(Microsoft Word - \212O\216\232\215\317\202\335\201E162809\221\345\215\343\222nH24\201i\215s\203E\201j17.doc)



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(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

鳥 取 国 民 年 金 事 案 177 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 37 年 6 月 から 38 年 3 月 までの 国 民 年 金 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められることから 納 付 記 録 を 訂 正 することが 必 要 である 第 2 申

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防府市知的障害者生活協力員紹介事業実施要綱

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

答申第585号

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

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損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

Microsoft Word - 福祉医療費給付要綱

240709

(6) 31 年 以 上 の 期 間 については 1 年 につき100 分 の120 2 前 項 に 規 定 する 者 のうち 負 傷 若 しくは 病 気 ( 以 下 傷 病 という 傷 病 は 国 家 公 務 員 共 済 組 合 法 ( 昭 和 33 年 法 律 第 128 号 ) 第 81 条

象 労 働 者 を 雇 入 れした 事 業 所 を 離 職 した 雇 用 保 険 の 被 保 険 者 である 労 働 者 の 氏 名 離 職 年 月 日 離 職 理 由 が 明 らかにされた 労 働 者 名 簿 等 の 写 し 2 要 綱 第 9 条 第 2 項 第 1 号 アに 該 当 する 労

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

5 満 60 歳 以 上 の 祖 父 母 二 親 等 の 直 系 血 族 である 実 父 母 の 実 父 母 若 しくは 養 父 母 又 は 養 父 母 の 実 父 母 若 しくは 養 父 母 をいう 6 満 22 歳 に 達 する 日 以 後 の 最 初 の3 月 31 日 までの 間 にある 弟

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弁護士報酬規定(抜粋)

神戸市重度障害者特別給付金支給要綱

( 支 給 制 限 ) 第 4 条 市 長 は 前 条 の 規 定 にかかわらず 給 対 象 者 が 次 の 各 号 のいずれかに 該 当 するとき は 給 金 を 支 給 しないものとする (1) 年 額 405,696 円 以 上 の 公 的 年 金 等 を 受 給 しているとき (2) 生 活

< F2D8CFA944E8AEE8BE08BC696B195F18D908F B8C816A>

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

に 公 開 された 映 画 暁 の 脱 走 ( 以 下 本 件 映 画 1 という ), 今 井 正 が 監 督 を 担 当 し, 上 告 人 を 映 画 製 作 者 として 同 年 に 公 開 された 映 画 また 逢 う 日 まで ( 以 下 本 件 映 画 2 という ) 及 び 成 瀬 巳

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

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就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

大阪府電子調達システムの開発業務 (第一期)に係る仕様書案に対する意見招請のお知らせ

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Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

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< E8BE08F6D2082C682B DD2E786C7378>

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

鹿 児 島 厚 生 年 金 事 案 600 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 は 申 立 期 間 に 係 る 脱 退 手 当 金 を 受 給 していないものと 認 められるこ とから 申 立 期 間 に 係 る 脱 退 手 当 金 の 支 給 の 記 録 を 訂 正 することが 必 要 で

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該 介 護 休 業 が 終 了 する 日 までに, 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 が 死 亡 したとき 又 は 離 婚, 婚 姻 の 取 消, 離 縁 等 により 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 との 親 族 関 係 が 消 滅 した とき (3) 配 偶

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接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

募集要項

平成16年度

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( 参 考 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 ( 平 成 25 年 法 律 第 107 号 )( 抄 ) 国 家 戦 略 特 別 区 域 法 及 び 構 造 改 革 特 別 区 域 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 27 年 法 律 第 56 号 ) による 改 正 後 (


第 4 条 (1) 使 用 者 は 2 年 を 超 えない 範 囲 内 で( 期 間 制 勤 労 契 約 の 反 復 更 新 等 の 場 合 は その 継 続 勤 労 した 総 期 間 が2 年 を 超 えない 範 囲 内 で) 期 間 制 勤 労 者 を 使 用 することができる ただ し 次 の

