CMS(NetCommons)を 活 用 した 学 校 ホームページ 作 成 運 用 についての 支 援 方 法 企 画 研 究 部 研 究 員 西 山 慶 美 要 約 信 頼 される 開 かれた 学 校 づくりを 実 現 するための 学 校 ホームページによる 情 報 発 信 と 校 務 の 情 報 化 を 推 進 するために 平 成 25 年 度 に 研 修 を 実 施 した その 中 で 学 校 ホームペー ジ 担 当 者 は Content Management System の1つである NetCommons による 学 校 ホームペー ジを 運 用 しながら 更 新 することに 困 難 さを 感 じている 現 状 が 分 かった 本 研 究 では NetCommons で 提 供 されているプライベートスペース 及 びグループスペース の 活 用 も 含 めた 複 数 の 教 員 による 学 校 ホームページ 作 成 更 新 の 支 援 方 法 について 提 案 する また 今 後 校 務 の 情 報 化 をより 推 進 するための 支 援 方 法 について 考 察 する キーワード:NetCommons 校 務 の 情 報 化 学 校 ホームページ 教 員 の ICT 活 用 指 導 力 1 現 状 Content Management System( 以 下 CMSとする )を 利 用 すると ブラウザを 介 して インターネット 上 で 容 易 にホームページを 作 成 できる NetCommons は 国 立 情 報 学 研 究 所 が 推 進 しているCMSである 京 都 府 教 育 情 報 ネットワークでは 平 成 25 年 度 に 36 の 学 校 から NetCommons 利 用 申 請 があり 平 成 25 年 度 末 時 点 で 学 校 を 含 む 269 の 京 都 府 内 教 育 機 関 がこれを 利 用 している 平 成 25 年 度 の 操 作 説 明 会 において 学 校 ホームページの 運 用 に 合 わせた NetCommons の 操 作 について 説 明 したことにより 参 加 者 が 自 校 の 学 校 組 織 に 合 わせた 運 用 方 法 を 考 える ことができた また 説 明 会 の 資 料 を 使 って 校 内 研 修 を 行 った 事 例 もあり 学 校 ホームペ ージの 運 用 に 対 しての 支 援 を 担 うことができた しかし 平 成 25 年 度 の 京 都 府 における 校 務 の 情 報 化 の 現 状 を 見 てみると その 支 援 が 教 員 の 意 識 向 上 にまで 至 っていない 文 部 科 学 省 実 施 の 学 校 における 教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に 関 する 調 査 の 教 員 のICT 活 用 指 導 力 調 査 によると E 校 務 にICTを 活 用 する 能 力 において 4 わりにできる 3 ややできる と 答 えた 割 合 は 平 成 25 年 度 で 68.9%( 全 国 平 均 が 77.0%)となっており 依 然 京 都 府 として 校 務 の 情 報 化 は 進 んで いないのが 現 状 である
2 学 校 への 支 援 方 法 CMS(NetCommons)の 操 作 説 明 会 2-1 操 作 説 明 会 平 成 26 年 度 も 学 校 ホームページ 作 成 運 用 における 支 援 となるよう 操 作 説 明 会 を 実 施 した 基 礎 編 としてCMS(NetCommons)の 概 要 と 日 誌 モジュールの 編 集 について 説 明 を 行 った 日 誌 モジュールとは NetCommons で 提 供 されている 機 能 であり Weblog (ブログ)のように 記 事 を 掲 載 することができる また 応 用 編 として 会 員 管 理 について 説 明 を 行 った 会 員 管 理 を 行 うことによって 会 員 毎 に 学 校 ホームページを 編 集 できる 部 分 を 制 限 しながら 運 用 することができる それぞれで 延 べ 約 60 名 の 参 加 があった 2-2 実 施 後 のアンケート 結 果 実 施 後 のアンケートには 56 名 が 回 答 した 26 名 が 既 にCMS(NetCommons)を 使 用 して おり 27 名 が 未 使 用 であった (グラフ1)また 参 