5アジア 各 国 の 経 済 特 区 度 の 概 要 と 現 状 を 紹 介 アジアにおける 特 区 度 税 を 中 心 として 簗 瀬 正 人 税 理 士 法 人 プライスウォーターハウスクーパース 監 修 / 岡 田 至 康 税 理 士 法 人 プライスウォーターハウスクーパース 顧 問 Ⅰ アジアにおける 経 済 特 区 度 と 優 遇 税 の 概 要 多 くの 新 興 国 が 存 在 する 東 アジア 及 び 東 南 アジア 地 域 において,1970 年 頃 から 各 国 政 府 は 先 進 国 資 本 の 導 入 及 び 先 進 国 からの 技 術 移 転 による 自 国 の 経 済 発 展, 並 びに 自 国 産 業 の 育 成 を 目 的 として, 優 遇 税 を 有 する 経 済 特 区 を 設 置 し, 外 国 資 本 誘 致 の 経 済 政 策 が 採 ら れている 外 国 企 業 の 投 資 意 思 決 定 上, 現 地 の 税 は 重 要 事 項 であるため, 一 般 に, 経 済 特 区 の 設 置 と 優 遇 税 の 適 用 は 不 可 分 の 関 係 となっている なお, 外 国 資 本 誘 致 による 技 術 移 転 及 び 産 業 育 成 という 所 期 の 目 的 が 達 成 された 中 国 に おいては, 経 済 特 区 に 進 出 した 外 資 企 業 に 対 する 全 般 的 優 遇 税 を 廃 止 し, 研 究 開 発 等 特 定 事 業 に 対 する 優 遇 税 への 移 行 が 生 じてい る アジア 各 国 における 経 済 特 区 度 の 概 要 及 び 納 税 のしやすさをまとめると 次 のとおりで ある 国 名 経 済 特 区 名 称 目 的 優 遇 税 納 税 のしやすさ (1) 中 国 経 済 特 区 経 済 技 術 開 発 区 沿 海 経 済 開 発 区 保 税 区 輸 出 加 工 区 インドネシア 経 済 統 合 開 発 地 域 保 税 地 区 自 由 貿 易 地 域 先 進 技 術 導 入 輸 出 拡 大 ( 外 資 誘 致 ) 経 済 発 展 輸 出 促 進 産 業 育 成 フィリピン 特 別 経 済 区 外 資 誘 致 雇 用 創 出 マレーシア 自 由 地 域 国 際 金 融 地 区 奨 励 地 区 ベトナム 奨 励 投 資 地 域 特 別 奨 励 投 資 地 域 経 済 区 ハイテクパーク 輸 出 加 工 区 工 業 団 地 企 業 所 得 税 減 免 及 び 軽 減 税 率 (2008 年 改 正 にて 原 則 廃 止,2012 年 終 了 ) 関 税, 付 加 価 値 税 (VAT) 所 得 控 除 VAT 輸 入 諸 税 法 人 税 減 免 VAT 121 位 130 位 135 位 産 業 育 成 法 人 税 減 免 28 位 地 域 発 展 産 業 育 成 法 人 税 減 免 VAT 特 別 売 上 税 輸 出 入 関 税 151 位 52 ZEIKEN2012.7(No.164)
インド タイ 韓 国 台 湾 特 別 経 済 区 域 電 子 ハードウェア 技 術 パーク ソフトウェア 技 術 パ ーク 工 業 団 地 自 由 地 域 投 資 開 発 区 外 国 人 投 資 地 域 経 済 自 由 区 域 企 業 都 市 済 州 島 開 発 区 自 由 貿 易 港 国 際 空 港 パーク 輸 出 加 工 区 サイエンスパーク 輸 出 拡 大 産 業 育 成 法 人 税 減 免 関 税,VAT 産 業 育 成 法 人 所 得 税 減 免 輸 入 諸 税 減 免 VAT 外 資 誘 致 ( 大 規 模 投 資 ) 都 市 開 発 貿 易 自 由 化 国 際 競 争 力 強 化 産 業 育 成 147 位 97 位 法 人 税 減 免 44 位 関 税 貨 物 税 営 業 税 67 位 香 港 経 済 特 区 無 し ー ー 3 位 シンガポール 経 済 特 区 無 し ー ー 4 位 税 に お け る 特 区 度 の 現 状 と 展 望 Ⅱ アジア 各 国 の 経 済 特 区 と 優 遇 税 の 現 状 ⅰ) 中 国 中 国 では,1978 年 の 対 外 経 済 開 放 政 策 に 基 づき, 外 資 誘 致 ( 先 進 技 術 導 入 及 び 輸 出 拡 大 ) を 目 的 として1980 年 代 に 経 済 特 区 (1980 年 ), 経 済 技 術 開 発 区 (1984 年 ) 及 び 沿 海 経 済 開 放 区 (1985 年 ) 等 の 優 遇 税 が 適 用 される 経 済 特 別 区 域 が 中 国 全 土 に 設 置 さ れ, 外 国 投 資 企 業 外 国 企 業 所 得 税 の 減 免 及 び 軽 減 税 率 を 柱 とする 優 遇 税 が 適 用 されて いたが, 所 期 の 目 的 である 自 国 産 業 の 育 成 及 び 技 術 移 転 が 概 ね 達 成 できたと 判 断 された 段 階 で, 経 済 特 別 区 域 に 進 出 する 外 資 企 業 に 対 する 優 遇 税 の 適 用 は 終 了 (2008 年 廃 止, 2012 年 経 過 措 置 期 間 終 了 )し, 現 在 の 優 遇 税 は, 研 究 開 発 活 動 等 特 定 事 業 を 対 象 とする 優 遇 税 に 移 行 されている また,2012 年 に 中 西 部 ( 開 発 ) 地 区 に 対 する 優 遇 税 が 新 た に 定 された 1 経 済 特 別 区 域 の 概 要 と 優 遇 税 名 称 設 立 時 期 地 域 名 目 的 外 資 優 遇 税 経 済 特 区 : 5 ヶ 所 (1980 年 当 初 4 ヶ 所 ) 経 済 技 術 開 発 区 :35ヶ 所 (1984 年 当 初 14ヶ 所 ) 沿 海 経 済 開 放 区 : 3 ヶ 所 (1985 年 当 初 ) 上 海 浦 東 新 区 (1990 年 建 設 開 始 ) 高 新 技 術 開 発 区 :52ヶ 所 (1991 年 当 初 27ヶ 所 ) 深 圳, 珠 海, 汕 頭, 厦 門, 先 進 