FINANCIAL SERVICES & TRANSACTIONS GROUP NEWSLETTER 2016 年 3 月 仮 想 通 貨 に 関 する 国 会 提 出 法 案 について 弁 護 士 中 崎 尚 / 同 河 合 健 本 年 3 月 4 日 仮 想 通 貨 に 関 する 初 めての 法 律 案 が 国 会 に 提 出 された 同 法 案 中 改 正 資 金 決 済 法 ( 案 )では 仮 想 通 貨 を 定 義 するとともに 業 として 行 う 仮 想 通 貨 の 売 買 交 換 及 びその 媒 介 等 を 仮 想 通 貨 交 換 業 と 位 置 付 け 仮 想 通 貨 交 換 業 は 業 登 録 がなければ 行 うことができないも のとされている また 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 についての 規 制 同 業 者 に 対 する 監 督 等 につい ても 定 められている 一 方 同 法 案 中 の 改 正 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 ( 案 )では 仮 想 通 貨 交 換 業 者 を 同 法 における 特 定 事 業 者 に 指 定 することで 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 の 一 定 の 義 務 を 負 わ せることとしている 以 下 この 法 律 案 のポイントを 解 説 する I. 法 律 案 提 出 の 経 緯 我 が 国 においては これまでビットコイン 等 の 仮 想 通 貨 の 法 的 位 置 付 けは 必 ずしも 明 らかではなく またこれを 規 制 する 法 律 も 存 在 していなかった しかし 仮 想 通 貨 がマネーロンダリングやテロに 利 用 されるリスクが 国 際 的 に 認 識 さ れる 中 2015 年 6 月 の G7 エルマウ サミットの 首 脳 宣 言 を 踏 まえ FATF( 金 融 活 動 作 業 部 会 )において 各 国 は 仮 想 通 貨 と 法 定 通 貨 を 交 換 する 交 換 所 に 対 し 登 録 免 許 制 を 課 すとともに 顧 客 の 本 人 確 認 や 疑 わしい 取 引 の 届 出 記 録 保 存 の 義 務 等 のマネロン テロ 資 金 供 与 規 制 を 課 すべきである こと 等 を 内 容 とするガイダンスが 公 表 さ れた また 国 内 においては 一 部 のビットコイン 交 換 所 の 破 綻 に 伴 い 顧 客 の 資 金 やビットコインが 返 還 されない 事 態 が 生 じ 利 用 者 保 護 の 必 要 性 が 高 まっていた これら 国 内 外 の 状 況 を 踏 まえ 昨 年 夏 以 降 金 融 審 議 会 決 済 等 の 高 度 化 に 関 するワーキング グループ におい て 仮 想 通 貨 に 係 る 国 内 法 制 度 整 備 について 検 討 が 進 められた そして 資 金 決 済 に 関 する 法 律 ( 資 金 決 済 法 ) 及 び 犯 罪 による 収 益 の 移 転 防 止 に 関 する 法 律 ( 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 ) 等 を 改 正 して 仮 想 通 貨 に 関 する 規 制 を 行 うこと 等 を 内 容 とする 法 律 案 ( 情 報 通 信 技 術 の 進 展 等 の 環 境 変 化 に 対 応 するための 銀 行 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 案 )が 本 年 3 月 4 日 に 国 会 に 提 出 された なお 一 部 メディアなどで 報 じられていたような 仮 想 通 貨 を 貨 幣 として 積 極 的 に 位 置 づけるものではない 点 は 注 意 が 必 要 である
2 II. 法 律 案 の 骨 子 仮 想 通 貨 に 関 する 法 律 案 の 骨 子 は 以 下 の 通 りである ( 資 金 決 済 法 関 連 ) 1 仮 想 通 貨 の 定 義 2 仮 想 通 貨 交 換 業 に 係 る 登 録 制 の 導 入 3 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 に 関 する 規 制 4 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 する 監 督 5 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 設 立 する 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 に 関 する 規 定 6 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 