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定款

住 民 監 査 請 求 に 係 る 監 査 結 果 第 1 請 求 の 受 付 1 請 求 の 受 付 日 平 成 25 年 10 月 15 日 2 請 求 人 ( 省 略 ) 3 請 求 の 趣 旨 ( 原 文 のまま 掲 載 ) 請 求 の 要 旨 阿 波 町 大 道 北 54 番 地 1 と

公営住宅法施行令の一部を改正する政令―公営住宅法施行令例規整備*

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別 紙

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

四 勤 続 20 年 を 超 え30 年 までの 期 間 については 勤 続 1 年 につき100 分 の200 五 勤 続 30 年 を 超 える 期 間 については 勤 続 1 年 につき100 分 の100 2 基 礎 調 整 額 は 職 員 が 退 職 し 解 雇 され 又 は 死 亡 した

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

長 は10 年 ) にすべきことを 求 める ⑸ 改 善 意 見 として 事 務 引 継 書 にかかる 個 別 フォルダーの 表 示 について 例 えば 服 務 休 暇 全 般 ( 事 務 引 継 書 を 含 む) といったように 又 は 独 立 した 個 別 フォルダーとして 説 明 を 加 え

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【労働保険事務組合事務処理規約】

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2004年度第2回定期監査(学校)事情聴取事項

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事 例 3 Q: 父 母 を 被 扶 養 者 として 認 定 できますか?( 父 母 とも 国 民 健 康 保 険 加 入 ) A: 父 母 又 はそのどちらかを 申 請 する 場 合 は 夫 婦 相 互 扶 助 義 務 に 基 づき 父 母 の 収 入 合 算 額 が それぞれに 適 用 される

第 3 章 給 付 45 第 1 節 裁 定 等 46 1 給 付 の 種 類 46 2 裁 定 46 3 年 金 の 支 給 期 間 と 支 払 期 月 47 第 2 節 老 齢 基 礎 年 金 49 1 老 齢 基 礎 年 金 の 支 給 要 件 49 2 老 齢 基 礎 年 金 の 年 金 額

< F31322D944E8BE08D5597AA835B837E91E F >

Microsoft Word - 答申第143号.doc

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

答申書

◆併給の調整◆

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平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

公平委員会設置条例

川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上


●労働基準法等の一部を改正する法律案

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

shokuin-taisyoku

旭 川 国 民 年 金 事 案 651 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 昭 和 58 年 2 月 から59 年 10 月 までの 期 間 及 び 平 成 11 年 4 月 から 同 年 11 月 までの 期 間 の 付 加 保 険 料 については 納 付 していたものと 認 められ

目 次 市 民 税 の 減 免 に つ い て 1 減 免 の 一 般 的 な 留 意 事 項 2 減 免 の 範 囲 お よ び 減 免 割 合 3 1 生 活 保 護 法 の 規 定 に よ る 保 護 を 受 け る 者 3 2 当 該 年 に お い て 所 得 が 皆 無 と な っ た

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

[Q20] 扶 養 控 除 等 申 告 書 が 提 出 された 際 に その 申 告 書 に 記 載 された 国 外 居 住 親 族 に 係 る 親 族 関 係 書 類 が 提 示 されず 事 後 に 提 示 された 場 合 いつから 扶 養 控 除 等 を 適 用 して 源 泉 徴 収 税 額 を

Microsoft Word 利子補給金交付要綱

第 9 条 の 前 の 見 出 しを 削 り 同 条 に 見 出 しとして ( 部 分 休 業 の 承 認 ) を 付 し 同 条 中 1 日 を 通 じて2 時 間 ( 規 則 で 定 める 育 児 休 暇 を 承 認 されている 職 員 については 2 時 間 から 当 該 育 児 休 暇 の

当 が 支 払 われない 場 合 において 前 項 第 2 号 に 該 当 するときは 機 構 は 当 該 遺 族 に 対 し 第 2 項 に 規 定 する 事 情 を 勘 案 して 当 該 退 職 手 当 の 全 部 又 は 一 部 を 支 給 しないこととする 措 置 を 行 うことができる 5