技 術 の 導 入 海 南 島 輸 出 拡 大 外 資 企 業 所 得 税 標 準 税 率 30% 軽 減 税 率 : 一 般 企 業 15%, 輸 出 企 業 10% 大 連, 天 津, 青 島, 上 海, 先 進 技 術 の 導 入 軽 減 税 率 : 武 漢, 重 慶, 広 州, 他 ( 中 国 全 土 の 地 区 ) 華 東 長 江 三 角 州, 華 南 珠 江 三 角 州,( 福 建 省 ) 閩 南 厦 漳 泉 三 角 州 ( 華 東 華 南 地 域 の 市 ) 上 海 浦 東 地 区 輸 出 拡 大 軽 減 税 率 : 生 産 型 企 業 24% 金 融 貿 易 輸 出 加 工 区 保 税 区 軽 減 税 率 : 瀋 陽, 北 京, 済 南, 南 京, 産 業 のハイテク 化 軽 減 税 率 : 杭 州, 成 都, 武 漢, 他 ( 中 国 全 土 の 地 区 ) ZEIKEN2012.7(No.164) 53
保 税 区 :15ヶ 所 輸 出 加 工 区 :62ヶ 所 外 高 橋, 天 津 港, 福 田 ( 深 圳 ) 保 税 区, 他 北 京, 蘇 州, 昆 山, 松 江 ( 上 海 ), 成 都, 深 圳, 他 ( 中 国 全 土 の 地 区 ) 中 西 部 ( 開 発 ) 地 区 山 西 省, 吉 林 省, 安 徽 省, 湖 南 省, 四 川 省, 陝 西 省, 他 ( 内 陸 部 ) 軽 減 税 率 : 関 税,VATの 弾 力 的 外 貨 決 済 ( 厳 格 な 外 為 規 ) 輸 出 拡 大 軽 減 税 率 : 内 陸 部 の 開 発 ( 経 済 発 展 ) 軽 減 税 率 : 2 外 資 企 業 全 般 に 対 する 旧 優 遇 税 奨 励 事 業 等 に 従 事 する 外 資 企 業 全 般 に 対 し て 次 の 優 遇 税 が 適 用 されていたが,2008 年 の 企 業 所 得 税 改 正 及 び 増 値 税 改 正 により 営 業 税 の 優 遇 税 を 除 き 基 本 的 に 廃 止 された (2012 年 度 までの 経 過 措 置 あり) 税 種 目 ( 定 期 間 ) 外 資 企 業 所 得 税 (1991 年 ~ 2008 年 ) 源 泉 税 ( 外 資 企 業 所 得 税 法 ) 1 ) 減 税 免 税 措 置 生 産 型 企 業 に 対 しては, 国 外 配 当 に 対 する 免 2 年 間 免 税 3 年 間 半 減 税 措 置 税 措 置 地 方 企 業 所 得 税 の 免 税 権 限 は 地 方 政 府 帰 属 2 ) 税 額 還 付 剰 余 金 再 投 資 に 対 して 納 税 額 40%を 出 資 者 に 還 付 ( 再 投 資 還 付 度 ) 営 業 税 (1994 年 ~) 奨 励 技 術 ライセンスロイヤルティー 及 び 技 術 サービス 料 に 対 する 免 税 措 置 関 税 輸 入 増 値 税 (1994 年 ~ 2008 年 ) 奨 励 事 業 用 輸 入 設 備 機 器 の 関 税 及 び 輸 入 増 値 税 免 税 措 置 設 備 仕 入 増 値 税 の 仕 入 控 除 は 不 可 適 用 無 し 適 用 無 し ソフトウェア 産 業 に 対 する 還 付 度 ( 仕 入 控 除 限 対 応 ) 3 ) 所 得 控 除 増 加 技 術 研 究 費 控 除 適 用 無 し 適 用 無 し 適 用 無 し ⅱ)インドネシア 1 経 済 特 区 度 の 概 要 インドネシアでは, 経 済 統 合 開 発 地 域 (KAPET)といった 地 域 別 優 遇 措 置 と 保 税 地 区 の 優 遇 措 置 があり, 国 内 各 地 に 自 由 貿 易 地 域 (FTZ)が 設 置 されている 2000 年 4 月 7 日 付 大 統 領 令 第 20 号 によりKAPETにお ける 税 面 での 取 り 扱 いは 保 税 地 区 並 みとな り,2007 年 4 月 26 日 付 法 律 第 25 号 ( 投 資 法 ) により 現 在 の 奨 励 業 種 が 定 められた また, FTZは,バタム 島 は 島 全 体 が 保 税 区,ビン タン 島 は 工 業 団 地 が 保 税 地 区 などとされてい たのを, 税 務 規 則 の 整 合 性 を 図 るために 自 由 貿 易 地 域 としてまとめられたもので,シンガ ポールの 製 造 子 会 社 が 多 く 進 出 している 経 済 統 合 開 発 地 域 (KAPET) 14ヶ 所 経 済 発 展 のため 2007 年 4 月 26 日 付 法 律 第 25 号 ( 投 資 法 ) 保 税 地 区 (KB) その 最 終 製 品 が 主 に 輸 出 に 向 輸 出 促 進 のため 2007 年 4 月 26 日 付 法 律 第 25 号 ( 投 資 法 ) けられる, 輸 入 物 品 または 関 税 地 区 内 の 他 の 場 所 から 調 達 された 物 品 を, 加 工 もしくは 組 付 のために 在 庫 するために 指 定 された 地 域 自 由 貿 易 地 域 (FTZ) バタム 島,ビンタン 島,カリ ムン 島 国 内 及 び 輸 出 産 業 の 発 展 を 促 進 するため 2000 年 9 月 1 日 付 法 律 代 用 政 令 第 1 号 (2000 年 第 36 号 法 律 )/2007 年 法 律 代 用 政 令 第 1 号 (2007 年 第 44 号 法 律 ) 54 ZEIKEN2012.7(No.164)
