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添 付 資 料 の 目 次 1.サマリー 情 報 (その 他 )に 関 する 事 項... 2 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動... 2 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用.

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Transcription:

会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 の 会 計 監 査 マニュアル 平 成 25 年 1 月 11 日 公 益 社 団 法 人 日 本 監 査 役 協 会 中 小 規 模 会 社 監 査 業 務 支 援 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 に 必 要 な 会 計 監 査 マニュアル 検 討 ワーキング グループ i

公 表 にあたって 公 表 にあたって 1 検 討 の 背 景 経 緯 当 協 会 は 平 成 23 年 9 月 に 制 定 された 日 本 監 査 役 協 会 の 理 念 を 礎 として 事 業 活 動 の 一 層 の 充 実 に 向 けて 各 課 題 に 取 り 組 んでいる 昨 今 の 中 小 規 模 会 社 を 取 り 巻 く 環 境 の 変 化 として 連 結 グループ 経 営 における 内 部 統 制 シ ステムの 充 実 等 企 業 集 団 の 一 員 としての 役 割 とその 責 務 の 重 要 性 また 株 式 上 場 への 潜 在 的 なニーズなどがあげられる 一 方 で 当 協 会 の 会 員 に 占 める 中 小 規 模 会 社 の 構 成 比 率 は 増 加 傾 向 にある そのような 状 況 下 において 当 協 会 では 第 39 期 事 業 年 度 より 重 点 施 策 の 一 つに 中 小 規 模 会 社 に 関 する 支 援 事 業 の 強 化 を 織 り 込 むこととした 同 支 援 事 業 の 在 り 方 等 については 中 小 規 模 会 社 業 務 支 援 タスクフォース を 設 置 して 検 討 を 行 い 平 成 23 年 12 月 には 資 本 金 30 億 円 未 満 の 会 社 の 監 査 役 監 査 委 員 を 対 象 に アンケート 調 査 を 実 施 した その 結 果 も 踏 まえ 同 支 援 方 針 を 取 りまとめ アンケートで 特 に 希 望 の 多 かった 8 つの 支 援 プログラムを 推 進 することを 決 定 した その 一 環 として 当 協 会 は 平 成 24 年 7 月 より 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 に 必 要 な 会 計 監 査 マニュアル に 係 るワーキング グループを 立 ち 上 げて 検 討 を 進 めてきたが こ のたび 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 の 会 計 監 査 マニュアル の 取 りまとめに 至 ったも のである なお 本 マニュアルの 内 容 については 当 協 会 会 計 委 員 会 の 確 認 を 受 けている 2 本 マニュアルの 目 的 対 象 本 マニュアルは 中 小 規 模 会 社 のうち 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 を 対 象 としている 従 来 の 監 査 役 監 査 基 準 並 びに 監 査 役 監 査 実 施 要 領 等 は いずれも 会 社 法 上 の 大 会 社 で 会 計 監 査 人 設 置 会 社 の 監 査 役 を 主 な 対 象 としているため 大 会 社 以 外 の 監 査 役 にはや や 使 い 辛 い 面 があった そこで 本 マニュアルは 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 監 査 役 会 非 設 置 会 社 の 監 査 役 や 経 理 財 務 経 験 が 少 ない 監 査 役 にとっても 理 解 しやすく 役 立 つことを 目 指 して 作 成 されたものである 3 本 マニュアルの 内 容 利 用 方 法 本 マニュアルは 以 下 の3 部 構 成 となっている 第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 では 監 査 役 の 基 本 的 な 職 務 会 計 監 査 の 目 的 必 要 性 さらには 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 原 則 の 内 容 と 考 え 方 会 計 の 基 本 及 び 簿 記 の 基 礎 知 識 並 びに 会 計 監 査 のポイントなど 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 の 会 計 監 査 に 必 要 な 基 本 事 項 について 解 説 している いわば 会 計 監 査 の 基 礎 編 である 第 2 部 会 計 監 査 の 実 務 チェックリスト 等 では 監 査 役 就 任 時 から 期 初 監 査 期 中 監 査 を 経 て 期 末 監 査 に 至 るまでの 監 査 役 の 監 査 実 務 を 中 心 にチェックリストを 提 示 し i

公 表 にあたって さらに 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 など 勘 定 科 目 別 に 監 査 役 がチェックすべき 事 項 などを 解 説 している いわば 実 践 編 といえる 第 3 部 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 のための 会 計 監 査 基 礎 用 語 では 会 計 監 査 に 関 する 基 礎 用 語 を 精 選 し 各 用 語 の 定 義 とともに 監 査 役 監 査 の 際 に 必 要 な 留 意 事 項 を 簡 潔 に 示 している 基 礎 用 語 の 理 解 を 深 めるとともに 用 語 辞 典 として 活 用 いた だくことも 想 定 している なお 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 であっても 株 式 公 開 準 備 のため 任 意 で 上 場 会 社 に 準 ずる 会 計 基 準 を 採 用 している 中 小 規 模 会 社 も 少 なくないことにも 鑑 み 第 2 部 会 計 監 査 の 実 務 チェックリスト 等 において 適 宜 解 説 を 加 え 参 照 できるようにした 一 方 経 理 財 務 経 験 がある 監 査 役 の 場 合 は 第 1 部 4~6 第 2 部 3 並 びに 第 3 部 3の 中 の 会 計 関 連 事 項 に 関 しては 確 認 程 度 に 参 照 して 進 めることも 可 能 である また 会 計 監 査 人 設 置 会 社 の 監 査 役 の 場 合 は 会 計 監 査 人 の 監 査 の 方 法 と 結 果 の 相 当 性 の 判 断 等 が 重 要 となるが その 際 にも 本 マニュアルは 参 考 書 の 一 つとして 役 立 てていただ きたい 最 後 に 本 マニュアルが 当 協 会 の 会 員 監 査 役 はもとより 会 員 でない 中 小 規 模 会 社 の 監 査 役 にとっても 有 効 な 会 計 監 査 ツールとなれば 幸 いである 平 成 25 年 1 月 11 日 公 益 社 団 法 人 日 本 監 査 役 協 会 中 小 規 模 会 社 監 査 業 務 支 援 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 に 必 要 な 会 計 監 査 マニュアル 検 討 ワーキング グループ [ 注 ] 主 な 関 連 法 令 については 以 下 の 略 称 表 示 を 採 用 している 法 令 等 略 称 民 会 施 規 計 規 金 商 法 正 式 名 称 民 法 会 社 法 会 社 法 施 行 規 則 会 社 計 算 規 則 金 融 商 品 取 引 法 ii

目 次 目 次 公 表 にあたって 第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 1 1 なぜ 監 査 役 は 取 締 役 を 監 査 するのか 1 (1) 取 締 役 と 監 査 役 は 会 社 と 委 任 関 係 にある 1 (2) 委 任 を 受 けた 者 の 二 つの 義 務 1 (3) 取 締 役 と 監 査 役 の 受 任 義 務 2 (4) 監 査 役 は 取 締 役 の 何 を 監 査 するのか 3 2 なぜ 監 査 役 の 会 計 監 査 が 必 要 なのか 4 (1) 計 算 書 類 等 に 関 する 取 締 役 の 義 務 4 (2) 会 計 監 査 の 役 割 5 (3) 監 査 役 の 心 構 え 5 3 会 計 に 関 する 法 律 6 (1) 内 部 管 理 資 料 としての 会 計 6 (2) 外 部 報 告 書 としての 会 計 6 (3) 企 業 会 計 制 度 の 関 連 8 4 会 計 監 査 の 基 本 9 (1) 計 算 書 類 は 何 に 準 拠 して 作 成 されるのか 9 (2) 会 計 監 査 の 視 点 10 (3) 会 社 法 が 期 待 する 監 査 役 の 会 計 監 査 10 (4) 会 社 計 算 規 則 が 示 す 監 査 役 の 会 計 監 査 の 方 法 11 (5) 会 計 知 識 の 学 習 法 のヒント 11 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 13 (1) 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 13 (2) 企 業 会 計 原 則 わが 国 の 会 計 の 考 え 方 の 基 本 14 (3) 企 業 会 計 原 則 の 一 般 原 則 の 考 え 方 14 (4) 会 計 処 理 の 二 つの 原 則 損 益 計 算 書 原 則 と 貸 借 対 照 表 原 則 16 (5) 損 益 計 算 書 原 則 の 考 え 方 費 用 と 収 益 をどの 時 点 で 認 識 するか 17 iii

目 次 (6) 貸 借 対 照 表 原 則 の 考 え 方 資 産 をどのように 評 価 するか 18 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 20 (1) 簿 記 の 考 え 方 と 仕 組 み 20 (2) 決 算 書 作 成 のプロセス 23 (3) 計 算 書 類 の 相 互 関 係 24 (4) 貸 借 対 照 表 の 見 方 読 み 方 25 (5) 損 益 計 算 書 の 見 方 読 み 方 26 (6) キャッシュ フロー 計 算 書 の 見 方 読 み 方 27 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 28 (1) 監 査 役 の 会 計 監 査 の 範 囲 28 (2) 監 査 役 の 会 計 監 査 のポイント 29 (3) 期 末 の 決 算 監 査 のポイント 30 (4) 監 査 役 の 監 査 報 告 32 第 2 部 会 計 監 査 の 実 務 チェックリスト 等 38 1 チェックリストの 活 用 方 法 について 38 (1) 基 本 的 な 考 え 方 38 (2) チェック 欄 39 (3) 実 施 時 期 40 (4) 留 意 事 項 41 (5) 経 営 執 行 部 門 への 開 示 について 41 (6) 各 実 施 時 期 の 会 計 監 査 のポイント 41 2 チェックリスト 42 (1) 就 任 時 の 留 意 事 項 42 (2) 期 初 の 監 査 43 (3) 期 中 の 監 査 44 (4) 期 末 の 監 査 47 (5) 随 時 の 留 意 事 項 54 3 勘 定 科 目 別 の 留 意 事 項 55 (1) 貸 借 対 照 表 55 iv

目 次 (2) 損 益 計 算 書 69 (3) 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 73 第 3 部 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 のための 会 計 監 査 基 礎 用 語 75 1 監 査 一 般 に 関 する 用 語 77 2 監 査 手 続 に 関 する 用 語 82 3 会 計 一 般 に 関 する 用 語 87 4 会 社 法 関 連 の 用 語 93 5 内 部 統 制 関 連 の 用 語 99 6 その 他 の 用 語 102 参 考 資 料 等 104 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 に 必 要 な 会 計 監 査 マニュアル 検 討 ワーキング グループ 委 員 等 名 簿 ( 順 不 同 敬 称 略 ) 座 長 佐 藤 清 史 杉 孝 常 勤 監 査 役 専 門 委 員 麻 野 浅 一 協 立 運 輸 倉 庫 監 査 役 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 監 事 会 計 委 員 会 委 員 NET 相 談 室 相 談 員 岩 﨑 淳 公 認 会 計 士 税 理 士 不 動 産 鑑 定 士 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 会 計 委 員 会 事 務 局 補 佐 委 員 木 村 茂 生 関 東 化 成 工 業 監 査 役 木 村 拙 二 愛 知 産 業 監 査 役 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 検 討 会 WG( 中 小 企 業 庁 金 融 庁 ) 企 業 財 務 委 員 会 ( 経 済 産 業 省 ) 税 制 委 員 会 ( 東 京 商 工 会 議 所 ) 各 委 員 國 吉 信 男 フォートラベル 常 勤 監 査 役 三 谷 総 雄 白 組 監 査 役 宮 本 照 雄 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 専 務 理 事 事 務 局 永 田 雅 仁 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 理 事 企 画 部 長 兼 事 業 部 長 渡 辺 浩 二 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 事 業 部 副 部 長 上 遠 野 恭 啓 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 事 業 部 中 小 規 模 会 社 支 援 課 長 山 形 昭 夫 ( 公 社 ) 日 本 監 査 役 協 会 事 業 部 中 小 規 模 会 社 支 援 課 長 代 理 v

