この 章 では もしも こういう 状 況 になったら 練 馬 区 にどのよう な 影 響 を 及 ぼすのでしょうか? ということを3つのテーマでご 紹 介 します 1 もしも 練 馬 区 が 普 通 地 方 公 共 団 体 だったら? 現 在 私 たち 練 馬 区 をはじめとする 23 区 は 特 別 地 方 公 共 団 体 と 呼 ばれ 市 に 準 ずる 基 礎 的 な 地 方 公 共 団 体 として 位 置 づけられています では 普 通 地 方 公 共 団 体 とはどのような 点 が 異 なっているのかを 見 てみましょう 2 もしも 練 馬 区 の 人 口 構 造 がこうなってしまったら? 近 年 少 子 高 齢 に 関 する 社 会 問 題 が 数 多 く 取 り 挙 げられています ますます 進 行 すると 言 われて いる 少 子 高 齢 社 会 は どのような 影 響 を 及 ぼすの か 考 えてみましょう 3 もしも 練 馬 区 に 企 業 を 誘 致 したら? 地 域 の 経 済 活 性 化 のためのひとつの 手 段 として よく 企 業 誘 致 を! と 言 われることがあります そこで 企 業 誘 致 による 経 済 効 果 とそのしくみを ご 紹 介 します では 順 にご 紹 介 しましょう 33
練 馬 区 は 他 の 市 町 村 と 同 じように 住 民 に 最 も 身 近 な 行 政 を 行 う 基 礎 的 な 地 方 公 共 団 体 です しかし 練 馬 区 など 東 京 23 区 には 市 町 村 と 異 なる 点 がふたつ あります 特 別 区 ( 東 京 23 区 )の 区 域 では 1 市 町 村 が 行 う 事 務 の 一 部 を 東 京 都 が 行 っています たとえば 消 防 や 上 下 水 道 などです 2 市 町 村 が 徴 収 している 税 金 の 一 部 を 東 京 都 が 徴 収 して います たとえば 固 定 資 産 税 や 法 人 住 民 税 などです そこで もしも 練 馬 区 が 普 通 地 方 公 共 団 体 だったら 区 の 収 入 は 増 えるので しょうか? 減 るのでしょうか? 練 馬 区 の 収 入 は 193 億 円 の 減 収 となります これは 現 行 の 都 区 財 政 調 整 制 度 による 収 入 ( 一 般 財 源 )と 特 別 区 が 地 方 交 付 税 制 度 の 適 用 を 受 けると 仮 定 した 場 合 の 収 入 ( 一 般 財 源 )とを 比 較 したものです 本 編 では 現 行 の 都 区 財 政 調 整 制 度 の 仕 組 みの 解 説 とともに 地 方 交 付 税 制 度 を 適 用 した 場 合 特 別 区 の 歳 入 にどのような 影 響 を 与 える かについてご 紹 介 します 34
はじめに 都 と 特 別 区 市 町 村 の 事 務 の 分 担 と 特 別 区 と 市 町 村 の 財 源 の 違 いを 見 てみましょう イメージ 図 東 京 都 の 事 務 消 防 な ど 消 防 な ど 保 健 所 設 置 上 下 水 道 上 下 水 道 市 町 村 の 事 務 特 別 区 の 事 務 財 源 地 方 交 付 税 交 特 別 区 財 付 政 調 整 金 財 政 調 整 機 能 財 源 保 障 機 能 地 方 交 付 税 と 都 区 財 政 調 整 交 付 金 は 同 じ 役 割 を 果 たしているようです では なぜ 特 別 区 は 都 区 財 政 調 整 制 度 なのでしょうか? そのまえに 特 別 区 ( 東 京 23 区 ) 以 外 にも 区 と 呼 ばれるところがあり ますね たとえば 横 浜 市 には 10 以 上 の 区 がありますが それ らは 行 政 区 と 呼 ばれ 普 通 地 方 公 共 団 体 である 横 浜 市 が 設 け ることができる 区 域 の 名 称 なのです 特 別 区 は 長 い 間 東 京 都 の 内 部 団 体 と 位 置 づけられてきまし たが 平 成 12 年 の 都 区 制 度 改 革 によって 市 に 準 ずる 基 礎 的 な 地 方 公 共 団 体 ( 特 別 地 方 公 共 団 体 )となりました 区 の 名 称 は 変 わっていませんが 23 区 は 個 々に 独 立 した 市 町 村 と 同 じです しかし 前 述 のように 特 別 区 の 区 域 において 市 町 村 が 行 うべき 事 務 の 一 部 を 都 が 行 っています これは 他 の 大 都 市 にはない 東 京 都 と 特 別 区 の 役 割 分 担 です そこで 都 区 財 政 調 整 という 独 自 の 制 度 によって 都 区 間 の 財 源 調 整 などを 行 っています 35
都 区 財 政 調 整 制 度 の 仕 組 み 特 別 区 への 交 付 金 の 内 訳 は 普 通 交 付 金 95% 特 別 交 付 金 5% 市 町 村 民 税 法 人 分 固 定 資 産 税 特 別 土 地 保 有 税 の 3 税 を 調 整 のための 財 源 としています ( 調 整 3 税 ) 特 別 区 と 都 の 配 分 割 合 は 55:45 です 財 源 配 分 都 区 財 政 調 整 制 度 機 能 1 都 と 特 別 区 の 役 割 分 担 に 応 じた 都 区 間 の 財 源 配 分 を 行 う 2 特 別 区 間 の 行 政 水 準 の 均 衡 が 図 れるように 各 区 に 財 源 配 分 を 行 う 特 別 区 の 行 政 の 自 主 的 かつ 計 画 的 な 運 営 を 確 保 することができます 交 付 金 の 算 定 方 法 財 政 調 整 交 付 金 = 