2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 名 称 要 件 法 人 税 関 税 経 済 統 合 開 発 地 域 (KAPET) 保 税 地 区 (KB) 自 由 貿 易 地 域 (FTZ) 国 税 総 局 (DGT) による 承 認 雇 用 促 進,イン フラ 開 発, 地 域 発 展, 自 然 保 護, 研 究 開 発 などの 促 進 に 寄 与 する 事 業 が 対 象 輸 出 志 向 の 製 造 会 社 からの 要 請 に 基 づき 財 務 省 が 付 与 する 保 税 ステータ ス 企 業 FTZに 入 る 物 品 と FTZ 内 の 会 社 間 で 引 き 渡 される 物 品 投 資 総 額 の30 % 相 当 の 所 得 控 除 税 務 上 の 加 速 度 減 価 償 却 欠 損 金 の 繰 越 期 間 の 延 長 ( 最 長 10 年 間 ) 支 払 配 当 に 係 る 源 泉 税 の 軽 減 資 本 財 等 に 係 る 輸 入 関 税 の 延 期 資 本 財 等 に 係 る 輸 入 関 税 の 延 期 前 払 税 金 ( 第 22 条 ) 生 産 活 動 に 直 接 関 係 する 資 本 財 等 の 輸 入 時 前 払 税 金 の 生 産 活 動 に 関 係 する 資 本 財 等 の 輸 入 時 前 払 税 金 の 付 加 価 値 税 生 産 活 動 に 関 係 する 資 本 財 等 に 係 る 付 加 価 値 税 の 生 産 活 動 に 関 係 する 資 本 財 等 に 係 る 付 加 価 値 税 の 高 級 品 売 上 税 生 産 活 動 に 関 係 する 資 本 財 等 に 係 る 高 級 品 売 上 税 の 生 産 活 動 に 関 係 する 資 本 財 等 に 係 る 高 級 品 売 上 税 の 税 に お け る 特 区 度 の 現 状 と 展 望 保 税 地 区 に 関 しては,これまで50% 相 当 の 国 内 での 販 売 を 認 める 規 則 があったが,2011 年 9 月 6 日 付 財 務 省 規 則 第 147 号 により, 2012 年 以 降 の 保 税 ライセンスの 更 新 後 は 国 内 への 販 売 が25%に 限 された しかしながら, 本 規 則 は, 反 対 が 強 く,2014 年 まで 適 用 は 延 期 されている ⅲ)フィリピン 1 経 済 特 区 度 の 概 要 フィリピンでは,1987 年 8 月 13 日 に 優 遇 措 置 を 伴 う 外 国 及 び 内 国 の 投 資 に 関 する 基 本 的 な 法 律 であるオムニバス 投 資 法 ( 共 和 国 法 第 226 号 )が 発 効 し, 投 資 に 関 する 奨 励 措 置 が 規 定 された また,1995 年 2 月 24 日 に 特 別 経 済 区 法 ( 共 和 国 法 第 7916 号 )が 発 効 し, 輸 出 加 工 区 及 び 特 別 経 済 区 に 関 する 多 くの 奨 励 措 置 が 規 定 された 現 在,フィリピンにおける 優 遇 措 置 は 業 種 を 基 準 として 付 与 される 優 遇 措 置, 特 定 地 区 での 事 業 に 対 する 優 遇 措 置, 企 業 形 態 を 基 準 として 付 与 される 優 遇 措 置 に 区 分 され, 法 人 税 及 び 関 税 等 の 優 遇 措 置 が 付 与 されている PEZA 特 別 経 済 区 スービック 特 別 経 済 自 由 港 区 (SBF) フィリピン 経 済 区 庁 (PEZA)が 開 発, 運 営, 管 理 を 行 っているエ コゾーン オロンガボ 市 産 業 を 都 市 以 外 の 地 域 に 誘 致 し,そこでの 雇 用 の 創 出 スービック 特 別 経 済 区 への 投 資 の 促 進 及 び 雇 用 の 創 出 クラーク 特 別 経 済 区 (CSEZ) アンヘレス 市 クラーク 特 別 経 済 区 へ の 投 資 の 促 進 及 び 雇 用 の 創 出 共 和 国 法 第 7916 号 (PEZA 法 )(1995 年 2 月 24 日 発 効 ) 行 政 令 (EO) 第 675 号 (2007 年 11 月 28 日 発 効 ) 共 和 国 法 第 7227 号 (1992 年 3 月 13 日 発 効 ) 行 政 令 (EO) 第 675 号 (2007 年 11 月 28 日 発 効 ) ZEIKEN2012.7(No.164) 55
2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 名 称 要 件 法 人 税 関 税 付 加 価 値 税 PEZA 特 別 経 済 区 PEZA(フィリピン 経 済 区 庁 ) 登 録 企 業 商 業 生 産 開 始 後, 4 年 ~ 6 年 間 ( 最 長 8 年 間 )の 法 人 税 期 間 終 了 後 は 総 所 得 の 5 % 相 当 額 の 納 付 のみ スービック 特 別 経 済 自 由 港 区 (SBF) クラーク 特 別 経 済 区 (CSEZ) スービック 湾 自 由 港 登 録 企 業 クラーク 特 別 経 済 区 登 録 企 業 総 所 得 の 5 % 相 当 額 の 納 付 のみ( 国 内 販 売 が 総 所 得 の 30% 以 下 の 場 合 に 限 る) 総 所 得 の 5 % 相 当 額 の 納 付 のみ( 国 内 販 売 が 総 所 得 の 30% 以 下 の 場 合 に 限 る) 上 記 の 他,オーロラ 特 別 経 済 区,カガヤン 特 別 経 済 区 (ルソン 島 ),ザンボアン 特 別 経 済 区 (ミンダナオ 島 ) 等 の 特 区 が 存 在 し,そ れぞれの 地 域 への 投 資 の 促 進 及 び 雇 用 創 出 を 目 的 として, 法 人 税 等 の 優 遇 措 置 が 設 けられ ている また,PEZAによると,2012 年 2 月 末 時 点 における 主 要 国 のPEZA 登 録 企 業 数 は, 日 本 632 社, 韓 国 275 社,アメリカ262 社,イギリ ス54 社, 台 湾 53 社, 中 国 50 社,オーストラリ ア48 社, 香 港 29 社 等 であり,ほとんどの 企 業 で 上 記 の 優 遇 措 置 を 享 受 している PEZA 登 録 企 業 の 場 合, 優 遇 措 置 の 対 象 となる 適 格 プ ロジェクトはプロジェクト 単 位 で 承 認 される ため, 理 屈 上, 同 一 会 社 内 において, 適 格 プ ロジェクトと 非 適 格 プロジェクトとが 共 