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 1 なぜ 監 査 役 は 取 締 役 を 監 査 するのか 第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 1 なぜ 監 査 役 は 取 締 役 を 監 査 するのか (1) 取 締 役 と 監 査 役 は 会 社 と 委 任 関 係 にある このマニュアルは 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 のために 会 計 監 査 の 実 務 に 役 立 つことを 目 的 として 作 成 されたものであるが 初 めに 少 し 回 り 道 をして 監 査 役 監 査 の 最 も 根 源 となる 事 柄 について 考 えてみたい 取 締 役 と 監 査 役 は 株 主 総 会 で 株 主 によって 選 出 され 会 社 とは 委 任 の 関 係 にある( 会 3291 330 民 643~656) 株 主 は 会 社 が 健 全 で 持 続 的 に 成 長 することを 願 っており そのために 1 取 締 役 に 対 して 忠 実 に 会 社 の 業 務 を 執 行 することを 委 任 し( 会 3481 355) 2 監 査 役 に 対 しては 取 締 役 の 職 務 執 行 が 適 正 に 行 われているかどうかを 取 締 役 から 独 立 し た 立 場 に 立 って 監 査 することを 委 任 する( 会 3811) そして 取 締 役 と 監 査 役 が 両 両 相 俟 って 会 社 の 健 全 で 持 続 的 な 成 長 を 確 保 することを 負 託 し ている (2) 委 任 を 受 けた 者 の 二 つの 義 務 この 委 任 という 関 係 のために 株 主 に 対 する 取 締 役 と 監 査 役 の 基 本 的 な 義 務 が 生 じること になる 委 任 とは 人 に 仕 事 を 頼 む 方 法 であるが 同 じように 人 に 仕 事 を 頼 む 方 法 には 雇 用 と 請 負 がある 雇 用 は 仕 事 を 受 けた 人 が 使 用 者 の 指 揮 下 に 入 って 仕 事 をし 使 用 者 がこれ に 報 酬 を 支 払 うという 方 法 である 請 負 は 家 屋 の 建 築 や 土 木 工 事 などのように 請 け 負 った 人 が 仕 事 の 完 成 を 責 任 を 持 って 引 き 受 け その 成 果 に 対 して 報 酬 が 支 払 われるという 方 法 である これに 対 して 委 任 は 他 人 に 一 定 の 仕 事 を 委 託 し 相 手 がそれを 受 託 することによって 契 約 が 成 立 する 方 法 であるが 雇 用 のように 使 用 者 の 指 揮 下 に 入 って 仕 事 をするのではなく 受 任 者 が 自 分 の 判 断 と 裁 量 で 仕 事 を 処 理 するという 点 と 請 負 のように 結 果 の 完 成 を 必 ずしも 必 要 としないという 点 で 大 きな 違 いがある このように 委 任 という 方 法 は 自 分 の 裁 量 で 仕 事 をする 結 果 の 完 成 を 前 提 としない という 契 約 なので 委 任 する 者 としては 何 の 制 約 もなく 仕 事 を 頼 むことはできない そのため 委 任 について 規 定 している 民 法 では 受 任 者 に 次 の 二 つの 義 務 を 課 している - 1 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 1 なぜ 監 査 役 は 取 締 役 を 監 査 するのか 1 受 任 者 は 善 良 な 管 理 者 の 注 意 をもって 委 任 事 務 を 処 理 する 義 務 を 負 う( 民 644) 会 社 と 役 員 との 関 係 は 民 法 の 委 任 に 関 する 規 定 に 従 う( 会 330) 受 任 した 取 締 役 や 監 査 役 は 委 任 者 である 株 主 の 指 揮 命 令 に 従 って 仕 事 をするのではなく 自 分 の 判 断 で 仕 事 をするため 常 に 善 良 な 管 理 者 としての 注 意 義 務 を 尽 くして 職 務 を 執 行 しな ければならない 善 良 な 管 理 者 の 注 意 義 務 ( 善 管 注 意 義 務 ) とは 特 別 な 義 務 ではなく その 人 が 持 ってい る 能 力 や 注 意 力 に 関 係 なく 例 えば 取 締 役 や 監 査 役 という 地 位 や 職 務 に 対 して 株 主 が 通 常 期 待 している 程 度 の 抽 象 的 一 般 的 な 注 意 義 務 をいう したがって 監 査 役 の 場 合 は 監 査 役 という 地 位 にある 者 に 対 して 株 主 などが 一 般 に 期 待 している 程 度 の 注 意 義 務 を 尽 くして 監 査 という 職 務 を 執 行 することが 求 められる 2 受 任 者 は 受 任 業 務 の 処 理 の 経 過 及 び 結 果 を 委 任 者 に 報 告 しなければならない( 民 645) 前 述 したように 受 任 業 務 は 通 常 請 負 のように 仕 事 が 完 結 するわけではなく 雇 用 のよ うに 常 に 使 用 者 の 監 視 下 で 仕 事 をしているわけでもない そのため 委 任 者 は 受 任 者 がどんな 仕 事 をしているか 分 からないので 受 任 者 は 自 分 が 受 任 した 仕 事 の 処 理 の 経 過 と 結 果 について 一 定 の 期 間 を 区 切 って 委 任 者 に 報 告 して 承 認 を 得 なければならない (3) 取 締 役 と 監 査 役 の 受 任 義 務 民 法 が 定 める 上 記 の 二 つの 基 本 的 な 受 任 義 務 を 取 締 役 及 び 監 査 役 に 当 てはめると 次 のように なる 1 取 締 役 の 受 任 義 務 1) 取 締 役 としての 善 管 注 意 義 務 ( 忠 実 義 務 ( 会 355)を 含 む 以 下 同 じ )を 尽 くして 職 務 を 執 行 する 義 務 2) 職 務 執 行 の 経 過 と 結 果 を 明 らかにするために 計 算 書 類 (9 頁 参 照 ) 事 業 報 告 を 作 成 し て 委 任 者 である 株 主 に 報 告 する 義 務 ( 会 435~438) 2 監 査 役 の 受 任 義 務 1) 監 査 役 としての 善 管 注 意 義 務 を 尽 くして 上 記 1の 取 締 役 の 受 任 義 務 の 履 行 状 況 を 監 査 する 義 務 2) 監 査 の 方 法 と 結 果 を 明 らかにするために 監 査 報 告 (32 頁 参 照 )を 作 成 して 委 任 者 であ る 株 主 に 報 告 する 義 務 ( 会 436) この 監 査 役 の 受 任 義 務 を 会 社 法 (93 頁 参 照 )は 次 のように 規 定 している ( 会 社 法 381 条 1 項 ) 監 査 役 は 取 締 役 の 職 務 の 執 行 を 監 査 し 法 務 省 令 の 定 めるところにより 監 査 報 告 を 作 成 しなければならない - 2 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 1 なぜ 監 査 役 は 取 締 役 を 監 査 するのか (4) 監 査 役 は 取 締 役 の 何 を 監 査 するのか 前 節 (3)で 述 べたように 監 査 役 の 職 務 は 取 締 役 が 株 主 から 受 任 した 職 務 の 執 行 状 況 を 監 査 することであるが そのような 監 査 役 の 職 務 は 業 務 監 査 と 会 計 監 査 に 分 けて 考 えられている ただし 業 務 の 監 査 をするのが 業 務 監 査 であり 会 計 の 監 査 をするのが 会 計 監 査 であるという 捉 え 方 をするのではなく 前 節 で 述 べた 取 締 役 の 受 任 義 務 に 焦 点 を 当 てて 業 務 監 査 とは 取 締 役 の 善 管 注 意 義 務 の 履 行 状 況 を 監 査 することであり 会 計 監 査 とは 取 締 役 が 報 告 義 務 を 果 たすために 作 成 した 計 算 関 係 書 類 を 監 査 することであると 考 えると 監 査 の 本 質 が 理 解 しやすい < 図 表 1-1> 監 査 役 の 監 査 の 対 象 監 査 役 の 監 査 業 務 監 査 取 締 役 の 善 管 注 意 義 務 の 履 行 状 況 の 監 視 検 証 会 計 監 査 取 締 役 が 作 成 する 計 算 関 係 書 類 の 適 法 性 適 正 性 の 検 証 1 業 務 監 査 とは 業 務 監 査 は 取 締 役 の 職 務 の 執 行 を 監 査 の 対 象 にした 執 行 実 態 の 監 査 ( 善 管 注 意 義 務 の 監 査 ) である 監 査 役 は 株 主 から 会 社 経 営 の 委 任 を 受 けた 取 締 役 が 善 管 注 意 義 務 を 尽 くして 業 務 を 執 行 し ているか そして 法 令 定 款 及 び 株 主 総 会 の 決 議 を 遵 守 し 忠 実 義 務 を 尽 くして 職 務 を 行 って いるか( 会 355)という 観 点 から 取 締 役 の 職 務 執 行 が 適 法 かつ 適 正 に 行 われているかを 監 査 す るが それは 事 後 的 な 監 査 にとどまらず 予 防 監 査 (5 頁 (3)5 参 照 )にも 及 ぶ また 業 務 監 査 は 後 述 するように 監 査 役 が 会 計 監 査 を 行 うに 際 してその 前 提 となる 重 要 な 情 報 収 集 手 段 でもあ る なお 業 務 監 査 の 具 体 的 な 方 法 は 各 会 社 の 監 査 環 境 によって 異 なってくる 特 に 中 小 規 模 会 社 の 場 合 は その 会 社 の 成 り 立 ち 規 模 役 員 構 成 や 会 社 の 中 における 監 査 役 の 立 ち 位 置 役 割 などをよく 勘 案 して 社 内 の 理 解 や 協 力 が 得 られるような 監 査 方 法 によることが 必 要 である 2 会 計 監 査 とは 会 計 監 査 は 会 計 に 関 する 帳 簿 や 書 類 等 を 監 査 の 対 象 にした 開 示 情 報 の 監 査 ( 報 告 義 務 の 監 査 ) である 取 締 役 は 毎 事 業 年 度 に 自 分 が 受 任 した 業 務 の 執 行 状 況 ( 経 過 と 結 果 )を 委 任 者 である 株 主 に 報 告 するための 計 算 書 類 及 び 事 業 報 告 並 びにそれらの 附 属 明 細 書 を 作 成 しなければならない 会 計 監 査 とは 計 算 関 係 書 類 ( 計 規 23 三 1211)(11 頁 参 照 )を 監 査 することをいうが 事 業 報 告 も 事 業 年 度 ごとに 株 主 に 報 告 するための 書 類 であるので 期 末 にはそれらも 含 めて 書 類 の 内 容 が 適 法 かつ 適 正 であるかを 監 査 する つまり 会 計 監 査 は 報 告 書 類 の 検 証 ともいえる もちろん 計 算 関 係 書 類 や 事 業 報 告 は 経 営 活 動 の 実 態 を 報 告 するものであるから 書 類 の 適 正 さを 検 証 するためには 業 務 実 態 の 把 握 が 不 可 欠 であることはいうまでもない そのため 監 査 役 の 会 計 監 査 には 実 態 に 精 通 した 業 務 監 査 からの 視 点 が 重 視 されるのである - 3 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 2 なぜ 監 査 役 の 会 計 監 査 が 必 要 なのか 2 なぜ 監 査 役 の 会 計 監 査 が 必 要 なのか (1) 計 算 書 類 等 に 関 する 取 締 役 の 義 務 前 章 で 述 べたように 株 主 から 会 社 の 経 営 を 委 任 された 取 締 役 は 株 主 をはじめとする 利 害 関 係 者 に 対 して 自 分 の 職 務 執 行 の 経 過 と 結 果 を 報 告 し 説 明 する 義 務 (Accountability)がある そのため 毎 事 業 年 度 末 には 会 社 の 状 況 及 び 財 産 損 益 の 状 況 を 記 載 した 次 の 計 算 書 類 及 び 事 業 報 告 並 びにそれらの 附 属 明 細 書 を 作 成 しなければならない( 会 4352 計 規 591) < 図 表 1-2> 計 算 書 類 等 1 計 算 書 類 1) 貸 借 対 照 表 (55 頁 参 照 ) 2) 損 益 計 算 書 (69 頁 参 照 ) 及 びその 附 属 明 細 書 3) 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 (98 頁 参 照 ) 4) 個 別 注 記 表 (91 頁 参 照 ) 2 事 業 報 告 及 びその 附 属 明 細 書 これらの 計 算 書 類 等 を 株 主 に 報 告 するには 事 前 に 監 査 役 の 監 査 を 受 けることが 義 務 づけられ ている( 会 4361) そのため 監 査 役 は 計 算 書 類 等 が 適 法 かつ 適 正 に 作 成 され 会 社 の 実 態 を 正 確 明 瞭 に 表 示 しているか 否 かを 監 査 して 監 査 報 告 を 作 成 しなければならず 取 締 役 は その 監 査 報 告 を 計 算 書 類 等 に 添 付 して 株 主 に 提 供 し 本 店 に 備 置 し 株 主 債 権 者 の 閲 覧 に 供 しなけれ ばならない( 会 437 442) < 図 表 1-3> 計 算 書 類 等 に 関 する 取 締 役 の 義 務 計 算 書 類 等 を 作 成 する 義 務 ( 会 4352) 監 査 役 会 計 監 査 人 の 監 査 を 受 ける 義 務 ( 会 4361 2)( 注 ) 取 締 役 会 の 承 認 を 受 ける 義 務 ( 会 4363) 株 主 等 に 報 告 し 承 認 を 得 る 義 務 ( 会 437 4382) 取 締 役 会 の 承 認 を 受 ける 義 務 作 成 義 務 報 告 義 務 監 査 を 受 ける 義 務 ( 注 ) 会 計 監 査 人 設 置 会 社 の 場 合 は 会 計 監 査 人 が 計 算 書 類 の 適 正 性 の 監 査 意 見 を 表 明 し 監 査 役 は その 会 計 監 査 人 の 監 査 の 方 法 と 結 果 の 相 当 性 について 監 査 意 見 を 表 明 する - 4 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 2 なぜ 監 査 役 の 会 計 監 査 が 必 要 なのか (2) 会 計 監 査 の 役 割 計 算 書 類 等 は 取 締 役 が 自 分 の 職 務 執 行 の 結 果 を 報 告 するために 自 らの 手 で 作 成 した 書 類 であるので それだけでは 報 告 を 受 ける 人 の 信 頼 を 得 ることはできない 計 算 書 類 等 は 取 締 役 から 独 立 した 立 場 にある 監 査 役 の 監 査 を 受 けて その 適 正 性 信 頼 性 を 担 保 されることに よって はじめて 報 告 に 値 する 書 類 になる これが 会 社 法 の 規 定 する 会 計 監 査 の 役 割 である そのため 株 主 に 送 付 する 定 時 総 会 の 招 集 通 知 (94 頁 参 照 )には 計 算 書 類 事 業 報 告 とともに 監 査 報 告 も 添 付 しなければならず( 会 437) この 監 査 報 告 に 重 要 な 瑕 疵 がある 場 合 は 株 主 総 会 の 決 議 取 消 しの 訴 え( 会 8311 一 )の 対 象 にもなる このように 監 査 は 計 算 書 類 等 を 報 告 するための 不 可 欠 の 要 素 であるので 計 算 書 類 等 の 信 頼 性 を 担 保 するという 監 査 役 の 責 任 はまことに 重 大 である (3) 監 査 役 の 心 構 え したがって 監 査 役 は 会 計 監 査 に 臨 むにあたり 次 の 点 を 十 分 に 認 識 しなければならない 1 日 本 監 査 役 協 会 が 掲 げる 監 査 役 の 理 念 及 び 監 査 役 の 行 動 指 針 を 常 に 念 頭 に 置 くこと 2 監 査 役 としての 独 立 性 の 保 持 に 努 め 公 正 不 偏 の 態 度 で 監 査 に 臨 むこと 3 会 計 監 査 の 品 質 向 上 のために 常 に 自 己 研 鑽 に 努 めること 4 適 正 な 監 査 視 点 の 形 成 に 努 め 経 営 全 般 の 立 場 から 会 計 を 見 る 目 を 養 うこと 5 会 計 監 査 は 事 後 監 査 が 主 体 になるが 常 に 予 防 監 査 の 視 点 を 保 持 すること ( 数 値 の 事 後 的 な 検 証 にとどまらず 粉 飾 等 の 不 祥 事 発 生 を 予 防 するための 監 視 を 怠 らないこと) 6 監 査 意 見 を 形 成 するに 際 しては よく 事 実 を 確 かめるとともに 取 締 役 関 係 各 部 門 の 意 見 に 耳 を 傾 け 判 断 の 根 拠 を 求 めて その 適 正 化 に 努 めること 7 自 らの 監 査 結 果 と 監 査 報 告 に 対 する 強 い 責 任 感 を 保 持 すること 監 査 役 の 理 念 監 査 役 は コーポレート ガバナンスを 担 うものとして 公 正 不 偏 の 姿 勢 を 貫 き 広 く 社 会 と 企 業 の 健 全 かつ 持 続 的 な 発 展 に 貢 献 する 監 査 役 の 行 動 指 針 1.