普 通 交 付 金 + 特 別 交 付 金 1 普 通 交 付 金 = 基 準 財 政 需 要 額 - 基 準 財 政 収 入 額 基 準 財 政 需 要 額 各 区 が 標 準 的 な 行 政 を 合 理 的 な 水 準 で 実 施 した 場 合 に 必 要 な 一 般 財 源 の 額 です 基 準 財 政 収 入 額 基 準 財 政 需 要 額 に 対 して 標 準 的 に 得 られる 税 収 や 国 からの 交 付 金 などの 額 です 普 通 交 付 金 は 各 区 が 標 準 的 な 行 政 サービスを 行 ううえで 必 要 な 歳 入 (= 財 源 )を 補 う 交 付 金 です 2 特 別 交 付 金 災 害 等 にかかる 経 費 や 普 通 交 付 金 の 対 象 とならない 特 別 な 財 政 需 要 に 対 する 交 付 金 です 36
平 成 19 年 度 財 政 調 整 交 付 金 交 付 額 と 歳 入 総 額 に 占 める 割 合 ( 億 円 ) 1200 1000 800 600 400 200 0 財 政 調 整 交 付 金 歳 入 総 額 に 占 める 割 合 (%) 23 区 平 均 50 44.0 44.2 42.4 43.7 42.6 32.7% 39.5 39.5 37.8 37.3 練 馬 区 40 33.6 34.1 36.6 33.4 30.0 32.1 30 23.1 20.3 25.4 22.8 20.1 15.0 20 足 江 練 大 葛 板 江 北 世 品 杉 墨 荒 中 台 豊 新 文 目 中 渋 立 戸 馬 田 飾 橋 東 田 川 並 田 川 野 東 島 宿 京 黒 央 谷 川 谷 10.2 7.0 千 港 代 田 10 0 グラフから 平 成 19 年 度 の 財 政 調 整 交 付 金 総 額 1 兆 176 億 円 普 通 交 付 金 9,667 億 円 特 別 交 付 金 509 億 円 交 付 額 は 最 も 多 い 区 と 最 も 少 ない 区 の 差 が 960 億 円 にも 及 びます 歳 入 総 額 に 占 める 財 政 調 整 交 付 金 の 割 合 も 4 割 を 超 える 区 がある 一 方 で 1 割 に 満 たない 区 もあります また 交 付 額 が 多 い 区 が 必 ずしも 割 合 が 高 いとは 言 えないこ とがグラフから 読 み 取 れます このことは 区 によって 歳 入 構 造 ( 特 別 区 民 税 の 占 める 割 合 が 多 いなど)が 異 なっていることを 表 しています 練 馬 区 交 付 額 821 億 円 23 区 中 3 番 目 に 多 い 区 歳 入 総 額 に 占 める 割 合 37.8% 23 区 中 8 番 目 に 高 い 区 19 年 度 の 交 付 額 は 景 気 回 復 による 企 業 収 益 の 増 加 を 反 映 して 過 去 最 高 額 でした ちなみに 14 年 度 の 練 馬 区 の 交 付 額 は 617 億 円 です この 間 の 法 人 税 収 は 約 2 倍 に 増 えていること から 景 気 の 影 響 を 受 けやすいと 言 えます 37
地 方 交 付 税 制 度 の 仕 組 み 機 能 地 方 団 体 間 の 財 政 力 格 差 を 解 消 する( 財 政 調 整 機 能 )ととも に 国 税 の 一 定 割 合 を 地 方 財 源 とし 地 方 団 体 の 行 政 の 自 主 的 計 画 的 は 運 営 を 保 障 ( 財 源 保 障 機 能 )する 財 源 所 得 税 酒 税 法 人 税 消 費 税 たばこ 税 ( 国 税 5 税 )の 一 定 割 合 ただし 交 付 額 をまかないきれない 分 を 臨 時 財 政 対 策 債 ( 赤 字 地 方 債 )に 振 り 替 えています ( 下 記 をご 覧 ください) 対 象 団 体 都 道 府 県 および 市 町 村 東 京 都 の 普 通 交 付 税 は 東 京 都 と 特 別 区 をあわせて 1 団 体 とみなして 算 定 が 行 われています 交 付 税 の 算 定 方 法 普 通 交 付 税 = 基 準 財 政 需 要 額 - 基 準 財 政 収 入 額 需 要 額 収 入 額 は 財 政 調 整 制 度 とは 異 なる 基 準 に よって 算 定 されています 基 準 財 政 需 要 額 の 一 部 は 臨 時 財 政 対 策 債 に 振 り 替 え られています ( 普 通 交 付 税 は 臨 時 財 政 対 策 債 分 を 差 し 引 かれて 交 付 されています) 特 別 交 付 税 は 普 通 交 付 税 対 象 以 外 の 特 別 な 財 政 需 要 交 付 税 総 額 に 対 する 交 付 割 合 は 普 通 交 付 税 94% : 特 別 交 付 税 6% 地 方 財 政 計 画 の 縮 減 と 臨 時 財 政 対 策 債 地 方 交 付 税 では 国 が 毎 年 定 める 地 方 財 政 計 画 によって 交 付 税 総 額 を 決 定 しています 12 年 度 までは 国 税 5 税 でまかなえず に 不 足 が 生 じた 場 合 国 が 財 源 を 補 てんして 地 方 に 配 分 してい ました しかし 13 年 度 から 財 源 不 足 分 は 地 方 団 体 自 らが 臨 時 財 政 対 策 債 ( 借 金 )によってまかなうこととされました そ の 代 わり 借 金 の 返 済 分 は 基 準 財 政 需 要 額 に 含 める という 仕 組 みです なお 臨 時 財 政 対 策 債 の 発 行 可 能 額 は 全 団 体 に 対 し 割 り 当 てられていますが 発 行 するかどうかは 地 方 団 体 に 委 ね られています 38
