各 県 別 海 事 産 業 の 経 済 学 - 長 崎 県 - 掲 載 誌 掲 載 年 月 : 日 本 海 事 新 聞 1206 日 本 海 事 センター 企 画 研 究 部 研 究 員 野 村 摂 雄 1. 地 勢 等 たたな 長 崎 港 の 山 々は 美 しい とくに 外 洋 から 畳 づく 山 々にかこまれた 細 長 い 港 内 を 奥 深 く 入 ってゆくときの 景 観 は まれなうつくしさといっていい 幕 末 この 港 に 入 っ たオランダの 海 軍 士 官 ファン カッテンディーケも 実 際 長 崎 入 港 の 際 眼 前 に 展 開 する 景 色 ほど 美 しいものは またとこの 世 界 に あるまいと 断 言 しても あながち 過 褒 ではあるまい ( 長 崎 海 軍 伝 習 所 の 日 々 ( 東 洋 文 庫 水 田 信 利 訳 )) たん ら と 書 いている ( 司 馬 遼 太 郎 街 道 をゆく(28) 耽 羅 紀 行 ( 朝 日 新 聞 社 ) このような 長 崎 港 を 持 つ 長 崎 県 は 本 土 の 最 西 端 九 州 西 北 部 に 位 置 する 県 の 海 岸 線 総 延 長 は 4,202km( 全 国 2 位 )に 及 ぶ これは 長 崎 県 が 県 土 (4,105km 2 )の 45.5% (1,864km 2 )を 占 める 島 (594 島 そのうち 有 人 島 は 73 あり 全 国 1 位 )と 半 島 ( 北 松 にしそのぎ 浦 半 島 島 原 半 島 長 崎 半 島 及 び 西 彼 杵 半 島 )とで 構 成 され 複 雑 な 海 岸 線 を 有 する からである 2. 造 船 業 (1) 近 代 造 船 業 の 始 まり 長 崎 県 は 中 国 大 陸 との 交 流 の 窓 口 であったとともに 西 洋 との 交 流 においても 最 前 線 であった 1550 年 にポルトガル 船 が 平 戸 に 入 港 したのを 皮 切 りに オランダ 船 英 国 船 が 訪 れて 貿 易 を 行 うようになった 日 本 初 のヨーロッパ 公 式 訪 問 団 である 天 正 遣 欧 少 年 使 節 は 1582 年 に 長 崎 から 出 航 した 1639 年 に 幕 府 がポルトガルとの 貿 易 を 禁 止 して 鎖 国 の 時 代 になると 出 島 ( 長 崎 )が 西 洋 との 唯 一 の 貿 易 港 となり 西 洋 文 明 の 玄 関 口 となった 戦 国 末 期 から 安 土 桃 山 期 にかけては 西 洋 諸 国 との 接 触 も 活 発 化 し 外 国 船 の 見 聞 を 通 じて 日 本 の 造 船 技 術 に 大 きな 刺 激 が 与 えられたが 1637 年 の 大 船 建 造 禁 止 令 (1853 年 に 廃 止 )によって 大 型 船 の 建 造 に 制 限 が 加 えられることとなった この 鎖 国 体 制 の 始 まりによって 中 国 船 やオランダ 船 の 来 訪 はあったものの 日 本 の 造 船 業 は 世 界 の 造 船 界 から 隔 絶 して 独 自 の 道 を 歩 むよりほかはなくなった と 強 調 され る( 小 林 宗 三 郎 近 代 造 船 業 の 生 誕 金 子 榮 一 編 現 代 日 本 産 業 発 達 史 IX 造 船 ( 交 詢 社 1964 年 ) しかし 1855 年 には 長 崎 海 軍 伝 習 所 が 設 置 され また 1857 年 には ようてつ 艦 船 修 理 のための 長 崎 鎔 鐵 所 ( 長 崎 製 鉄 所 )が 建 設 されたことにより 長 崎 が 西 欧 の 1