する 罰 則 ( 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 関 連 ) 7 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 特 定 事 業 者 への 指 定 8 利 用 者 仮 想 通 貨 交 換 業 者 等 に 対 する 罰 則 なお 上 述 の 通 り 今 般 の 法 律 案 は マネロン テロ 資 金 供 与 対 策 と 利 用 者 保 護 を 主 目 的 として 主 に 仮 想 通 貨 交 換 業 について 一 定 の 規 制 を 行 うものであって 仮 想 通 貨 に 関 する 法 制 度 を 包 括 的 に 整 備 するものではない 例 えば 仮 想 通 貨 の 売 買 における 消 費 税 の 取 り 扱 い 等 については 本 法 律 案 の 枠 外 である III. 仮 想 通 貨 に 関 する 資 金 決 済 法 改 正 案 ( 改 正 資 金 決 済 法 ( 案 ) )の 内 容 1. 仮 想 通 貨 の 定 義 改 正 資 金 決 済 法 ( 案 )2 条 5 項 において 仮 想 通 貨 は 以 下 の 通 り 定 義 されている 1 物 品 を 購 入 し 若 しくは 借 り 受 け 又 は 役 務 の 提 供 を 受 ける 場 合 に これらの 代 価 の 弁 済 のために 不 特 定 の 者 に 対 して 使 用 することができ かつ 不 特 定 の 者 を 相 手 方 として 購 入 及 び 売 却 を 行 うことができる 財 産 的 価 値 ( 電 子 機 器 その 他 の 物 に 電 子 的 方 法 により 記 録 されているものに 限 り 本 邦 通 貨 及 び 外 国 通 貨 並 びに 通 貨 建 資 産 を 除 く 次 号 において 同 じ )であって 電 子 情 報 処 理 組 織 を 用 いて 移 転 することがで きるもの 2 不 特 定 の 者 を 相 手 方 として 前 号 に 掲 げるものと 相 互 に 交 換 を 行 うことができる 財 産 的 価 値 であって 電 子 情 報 処 理 組 織 を 用 いて 移 転 することができるもの つまり 資 金 決 済 法 上 仮 想 通 貨 とは 1 通 貨 又 は 通 貨 建 資 産 1 には 該 当 しない 電 子 的 に 記 録 された 財 産 的 価 値 であり かつ 不 特 定 の 者 との 間 で 商 品 役 務 の 代 金 決 済 に 使 用 すること 及 び 売 買 することが 可 能 であ って 情 報 処 理 システムで 移 転 が 可 能 なもの 並 びに2 仮 想 通 貨 と 交 換 できる 財 産 的 価 値 であって 情 報 処 理 システムで 移 転 が 可 能 なものということとなる このように 同 定 義 では 不 特 定 の 者 との 間 での 決 済 利 用 売 買 交 換 ができることが 重 要 なポイントとなっている このため 例 えば 利 用 範 囲 を 限 定 した 場 合 にこの 定 義 に 当 てはまる かどうかが 論 点 となる 可 能 性 がある 1 本 邦 通 貨 若 しくは 外 国 通 貨 をもって 表 示 され 又 は 本 邦 通 貨 若 しくは 外 国 通 貨 をもって 債 務 の 履 行 払 戻 しその 他 これらに 準 ずるも のが 行 われることとされている 資 産 をいう この 場 合 において 通 貨 建 資 産 をもって 債 務 の 履 行 等 が 行 われることとされている 資 産 は 通 貨 建 資 産 とみなす (2 条 6 項 )
3 2. 仮 想 通 貨 交 換 業 に 係 る 登 録 制 の 導 入 (1) 仮 想 通 貨 交 換 業 改 正 資 金 決 済 法 ( 案 )において 仮 想 通 貨 交 換 業 とは 次 の 行 為 のいずれかを 業 として 行 うことをいう(2 条 7 項 ) 1 仮 想 通 貨 の 売 買 又 は 他 の 仮 想 通 貨 との 交 換 2 2 1に 掲 げる 行 為 の 媒 介 取 次 ぎ 又 は 代 理 3 その 行 う1 2に 掲 げる 行 為 に 関 して 利 用 者 の 金 銭 又 は 仮 想 通 貨 の 管 理 をすること 1のポイントは 本 邦 通 貨 外 国 通 貨 を 対 価 とする 仮 想 通 貨 の 売 買 だけでなく 仮 想 通 貨 同 士 の 交 換 も 対 象 となっ ている 点 である 2により 仮 想 通 貨 の 売 買 交 換 を 行 っておらずとも その 媒 介 取 次 又 は 代 理 を 業 として 行 ってい れば 仮 想 通 貨 交 換 業 に 該 当 する たとえば 自 ら 仮 想 通 貨 の 交 換 所 を 営 んでいるわけではないが ブローカーと して 仮 想 通 貨 の 購 入 を 利 用 者 に 勧 誘 する 場 合 も 