有 効 な 手 段 であるという 考 え 方 です しかし これは 指 導 力 のない 教 員 の 身 勝 手 な 言 い 訳 に 過 ぎません 暴 力 で 児 童 生 徒 を 支 配 している 教 員 は 瞬 間 的 には 指 導 力 があるように 見 えてしまうの で 保 護 者 など 大 人 たちの 中 にも 体 罰 を 容 認 する 人 が 少 なからずいます 体 罰 を 受 けてい る 児 童 生 徒 自 身 でさえ 先 生 が 熱 心 に 指 導 してくださっている と 思 い 込 んでしまう 場 合 もあります これらは 大 きな 勘 違 いです 体 罰 によって 良 くなる 子 は 体 罰 によらずとも 必 ず 良 くなります 逆 に 体 罰 によ らずとも 良 くなる 子 が 体 罰 によって 良 くなるとは 限 りません 8

懲 戒 は 罰 を 与 えること 自 体 が 目 的 ではなく 児 童 生 徒 を 立 ち 直 らせるための 指 導 過 程 である 児 童 生 徒 が 指 導 に 従 わず 反 抗 したときなどに 一 時 的 な 感 情 の 高 ぶりから 体 罰 を 行 って しまったという 例 が 多 くあります 児 童 生 徒 の 問 題 行 動 や 非 行 に 対 して 悪 いことをしたのだから これくらいの 罰 は 当 然 だ ではなく 同 じ 過 ちを 繰 り 返 させないためにどうすればよいか と 考 えることが 大 切 です 懲 戒 は 児 童 生 徒 を 立 ち 直 らせるための 指 導 過 程 であり 罰 を 与 えること 自 体 が 目 的 ではないからです このように 感 情 に 流 されることなく 冷 静 に 考 えるなら 体 罰 を 選 択 することはあり 得 ません (4) 体 罰 で 問 われる 責 任 ア 行 政 上 の 責 任 ( 懲 戒 処 分 ) 体 罰 の 状 況 によっては 地 方 公 務 員 法 第 29 条 により 懲 戒 処 分 を 受 けます 埼 玉 県 教 育 委 員 会 の 懲 戒 処 分 の 基 準 には 次 のように 定 められています また 校 長 等 の 管 理 職 も 監 督 責 任 を 問 われることがあります 懲 戒 処 分 の 基 準 第 1 基 本 事 項 本 基 準 は 代 表 的 な 事 例 を 選 び それぞれにおける 標 準 的 な 懲 戒 処 分 の 種 類 を 掲 げ たものである 具 体 的 な 処 分 量 定 の 決 定 に 当 たっては 1 非 違 行 為 の 動 機 態 様 及 び 結 果 はどのようなものであったか 2 故 意 又 は 過 失 の 度 合 いはどの 程 度 であったか 3 非 違 行 為 を 行 った 職 員 の 職 責 はどのようなものであったか その 職 責 は 非 違 行 為 との 関 係 でどのように 評 価 すべきか 4 他 の 職 員 及 び 社 会 に 与 える 影 響 はどのようなものであるか 5 過 去 に 非 違 行 為 を 行 っているか 等 のほか 適 宜 日 頃 の 勤 務 態 度 や 非 違 行 為 後 の 対 応 等 も 含 め 総 合 的 に 考 慮 の 上 判 断 するものとする 個 別 の 事 案 の 内 容 によっては 標 準 例 に 掲 げる 処 分 の 種 類 以 外 と することができる また 懲 戒 処 分 を 行 わないことに 相 当 の 理 由 があると 認 められるときは 懲 戒 処 分 以 外 の 訓 告 等 の 措 置 を 行 うこともできる なお 標 準 例 に 掲 げられていない 非 違 行 為 についても 懲 戒 処 分 の 対 象 となり 得 る ものであり これらについては 標 準 例 に 掲 げる 取 扱 いを 参 考 としつつ 判 断 する 9

第 2 標 準 例 4 児 童 生 徒 に 対 する 非 違 行 為 関 係 (1) 体 罰 児 童 生 徒 に 対 して 体 罰 を 加 えた 職 員 は 減 給 又 は 戒 告 とする この 場 合 において 児 童 生 徒 に 重 篤 な 傷 害 を 負 わせ かつ その 行 為 が 特 に 悪 質 なときは 当 該 職 員 は 停 職 とする 6 監 督 責 任 関 係 (1) 指 導 監 督 不 適 正 部 下 職 員 が 懲 戒 処 分 を 受 ける 等 した 場 合 で 管 理 監 督 者 としての 指 導 監 督 に 適 正 を 欠 いていた 職 員 は 減 給 又 は 戒 告 とする (2) 非 行 の 隠 ぺい 黙 認 部 下 職 員 の 非 違 行 為 を 知 得 したにもかかわらず その 事 実 を 隠 ぺいし 又 は 黙 認 した 職 員 は 停 職 又 は 減 給 とする 埼 玉 県 教 育 委 員 会 では 県 立 学 校 長 や 市 町 村 教 育 委 員 会 から 体 罰 の 事 故 報 告 があった 場 合 体 罰 を 行 った 教 員 本 人 校 長 相 手 方 児 童 生 徒 及 び 保 護 者 他 の 職 員 現 場 にいた 第 三 者 等 から 事 情 をよく 聴 き 総 合 的 に 判 断 して 処 分 を 決 定 します 外 見 的 には 同 じ 行 為 でも 児 童 生 徒 の 状 況 や 指 導 経 過 発 生 場 所 の 状 態 行 為 に 至 るま での 経 緯 事 後 の 対 応 など 個 々の 詳 細 な 事 実 に 応 じて 適 切 に 判 断 します 懲 戒 免 職 の 場 合 退 職 手 当 は 支 給 されず 教 員 免 許 状 は 失 効 します また 免 職 以 外 の 懲 戒 処 分 による 給 与 上 の 措 置 とその 運 用 については 次 のように 定 められています 処 分 の 種 類 給 料 昇 給 55 歳 以 下 55 歳 超 勤 勉 手 当 6 月 支 給 しない 昇 給 しない 昇 給 しない 37.5/100 停 職 3 月 支 給 しない 1 号 給 昇 給 昇 給 しない 37.5/100 1 月 支 給 しない 1 号 給 昇 給 昇 給 しない 37.5/100 6 月 9 割 支 給 2 号 給 昇 給 昇 給 しない 47.5/100 減 給 3 月 9 割 支 給 2 号 給 昇 給 昇 給 しない 47.5/100 1 月 9 割 支 給 2 号 給 昇 給 昇 給 しない 47.5/100 戒 告 全 額 支 給 3 号 給 昇 給 1 号 給 昇 給 57.5/100 ( 参 考 ) 勤 務 成 績 が 良 好 全 額 支 給 4 号 給 昇 給 2 号 給 昇 給 72.5/100 イ 刑 事 上 の 責 任 体 罰 によって 児 童 生 徒 に 何 らかの 被 害 や 傷 害 を 与 えた 場 合 は 当 該 教 員 に 刑 事 上 の 責 任 が 生 じます 起 訴 された 場 合 刑 法 上 の 暴 行 罪 傷 害 罪 等 の 罪 に 問 われ 罰 金 や 懲 役 等 の 刑 罰 を 受 けることがあります なお 禁 錮 刑 以 上 の 刑 が 確 定 した 場 合 は 地 方 公 務 員 法 の 規 定 により 失 職 となり さら に 教 育 職 員 免 許 法 の 規 定 により 教 員 免 許 状 が 失 効 となります 10