都 区 財 政 調 整 制 度 ( 普 通 交 付 金 )と 地 方 交 付 税 制 度 ( 普 通 交 付 税 )を 適 用 した 場 合 の 交 付 額 の 比 較 と 歳 入 ( 一 般 財 源 )の 差 ( 平 成 17 年 度 決 算 額 をもとに 算 出 しています) ( 億 円 ) 1500 地 方 交 付 税 ( 普 通 交 付 税 交 付 額 ) 財 政 調 整 交 付 金 ( 普 通 交 付 金 交 付 額 ) 都 区 財 政 調 整 制 度 と 地 方 交 付 税 制 度 を 適 用 した 場 合 の 一 般 財 源 の 差 ( 億 円 ) 1500 1200 1200 900 900 600 600 300 300 0 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S 練 馬 T U V 0-300 193-300 -600 グラフから ( 区 ) -600 都 区 財 政 調 整 交 付 金 交 付 区 21 区 不 交 付 区 2 区 地 方 交 付 税 交 付 金 交 付 区 12 区 不 交 付 区 11 区 両 制 度 の 一 般 財 源 の 差 プラス 5 区 マイナス 18 区 地 方 交 付 税 制 度 を 適 用 した 場 合 財 政 調 整 交 付 金 の 交 付 を 受 け ている 21 区 中 9 区 が 不 交 付 となります 交 付 を 受 けられる 12 区 もすべて 財 政 調 整 交 付 金 を 下 回 る 交 付 額 となります 各 区 の 一 般 財 源 総 額 という 視 点 では 地 方 交 付 税 制 度 を 適 用 す ることで 増 える 区 が 5 区 他 18 区 は 2 億 ~365 億 円 の 減 収 となります 練 馬 区 は 193 億 円 の 減 収 です これは 都 税 と して 徴 収 されている 固 定 資 産 税 等 を 各 区 の 歳 入 とした 場 合 か なりの 格 差 が 生 じるためです 39
ちなみに 東 京 都 普 通 交 付 税 の 算 定 結 果 ( 平 成 19 年 度 ) 端 数 調 整 を 行 っていないため 合 計 欄 の 数 値 は 一 致 しません ( 単 位 : 億 円 ) 基 準 財 政 需 要 額 基 準 財 政 収 入 額 財 源 超 過 額 道 府 県 分 17,147 24,240 7,093 大 都 市 分 14,012 23,135 9,123 東 京 都 分 合 計 31,160 47,375 16,215 道 府 県 分 東 京 都 が 行 う 道 府 県 行 政 分 の 算 定 額 大 都 市 分 特 別 区 区 域 内 において 東 京 都 および 特 別 区 が 行 う 市 町 村 行 政 分 の 算 定 額 東 京 都 の 普 通 交 付 税 の 算 定 結 果 では 上 記 のように 1.6 兆 円 もの 財 源 超 過 と され その 結 果 不 交 付 団 体 となっています 地 方 交 付 税 の 算 定 においては 各 団 体 の 規 模 などに 応 じた 割 り 増 し 等 の 補 正 ( 調 整 )がなされますが この 補 正 が 適 切 に 反 映 されていないことが 要 因 です まとめ 都 区 制 度 を 主 に 財 政 面 から 見 ていただきました 平 成 12 年 の 都 区 制 度 改 革 によって 特 別 区 は 基 礎 的 自 治 体 となりまし た しかし 都 区 の 役 割 分 担 は 原 則 として 定 められたものの 今 も 都 区 間 で 協 議 が 行 われているように 決 して 確 定 したわけではありません 今 後 さらに 東 京 という 大 都 市 地 域 に 相 応 しい 都 区 の 役 割 分 担 に 伴 う 事 務 配 分 を 財 源 配 分 とともに 整 理 することが 課 題 とされています また 地 方 交 付 税 制 度 を 適 用 した 場 合 の 特 別 区 の 交 付 額 ( 試 算 )では 区 間 にある 格 差 が 大 きなものであることが 見 てとれます 都 区 の 財 政 調 整 制 度 は こうした 特 別 区 間 の 地 域 格 差 を 補 い 区 間 の 財 源 の 均 衡 化 を 図 る 大 切 な 機 能 を 果 たしています 37 ページのグラフのとおり 練 馬 区 の 歳 入 における 財 政 調 整 交 付 金 の 占 める 割 合 は4 割 近 く 欠 くことができない 貴 重 な 財 源 となっていま す 本 編 は つぎの 資 料 を 引 用 参 照 させていただき 作 成 いたしました 財 団 法 人 特 別 区 協 議 会 ( 都 区 財 政 調 整 制 度 地 方 交 付 税 制 度 ) 特 別 区 長 会 事 務 局 ( 都 区 財 政 調 整 制 度 ) 東 京 都 財 務 局 ( 普 通 交 付 税 算 定 ) 40