存 す ることがあり 得 る その 場 合, 適 用 される 税 が 異 なることになるため, 帳 簿 を 分 けて 別 々に 管 理 する 必 要 がある また, 優 遇 措 置 の 適 用 を 受 けるには, 監 督 庁 への 定 期 的 な 書 類 提 出 が 求 められる ⅳ)マレーシア 1 経 済 特 区 度 の 概 要 マレーシアでは,1986 年 投 資 促 進 法 (Promotion of Investment Act, 1986),1967 年 所 得 税 法, 関 税 法,1972 年 販 売 税 法,1976 年 物 品 税 法,1990 年 自 由 地 域 法 などが 定 さ れ, 製 造 業, 農 業, 観 光 業 その 他 奨 励 業 種 を 対 象 とした 優 遇 措 置 が 付 与 されている 経 済 特 区 度 に 類 似 した 度 として, 5 奨 励 地 区 度 と 第 10 次 5 カ 年 計 画 で 導 入 された 首 都 クアラルンプールの 国 際 金 融 地 区 度 の 二 つがある 自 由 地 域 (FZ) 財 務 省 が 認 定 した 特 別 の 地 域 輸 出 の 促 進 自 由 地 域 法 (1990 年 定 ) マルチメディア スーパー コ クアラルンプール 近 郊 国 際 的 な 観 点 からの, 投 資 促 進 法 (1986 年 定,10 年 リドー(MSC) 情 報 産 業 の 育 成 支 援 間 有 効 ) クアラルンプール 国 際 金 融 地 区 (KLIFD) クアラルンプール クアラルンプールの 銀 行 金 融 及 び 関 連 サービ スの 国 際 的 ハブ 化 5 奨 励 地 区 イスカンダール 開 発 地 区 (IDR), 北 部 コリドー 開 発 地 域 (NCER), 東 部 コ リドー 開 発 地 域 (ECER),サラワク 再 生 エネルギーコリドー(SCORE), サバ 開 発 コリドー(SDC) 地 域 の 発 展 2012 年 度 予 算 案 ( 未 施 行 ) 所 得 税 法 / 投 資 促 進 法 56 ZEIKEN2012.7(No.164)
2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 名 称 要 件 (*) 法 人 税 関 税 物 品 税 売 上 税 サービス 税 その 他 自 由 地 域 (FZ) 輸 出 企 業 マルチメディア スーパー コリド ー(MSC) クアラルンプール 国 際 金 融 地 区 (KLIFD) マレーシア 政 府 に より 認 定 された MSC 企 業 KLIFDステータス 企 業 5 奨 励 地 区 各 ステータス 取 得 企 業 5 年 または10 年 間 の 法 定 所 得 100 % 免 税 5 年 以 内 の 適 格 資 本 支 出 に 係 る 100% 投 資 控 除 マルチメディア 関 連 機 器 の 輸 入 関 税 10 年 間 の100% 免 税 パイオニア ステ ータス (2) または 投 資 控 除 (3) と 同 様 の 優 遇 機 械 設 備 等 に 係 る 輸 入 税 (*) 上 記 優 遇 措 置 の 適 用 対 象 企 業 については, 最 低 資 本 金 等 の 各 種 の 要 件 が 定 められている 機 械 設 備 等 に 係 る 売 上 税 ローン 契 約 などの 印 紙 税 税 に お け る 特 区 度 の 現 状 と 展 望 ⅴ)ベトナム 1 経 済 特 区 度 の 概 要 ベトナムでは,2006 年 7 月 1 日 に 施 行 され た 共 通 投 資 法 及 び 統 一 企 業 法 により, 外 国 資 本 による 投 資, 国 内 資 本 による 投 資 にかかわ らず, 奨 励 投 資 分 野 及 び 奨 励 投 資 地 域 に 進 出 する 企 業 に 対 し, 優 遇 措 置 が 付 与 さ れている このうち, 奨 励 投 資 地 域 に 進 出 する 企 業 に 対 する 優 遇 措 置 が 特 区 度 に 相 当 するものと 考 えられるが, 奨 励 投 資 地 域 は 国 内 全 土 に 多 数 設 定 されている 奨 励 投 資 地 域 54 地 域 社 会 経 済 状 況 が 困 窮 して いる 地 域 への 投 資 促 進 特 別 奨 励 投 資 地 域 54 地 域 社 会 経 済 状 況 が 特 に 困 窮 している 地 域 への 投 資 促 進 経 済 区 ( 国 境 ゲート 経 済 区 を 含 む) ハイテクパーク 輸 出 加 工 区 工 業 団 地 29 地 域 ( 国 境 ゲート 経 済 区 は 11 地 域 ) サイゴン ハイテクパーク,ク アンチュン ハイテクパーク, ホアラック ハイテクパーク タントアン 輸 出 加 工 区,リンチ ュン 輸 出 加 工 区,ハイフォン96 輸 出 加 工 区 等 ハノイ 市 14 ヶ 所,ホーチミン 市 19 ヶ 所,ハイフォン 市 7 ヶ 所,ダナン 市 5 ヶ 所 法 人 税 法 施 行 細 則, 政 令 (2009 年 1 月 1 日 ) / 輸 出 入 関 税 法 施 行 細 則, 政 令 (2010 年 10 月 1 日 ) 法 人 税 法 施 行 細 則 政 令 (2009 年 1 月 1 日 ) / 輸 出 入 関 税 施 行 細 則, 政 令 (2010 年 10 月 1 日 ) 戦 略 的 地 域 への 投 資 促 進 法 人 税 法 施 行 細 則, 政 令 (2009 年 1 月 1 日 ) / 通 達 (2009 年 1 月 1 日 )/ 国 境 ゲート 経 済 区 に 対 する 財 務 政 策 に 関 する 決 定 (2009 年 5 月 1 日 ) ハイテクノロジーの 投 資 法 人 税 法 施 行 細 則, 政 令 (2009 年 1 月 1 日 ) 促 進 投 資 家 への 産 業 基 盤 及 び 環 境 整 備 投 資 家 への 産 業 基 盤 及 び 環 境 整 備 法 人 税 法 施 行 細 則, 政 令 / 輸 入 関 税 法 施 行 細 則, 政 令 (2010 年 10 月 1 日 )/ 付 加 価 値 税 法 (2009 年 1 月 1 日 ) 法 人 税 法 施 行 細 則, 政 令 ZEIKEN2012.7(No.164) 57