(ア) 暴 行 罪 刑 法 第 208 条 暴 行 を 加 えた 者 が 人 を 傷 害 するに 至 らなかったときは 二 年 以 下 の 懲 役 若 しくは 三 十 万 円 以 下 の 罰 金 又 は 拘 留 若 しくは 科 料 に 処 する 暴 行 とは 人 の 身 体 に 向 けた 有 形 力 の 行 使 をいいます 例 えば 殴 る 蹴 るなどのほか 毛 髪 を 切 る 衣 服 を 引 っ 張 る 脅 すつもりで 刃 物 を 振 り 回 す 石 などを 投 げつける(たとえ 当 たらなくとも) 自 動 車 を 幅 寄 せする なども 暴 行 と 見 なされることがあります (イ) 傷 害 罪 刑 法 第 204 条 人 の 身 体 を 傷 害 した 者 は 十 五 年 以 下 の 懲 役 又 は 五 十 万 円 以 下 の 罰 金 に 処 する 傷 害 とは 生 活 機 能 に 障 害 を 与 えること ないし 健 康 状 態 を 不 良 な 状 態 に 変 更 すること をいいます 加 害 者 の 攻 撃 を 避 けるために 被 害 者 が 負 傷 した 場 合 も 傷 害 となります ウ 民 事 上 の 責 任 体 罰 を 加 えた 教 員 は 被 害 を 受 けた 児 童 生 徒 に 対 し 治 療 費 や 慰 謝 料 などの 損 害 賠 償 責 任 を 負 うことがあります 民 法 第 709 条 故 意 又 は 過 失 によって 他 人 の 権 利 又 は 法 律 上 保 護 される 利 益 を 侵 害 した 者 は こ れによって 生 じた 損 害 を 賠 償 する 責 任 を 負 う 故 意 とは 一 定 の 結 果 の 発 生 すべきことを 意 図 して 又 は 結 果 の 発 生 すべきことを 認 識 ないしは 予 見 していながらそれを 容 認 して 行 為 をする 心 理 をいいます 過 失 とは 通 常 尽 くさなければならない 注 意 を 怠 る 場 合 をいいます 体 罰 は 教 員 が 意 図 的 に 加 える 児 童 生 徒 への 懲 戒 権 を 逸 脱 した 行 為 であるところから 過 失 ではなく 故 意 と 見 なされる 行 為 に 当 たります また 被 害 を 受 けた 児 童 生 徒 が 国 家 賠 償 法 を 根 拠 として 損 害 賠 償 を 求 めた 場 合 は 県 や 市 町 村 が 被 告 となります 11

国 家 賠 償 法 第 1 条 第 1 項 国 又 は 公 共 団 体 の 公 権 力 の 行 使 に 当 る 公 務 員 が その 職 務 を 行 うについて 故 意 又 は 過 失 によつて 違 法 に 他 人 に 損 害 を 加 えたときは 国 又 は 公 共 団 体 が これを 賠 償 する 責 に 任 ずる 公 権 力 の 行 使 とは 一 切 の 公 務 員 の 職 務 上 の 行 為 を 含 むとされ 公 立 学 校 における 教 員 の 教 育 活 動 もこれに 当 たります 国 家 賠 償 法 第 1 条 第 2 項 前 項 の 場 合 において 公 務 員 に 故 意 又 は 重 大 な 過 失 があつたときは 国 又 は 公 共 団 体 は その 公 務 員 に 対 して 求 償 権 を 有 する 国 家 賠 償 法 は 被 害 者 の 救 済 のためと 公 務 員 が 職 務 執 行 の 際 に 萎 縮 しないように 国 公 共 団 体 は 公 務 員 個 人 の 責 任 を 肩 代 わりするという 法 律 です しかし 体 罰 は 故 意 と 見 な されるので 肩 代 わりに 値 する 行 為 とはされず 教 員 個 人 に 求 償 する 場 合 もあります また 体 罰 は 学 校 教 育 法 で 明 確 に 禁 止 されている 違 法 行 為 ですから 裁 判 所 が 違 法 と 判 断 すれば 加 害 者 である 教 員 本 人 に 賠 償 金 の 支 払 を 命 ずる 判 決 が 言 い 渡 されることになり ます 12