日 本 の 人 口 は 平 成 16 年 12 月 の 1 億 2783 万 8000 人 をピー クに 減 少 に 転 じています さらに 子 どもが 減 り 高 齢 者 が 増 える という 少 子 高 齢 社 会 を 迎 え さまざまな 問 題 が 取 り 上 げられています 練 馬 区 では 平 成 20 年 4 月 にはじめて 人 口 70 万 人 に 達 しまし たが 区 の 人 口 は この 先 どのように 推 移 するのでしょうか 練 馬 区 の 将 来 人 口 推 計 ( 平 成 20 年 度 ~ 平 成 37 年 度 ) 14 歳 以 下 人 口 15~64 歳 人 口 65 歳 以 上 人 口 ( 人 ) 800,000 697,174 745,874 600,000 129,077 150,482 155,507 156,754 400,000 478,593 484,412 492,556 499,870 200,000 0 89,504 89,403 89,306 89,250 ( 年 度 ) H20 H27 H32 H37 もしも 上 記 のグラフのように 人 口 が 推 移 したら 区 税 収 入 は 増 えるので しょうか? 減 るのでしょうか? また 少 子 高 齢 社 会 はどのような 影 響 を 及 ぼしているのでしょうか? 練 馬 区 の 区 税 収 入 は72 億 円 の 増 収 となります 一 方 生 活 保 護 費 などの 扶 助 費 の 支 出 は 第 2 章 (20 ページ)で ご 覧 いただいたように23 億 円 の 増 加 となります 本 編 では 日 本 の 人 口 推 計 を 見 ながら 人 口 構 造 の 変 化 が 及 ぼす さまざまな 影 響 について 考 えてみました 41
少 子 化 の 進 行 1970 年 代 前 半 には 毎 年 200 万 人 の 子 どもたちが 生 まれていまし た その 後 出 生 数 は 減 り 続 け 2007 年 に 生 まれた 子 どもたちは わずか 109 万 人 でした 2005 年 14 歳 以 下 の 子 どもたちの 人 口 は 1,759 万 人 ですが 2039 年 には 1,000 万 人 を 下 回 り 2055 年 には 750 万 人 まで 減 少 するとの 推 計 もあります 1 合 計 特 殊 出 生 率 ひとりの 女 性 が 一 生 のあいだに 生 む 子 どもの 数 を 示 す 統 計 上 の 指 標 です 1989( 平 成 元 ) 年 に 1966( 昭 和 41) 年 の ひのえうま の 年 の 数 値 1.58 を 下 回 る 1.57 となり 少 子 化 がクローズアップされること となりました さらに 2005 年 には 過 去 最 低 の 1.26 まで 低 下 しました 今 後 1.2 ポイント 台 で 推 移 するものと 見 込 まれています 2.00 1.50 1.00 1.91 1.75 1.76 国 都 区 1.54 1.42 1.36 1.23 1.13 1.12 1.11 1.07 1.26 1.02 1.00 0.50 1975 年 1980 年 1985 年 1990 年 1995 年 2000 年 2005 年 2 どうして 少 子 化 に 少 子 化 の 原 因 は 晩 婚 化 未 婚 化 と 言 われています だけど その 背 景 にはさまざまな 要 因 が 仕 事 と 子 育 てを 両 立 できる 環 境 整 備 の 遅 れ 結 婚 や 子 どもを 持 つことに 関 する 意 識 や 価 値 観 の 変 化 子 育 てに 対 する 負 担 感 の 増 大 経 済 的 負 担 心 理 的 負 担 肉 体 的 負 担 経 済 的 に 不 安 定 な 若 者 の 増 大 42
3 少 子 化 対 策 は 国 平 成 6 年 エンゼルプラン 平 成 7~11 年 度 策 定 平 成 11 年 新 エンゼルプラン 平 成 12~16 年 度 策 定 平 成 15 年 次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 少 子 化 社 会 対 策 基 本 法 制 定 平 成 16 年 少 子 化 社 会 対 策 大 綱 策 定 平 成 17 年 子 ども 子 育 て 応 援 プラン 策 定 (~21 年 度 ) 区 平 成 10 年 子 ども 家 庭 支 援 計 画 ( 練 馬 区 版 エンゼルプラン) 策 定 平 成 17 年 次 世 代 育 成 支 援 行 動 計 画 (~21 年 度 前 期 計 画 ) 策 定 4 少 子 化 の 社 会 的 影 響 は 1 社 会 保 障 などの 制 度 に 与 える 影 響 多 くの 制 度 は 夫 婦 に 子 ども 2 人 世 帯 の 場 合 をひとつの 標 準 的 な 世 帯 の 類 型 として 設 計 されています しかし 十 数 年 後 には 単 独 世 帯 が 3 分 の1を 占 めると 見 込 まれ 制 度 設 計 の 見 直 しを 迫 られています 2 子 どもの 健 全 な 発 育 に 与 える 影 響 子 どもたちは 多 くのコミュニケーションを 通 じて 成 長 してい きます 人 口 の 減 少 は 子 どもの 他 者 との 交 流 とくに 子 ども 同 士 の 交 流 機 会 の 不 足 を 招 き 子 どもの 社 会 性 の 発 達 に 影 響 を 及 ぼすものと 懸 念 されています 3 地 域 社 会 の 生 活 に 与 える 影 響 地 域 において 学 校 はひとつのシンボルです また 子 どもた ちは 地 域 の 活 力 と 言 えます 地 域 から 学 校 がなくなり 子 ども たちの 姿 が 見 えなくなることは 地 域 社 会 の 活 力 を 低 下 させて しまいます 43