2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 名 称 要 件 法 人 税 輸 入 関 税 付 加 価 値 税 特 別 売 上 税 奨 励 投 資 地 域 特 別 奨 励 投 資 地 域 経 済 区 ( 国 境 ゲー ト 経 済 区 を 含 む) ハイテクパーク 輸 出 加 工 区 奨 励 地 域 における 新 規 投 資 プロジェクト など 特 別 奨 励 投 資 地 域 に おける 新 規 投 資 プロ ジェクトなど 経 済 区 における 新 規 投 資 プロジェクトな ど 優 遇 税 率 (20%) 適 用 (10 年 間 ) 新 規 企 業 は 2 年 間 の 及 び 4 年 間 の50% 減 税 優 遇 税 率 (10%) 適 用 (15 年 間 ) 新 規 企 業 は 4 年 間 の 及 び 9 年 間 の50% 減 税 優 遇 税 率 (10%) 適 用 (15 年 間 ) 新 規 企 業 は 4 年 間 の 及 び 9 年 間 の50% 減 税 ハイテクパークにお 優 遇 税 率 (10%) 適 用 (15 ける 新 規 投 資 プロジ 年 間 ) ェクトなど 新 規 企 業 は 4 年 間 の 及 び 9 年 間 の50% 減 税 輸 出 品, 輸 出 加 工 区 内 で 使 用 される 輸 入 品 など 特 定 の 固 定 資 産 につき 特 定 の 固 定 資 産 につき 国 境 ゲート 経 済 区 の 非 課 税 区 域 内 で 使 用 され る 輸 入 品 及 び 非 課 税 区 域 からの 輸 出 品 につき 国 境 ゲート 経 済 区 の 非 課 税 区 域 内 で 生 産 消 費 さ れる 物 品 サー ビスにつき 国 境 ゲート 経 済 区 の 非 課 税 区 域 内 で 生 産 消 費 さ れる 物 品 につき 輸 出 品, 同 区 内 で 使 用 される 輸 入 品 などにつ き 外 国 または 他 の 非 関 税 地 域 との 物 品 販 売 サー ビスにつき 工 業 団 地 上 記 のうち, 工 業 団 地 入 居 を 条 件 とする 法 人 税 の 優 遇 措 置 は,2009 年 1 月 1 日 から 撤 廃 されている また,ベトナムのWTO 加 盟 時 のコミットメントにより, 輸 出 加 工 企 業 など, 特 定 の 輸 出 比 率 を 満 たすことを 条 件 として 享 受 していた 法 人 税 の 優 遇 措 置 は2011 年 末 をも って 撤 廃 されている これらの 企 業 は2012 年 以 降, 輸 出 比 率 以 外 の 条 件 を 満 たしているこ とによる 優 遇 措 置 を 選 択 し, 税 務 当 局 に 通 知 の 上 適 用 することになる また, 奨 励 投 資 分 野 への 投 資 については, 法 人 税 優 遇 措 置 の 適 用 対 象 にかかる 規 定 が 明 確 でないことから, 税 務 調 査 時 に 適 用 対 象 外 とされ, 優 遇 措 置 の 適 用 が 否 認 されることも ある 経 済 区 についても 特 定 の 経 済 区 に 対 す る 個 別 のガイドラインが 存 在 するため 詳 細 に ついては 該 当 ガイドラインを 確 認 する 必 要 が ある ⅵ)インド 1 経 済 特 区 度 の 概 要 インドでは, 内 資 外 資 を 問 わず,インフ ラ 開 発, 電 力 開 発 送 電, 再 生 可 能 エネルギ ー, 科 学 研 究 開 発 などの 分 野 に 対 する 投 資 に ついて 優 遇 措 置 が 設 けられているが, 特 別 経 済 区 域 (SEZ)を 開 発 する 企 業 及 び 入 居 する 企 業 にも 法 人 税 減 免 などの 優 遇 措 置 が 適 用 さ れている 特 別 経 済 区 域 (SEZ) 電 子 ハードウェア 技 術 パー ク(EHTP)/ソ フ ト ウ ェ ア 技 術 パーク(STP) アーンドラ ブラデーシュ 州,マハー ラーシュトラ 州 などに583 ヶ 所 輸 出 企 業 に 対 して 国 際 的 競 争 力 のある 円 滑 な 環 境 を 提 供 するため 電 子 機 器 産 業 の 輸 出 強 化 及 び 効 率 的 な 電 子 部 品 並 びに IT 産 業 の 発 展 のため 2005 年 特 別 経 済 区 域 法 (SEZ 法 ) 及 び2006 年 SEZ 規 則 58 ZEIKEN2012.7(No.164)
工 業 団 地 ウッタラカンド,ヒマチャルプラデシ ュ, 北 東 部 の 州 (シッキム 州 を 含 む) 2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 要 件 法 人 税 関 税 物 品 税 中 央 売 上 税 サービス 税 特 別 経 済 区 域 (SEZ) 電 子 ハードウェ ア 技 術 パーク (EHTP) SEZ 入 居 企 業 または SEZ 開 発 業 者 100% 税 額 控 除 (10 年 間 ) 配 当 分 配 税 (DDT) 最 低 代 替 税 (MAT) ( ) ITを 使 ったコールセ 輸 出 所 得 の 5 年 間 100% 所 ンター,データ 処 理, 得 控 除 ( 次 の 5 年 間 は50%) 医 療 記 録 など 輸 出 指 MATの ( )など 向 サービス ソフトウェア 技 ITを 使 ったコールセ 輸 出 所 得 の 5 年 間 100% 所 術 パーク(STP) ンター,データ 処 理, 得 控 除 ( 次 の 5 年 間 は50%) 医 療 記 録 など 輸 出 指 MATの ( )など 向 サービス 工 業 団 地 一 定 の 要 件 を 満 たし た 工 業 