該 当 すると 考 えられる また 3により 仮 想 通 貨 の 管 理 サービス の 提 供 も 仮 想 通 貨 交 換 業 にあたることになるが その 行 う 仮 想 通 貨 の 交 換 等 に 関 して との 限 定 が 付 されている ため 仮 想 通 貨 の 交 換 等 は 行 わずにウォレットサービスのみを 提 供 する 場 合 には 仮 想 通 貨 交 換 業 に 該 当 しない と 解 釈 できる 可 能 性 がある (2) 仮 想 通 貨 交 換 業 に 係 る 登 録 仮 想 通 貨 交 換 業 を 営 むためには 内 閣 総 理 大 臣 の 登 録 を 受 けなければならない(63 条 の 2) 登 録 を 受 けた 者 を 仮 想 通 貨 交 換 業 者 という(2 条 8 項 ) また 外 国 仮 想 通 貨 交 換 業 者 3 についても 上 記 の 登 録 が 必 要 である この 登 録 を 受 けない 外 国 仮 想 通 貨 交 換 業 者 が 国 内 にある 者 に 対 して (1)の1ないし3の 行 為 の 勧 誘 を 行 うこと は 明 文 で 禁 止 されている(63 条 の22) 登 録 申 請 においては 取 り 扱 う 仮 想 通 貨 の 名 称 仮 想 通 貨 交 換 業 の 内 容 及 び 方 法 その 他 の 事 項 を 記 載 した 登 録 申 請 書 を 提 出 し その 際 登 録 拒 否 事 由 のないことを 誓 約 する 書 類 財 務 に 関 する 書 類 仮 想 通 貨 交 換 業 を 適 正 かつ 確 実 に 遂 行 する 体 制 の 整 備 に 関 する 事 項 を 記 載 した 書 類 等 を 添 付 する 必 要 がある(63 条 の 3) 登 録 事 業 者 については これを 記 載 した 仮 想 通 貨 交 換 業 者 登 録 簿 が 公 表 される(63 条 の 4) 改 正 資 金 決 済 法 ( 案 )63 条 の 5 には 登 録 拒 否 事 由 が 列 挙 されており 例 えば 以 下 の 場 合 には 登 録 が 拒 否 され る 株 式 会 社 又 は 外 国 仮 想 通 貨 交 換 業 者 ( 国 内 に 営 業 所 を 有 する 外 国 会 社 に 限 る )でないもの 外 国 仮 想 通 貨 交 換 業 者 にあっては 国 内 における 代 表 者 ( 国 内 に 住 所 を 有 するものに 限 る )のない 法 人 仮 想 通 貨 交 換 業 を 適 正 かつ 確 実 に 遂 行 するために 必 要 と 認 められる 内 閣 府 令 で 定 める 基 準 に 適 合 する 財 産 的 基 礎 を 有 しない 法 人 仮 想 通 貨 交 換 業 を 適 正 かつ 確 実 に 遂 行 する 体 制 の 整 備 が 行 われていない 法 人 仮 想 通 貨 に 係 る 規 定 を 遵 守 するために 必 要 な 体 制 の 整 備 が 行 われていない 法 人 3. 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 に 関 する 規 制 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 に 関 する 主 な 規 制 は 次 の 通 りである 1 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 情 報 の 安 全 管 理 のために 必 要 な 措 置 を 講 じなければならない (63 条 の8) 2 1と2を 併 せて 仮 想 通 貨 の 交 換 等 という 3 資 金 決 済 法 に 相 当 する 外 国 の 法 令 の 規 定 により 当 該 外 国 において 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 登 録 と 同 種 類 の 登 録 ( 当 該 登 録 に 類 する 許 可 その 他 の 行 政 処 分 を 含 む )を 受 けて 仮 想 通 貨 交 換 業 を 行 う 者 をいう(2 条 9 項 )
4 2 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 利 用 者 への 情 報 提 供 など 利 用 者 の 保 護 を 図 り 業 務 の 適 正 かつ 確 実 な 遂 行 を 確 保 するために 必 要 な 措 置 を 講 じなければならない (63 条 の 10) 3 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 利 用 者 の 財 産 を 自 己 の 財 産 と 分 別 して 管 理 し その 管 理 の 状 況 について 定 期 に 公 認 会 計 士 又 は 監 査 法 人 の 監 査 を 受 けなければならない (63 条 の 11) 4 