2 学 校 における 体 罰 の 現 状 (1) 全 国 の 現 状 文 部 科 学 省 体 罰 の 実 態 把 握 による 平 成 24 年 度 中 に 発 生 した 体 罰 が 対 象 国 立 公 立 私 立 学 校 の 合 ( 中 等 教 育 学 校 高 等 専 門 学 校 を 除 く) ア 発 生 件 数 等 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 発 生 件 数 1,559 2,805 2,272 47 6,683 発 生 学 校 数 1,181 1,729 1,190 38 4,138 ( 発 生 率 ) 5.5% 16.2% 23.7% 3.6% 10.8% 発 生 率 は 発 生 学 校 数 を 全 学 校 数 で 割 ったもの 年 度 中 に 複 数 回 に 渡 るまたは 複 数 の 被 害 者 がいる 場 合 であっても 1 人 の 教 職 員 に よる 一 連 の 体 罰 と 見 なせるなら1 件 とする イ 体 罰 が 行 われた 場 面 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 授 業 中 922 687 483 27 2,119 放 課 後 72 323 242 4 641 休 み 時 間 267 324 203 5 799 部 活 動 21 1,073 948 2 2,044 学 校 行 事 45 74 137 2 258 ホームルーム 62 82 77 2 223 170 242 182 5 599 複 数 の 場 面 で 行 われた 場 合 も 主 な 場 面 1つを 選 択 放 課 後 部 活 動 学 校 行 事 小 授 業 中 休 み 時 間 学 校 行 事 ホームルーム 中 授 業 中 放 課 後 休 み 時 間 部 活 動 ホームルーム ホームルーム 高 授 業 中 放 課 後 休 み 時 間 部 活 動 学 校 行 事 ホームルーム 特 授 業 中 放 課 後 休 み 時 間 部 活 動 学 校 行 事 授 業 中 放 課 後 休 み 時 間 部 活 動 学 校 行 事 ホームルーム 13

ウ 体 罰 が 行 われた 場 所 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 教 室 1,050 730 532 26 2,338 職 員 室 2 45 95 0 142 運 動 場 体 育 館 215 1,136 964 6 2,321 生 徒 指 導 室 7 95 58 1 161 廊 下 階 段 161 355 194 2 712 124 444 429 12 1,009 複 数 の 場 所 で 行 われた 場 合 も 主 な 場 所 1つを 選 択 職 員 室 生 徒 指 導 室 小 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 職 員 室 中 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 生 徒 指 導 室 高 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 職 員 室 生 徒 指 導 室 特 教 室 運 動 場 体 育 館 生 徒 指 導 室 廊 下 階 段 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 職 員 室 生 徒 指 導 室 エ 体 罰 の 態 様 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 素 手 で 殴 る 876 1,698 1,489 19 4,082 棒 などで 殴 る 68 152 127 2 349 蹴 る 141 292 177 3 613 投 げる 転 倒 させる 52 94 31 1 178 殴 る 及 び 蹴 る 等 37 207 164 2 410 385 362 284 20 1,051 複 数 の 態 様 がある 場 合 も 主 な 態 様 1つを 選 択 14

棒 などで 殴 る 殴 る 及 び 蹴 る 等 小 素 手 で 殴 る 蹴 る 棒 などで 殴 る 投 げる 転 倒 させる 中 素 手 で 殴 る 蹴 る 棒 などで 殴 る 投 げる 転 倒 させる 殴 る 及 び 蹴 る 等 高 素 手 で 殴 る 蹴 る 棒 などで 殴 る 投 げる 転 倒 させる 殴 る 及 び 蹴 る 等 特 素 手 で 殴 る 蹴 る 投 げる 転 倒 させる 殴 る 及 び 蹴 る 等 素 手 で 殴 る 蹴 る 棒 などで 殴 る 投 げる 転 倒 させる 殴 る 及 び 蹴 る 等 オ 被 害 の 状 況 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 骨 折 捻 挫 など 7 26 7 0 40 鼓 膜 損 傷 4 26 35 0 65 外 傷 42 99 59 3 203 打 撲 108 224 143 2 477 鼻 血 15 37 39 2 93 髪 を 切 られる 0 4 8 1 13 61 92 65 2 220 傷 害 なし 1,322 2,297 1,916 37 5,572 複 数 の 被 害 がある 場 合 も 主 な 被 害 を1つ 選 択 傷 害 あり 17% 傷 害 なし 83% 鼓 膜 損 傷 小 外 傷 打 撲 鼻 血 骨 折 捻 挫 など 中 鼓 膜 損 傷 外 傷 打 撲 鼻 血 骨 折 捻 挫 など 髪 を 切 られる 高 鼓 膜 損 傷 外 傷 打 撲 鼻 血 骨 折 捻 挫 など 髪 を 切 られる 特 外 傷 打 撲 鼻 血 髪 を 切 られる 鼓 膜 損 傷 外 傷 打 撲 鼻 血 骨 折 捻 挫 など 髪 を 切 られる 15

(2) 本 県 の 現 状 文 部 科 学 省 体 罰 の 実 態 把 握 による 平 成 24 年 度 中 に 発 生 した 体 罰 が 対 象 県 立 学 校 及 びさいたま 市 を 除 く 市 町 村 立 学 校 ア 発 生 件 数 等 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 発 生 件 数 18 32 10 2 62 発 生 学 校 数 18 27 9 2 56 ( 発 生 率 ) 2.5% 7.4% 6.1% 5.9% 4.5% 発 生 率 は 発 生 学 校 数 を 全 学 校 数 で 割 ったもの 年 度 中 に 複 数 回 に 渡 るまたは 複 数 の 被 害 者 がいる 場 合 であっても 1 人 の 教 職 員 に よる 一 連 の 体 罰 と 見 なせるなら1 件 とする イ 体 罰 が 行 われた 場 面 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 授 業 中 12 6 1 1 20 放 課 後 1 2 0 0 3 休 み 時 間 2 2 0 0 4 部 活 動 0 18 7 0 25 学 校 行 事 0 2 1 0 3 ホームルーム 0 1 0 0 1 3 1 1 1 6 複 数 の 場 面 で 行 われた 場 合 も 主 な 場 面 1つを 選 択 放 課 後 小 授 業 中 休 み 時 間 放 課 後 ホームルーム 中 授 業 中 部 活 動 休 み 時 間 学 校 行 事 高 授 業 中 部 活 動 学 校 行 事 特 授 業 中 授 業 中 部 活 動 放 課 後 休 み 時 間 学 校 行 事 ホームルーム 16