加 者 のうち 24 名 がネットワーク 担 当 者 と 学 校 ホームページ 担 当 者 を 兼 ねていた さらに CMS(NetCommons)を 使 用 して いる 参 加 者 のうち 5 名 の 学 校 では 既 に 複 数 の ID を 使 用 して 複 数 の 教 員 が 学 校 ホームペ ージに 関 わっていることが 分 かった [グラフ1 説 明 会 参 加 者 のCMS(NetCommons) 使 用 状 況 ] 5% 48% 47% CMS 使 用 CMS 未 使 用 不 明 アンケートの 自 由 記 述 欄 には 次 のような 意 見 があった 権 限 や 運 用 について 知 識 を 整 理 することができた 会 員 管 理 をすれば ホームページ 更 新 に 係 る 負 担 が 分 散 できる 点 は 魅 力 的 である 更 新 回 数 を 増 やすことができると 思 う 現 在 のホームページからの 移 行 の 時 一 から 作 り 直 さなければならなく 負 担 がある 実 際 に 自 校 のホームページで 編 集 をするには 二 の 足 を 踏 んでしまう
3 支 援 の 中 から 見 えてきた 課 題 参 加 者 の 意 見 から 既 に HTML 形 式 でホームページを 作 成 している 学 校 は すべてCMS ( NetCommons ) に 移 行 す る に は 負 担 が 大 き い と 感 じ て い る こ と が 分 か る CMS (NetCommons)の 即 時 更 新 が 容 易 になる 日 誌 モジュール 等 が 活 用 できるように 現 在 の 学 校 ホームページに 部 分 的 に 導 入 する 方 法 も 提 案 していくことが 必 要 である また CMS(NetCommons)を 活 用 している 学 校 にとっては 学 校 ホームページを 運 用 しながらの 更 新 に 困 難 さを 感 じている 現 状 が 分 かった 学 校 ホームページに 記 事 を 掲 載 す るためには 必 ず 管 理 職 の 承 認 が 必 要 となるため 日 誌 モジュールのように 承 認 機 能 が 必 要 となる そこで CMS(NetCommons)のプライベートスペースやグループスペース を 活 用 した 学 校 ホームページの 作 成 運 用 方 法 について 説 明 会 を 実 施 することとした 4 プライベートスペースやグループスペースを 活 用 したCMS(NetCommons)の 説 明 会 4-1 説 明 会 の 内 容 基 礎 編 応 用 編 に 加 えて 今 回 は 新 たに 発 展 編 として パブリックスペースやグループ スペースを 活 用 し 学 校 ホームページを 公 開 しながら 編 集 を 行 う 方 法 について 説 明 を 行 った [ 図 1]ステップ1の 内 容 ステップ1として プライベートスペース の 使 い 方 とモジュールの 移 動 について 説 明 し た( 図 1) プライベートスペースとは 作 成 したページがインターネット 上 に 公 開 されず 自 分 で 試 作 するために 使 えるスペースである お 知 らせ モジュールをプライベートスペ ースにて 作 成 し モジュールごとにパブリッ クスペース(インターネット 上 に 公 開 される ページ)に 移 動 させるという 使 用 頻 度 の 高 い 使 い 方 を 説 明 したことで 参 加 者 の 活 用 しようと いう 意 欲 関 心 が 高 かった [ 図 2]ステップ2の 内 容 ステップ2として グループスペースの 使 い 方 について 説 明 した( 図 2) グループスペー スとは 特 定 のユーザーのみにページが 公 開 さ れるスペースである 会 員 の 権 限 設 定 を 工 夫 す ることで 複 数 の 教 員 がグループスペース 内 で