すべてのステークホルダーからの 役 割 期 待 に 応 えるべく 継 続 的 に 研 鑽 に 努 め 独 立 自 尊 の 精 神 を 涵 養 し 信 頼 足 り 得 る 監 査 役 を 目 指 します 2. 誠 実 さを 旨 とし 判 断 の 根 拠 を 広 く 社 会 に 求 めるとともに 現 場 に 立 脚 した 正 しい 情 報 に 基 づき 公 正 と 信 義 を 重 んじた 日 々の 監 査 役 活 動 を 遂 行 します 3.いかなる 状 況 下 にあっても 毅 然 とした 態 度 で 監 査 役 の 職 務 を 全 うし 説 明 責 任 を 果 たし コーポレート ガバナンスの 強 化 に 努 めます - 5 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 3 会 計 に 関 する 法 律 3 会 計 に 関 する 法 律 会 社 の 会 計 は 財 産 管 理 の 委 任 を 受 けた 経 営 者 ( 取 締 役 )が 管 理 の 経 過 と 結 果 を 明 らかに する 手 段 として 誕 生 し その 後 の 経 済 活 動 の 変 化 に 即 応 しながら 発 達 し 徐 々に 理 論 化 されて 一 般 社 会 の 中 で 公 正 な 会 計 慣 行 として 定 着 してきた 会 計 理 論 は 実 務 に 密 着 した 実 践 規 範 であるが それ 自 体 は 法 的 強 制 力 を 持 つものではない そ の 会 計 理 論 に 法 的 強 制 力 を 持 たせたのが 会 社 法 などの 会 計 規 定 である われわれが 眼 にしてい る 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 などの 計 算 書 類 は 強 行 法 規 である 会 社 法 や 会 社 計 算 規 則 などの 会 計 に 関 する 規 定 に 従 って 作 成 されている しかし 会 社 の 会 計 を 規 制 しているのは 会 社 法 だけではない 会 社 の 会 計 は 経 営 活 動 の 実 態 を 株 主 債 権 者 税 務 当 局 一 般 投 資 家 経 営 者 などのさまざまな 利 害 関 係 者 (ステーク ホ ルダー)に 報 告 することを 目 的 としているので 報 告 を 受 ける 人 の 利 害 が 異 なれば 当 然 会 計 を 見 る 目 も 異 なり 会 計 の 報 告 内 容 に 対 する 要 求 も 異 なってくる そのため 会 計 が 報 告 する 対 象 によって 法 の 規 制 も 異 なっている (1) 内 部 管 理 資 料 としての 会 計 企 業 の 経 営 者 が 経 営 管 理 責 任 を 遂 行 するためには 自 社 の 経 営 状 況 を 的 確 に かつ 迅 速 に 把 握 することが 不 可 欠 である そのために 会 計 は 利 益 計 画 予 算 統 制 原 価 管 理 損 益 分 析 などの 経 営 意 思 決 定 や 業 績 評 価 のための 資 料 を 経 営 者 に 提 供 する 役 割 を 果 たしている これを 管 理 会 計 (87 頁 参 照 )というが 管 理 会 計 の 特 質 は 企 業 の 利 益 獲 得 を 目 的 とした 内 部 資 料 であり 法 的 な 規 制 を 受 けない 私 的 会 計 であることである (2) 外 部 報 告 書 としての 会 計 企 業 が 自 由 経 済 体 制 の 下 で 市 場 に 参 加 して 経 営 活 動 をするにあたっては その 市 場 が 秩 序 整 然 と 機 能 するように 市 場 の 要 求 に 応 えて 自 社 の 情 報 を 開 示 することが 求 められる 外 部 に 開 示 する 情 報 は 隠 蔽 や 粉 飾 等 によって 市 場 の 秩 序 を 乱 すものであってはならず また 各 企 業 の 情 報 の 内 容 は 均 質 で 必 要 かつ 正 確 でなければならない そのため 法 令 で 情 報 の 公 開 と 情 報 内 容 の 均 質 とを 義 務 づけることによって 企 業 の 会 計 情 報 を 公 的 に 管 理 する 体 制 が 整 えられている わが 国 の 外 部 報 告 としての 企 業 会 計 制 度 は 会 社 法 金 融 商 品 取 引 法 法 人 税 法 というそれぞ れ 目 的 の 異 なった 三 つの 法 律 の 規 制 の 下 で 形 成 されている - 6 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 3 会 計 に 関 する 法 律 1 会 社 法 の 会 計 会 社 法 は 株 主 の 保 護 と 並 んで 債 権 者 の 保 護 とそのための 債 権 に 対 する 担 保 能 力 の 保 全 を 目 的 としている したがって 債 権 者 にとって 唯 一 の 担 保 である 株 主 出 資 額 を 保 全 する ために 資 本 維 持 の 原 則 に 従 って 配 当 可 能 限 度 額 の 算 定 を 厳 しく 規 定 している 会 社 法 は 配 当 可 能 利 益 とは 純 財 産 の 増 加 分 である という 計 算 思 考 をとっているので 貸 借 対 照 表 上 の 資 産 の 範 囲 とその 評 価 に 重 点 を 置 いて 規 制 している ( 貸 借 対 照 表 を 重 視 ) 2 金 融 商 品 取 引 法 の 会 計 金 融 商 品 取 引 法 は 一 般 投 資 家 の 保 護 を 目 的 としているので( 金 商 法 1) 企 業 情 報 の 開 示 を 重 視 し 会 計 の 主 目 的 を 投 資 家 に 対 する 情 報 提 供 に 置 いている そのため 会 社 の 収 益 力 を 示 す 期 間 損 益 計 算 に 重 点 を 置 いて 発 生 主 義 会 計 に 従 って 当 期 の 期 間 損 益 を 算 定 することを 課 題 としている ( 損 益 計 算 書 を 重 視 ) 3 法 人 税 法 の 会 計 法 人 税 法 の 会 計 は 税 負 担 の 公 平 性 の 確 保 を 目 的 としているので 課 税 所 得 ( 税 を 課 する 利 益 )を 公 平 に 計 算 することに 重 点 を 置 いている そのため 各 会 社 の 利 益 計 算 ( 収 益 - 費 用 = 当 期 利 益 )を 税 法 の 益 金 損 金 の 規 定 に 従 って 加 減 調 整 することによって 課 税 所 得 を 公 平 に 算 定 することを 課 題 としている < 図 表 1-4> 法 で 規 制 されている 会 計 会 社 法 ( 会 社 計 算 規 則 など) 金 融 商 品 取 引 法 ( 財 務 諸 表 等 規 則 など) 法 人 税 法 ( 法 人 税 法 施 行 令 など) 対 象 株 式 会 社 など 上 場 会 社 など すべての 法 人 目 的 株 主 債 権 者 保 護 投 資 家 保 護 税 負 担 の 公 平 会 計 の 着 眼 点 配 当 可 能 利 益 の 計 算 期 間 損 益 の 計 算 課 税 所 得 の 計 算 計 算 書 類 連 結 計 算 書 類 財 務 諸 表 連 結 財 務 諸 表 報 告 書 の 名 称 法 人 税 申 告 書 (97 頁 参 照 ) (97 頁 参 照 ) 報 告 書 の 提 出 先 株 主 ( 総 会 ) 各 財 務 局 管 轄 税 務 当 局 - 7 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 3 会 計 に 関 する 法 律 (3) 企 業 会 計 制 度 の 関 連 上 記 のように 企 業 会 計 は 報 告 する 目 的 によって 内 部 資 料 と 外 部 報 告 に 分 けられ 外 部 報 告 は 報 告 する 相 手 によって 会 社 法 金 融 商 品 取 引 法 法 人 税 法 でそれぞれ 規 制 されている しかし これらの 目 的 や 対 象 を 異 にする 会 計 は 別 々に 作 成 されるのではなく 企 業 会 計 原 則 の 単 一 性 の 原 則 (15 頁 参 照 )に 従 って 単 一 の 会 計 資 料 からそれぞれの 規 定 に 基 づいて 作 成 される そのため 会 社 法 金 融 商 品 取 引 法 法 人 税 法 の 三 つの 会 計 は < 図 表 1-5>に 示 し たように 相 互 に 影 響 しあい 関 連 しながら 計 算 書 類 財 務 諸 表 法 人 税 申 告 書 を 作 成 してい るので 企 業 会 計 のトライアングル 体 制 ともいわれている < 図 表 1-5> 企 業 会 計 のトライアングル 体 制 企 業 活 動 企 業 活 動 の 実 態 を 利 害 関 係 者 に 報 せるため 簿 記 という 手 段 を 使 って 金 額 で 表 現 する 企 業 会 計 < 外 部 報 告 >( 単 一 性 の 原 則 に 従 う) 金 商 法 評 価 会 社 法 決 算 書 ( 計 算 書 類 ) 税 効 果 税 法 確 定 決 算 税 額 確 定 決 算 有 価 証 券 報 告 書 税 額 法 人 税 申 告 書 ( 財 務 諸 表 ) < 内 部 資 料 > 管 理 会 計 利 益 計 画 予 算 統 制 原 価 管 理 経 営 分 析 - 8 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 4 会 計 監 査 の 基 本 4 会 計 監 査 の 基 本 (1) 計 算 書 類 は 何 に 準 拠 して 作 成 されるのか 計 算 書 類 ( 以 下 附 属 明 細 書 を 含 む )は 1 会 社 法 令 の 規 定 に 基 づいて 2 企 業 会 計 の 慣 行 に 従 って 作 成 される( 会 431) その 作 成 の 基 準 となるものは 次 のとおりである < 図 表 1-6> 計 算 書 類 の 作 成 基 準 1) 会 社 法 の 規 定 ( 会 431~465) 会 社 法 には 会 社 の 会 計 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 に 従 う という 会 計 の 原 則 規 定 と 会 計 帳 簿 計 算 書 類 連 結 計 算 書 類 資 本 金 の 額 等 剰 余 金 の 配 当 などについての 基 本 的 な 事 項 が 規 定 されている 2) 会 社 計 算 規 則 ( 計 規 1~166) 会 社 計 算 規 則 では 会 計 帳 簿 における 資 産 負 債 の 評 価 の 基 準 純 資 産 の 価 額 計 算 関 係 書 類 の 表 示 記 載 方 法 監 査 公 告 等 について 規 定 している 3) 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 ( 会 431) 会 社 法 及 び 会 社 計 算 規 則 は 会 社 法 会 計 の 基 本 的 な 事 項 しか 規 定 していないので 具 体 的 な 会 計 処 理 については 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 に 従 う こととされている 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 (13 頁 参 照 )とは 次 のものをいう ⅰ) 企 業 会 計 審 議 会 (88 頁 参 照 )の 企 業 会 計 原 則 会 計 基 準 など ⅱ) 企 業 会 計 基 準 委 員 会 (87 頁 参 照 )の 企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 など ⅲ) 日 本 公 認 会 計 士 協 会 の 実 務 指 針 など ⅳ) 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 や 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 基 本 要 領 も これに 含 まれるとされている ( 注 )(104 頁 参 照 ) ( 注 ) 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 と 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 基 本 要 領 について 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 について 会 計 監 査 人 非 設 置 の 中 小 規 模 会 社 では 難 解 で 煩 雑 な 企 業 会 計 基 準 などは 採 用 せず 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 や 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 基 本 要 領 を 採 用 している 場 合 がある しかし 親 会 社 が 会 計 監 査 人 設 置 会 社 であって 連 結 計 算 書 類 を 作 成 している 場 合 その 子 会 社 では 原 則 として 親 会 社 の 会 計 基 準 が 適 用 されており また 監 査 法 人 (80 頁 参 照 )と 任 意 