近 代 造 船 技 術 を 学 ぶ 場 となった 長 崎 製 鉄 所 は 三 菱 重 工 長 崎 造 船 所 の 起 源 であり 近 代 日 本 の 造 船 業 の 始 まりとされている 今 日 長 崎 県 内 の 鋼 製 貨 物 船 の 新 造 (20 総... トン 以 上 の 動 力 船 約 1,618 億 円 )や 鋼 製 油 そう船 の 新 造 ( 同 約 1,199 億 円 )は 愛 媛 県 広 島 県 と 全 国 1 位 を 競 う 規 模 となっている ちなみに 日 本 の 造 船 業 の 発 展 を 目 指 す 日 本 造 船 工 業 会 の 釜 和 明 会 長 (2011 年 6 月 ~)は 長 崎 県 出 身 である (2) 三 菱 重 工 長 崎 造 船 所 たてがみせんきょ 長 崎 製 鉄 所 は 1879 年 に 当 時 東 洋 最 大 のドック( 立 神 船 渠 約 129.5m)を 完 成 さ せた 後 1884 年 に 三 菱 の 経 営 となり( 長 崎 造 船 所 に 改 称 ) 1887 年 に 三 菱 に 払 い 下 げ られた 長 崎 造 船 所 は 積 極 的 な 設 備 投 資 により 1905 年 には 東 洋 一 の 造 船 所 となった 長 崎 造 船 所 は 日 本 造 船 史 に 輝 く 船 舶 を 多 く 建 造 してきた 最 大 の 理 由 として 他 に 先 駆 けて 一 番 船 ( 新 設 計 の 船 舶 )に 取 り 組 んできた 造 船 技 術 者 の 挑 戦 欲 それが 結 実 した 技 術 力 を 挙 げる 目 下 三 菱 重 工 は 生 産 体 制 を 再 編 し 長 崎 造 船 所 と 下 関 造 船 所 ( 山 口 県 )とに 商 船 の 建 造 を 集 約 するとともに その 技 術 力 を 活 かすべく 高 付 加 価 値 船 ( 大 型 客 船 液 化 天 然 ガス 運 搬 船 など)や 環 境 にやさしい 省 エネ 設 計 へのシフ トを 打 ち 出 している 2011 年 11 月 には 12.5 万 総 トン 3,250 人 乗 りの 大 型 客 船 を 2 隻 受 注 した 長 崎 経 済 研 究 所 は その 客 船 建 造 の 経 済 波 及 効 果 は 年 間 381 億 円 工 期 全 体 で 1,524 億 円 と 試 算 している (3) 佐 世 保 重 工 業 佐 世 保 造 船 所 佐 世 保 重 工 業 は 佐 世 保 鎮 守 府 の 直 轄 組 織 として 1903 年 に 設 置 された 佐 世 保 海 軍 こうしょう 工 廠 を 起 源 とする 1946 年 に 三 井 造 船 と 占 部 造 船 とが 海 軍 工 廠 の 船 舶 部 門 を 継 承 し て 佐 世 保 船 舶 工 業 株 式 会 社 ( Sasebo Senpaku Kougyou)を 創 立 し 1961 年 に 佐 世 保 重 工 業 株 式 会 社 (Sasebo Heavy Industries)に 社 名 が 変 更 されたが 前 身 の 英 文 称 号 の 頭 文 字 をとった SSK が 今 でも 通 称 として 愛 用 されている SSK は 1957 年 にクウェートから 受 注 したタンカー KAZIMAH (1959 年 竣 工 29,155 総 トン)は 全 額 現 金 前 払 いであったことに 加 え 初 めて 中 近 東 の 船 主 から 発 注 を 得 たことで 日 本 の 造 船 界 にとって 前 代 未 聞 の 快 挙 と 言 われた 当 時 世 界 最 大 の タンカー 日 章 丸 (1962 年 竣 工 139,000 重 量 トン)や 21 万 重 量 トンの VLCC の 連 続 建 造 (1967 年 から 1973 年 までに 22 隻 建 造 )は タンカー 建 造 能 力 の 高 さを 国 内 外 に 示 した 平 成 に 入 ってからは 世 界 一 の 修 繕 ヤード となることを 事 業 の 柱 のひとつとし 大 型 改 造 船 や 大 規 模 ダメージ 船 を 受 け 入 れてきた 1995 年 には VLCC SUMIDAGAWA ( 260,000 重 量 トン)の 大 規 模 な 修 繕 工 事 を 38 日 間 という 短 期 で こなし SSK の 実 力 を 改 めて 示 した もとより 地 の 利 を 活 かし 自 衛 隊 艦 船 や 米 軍 艦 船 の 修 繕 工 事 には 多 くの 実 績 がある (4) 中 小 造 船 業 舶 用 工 業 2