団 地 開 発 業 者 資 本 財 の 輸 入 につき 資 本 財 の 輸 入 につき 100% 税 額 控 除 (10 年 間 ) 一 定 の 場 合 に 払 戻 国 内 調 達 につ き 国 内 調 達 につ き 国 内 調 達 時 に は 償 還 国 内 調 達 時 に は 償 還 最 低 代 替 税 (MAT) は2011 ー 2012 会 計 年 度 より 廃 止 され, 現 行 では18.5%のMAT 及 び 付 加 税 が 課 税 されている 税 に お け る 特 区 度 の 現 状 と 展 望 ⅶ)タイ 1 経 済 特 区 度 の 概 要 タイでは, 主 に,1997 年 に 定 された 投 資 奨 励 法 (Investment Promotion Act) 及 び 1991 年 2001 年 の 同 法 の 改 訂 に 含 まれている ガイドラインに 基 づいて, 内 外 の 投 資 家 に 対 し, 奨 励 業 種 に 対 する 投 資 を 促 進 するための 優 遇 措 置 が 設 けられている 優 遇 措 置 の 適 用 の 詳 細 はタイ 投 資 委 員 会 (BOI)により 規 定 されている BOIは,タイの 産 業 高 度 化, 雇 用 促 進 に 寄 与 する 投 資 奨 励 対 象 業 種 に 対 して 税 及 び 税 以 外 の 特 典 を 付 与 しているが, 産 業 の 地 方 分 散, 地 方 産 業 の 振 興, 所 得 格 差 の 解 消 を 目 的 として,1987 年 以 降, 全 国 を 三 つのゾーンに 分 け, 首 都 圏 から 遠 ざかるに 従 って, 厚 い 特 典 を 付 与 している また,タイ 工 業 団 地 公 社 法 (Industrial Estate Authority Act)に 基 づき,タイ 工 業 団 地 公 社 (IEAT) が 実 施 運 営 する 優 遇 度 がある 特 区 地 域 名 目 的 関 連 法 IEATフリーゾー ン BOIゾーン 工 業 事 業,サービス 事 業 等 に 寄 与 する 事 業 に 使 用 さ れるゾーン 工 業 団 地 を 使 用 する 企 業 の 競 争 力 強 化 1 )バンコク 首 都 圏 6 県 (バンコク,サムットプラ 奨 励 業 種 に 対 する 投 カーンなど) 資 促 進 2 ) 首 都 圏 周 辺 11 県 (アユタヤ,チャチューンなど) プーケット 3 ) 低 所 得 とインフラの 開 発 度 が 低 い 残 りの58 県 タイ 工 業 団 地 公 社 法 (2008 年 1 月 8 日 ) 投 資 奨 励 法 (Investment Promotion Act) 2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 要 件 法 人 税 輸 出 税 関 税 付 加 価 値 税 物 品 税 IEATフリーゾー ン 工 業 事 業,サービ ス 事 業 等 に 寄 与 す る 事 業 に 使 用 され る 物 品 生 産 用 機 械, 設 備 等 に 係 る 免 税 生 産 用 機 械, 設 備 等 に 係 る 免 税 生 産 用 機 械, 設 備 等 に 係 る 免 税 生 産 用 機 械, 設 備 等 に 係 る 免 税 ZEIKEN2012.7(No.164) 59
BOIゾーン 第 1 ゾーン BOIの 判 断 による 投 資 資 本 が1,000 万 バーツ 以 上 かつ 事 業 開 始 から 2 年 以 内 に ISO9000 認 証 を 受 け, 工 業 団 地 内 等 に 所 在 する 場 合 に 3 年 間 の 第 2 ゾーン BOIの 判 断 による 投 資 資 本 が1,000 万 バーツ 以 上 かつ 事 業 開 始 から 2 年 以 内 に ISO9000 認 証 を 受 け た 場 合 に 3 年 間 ( 工 業 団 地 内 等 に 所 在 す る 場 合 は 7 年 間 )の 第 3 ゾーン BOIの 判 断 による 投 資 資 本 が1,000 万 バーツ 以 上 かつ 事 業 開 始 から 2 年 以 内 にISO9000 認 証 を 受 けた 場 合 または 工 業 団 地 内 等 に 所 在 する 場 合 は 8 年 間 の 期 間 後 5 年 間 は50% 軽 減 BOIが 認 可 す る 機 械 に 係 る 50% 減 税 輸 出 用 資 材 等 の 免 税 ( 1 年 間 ) BOIが 認 可 す る 機 械 に 係 る 免 除 または50% 減 税 輸 出 用 資 材 等 の 免 税 ( 1 年 間 ) BOIが 認 可 す る 機 械 に 係 る 免 除 輸 出 用 資 材 等 の 免 税 ( 5 年 間 ) 優 遇 措 置 によって 受 けられる 特 典 の 内 容 が 異 なり,また, 特 典 にはさまざまな 条 件 が 付 されているため, 将 来 を 見 据 えた 上 で 事 業 に 適 した 恩 典 を 慎 重 に 選 択 する 必 要 がある BOIの 税 務 恩 典 を 受 けている 製 造 業 について 言 えば, 在 庫 の 管 理, 機 械 装 置 の 管 理 が 毎 年 のBOI 監 査 を 通 じてレポートする 義 務 を 負 う ため,この 管 理 を 徹 底 しないと 輸 入 関 税 の 免 除 枠 が 無 くなることもあり 得 る また, 輸 入 関 税 の を 受 けた 機 械 装 置, 在 庫 の 廃 棄 に ついて 歳 入 局 だけでなく,BOIの 許 認 可 が 必 要 となり, 条 件 によっては 輸 入 関 税 を 納 付 し なければならなくなる 場 合 もある ⅷ) 韓 国 1 経 済 特 区 度 の 概 要 韓 国 では, 外 国 人 投 資 企 業 について, 租 税 特 例 限 法 及 び 外 国 人 投 資 促 進 法 の 規 定 によ り, 法 人 税 減 免 等 の 優 遇 措 置 が 設 けられてい る 立 地 支 援 としては, 外 国 人 投 資 地 域, 