表2 3 その他 育児中の場合など子どもを抱いたりするときは 手 や足に負担がかからず重さがかからないように工夫し てもらうようにおすすめします 乳がんの方の場合 非手術側で乳幼児を抱きながら座って支えるというよ うな方法です 仕事で長時間立位をとる場合は 筋を動かすことで 筋のポンプ作用を使えるような軽い体操を指導してい ます また重いものを持つ場合は小分けにして持つよ うにします 筋のポンプ作用を利用したリンパ液還流の促進 のための運動 表 3 筋のポンプ作用を利用したリンパ還流の促進のため の運動について説明します 軽い運動をする目的は 筋肉が収縮 弛緩すること でその周りのリンパ管や静脈への刺激が生まれ還流を 促進することです むくみを発症している場合は表面 を圧迫したまま筋肉を収縮したり弛緩したりしたほう が より筋肉の力が効率的にリンパ管のほうに伝わる ので圧迫を併用します 具体的には 肩回しとか腹式呼吸の後に行うと 体 いゆったりした下着や着衣を選ぶようにお願いしてい 幹の部分の流れがよくなります したがって乳がんの ます きつい下着をつけている方がありますが 乳が 場合は肩回しや腹式呼吸の後に上肢の運動をする 婦 んの術後は腋窩の周囲はブラジャーの紐のすぐ上が膨 人科がんの場合は下肢の運動をするというような順序 隆していることがありますし 婦人科がんの方は鼠径 です 部分が食い込んで大腿部近位がかなり硬くなってし 疲労が生じない程度の運動を 主動作筋 拮抗筋と まっている方がいます 特にウエストは上肢も下肢も もに交互に裏表使うのが重要です 手指を例にあげる ドレナージをするときに重要なリンパ液の通り道です と握ったら開くというように 裏も表も筋をバランス から ウエストを締めすぎないことが必要です 同じ よく使うようにします ようにブラジャーも紐が緩めで幅が広いものをすすめ ます 婦人科がんの方は 鼠径部を締めすぎないようなも のを選ぶように指導します レースなどの素材で幅広 表3 のものや 大腿部まで丈があるものをすすめています 2 ポジショニング むくみの兆候があるときは むくみのある部分の挙 上を指導します 上肢の場合 就寝時は 10cm くらい上肢全体を挙 上するよう枕などでポジショニングします ただし 指先が高く肩部分は低めにセッティングします 足のほうは 腹部にむくみが出がちな方は腰痛の出 ない範囲で 腰下から少しずつ下肢のほうを高くする ような方法をお伝えします 乳がん 婦人科がん 41
1 下肢運動の例 図 1 下腿がむくんでいる方は 特に爪先立ちをおすすめ します これは仕事中にもできますので簡単です 壁 につかまりながら行うと安全です 大腿部にむくみがあるような方は スクワット運動 を無理のない範囲で実施してもらいます 薄れてきてなんとなく光ったような感じになるような 場合は浮腫が生じているかもしれません 重だるい とか 張った感じ などといった表現 をする方が多いように思いますが 張り感とか重い感 じの自覚症状に気をつけてもらいます 圧迫痕というのは 皮膚に対して親指を垂直に押し また 大腿の内側がむくんでいる場合は 股関節の て指の痕がつくなら浮腫が生じている可能性がありま 内転運動を行います デスクワークの場合 座りなが す 注意しなければならないのは 浮腫が重症化して らきゅっと左右の膝を押し付けるようにする 寝る前 きても圧迫痕がつかないことです 皮膚が硬く 圧迫 だと枕を足の間に入れて枕を膝で挟み込むように押す してもへこまなくなると ステージが進んできている と股関節の内転筋を使うことができます 証拠になってしまいます 乳がんは術側のウエストから上の体幹部分 婦人科 自己評価方法 表 4 自己評価方法は 婦人科がんの場合は下肢 乳がん がんは下腹部や恥骨部がむくむ場合がありますが こ れらの場所は医療者も気がつかず 本人も言いにくい ので見逃してしまいがちです の場合は上肢に負担が多い場合に特にすすめていま す 浮腫の兆候を見つける早期発見の手段として簡単 な方法をお伝えします まず 皮膚の状態の観察があげられます 皺が少し 図1 上肢 下肢の周径計測方法の一例 図 2 上肢も下肢も肘頭とか膝蓋骨などの計測の基準とな る部分を決めて そこから 5cm 上 5cm 下とか 下 肢であれば 10cm 上 10cm 下というように 決まっ た場所を経時的に評価することを推奨しています い ちばん太いところを計測すると体位で移動しやすいた め 計測点を決めたほうがより正確な値が出ると考え ています 乳がん周術期リハビリテーション 図 3 1 術前 乳がんの場合は 肩の挙上困難を中心とした ROM 制限が出現することが多いため 肩のリハビリテー ションを実施しています 表4 42 乳がん 婦人科がん 図2
図3 範囲で話を聞いています 肩関節周囲炎などが原因で制限がある場合もあるの で 最初に制限がどれくらいあるかということと 上 肢の周径はもともと左右差がある方が多いため術前に 計測しておいて術後の変化を評価したほうが 術後左 右差を見るよりは浮腫の指標になるように思います 2 術後ドレーン抜去前 リンパ節の郭清がある場合の術後の運動に関して は 当院ではドレーン抜去前後で内容を異にしていま す 挿入中はあまり無理せず ①体幹の対称性を維持 すること ②浮腫や上肢拘縮を予防すること ③リス ク管理をしていくこと を目的にしています 具体的 な内容は 深呼吸 手指の屈伸 手関節の背屈 回内 外 肘の屈伸など簡単です 術側の過剰な安静を予防 する目的もあります 図 4 肩の ROM 訓練は 当院では屈曲 90 度 外転 45 度の範囲で疼痛が出現するまでの範囲で徐々に行っ ていますが 外転が 45 度から 90 度くらいまでの間 でドレーンがそれほど動いているような感じがなけれ ば 動かない範囲内で流動的に行ったりすることもあ ります ドレーンが抜去されるまでに術後 6 日ぐらいの間 に浮腫に対する予防方法の説明と指導をしています 3 術後ドレーン抜去から退院まで ドレーンが抜けてから退院までの内容は 主には肩 の ROM を改善するということと ADL へ積極的に 参加してもらうということを目標に行っています 図 5 乳がんの方は肩こりがある場合が多く 背部を温熱 図4 当院では術前にオリエンテーションおよび評価を医 師 理学療法士もしくは作業療法士で行っています 最初に上肢機能や浮腫発症リスクを確認します また リハビリテーションに関する不安があるようでした ら 少しでも不安を解消してもらうよう努力していま す 評価内容は図 3 の通りです 利き手 肩疾患の既 往歴 社会的背景などが重要で どのような仕事をし ているのか 家事はどの程度必要か 子どもがいるか どうかなどは 特に浮腫に影響したりするので可能な 乳がん 婦人科がん 43