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 利 用 者 の 苦 情 処 理 及 び 利 用 者 との 間 の 紛 争 解 決 に 関 し 指 定 仮 想 通 貨 交 換 業 務 紛 争 解 決 機 関 4 との 間 で 手 続 実 施 基 本 契 約 を 締 結 する 措 置 又 は 当 該 紛 争 解 決 機 関 がない 場 合 に は 仮 想 通 貨 交 換 業 に 関 する 苦 情 処 理 措 置 及 び 紛 争 解 決 措 置 を 講 じなければならない(63 条 の 12) つまり 利 用 者 との 間 の 紛 争 の 解 決 を 原 則 として 金 融 ADR により 図 ることが 求 められている これらの 具 体 的 内 容 については 今 後 内 閣 府 令 によって 定 められることとなろう 4. 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 する 監 督 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 関 し 帳 簿 書 類 及 び 報 告 書 の 作 成 公 認 会 計 士 又 は 監 査 法 人 の 監 査 報 告 書 等 を 添 付 した 当 該 報 告 書 の 提 出 立 入 検 査 業 務 改 善 命 令 等 の 監 督 規 定 が 設 けられた 主 な 規 定 は 次 の 通 りである 1 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 内 閣 府 令 で 定 めるところにより その 仮 想 通 貨 交 換 業 に 関 する 帳 簿 書 類 を 作 成 し これを 保 存 しなければならない (63 条 の 13) 2 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 事 業 年 度 ごとに 仮 想 通 貨 交 換 業 に 関 する 報 告 書 を 作 成 し 内 閣 総 理 大 臣 に 提 出 しなければならない(63 条 の 14 第 1 項 ) この 報 告 書 には 財 務 に 関 する 書 類 当 該 書 類 についての 公 認 会 計 士 又 は 監 査 法 人 の 監 査 報 告 書 その 他 の 内 閣 府 令 で 定 める 書 類 を 添 付 しなければならない(63 条 の 14 第 3 項 ) 3 仮 想 通 貨 交 換 業 者 で 利 用 者 の 金 銭 又 は 仮 想 通 貨 の 管 理 をする 場 合 は 2の 報 告 書 のほか 内 閣 府 令 で 定 める 期 間 ごとに 内 閣 府 令 で 定 めるところにより 仮 想 通 貨 交 換 業 に 関 し 管 理 する 利 用 者 の 金 銭 の 額 及 び 仮 想 通 貨 の 数 量 その 他 これらの 管 理 に 関 する 報 告 書 を 作 成 し 内 閣 総 理 大 臣 に 提 出 しなけれ ばならない(63 条 の 14 第 2 項 ) この 報 告 書 には 仮 想 通 貨 交 換 業 に 関 し 管 理 する 利 用 者 の 金 銭 の 額 及 び 仮 想 通 貨 の 数 量 を 証 する 書 類 その 他 の 内 閣 府 令 で 定 める 書 類 を 添 付 しなければならない(63 条 の 14 第 4 項 ) 4 内 閣 総 理 大 臣 は 仮 想 通 貨 交 換 業 の 適 正 かつ 確 実 な 遂 行 のために 必 要 があると 認 めるときは 以 下 の 対 応 を 行 うことができる(63 条 の 15 第 1 項 ) 当 該 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 若 しくは 財 産 に 関 し 参 考 となるべき 報 告 又 は 資 料 の 提 出 命 令 当 該 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 営 業 所 その 他 の 施 設 への 立 ち 入 り 当 該 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 業 務 若 しくは 財 産 の 状 況 に 関 する 質 問 当 該 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 帳 簿 書 類 その 他 の 物 件 の 検 査 5 内 閣 総 理 大 臣 は 仮 想 通 貨 交 換 業 の 適 正 かつ 確 実 な 遂 行 のため 特 に 必 要 があると 認 めるときは その 必 要 の 限 度 において 当 該 仮 想 通 貨 交 換 業 者 から 業 務 の 委 託 を 受 けた 者 ( 再 委 託 再 々 委 託 その 先 の 委 託 先 を 含 む)に 対 しても 4の 対 応 を 行 うことができる(63 条 の 15 第 