の 契 約 を 結 んでいる 中 小 規 模 会 社 の 場 合 は 契 約 の 内 容 によって 採 用 する 会 計 基 準 は 一 定 していない したがって 中 小 規 模 会 社 の 監 査 役 は 監 査 を 実 施 する 前 に 自 社 の 経 理 規 程 や 採 用 して いる 会 計 基 準 及 び 会 計 方 針 等 について 確 認 しておく 必 要 がある - 9 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 4 会 計 監 査 の 基 本 (2) 会 計 監 査 の 視 点 監 査 役 の 会 計 監 査 の 目 的 は 開 示 される 計 算 書 類 の 適 正 性 信 頼 性 を 確 保 することにあり 監 査 役 は 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 適 正 に 表 示 しているか 否 かについての 意 見 を 述 べ なければならない そのためには 計 算 書 類 の 何 を 監 査 するのか その 視 点 は 次 の 二 つである < 図 表 1-7> 会 計 監 査 の 視 点 1) 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 適 正 に 表 示 しているか 2) 計 算 書 類 が < 図 表 1-6> 計 算 書 類 の 作 成 基 準 に 基 づいて 作 成 されているか 計 算 書 類 は 株 主 などの 利 害 関 係 者 に 対 して 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 報 告 するために 作 成 するものであるから その 状 況 を 適 正 に 表 示 していなければならない また 計 算 書 類 は 会 社 法 の 規 定 等 に 従 って 作 成 しなければならない しかし この 二 つを 監 査 することは 会 計 知 識 の 少 ない 監 査 役 にとって まことに 頭 の 痛 い 問 題 である 監 査 役 が 上 記 の 1)について 監 査 するためには 業 務 監 査 をとおして 会 社 の 実 態 を 把 握 して いることが 不 可 欠 であるが 会 社 の 財 産 の 状 況 を 表 示 している 貸 借 対 照 表 及 び 損 益 の 状 況 を 表 示 している 損 益 計 算 書 を 読 んで 理 解 できる 程 度 の 会 計 知 識 が 必 要 である また 2)について 監 査 するためには 作 成 基 準 についての 基 礎 的 な 知 識 を 持 つことが 必 要 であ り 会 社 法 令 の 会 計 規 定 会 計 の 考 え 方 簿 記 の 技 術 について 監 査 に 必 要 な 最 小 限 の 知 識 を 習 得 することが 求 められる (3) 会 社 法 が 期 待 する 監 査 役 の 会 計 監 査 現 在 日 本 の 株 式 会 社 ( 特 例 有 限 会 社 を 除 く )は150 万 社 を 超 えるといわれているが その うち 会 計 監 査 人 を 設 置 している 会 社 は1 万 社 強 に 過 ぎない 会 社 法 は すべての 会 社 の 監 査 役 が 会 計 の 専 門 家 もしくは 知 見 者 であるという 前 提 で 監 査 役 に 計 算 書 類 の 監 査 を 義 務 づけているのではない 現 に 日 本 監 査 役 協 会 に 所 属 している 会 員 会 社 の 常 勤 監 査 役 (94 頁 参 照 )のうち 財 務 会 計 の 知 見 を 有 するとして 事 業 報 告 に 記 載 している 常 勤 監 査 役 は25% 余 りにとどまっている ( 注 : 当 協 会 が 平 成 23 年 8 月 に 実 施 した 12 回 インターネット ア ンケートの 調 査 データに 基 づく ) しかし 会 社 法 は 監 査 役 の 会 計 監 査 の 質 が 低 いことを 許 容 しているわけではなく 監 査 役 と いう 職 務 に 通 常 期 待 される 程 度 の 善 管 注 意 義 務 を 尽 くして 会 計 監 査 の 職 務 を 遂 行 することを 求 め ている 特 に 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 場 合 は 専 門 家 でない 監 査 役 だけで 会 計 監 査 を 遂 行 しなければ ならないので 会 計 監 査 人 設 置 会 社 の 監 査 役 に 比 べて 業 務 監 査 よりも 会 計 監 査 の 重 要 性 や 監 査 - 10 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 4 会 計 監 査 の 基 本 のウエイトが 高 く その 責 任 も 大 きい その 意 味 では 会 計 監 査 人 設 置 会 社 の 監 査 役 以 上 に 財 務 会 計 の 知 見 の 習 得 に 心 掛 けたい しかし 監 査 役 一 人 で 悩 むのではなく 税 理 士 などの 社 外 の 専 門 家 に 相 談 できる 環 境 づくりを したり また 自 社 が 企 業 集 団 における 子 会 社 であれば 親 会 社 の 監 査 役 の 協 力 を 要 請 したり 親 会 社 の 会 計 監 査 人 の 定 期 的 なチェックを 受 けることも 望 ましい( 施 規 1054 1074) このような 会 計 監 査 の 専 門 家 でない 監 査 役 のために 会 社 計 算 規 則 121 条 には 会 社 法 におけ る 監 査 の 意 義 を 明 らかにした 次 節 (4)に 示 す 規 定 を 置 いている (4) 会 社 計 算 規 則 が 示 す 監 査 役 の 会 計 監 査 の 方 法 < 図 表 1-8> 計 算 関 係 書 類 の 監 査 の 手 続 ( 会 社 計 算 規 則 121 条 2 項 )より 計 算 関 係 書 類 の 監 査 には 公 認 会 計 士 法 2 条 1 項 に 規 定 する 職 業 的 専 門 家 としての 監 査 のほかに 計 算 関 係 書 類 に 表 示 された 情 報 と 計 算 関 係 書 類 に 表 示 すべき 情 報 との 合 致 の 程 度 を 確 かめ かつ その 結 果 を 利 害 関 係 者 に 伝 達 するための 手 続 を 含 むものとする 会 社 計 算 規 則 121 条 では 会 社 法 における 会 計 監 査 は 会 計 監 査 人 が 行 う 監 査 だけでなく 公 認 会 計 士 並 みの 厳 密 さが 要 求 されない 程 度 の 監 査 を 行 う 者 ( 例 えば 監 査 役 )の 能 力 等 に 応 じ た 水 準 の 監 査 も 含 まれると 規 定 している 計 算 関 係 書 類 ( 計 算 書 類 及 びその 附 属 明 細 書 臨 時 計 算 書 類 連 結 計 算 書 類 )は 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 株 主 等 の 利 害 関 係 者 に 開 示 するために 作 成 されるので 会 社 の 実 態 を 適 正 に 表 示 するものでなければならない そのため 監 査 役 は 自 分 の 能 力 に 応 じて 計 算 関 係 書 類 に 表 示 さ れた 内 容 と 財 産 損 益 の 実 態 が 合 致 している 程 度 を 確 かめる 必 要 がある 具 体 的 な 合 致 の 程 度 を 確 かめる 手 続 については 29 頁 の (2) 監 査 役 の 会 計 監 査 のポイ ント で 述 べるが このようなレベルの 監 査 は 財 務 会 計 の 高 い 知 見 を 必 要 とするものではな く 監 査 役 という 職 務 に 通 常 期 待 される 程 度 の 善 管 注 意 義 務 の 範 疇 に 入 るので 会 計 知 識 の 少 な い 監 査 役 といえども 監 査 に 際 して 必 要 とされるこの 程 度 の 基 本 的 な 会 計 知 識 は 習 得 しなければ ならない (5) 会 計 知 識 の 学 習 法 のヒント では 監 査 役 にはどのような 会 計 の 知 識 が 必 要 なのか 経 理 経 験 のない 新 任 監 査 役 の 中 には 簿 記 の 書 物 と 格 闘 している 人 がいるが 監 査 役 は 計 算 書 類 を 監 査 することが 職 務 であって 自 ら 簿 記 の 技 術 を 用 いて 計 算 書 類 を 作 成 するわけではない - 11 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 4 会 計 監 査 の 基 本 したがって 監 査 役 には 簿 記 の 細 かい 知 識 は 必 要 がなく 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 がどのよ うなプロセスで 記 録 され 作 成 されるのかという 基 本 的 な 仕 組 みを 理 解 して 簿 記 によって 処 理 さ れた 数 値 や 計 算 書 類 の 意 味 を 読 みとることができれば 十 分 である その 手 始 めになる 学 習 方 法 を いくつか 紹 介 する 1 簿 記 や 会 計 の 入 門 書 を 読 む 前 に 自 社 の 直 近 の 事 業 報 告 とその 附 属 明 細 書 計 算 書 類 と その 附 属 明 細 書 及 び 監 査 報 告 書 を 隅 から 隅 まで 何 度 も 読 むことをお 勧 めする 分 から ない 用 語 や 内 容 が 数 多 く 出 てくるはずである 2 次 に 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 各 勘 定 科 目 について 過 去 3 期 程 度 の 推 移 表 を 作 って 増 減 を 確 認 する そして 不 明 な 箇 所 や 疑 問 点 は 可 能 な 限 り 先 任 の 監 査 役 や 総 務 部 門 経 理 部 門 の 人 に 教 えてもらう 説 明 を 求 める のではなく 教 えてもらう 姿 勢 が 大 切 である この 方 法 は 監 査 役 が 会 計 知 識 を 習 得 する 最 短 コースであるだけでなく これから 迎 える 期 末 監 査 の 最 適 の 準 備 かつ 予 習 になる 3 親 会 社 が 有 価 証 券 報 告 書 や 決 算 短 信 を 作 成 している 場 合 は それらも 取 り 寄 せて 精 読 すると 今 までとは 違 った 企 業 集 団 の 姿 が 見 えてくる 4 もうひとつ 大 切 な 教 材 がある 自 社 の 経 理 規 程 や 経 理 マニュアル 内 部 統 制 実 施 基 準 等 ( 内 部 統 制 システムを 構 築 運 用 している 場 合 )を 精 読 して 日 常 の 実 務 がそれらに 準 拠 して 実 施 されているかを 確 認 することである もし 一 般 の 会 計 の 入 門 書 をお 読 みになるのならば これらの 副 読 本 としてお 使 いになれば 役 に 立 つかもしれない 5 日 本 監 査 役 協 会 では 監 査 役 のための 研 修 会 や 講 演 会 を 数 多 く 開 催 している 第 39 期 ( 平 成 23 年 9 月 ~24 年 8 月 )には 会 計 に 関 する 研 修 会 が 全 国 で 58 回 開 催 され 延 べ 1 万 3 千 名 の 出 席 があった 会 計 に 関 する 講 演 会 ( 無 料 )も 東 京 本 部 で 3 回 開 催 され 5 千 名 を 超 える 出 席 が あり 好 評 を 博 している このような 会 計 に 関 連 する 協 会 の 研 修 会 や 講 習 会 には 時 間 と 予 算 が 許 す 限 り 出 席 すること をお 勧 めする 講 座 の 内 容 と 講 師 陣 の 人 選 が 吟 味 されているので 1 年 間 も 受 講 していると 会 計 監 査 の 内 容 や 要 領 が 身 に 付 いてくる なお 協 会 の 研 修 会 や 講 習 会 は その 都 度 会 員 にメールで 配 信 され 協 会 のホームページ (http://www.kansa.or.jp)にも 案 内 が 掲 載 され 協 会 に 加 盟 していない 会 社 の 監 査 役 にも 広 く 参 加 を 呼 びかけている 学 習 の 目 標 は まず 自 分 の 疑 問 点 について 経 理 部 門 の 人 と 具 体 的 な 意 見 交 換 ができるように なることである - 12 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 (1) 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 会 計 (Accounting) は 財 産 の 所 有 者 ( 株 主 )から 財 産 の 管 理 ( 会 社 の 経 営 )を 委 任 された 経 営 者 ( 取 締 役 )が 財 産 の 所 有 者 ( 株 主 )をはじめとする 利 害 関 係 者 に 財 産 の 管 理 の 経 過 ( 損 益 の 状 況 )と 結 果 ( 財 産 の 状 況 )を 報 告 するための 手 段 として 誕 生 し その 後 の 経 済 環 境 の 変 化 に 即 応 して 発 達 し その 手 法 や 考 え 方 も 取 捨 選 択 されて 徐 々に 理 論 化 され 体 系 づけられ 会 計 慣 行 として 定 着 してきた 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 慣 行 とは このような 一 般 社 会 に 公 正 妥 当 な 会 計 慣 行 と して 定 着 している 会 計 の 考 え 方 や 手 法 をいう 会 社 法 などの 会 計 規 定 は これらの 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 会 計 慣 行 を 取 り 入 れ それに 準 拠 して 規 定 されている( 会 431) また 法 律 に 定 められていない 多 くの 会 計 の 実 務 も 公 正 な 会 計 慣 行 に 従 い あるいはそれを 斟 酌 して 行 われている( 計 規 3) < 図 表 1-9> 会 計 の 原 則 と 会 計 慣 行 の 斟 酌 会 社 法 431 条 ( 会 計 の 原 則 ) 株 式 会 社 の 会 計 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 に 従 うものとする 会 社 計 算 規 則 3 条 ( 会 計 慣 行 のしん 酌 ) この 省 令 の 用 語 の 解 釈 及 び 規 定 の 適 用 に 関 しては 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 基 準 その 他 の 企 業 会 計 の 慣 行 をしん 酌 しなければならない つまり 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 などの 計 算 書 類 は 強 行 法 規 である 会 社 法 令 などの 規 定 に 従 って 作 成 されているが その 会 社 法 令 の 会 計 規 定 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められている 