エコノミスト 便 り 6 年 6 三 井 住 友 アセットマネジメント シニアエコノミスト 渡 邊 誠 本 経 済 消 費 低 迷 の 背 景 を 探 る 浮 かび 上 がる 5 つの 要 因 雇 所 得 環 境 が 堅 調 な 割 に 個 消 費 が 冴 えないのは 何 故 か 個 消 費 低 迷 の 背 景 を 探 った 様 々な 経 済 統 計 を 分 析 していくと 可 処 分 所 得 の 幅 の 伸 び 物 価 上 昇 将 来 不 安 耐 久 財 消 費 の 前 倒 し 5 消 費 のトレンドの 鈍 化 の 5 つの 要 因 が 浮 かび 上 がる 今 後 は の 物 価 の 上 昇 は 抑 制 されると るが 5の 要 因 の 影 響 は 残 ると られるため 当 個 消 費 が 持 続 的 に きく 増 加 していくとは 込 まれない 雇 所 得 環 境 が 堅 調 な 割 に 個 消 費 が 冴 えないとの 指 摘 が 多 いが その 背 景 を 総 合 的 に 分 析 した 献 は 少 ないように 思 う 今 回 消 費 を 取 り 巻 く 環 境 を 整 理 分 析 し 個 消 費 低 迷 の 背 景 を 探 った 可 処 分 所 得 で ると 幅 の 伸 び 雇 者 数 の 増 加 名 賃 の 下 げ まりを 背 景 に 年 度 5 年 度 の 名 雇 者 報 酬 ( 雇 者 数 当 たり 賃 )の 伸 びは % 弱 と 99 年 代 半 ば 以 来 の めの 伸 びとなった( 図 表 ) しかし 家 計 が 消 費 を う 上 でより 重 要 なのは 税 や 社 会 保 険 料 などの 負 担 を 控 除 した 取 り の 収 である 雇 者 報 酬 に 年 給 付 等 の 社 会 給 付 を 加 え 税 や 厚 年 保 険 料 などの 社 会 負 担 を 控 除 した SNA ( 国 経 済 計 算 )ベースの 名 可 処 分 所 得 の 動 向 を ると 年 度 が.%と 幅 のプラスとなった 後 年 度 も.7%と 幅 の 伸 びにとどまった 雇 者 報 酬 は めの 伸 びと なったが 年 給 付 などの 社 会 給 付 が 抑 制 された 税 や 厚 年 保 険 料 などの 社 会 負 担 が 増 加 し 可 処 分 所 得 の 伸 びが 抑 制 された 5 年 度 の SNA ベースの 可 処 分 所 得 は 未 公 表 だが( に SNA の 5 年 度 確 報 が 公 表 され ( 図 表 ) - - - - 5 6 7 8 9 5 名 可 処 分 所 得 の 寄 与 度 分 解 ( 前 年 度 ) その 他 寄 与 社 会 負 担 寄 与 課 税 寄 与 社 会 給 付 寄 与 雇 者 報 酬 寄 与 名 可 処 分 所 得 名 個 消 費 ( 年 度 ) ( 注 )データは5 5 年 度 5 年 度 については 雇 者 報 酬 個 消 費 以 外 は 未 公 表 5 年 度 の 名 可 処 分 所 得 は 三 井 住 友 アセットマネジメント 予 測 ( 図 表 ) - - - 5 6 7 8 9 5 実 質 可 処 分 所 得 の 寄 与 度 分 解 ( 前 年 度 ) 名 可 処 分 所 得 寄 与 物 価 寄 与 実 質 可 処 分 所 得 実 質 個 消 費 ( 年 度 ) ( 注 )データは5 5 年 度 物 価 は 個 消 費 デフレーター 5 年 度 の 名 実 質 可 処 分 所 得 は 三 井 住 友 アセットマネジメント 予 測
る 際 に 明 らかになると られる) 雇 者 報 酬 は めの 伸 びと なったものの 税 や 社 会 保 険 料 負 担 も 増 加 したと られるた め 名 可 処 分 所 得 は.5% 前 後 の 幅 の 伸 びにとどまった と られる つまり 家 計 から ると 年 度 5 年 度 も 取 りの 収 は きくは 増 えていなかったということになる 物 価 上 昇 = 実 質 可 処 分 所 得 の 抑 制 上 述 の 通 り 名 可 処 分 所 得 が 幅 増 にとどまる 中 円 安 に よる 輸 物 価 の 上 昇 消 費 増 税 などを 背 景 に 消 費 者 物 価 は 年 度 が.9% 年 度 が.9% 5 年 度 が.%と 上 昇 した 可 処 分 所 得 を 物 価 の 影 響 を 調 整 した 実 質 ベースで ると(SNA ベースの 個 消 費 デフレータで 実 質 化 ) 年 度 が.