高 齢 化 の 進 行 65 歳 以 上 人 口 は 1979 年 にはじめて 1,000 万 人 を 超 えました 1985 年 には 全 人 口 に 占 める 割 合 が 10%を 超 え 2005 年 には 20%に 達 しました この 間 1997 年 には 年 少 人 口 を 上 回 っています 現 在 2,800 万 人 を 超 える 老 年 人 口 は 2042 年 3,800 万 人 ま で 増 加 を 続 け その 後 減 少 に 転 じるとの 推 計 です また 全 人 口 に 占 める 割 合 は 2052 年 には 40%に 達 すると 推 計 されています 1 平 均 寿 命 と 平 均 余 命 厚 生 労 働 省 が 20 年 7 月 に 公 表 した 平 成 19 年 簡 易 生 命 表 によると 平 均 寿 命 は 女 性 85.99 歳 男 性 79.19 歳 また 65 歳 の 方 の 平 均 余 命 は それぞれ 23.6 歳 18.6 歳 ということでした なお 平 均 寿 命 とは 0 歳 の 平 均 余 命 のこととされています ちなみに 昭 和 の 初 めの 平 均 寿 命 は 男 女 とも 45 歳 前 後 でした 平 均 寿 命 平 均 寿 命 男 性 65 歳 の 女 性 65 歳 の ( 歳 ) 男 性 女 性 平 均 余 命 平 均 余 命 ( 歳 ) 90 24 85 80 75 70 65 60 55 50 1955 年 1975 年 1980 年 1985 年 1990 年 1995 年 2000 年 2005 年 22 20 18 16 14 12 10 2 どうして 高 齢 化 に 高 齢 化 の 要 因 は 平 均 寿 命 が 伸 び 65 歳 以 上 の 高 齢 者 が 増 加 ( 絶 対 数 ) 環 境 や 食 生 活 の 改 善 医 療 技 術 の 高 度 化 による 死 亡 率 低 下 少 子 化 の 進 行 により 若 い 年 齢 層 の 人 口 が 減 少 ( 相 対 数 ) 人 口 全 体 に 占 める 65 歳 以 上 の 方 の 割 合 が 増 加 44
3 高 齢 社 会 対 策 は 国 平 成 7 年 高 齢 社 会 対 策 基 本 法 制 定 平 成 8 年 高 齢 社 会 対 策 大 綱 策 定 平 成 16 年 以 降 高 年 齢 者 雇 用 安 定 法 改 正 年 金 制 度 改 革 介 護 保 険 制 度 改 革 医 療 制 度 改 革 など 区 平 成 5 年 福 祉 基 本 計 画 ( 平 成 5~12 年 度 ) 策 定 平 成 12 年 以 降 介 護 保 険 事 業 計 画 高 齢 者 保 健 福 祉 計 画 など 4 高 齢 化 の 社 会 的 影 響 は 1 社 会 保 障 制 度 に 与 える 影 響 年 金 医 療 介 護 などの 社 会 保 障 給 付 費 は 年 々 増 加 していま す 給 付 の 増 加 は いわゆる 現 役 世 代 への 負 担 増 へと 繋 がって います 世 代 間 の 公 平 を 図 り 給 付 と 負 担 のバランスを 確 保 す るための 社 会 保 障 制 度 の 構 築 が 不 可 欠 とされています 2 介 護 問 題 に 与 える 影 響 近 年 高 齢 の 方 が 自 身 の 配 偶 者 や 親 を 介 護 する 世 帯 が 増 えて います 老 老 介 護 が 原 因 の 社 会 事 件 報 道 も 目 にします 高 齢 の 方 が 介 護 をしなければならない 経 済 的 精 神 的 肉 体 的 な 負 担 は 大 きく 介 護 者 をケアする 施 策 が 急 務 となっています 3 労 働 力 人 口 に 与 える 影 響 少 子 高 齢 化 は 労 働 力 不 足 を 招 いています 一 方 で 高 齢 の 方 は 自 らの 技 術 や 経 験 を 活 かして 働 き 続 けたいと 考 えている 人 も 少 なくありません 経 済 社 会 を 維 持 していくためには 高 齢 者 の 雇 用 就 業 機 会 を 確 保 する 仕 組 みの 確 立 が 必 要 です 45
労 働 力 人 口 の 減 少 15 歳 以 上 の 人 で 仕 事 に 就 いている 人 と 失 業 中 の 人 を 合 わせた 数 を 労 働 力 人 口 と 言 います 人 口 の 減 少 により 15 歳 以 上 人 口 は 年 々 減 少 し 2055 年 には 現 在 より 2,800 万 人 少 ない 8,200 万 人 にな ると 推 計 されています 労 働 力 人 口 は 現 在 およそ 6,600 万 人 15 歳 以 上 人 口 の 6 割 です 今 後 中 長 期 的 な 経 済 成 長 の 基 盤 を 確 保 す るためには 労 働 力 人 口 の 減 少 を 抑 えることが 重 要 な 課 題 となって います 労 働 力 人 口 の 推 移 を 見 てみましょう 15-29 歳 30-59 歳 60 歳 以 上 1980 年 1,361 3,762 527 2000 年 1,588 4,260 920 2005 年 1,390 4,370 1,010 2025 年 1,080 3,980 1,240 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 ( 万 人 ) 労 働 力 人 口 減 少 と 社 会 保 障 負 担 社 会 保 障 給 付 費 は 1980 年 には 24.8 兆 円 でしたが 2005 年 に は 87.9 兆 円 まで 増 加 しています これを 労 働 力 人 口 一 人 当 たりの 負 担 で 見 ますと 約 44 万 円 から 約 130 万 円 に 増 加 しています 2005 年 度 の 社 会 保 障 給 付 費 は 5 割 が 社 会 保 険 料 3 割 が 公 費 に よりまかなわれています 公 費 は 私 たちが 納 める 税 金 です 今 後 さらに 増 加 する 社 会 保 障 給 付 費 に 対 応 するため 年 金 や 医 療 などの 社 会 保 険 料 の 負 担 も 増 します 一 方 2007 年 度 末 の 国 の 長 期 債 務 残 高 つまり 累 積 赤 字 は 591 兆 円 です この 赤 字 も 将 来 世 代 の 負 担 となります 将 来 働 く 人 たちの 過 重 な 負 担 とならないような 社 会 保 障 制 度 をはじめとする 各 制 度 の 見 直 しが 急 がれます 46