ウ 体 罰 が 行 われた 場 所 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 教 室 14 6 0 1 21 職 員 室 0 1 0 0 1 運 動 場 体 育 館 0 22 8 1 31 生 徒 指 導 室 0 0 0 0 0 廊 下 階 段 4 3 1 0 8 0 0 1 0 1 複 数 の 場 所 で 行 われた 場 合 も 主 な 場 所 1つを 選 択 小 教 室 廊 下 階 段 職 員 室 中 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 高 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 特 教 室 運 動 場 体 育 館 教 室 運 動 場 体 育 館 廊 下 階 段 職 員 室 エ 体 罰 の 態 様 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 素 手 で 殴 る 10 13 3 1 27 棒 などで 殴 る 0 0 1 0 1 蹴 る 2 7 0 0 9 投 げる 転 倒 させる 0 1 0 0 1 殴 る 及 び 蹴 る 等 1 5 6 0 12 5 6 0 1 12 複 数 の 態 様 がある 場 合 も 主 な 態 様 1つを 選 択 17

殴 る 及 び 蹴 る 等 小 素 手 で 殴 る 蹴 る 中 素 手 で 殴 る 蹴 る 殴 る 及 び 蹴 る 等 投 げる 転 倒 させる 高 素 手 で 殴 る 殴 る 及 び 蹴 る 等 棒 などで 殴 る 特 素 手 で 殴 る 素 手 で 殴 る 蹴 る 殴 る 及 び 蹴 る 等 棒 などで 殴 る 投 げる 転 倒 させる オ 被 害 の 状 況 区 分 小 学 校 中 学 校 高 等 学 校 特 別 支 援 学 校 骨 折 捻 挫 など 0 0 0 0 0 鼓 膜 損 傷 0 0 0 0 0 外 傷 1 4 1 1 7 打 撲 2 4 0 0 6 鼻 血 0 0 0 0 0 髪 を 切 られる 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 傷 害 なし 15 24 8 1 48 複 数 の 被 害 がある 場 合 も 主 な 被 害 を1つ 選 択 傷 害 なし 77% 傷 害 あり 23% 小 外 傷 打 撲 中 外 傷 打 撲 高 外 傷 特 外 傷 外 傷 打 撲 18

(3) 事 例 ア 刑 事 裁 判 の 判 例 市 立 小 学 校 の 担 任 教 諭 Aは 授 業 中 に 頭 蓋 骨 狭 窄 症 で 知 的 障 害 のある 児 童 Bが 指 示 に 従 わなかったため 児 童 Bの 頭 部 を 複 数 回 殴 打 した 児 童 Bはその 後 硬 膜 外 血 腫 に より 死 亡 した 教 諭 Aの 暴 力 と 児 童 Bの 死 亡 との 間 に 因 果 関 係 が 認 められるとして 懲 役 3 年 の 実 刑 判 決 [ 昭 和 62 年 8 月 26 日 横 浜 地 方 裁 判 所 ] 控 訴 審 で 懲 役 2 年 に 減 刑 上 告 審 で 懲 役 2 年 の 実 刑 判 決 確 定 [ 昭 和 63 年 11 月 26 日 最 高 裁 判 所 第 一 小 法 廷 ] 私 立 大 学 附 属 高 校 の 教 諭 Cは 生 徒 指 導 中 に 口 答 えをした 女 子 生 徒 Dに 腹 を 立 て 右 側 頭 部 付 近 を 数 発 殴 った 生 徒 Dはコンクリート 壁 に 激 突 して 意 識 不 明 となり 翌 日 死 亡 した 傷 害 致 死 罪 で 懲 役 2 年 の 実 刑 判 決 [ 平 成 7 年 12 月 25 日 福 岡 地 方 裁 判 所 ] 控 訴 審 で 教 育 の 名 に 値 しない 私 憤 に 由 来 する 暴 行 として 懲 役 2 年 の 実 刑 判 決 確 定 [ 平 成 8 年 7 月 6 月 25 日 福 岡 高 等 裁 判 所 ] 県 立 高 校 2 年 生 の 担 任 教 諭 Eは 男 子 生 徒 Fが 文 化 祭 の 準 備 に 加 わらないなど 態 度 が 悪 いことを 理 由 に 生 徒 Fの 顔 を 平 手 で 殴 り 歯 を 折 る 怪 我 を 負 わせた 生 徒 Fは その 後 精 神 的 に 不 安 定 となり1ヶ 月 間 休 学 した また 教 諭 Eはこれ 以 前 にも 生 徒 Fに 対 し 十 数 回 にわたって 体 罰 を 行 っていたことが 発 覚 した 傷 害 罪 で50 万 円 の 罰 金 刑 [ 平 成 23 年 3 月 14 日 福 岡 地 方 裁 判 所 ] 19