%の 幅 増 となった 後 年 度 は.%の 幅 減 となり 5 年 度 は.7% 程 度 の 増 加 になったと られる( 図 表 ) 5 年 度 を 均 して れば 実 質 ベースの 可 処 分 所 得 は 減 少 していたということで あり この 間 家 計 の 購 買 は 実 質 的 には 減 っていたということ になる また 5 年 度 については 原 油 安 によるエネルギー 価 格 の 低 下 もあり 消 費 者 物 価 は 抑 制 されたが で 品 価 格 が きく 上 昇 した( 図 表 ) 消 費 増 税 の 影 響 が 尾 を 引 いたと られる 中 で 々の 買 い 物 で 接 する 近 な 品 価 格 が 上 昇 し 費 の 負 担 が 増 えたことで 家 計 が 費 以 外 の 出 を 絞 り 込 み それが 消 費 全 体 を 抑 制 した もあったと ら れる 将 来 不 安 とはいえ 実 質 可 処 分 所 得 の 動 向 を 踏 まえても 個 消 費 ( 実 質 ベース)は 低 調 である 年 度 は 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 もあり.%の い 伸 びとなった 年 度 はその 反 動 もあったが.9%と きく 減 少 5 年 度 も.% と 低 迷 した 実 際 家 計 の 貯 蓄 率 の 動 向 (SNA ベース)を ると 年 度 に 上 昇 した 後 雇 者 報 酬 と 個 消 費 の 関 係 から 推 定 すると 5 年 度 も 段 と 上 昇 したと られる ( 図 表 ) 後 述 の 通 り リーマンショック 後 の 家 電 エコポイント 制 度 や 消 費 増 税 前 など 各 種 の 政 策 税 制 変 更 等 の 影 響 で 耐 久 財 消 費 が 相 当 程 度 前 倒 しされ その 反 動 が 顕 在 化 して ( 図 表 ) 9. 可 処 分 所 得 に 占 める 率 6. 8. 7. 光 熱 道 費 ( 右 軸 ) 5.. 6. 5. 料 費 ( 左 軸 ).. 5 6 7 8 9 5 6 ( 注 )データは 年 6 6 年 勤 労 者 世 帯 ( 農 林 漁 家 を 含 む) ベース 当 社 で 季 節 調 整 を った 上 6ヶ 移 動 平 均 ( 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 のデータを 基 に 三 井 住 友 アセットマネジメント 作 成 ( 図 表 ) 家 計 の 貯 蓄 率 - - - 5 6 7 8 9 5( 年 度 ) ( 注 )データは5 5 年 度 5 年 度 の 貯 蓄 率 については 個 消 費 雇 者 報 酬 のデータを 基 に 三 井 住 友 アセットマネジメント 予 測 ( 図 表 5) 銀 券 発 残 万 円 札 五 千 円 札 千 円 札 9 5 6 ( 注 )データは 年 6 年 5 年 =として 基 準 化 当 社 季 節 調 整 値 ( 出 所 ) 本 銀 のデータを 基 に 三 井 住 友 アセットマネジメント 作 成
いることもあるが 将 来 に 対 する 不 安 の まりが 少 なからず 影 響 したと 筆 者 は 考 えている 振 り 返 ると 年 に 銀 の 量 的 質 的 緩 和 が 拡 された には 消 費 増 税 の 先 送 りが 決 定 され 財 政 健 全 化 は 遠 退 いた その 後 5 年 に NHK のニュースウォッチ 9 では 戦 後 の 預 封 鎖 特 集 が 組 まれた 戦 後 に 悪 化 した 財 政 を 再 建 するため 政 府 により 銀 預 が 時 的 に 凍 結 され 預 を 含 めた 資 産 に 対 して 率 の 税 が 課 されたというストーリーだが 放 送 の 反 響 は きく 当 時 筆 者 の 下 にも 預 封 鎖 について 質 問 が 寄 せられた 実 際 5 年 の 春 先 以 降 通 貨 発 残 の 動 きを ると 千 円 札 五 千 円 札 の 発 残 と べて 万 円 札 の 発 残 が 顕 著 に 増 加 している( 図 表 5) 主 に 取 引 に 使 われる 千 円 札 五 千 円 札 を 上 回 って 額 の 万 円 札 の 発 が 増 えた 背 景 には 将 来 に 備 えて 貯 蓄 動 機 が まった ことが 影 響 したと られる また やや 時 間 差 はあるが 5 年 