それでは 41 ページで 触 れました 区 税 収 入 の 推 計 を 見 てみましょう 課 税 対 象 者 数 と 特 別 区 民 税 年 税 額 の 実 績 と 推 計 年 税 額 H20 年 ( 実 績 値 ) 年 税 額 H37 年 ( 推 計 値 ) 課 税 対 象 者 数 H20 年 ( 実 績 値 ) 課 税 対 象 者 数 H37 年 ( 推 計 値 ) 年 税 額 ( 百 万 円 ) 課 税 対 象 者 数 12,000 ( 人 ) 50,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 まとめ 20~24 30~34 40~44 50~54 60~64 70~74 80~84 25~29 35~39 45~49 55~59 65~69 75~79 85 以 上 年 齢 区 分 ( 歳 ) 40,000 30,000 20,000 10,000 0 上 記 のグラフは 年 齢 区 分 ごとの 課 税 対 象 者 の 数 と 1 年 分 の 課 税 額 を 表 し ています 年 齢 区 分 ごとの 年 税 額 は 課 税 対 象 者 数 一 人 当 たり 課 税 額 で 求 められ それを 足 しあわせたものが 区 税 収 入 の 見 込 額 となります 平 成 37 年 度 の 区 税 収 入 の 推 計 は 将 来 の 課 税 対 象 者 数 の 見 込 みと 平 成 20 年 度 の 年 齢 区 分 ごとの 一 人 当 たり 課 税 額 を 掛 け 合 わせることによって 求 めています その 結 果 41ページに 記 載 のとおり 72 億 円 の 増 収 となりま すが 20 年 度 の 課 税 額 は 現 在 の 景 気 後 退 以 前 の 数 値 であることや 将 来 の 税 制 がどのようになっているかなど 加 味 できないので 参 考 数 値 としてご 理 解 ください さて 幸 いにも 練 馬 区 の 人 口 はまだ 増 える 見 込 みとなっています まちの 活 気 は まちに 住 む 人 々によってもたらされます そして それを 応 援 する のが 区 の 役 割 です たくさんの 人 に 住 んでいただくため 練 馬 区 の 良 さ を 区 民 の 皆 様 とともにたくさん 築 いていきたいと 思 います 本 編 は つぎの 資 料 を 引 用 参 照 させていただき 作 成 いたしました 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 ( 将 来 推 計 人 口 社 会 保 障 給 付 費 ) 内 閣 府 政 策 統 括 官 ( 少 子 化 社 会 白 書 高 齢 社 会 白 書 ) 総 務 省 ( 労 働 力 調 査 ) 厚 生 労 働 省 ( 生 命 表 人 口 動 態 統 計 ) 東 京 都 保 健 福 祉 局 ( 人 口 動 態 統 計 ) 47
よく の 経 済 効 果 は 億 円! という 活 字 を 目 にします たとえば 東 京 オリンピックを 開 催 したら 需 要 は 1 兆 2,677 億 円 増 加 します ( 東 京 都 公 式 ホームページから)と 発 表 されています では もしも 練 馬 区 に 企 業 を 誘 致 したら どのような 経 済 効 果 が あるのでしょうか? すべての 効 果 を 算 出 するのは 難 しいのですが ここでは 工 場 建 設 を 例 に 考 えてみました もしも ある 企 業 が 練 馬 区 に 工 場 を 作 ることになりました 工 場 の 建 設 には 100 億 円 かかります すると 195 億 円 の 経 済 波 及 効 果 が 生 じます このうち 東 京 都 内 への 経 済 波 及 効 果 が 131 億 円 東 京 都 以 外 の 地 域 への 経 済 波 及 効 果 が 64 億 円 練 馬 区 への 経 済 波 及 効 果 は 東 京 都 内 分 のうち 100 億 円 です また 練 馬 区 の 経 済 波 及 効 果 (= 生 産 誘 発 額 )100 億 円 のうち 粗 付 加 価 値 誘 発 額 はおよそ 47 億 円 雇 用 者 所 得 誘 発 額 はおよそ 31 億 円 となります といっても この 粗 付 加 価 値 誘 発 額 とか 雇 用 者 所 得 誘 発 額 って いったいどういうものでしょうか? また どうやって 求 めているのでし ょうか? 本 編 では 経 済 波 及 効 果 の 入 門 編 の 入 り 口 あたり をご 紹 介 しましょう 48
