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Transcription:

諮 問 庁 : 国 税 庁 長 官 諮 問 日 : 平 成 19 年 9 月 6 日 ( 平 成 19 年 ( 行 個 ) 諮 問 第 86 号 ) 答 申 日 : 平 成 20 年 1 月 30 日 ( 平 成 19 年 度 ( 行 個 ) 答 申 第 94 号 ) 事 件 名 : 本 人 に 係 る 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 の 不 開 示 決 定 ( 存 否 応 答 拒 否 )に 関 する 件 答 申 書 第 1 審 査 会 の 結 論 社 会 保 険 庁 長 官 から 特 定 税 務 署 長 に 提 出 された 平 成 15 年 分 から18 年 分 までの 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 に 記 載 された 保 有 個 人 情 報 ( 以 下 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 という )につき,その 存 否 を 明 らかにしないで 開 示 請 求 を 拒 否 した 決 定 は, 妥 当 である 第 2 審 査 請 求 人 の 主 張 の 要 旨 1 審 査 請 求 の 趣 旨 行 政 機 関 の 保 有 する 個 人 情 報 の 保 護 に 関 する 法 律 ( 以 下 法 という ) 12 条 1 項 の 規 定 に 基 づく 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 開 示 請 求 に 対 し, 板 橋 税 務 署 長 ( 以 下 処 分 庁 という )が 平 成 19 年 6 月 11 日 付 け 板 総 総 1 29 号 により 行 った 不 開 示 決 定 ( 以 下 原 処 分 という )について,その 取 消 しを 求 める 2 審 査 請 求 の 理 由 審 査 請 求 人 の 主 張 する 審 査 請 求 の 理 由 は, 審 査 請 求 書 及 び 意 見 書 の 記 載 によると,おおむね 以 下 のとおりである 財 産 権 及 び 生 活 保 障 の 年 金 受 給 権 に 未 振 込 分 等 が 発 生 しているため, 開 示 請 求 をする 社 会 保 険 庁 長 官 が 国 税 局 へ 年 払 い 金 を 通 知 すると 聴 き, 開 示 請 求 したが, 開 示 請 求 に 対 し, 処 分 庁 は 開 示 を 拒 否 する 理 由 がないと 思 う 早 急 に 開 示 するよう 申 し 立 てる 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 の 対 象 保 有 個 人 情 報 について 本 件 開 示 請 求 は, 社 会 保 険 庁 長 官 から 特 定 税 務 署 長 に 提 出 された 開 示 請 求 者 に 係 る 平 成 15 年 8 月 分 から 平 成 18 年 12 月 分 までの 合 計 年 金 支 払 額 の 分 かるもの( 平 成 15 年 分 から18 年 分 の 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 ) の 開 示 を 求 めるものである 処 分 庁 が 行 った 原 処 分 において, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 存 否 を 答 える ことにより, 国 税 当 局 が 開 示 請 求 者 に 係 る 資 料 を 保 有 しているか 否 かとい - 1 -

う, 法 14 条 7 号 柱 書 き 及 び 同 号 イの 不 開 示 情 報 が 明 らかとなるため, 法 17 条 の 規 定 により 開 示 請 求 を 拒 否 している 以 下, 原 処 分 の 妥 当 性 について 検 討 する 2 源 泉 徴 収 票 について 源 泉 徴 収 票 は, 国 税 当 局 が 課 税 標 準 の 的 確 な 把 握 を 行 い 適 正 公 平 な 課 税 を 実 現 できるように, 給 与 等 の 支 払 をする 者 にその 年 において 支 払 の 確 定 した 給 与 等 の 源 泉 徴 収 票 の 提 出 を 義 務 付 けているものであり, 具 体 的 に は, 所 得 税 法 226 条 に 基 づき,その 年 において 支 払 の 確 定 した 給 与, 退 職 手 当, 公 的 年 金 等 について 一 定 の 支 払 をする 者 が,その 支 払 の 確 定 した 日 の 属 する 翌 年 1 月 31 日 まで( 年 の 中 途 において 退 職 した 者 に 係 る 給 与 所 得 の 源 泉 徴 収 票 及 び 退 職 所 得 の 源 泉 徴 収 票 については, 原 則 として 退 職 の 日 以 後 1 月 以 内 )に 当 該 支 払 に 関 する 源 泉 徴 収 票 を, 支 払 を 受 けた 者 の 各 人 別 に 作 成 し, 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 するものである このうち, 所 得 税 法 226 