県 内 には 中 手 造 船 所 として 世 界 のバルクの 供 給 基 地 を 自 負 する 大 島 造 船 所 ( 西 海 市 )のほか 井 筒 造 船 所 ( 長 崎 市 ) 伊 藤 鉄 工 造 船 ( 佐 世 保 市 ) 沖 新 船 舶 工 業 ( 佐 世 保 市 ) 島 原 ドック 協 業 組 合 ( 長 崎 市 ) 新 長 ドック( 長 崎 市 ) 長 崎 造 船 ( 長 崎 市 ) 中 里 造 船 所 ( 佐 世 保 市 ) 平 戸 鉄 工 造 船 ( 平 戸 市 ) 前 畑 造 船 ( 佐 世 保 市 ) 渡 辺 造 船 所 ( 長 崎 市 )などの 中 小 造 船 所 もある( 特 色 について 表 参 照 ) 表 : 長 崎 県 内 の 中 小 造 船 10 社 の 特 色 社 名 ( 所 在 ) 特 色 井 筒 造 船 所 農 林 水 産 省 大 臣 許 可 指 定 漁 業 の 漁 船 の 建 造 ができる 設 備 と ( 長 崎 市 ) 長 年 の 漁 船 建 造 ノウハウがある 伊 藤 鉄 工 造 船 オリジナル 中 小 曳 船 は 全 国 一 のブランドを 誇 る ( 佐 世 保 市 ) 沖 新 船 舶 工 業 軽 合 金 製 船 舶 の 建 造 技 術 を 誇 る 造 船 所 ( 佐 世 保 市 ) 島 原 ドック 協 業 組 合 エンジンの 仕 上 げ 技 術 と 確 実 な 納 期 により 客 船 貨 物 船 ( 長 崎 市 ) の 修 理 を 行 う 新 長 ドック 幅 が 広 いフローティングドックの 強 みを 活 かした 高 い 作 業 ( 長 崎 市 ) 効 率 と 技 術 が 自 慢 である 長 崎 造 船 ISO9001 ISO14001 の 認 証 を 取 得 し 船 舶 の 品 質 の 向 上 並 び ( 長 崎 市 ) に 環 境 に 配 慮 した 船 造 りを 行 っている 中 里 造 船 所 エンジンのオーバーホールを 含 めた 修 理 技 術 FRP 補 修 技 ( 佐 世 保 市 ) 術 には 定 評 がある 平 戸 鉄 工 造 船 JG サービスステーション 認 定 が 保 証 する 旋 網 漁 船 港 湾 建 ( 平 戸 市 ) 設 作 業 船 の 高 い 修 繕 工 事 技 術 を 有 する 前 畑 造 船 ユーザーの 用 途 に 応 じた 省 エネの 電 気 推 進 船 の 企 画 から 建 ( 佐 世 保 市 ) 造 まで 一 手 に 行 う 環 境 に 貢 献 する 造 船 所 渡 辺 造 船 所 中 小 型 船 舶 から 5000GT 級 の 造 船 船 尾 改 造 船 体 延 長 改 造 ( 長 崎 市 ) 工 事 特 殊 ニーズ 製 品 の 開 発 製 造 販 売 を 行 う ( 出 典 : 長 崎 県 産 業 労 働 部 船 力 2011 年 より) また 佐 世 保 市 内 の 造 船 関 連 企 業 7 社 ( 前 畑 造 船 ( 株 ) 協 和 機 工 ( 株 ) ( 株 )SEA 創 研 流 体 テクノ( 有 ) ( 株 )イーゼル ( 有 )セイコウ 親 和 船 舶 工 業 ( 有 ))は 互 いに 連 携 を 深 めようと 2011 年 に 佐 世 保 マリンネットワーク ( 理 事 長 : 松 尾 晃 ( 株 ) SEA 創 研 会 長 )を 発 足 させ 世 界 初 の 防 災 観 光 用 多 目 的 水 陸 両 用 車 の 開 発 を 進 めて おり 佐 世 保 の 技 術 力 を 発 信 するものとして 注 目 されている (5) 県 の 積 極 的 な 支 援 県 内 の 造 船 業 については 行 政 も 積 極 的 な 支 援 を 展 開 している 長 崎 県 産 業 労 働 部 せんりょく は 長 崎 は 今 船 力 に 満 ち 溢 れている として 小 冊 子 船 力 を 2011 年 に 発 行 3