経 済 波 及 効 果 とは ある 製 品 に 新 たな 需 要 が 生 じると その 需 要 を 満 たす 生 産 が 行 われ ます その 製 品 の 生 産 活 動 は 製 品 の 原 材 料 などの 取 引 やさまざまな 消 費 活 動 を 通 じて 関 連 する 産 業 にも 波 及 していきます このような 過 程 を 経 済 波 及 効 果 といいます たとえば 新 たに 自 動 車 の 需 要 が 生 じると 自 動 車 の 生 産 タイヤの 生 産 車 体 の 生 産 ガラスの 生 産 関 連 産 業 の 生 産 増 加 ゴムの 生 産 繊 維 の 生 産 鉄 鋼 の 生 産 塗 料 の 生 産 石 英 の 生 産 関 連 産 業 ( 原 材 料 )の 生 産 増 加 このように 自 動 車 の 生 産 という 需 要 を 満 たすための 生 産 が 増 加 します これを 第 一 次 波 及 効 果 といいます さらに 雇 用 者 所 得 の 増 加 生 産 の 増 加 により そこで 働 く 人 の 給 料 が 増 加 すると その 所 得 の 一 部 が 消 費 に 向 けられます 雇 用 者 所 得 の 増 加 により 新 たな 消 費 が 生 まれ 新 たな 需 要 が 発 生 します そ の 需 要 を 満 たすために 各 産 業 の 生 産 が 増 加 します これを 第 二 次 波 及 効 果 といいます 以 上 が 経 済 波 及 効 果 のしくみの 概 要 です つぎに 効 果 額 を 計 るためには 産 業 連 関 表 というものを 使 います 49
産 業 連 関 表 とは それぞれの 産 業 は すべて 他 の 産 業 などから 生 産 に 必 要 な 財 やサー ビスを 購 入 して 生 産 を 行 います また その 生 産 物 は 他 の 産 業 や 家 計 に 販 売 されます 一 定 地 域 において 1 年 間 に 行 われるこうした 産 業 相 互 間 の 経 済 活 動 を 財 やサービスの 取 引 関 係 として 一 覧 表 にまと めたものを 産 業 連 関 表 といいます 産 業 連 関 表 は 取 引 を 金 額 表 示 したものや 経 済 波 及 効 果 を 算 出 する ための 係 数 表 などから 構 成 されています というものですが この 説 明 だけではよくわかりませんね 具 体 的 に 表 の 一 部 を 取 り 出 して 見 てみましょう 例 ) 私 たちが 300 円 のパンを 購 入 するまでの 取 引 関 係 1 取 引 表 ( 生 産 者 価 格 表 ) 供 給 部 門 ( 売 り 手 ) 需 要 部 門 ( 買 い 手 ) ( 単 位 : 円 ) 小 麦 小 麦 粉 パン 家 計 生 産 額 小 麦 0 50 0 0 50 小 麦 粉 0 0 150 0 150 パン 0 0 0 300 300 賃 金 利 益 50 100 150 生 産 額 50 150 300 1 小 麦 の 生 産 者 が 50 円 の 賃 金 利 益 を 上 乗 せして 販 売 2 小 麦 を 買 った 事 業 者 が 100 円 の 賃 金 利 益 を 上 乗 せして 販 売 3 小 麦 粉 を 買 ったパン 屋 さんが 150 円 の 賃 金 利 益 を 上 乗 せして 販 売 表 のタテ( 列 )は ある 産 業 が 製 品 を 生 産 するのに 投 入 した 費 用 や 生 産 活 動 に 伴 い 支 払 っ た 賃 金 営 業 利 益 などが 分 かるようになっています 投 入 した 費 用 にあ たる 部 分 を 中 間 投 入 といい 賃 金 や 利 益 など 生 産 活 動 によって 生 み だされた 価 値 の 部 分 を 粗 付 加 価 値 といいます 表 のヨコ( 行 )は 供 給 側 の 各 産 業 の 生 産 物 がどの 産 業 にどれだけ 売 ったかが 分 かるよう になっています 原 材 料 等 として 販 売 される 部 分 を 中 間 需 要 といい 家 計 などで 最 終 的 に 消 費 される 部 分 を 最 終 需 要 といいます 50
2 投 入 係 数 表 では 1 の 取 引 表 に 表 されている 金 額 について 供 給 部 門 ( 投 入 部 門 ) の 生 産 額 に 着 目 して 各 原 材 料 などの 構 成 比 を 見 てみましょう 生 産 額 を 1 とした 場 合 つぎの 表 のような 構 成 比 となります 小 麦 小 麦 粉 パン 小 麦 0 0.33 0 小 麦 粉 0 0 0.5 パン 0 0 0 賃 金 利 益 1 0.67 0.5 生 産 額 1 1 1 左 の 表 から パンを 100 円 分 生 産 するためには 小 麦 粉 が 50 円 分 必 要 で 50 円 分 の 賃 金 利 益 が 生 じることが 分 かります このように 取 引 表 のタテ 方 向 の 費 用 構 成 に 着 目 して 生 産 物 1 単 位 を 生 産 するために 必 要 な 原 材 料 等 の 構 成 比 を 示 す 係 数 を 投 入 係 数 といいま す また この 投 入 係 数 を 産 業 ごとに 計 算 して 一 覧 表 にしたものが 投 入 係 数 表 です 3 逆 行 列 係 数 表 つぎに 需 要 の 増 加 に 着 目 してみましょう ある 生 産 物 の 需 要 が 1 単 位 増 加 するとその 需 要 を 満 たすために 必 要 な 原 材 料 等 の 生 産 量 がどのくらい になるかというと つぎの 表 のようになります 小 麦 小 麦 粉 パン 小 麦 1 0.33 0.165 小 麦 粉 0 1 0.5 パン 0 0 1 左 の 表 から パンの 需 要 が 1 単 位 増 加 すると 小 麦 粉 の 需 要 が 0.5 単 位 原 材 料 である 小 麦 は 0.165 単 位 増 加 する ことが 分 かります ある 生 産 物 の 需 要 増 は 他 の 生 産 物 の 生 産 量 に 影 響 を 与 えます この 影 響 を 与 える 生 産 量 の 大 きさを 係 数 によって 計 ることができます この 係 数 を 逆 行 列 係 数 といいます また この 係 数 を 産 業 ごとに 計 算 して 一 覧 表 にしたものが 逆 行 列 係 数 表 です 逆 行 列 係 数 表 は 生 産 の 波 及 効 果 を 集 計 した 表 です 実 際 に 逆 行 列 係 数 表 を 使 って 経 済 波 及 効 果 を 求 めてみましょう 51