4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

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役員退職金支給規程

資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

国民年金

Transcription:

平 成 25 年 7 月 5 日 判 決 言 渡 平 成 24 年 ( 行 ウ) 第 17 号 加 給 年 金 額 対 象 者 不 該 当 処 分 取 消 請 求 事 件 主 文 1 厚 生 労 働 大 臣 が 原 告 に 対 し 平 成 22 年 6 月 16 日 付 けでしたAを 老 齢 厚 生 年 金 加 給 年 金 額 対 象 者 としない 旨 の 処 分 を 取 り 消 す 2 訴 訟 費 用 は 被 告 の 負 担 とする 事 実 及 び 理 由 第 1 請 求 主 文 同 旨 第 2 事 案 の 概 要 1 事 案 の 骨 子 本 件 は, 原 告 が, 厚 生 年 金 保 険 法 ( 以 下 厚 年 法 という ) 附 則 8 条 による 特 別 支 給 の 老 齢 厚 生 年 金 ( 以 下 特 老 厚 生 年 金 という )の 受 給 権 を 取 得 し た 当 時,Aと 内 縁 関 係 にあったとして, 厚 生 労 働 大 臣 に 対 し,Aを 厚 年 法 44 条 1 項 所 定 の 配 偶 者 に 係 る 加 給 年 金 額 の 対 象 者 とした 老 齢 厚 生 年 金 退 職 共 済 年 金 加 給 年 金 額 加 算 開 始 事 由 該 当 届 ( 以 下 本 件 該 当 届 という )を 提 出 したところ,Aを 上 記 加 給 年 金 額 の 対 象 者 としない 旨 の 処 分 ( 以 下 本 件 処 分 という )を 受 けたことから, 被 告 に 対 し,その 取 消 しを 求 める 事 案 である 2 関 係 法 令 の 定 め 老 齢 厚 生 年 金 について 厚 年 法 42 条 は, 老 齢 厚 生 年 金 は, 原 則 として, 被 保 険 者 期 間 を 有 する 者 が165 歳 以 上 であり,2 保 険 料 納 付 済 期 間 及 び 保 険 料 免 除 期 間 を 合 算 した 期 間 が25 年 以 上 である 場 合 に 支 給 されると 規 定 している なお, 厚 年 法 附 則 8 条 は, 当 分 の 間,65 歳 未 満 の 者 が,160 歳 以 上 で あること,21 年 以 上 の 被 保 険 者 期 間 を 有 すること,3 保 険 料 納 付 済 期 間 と 保 険 料 免 除 期 間 とを 合 算 した 期 間 が25 年 以 上 であること,のいずれにも 該