イ 民 事 裁 判 の 判 例 市 立 中 学 校 の 教 諭 Aは 問 題 行 動 の 目 立 つ 男 子 生 徒 Bが 校 内 ですれ 違 った 際 にあ いさつしなかったことに 腹 を 立 てて 殴 る 蹴 る 等 の 暴 行 を 行 い 全 治 10 日 間 の 怪 我 を 負 わせた また 生 徒 指 導 中 に 生 徒 Bが 嘘 をついたことに 腹 を 立 てて 生 徒 Bの 顔 面 を 殴 打 し 全 治 15 日 間 の 怪 我 を 負 わせた さらに 生 徒 Bの 無 断 欠 席 や 早 退 等 が 多 い ことを 指 導 する 際 二 度 と 来 るな 学 校 に 来 たいなら 親 と 一 緒 に 土 下 座 して 謝 れ と 怒 鳴 りつけたため 生 徒 Bは3カ 月 の 欠 席 を 余 儀 なくされた 教 諭 Aの 体 罰 及 び 不 適 切 な 言 動 は 懲 戒 の 範 囲 を 逸 脱 した 違 法 なものとして 市 と 県 に 損 害 賠 償 金 30 万 円 の 支 払 命 令 [ 平 成 2 年 3 月 26 日 浦 和 地 方 裁 判 所 ] 市 立 小 学 校 6 年 生 の 担 任 教 諭 Cは 男 子 児 童 Dが 運 動 会 のポスター 制 作 について 質 問 したところ すでに 説 明 してあったことから 何 回 おなじことを 言 わすねん と 怒 鳴 りつけ 児 童 Dの 頭 頂 部 と 頬 を 数 回 叩 いた 児 童 Dは 直 後 に 行 方 不 明 となり その 後 自 殺 した 教 諭 Cの 注 意 義 務 違 反 と 児 童 Dの 自 殺 との 間 には 相 当 因 果 関 係 があるとして 市 に 慰 謝 料 約 3,790 万 円 の 支 払 命 令 [ 平 成 12 年 1 月 31 日 神 戸 地 方 裁 判 所 ] 市 は 控 訴 断 念 後 も 因 果 関 係 については 否 定 してきたが 平 成 25 年 3 月 19 日 に 体 罰 による 自 殺 と 認 め 児 童 Dの 両 親 に 謝 罪 した 市 立 中 学 校 男 子 バレーボール 部 の 顧 問 教 諭 Eは 2 年 生 部 員 の 男 子 生 徒 Fがスパイ クミスしたことに 腹 を 立 て 至 近 距 離 から 生 徒 Fの 顔 面 にバレーボールを 投 げつけた 生 徒 Fは 急 性 硬 膜 下 出 血 で 植 物 状 態 になった また 裁 判 の 審 理 の 過 程 で 教 諭 Eは 以 前 から 複 数 の 生 徒 に 対 し 体 罰 を 繰 り 返 していたことが 明 らかになった 教 諭 Eの 暴 行 と 生 徒 Fの 症 状 の 間 に 因 果 関 係 が 認 められるとして 市 に 対 し 損 害 賠 償 金 1 億 6,000 万 円 の 支 払 などの 和 解 勧 告 [ 平 成 13 年 9 月 28 日 神 戸 地 方 裁 判 所 ] 20

ウ 本 県 における 処 分 事 例 公 立 小 学 校 の 教 諭 Aは 授 業 中 宿 題 の 点 検 を 行 っていたところ 男 子 児 童 Bが 宿 題 を 出 さなかったことで 感 情 的 になり 児 童 Bの 頭 部 を 平 手 で1 回 叩 いた 口 頭 注 意 公 立 小 学 校 の 教 諭 Cは 給 食 指 導 中 男 子 児 童 Dの 指 導 に 反 する 発 言 を 聞 き 児 童 D の 頭 部 を1 回 殴 打 して 頭 部 外 傷 裂 傷 の 傷 害 を 負 わせた 減 給 1 月 ( 給 料 の 月 額 の10 分 の1) 公 立 中 学 校 運 動 部 顧 問 の 教 諭 Eは 練 習 試 合 中 女 子 生 徒 Fが 指 示 されたプレーを 出 来 なかったことに 腹 を 立 て 生 徒 Fの 臀 部 を 蹴 った 口 頭 注 意 県 立 高 校 運 動 部 顧 問 の 教 諭 Gは 部 活 動 指 導 中 に 部 員 の 男 子 生 徒 Hをグラウンドに 正 座 させ 指 示 通 りの 練 習 をしなかったことや 普 段 の 授 業 態 度 が 悪 いことなどを 説 諭 しながら 生 徒 Hの 頬 を 平 手 で 数 回 叩 き 全 治 7 日 間 の 怪 我 を 負 わせた 減 給 1 月 ( 給 料 の 月 額 の10 分 の1) 県 立 高 校 運 動 部 顧 問 の 教 諭 Iは 部 活 動 指 導 中 に 部 員 の 男 子 生 徒 13 名 に 対 し 頬 を 平 手 で 叩 く 頭 をサンダルで 叩 く 髪 の 毛 を 引 っ 張 る 足 を 蹴 る 等 の 体 罰 を 繰 り 返 し うち6 名 に 鼓 膜 損 傷 大 腿 四 頭 筋 部 分 断 裂 打 撲 外 傷 出 血 等 の 怪 我 を 負 わせた 停 職 6 月 県 立 高 校 の 教 諭 Jは 校 外 巡 回 指 導 中 男 子 生 徒 Kが 喫 煙 しているのを 発 見 し これ まですでに2 回 喫 煙 指 導 していたことから 感 情 的 になり 生 徒 Kの 頬 を 平 手 で1 回 叩 いた 文 書 訓 告 21