経 済 自 由 区 域, 自 由 貿 易 地 域 に 分 けられるが, 産 業 団 地 内 の 特 定 地 域 または 別 の 立 地 を 確 保 し, 外 国 人 投 資 に 必 要 な 環 境 を 提 供 している 外 国 人 投 資 地 域 団 地 型 18ヶ 所, 個 別 型 27ヶ 所 外 国 人 による 投 資 の 誘 致 外 国 人 投 資 促 進 法, 租 税 特 例 限 法 及 び 同 法 施 行 令 経 済 自 由 区 域 仁 川, 釜 山 鎮 海 など 6 ヶ 所 外 国 人 による 投 資 の 誘 致 経 済 自 由 区 域 の 指 定 及 び 運 営 に 関 する 法 律 自 由 貿 易 地 域 産 業 団 地 型 4 ヶ 所, 空 港 港 湾 型 5 ヶ 所 製 造 及 び 物 流 を 営 む 企 業 を 入 居 させ, 相 互 連 携 によるシナ ジー 効 果 を 生 み 出 すことを 目 的 に 指 定 する 特 別 区 域 自 由 貿 易 地 域 の 指 定 及 び 運 営 に 関 する 法 律 / 租 税 特 例 限 法 企 業 都 市 外 国 人 による 投 資 の 誘 致 租 税 特 例 限 法 及 び 同 法 施 行 令 済 州 投 資 振 興 地 区 開 発 者 済 州 島 済 州 特 別 自 治 道 の 設 置 及 び 国 際 自 由 都 市 造 成 のための 特 別 法 60 ZEIKEN2012.7(No.164)
2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 要 件 法 人 税 関 税 付 加 価 値 税 外 国 人 投 資 地 域 業 種 ごとに 定 められた 投 資 金 額 等 の 指 定 基 準 を 満 た し, 外 国 人 投 資 地 域 内 で 新 しく 施 設 を 設 置 する 場 合 経 済 自 由 区 域 経 済 自 由 区 域 の 入 居 企 業 または 開 発 事 業 施 行 者 で, 製 造, 観 光, 物 流 業 に 限 り, 一 定 の 基 準 を 満 たす 場 合 ( 企 業 都 市 への 入 居 企 業 についても 適 用 ) 自 由 貿 易 地 域 企 業 都 市 済 州 投 資 振 興 地 区 開 発 者 輸 出 を 主 な 目 的 とする 製 造 業 を 営 む 企 業, 輸 出 入 取 引 を 主 な 目 的 とする 卸 売 業 を 営 む 企 業 など 企 業 都 市 の 入 居 企 業 または 開 発 事 業 施 行 者 で, 一 定 の 基 準 を 満 たす 場 合 済 州 投 資 振 興 地 区 の 開 発 事 業 施 行 者 に 該 当 する 外 国 人 投 資 企 業 が 営 む 事 業 団 地 型 は 3 年 間 100%, その 後 2 年 間 は50% 減 免 3 年 間 個 別 型 は 5 年 間 100%, その 後 2 年 間 50% 減 免 5 年 間 100%,その 後 2 年 間 50% 減 免 5 年 間 100%,その 後 2 年 間 50% 減 免 5 年 間 100%,その 後 2 年 間 50% 減 免 5 年 間 100%,その 後 2 年 間 50% 減 免 3 年 間 3 年 間 3 年 間 個 別 型 は 資 本 財 につき 減 免 3 年 間 ゼロ 税 率 3 年 間 3 年 間 税 に お け る 特 区 度 の 現 状 と 展 望 ⅸ) 台 湾 1 経 済 特 区 度 の 概 要 台 湾 には 以 下 のような 経 済 特 区 が 設 けられ ており,それぞれの 法 律 において, 優 遇 措 置 が 規 定 されている また, 下 記 以 外 にも 農 業 ハイテクパーク, 環 境 テクノロジーパークと いった 経 済 特 区 が 設 けられており, 税 優 遇 が 付 与 されている 特 区 名 称 地 域 名 目 的 設 立 の 条 件 関 連 法 自 由 貿 易 港 5 ヶ 所 ( 基 隆 港, 台 北 グローバル ロジスティク 自 由 貿 易 区 において 許 可 を 得 て 貿 自 由 貿 易 港 区 設 置 管 理 港, 台 中 港, 高 雄 港, スの 経 営 方 式 の 発 展, 貿 易 易, 倉 庫, 物 流,コンテナ( 物 品 ) 条 例 (2003 年 定 ) 桃 園 空 港 ) 国 際 空 港 パーク 輸 出 加 工 区 台 湾 桃 園 国 際 空 港 な ど, 空 港 の 専 用 区 と 隣 接 する 自 由 貿 易 港 区 台 中 港, 高 雄 港, 小 港 空 港 に 隣 接 の 自 由 化 国 際 化 の 推 進, 国 際 競 争 力 の 強 化 国 際 競 争 力 の 強 化 のための 国 際 空 港 パークの 発 展 ワンストップサービス 等 に よる 輸 出 促 進 集 散, 海 外 への 積 替, 国 内 への 積 替, 請 負 輸 送, 通 関 代 行, 組 立, 再 生, 梱 包, 整 備, 加 工, 製 造, 展 示, 保 守 または 技 術 サービスな どの 業 務 に 従 事 する 事 業 国 際 空 港 パーク 内 の 事 業 者 に 保 管 加 工 を 委 託 した 貨 物 の 販 売 ( 国 内 販 売 について 一 定 の 限 あり) 貿 易 業, 倉 庫, 中 継 輸 送 業 のみ 参 入 可 国 際 空 港 パーク 発 展 条 例 (2010 年 5 月 1 日 施 行 ) 輸 出 加 工 区 設 置 管 理 条 例 サイエンスパーク 技 術 発 展 科 学 技 術 工 業 のみ 参 入 可 科 学 工 業 園 区 設 置 管 理 条 例 2 経 済 特 区 における 優 遇 税 の 概 要 特 区 名 称 自 由 貿 易 港 国 際 空 港 パーク 対 象 取 引 国 外 からの 輸 入 原 料 国 外 輸 入 燃 料, 材 料, 半 製 品, 機 械 設 備 物 品 / 労 働 力 の 国 外 輸 出, 課 税 地 域 から 購 入 した 原 材 料, 燃 料, 材 料, 半 製 品, 機 械 設 備 外 国 の 営 利 事 業 で 国 際 空 港 パーク 内 の 自 由 貿 易 港 区 で 貨 物 の 搬 入 及 び 簡 易 な 加 工 を 行 い, 国 内 国 外 に 販 売 した 貨 物 営 利 事 業 所 得 税 関 税 貨 物 税 ( 物 品 税 ) 営 業 税 その 他 酒 タバコ 税,タバコ 健 康 福 利 付 加 税, 貿 易 推 進 サービス 費, 商 港 サービス 費 の ゼロ 税 率 ZEIKEN2012.7(No.164) 61