条 3 項 に 基 づいて 公 的 年 金 等 の 支 払 者 から 提 出 される 源 泉 徴 収 票 ( 以 下 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 という )には, 公 的 年 金 の 支 払 を 受 ける 者 の 住 所, 氏 名, 生 年 月 日, 支 払 金 額, 源 泉 徴 収 税 額 などが 記 載 される なお, 所 得 税 法 施 行 規 則 94 条 の2 第 2 項 において, 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 については, 一 定 の 金 額 基 準 を 設 けて, 少 額 な 支 払 金 額 等 について は 源 泉 徴 収 票 の 提 出 を 要 しないことが 定 められている 国 税 当 局 では,このような 法 律 で 提 出 義 務 が 定 められた 源 泉 徴 収 票 やそ の 他 の 支 払 調 書 等 をはじめとする 各 種 資 料 情 報 を 基 にして, 納 税 者 が 提 出 した 申 告 書 等 の 内 容 が 適 正 かどうかを 確 認 し, 申 告 漏 れ 等 の 誤 りがある 場 合 には, 必 要 に 応 じて 調 査 を 実 施 するなどして 是 正 を 行 い, 適 正 公 平 な 課 税 の 実 現 に 努 めているところである 3 法 14 条 7 号 該 当 性 について 国 税 当 局 が 保 有 している 資 料 情 報 の 存 否 について 答 えることは, 国 税 当 局 が 開 示 請 求 者 に 関 する 特 定 の 取 引 情 報 を 把 握 しているか 否 かという 事 実 や, 特 定 の 取 引 に 係 る 対 価 の 支 払 者 が 当 該 取 引 に 係 る 資 料 情 報 を 国 税 当 局 に 提 出 したか 否 かという 事 実 を 明 らかにする 結 果 を 生 ずるものと 認 められ る 国 税 当 局 が 開 示 請 求 者 に 関 する 特 定 の 資 料 情 報 を 保 有 しているか 否 かと いう 事 実 を 開 示 請 求 者 本 人 に 明 らかにした 場 合 には, 例 えば, 開 示 請 求 者 において 国 税 当 局 が 資 料 情 報 を 保 有 している 場 合 にのみこれに 係 る 収 入 を 申 告 し, 国 税 当 局 がこれを 保 有 していない 場 合 については 申 告 しないとい った 課 税 逃 れの 行 為 を 助 長 することになりかねない 仮 に, 国 税 当 局 が 開 示 請 求 の 対 象 とされた 特 定 の 資 料 情 報 ( 本 件 では 公 - 2 -

的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 )を 保 有 しておらず, 不 存 在 の 不 開 示 決 定 を 行 った 場 合 には, 国 税 当 局 が 開 示 請 求 者 に 係 る 特 定 の 収 入 を 把 握 していないこと を 当 該 開 示 請 求 者 に 知 らしめる 結 果 となり, 開 示 請 求 者 において 国 税 当 局 が 保 有 していない 資 料 情 報 に 係 る 収 入 を 申 告 しないなど, 当 該 取 引 に 係 る 申 告 を 適 正 に 行 わない 行 為 を 助 長 するおそれがあるものと 認 められる また, 特 定 の 取 引 に 係 る 対 価 の 支 払 者 が 当 該 取 引 に 係 る 資 料 情 報 を 国 税 当 局 に 提 出 したか 否 かという 事 実 を 明 らかにした 場 合 には, 開 示 請 求 者 と 資 料 情 報 の 提 出 者 との 間 に 無 用 の 混 乱 や 紛 争 等 を 生 じせしめたり, 源 泉 徴 収 票 やその 他 の 支 払 調 書 等 の 提 出 義 務 者 に 対 して 支 払 調 書 等 を 提 出 しない よう 圧 力 がかかるなどにより, 提 出 義 務 者 がこれを 嫌 忌 する 場 合 もあり 得 るものと 認 められる 以 上 のような 事 態 が 生 じた 場 合 には, 源 泉 徴 収 票 やその 他 の 支 払 調 書 等 の 提 出 制 度 の 実 効 性 が 損 なわれ, 租 税 の 賦 課, 徴 収 に 係 る 事 務 に 関 し, 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 を 容 易 に し, 若 しくはその 発 見 を 困 難 にするおそれがあるだけでなく,ひいては 国 税 当 局 の 調 査 事 務 等 の 適 正 な 遂 行 に 重 大 な 支 障 を 及 ぼすおそれがあるもの と 認 められる したがって, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 は,その 存 否 を 答 えるだけで, 法 1 4 条 7 号 柱 書 き 及 びイに 規 定 する 不 開 示 情 報 を 開 示 することとなるので, 法 17 条 に 基 づき, 処 分 庁 が 開 示 請 求 を 拒 否 した 不 開 示 決 定 は 妥 当 である 第 4 調 査 審 議 の 経 過 当 審 査 会 は, 本 件 諮 問 事 件 について, 以 下 