3 体 罰 の 根 絶 をめざして (1) 学 校 で 取 り 組 むべきこと 教 員 全 員 が 体 罰 根 絶 のための 視 点 を 持 ち いかなる 場 合 にも 体 罰 を 用 いてはならな いという 教 員 の 意 識 改 革 に 向 けた 取 組 を 行 う 愛 情 に 基 づく 体 罰 は 許 される 教 育 効 果 もある といった 体 罰 を 肯 定 する 考 え 方 を 一 人 でも 持 つ 者 がいないようにしなければなりません 体 罰 をした 教 員 や 体 罰 を 制 止 できない 教 員 に 対 する 児 童 生 徒 や 保 護 者 の 不 信 感 は たと え1 回 の 体 罰 であっても 学 校 全 体 への 不 信 感 につながり 大 きな 悪 影 響 を 及 ぼします そ の 後 正 常 な 教 育 活 動 を 回 復 するために 多 くの 時 間 と 労 力 を 費 やすことになります 体 罰 は 教 員 個 人 の 問 題 ではないことを 肝 に 銘 じる 必 要 があります 授 業 学 校 行 事 部 活 動 などすべての 教 育 活 動 の 基 本 に 一 人 一 人 を 大 切 にし 信 頼 関 係 に 立 つ 教 育 をすえ 児 童 生 徒 一 人 一 人 を 大 切 にした 教 育 を 推 進 する 一 人 一 人 を 大 切 にし 信 頼 関 係 に 立 つ 教 育 を 推 進 し 学 校 全 体 で 互 いに 体 罰 を 許 さ ない 雰 囲 気 や 教 育 観 を 作 り 上 げる 必 要 があります 教 員 が 児 童 生 徒 を 良 くしようとして 熱 心 に 指 導 したり より 良 い 教 育 を 目 指 して 努 力 したりしても 児 童 生 徒 が 反 発 したり 真 剣 に 取 り 組 まなかったりする 場 合 に 力 で 押 さえ つけようとして 体 罰 につながることがあります 教 員 の 指 導 力 向 上 に 向 けた 取 組 も 必 要 で す 体 罰 防 止 を 研 修 画 に 位 置 付 け 事 例 研 究 などを 通 して 研 修 を 深 めることにより 体 罰 を 容 認 しない 雰 囲 気 づくりを 進 める 教 員 の 中 に 力 による 指 導 は 生 徒 指 導 上 必 要 ではないのか などの 疑 問 がある 場 合 には 納 得 がいくまで 率 直 に 意 見 交 換 するなど 意 識 啓 発 を 図 る 研 修 会 を 持 つことが 必 要 です そして 体 罰 は 教 育 に 必 要 ない ということを 教 員 一 人 一 人 が 十 分 に 理 解 し 互 いに 抑 止 できる 職 場 にしなければなりません 全 教 員 の 協 力 と 連 携 のもとに 機 能 的 な 生 徒 指 導 体 制 を 確 立 し 心 の 通 いあう 温 か い 学 校 づくりに 努 める 機 能 的 な 生 徒 指 導 体 制 を 確 立 し 共 通 理 解 のもと 全 校 的 な 協 力 体 制 の 中 で 生 徒 指 導 を 行 う 必 要 があります 係 となっている 一 部 の 教 員 に 任 せっきりにするなど 生 徒 指 導 体 制 が 不 十 分 な 場 合 に 体 罰 を 誘 発 してしまうこともあります また 教 員 が 孤 立 して 問 題 を 一 人 で 抱 え 込 んだり すぐに 教 育 効 果 を 期 待 したりするこ 22

とがないよう 常 に 協 力 してチームで 教 育 活 動 を 行 うことが 大 切 です 複 数 の 教 員 で 対 応 する 児 童 生 徒 が 話 す 機 会 を 十 分 に 与 える 等 の 基 本 的 な 配 慮 事 項 について 全 教 員 が 共 通 理 解 して 児 童 生 徒 の 指 導 に 当 たらなければなりません また 児 童 生 徒 が 気 軽 に 何 でも 相 談 できる 教 育 相 談 体 制 の 整 備 充 実 も 必 要 です 家 庭 地 域 との 連 携 を 強 め 学 校 の 教 育 方 針 や 教 育 活 動 を 明 確 にし 保 護 者 や 地 域 住 民 等 の 協 力 を 得 ながら 学 校 運 営 を 進 める 体 罰 によらない 指 導 信 頼 関 係 に 立 つ 教 育 を 確 立 するためには 保 護 者 や 地 域 住 民 関 係 機 関 等 との 情 報 交 換 や 意 見 交 換 の 場 を 多 く 設 けて 連 携 を 強 め 学 校 運 営 に 理 解 と 協 力 を 求 めるなど 開 かれた 学 校 づくりを 進 めることが 必 要 です (2) 教 員 一 人 一 人 が 取 り 組 むべきこと 児 童 生 徒 それぞれの 個 性 や 長 所 を 生 かす 積 極 的 な 生 徒 指 導 を 推 進 する 教 員 一 人 一 人 が 体 罰 によらず 児 童 生 徒 を 適 切 に 指 導 できるようになるため 教 科 や 部 活 動 生 徒 指 導 等 の 指 導 力 を 養 い 信 頼 される 教 員 に 成 長 していかなければなりません 生 徒 指 導 のねらいは 非 行 防 止 にとどまるものではなく 人 格 のよりよい 発 達 を 目 指 すと ころにあります そのため 教 員 は 児 童 生 徒 のそれぞれの 個 性 や 長 所 に 目 を 向 け 児 童 生 徒 が 自 己 の 受 容 と 理 解 そして 自 己 実 現 に 向 けて 努 力 できるよう 指 導 援 助 を 行 うこと が 大 切 です 教 育 相 談 的 なかかわり 方 を 大 切 にし 児 童 生 徒 の 不 安 や 悩 み 喜 びなど 心 の 内 面 を 共 感 的 に 受 け 止 める 教 員 と 児 童 生 徒 児 童 生 徒 相 互 の 温 かい 人 間 関 係 をつくることが 大 切 です そのため 具 体 的 な 事 例 に 基 づいた 校 内 研 修 を 組 織 的 画 的 に 行 い 一 人 一 人 の 教 員 が 教 育 相 談 の 理 論 や 手 法 の 理 解 と 習 得 に 努 め カウンセリングマインドを 身 に 付 けることが 求 められて います 日 頃 の 教 育 活 動 に 誤 りや 不 十 分 なところはないか 自 己 チェック をとおして 指 導 の 改 善 を 図 る 体 罰 は 児 童 生 徒 が 指 導 に 従 わないときや 思 ったように 指 導 ができないときなどに 感 情 的 な 形 で 行 われる 傾 向 があります また 冷 静 さを 欠 いた 懲 戒 は 体 罰 に 至 らなくても 児 童 生 徒 の 人 権 を 侵 害 する 可 能 性 があります 日 頃 の 教 育 活 動 について 自 己 点 検 を 行 い 体 罰 はもちろんのこと 暴 言 や 恫 喝 などの 不 適 切 な 指 導 を 行 わないよう 常 に 指 導 の 改 善 を 図 ることが 必 要 です 23