し 関 係 各 方 面 に 配 布 した( 同 冊 子 は 長 崎 県 のHP (http://www.pref.nagasaki.jp/shoukou/zousen/pdf/02.pdf)よりダウンロード 可 ) 長 崎 県 が 造 船 舶 用 工 業 だけをとりあげた 初 めての 企 業 マップである また 長 崎 県 は 2010 年 に 県 内 の 私 立 長 崎 総 合 科 学 大 学 と 造 船 技 術 者 の 人 材 育 成 の 連 携 に 関 する 協 定 を 結 んでいる 長 崎 県 の 支 援 体 制 には 造 船 技 術 及 び 造 船 クラスタ ーは 船 舶 を 建 造 し 続 けてこそ 維 持 向 上 しうる という 意 識 がうかがえる 3. 港 湾 長 崎 県 には いわゆる 重 要 港 湾 が 5 港 ( 内 地 に 長 崎 港 及 び 佐 世 保 港 離 島 に 厳 原 港 郷 ノ 浦 港 及 び 福 江 港 ) 地 方 港 湾 が 77 港 ( 内 地 44 港 離 島 33 港 ) 存 在 する 漁 港 も 含 めると 長 崎 県 には 390 の 港 があり 海 岸 線 のほぼ 10 キロに 1 つ 港 が 存 在 する 計 算 となる 歴 史 的 に 見 れば 長 崎 県 の 人 流 物 流 さらには 文 化 の 交 流 を 支 えてきたイ ンフラとして 港 湾 が 一 番 に 挙 げられる (1) 長 崎 港 長 崎 港 には 年 間 外 航 商 船 239 隻 (1,814,862 総 トン) 及 び 内 航 商 船 13,710 隻 (7,058,084 総 トン)が 入 港 し( 長 崎 県 統 計 年 鑑 (2010 年 第 57 版 ) 以 下 貨 物 についても 同 様 ) 海 上 出 入 貨 物 は 2,275,731 トン( 輸 出 入 貨 物 513,989 トン 移 出 入 貨 物 1,761,742 トン)ある 主 たる 取 扱 貨 物 を 見 ると 輸 出 は 金 属 機 械 工 業 品 (165,507 トン 全 輸 出 の 79.9%) 輸 入 は LNG など 化 学 工 業 品 (223,198 トン 全 輸 入 の 72.8%) 移 出 は 日 用 雑 貨 等 (112,945 トン 全 移 出 の 41.9%) 移 入 は 重 油 石 油 製 品 など 化 学 工 業 品 (978,487 トン 全 移 入 の 65.6%) 長 崎 港 の 発 展 に 向 けては 長 崎 港 湾 運 輸 ( 株 ) 日 本 通 運 ( 株 ) 後 藤 運 輸 ( 株 ) タ カラ 長 運 ( 株 ) 及 び 長 崎 倉 庫 ( 株 )の 5 社 が 長 崎 市 と 長 崎 商 工 会 議 所 とが 組 織 する 長 崎 港 活 性 化 センター ( 1998 年 設 立 )の 会 員 として 活 動 を 行 っていること また これら 港 湾 運 送 事 業 者 長 崎 港 活 性 化 センター 九 州 地 方 整 備 局 長 崎 港 湾 空 港 整 備 事 務 所 長 崎 県 などが 2012 年 3 月 に 長 崎 港 における 新 たな 物 流 モデルの 構 築 に 向 けた 提 言 書 ( 長 崎 港 物 流 戦 略 検 討 会 議 ( 座 長 : 森 隆 行 流 通 科 学 大 学 教 授 ))をとり まとめ 長 崎 方 式 ( 官 民 が 連 携 した 先 駆 的 な 国 際 高 速 船 物 流 )の 実 現 に 向 けての 取 り 組 みを 提 言 していることが 注 目 される なお 長 崎 港 には 長 崎 県 にとっての 唯 一 の 外 航 定 期 コンテナ 船 ( 週 1 便 高 麗 海 運 株 式 會 社 が 運 航 )が 釜 山 との 間 で 1999 年 より 就 航 している まつ え 長 崎 港 は 国 際 観 光 船 専 用 のバースとして 松 が 枝 国 際 観 光 船 埠 頭 (1985 年 供 用 開 始 )があり 外 航 クルーズ 客 船 の 寄 港 数 が 多 いことも 広 く 