加 工 輸 出 区 サイエンスパーク 国 外 からの 輸 入 原 料 国 外 輸 入 燃 料, 材 料, 半 製 品, 機 械 設 備 物 品 / 労 働 力 の 国 外 輸 出, 課 税 地 域 から 購 入 した 原 材 料, 燃 料, 材 料, 半 製 品, 機 械 設 備 Ⅲ 総 括 東 アジア 及 び 東 南 アジアでは, 上 述 のよう に 中 国 等 の 新 興 国 に 加 え, 先 進 国 とされる 韓 国, 台 湾 に 至 るまで, 殆 どの 国 が 外 国 資 本 の 誘 致 及 び 先 進 技 術 の 導 入 のために, 経 済 特 別 地 域 を 設 置 し, 優 遇 税 を 整 備, 供 与 してお り, 所 期 の 目 的 である 自 国 経 済 の 発 展 を 達 成 しているといえる なお, 香 港,シンガポー ルは,ともに 一 般 的 な 投 資 環 境 が 既 に 良 好 な ことから, 他 国 におけるような 経 済 特 区 は 特 段 設 置 されていない 外 国 資 本 の 誘 致 及 び 先 進 技 術 の 導 入 を 推 進 するに 当 たっては, 経 済 活 動 の 効 率 性 及 び 政 府 管 理 の 有 効 性 の 観 点 からは, 一 定 地 域 に 投 資 を 集 約 させる 経 済 特 区 の 定 が 有 効 であ り, 一 方, 外 国 資 本 の 誘 致 に 当 たっては, 優 遇 税 の 供 与 が 有 効 であると 思 われる 経 済 特 区 の 設 置 と 優 遇 税 の 適 用 は 不 可 分 の 関 係 脚 注 * * * にあり, 経 済 特 区 の 設 置 に 当 たっては, 優 遇 税 の 定 権 限 を 有 する 中 央 政 府 の 積 極 的 関 与 が 重 要 であり,この 点, 東 アジア 及 び 東 南 アジア 各 国 の 中 央 政 府 は, 経 済 特 区 の 設 置 を 国 家 政 策 として 位 置 付 け, 積 極 的 に 関 与 して いるものと 解 される これらの 国 においては, 旧 来 より 税 務 上 各 種 の 投 資 奨 励 策 を 講 じてきているが,とりわ け 近 時 における 社 会 環 境 の 変 化 やインフラ 整 備, 更 には 資 本 や 労 働 力 の 流 動 性 の 高 まりと ともに, 租 税 政 策 のもつ 意 義 がより 重 要 な 要 素 となっているといえよう なお, 当 然 のことながら, 外 国 資 本 誘 致 に よる 技 術 移 転 及 び 産 業 育 成 という 所 期 の 目 的 が 達 成 された 場 合 には, 中 国 における 優 遇 税 の 改 正 事 例 のように, 経 済 特 区 進 出 の 外 資 企 業 全 般 に 対 する 優 遇 税 から 研 究 開 発 等 の 特 定 事 業 (ハイテク 産 業 の 育 成 )に 対 する 優 遇 税 への 移 行 が 生 じている これは, 全 般 的 な 産 業 育 成 からハイテク 産 業 の 育 成 への 国 家 政 策 の 重 点 の 移 行 によるものと 解 される ( 1 )Paying Tax 2012 (PwC 調 査 報 告 書 :http://www.pwc. 業 その 他 の 商 工 業 )を 対 象 として 付 与 されている 優 遇 措 置 com/gx/en/payingtaxes/downloadorder.jhtml): 世 界 銀 生 産 開 始 日 から 原 則 として 5 年 間 の 法 定 所 得 の70% 免 税 及 行, 国 際 金 融 公 社 (IFC)およびプライスウォーターハウ び 免 税 所 得 から 分 配 された 配 当 金 の 免 税 となる スクーパース(PwC)の 国 際 的 指 標 分 析 グループによる 世 ( 3 ) 投 資 控 除 (Investment Tax Allowance:ITA):1986 年 界 183ヶ 国 の 納 税 のしやすさ を 測 定 し 順 位 付 けした 報 告 投 資 促 進 法 で 規 定 された 奨 励 事 業 を 営 むかまたは 奨 励 製 品 書 モデル 企 業 が, 調 査 対 象 国 で 負 担 する 税 金 費 用 及 び 税 を 生 産 する 会 社 ( 製 造 業, 食 品 加 工 業, 農 業,ホテル 業, 務 申 告 納 付 に 関 する 事 務 負 担 を 対 象 とし, 主 要 な 税 金 ( 法 観 光 業 その 他 の 商 工 業 )を 対 象 として 付 与 された 優 遇 措 置 人 所 得 税, 雇 用 関 連 税 と 負 担 金, 消 費 税 )の 納 付 に 要 する 承 認 日 から 5 年 間 に 行 った 適 格 資 本 的 支 出 の60% 相 当 額 を 時 間, 及 び 納 税 の 回 数 を 調 査 比 較 各 年 度 の 法 定 所 得 の70%まで 控 除 ( 未 使 用 分 は 繰 越 )でき, ( 2 )パイオニア ステータス(Pioneer Status):1986 年 投 資 免 税 所 得 から 分 配 された 配 当 金 については 免 税 となる(パ 促 進 法 で 規 定 された 奨 励 事 業 を 営 むかまたは 奨 励 製 品 を 生 イオニア ステータスとの 選 択 適 用 ) 産 する 会 社 ( 製 造 業, 食 品 加 工 業, 農 業,ホテル 業, 観 光 62 ZEIKEN2012.7(No.164)