当 するに 至 ったときは,その 者 に 老 齢 厚 生 年 金 ( 特 老 厚 生 年 金 )を 支 給 する と 規 定 している 加 給 年 金 額 の 加 算 について ア 加 給 年 金 額 が 加 算 される 要 件 厚 年 法 44 条 1 項 は, 老 齢 厚 生 年 金 の 額 につき, 原 則 として 受 給 権 者 が その 権 利 を 取 得 した 当 時,その 者 によって 生 計 を 維 持 していたその 者 の6 5 歳 未 満 の 配 偶 者 があるときは, 同 法 43 条 に 定 める 額 に 加 給 年 金 額 を 加 算 した 額 とすると 規 定 している そして, 厚 年 法 44 条 5 項 は, 同 条 1 項 の 適 用 上, 配 偶 者 が 老 齢 厚 生 年 金 の 受 給 権 者 によって 生 計 を 維 持 していた こと( 以 下, 配 偶 者 が 老 齢 厚 生 年 金 の 受 給 権 者 によって 生 計 を 維 持 してい たことを 生 計 維 持 要 件 という )の 認 定 に 関 し 必 要 な 事 項 を 政 令 で 定 め ると 規 定 している イ 配 偶 者 について 上 記 アの 配 偶 者 について, 厚 年 法 3 条 2 項 は, 婚 姻 の 届 出 をしてい ないが 事 実 上 婚 姻 関 係 と 同 様 の 事 情 にある 者 も 含 むと 規 定 している 生 計 維 持 要 件 の 認 定 に 関 し 必 要 な 事 項 について 厚 年 法 44 条 5 項 の 規 定 を 受 け, 厚 生 年 金 保 険 法 施 行 令 3 条 の5 第 1 項 1 号 は, 老 齢 厚 生 年 金 の 受 給 権 者 によって 生 計 を 維 持 していた 配 偶 者 につ き, 当 該 老 齢 厚 生 年 金 の 受 給 権 者 がその 権 利 を 取 得 した 当 時,その 受 給 権 者 と 生 計 を 同 じくしていた 者 であって( 以 下, 配 偶 者 の 上 記 生 計 の 同 一 性 に 係 る 要 件 を 生 計 同 一 要 件 という ), 厚 生 労 働 大 臣 の 定 める 金 額 以 上 の 収 入 を 将 来 にわたって 有 すると 認 められる 者 以 外 のもの( 以 下, 配 偶 者 の 上 記 収 入 に 係 る 要 件 を 収 入 要 件 という )などと 規 定 している 3 前 提 となる 事 実 以 下 の 事 実 は, 当 事 者 間 に 争 いがないか, 後 掲 の 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によ り 容 易 に 認 めることができる

当 事 者 等 ア 原 告 は, 昭 和 年 月 日 に 出 生 した 男 性 である( 甲 11) イ 原 告 は, 昭 和 59 年 5 月 7 日, 韓 国 国 籍 を 有 する 外 国 人 であるBと 婚 姻 の 届 出 をしたが,Bは, 昭 和 62 年 11 月 7 日 に 本 邦 から 出 国 した 後, 現 在 に 至 るまで 所 在 が 不 明 である( 乙 12,13, 弁 論 の 全 趣 旨 ) ウ Aは, 昭 和 年 月 日 に 出 生 した 女 性 である( 甲 22) エ 原 告 とBについては, 平 成 23 年 1 月 15 日 に 離 婚 の 裁 判 が 確 定 し, 原 告 とAは, 同 年 9 月 1 日, 婚 姻 の 届 出 をした( 甲 4,11, 弁 論 の 全 趣 旨 ) 原 告 とAの, 住 民 票 上 の 住 所 の 変 遷 ア 原 告 は, 平 成 元 年 3 月 25 日 付 けで, 住 民 票 上 の 住 所 を, 大 阪 府 豊 中 市 α 番 14 号 に 異 動 した( 乙 14) イ Aは, 平 成 8 年 2 月 19 日 付 けで, 住 民 票 上 の 住 所 を, 大 阪 府 豊 中 市 β 番 17 号 から 原 告 の 上 記 住 所 地 に 異 動 した( 乙 15) ウ 原 告 は, 平 成 19 年 2 月 6 日 付 けで, 住 民 票 上 の 住 所 を, 兵 庫 県 尼 崎 市 γ 番 地 C 号 に 異 動 し,Aは, 同 月 13 日 付 けで, 住 民 票 上 の 住 所 を 同 所 に 異 動 した( 乙 14,15) 本 件 処 分 に 至 る 経 緯 ア 原 告 は, 平 成 6 年 11 月 2 日, 社 会 保 険 庁 長 官 に 対 して, 特 老 厚 生 年 金 を 受 ける 権 利 の 裁 定 を 請 求 した( 乙 6) イ 社 会 保 険 庁 長 官 は, 同 年 12 月 8 日 付 けで, 上 記 アの 裁 定 請 求 に 対 して, 受 給 権 の 発 生 日 を 年 月 日, 年 金 額 の 計 算 の 基 礎 となる 厚 生 年 金 保 険 の 被 保 険 者 期 間 を300 月 とする 特 老 厚 生 年 金 を 受 ける 権 利 の 裁 定 をした ( 乙 6) ウ 原 告 は, 平 成 22 年 1 月 19 日 (ただし 受 付 日 ), 厚 生 労 働 大 臣 に 対 し, 特 老 厚 生 年 金 の 受 給 権 を 取 得 した 日 ( 平 成 年 月 日 )において, 加 給 年 金 額 の 対 象 となる 配 偶 者 があったとして,Aを 対 象 者 とする 本 件 該 当 届