知 られている 2006 年 に は 52 隻 が 来 航 し 日 本 一 に 輝 いた このため 長 崎 港 は 国 土 交 通 省 により 外 航 クル ーズ( 定 点 クルーズ) 機 能 及 び 佐 世 保 港 とともに 国 際 定 期 旅 客 機 能 が 評 価 され 日 本 海 側 拠 点 港 として 選 定 されている かつて 下 駄 を 履 いて 上 海 へ と 言 われるほ ど 長 崎 市 民 に 身 近 な 存 在 であった 上 海 航 路 は HTBクルーズによる OCEAN ROSE (パナマ 籍 全 長 約 193m 約 30,000 総 トン)が 2012 年 2 月 に 正 式 就 航 し 復 活 し 4
た ぐんかんじま は しま 港 内 の 観 光 船 としては 軍 艦 島 ( 正 式 名 称 端 島 ) のクルーズが 人 気 を 博 してき たが 2012 年 4 月 7 日 から 坂 本 龍 馬 ゆかりの 復 元 帆 船 観 光 丸 (ハウステンボス( 株 ) 所 有 )の 長 崎 クルーズが 就 航 し 話 題 を 呼 んでいる その 運 航 を 担 うやまさ 海 運 は 船 上 で 三 菱 重 工 長 崎 造 船 所 や 小 菅 修 船 場 跡 など 長 崎 の 歴 史 海 事 文 化 を 紹 介 する 長 崎 水 先 人 区 には 3 名 の 水 先 人 が 所 属 し 長 崎 の 水 先 人 は 年 間 353 隻 の 水 先 実 績 (2010 年 度 )がある (2) 佐 世 保 港 長 崎 県 で 長 崎 市 ( 約 44 万 人 )に 次 いで 人 口 の 多 い 佐 世 保 市 ( 約 26 万 人 )にある 佐 世 保 港 は 1889 年 に 第 3 海 軍 区 佐 世 保 鎮 守 府 が 開 庁 し 整 備 されてきた 佐 世 保 港 は 太 平 洋 戦 争 の 終 戦 によって 軍 港 としての 役 割 を 終 えるに 見 えたが 今 でも 商 港 機 能 の 中 心 である 佐 世 保 港 区 の 約 8 割 が 米 軍 の 施 設 ( 制 限 ) 水 域 となっており 軍 港 の 性 格 は 引 き 継 いでいる 佐 世 保 港 には 年 間 外 航 商 船 71 隻 ( 640,733 総 トン) 内 航 商 船 18,699 隻 ( 3,616,283 総 トン) 漁 船 4,537 隻 が 入 港 し( 佐 世 保 港 港 湾 統 計 年 報 (2010 年 ) 以 下 貨 物 に ついても 同 様 ) 海 上 出 入 貨 物 は 2,845,392 トン( 輸 出 入 貨 物 279,796 トン 移 出 入 貨 物 2,565,596 トン)ある 主 たる 取 扱 貨 物 を 見 ると 輸 入 は 飼 料 としてのトウモロ コシなど 農 水 産 品 (140,223 トン 全 輸 入 の 57.9%) 輸 出 は 金 属 機 械 工 業 品 (35,719 トン 全 輸 出 の 95.0%) 移 入 は 石 油 製 品 などの 化 学 工 業 品 (784,779 トン 全 移 入 の 43.0%) 移 出 は 金 属 機 械 工 業 品 (243,419 トン 全 移 出 の 32.9%) 佐 世 保 港 の 港 湾 運 送 は 一 般 港 湾 運 送 事 業 者 として 佐 世 保 港 湾 運 輸 及 び 日 本 通 運 の 2 社 船 内 荷 役 業 者 として 佐 世 保 海 運 沿 岸 荷 役 専 業 者 として 九 商 コーポレーション 西 九 州 倉 庫 及 び 吉 田 海 運 の 3 社 が 事 業 を 行 っている なお 先 にも 触 れたが 佐 世 保 港 は 長 崎 港 とともに 2011 年 に 国 際 定 期 旅 客 機 能 において 日 本 海 側 拠 点 港 に 選 定 されている 佐 世 保 港 の 港 湾 管 理 者 である 佐 世 保 市 は 東 アジアへ 向 けた 九 州 サブ ゲートウェイ 構 想 を 掲 げ その 玄 関 口 としての 港 湾 整 備 を 進 めている 佐 世 保 水 先 区 には 4 名 の 水 先 人 が 所 属 し 佐 世 保 の 水 先 人 は 年 間 856 隻 の 水 先 実 績 (2010 年 度 )がある 4. 