4 経 済 波 及 効 果 の 求 め 方 逆 行 列 係 数 表 は ある 生 産 物 1 単 位 が 他 の 生 産 物 へ 波 及 するようすを 数 値 化 したものです そこで ある 生 産 物 の 需 要 増 にお 金 をあてはめて 逆 行 列 係 数 表 をかけると 経 済 波 及 効 果 が 求 められるということになります 経 済 波 及 効 果 = 逆 行 列 係 数 表 需 要 では 計 算 の 仕 方 を 見 てみましょう 例 )パンへの 需 要 が 1000 円 分 増 加 しました 逆 行 列 係 数 表 需 要 経 済 波 及 効 果 小 麦 小 麦 粉 パン 小 麦 1 0.33 0.165 0 165 小 麦 粉 0 1 0.5 0 = 500 パン 0 0 1 1000 1000 見 慣 れない 計 算 式 ですね 計 算 の 仕 方 を 分 かりやすくするために 表 の 数 値 を 変 えてみましょう A B C D E 1 4 7 1 9 (1 1)+(4 2)+(7 0) 2 5 8 2 = 12 (2 1)+(5 2)+(8 0) 3 6 9 0 15 (3 1)+(6 2)+(9 0) 1 A 列 の 数 値 は D 列 の 1 に 掛 け 結 果 は E 列 の 対 応 する 行 に 表 します 2 同 様 に B 列 の 数 値 は D 列 2 行 目 の 2 に 掛 け C 列 の 数 値 は D 列 3 行 目 の0に 掛 け 結 果 はそれぞれ E 列 の 対 応 する 行 に 表 します 3 こうして E 列 の 対 応 する 行 に 表 された 数 値 を 合 計 したものが E 列 の 結 果 となります ということで 経 済 波 及 効 果 は パンの 需 要 が 1000 円 増 加 すると 小 麦 が 165 円 小 麦 粉 が 500 円 パンが 1000 円 それぞれ 生 産 が 増 加 します 経 済 波 及 効 果 は 1665 円 となります (この 経 済 効 果 の 部 分 を 生 産 誘 発 額 といいます ) 52
ある 生 産 物 の 需 要 増 に 対 して 他 の 生 産 が 誘 発 されることから 生 産 誘 発 額 と 言 います 経 済 波 及 効 果 は 一 般 的 にこの 生 産 誘 発 額 のことを 言 ってい ます 生 産 に 必 要 な 原 材 料 等 は 地 域 内 外 から 調 達 していることから 地 域 内 と 地 域 外 それぞれの 経 済 波 及 効 果 を 算 出 することによって 純 粋 に 地 域 内 の 経 済 波 及 効 果 を 知 ることができます また 生 産 活 動 を 通 じて 営 業 利 潤 や 働 く 人 の 賃 金 などの 付 加 価 値 も 生 じ ます これら 付 加 価 値 への 誘 発 をまとめて 粗 付 加 価 値 誘 発 額 といいます さらに 付 加 価 値 に 含 まれる 働 く 人 の 賃 金 への 誘 発 を 雇 用 者 所 得 誘 発 額 と 言 います まとめ 経 済 波 及 効 果 は 与 えられた 生 産 ( 工 場 建 設 100 億 円 )をまかなうため につぎつぎと 生 産 が 誘 発 されていくようすを 統 計 データに 基 づいて 計 算 し 最 終 的 な 総 生 産 額 (195 億 円 )を 表 したものです さらに 詳 細 な 分 析 を 行 えば もっとたくさんの 効 果 を 計 ることもできま す たとえば 工 場 建 設 中 に 地 域 内 にもたらされる 消 費 による 経 済 波 及 効 果 や 工 場 建 設 により 誘 発 される 雇 用 創 出 効 果 なども 推 計 することができます 企 業 誘 致 は 建 設 時 の 経 済 効 果 だけではありません 企 業 の 誘 致 により 地 域 の 新 規 雇 用 も 増 えますし 地 域 内 でのさまざまな 消 費 の 伸 びも 見 込 めます また 法 人 税 収 が 増 えれば 自 治 体 の 収 入 増 にも 繋 がります このようなことから 企 業 誘 致 は 即 効 性 のある 地 域 経 済 活 性 化 策 と 言 わ れていますが 反 面 交 通 渋 滞 など 生 活 環 境 に 及 ぼす 影 響 も 少 なくありませ ん 多 額 の 補 助 金 を 交 付 して 企 業 を 誘 致 する 地 方 自 治 体 もありますが 費 用 対 効 果 はもちろん 地 場 産 業 など 地 域 の 特 性 も 踏 まえ 地 域 にふさわしい 企 業 を 誘 致 できれば 一 石 二 鳥 ですね 本 編 の 作 成 にあたり 自 治 体 の 経 済 波 及 効 果 の 算 出 ( 安 田 秀 穂 氏 著 学 陽 書 房 )を 参 考 文 献 とさせていただくとともに 経 済 波 及 効 果 の 算 出 に あたり 同 氏 の 無 料 公 開 ソフト 波 及 さん を 使 用 させていただきました 産 業 連 関 表 は 東 京 都 総 務 局 統 計 部 で 作 成 された 平 成 12 年 東 京 都 産 業 連 関 表 のデータを 使 用 しています また 経 済 波 及 効 果 のイメージ 図 や 係 数 表 についての 説 明 は 神 奈 川 県 のホームページから 引 用 させていただきました 53