モジュールの 編 集 を 行 い 特 定 の 教 員 のみがパブリックスペースにモジュールの 移 動 が 行 えるようになることを 説 明 した その 中 で 電 子 決 裁 のように インターネット 上 で 管 理 職 が 記 事 の 内 容 を 確 認 し そのままモジュールを 移 動 させることで 公 開 することができ るという 運 用 方 法 についても 提 案 した 4-2 実 施 後 のアンケート 結 果 31 名 の 参 加 があり そのうち 18 名 がCMS(NetCommons)を 使 用 しており 11 名 が 未 使 用 であった (グラフ2) 今 回 は 新 しく グループスペースの 活 用 方 法 について 扱 った ため 既 にCMS(NetCommons)を 活 用 している 学 校 からの 関 心 が 高 かったといえる また 参 加 者 のうち 13 名 がネットワーク 担 当 者 と 学 校 ホームページ 担 当 者 を 兼 任 してお り 7 名 が 学 校 ホームページ 担 当 者 のみ どちらでもないのが 10 名 であった これまでの 説 明 会 に 比 べ これから 学 校 ホームページの 作 成 運 用 に 携 わっていく 教 員 の 参 加 が 多 か った さらに CMS(NetCommons)を 使 用 している 15 名 のうち 5 名 の 学 校 で 既 に 複 数 の ID を 使 用 していた [グラフ2 説 明 会 参 加 者 のCMS(NetCommons) 使 用 状 況 ] 6% 36% 58% CMS 使 用 CMS 未 使 用 不 明 アンケートの 自 由 記 述 欄 には 次 のような 意 見 があった グループスペースとプライベートスペースの 使 い 分 けが 参 考 になった 日 誌 以 外 で 承 認 するような 方 法 に 近 い 更 新 方 法 があればと 思 っていたので 参 考 に なった 管 理 職 への 負 担 が 増 えると 思 うので 記 事 のやり 取 りは 今 までと 変 えられないと 思 う なお 平 成 26 年 度 は 新 たに 18 学 校 からCMS(NetCommons) 利 用 申 請 があり 京 都 府 では 計 287 の 教 育 機 関 にてCMS(NetCommons)が 活 用 されている 学 校 ホームページに 記 事 を 公 開 するときは 事 前 に 必 ず 管 理 職 の 決 裁 が 必 要 なため 承 認 機 能 のような 仕 組 みが 不 可 欠 となる プライベートスペースやグループスペースを 活
用 すれば 承 認 機 能 のないモジュールでも 公 開 前 に 記 事 の 内 容 を 確 認 することが 可 能 で あることが 示 せた ただし 意 見 にもあるように 管 理 職 への 負 担 増 加 と 捉 えられないよう 全 教 職 員 が 学 校 ホームページの 作 成 運 用 に 関 わっていく 体 制 づくりを 整 えることが 必 要 である 5 まとめ 平 成 25 年 度 より 計 4 回 学 校 ホームページの 運 用 方 法 を 中 心 にCMS(NetCommons) 説 明 会 を 実 施 した 単 なる 操 作 方 法 を 説 明 するのではなく より 多 くの 教 員 が 学 校 ホームペ ージの 作 成 運 用 に 携 われる 仕 組 みを 中 心 に 説 明 したことにより 参 加 者 が 自 校 ですぐに 活 用 できる 説 明 会 の 内 容 となったと 考 える 学 校 の 状 況 に 合 わせて 基 礎 編 から 発 展 編 ま で 段 階 的 に 導 入 していくことが 可 能 な 流 れを 考 察 することができた その 結 果 から プ ライベートスペース 及 びグループスペースの 活 用 も 含 めた 複 数 の 教 員 による 学 校 ホーム ページ 作 成 更 新 を 支 援 するための 説 明 内 容 について 次 のように 提 案 する [ 基 礎 編 ] CMS(NetCommons)の 概 要 カテゴリ ページの 作 成 ページレイアウト プライベートスペース 活 用 方 法 [ 応 用 編 ] 会 員 管 理 日 誌 モジュールへの 記 事 投 稿 と 承 認 機 能 [ 発 展 編 ] グループスペース 活 用 方 法 6 考 察 ここまで 学 校 ホームページ 作 成 における 支 援 とその 運 用 方 法 への 提 案 を 行 ってきた 今 後 は 校 務 の 情 報 化 をより 推 進 するための 支 援 方 法 として 学 校 ホームページ 運 用 にお ける 支 援 を 行 っていきたい 具 体 的 には 次 の2つの 支 援 を 考 えている 1つは 学 校 ホームページの 継 続 した 更 新 のための 支 援 である 学 校 ホームページを 継 続 して 閲 覧 してもらえることが 継 続 した 更 新 を 行 うためのモチベーションにつながると 考 える 現 在 CMS(NetCommons)を 