の 秋 以 降 庫 の 販 売 が 急 激 に 増 えている(マイナンバー 制 度 の 導 も 関 係 していると られる)( 図 表 6) 今 回 消 費 増 税 が 再 び 先 送 りされることとなったが 先 の 実 質 可 処 分 所 得 を 抑 制 する 材 料 が 先 送 りされた 点 では 消 費 にとってプラ ス 要 因 だが 財 政 健 全 化 がさらに 遠 退 き 将 来 不 安 が まれ ば 消 費 を 抑 制 する 材 料 ともなり 得 る 耐 久 財 消 費 の 前 倒 し 消 費 を 財 別 に ていくと 元 の 消 費 低 迷 のもう つの 理 由 がわかってくる 消 費 全 体 が 低 迷 する 中 で サービス 消 費 は 較 的 堅 調 な 財 消 費 特 に 耐 久 財 消 費 が 低 迷 して いる( 図 表 7) リーマンショック 後 の 家 電 エコポイント 制 度 (9 年 5 年 ) テレビの 地 デジ 移 ( 年 7 ) 消 費 増 税 ( 年 )によって 耐 久 財 消 費 の 前 倒 しが 相 当 われ 実 以 上 に 消 費 が 押 し 上 げられ その 反 動 が 元 で 現 れていると られる 耐 久 消 費 財 の 残 の 状 況 を ると この 間 の 動 態 や 世 帯 動 向 からは 説 明 できないほど 過 去 のトレンドを きく 上 回 って 残 が 積 み 上 がる 様 が て 取 れる( 図 表 8) ( 図 表 6) ( 個 ) 5 5 5 6 ( 注 )データは 年 6 年 ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 のデータを 基 に 三 井 住 友 アセットマネジメント 作 成 ( 図 表 7) 6 5 耐 庫 販 売 数 量 実 質 個 消 費 の 内 訳 サービス( 右 軸 ) 耐 久 財 ( 左 軸 ) 9 97 6 9 5 ( 注 )データは99 年 第 四 半 期 6 年 第 四 半 期 季 節 調 整 済 みの 年 率 換 算 値 ( 図 表 8) 耐 久 消 費 財 残 ( 注 )データは99 年 年 暦 年 末 値 8 7 6 5 5 5 5 9 96 98 6 8 なお 家 電 エコポイント 制 度 地 デジ 移 により 前 倒 しで 購
されたのは 冷 蔵 庫 エアコン テレビだが これらの 平 均 使 年 数 を ると 前 者 が 年 程 度 後 者 が 8 年 程 度 と い 常 にラフではあるが 単 純 に 平 均 使 年 数 に 基 づいて 計 算 する 次 の 買 い 替 えサイクルが 来 るのは 冷 蔵 庫 エアコンにつ いては 9 年 前 後 (9 年 のエコポイント 開 始 + 年 後 ) テレビについても 9 年 前 後 ( 年 の 地 デジ 移 +8 年 後 )となる( 図 表 9 ) それまでは 耐 久 財 消 費 にはあまり 期 待 できないということかもしれないが 8 年 には 消 費 増 税 が 予 定 されているため 駆 け 込 み 需 要 と 相 俟 って 8 年 に 耐 久 財 消 費 の きな 波 が じ その 後 再 び 反 動 減 に 舞 われるということになる 可 能 性 もある なお 耐 久 消 費 財 の 中 で デジカメ ビデオカメラ 携 帯 などでは 平 均 使 年 数 が 延 伸 する 動 きが られており このことも 元 の 耐 久 財 消 費 を 抑 制 する 要 因 となっているかもしれない 消 費 のトレンドそのものが 低 調 最 後 にもう 点 付 け 加 えておくと そもそも 個 消 費 のトレン ドそのものが 鈍 化 している 個 消 費 の 伸 びのトレンドを 時 系 列 で ると 年 代 まで % 前 後 だった 伸 びのトレンドが 年 代 以 降 % 台 前 半 へと 鈍 化 している( 図 表 ) 齢 化 が 趨 勢 的 には 消 費 活 動 を 抑 制 する 向 に 働 くと ら れることに 加 え 少 齢 化 で そのものが 減 少 し また 世 帯 数 も 頭 打 ちとなっていることが 影 響 していると られる こうし た 中 で 消 費 意 欲 を 刺 激 する 新 たなイノベーションも 如 して いる 先 きも 消 費 の 牽 引 役 は 当 たらない 今 後 の 消 費 を 展 望 すると 引 き 続 き 消 費 に きな 期 待 を 寄 せることは 