会 計 慣 行 に 準 拠 している この 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 企 業 会 計 の 慣 行 には 9 頁 < 図 表 1-6>に 示 したよう に 金 融 庁 の 諮 問 機 関 である 企 業 会 計 審 議 会 (88 頁 参 照 )が 定 めた 企 業 会 計 原 則 (14 頁 88 頁 参 照 )や 個 別 の 会 計 基 準 民 間 団 体 である 財 団 法 人 財 務 会 計 基 準 機 構 の 企 業 会 計 基 準 委 員 会 (87 頁 参 照 )が 設 定 した 企 業 会 計 基 準 や 適 用 指 針 のほか 日 本 公 認 会 計 士 協 会 の 実 務 指 針 等 が 該 当 する また 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 ほか)や 中 小 企 業 の 会 計 に 関 す る 基 本 要 領 ( 中 小 企 業 庁 ほか)もこれに 含 まれるとされている - 13 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 (2) 企 業 会 計 原 則 わが 国 の 会 計 の 考 え 方 の 基 本 企 業 会 計 原 則 (88 頁 参 照 )は 昭 和 24 年 に 企 業 会 計 審 議 会 (88 頁 参 照 )によって 作 成 され その 後 改 正 を 重 ねたもので 会 計 実 務 の 中 に 慣 習 として 発 達 した 会 計 処 理 や 表 示 方 法 の 中 から 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められたところを 要 約 して 理 論 的 に 体 系 づけたものである それ 自 体 は 法 的 強 制 力 を 持 つものではないが すべての 企 業 が 会 計 処 理 をするにあたって 従 わ なければならない( 会 431) 会 計 実 務 に 密 着 した 実 践 規 範 とされている 企 業 会 計 原 則 は 1 会 計 の 処 理 基 準 2 監 査 の 判 断 基 準 3 会 計 法 令 の 制 定 改 廃 の 理 論 基 準 と なる 重 要 な 原 則 であり 次 に 示 す 三 つの 原 則 から 構 成 されている 1) 一 般 原 則 2) 損 益 計 算 書 原 則 3) 貸 借 対 照 表 原 則 (3) 企 業 会 計 原 則 の 一 般 原 則 の 考 え 方 企 業 会 計 原 則 の 一 般 原 則 は 会 計 全 般 にわたる 包 括 的 かつ 基 本 的 な 原 則 で 次 の7つの 原 則 から 成 り 立 っており 監 査 役 の 会 計 監 査 に 際 しても 常 に 道 しるべとすべき 原 則 である 1 真 実 性 の 原 則 企 業 会 計 は 企 業 の 財 政 状 態 及 び 経 営 成 績 に 関 して 真 実 な 報 告 を 提 供 するものでなければな らない これは 企 業 会 計 のすべての 原 則 を 総 括 している 基 本 原 則 で 会 計 は 報 告 だから 虚 偽 記 載 や 粉 飾 は 許 さないという 会 計 原 則 の 頂 点 に 立 つ 原 則 である 2 正 規 の 簿 記 の 原 則 企 業 会 計 は すべての 取 引 につき 正 規 の 簿 記 の 原 則 に 従 って 正 確 な 会 計 帳 簿 を 作 成 しなけ ればならない 真 実 の 報 告 を 提 供 するためには 正 規 の 簿 記 手 続 によって 記 録 の 網 羅 性 証 拠 資 料 による 検 証 の 可 能 性 及 び 体 系 的 な 秩 序 性 を 備 えた 正 確 な 会 計 帳 簿 を 作 成 し その 会 計 帳 簿 から 誘 導 して 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 を 作 成 しなければならない 3 資 本 取 引 損 益 取 引 区 分 の 原 則 資 本 取 引 と 損 益 取 引 とを 明 瞭 に 区 分 し 特 に 資 本 剰 余 金 と 利 益 剰 余 金 とを 混 同 してはならない 株 主 からの 出 資 の 増 減 となる 資 本 取 引 と 営 業 活 動 によって 得 た 利 益 の 増 減 となる 損 益 取 引 が 混 同 すると 期 間 損 益 が 適 正 に 表 示 されず 利 害 関 係 者 の 判 断 を 誤 らせるので 配 当 可 能 利 益 (94 頁 参 照 )と 課 税 所 得 を 正 しく 算 定 して 資 本 の 社 外 流 出 を 防 がなければならない - 14 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 4 明 瞭 性 の 原 則 企 業 会 計 は 財 務 諸 表 によって 利 害 関 係 者 に 対 し 必 要 な 会 計 事 実 を 明 瞭 に 表 示 し 企 業 の 状 況 に 関 する 判 断 を 誤 らせないようにしなければならない 利 害 関 係 者 が 企 業 の 状 況 を 正 しく 把 握 し 判 断 できるように 企 業 情 報 の 明 瞭 な 表 示 と 適 切 な 開 示 の 二 つを 要 求 している 明 瞭 な 表 示 については 財 務 諸 表 の 様 式 区 分 などの 形 式 的 明 瞭 性 とともに 会 計 方 針 の 注 記 や 後 発 事 象 の 注 記 などの 実 質 的 明 瞭 性 の 充 実 を 要 求 している 5 継 続 性 の 原 則 企 業 会 計 は その 処 理 の 原 則 及 び 手 続 を 毎 期 継 続 して 適 用 し みだりにこれを 変 更 してはな らない 企 業 が 正 当 な 理 由 なしに 恣 意 的 な 判 断 で 表 示 や 処 理 方 法 を 変 更 することを 抑 制 して 1) 企 業 の 利 益 操 作 を 排 除 すること 2) 会 計 数 値 の 期 間 比 較 を 確 保 することを 求 めており 報 告 の 真 実 性 を 確 保 するための 不 可 欠 の 原 則 である 6 保 守 主 義 ( 安 全 性 )の 原 則 企 業 の 財 政 に 不 利 な 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 がある 場 合 には これに 備 えて 適 当 に 健 全 な 会 計 処 理 をしなければならない 企 業 は 会 社 の 安 全 と 健 全 な 発 展 を 義 務 づけられているので 将 来 の 危 険 に 備 えて 常 に 安 全 で 慎 重 な 判 断 に 基 づく 会 計 処 理 が 必 要 である そのため 予 想 の 利 益 ( 未 実 現 利 益 )は 計 上 せず 予 想 の 損 失 ( 含 み 損 )は 計 上 すべしという 会 計 処 理 の 原 則 である 7 単 一 性 の 原 則 株 主 総 会 提 出 のため 信 用 目 的 のため 租 税 目 的 のため 等 種 々の 目 的 のために 異 なる 形 式 の 財 務 諸 表 を 作 成 する 必 要 がある 場 合 その 内 容 は 信 頼 しうる 会 計 記 録 に 基 づいて 作 成 され たものであって 政 策 の 考 慮 のために 事 実 の 真 実 な 表 示 をゆがめてはならない 会 社 法 金 融 商 品 取 引 法 法 人 税 法 など 目 的 によって 異 なった 形 式 の 財 務 諸 表 を 作 成 する 場 合 でも 作 成 の 基 礎 となる 会 計 記 録 は 同 一 でなければならず 報 告 内 容 も 政 策 的 にゆがめてはならない 二 重 帳 簿 は 許 さないという 会 計 帳 簿 の 単 一 性 を 求 めている ( 付 ) 重 要 性 の 原 則 企 業 会 計 は 定 められた 会 計 処 理 の 方 法 に 従 って 正 確 な 計 算 を 行 うべきものであるが 企 業 会 計 が 目 的 とするところは 企 業 の 財 務 内 容 を 明 らかにし 企 業 の 状 況 に 関 する 利 害 関 係 者 の 判 断 を 誤 らせないようにすることにあるから 重 要 性 の 乏 しいものについては 本 来 の 厳 密 な 会 計 処 理 によらないで 他 の 簡 便 な 方 法 によることも 正 規 の 簿 記 の 原 則 に 従 った 処 理 として 認 められる - 15 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 (4) 会 計 処 理 の 二 つの 原 則 損 益 計 算 書 原 則 と 貸 借 対 照 表 原 則 会 計 処 理 は 企 業 の 経 済 行 為 を 取 引 ( 下 段 の( 注 ) 参 照 )という 概 念 で 捉 えて 記 録 することが 出 発 点 であるが 会 計 処 理 に 際 しての 基 本 的 かつ 最 も 重 要 な 問 題 は 次 の 二 つに 集 約 される < 図 表 1-10> 会 計 処 理 の 基 本 的 な 問 題 1 取 引 をいつの 時 点 で 記 録 するか ( 費 用 と 収 益 の 認 識 の 時 期 の 問 題 ) 2 取 引 をいくらの 金 額 で 記 録 するか ( 資 産 の 評 価 の 基 準 の 問 題 ) いつの 時 点 で 記 録 する いくらの 金 額 で 記 録 するのか 企 業 活 動 財 産 の 変 動 取 引 取 引 取 引 取 引 記 録 す る 帳 簿 等 に 損 益 計 算 書 貸 借 対 照 表 会 計 の 範 囲 取 引 をどの 時 点 で 記 録 するかによって 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 表 示 金 額 が 変 わり 取 引 をい くらの 金 額 で 記 録 するかによっても 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 表 示 金 額 が 変 わる この 費 用 と 収 益 の 認 識 の 時 期 について 定 めているのが 損 益 計 算 書 原 則 であり 資 産 の 評 価 の 基 準 について 定 めているのが 貸 借 対 照 表 原 則 である ( 注 ) 会 計 ( 簿 記 ) 上 の 取 引 とは 日 常 使 われている 取 引 は 当 事 者 間 の 意 思 の 一 致 によって 成 立 するが 会 計 上 の 取 引 は 当 事 者 間 の 意 思 の 有 無 にかかわらず また 取 引 の 相 手 が 存 在 しない 場 合 でも 1 財 産 ( 資 産 負 債 資 本 )に 変 動 を 及 ぼす 経 済 事 象 であり 2 それが 金 額 で 把 握 できるもの をいう 例 えば 取 引 先 との 売 買 契 約 や 銀 行 からの 借 入 契 約 は 当 事 者 間 で 合 意 はされているが まだ 会 社 の 財 産 に 変 動 が 生 じていないので 取 引 とはみなさない しかし 工 場 が 火 災 で 焼 失 したり 不 良 在 庫 を 廃 棄 処 分 にしたり 原 料 から 製 品 を 生 産 したとき は 資 産 が 変 動 してその 金 額 は 帳 簿 から 把 握 できるので 会 計 上 の 取 引 になる - 16 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 (5) 損 益 計 算 書 原 則 の 考 え 方 費 用 と 収 益 をどの 時 点 で 認 識 するか 損 益 計 算 書 原 則 は 損 益 計 算 書 を 作 成 するための 原 則 である 企 業 の 経 営 成 績 を 明 らかにするた めに 一 会 計 期 間 に 属 するすべての 収 益 とそれに 対 応 する 費 用 を 記 載 する 方 法 を 定 めている 企 業 活 動 によって 生 じる 費 用 と 収 益 を いつの 時 点 で 記 録 するのか という 認 識 の 時 期 につい て 次 の 三 つの 原 則 に 従 うことを 求 めている 1 発 生 主 義 の 原 則 すべての 費 用 及 び 収 益 は その 支 出 及 び 収 入 に 基 づいて 計 上 し その 発 生 した 期 間 に 正 しく 割 り 当 てられるように 処 理 しなければならない ただし 未 実 現 収 益 は 原 則 として 当 期 の 損 益 計 算 に 計 上 してはならない 前 払 費 用 及 び 前 受 収 益 は これを 当 期 の 損 益 計 算 から 除 去 し 未 払 費 用 及 び 未 収 収 益 は 当 期 の 損 益 計 算 に 計 上 しなければならない 企 業 は 経 営 成 績 を 把 握 し 報 告 するために 一 定 の 期 間 を 区 切 って 損 益 計 算 をするので 取 引 をどの 時 点 で 記 録 するか つまり 当 期 か 来 期 かによって 損 益 の 金 額 が 増 減 する したがって 企 業 活 動 の 実 態 を 会 計 情 報 として 損 益 計 算 書 で 正 しく 表 現 するためには 取 引 として 認 識 する 経 済 的 事 実 が 発 生 した 時 点 で すべての 費 用 と 収 益 を 記 録 しなけ ればならない これを 発 生 主 義 の 原 則 といい 企 業 会 計 の 最 も 根 本 的 な 原 則 である 減 価 償 却 引 当 金 未 払 費 用 などの 計 上 は この 原 則 に 基 づいた 会 計 処 理 の 方 法 である しかし 収 益 の 計 上 については 保 守 主 義 ( 安 全 性 )の 原 則 に 従 って 確 実 性 が 要 求 さ れるので 実 現 した 収 益 だけしか 計 上 してはいけない( 実 現 主 義 ) 会 社 が 商 品 又 は 役 務 を 第 三 者 に 提 供 して その 対 価 として 現 金 手 形 売 掛 金 などの 貨 幣 性 資 産 を 受 領 すること となる 時 点 を 収 益 が 実 現 した 時 点 として その 時 点 で 収 益 が 発 生 したと 認 識 する 契 約 時 や 受 注 時 などに 未 実 現 の 収 益 を 計 上 してはいけない 費 用 は 発 生 した 時 点 で 認 識 し 収 益 は 実 現 した 時 点 で 認 識 する これが 費 用 と 収 益 を 認 識 する 原 則 である(70 頁 売 上 参 照 ) 2 費 用 収 益 対 応 の 原 則 費 用 及 び 収 益 は その 発 生 源 泉 に 従 って 明 瞭 に 分 類 し 各 収 益 項 目 とそれに 関 連 する 費 用 項 目 とを 損 益 計 算 書 に 対 応 表 示 しなければならない 次 に 実 現 主 義 で 認 識 した 当 期 の 収 益 に 対 応 させて 発 生 した 費 用 の 中 からその 収 益 を 獲 得 するために 要 したものを 選 択 して 収 益 に 対 応 する 費 用 とする 費 用 収 益 の 対 応 は 個 別 の 対 応 期 間 の 対 応 表 示 の 対 応 それぞれについて 必 要 である 3 総 額 主 義 の 原 則 費 用 及 び 収 益 は 総 額 によって 記 載 することを 原 則 とし 費 用 の 項 目 と 収 益 の 項 目 とを 直 接 に 相 殺 することによってその 全 部 又 は 一 部 を 損 益 計 算 書 から 除 去 してはならない - 17 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 (6) 貸 借 対 照 表 原 則 の 考 え 方 資 産 をどのように 評 価 するか 貸 借 対 照 表 原 則 は 貸 借 対 照 表 を 作 成 するための 原 則 である 企 業 の 財 政 状 態 を 明 らかにするた めに 一 定 時 点 におけるすべての 資 産 負 債 資 本 を 正 しく 記 載 する 方 法 を 定 めている 会 計 処 理 の 基 本 的 な 問 題 点 の 二 つ 目 は 資 産 をいくらの 金 額 で 評 価 して 記 録 するか によって 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 の 数 字 が 変 わり 損 益 が 増 減 するということである 1 取 得 原 価 主 義 貸 借 対 照 表 に 記 載 する 資 産 の 価 額 は 原 則 として 当 該 資 産 の 取 得 原 価 を 基 礎 として 計 上 し なければならない 資 産 の 評 価 の 基 準 は 評 価 の 証 拠 を 過 去 現 在 将 来 のどの 時 点 に 求 めるかによっ て 取 得 原 価 時 価 割 引 現 在 価 値 の 三 つの 基 準 に 分 類 される 取 得 原 価 基 準 は 資 産 の 評 価 額 を 過 去 に 取 得 した 時 の 取 得 原 価 に 求 める 評 価 基 準 で あり 棚 卸 資 産 の 評 価 などは 取 得 原 価 を 原 則 としている 時 価 基 準 は 資 産 を 現 在 の 市 場 価 格 で 評 価 する 基 準 であり 上 場 株 式 などは 時 価 で 評 価 される 割 引 現 在 価 値 基 準 は 将 来 の 利 用 期 間 中 にもたらされると 予 測 される 毎 年 のキャッ シュ フローを 一 定 の 利 子 率 によって 割 り 引 いた 現 在 価 値 の 総 和 を 資 産 価 値 とする 基 準 で あり 退 職 給 付 引 当 金 はこの 方 法 で 評 価 して 計 上 される これらの 評 価 基 準 にはそれぞれ 一 長 一 短 があるので 会 社 の 財 産 の 実 態 を 会 計 情 報 とし て 正 しく 表 現 するためには 資 産 は 客 観 性 検 証 可 能 性 のある 金 額 で 評 価 されなくてはな らない 最 も 客 観 性 があり かつ 証 憑 などによる 検 証 が 可 能 な 金 額 は 取 得 原 価 であるので 資 産 は 原 則 として 取 得 原 価 を 基 礎 として 評 価 される これを 取 得 原 価 主 義 という 取 得 原 価 = 取 得 価 額 - 費 用 化 された 額 = 帳 簿 価 額 取 得 原 価 基 準 の 例 外 的 な 基 準 として 低 価 基 準 がある これは 期 末 時 点 で 取 得 原 価 と 時 価 を 比 較 して いずれか 低 い 方 の 金 額 で 評 価 するという 基 準 で 保 守 主 義 の 原 則 による 考 え 方 である 2 費 用 配 分 の 原 則 資 産 の 取 得 原 価 は 資 産 の 種 類 に 応 じた 費 用 配 分 の 原 則 によって 各 事 業 年 度 に 配 分 しなけ ればならない 機 械 設 備 や 棚 卸 資 産 のような 将 来 の 収 益 を 生 み 出 すための 支 出 は 将 来 の 費 用 として 将 来 の 収 益 に 対 応 させて 配 分 するために 取 得 した 時 は 一 時 的 に 資 産 に 計 上 する 費 用 は 当 期 の 収 益 を 獲 得 するための 支 出 であり 資 産 は 来 期 以 降 の 収 益 を 獲 得 す るための 支 出 であるという 考 え 方 である そのため 資 産 の 取 得 原 価 は 例 えば 固 定 資 産 の 減 価 償 却 費 (74 頁 参 照 )のように 資 産 の 種 類 に 応 じて 各 事 業 年 度 に 費 用 として 配 分 しなければならない これを 費 用 配 分 の 原 則 という 費 用 配 分 の 原 則 に 従 って 固 定 資 産 の 減 価 償 却 費 は 過 去 の 支 出 を 当 期 - 18 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 の 費 用 とし 退 職 給 付 引 当 金 のような 引 当 金 は 将 来 の 支 出 を 当 期 の 費 用 とする 3 資 産 の 性 格 による 評 価 の 考 え 方 資 産 は 貸 借 対 照 表 上 は 資 金 の 流 動 性 の 観 点 から 流 動 資 産 と 固 定 資 産 に 分 類 されるが 資 産 を 評 価 する 観 点 からは 貨 幣 性 資 産 と 費 用 性 資 産 に 分 けて 考 えられる 貨 幣 性 資 産 は 現 金 預 金 売 掛 金 受 取 手 形 貸 付 金 などのように 将 来 とも 費 用 と して 計 上 されることがなく 直 接 資 金 が 回 収 できる 資 産 なので 収 入 額 回 収 可 能 額 で 評 価 される ただし 貨 幣 性 資 産 のうち 時 価 のあるものについては 客 観 性 のある 公 正 価 格 で 評 価 でき かつ いつでも 売 却 可 能 なので 時 価 で 評 価 する これを 時 価 主 義 といい 上 場 されている 有 価 証 券 の 時 価 評 価 などはその 例 である 費 用 性 資 産 は 将 来 費 用 に 転 化 する 資 産 すなわち 将 来 の 事 業 活 動 の 中 で 費 用 配 分 の 原 則 によって 各 事 業 年 度 の 収 益 獲 得 のためにその 年 度 の 費 用 となる 資 産 である 具 体 的 には 棚 卸 資 産 事 業 用 の 固 定 資 産 などがある 事 業 用 の 固 定 資 産 は 継 続 企 業 にあっては 本 来 売 却 予 定 がないので 時 価 で 評 価 する 意 義 に 乏 しく また 棚 卸 資 産 は 事 業 活 動 で 収 益 が 実 現 する 前 に 未 実 現 の 評 価 益 を 計 上 すること は 適 当 ではない したがって 費 用 性 資 産 は 原 則 として 取 得 原 価 で 評 価 される 以 上 5 会 計 の 基 本 的 な 考 え 方 で 述 べてきたことは 会 計 理 論 の 最 も 基 本 になる 事 柄 で ある 企 業 会 計 原 則 は 日 常 の 監 査 の 際 には 関 係 ないように 思 われるが 会 計 処 理 の 実 務 はすべ てこれらの 考 え 方 を 基 礎 にして 構 築 されている 本 マニュアルで 取 り 上 げている 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 指 針 や 中 小 企 業 の 会 計 に 関 する 基 本 要 領 も 企 業 会 計 原 則 の 考 え 方 に 準 拠 して 作 成 されている 監 査 役 は 日 常 の 会 計 監 査 に 際 しては なぜこのような 会 計 処 理 をするのか という 企 業 会 計 原 則 の 考 え 方 をしっかりと 頭 に 入 れておく 必 要 がある - 19 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 (1) 簿 記 の 考 え 方 と 仕 組 み 会 計 は 会 社 の 財 産 管 理 の 経 過 と 結 果 ( 損 益 の 状 況 と 財 産 の 状 況 )を 株 主 をはじめとす る 利 害 関 係 者 に 報 告 するための 手 段 であるが 簿 記 は 会 計 の 正 確 性 とその 記 載 内 容 の 証 拠 を 確 保 するために 財 産 管 理 の 経 過 を 詳 細 に 記 録 することによって 財 産 の 増 減 の 経 緯 ( 損 益 計 算 書 )と 財 産 の 在 り 高 ( 貸 借 対 照 表 )とを 明 らかにするための 記 録 の 技 術 である < 図 表 1-11> 簿 記 の 全 体 の 流 れ ( 企 業 の 事 業 活 動 ) 1 取 引 2 仕 訳 3 勘 定 記 録 4 試 算 表 5( 決 算 整 理 ) 6 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 1 企 業 活 動 を 取 引 ( 注 )として 捉 え 原 因 と 結 果 の 二 面 から 認 識 する 上 の 図 表 は 簿 記 の 全 体 の 流 れを 簡 潔 に 示 したものであるが 簿 記 では< 図 表 1-10>で 示 したように すべての 事 業 活 動 の 一 つひとつを 取 引 として 捉 え 把 握 した 取 引 を ど の 財 産 が 変 動 したのか なぜ 変 動 したのかという 結 果 と 原 因 の 二 つの 面 から 認 識 する これは 複 式 簿 記 の 基 本 となる 最 も 重 要 な 考 え 方 であり 複 式 簿 記 (Double-entry Bookkeeping)という 名 前 は このように 一 つの 取 引 を2 面 で 把 握 して 記 録 することに 由 来 して いる ( 注 : 簿 記 でいう 取 引 については 16 頁 下 段 を 参 照 ) 2 取 引 の 原 因 と 結 果 を 仕 訳 のルールに 従 って 記 録 する 認 識 した 取 引 の 原 因 と 結 果 は その 内 容 を 示 す 勘 定 科 目 を 付 して 仕 訳 のル ールに 従 って 借 方 ( 左 側 )と 貸 方 ( 右 側 )に 記 録 する < 図 表 1-12> 仕 訳 の 基 本 ルール 左 側 に 記 入 する 科 目 右 側 に 記 入 する 科 目 ( 借 方 ) ( 貸 方 ) 資 産 の 増 加 ( 資 産 の 減 少 ) ( 負 債 の 減 少 ) 負 債 の 増 加 ( 資 本 の 減 少 ) 資 本 の 増 加 費 用 の 発 生 収 益 の 発 生 - 20 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 ( 仕 訳 の 例 示 ) 1) 製 品 1,000 千 円 をA 社 に 販 売 した ( 借 方 ) 売 掛 金 1,000( 資 産 の 増 加 ) ( 貸 方 ) 売 上 1,000( 収 益 の 発 生 ) 2) 修 理 費 500 千 円 の 請 求 書 がB 社 から 届 いた ( 借 方 ) 修 理 費 500( 費 用 の 発 生 ) ( 貸 方 ) 未 払 金 500( 負 債 の 増 加 ) 3 仕 訳 した 内 容 を 勘 定 口 座 に 記 録 する 仕 訳 記 入 した 取 引 の 内 容 を 総 勘 定 元 帳 と 補 助 帳 簿 に 設 けた 勘 定 口 座 に 記 録 する < 図 表 1-13> 会 社 の 帳 簿 組 織 ( 主 要 簿 ) ( 補 助 簿 ) 仕 訳 帳 ( 仕 訳 伝 票 ) 総 勘 定 元 帳 現 金 出 納 帳 売 掛 金 元 帳 固 定 資 産 台 帳 買 掛 金 元 帳 借 入 金 元 帳 4 すべての 勘 定 口 座 の 合 計 残 高 を 借 方 と 貸 方 に 分 けて 集 計 した 試 算 表 を 作 る 試 算 表 は 仕 訳 帳 から 元 帳 への 転 記 が 正 しく 行 われているかどうかを 試 算 するために 作 成 さ れるもので 合 計 試 算 表 と 残 高 試 算 表 がある 5 試 算 表 に 記 載 された 勘 定 科 目 の 内 容 を 点 検 して 決 算 整 理 仕 訳 をする 期 末 の 時 点 で 帳 簿 記 録 を 見 直 して 記 録 が 事 実 を 正 しく 反 映 するように 決 算 日 の 日 付 で 修 正 をする 6 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 の 誕 生 最 後 に 決 算 整 理 をした 残 高 試 算 表 を 二 つに 分 割 すると < 図 表 1-14>のように 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 が 同 時 に 誕 生 する < 図 表 1-14> 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 の 誕 生 残 高 試 算 表 貸 借 対 照 表 資 産 負 債 負 債 資 産 資 本 資 本 損 益 計 算 書 費 用 収 益 当 期 利 益 当 期 利 益 費 用 収 益 - 21 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 7 当 期 損 益 の 確 定 残 高 試 算 表 を 二 つに 分 割 して 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 が 同 時 に 誕 生 するので 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 の 当 期 損 益 は < 図 表 1-14>のように 必 ず 一 致 するが 損 益 額 の 算 定 法 と 意 味 するところは 大 きく 異 なる 当 期 損 益 を 算 定 する 方 法 には 財 産 法 と 損 益 法 という 二 つの 方 法 がある 貸 借 対 照 表 は 財 産 法 によって 当 期 損 益 を 算 定 し 損 益 計 算 書 は 損 益 法 によって 算 定 する < 図 表 1-15> 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 の 当 期 損 益 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 ( 財 産 法 ) 期 末 資 本 - 期 首 資 本 = 当 期 損 益 = 収 益 - 費 用 ( 損 益 法 ) 企 業 活 動 の 結 果 を 示 す 損 益 産 出 の 原 因 を 示 す 貸 借 対 照 表 は 期 首 と 期 末 の 自 己 資 本 を 比 較 して 期 末 時 点 の 増 減 額 を 当 期 損 益 として 把 握 している つまり 企 業 活 動 の 結 果 としての 当 期 損 益 を 示 しているが その 損 益 がどの ようにして 産 み 出 されたかは 問 題 にしていない 損 益 計 算 書 は 一 定 期 間 内 の 全 収 益 からそれに 対 応 する 全 費 用 を 差 し 引 いて 当 期 損 益 を 算 定 している つまり 当 期 損 益 がどのような 過 程 で 産 み 出 されたかという 原 因 を 示 して いる このように 簿 記 という 一 つの 計 算 システムの 中 から 生 まれた 貸 借 対 照 表 と 損 益 計 算 書 は 財 産 法 と 損 益 法 という 二 つの 異 なった 計 算 方 法 により 相 互 に 補 完 しあって 当 期 損 益 を 確 定 させている - 22 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 (2) 決 算 書 作 成 のプロセス 前 節 (1)で 述 べたように 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 などの 決 算 書 は 簿 記 手 続 の 流 れの 中 で 会 計 帳 簿 