内 航 長 崎 県 の 内 航 海 運 事 業 者 は 103( 内 航 運 送 事 業 者 としての 登 録 事 業 者 32 内 航 船 舶 貸 渡 業 者 としての 登 録 事 業 者 71 国 土 交 通 省 九 州 運 輸 局 九 州 の 物 流 2011 年 版 より)あり( 全 国 登 録 事 業 者 2,301 の 約 4.5%) 86 隻 (44,908 総 トン)の 船 舶 が 使 用 されている 県 内 内 航 海 運 の 特 徴 として 本 土 と 離 島 間 の 物 資 輸 送 に 従 事 する 事 業 者 が 多 いことが 挙 げられ 島 の 小 さい 港 にあわせて 199 トンなどの 小 型 船 舶 が 多 く 使 用 されている 県 内 では 約 18 万 人 が 73 島 で 生 活 しているため 海 上 交 通 が 発 達 している 目 下 5
県 内 には 43 航 路 が 開 設 されているが そのうち 36 航 路 は 離 島 航 路 であり 野 母 商 船 九 州 郵 船 など 29 の 事 業 者 (6 市 1 町 を 含 む)が 運 航 している 離 島 は 人 口 減 や 住 民 の 高 齢 化 によって 利 用 客 が 減 少 しているために 離 島 航 路 を 運 航 する 事 業 者 には 厳 しい 状 況 にある このため 36 航 路 のうち 25 航 路 は 国 や 県 市 などが 補 助 を 行 っている 県 内 43 航 路 のうち 7 航 路 は 本 土 間 の 航 路 である 長 崎 県 は 複 雑 な 海 岸 線 を 有 する ために 海 上 交 通 の 利 便 性 は 高 い 5. 船 員 船 員 教 育 等 (1) 船 員 九 州 運 輸 局 長 崎 運 輸 支 局 の 管 内 で 雇 用 されている 船 員 ( 壱 岐 市 及 び 対 馬 市 について は 九 州 運 輸 局 の 管 轄 であるため ここには 含 まれない )は 3,615 名 ( 予 備 員 を 含 む 家 族 船 員 (72 名 )は 含 まない 2010 年 10 月 1 日 現 在 )で その 内 訳 は 汽 船 1,042 名 漁 船 1,978 名 官 公 庁 船 等 595 名 である (2) 船 員 教 育 くちのつ 南 島 原 市 にある 口 之 津 海 上 技 術 学 校 は 1954 年 に 航 海 科 機 関 科 (ともに 修 業 年 限 1 年 )を 備 える 海 員 学 校 として 設 置 された 今 では 本 科 ( 修 業 年 限 3 年 )において 高 等 普 通 教 育 及 び 専 門 教 育 を 行 うとともに 卒 業 後 に 進 学 できる 乗 船 実 習 科 (6 か 月 ) も 備 える 遠 くは 群 馬 県 からの 入 学 者 もある (3) 長 崎 帆 船 まつり 江 戸 時 代 の 長 崎 は 行 事 が 1 年 の 間 ほとんど 連 続 して 行 われていたという 今 でも 長 崎 県 では 数 多 くのお 祭 り イベントがある 長 崎 帆 船 まつり は 町 が 港 とともに 発 展 してきた 歴 史 を 踏 まえ 1997 年 以 来 開 催 されている 2000 年 からは 毎 年 開 催 さ れており 2011 年 までに 13 回 を 数 えた(2010 年 は 海 フェスタながさき~ 海 の 祭 典 2010 長 崎 五 島 列 島 ~ と 併 せて 開 催 ) 累 計 集 客 数 は 200 万 人 を 超 え 統 計 がある 過 去 9 回 の 経 済 波 及 効 果 は 1 回 当 たり 平 均 10 億 円 を 上 回 っており 地 域 の 活 性 化 観 光 の 振 興 に 果 たしている 役 割 は 大 きい 6