活 用 して 学 校 ホームページの 更 新 に 力 を 入 れて いる 学 校 はあるが それを 京 都 府 として 把 握 できていない そこで 京 都 府 公 立 学 校 ホームページ 更 新 情 報 サイト 京 みて という 学 校 ホームペ ージの 更 新 状 況 を 一 元 化 するサイトを 作 成 し 運 営 していきたい 各 学 校 が 自 校 のホーム ページ 更 新 状 況 をこのサイトへ 掲 載 することにより 他 校 の 状 況 を 知 ったり 広 く 府 外 へ の 広 報 につなげたりすることが 可 能 であると 考 える また 保 護 者 や 地 域 の 人 といった 閲
覧 する 人 にとっても 更 新 された 記 事 を 探 しやすくなると 考 える これにより 府 内 全 体 の 学 校 ホームページ 更 新 を 促 進 していきたい もう1つは 校 務 の 情 報 化 に 関 する 能 力 向 上 へ 向 けた 支 援 である そのためには 京 都 府 教 員 の 現 状 を 調 査 する 必 要 がある そこで 教 員 のICT 活 用 指 導 力 調 査 の 項 目 に 対 して 京 都 府 としての 回 答 基 準 を 作 成 する 例 えば ICT 活 用 指 導 力 向 上 研 修 の 自 己 評 価 シートでは E-2 教 員 間 保 護 者 地 域 の 連 携 協 力 を 密 にするため インターネットや 校 内 ネットワークなどを 活 用 して 必 要 な 情 報 の 交 換 共 有 化 を 図 る について 学 校 における 情 報 発 信 の 道 具 として 学 校 ホームページによる 情 報 公 開 の 役 割 について 理 解 している 等 の13 項 目 が 示 されている これらの 項 目 のように ~ができる ~を 理 解 している という 具 体 的 なチェック 項 目 を 設 けることで より 具 体 的 に 自 己 評 価 が 可 能 となるだろう これを 踏 まえて 教 員 のICT 活 用 指 導 力 調 査 の 項 目 について 京 都 府 の 教 員 として どのようなICT 活 用 指 導 力 を 身 に 付 けていて 欲 しいのか 具 体 的 な 回 答 基 準 を 作 成 する 自 己 評 価 する 教 員 の 負 担 も 考 え 各 項 目 に 対 し それぞれ 厳 選 した3 点 のチェック 項 目 を 作 成 した 例 えば E-2 については 次 の3 点 をチェック 項 目 とした 校 内 のファイルサーバを 使 って データの 保 存 ができる 電 子 メールを 使 って 連 絡 を 取 ることができる コンピュータを 使 って 学 校 ホームページの 記 事 を 作 成 できる この 調 査 により より 具 体 的 に 京 都 府 教 員 への 支 援 すべき 点 が 見 えてくると 考 える 平 成 26 年 度 には 高 等 学 校 教 員 向 けの 回 答 基 準 を 示 し 各 高 等 学 校 にて 実 施 した 今 後 は この 結 果 を 分 析 し 校 務 の 情 報 化 そして 教 育 の 情 報 化 の 支 援 へとつなげていきたい 文 献 西 山 慶 美 CMS(NetCommons)を 活 用 した 学 校 ホームページ 作 成 による 校 務 支 援 ( 平 成 25 年 度 研 究 紀 要 ) 京 都 府 総 合 教 育 センター 2014 新 井 紀 子 平 塚 知 真 子 松 本 太 佳 司 ネットコモンズ 公 式 マニュアル 私 にもできちゃ った!NetCommons 実 例 でわかるサイト 構 築 株 式 会 社 近 江 科 学 社 2011 平 成 25 年 度 文 部 科 学 省 実 施 学 校 における 教 育 の 情 報 化 の 実 態 等 に 関 する 調 査 平 成 19 年 度 文 部 科 学 省 委 託 事 業 先 導 的 教 育 情 報 化 推 進 プログラム 教 員 のICT 活 用 指 導 力 向 上 のための 形 成 的 な 評 価 方 法 の 開 発 と 実 用 化 事 業 報 告 書 教 育 情 報 化 推 進 協 議 会 文 部 科 学 省 委 託 事 業 先 進 的 教 育 情 報 化 推 進 プログラム ICT 活 用 指 導 力 向 上 研 修 http://ride0.nara-edu.ac.jp/docroot_ict/index.html