2 項 ) 6 内 閣 総 理 大 臣 は 仮 想 通 貨 交 換 業 の 適 正 かつ 確 実 な 遂 行 のために 必 要 があると 認 めるときは その 必 要 の 限 度 において 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 し 業 務 の 運 営 又 は 財 産 の 状 況 の 改 善 に 必 要 な 措 置 その 他 監 督 上 必 要 な 措 置 をとるべきことを 命 ずることができる(63 条 の 16) 7 内 閣 総 理 大 臣 は 仮 想 通 貨 交 換 業 者 が 次 のいずれかの 事 由 に 該 当 するときは 登 録 を 取 り 消 し 又 は 6 ヶ 月 以 内 の 期 間 を 定 めて 仮 想 通 貨 交 換 業 の 全 部 若 しくは 一 部 の 停 止 を 命 じることができる(63 条 の 17) 当 該 処 分 をしたときは 内 閣 府 令 で 定 めるところにより その 旨 を 公 告 しなければならない 4 現 時 点 では 存 在 しておらず 仮 想 通 貨 交 換 業 務 について 紛 争 解 決 等 業 務 を 行 おうとする 者 の 申 請 に 基 づき 内 閣 総 理 大 臣 に 指 定 さ れる(99 条 ないし 101 条 )
5 登 録 拒 否 要 件 (63 条 の 5)のいずれかに 該 当 することとなったとき 不 正 の 手 段 により 登 録 を 受 けたとき この 法 律 若 しくはこの 法 律 に 基 づく 命 令 又 はこれらに 基 づく 処 分 に 違 反 したとき 5. 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 設 立 する 事 業 者 団 体 ( 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 )に 関 する 規 定 仮 想 通 貨 交 換 業 者 は 会 員 企 業 に 対 する 指 導 監 督 などの 業 務 を 行 うことを 目 的 とする 事 業 者 団 体 を 任 意 に 設 立 することができる この 事 業 者 団 体 のうち 一 定 の 要 件 を 充 足 する 団 体 が 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 として 認 定 され る 資 金 決 済 法 の 既 存 の 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 に 関 する 規 定 が 仮 想 通 貨 交 換 業 者 の 設 立 する 事 業 者 団 体 にも 適 用 される(87 条 88 条 90 条 ~92 条 97 条 ) 1 認 定 要 件 (87 条 ) 一 般 社 団 法 人 であること 仮 想 通 貨 交 換 業 務 の 適 切 な 実 施 の 確 保 等 を 目 的 とすること 仮 想 通 貨 交 換 業 者 を 会 員 とする 旨 の 定 款 の 定 めがあること 認 定 業 務 を 適 切 かつ 確 実 に 行 うために 必 要 となる 業 務 の 実 施 方 法 を 定 めていること 認 定 業 務 を 確 実 に 履 行 できる 能 力 財 務 基 盤 が 整 っていること 2 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 の 業 務 (88 条 ) 会 員 への 指 導 勧 告 等 契 約 内 容 の 適 正 化 など 利 用 者 保 護 を 図 るために 必 要 な 指 導 勧 告 等 仮 想 通 貨 交 換 業 務 の 適 正 化 や 情 報 管 理 を 図 るために 必 要 な 規 則 の 制 定 ほか 3 会 員 に 関 する 情 報 の 利 用 者 への 周 知 等 (90 条 ) 4 利 用 者 からの 苦 情 に 関 する 対 応 (91 条 ) 5 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 への 報 告 等 (92 条 ) 6 認 定 資 金 決 済 事 業 者 協 会 への 情 報 提 供 (97 条 ) 6. 