のとおり, 調 査 審 議 を 行 った 1 平 成 19 年 9 月 6 日 諮 問 の 受 理 2 同 日 諮 問 庁 から 理 由 説 明 書 を 収 受 3 同 年 10 月 9 日 審 査 請 求 人 から 意 見 書 を 収 受 4 同 年 11 月 29 日 審 査 請 求 人 から 意 見 書 を 収 受 5 同 年 12 月 10 日 審 議 6 平 成 20 年 1 月 28 日 審 議 第 5 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 支 払 調 書 制 度 について (1) 所 得 税 法 225 条 ( 支 払 調 書 及 び 支 払 通 知 書 ), 同 226 条 ( 源 泉 徴 収 票 ) 等 によれば, 国 内 において 利 子, 配 当, 報 酬 料 金 等 の 一 定 の 支 払 を する 者 は, 各 人 別 にその 支 払 に 関 する 調 書 ( 支 払 調 書 ), 源 泉 徴 収 票 等 を 作 成 し,その 支 払 の 確 定 した 日 の 属 する 年 の 翌 年 1 月 31 日 までに 所 轄 税 務 署 長 に 提 出 しなければならないとされている このような 支 払 調 書 制 度 は, 所 得 税 法 のほか, 相 続 税 法, 租 税 特 別 措 置 法 及 び 内 国 税 の 適 正 な 課 税 の 確 保 を 図 るための 国 外 送 金 等 に 係 る 調 書 - 3 -

の 提 出 等 に 関 する 法 律 においても 定 められている また, 所 得 税 法 施 行 規 則 等 により, 各 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 の 様 式 や 記 載 内 容 が 定 められているほか, 一 定 の 金 額 以 下 の 支 払 に 係 るものに ついてはその 提 出 を 要 しないこととされている (2) 諮 問 庁 によれば, 国 税 当 局 においては,このような 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 を 始 め, 各 種 の 手 段 で 収 集 した 資 料 情 報 を 基 に 納 税 者 の 申 告 内 容 を 審 査 し, 税 務 調 査 の 対 象 者 の 選 定 等 を 行 っているとのことである 以 上 のことから, 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 は, 給 与 等 の 支 払 をした 者 を 提 出 義 務 者 とすることにより, 当 該 支 払 を 受 けた 者 に 対 して 適 正 申 告 の 促 進 効 果 をもたらすものでもあると 同 時 に, 国 税 当 局 において 当 該 支 払 いを 受 けた 者 の 申 告 が 適 正 なものであるかどうかを 確 認 するための 重 要 な 手 掛 かりとなるものであり, 支 払 調 書 制 度 は 申 告 納 税 制 度 の 下 で 適 正 公 平 な 課 税 を 実 現 する 上 で 不 可 欠 な 役 割 を 担 っていると 言 える 2 本 件 開 示 請 求 及 び 原 処 分 について 本 件 開 示 請 求 は, 保 有 個 人 情 報 開 示 請 求 書 及 び 同 補 正 書 に, 国 民 年 金, 厚 生 年 金 保 険 の 受 給 額 確 認 書, 平 成 15 年 度 分, 同 16 年, 同 17 年, 同 18 年 分, 社 会 保 険 庁 長 官 からの 書 面 として, 平 成 15 年 8 月 から 平 成 18 年 12 月 分 まで, 合 計 年 金 支 払 額 の 開 示 等 と 記 載 されていることか ら, 処 分 庁 が 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 として 特 定 した, 社 会 保 険 庁 から 税 務 署 に 提 出 された 平 成 15 年 8 月 分 から 平 成 18 年 12 月 分 までの 合 計 年 金 支 払 額 の 分 かるもの( 平 成 15 年 分 から18 年 分 までの 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 )に 記 載 された 保 有 個 人 情 報 の 開 示 を 求 めるものであると 認 められ る 処 分 庁 は, 本 件 開 示 請 求 に 対 し, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 については,そ の 存 否 を 答 えることにより, 国 税 当 局 が 開 示 請 求 者 である 審 査 請 求 人 に 係 る 資 料 を 保 有 しているか 否 かという 法 14 条 7 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 が 明 らかになるとして, 法 17 条 に 基 づき 開 示 請 求 を 拒 否 しており, 諮 問 庁 も 原 処 分 は 妥 当 であるとしている 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 は, 上 記 