指 導 の 成 果 を 性 急 に 求 めない 体 罰 の 原 因 の 多 くは 指 導 の 成 果 を 性 急 に 求 めるあまり 教 員 が 感 情 をそのまま 言 動 に 表 してしまうことにあります 授 業 や 部 活 動 指 導 生 徒 指 導 を 行 っているとき 教 員 は 児 童 生 徒 との 間 で 強 い 緊 張 関 係 の 状 態 に 置 かれることがあります しかし 発 達 途 上 にある 児 童 生 徒 を 指 導 する 立 場 にあ る 教 員 は 児 童 生 徒 の 成 長 をじっくりと 見 守 っていくことが 大 切 です 指 導 の 成 果 を 性 急 に 求 めることなく カウンセリングマインドをもって 児 童 生 徒 の 話 をじっくりと 聴 き 時 間 をかけて 根 気 よく 指 導 することが 求 められます 生 徒 指 導 の 力 量 を 高 める 児 童 生 徒 の 中 には 家 庭 において 発 達 段 階 に 応 じたしつけが 十 分 になされておらず 規 範 意 識 も 十 分 に 身 に 付 いていない 場 合 もあります そのため 服 装 や 生 活 態 度 について 注 意 を 与 えても 反 抗 的 になるばかりか 教 員 の 態 度 をなじり 自 分 の 非 を 認 めようとしな い 児 童 生 徒 もいます このような 中 で 生 徒 指 導 は 従 来 よりも 困 難 になりつつあり 教 員 は 生 徒 指 導 の 指 導 力 を 一 層 向 上 させ 児 童 生 徒 一 人 一 人 に 応 じた 指 導 を 行 っていく 必 要 が あります 基 本 的 生 活 習 慣 を 身 に 付 けさせるなどの 指 導 も 必 要 ですが 一 方 で 児 童 生 徒 が 心 から 納 得 して 学 校 生 活 を 送 ることができるような 内 面 からの 指 導 が 必 要 となっています 道 徳 教 育 進 路 指 導 を 含 めた 人 間 としての 在 り 方 生 き 方 に 関 する 教 育 教 育 相 談 的 指 導 体 験 学 習 などを 児 童 生 徒 の 実 態 に 応 じて 選 択 して 効 果 的 な 指 導 方 法 を 工 夫 していかなければ なりません また 結 果 や 現 象 面 だけを 見 るのではなく 児 童 生 徒 の 家 庭 環 境 や 成 育 歴 等 を 把 握 し その 行 動 の 要 因 や 背 景 を 意 識 して 粘 り 強 く 指 導 する 必 要 があります そのために 学 級 担 任 だけでなく 教 科 担 当 や 養 護 教 諭 スクールカウンセラーなど 多 くの 教 職 員 が 連 携 し て 多 面 的 に 児 童 生 徒 理 解 を 図 ることが 大 切 です 障 害 のある 児 童 生 徒 に 対 しては 特 に 個 々の 特 性 や 行 動 の 背 景 を 十 分 に 踏 まえ 指 導 方 法 を 工 夫 する 障 害 があるために 言 葉 による 指 示 が 難 しい 児 童 生 徒 への 指 導 場 面 では 身 体 を 介 して 指 示 をしたり 危 険 な 行 動 を 制 止 したりすることがあります そうした 場 面 でも 個 々の 児 童 生 徒 の 特 性 や 行 動 の 背 景 を 十 分 に 理 解 した 適 切 な 対 応 が できるよう 教 員 一 人 一 人 が 専 門 的 な 知 識 と 技 術 を 身 に 付 けることが 求 められます また 日 常 的 に 保 護 者 との 連 携 を 密 にし 指 導 内 容 指 導 方 法 について 十 分 な 共 通 理 解 を 図 る 必 要 があります 24

(3) 運 動 部 活 動 の 指 導 の 在 り 方 運 動 部 活 動 は 学 校 において 画 する 教 育 活 動 であり 生 徒 一 人 一 人 にスポーツの 持 つ 楽 しさを 味 わわせたり 仲 間 と 一 緒 に 活 動 したりすることで 健 全 な 身 体 の 育 成 と 豊 か な 人 間 性 や 社 会 性 の 育 成 に 大 きく 寄 与 しています 今 運 動 部 活 動 における 適 切 な 指 導 が 求 められています 何 のために 運 動 部 活 動 を 行 う のか 原 点 に 立 ち 返 り 学 校 全 体 で 指 導 体 制 を 見 つめ 直 す 必 要 があります 運 動 部 活 動 の 意 義 (1) 心 身 をリフレッシュさせるだけでなく 仲 間 とともに 自 主 的 自 発 的 に 行 う 活 動 が 多 くの 生 徒 に 喜 びと 生 きがいをもたらし 学 校 生 活 を 豊 かで 充 実 したものに する (2)スポーツの 専 門 的 技 能 や 知 識 を 身 に 付 け 生 涯 にわたってスポーツに 親 しむ 能 力 や 態 度 を 育 てるとともに 体 力 の 向 上 と 健 康 の 増 進 を 図 る (3) 学 級 や 学 年 を 離 れた 集 団 の 中 で 互 いに 認 め 合 い 励 まし 合 い 高 め 合 いなが ら 自 己 の 存 在 や 責 任 を 見 つめ 豊 かな 人 間 性 や 社 会 性 を 育 成 する (4) 共 通 の 目 標 に 向 かって 努 力 する 過 程 を 通 して 顧 問 と 生 徒 生 徒 同 士 の 信 頼 関 係 が 深 まり 教 員 にとっても 生 徒 理 解 をより 深 めるための 重 要 な 機 会 である (5) 運 動 部 活 動 の 充 実 により 生 徒 一 人 一 人 の 教 育 活 動 全 般 への 意 欲 が 高 まり 学 校 全 体 が 活 性 化 する (6) 競 技 力 の 向 上 や スポーツの 普 及 発 展 に 重 要 な 役 割 を 果 たす 埼 玉 県 教 育 委 員 会 運 動 部 活 動 指 導 資 料 ( 平 成 22 年 3 月 ) より 運 動 部 活 動 での 指 導 の 充 実 のために 必 要 と 考 えられる7つの 事 項 1 顧 問 の 教 員 だけに 運 営 指 導 を 任 せるのではなく 学 校 組 織 全 体 で 運 動 部 活 動 の 目 標 指 導 の 在 り 方 を 考 えましょう 2 各 学 校 運 動 部 活 動 ごとに 適 切 な 指 導 体 制 を 整 えましょう 3 活 動 における 指 導 の 目 標 や 内 容 を 明 確 にした 画 を 策 定 しましょう 4 適 切 な 指 導 方 法 コミュニケーションの 充 実 等 により 生 徒 の 意 欲 や 自 主 的 自 発 的 な 活 動 を 促 しましょう 5 肉 体 的 精 神 的 な 負 荷 や 厳 しい 指 導 と 体 罰 等 の 許 されない 指 導 とをしっかりと 区 別 しましょう 6 最 新 の 研 究 成 果 等 を 踏 まえた 科 学 的 な 指 導 内 容 方 法 を 積 極 的 に 取 り 入 れましょう 7 多 様 な 面 で 指 導 力 を 発 揮 できるよう 継 続 的 に 資 質 能 力 の 向 上 を 図 りましょう 運 動 部 活 動 の 在 り 方 に 関 する 調 査 研 究 協 力 者 会 議 運 動 部 活 動 での 指 導 のガイドライン( 平 成 25 年 5 月 ) より 25