や 試 算 表 と 連 動 しながら 作 成 されるが そのプロセスを 簡 単 に 示 すと 下 の 図 表 のように なる < 図 表 1-16> 決 算 書 作 成 までのプロセス 取 引 仕 訳 伝 票 を 作 成 し 会 計 システムに 入 力 する 仕 訳 帳 総 勘 定 元 帳 補 助 簿 に 転 記 する 総 勘 定 元 帳 補 助 簿 総 勘 定 元 帳 から 試 算 表 を 作 成 する 決 算 整 理 前 試 算 表 期 中 決 算 整 理 処 理 決 算 整 理 の 仕 訳 伝 票 を 作 成 し 会 計 システムに 入 力 総 勘 定 元 帳 の 締 切 りをする 決 算 整 理 後 試 算 表 会 計 システムから 出 力 される 決 算 手 続 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 1 決 算 手 続 の 中 で 最 も 重 要 な 作 業 は 試 算 表 に 記 載 された 勘 定 科 目 の 内 容 を 点 検 して 決 算 整 理 仕 訳 をすることである 監 査 役 にとっても 重 要 な 監 査 対 象 である 元 帳 に 記 載 された 勘 定 科 目 の 内 容 は 毎 日 の 企 業 活 動 を 取 引 として 忠 実 に 記 録 している だけなので 期 末 にはその 記 録 を 見 直 して 事 実 を 正 しく 反 映 するように 決 算 日 の 日 付 で 次 のような 決 算 修 正 をしなければならない 1) 記 録 ( 帳 簿 残 高 )と 事 実 ( 実 際 在 り 高 )に 不 一 致 が 生 じる 事 項 期 末 棚 卸 高 評 価 損 有 価 証 券 (57 頁 参 照 )の 期 末 評 価 貸 倒 引 当 金 (60 頁 参 照 )の 設 定 など 2) 収 益 と 費 用 を 期 間 対 応 させる 必 要 のある 事 項 減 価 償 却 (74 頁 参 照 ) 費 用 収 益 の 見 越 し 計 上 ( 引 当 金 未 払 費 用 未 収 収 益 など) 費 用 収 益 の 繰 延 処 理 ( 前 払 費 用 前 受 収 益 )など 3) 期 中 の 一 時 的 な 仮 処 理 記 録 の 精 算 確 定 処 理 仮 払 金 仮 受 金 費 用 処 理 していた 消 耗 品 在 庫 高 の 資 産 への 振 替 計 上 など - 23 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 2 < 図 表 1-16>のプロセスのうち 人 手 が 用 いられるのは 主 として 取 引 を 仕 訳 伝 票 に より 会 計 システムに 入 力 すること と 決 算 整 理 の 内 容 を 仕 訳 伝 票 により 会 計 システムに 入 力 すること である あとの 手 続 は 会 計 システムの 中 で 行 われる そのため 自 社 の 会 計 システ ムの 正 確 性 と 信 頼 性 が 確 保 されているかどうかを 確 認 することは 監 査 役 にとっても である 3 また 会 計 手 続 のシステム 化 により 転 記 や 計 算 などの 人 手 によるミスは 減 少 するが スター トの 仕 訳 伝 票 の 計 上 ミスは 重 要 なリスクであるので 担 当 部 門 がその 根 絶 に 努 めているか どうかを 確 認 する 必 要 がある (3) 計 算 書 類 の 相 互 関 係 計 算 書 類 ( 附 属 明 細 書 を 含 む )には 次 のものがある(97 頁 参 照 ) 1 貸 借 対 照 表 ( 会 社 の 一 定 時 点 の 財 産 の 状 況 を 表 示 する 計 算 書 ) 2 損 益 計 算 書 ( 会 社 の 一 定 期 間 の 損 益 の 状 況 を 表 示 する 計 算 書 ) 3 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 ( 会 社 の 一 定 期 間 の 純 資 産 の 変 動 状 況 を 表 示 する 計 算 書 ) 4 注 記 表 ( 計 算 書 類 の 内 容 を 理 解 するために 必 要 な 事 項 を 記 載 ) 5 附 属 明 細 書 ( 計 算 書 類 の 内 容 を 補 足 する 事 項 を 記 載 ) これらの 書 類 は 別 々のものではなく 一 体 を 成 して 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 示 している 下 の< 図 表 1-17>に 示 すように 貸 借 対 照 表 に 表 示 されている 純 資 産 の 変 動 の 状 況 を 示 すの が 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 であり その 変 動 の 主 因 となっている 当 期 純 損 益 の 原 因 を 明 らかにして いるのが 損 益 計 算 書 である それらの 内 容 を 補 足 しているのが 注 記 表 と 附 属 明 細 書 である < 図 表 1-17> 計 算 書 類 の 相 互 関 係 < 貸 借 対 照 表 > 資 産 の 部 負 債 の 部 < 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 >(98 頁 参 照 ) < 損 益 計 算 書 > 繰 越 利 益 剰 余 金 売 上 高 純 資 産 の 部 株 主 資 本 評 価 換 算 差 額 新 株 予 約 権 当 期 純 利 益 売 上 原 価 当 期 純 利 益 < 注 記 表 > < 附 属 明 細 書 > - 24 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 (4) 貸 借 対 照 表 の 見 方 読 み 方 1 貸 借 対 照 表 は 一 定 時 点 における 財 産 の 状 況 ( 財 政 状 態 )を 表 示 している 貸 借 対 照 表 は 一 定 時 点 の 資 産 負 債 純 資 産 の 残 高 一 覧 表 である 下 図 のように ( 貸 方 )で 企 業 活 動 の 資 金 がどこから 調 達 され その 資 金 は 誰 の 持 分 である かという 資 金 の 調 達 源 泉 を 示 している ( 借 方 )では その 資 金 が 何 に 使 われ どのような 状 態 で 存 在 しているかという 資 金 の 運 用 形 態 を 示 している したがって 貸 借 対 照 表 の( 貸 方 )からは 借 入 金 の 依 存 度 や 自 己 資 本 の 充 実 度 が 分 かり ( 借 方 )からは 企 業 活 動 のために 資 金 がどのように 有 効 に 使 われているかが 判 断 できる < 図 表 1-18> 貸 借 対 照 表 資 ( 借 方 ) ( 貸 方 ) 資 金 流 動 資 産 負 流 動 負 債 金 ( 形 態 ) の 使 途 資 債 固 定 負 債 固 定 資 産 純 資 本 金 産 資 資 本 剰 余 金 繰 延 資 産 産 利 益 剰 余 金 ( 持 分 ) の 調 達 2 貸 借 対 照 表 の 資 産 負 債 の 項 目 の 記 載 は 流 動 性 配 列 法 によっている 資 産 の 項 目 ( 勘 定 科 目 )の 記 載 順 序 は 財 産 の 究 極 の 姿 である 現 金 からはじめて 現 金 に 換 金 される 順 序 の 早 い 順 に 預 金 受 取 手 形 ( 以 上 56 頁 参 照 ) 売 掛 金 (57 頁 参 照 ) 商 品 固 定 資 産 と 配 列 していく 負 債 の 項 目 は 現 金 の 支 出 を 要 求 される 支 払 返 済 時 期 の 早 い 順 に 支 払 手 形 買 掛 金 短 期 借 入 金 ( 以 上 64 頁 参 照 ) 固 定 負 債 と 配 列 する これによって 一 目 で 流 動 性 の 高 い 資 産 が 多 く 流 動 性 の 高 い 負 債 が 少 ないほど 企 業 の 支 払 能 力 が 健 全 であることが 分 かる (なお 電 力 ガス 会 社 などのように 固 定 資 産 の 重 要 性 が 特 に 高 い 企 業 では 流 動 資 産 ( 負 債 )と 固 定 資 産 ( 負 債 )の 配 列 を 入 れ 替 えた 固 定 性 配 列 法 が 用 いられる 場 合 がある ) 3 流 動 資 産 と 固 定 資 産 流 動 負 債 と 固 定 負 債 の 区 分 は 営 業 循 環 基 準 及 び 一 年 基 準 (ワン イヤー ルール) という 二 つの 基 準 に 従 って 行 われる 営 業 循 環 基 準 では 現 金 ( 仕 入 購 買 ) 商 品 原 材 料 買 掛 金 ( 生 産 ) 仕 掛 品 製 品 ( 販 売 ) 売 掛 金 現 金 回 収 という 正 常 な 営 業 活 動 の 循 環 過 程 にある 受 取 手 形 売 掛 金 商 品 原 材 料 などは 流 動 資 産 に 区 分 し 同 じく 営 業 循 環 過 程 にある 支 払 手 形 買 掛 金 などは 流 動 負 債 に 区 分 計 上 する 一 年 基 準 では 営 業 循 環 基 準 で 区 分 されなかった 営 業 活 動 と 直 接 関 係 のない 貸 付 金 や 借 入 金 で 回 収 支 出 の 履 行 期 限 が 決 算 日 の 翌 日 から 起 算 して 1 年 以 内 に 到 来 するものも 流 動 資 産 流 動 負 債 に 区 分 する これによって 資 金 の 運 用 の 状 況 や 財 務 の 安 全 性 が 判 断 できる - 25 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 現 金 預 金 が 多 いということは 支 払 能 力 が 大 きい 半 面 資 金 の 有 効 利 用 としては 検 討 を 要 す るので 資 産 負 債 の 総 合 的 管 理 の 視 点 から 資 金 の 運 用 調 達 にも 留 意 する 必 要 がある 4 繰 延 資 産 は 将 来 の 期 間 に 影 響 を 及 ぼす 特 定 の 費 用 である 繰 延 資 産 とは 1) 既 に 代 金 の 支 払 が 完 了 し 又 は 支 払 義 務 が 確 定 しており 2) これに 対 する 役 務 の 提 供 を 受 けたにもかかわらず 3) その 効 果 が 将 来 にわたって 発 現 するものと 期 待 される 費 用 をいう これらの 費 用 は 原 則 として 支 出 時 に 費 用 として 処 理 しなければならないが その 効 果 が 及 ぶ 次 期 以 降 の 期 間 に 合 理 的 に 配 分 するために 経 過 的 に 貸 借 対 照 表 に 繰 延 資 産 として 計 上 することもできる しかし あくまで 例 外 的 な 処 理 として 位 置 付 けられている その 内 容 には 創 立 費 開 業 費 開 発 費 株 式 交 付 費 社 債 発 行 費 がある (5) 損 益 計 算 書 の 見 方 読 み 方 1 損 益 計 算 書 は 一 定 期 間 の 損 益 の 状 況 ( 経 営 成 績 )を 表 示 している 損 益 計 算 書 は < 図 表 1-19>に 示 すように 企 業 の 損 益 を 売 上 損 益 本 業 の 損 益 財 務 の 損 益 企 業 活 動 の 損 益 臨 時 的 損 益 当 期 の 損 益 と 段 階 的 に 表 示 している < 図 表 1-19> 損 益 計 算 書 売 上 高 (A) 売 上 原 価 (B) 売 上 総 利 益 (C=A-B) 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 (D) 営 業 利 益 (E=C-D) 営 業 外 収 益 (F) 営 業 外 費 用 (G) 経 常 利 益 (H=E+F-G) 特 別 利 益 (I) 特 別 損 失 (J) 税 引 前 当 期 純 利 益 (K=H+I-J) 法 人 税 住 民 税 及 び 事 業 税 (L) 法 人 税 等 調 整 額 (M) 当 期 純 利 益 (N=K-(L±M)) 売 上 損 益 本 業 の 損 益 財 務 の 損 益 企 業 活 動 の 損 益 臨 時 的 損 益 当 期 の 税 引 前 損 益 自 己 資 本 の 増 減 額 - 26 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 6 簿 記 の 仕 組 みと 計 算 書 類 1)まず 売 上 高 から 売 上 原 価 ( 以 上 70 頁 参 照 )を 差 し 引 いて 売 上 総 利 益 を 表 示 し いわ ゆる 売 上 の 粗 利 率 が 分 かる 2) そこから 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 (73 頁 参 照 )を 差 し 引 いて 本 業 の 成 果 である 営 業 利 益 を 表 示 する 3) 次 に 本 業 の 営 業 活 動 に 必 要 な 財 務 活 動 による 金 利 などの 営 業 外 損 益 を 加 減 して 当 期 の 経 常 的 な 活 動 から 生 じた 企 業 活 動 の 業 績 を 経 常 利 益 として 表 示 する 4) 当 期 の 業 績 以 外 の 臨 時 的 偶 発 的 な 損 益 を 特 別 損 益 として 記 載 する 5) 経 常 損 益 と 特 別 損 益 を 合 計 して 税 引 前 当 期 利 益 を 計 算 し それから 当 期 の 収 益 に 対 応 す る 法 人 税 等 を 控 除 して 当 期 純 損 益 を 表 示 する このように 損 益 計 算 書 からは 当 期 のすべての 損 益 が 段 階 的 に 区 分 して 分 かるので 例 え ば 本 業 での 収 益 力 の 大 きさが 当 期 純 損 益 の 源 泉 としてどの 程 度 占 めているのかを 判 断 するこ とができる 2 損 益 計 算 書 は 貸 借 対 照 表 の 繰 越 利 益 剰 余 金 増 減 の 原 因 説 明 書 でもある 貸 借 対 照 表 の 繰 越 利 益 剰 余 金 には 増 減 要 因 として 当 期 純 損 益 が 含 まれているが < 図 表 1-17>に 示 したように 損 益 計 算 書 はその 当 期 純 損 益 の 原 因 説 明 書 である (6)キャッシュ フロー 計 算 書 の 見 方 読 み 方 1 会 社 法 上 の 計 算 書 類 ではないが 金 商 法 で 上 場 会 社 などに 作 成 が 義 務 づけられている 財 務 諸 表 に キャッシュ フロー 計 算 書 がある これは 一 会 計 期 間 の 資 金 の 流 れ(キャッシュ フロー)を 営 業 活 動 投 資 活 動 財 務 活 動 に 区 分 して 表 示 するものであり 損 益 計 算 書 の 損 益 と 現 金 収 支 は 必 ずしも 一 致 しないことから 企 業 の 現 金 獲 得 能 力 と 支 払 能 力 を 示 す 情 報 として 中 小 規 模 会 社 でも 利 用 されている 2 同 じように 会 社 法 上 の 計 算 書 類 ではないが 会 社 の 事 業 活 動 における 収 入 金 額 と 支 出 金 額 を 週 間 月 間 年 間 で 勘 定 科 目 や 管 理 上 の 項 目 ごとに 一 覧 にして 資 金 の 過 不 足 を 明 らかにする ための 資 金 繰 表 や 資 金 運 用 表 を 作 成 している 会 社 もある これらも 発 生 主 義 に 