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 に 記 載 された 審 査 請 求 人 に 係 る 保 有 個 人 情 報 であり,その 存 否 を 答 えることは, 国 税 当 局 が 当 該 源 泉 徴 収 票 を 保 有 しているか 否 かを 明 らかにすることとなると 認 め られることから, 以 下, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 存 否 応 答 拒 否 の 妥 当 性 に ついて 検 討 する 3 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 存 否 応 答 拒 否 について 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 は, 上 記 1(2)のとおり, 納 税 者 の 申 告 内 容 が 適 正 かどうかを 審 査 するための 重 要 な 手 掛 かりとなるものであり, 主 に 税 務 調 査 の 対 象 者 の 選 定 に 活 用 されるものであることからすれば, 国 税 当 - 4 -

局 が 申 告 内 容 の 適 否 の 審 査 を 行 う 対 象 者 本 人 に 対 して,その 者 に 関 する 支 払 調 書 を 保 有 しているか 否 かを 答 えることは, 審 査 の 材 料 を 持 っているか どうかという 手 の 内 を 明 かす 結 果 となるものであると 認 められる 特 に, 国 税 当 局 が 特 定 の 納 税 者 に 係 る 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 を 保 有 し ていない 場 合, 当 該 納 税 者 本 人 に 対 してその 旨 を 答 えたときには, 当 該 納 税 者 においては, 同 人 に 係 る 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 が 税 務 署 に 提 出 され ていないという 事 実 が 明 らかとなり, 国 税 当 局 が 同 人 に 対 する 一 定 の 支 払 を 受 ける 特 定 の 取 引 等 による 所 得 を 把 握 していないことを 容 易 に 推 察 し 得 ることになる そうすると, 当 該 納 税 者 等 においては, 当 該 所 得 をその 申 告 対 象 から 除 外 したりするなど, 申 告 納 税 に 当 たっての 不 正 を 促 進 するお それがあるものと 認 められる このことは, 本 件 においても 同 様 であり, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 存 否 を 答 えることにより, 租 税 の 賦 課 又 は 徴 収 に 係 る 事 務 に 関 し, 国 税 当 局 に よる 正 確 な 事 実 の 把 握 を 困 難 にするおそれ 又 は 違 法 若 しくは 不 当 な 行 為 を 容 易 にし, 若 しくはその 発 見 を 困 難 にするおそれがあるものと 認 められる 加 えて, 上 記 のとおり, 支 払 調 書, 源 泉 徴 収 票 等 の 法 定 資 料 が 申 告 納 税 制 度 の 下 で 国 税 当 局 による 適 正 公 平 な 課 税 を 実 現 する 上 で 不 可 欠 な 役 割 を 担 っていることを 考 慮 すれば, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 のような 納 税 者 本 人 に 係 る 公 的 年 金 等 の 源 泉 徴 収 票 の 存 否 に 関 する 情 報 について, 逐 一, 開 示 請 求 に 応 じて 答 えていくとした 場 合 には, 支 払 調 書 制 度 の 運 用 を 阻 害 し, 税 務 行 政 の 適 正 な 遂 行 に 支 障 を 及 ぼすおそれがあることも 否 定 できない したがって, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 の 存 否 を 答 えるだけで, 法 14 条 7 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 を 開 示 することとなるため, 法 17 条 の 規 定 により 本 件 開 示 請 求 を 拒 否 すべきものと 認 められる 4 審 査 請 求 人 のその 他 の 主 張 について 審 査 請 求 人 は,その 他 種 々 主 張 するが,いずれも 当 審 査 会 の 上 記 判 断 を 左 右 するものではない 5 本 件 不 開 示 決 定 の 妥 当 性 について 以 上 のことから, 本 件 対 象 保 有 個 人 情 報 につき,その 存 否 を 答 えるだけ で 開 示 することとなる 情 報 は, 法 14 条 7 号 柱 書 き 及 びイに 該 当 するとし て,その 存 否 を 明 らかにしないで 開 示 請 求 を 拒 否 した 決 定 については, 当 該 情 報 は 同 号 柱 書 き 及 びイに 該 当 すると 認 められるので, 妥 当 であると 判 断 した ( 第 5 部 会 ) 委 員 上 村 直 子, 委 員 稲 葉 馨, 委 員 新 美 育 文 - 5 -