難 しいというのが 筆 者 の である きな 外 的 内 的 ショックが 本 経 済 に 加 わらなければ 先 雇 者 数 は 緩 やかな 増 加 基 調 が 続 き 賃 も 幅 増 加 が 込 まれるた め 雇 者 報 酬 は 6 年 度 7 年 度 ともに % 台 半 ば の 伸 びが 続 くと られる しかし で 年 などの 社 会 給 付 が 抑 制 され 税 負 担 や 厚 年 保 険 料 などの 社 会 負 担 の 増 加 も 続 くと られるため( 本 年 からパート 労 働 者 への 厚 年 加 の 適 が 拡 され また 厚 年 保 険 料 の 引 き ( 図 表 9) 主 要 耐 久 消 費 財 の 平 均 使 年 数 エアコン 8 冷 蔵 庫 6 テレビ 98 6 8 6 ( 注 )データは998 年 6 年 各 年 時 点 以 上 世 帯 を 対 象 ( 図 表 ) 7 主 要 耐 久 消 費 財 の 平 均 使 年 数 パソコン 6 5 デジカメ 携 帯 電 話 98 6 8 6 ( 注 )データは998 年 6 年 各 年 時 点 以 上 世 帯 を 対 象 ( 図 表 )....8.6. 実 質 個 消 費 の 伸 びのトレンド 99-99 年 の 平 均 トレンド -9 年 の 平 均. -5 年 の 平 均. 9 97 6 9 5 ( 注 )データは99 年 第 四 半 期 5 年 第 四 半 期 トレンドは HPフィルターという 統 計 的 法 で 抽 出
上 げは 来 年 まで 継 続 する) 名 可 処 分 所 得 の 伸 びは 雇 者 報 酬 と べ 幅 の 伸 びにとどまるだろう 円 安 修 正 による 品 価 格 上 昇 の 服 は 実 質 可 処 分 所 得 をサポートする 要 因 と なるが それでも 実 質 可 処 分 所 得 の い 伸 びは 込 まれない 増 税 先 送 りも 負 の 所 得 効 果 が 先 送 りされた で 将 来 不 安 を めた 可 能 性 がある 天 候 要 因 や 経 済 対 策 などで 時 的 に 押 し 上 げることはあるかもしれないが 消 費 を 持 続 的 に 牽 引 する 要 因 は 今 のところ 当 たらず 当 % 台 前 半 と ら れる 伸 びのトレンドを きく 上 回 って 消 費 が 増 加 していく 状 況 に はないと られる 当 資 料 は 情 報 提 供 を 的 として 三 井 住 友 アセットマネジメントが 作 成 したものであり 投 資 勧 誘 を 的 として 作 成 されたもの は 融 商 品 取 引 法 に 基 づく 開 書 類 ではありません 当 資 料 に 基 づいて 取 られた 投 資 動 の 結 果 については 当 社 は 責 任 を 負 いません 当 資 料 の 内 容 は 作 成 基 準 現 在 のものであり 将 来 予 告 なく 変 更 されることがあります 当 資 料 は 当 社 が 信 頼 性 が いと 判 断 した 情 報 等 に 基 づき 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 を 保 証 するものではありません 当 資 料 に 市 場 環 境 等 についてのデータ 分 析 等 が 含 まれる 場 合 それらは 過 去 の 実 績 及 び 将 来 の 予 想 であり 今 後 の 市 場 環 境 等 を 保 証 するものではありません 当 資 料 にインデックス 統 計 資 料 等 が 記 載 される 場 合 それらの 知 的 所 有 権 その 他 の 切 の 権 利 は その 発 者 および 許 諾 者 に 帰 属 します 本 資 料 の 内 容 に 関 する 切 の 権 利 は 当 社 にあります 本 資 料 を 投 資 の 的 に 使 したり 承 認 なく 複 製 は 第 三 者 への 開 等 を うことを 厳 に 禁 じます この 資 料 の 内 容 は 当 社 が う 投 資 信 託 および 投 資 顧 問 契 約 における 運 指 図 投 資 判 断 とは 異 なることがありますので ご 了 解 下 さい 三 井 住 友 アセットマネジメント 株 式 会 社 融 商 品 取 引 業 者 関 東 財 務 局 ( 商 ) 第 99 号 加 協 会 : 般 社 団 法 投 資 信 託 協 会 般 社 団 法 本 投 資 顧 問 業 協 会 般 社 団 法 第 種 融 商 品 取 引 業 協 会 5