基 づいて 損 益 計 算 書 に 計 上 される 収 益 費 用 と 現 金 の 収 支 額 とのギ ャップを 埋 めるための 内 部 資 料 として 中 小 規 模 会 社 で 多 く 利 用 されている - 27 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 (1) 監 査 役 の 会 計 監 査 の 範 囲 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 監 査 役 は 各 事 業 年 度 の 計 算 書 類 ( 附 属 明 細 書 を 含 む 以 下 同 じ )を 監 査 して 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を すべての 重 要 な 点 において 適 正 に 表 示 してい るかどうかについての 意 見 ( 計 規 1221 二 )を 記 載 した 監 査 報 告 を 作 成 しなければならない その ためには 会 計 や 監 査 の 専 門 知 識 が 少 ない 監 査 役 であっても 監 査 役 に 期 待 される 善 管 注 意 義 務 を 尽 くして 自 分 の 監 査 意 見 を 表 明 できる 程 度 の 監 査 をしなければならない まず 監 査 役 の 監 査 の 範 囲 について 考 えてみる 取 締 役 の 業 務 執 行 と 監 査 役 の 業 務 監 査 会 計 監 査 を 対 比 した 次 の 図 を 参 照 いただきたい < 図 表 1-20> 監 査 役 の 業 務 監 査 と 会 計 監 査 の 関 係 取 締 役 の 業 務 執 行 1 業 務 の 執 行 2 結 果 の 報 告 企 業 活 動 財 産 の 変 動 取 引 取 引 取 引 取 引 記 録 整 理 す る 会 計 帳 簿 等 に 作 成 報 告 計 算 書 類 の 実 態 に 精 通 した 視 点 で 3 業 務 監 査 会 計 監 査 4 監 査 役 の 職 務 上 の< 図 表 1-20>の 左 端 の 楕 円 の 中 で 1 取 締 役 の 業 務 の 執 行 によって 様 々な 企 業 活 動 が 展 開 され 会 社 の 財 産 が 変 動 する その 財 産 の 変 動 のすべてを 簿 記 の 取 引 として 正 確 に 捉 えて 仕 訳 伝 票 で 記 録 する その 無 数 の 会 計 記 録 を 整 理 して まとめ 上 げたのが 右 端 の2 結 果 の 報 告 のための 計 算 書 類 ( 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 など)である - 28 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 次 に 図 の 左 下 3に 示 したように 監 査 役 は 日 常 の 業 務 監 査 によって 会 社 の 事 業 活 動 や 内 部 の 実 態 をよく 知 っており 実 態 に 精 通 した 視 点 から 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 適 正 に 表 示 しているか 否 かを 総 括 的 重 点 的 に 監 査 する それが 図 の 右 下 4に 示 した 監 査 役 の 会 計 監 査 である 図 の 網 かけで 示 したように 毎 日 の 財 産 の 変 動 を 取 引 として 捉 え 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 などの 計 算 書 類 が 正 しく 作 成 されているかを 判 断 するまでが 監 査 役 の 会 計 監 査 の 対 象 範 囲 であ る 決 算 時 に 取 締 役 から 受 領 した 計 算 書 類 を 監 査 することだけが 会 計 監 査 ではない なお 定 款 によって 監 査 の 範 囲 を 会 計 に 限 定 されている 監 査 役 も 業 務 監 査 権 限 はないが 会 計 監 査 のために 必 要 があるときは 取 締 役 使 用 人 から 報 告 を 求 め 業 務 及 び 財 産 の 状 況 の 調 査 をすることができるので( 会 38945) 日 頃 から 業 務 実 態 の 把 握 に 努 めることが 必 要 である また 親 会 社 の 取 締 役 使 用 人 が 子 会 社 の 非 常 勤 監 査 役 に 就 任 している 場 合 も 決 算 時 期 だ けでなく 定 期 的 に 往 査 に 赴 いて 業 務 実 態 の 把 握 に 心 掛 けることが である (2) 監 査 役 の 会 計 監 査 のポイント 監 査 役 の 会 計 監 査 とは < 図 表 1-20>の3~4に 示 したように 日 常 の 業 務 監 査 によって 会 社 の 実 態 に 精 通 している 企 業 人 の 視 点 から 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 正 しく 表 示 し ているかどうか その 合 致 の 程 度 を 確 かめることであるともいえる そのポイントは < 図 表 1-7> 会 計 監 査 の 視 点 でも 述 べたとおり 次 の2 点 である < 図 表 1-21> 監 査 役 の 会 計 監 査 のポイント 1 日 常 の 業 務 監 査 によって 会 社 の 実 態 に 精 通 している 監 査 役 の 目 から 見 て 計 算 書 類 が 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 正 しく 表 示 しているといえるか 2 毎 日 の 財 産 の 変 動 を 取 引 として 記 録 することから 計 算 書 類 を 作 成 するに 至 るまで < 図 表 1-6> 計 算 書 類 の 作 成 基 準 及 び 自 社 の 経 理 規 程 等 に 基 づいて 作 成 されているか < 図 表 1-8>で 示 したように 会 社 計 算 規 則 121 条 2 項 では 監 査 役 の 会 計 監 査 の 方 法 として 計 算 関 係 書 類 ( 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 )に 表 示 された 情 報 と 計 算 関 係 書 類 に 表 示 すべき 情 報 ( 実 際 の 財 産 損 益 の 状 況 ) との 合 致 の 程 度 を 確 かめる 手 続 によることができると 規 定 して いるが 具 体 的 には 次 のような 方 法 が 考 えられる 1 各 事 業 年 度 の 計 算 書 類 は その 事 業 年 度 の 会 計 帳 簿 ( 会 432 計 規 4~56)に 基 づいて 作 成 しな ければならないので( 計 規 593) 計 算 書 類 に 表 示 された 内 容 が その 事 業 年 度 の 会 計 帳 簿 に 記 載 された 内 容 と 合 致 しているか 否 かを 確 かめる ( 例 えば 経 理 規 程 等 に 準 拠 して 処 理 されているか 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 各 科 目 金 額 と 総 勘 定 元 帳 の 金 額 が 合 致 しているか ) - 29 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 2 次 に 会 計 帳 簿 に 記 された 内 容 は 会 社 計 算 規 則 5 条 の 資 産 の 評 価 6 条 の 負 債 の 評 価 の 規 定 などに 基 づいて 財 産 の 変 動 を 正 しく 記 録 しなければならないので 会 計 帳 簿 に 記 載 された 内 容 が 財 産 損 益 の 実 態 と 合 致 しているか 否 かを 確 かめ る 監 査 役 は 日 常 の 業 務 監 査 によって 会 社 の 実 態 に 精 通 している 目 で 見 て その 合 致 の 程 度 を 判 断 する ( 例 えば 債 権 や 棚 卸 資 産 の 帳 簿 価 額 と 実 態 の 評 価 は 合 致 しているか ) 監 査 役 が 具 体 的 にどのような 監 査 をしたらよいのかについては 次 節 (3) 及 び 第 2 部 会 計 監 査 の 実 務 チェックリスト 等 に 記 載 したので それぞれの 監 査 役 が 持 っている 会 計 に 関 す る 知 見 のレベルと 監 査 時 間 の 配 分 を 考 慮 して 有 効 に 活 用 いただきたい (3) 期 末 の 決 算 監 査 のポイント 第 2 部 のチェックリストを 利 用 する 際 の 足 掛 かりとして 監 査 役 は 期 末 にどのような 視 点 で 決 算 監 査 をするのかについて そのポイントを 次 に 示 す 1 計 算 書 類 の 全 般 的 な 監 査 1) 期 末 前 に 経 理 担 当 取 締 役 等 から 当 期 の 決 算 処 理 方 針 の 説 明 を 受 ける 2) 期 末 後 計 算 書 類 ( 附 属 明 細 書 を 含 む )を 受 領 する 前 後 に 経 理 担 当 取 締 役 等 から 当 期 の 計 算 書 類 の 重 点 事 項 について 十 分 な 説 明 を 受 ける 3) 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 各 科 目 の 金 額 について 対 前 年 比 較 表 を 作 成 して 大 きな 増 減 金 額 の 内 容 を 確 認 し 業 務 実 態 を 把 握 している 監 査 役 の 目 でその 整 合 性 を 判 断 する 4) 計 算 書 類 の 様 式 表 示 が 法 令 の 要 件 を 満 たしていることを 確 認 する( 計 規 72~117) 5) 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 各 科 目 の 金 額 が 総 勘 定 元 帳 と 合 致 しているかを 確 認 する 6) 総 勘 定 元 帳 と 補 助 簿 の 金 額 が 合 致 しているかを 確 認 する 2 貸 借 対 照 表 の 監 査 ( 計 規 72~86) 貸 借 対 照 表 を 監 査 するポイントは 次 の 視 点 から 重 点 勘 定 科 目 の 内 容 をチェックすることで ある 単 なる 数 字 の 照 合 だけで 満 足 しないことが 肝 要 である 1) 資 産 の 実 在 性 の 確 認 貸 借 対 照 表 に 表 示 されている 資 産 が 実 在 しているかについて 現 物 帳 簿 証 憑 書 類 等 で 確 認 する 85 頁 証 憑 突 合 参 照 2) 資 産 の 評 価 の 妥 当 性 の 確 認 資 産 の 評 価 が 妥 当 であるかどうかについて 債 権 残 高 金 融 資 産 棚 卸 資 産 固 定 資 産 の 計 上 内 容 を 確 認 する 3) 負 債 の 網 羅 性 の 確 認 未 計 上 の 負 債 はないか 引 当 金 の 計 上 は 適 正 かを 確 認 する - 30 -

第 1 部 監 査 役 の 会 計 監 査 の 基 礎 7 会 計 監 査 人 非 設 置 会 社 の 会 計 監 査 3 損 益 計 算 書 の 監 査 ( 計 規 87~94) 損 益 計 算 書 の 内 容 を 監 査 するポイントは 次 の 視 点 から 重 点 勘 定 科 目 をチェックすることで ある 疑 問 点 については 自 ら 監 査 するとともに 経 理 部 門 に 質 問 し 報 告 を 求 める 1) 収 益 は 実 現 主 義 に 基 づいて 適 正 に 計 上 され 当 期 に 帰 属 すべきものか 2) 費 用 は 発 生 主 義 に 基 づいて 適 正 に 計 上 され 当 期 の 収 益 に 対 応 しているか ( 実 現 主 義 発 生 主 義 については 17 頁 参 照 ) 4 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 の 監 査 ( 計 規 96) 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 は 貸 借 対 照 表 の 純 資 産 の 部 に 表 示 された 各 項 目 について 当 事 業 年 度 における 変 動 額 とその 変 動 事 由 を 明 らかにする 計 算 書 であるので 監 査 役 は 各 項 目 の 変 動 額 と 変 動 事 由 についてチェックをする 必 要 がある 5 個 別 注 記 表 の 監 査 ( 計 規 97~116) 個 別 注 記 表 は 会 社 の 財 産 損 益 の 状 況 を 補 足 記 載 することにより 計 算 書 類 の 明 瞭 性 を 維 持 するとともに 計 算 書 類 利 用 者 の 注 意 を 促 すために 作 成 されるものであるから 監 査 役 はそ の 記 載 内 容 が 適 正 であるか 否 かについて 確 認 する 必 要 がある 6 附 属 明 細 書 の 監 査 ( 計 規 117) 附 属 明 細 書 は 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 の 記 載 内 容 を 補 足 するために 作 成 されるものである ので 監 査 役 は その 記 載 内 容 の 適 正 性 及 び 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 との 整 合 性 を 確 認 する 必 要 がある 7 事 業 報 告 に 記 載 されている 会 計 情 報 と 計 算 書 類 との 整 合 性 の 確 認 会 計 監 査 とは 計 算 書 類 の 適 正 性 を 監 査 することであるので 事 業 報 告 は 会 計 監 査 の 対 象 では ない しかし 事 業 報 告 には 当 期 の 売 上 高 生 産 高 等 の 業 績 の 説 明 直 前 3 事 業 年 度 の 財 産 損 益 状 況 の 推 移 資 金 調 達 設 備 投 資 の 状 況 子 会 社 への 出 資 など 計 算 書 類 から 引 用 した 会 計 情 報 が 含 まれている したがって それらの 会 計 情 報 が 当 期 及 び 当 期 前 の 計 算 書 類 と 整 合 性 を 保 っているかどうか について 監 査 役 は 業 務 監 査 の 一 環 として 確 認 することが 必 要 である 8 決 算 公 告 の 内 容 と 計 算 書 類 との 整 合 性 の 確 認 取 締 役 は 不 特 定 多 数 の 利 害 関 係 者 に 対 して 会 社 の 財 産 等 の 情 報 を 提 供 するために 定 時 総 会 終 結 後 遅 滞 なく 貸 借 対 照 表 ( 大 会 社 (96 頁 参 照 )は 損 益 計 算 書 も )を 官 報 日 刊 新 聞 電 子 公 告 のいずれかの 方 法 によって 公 告 しなければならない( 会 4401 9391) この 決 算 公 告 は 会 計 監 査 の 対 象 ではないが 監 査 役 は 公 告 される 貸 借 対 照 表 損 益 計 算 書 又 はその 要 旨 が 会 計 監 査 の 対 象 である 計 算 書 類 と 整 合 性 を 保 っているかどうか 自 社 の 定 款 の 規 定 に 従 って 公 告 しているかどうかについても 業 務 監 査 の 一 環 として 確 認 することが 必 要 である - 31 -