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 する 罰 則 資 金 決 済 法 の 既 存 の 罰 則 規 定 が 仮 想 通 貨 交 換 業 者 に 対 しても 適 用 される(107 条 ~109 条 112 条 ~117 条 ) 主 な 違 反 事 由 と 罰 則 は 以 下 の 通 り 1 3 年 以 下 の 懲 役 若 しくは 300 万 円 以 下 の 罰 金 又 はその 両 方 (107 条 ) 無 登 録 で 仮 想 通 貨 交 換 業 を 行 った 者 不 正 の 手 段 で 登 録 を 行 った 者 名 義 貸 しをした 者 2 2 年 以 下 の 懲 役 若 しくは 300 万 円 以 下 の 罰 金 又 はその 両 方 (108 条 ) 63 条 の 11 第 1 項 の 規 定 による 利 用 者 の 金 銭 仮 想 通 貨 の 分 別 管 理 義 務 違 反 63 条 の 17 第 1 項 の 規 定 による 仮 想 通 貨 交 換 業 の 全 部 又 は 一 部 の 停 止 の 命 令 違 反 3 1 年 以 下 の 懲 役 若 しくは 300 万 円 以 下 の 罰 金 又 はその 両 方 (109 条 ) 63 条 の 20 によって 義 務 付 けられた 公 告 をしないこと 又 は 虚 偽 の 公 告 をすること(1 号 ) 63 条 の 13 によって 義 務 付 けられた 帳 簿 書 類 の 作 成 保 存 義 務 違 反 虚 偽 の 帳 簿 書 類 の 作 成 (4 号 ) 63 条 の 14 によって 義 務 付 けられた 報 告 書 添 付 書 類 の 不 提 出 虚 偽 記 載 (5 号 ) 63 条 の 15 によって 義 務 付 けられた 報 告 資 料 の 不 提 出 虚 偽 の 報 告 虚 偽 の 資 料 の 提 出 (6 号 ) 63 条 の 15 によって 義 務 付 けられた 答 弁 拒 否 虚 偽 答 弁 検 査 拒 否 検 査 妨 害 検 査 忌 避 (7 号 )
6 4 6 ヶ 月 以 下 の 懲 役 若 しくは 50 万 円 以 下 の 罰 金 又 はその 両 方 (112 条 ) 63 条 の 3 第 1 項 の 規 定 による 登 録 申 請 書 又 は 第 2 項 の 規 定 による 添 付 書 類 の 虚 偽 記 載 5 100 万 円 以 下 の 罰 金 (113 条 ) 63 条 の 16 の 規 定 による 業 務 改 善 命 令 の 違 反 IV. 仮 想 通 貨 に 関 する 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 改 正 案 の 内 容 仮 想 通 貨 交 換 業 者 を 犯 罪 収 益 移 転 防 止 法 の 義 務 を 負 う 特 定 事 業 者 に 追 加 し(2 条 31 号 ) 同 法 に 規 定 される 以 下 の 義 務 等 を 課 すこととされた 1. 本 人 確 認 義 務 (4 条 ) 顧 客 との 間 で 特 定 業 務 のうち 特 定 取 引 等 を 行 うに 際 しては 以 下 の 事 項 の 確 認 を 行 わなければならない 本 人 特 定 事 項 取 引 を 行 う 目 的 職 業 事 業 内 容 実 質 的 支 配 者 の 本 人 特 定 事 項 ( 同 条 2 項 に 定 める 一 定 の 場 合 には) 資 産 及 び 収 入 の 状 況 2. 確 認 記 録 の 作 成 保 存 義 務 (6 条 ) 取 引 時 確 認 を 行 った 場 合 には 直 ちに 確 認 記 録 を 作 成 し 特 定 取 引 等 に 係 る 契 約 が 終 了 した 日 等 から7 年 間 保 存 しなければならない 3. 取 引 記 録 の 作 成 保 存 義 務 (7 条 ) 特 定 業 務 に 係 る 取 引 を 行 った 場 合 には 直 ちに 取 引 記 録 等 を 作 成 し 取 引 の 行 われた 日 から7 年 間 保 存 しなけれ ばならない 4. 疑 わしい 取 引 の 当 局 への 届 出 義 務 (8 条 ) 特 定 業 務 において 収 受 した 財 産 が 犯 罪 による 収 益 である 疑 いがあり 又 は 顧 客 が 特 定 業 務 に 関 しマネーロンダリン グを 行 っている 疑 いがあると 認 められる 場 合 においては 速 やかに 届 け 出 なければならない 5. 取 引 時 確 認 等 を 的 確 に 行 うための 措 置 (10 条 ) 取 引 時 確 認 をした 事 項 に 係 る 情 報 を 最 新 の 内 容 に 保 つための 措 置 を 講 ずるほか 使 用 人 に 対 する 教 育 訓 練 その 他 の 必 要 な 体 制 の 整 備 に 努 めなければならない 以 上
7 本 ニュースレターの 内 容 は 一 般 的 な 情 報 提 供 であり 具 体 的 な 法 的 アドバイスではありません お 問 い 合 わ せ 等 ございましたら 下 記 弁 護 士 までご 遠 慮 なくご 連 絡 下 さいますよう お 願 いいたします 本 ニュースレターの 執 筆 者 は 以 下 の 通 りです 弁 護 士 中 崎 尚 ( ) 弁 護 士 河 合 健 ( ) 本 ニュースレターの 配 信 又 はその 停 止 をご 希 望 の 場 合 にはお 手 数 ですが までご 連 絡 下 さいますようお 願 い 申 し 上 げます 本 ニュースレターのバックナンバーは http://www.amt-law.com/bulletins2.html にてご 覧 いただけます