(4) 体 罰 防 止 のための 自 己 チェックリスト 思 い 当 たる 項 目 にチェックをして 改 善 に 努 めましょう 1 教 員 として 思 い 上 がりはないか 児 童 生 徒 が 教 員 の 指 導 に 従 うのは 当 然 だと 思 う 児 童 生 徒 が 指 導 に 従 わないのは 自 分 の 指 導 力 と 無 関 係 だと 思 う 部 活 動 の 部 員 が 顧 問 の 命 令 に 従 うのは 当 然 だと 思 う 自 分 の 指 導 が 一 番 よい 指 導 であると 思 う 信 頼 関 係 があれば 多 少 手 荒 なことをしても 大 丈 夫 だと 思 う 2 教 員 として 一 人 よがりの 言 動 はないか 社 会 通 念 とかけ 離 れた 指 導 でも 自 分 の 考 えだけで 行 うことがある 児 童 生 徒 の 気 持 ちを 考 えずに 自 分 が 思 った 言 葉 を 口 にする 児 童 生 徒 の 考 えを 聞 く 機 会 を 持 つ 努 力 をしていない 児 童 生 徒 の 指 導 に 関 して 保 護 者 と 連 携 を 図 る 必 要 性 は 感 じない 自 説 に 固 執 し 同 僚 等 の 意 見 をすぐに 否 定 する これくらいはよいか と 考 え 学 校 の 共 通 した 指 導 基 準 を 守 らないことがある 3 教 員 として 言 行 不 一 致 はないか 児 童 生 徒 に 要 求 したことを 自 らが 守 れないことがある 児 童 生 徒 に 時 間 を 守 れ と 言 いながら 自 分 は 授 業 に 遅 れたりすることがある 児 童 生 徒 は 教 員 の 言 行 が 一 致 しているか 常 に 見 ていることを 自 覚 していない 4 児 童 生 徒 の 心 情 や 立 場 への 思 いやりを 欠 く 一 方 的 画 一 的 な 指 導 を 行 っていないか 児 童 生 徒 の 性 格 や 個 性 を 考 えずに 指 導 を 行 っている 児 童 生 徒 は 一 人 一 人 発 達 段 階 に 差 があることを 考 慮 しないで 指 導 している 児 童 生 徒 の 創 意 を 指 導 に 取 り 入 れる 努 力 をしていない きまりや 規 則 だけをよりどころとする 指 導 になっている 5 指 導 の 成 果 を 性 急 に 求 める 傾 向 はないか 児 童 生 徒 を 指 導 している 最 中 に 思 わずカッとなることがある 児 童 生 徒 は 指 導 されたことを すぐに 実 行 すべきだと 考 えている 自 分 の 予 想 どおりに 児 童 生 徒 が 動 かないとき 待 つことができないでイライラする 学 校 や 学 級 のためには 力 づくでも 児 童 生 徒 を 従 わせないといけないと 思 うことがある 6 腕 力 や 体 力 など 本 来 の 指 導 力 以 外 のものに 頼 る 指 導 に 陥 っていないか 普 段 から 教 員 の 権 威 に 頼 った 指 導 をしている 指 導 力 不 足 を 威 圧 や 腕 力 で 補 おうとしている 自 分 の 学 生 時 代 に 受 けた 体 罰 による 指 導 を 肯 定 している 7 部 活 動 等 の 指 導 に 勝 利 至 上 主 義 へのあせりはないか 大 会 などで 勝 つことだけが 目 的 となっている 部 活 動 顧 問 の 指 導 力 は 大 会 などの 成 績 で 分 かると 考 えている 運 動 技 術 が 向 上 しないのは 生 徒 の 責 任 だと 思 う レギュラーの 生 徒 ばかりを 指 導 する 傾 向 がある 生 徒 の 都 合 や 予 定 を 無 視 して 急 に 練 習 スケジュールを 変 更 することがある 8 体 罰 に 対 する 認 識 が 不 足 していたり 意 識 が 低 かったりすることはないか 体 罰 は 必 要 悪 と 考 えることがある 自 分 は 体 罰 をすることがないから 関 係 ないと 思 うことがある 体 罰 が 行 われているのを 見 過 ごすことがある 生 徒 指 導 には 体 罰 はつきものだと 考 えることがある 体 罰 を 行 う 同 僚 を 指 導 力 のある 教 員 と 思 うことがある 校 内 暴 力 が 増 えれば 体 罰 も 増 えるのは 当 然 だと 考 えている 生 徒 指 導 の 係 だから ある 程 度 の 体 罰 は 許 されると 考 えている 生 徒 指 導 は 生 徒 指 導 の 係 に 任 せておけばよいと 考 えている 26