を 提 出 した( 乙 5) エ 厚 生 労 働 大 臣 は, 平 成 22 年 6 月 16 日 付 けで, 本 件 該 当 届 について, 老 齢 厚 生 年 金 の 受 給 権 を 取 得 した 当 時 生 計 を 維 持 していた 配 偶 者 と 認 められない として,Aが 加 給 年 金 額 対 象 者 に 該 当 しない 旨 の 処 分 ( 本 件 処 分 )をした( 甲 1) 不 服 申 立 て 及 び 本 件 訴 訟 の 提 起 ア 原 告 は, 本 件 処 分 を 不 服 として, 平 成 22 年 7 月 9 日, 近 畿 厚 生 局 社 会 保 険 審 査 官 に 対 して 審 査 請 求 をしたが( 乙 9), 同 審 査 官 は 同 年 9 月 16 日, 原 告 の 審 査 請 求 を 棄 却 する 決 定 をした( 甲 3) イ 原 告 は, 上 記 審 査 官 の 棄 却 決 定 を 不 服 として, 同 年 10 月 25 日, 社 会 保 険 審 査 会 に 対 して, 再 審 査 請 求 をしたが( 乙 10), 社 会 保 険 審 査 会 は, 平 成 23 年 7 月 29 日, 原 告 の 再 審 査 請 求 を 棄 却 する 裁 決 をした( 甲 2) ウ 原 告 は, 平 成 24 年 1 月 26 日, 本 件 訴 訟 を 提 起 した( 顕 著 な 事 実 ) 厚 年 法 3 条 2 項 の 事 実 上 婚 姻 関 係 と 同 様 の 事 情 について 昭 和 55 年 5 月 16 日 庁 保 発 第 15 号 通 知 事 実 婚 関 係 の 認 定 について は, 厚 年 法 3 条 2 項 の 事 実 上 婚 姻 関 係 と 同 様 の 事 情 とは, 婚 姻 の 届 出 を 欠 くが, 社 会 通 念 上, 夫 婦 としての 共 同 生 活 と 認 められる 事 実 関 係 ( 内 縁 関 係 )をいい,1 当 事 者 間 に, 社 会 通 念 上, 夫 婦 の 共 同 生 活 と 認 められる 事 実 関 係 を 成 立 させようとする 合 意 があること,2 当 事 者 間 に, 社 会 通 念 上, 夫 婦 の 共 同 生 活 と 認 められる 事 実 関 係 が 存 在 することが 必 要 であるとしている そして, 届 出 による 婚 姻 関 係 にある 者 が 重 ねて 他 の 者 と 内 縁 関 係 にある 場 合, 届 出 による 婚 姻 関 係 を 優 先 すべきであり, 届 出 による 婚 姻 関 係 がその 実 体 を 全 く 失 ったものとなっているときに 限 り, 内 縁 関 係 にある 者 を 事 実 上 婚 姻 関 係 と 同 様 の 事 情 にある 者 として 認 定 するものとしている ( 乙 11) 生 計 維 持 要 件 について 昭 和 61 年 4 月 30 日 庁 保 険 発 第 29 号 通 知 生 計 維 持 関 係 等 の 認 定 基 準

及 び 認 定 の 取 扱 いについて は, 生 計 維 持 要 件 の 認 定 基 準 として, 生 計 同 一 要 件 と 収 入 要 件 を 次 のとおり 定 めている( 乙 11) ア 生 計 同 一 要 件 について 次 のア~ウなどに 該 当 する 配 偶 者 については 生 計 同 一 関 係 を 認 定 す る ア 住 民 票 上 同 一 世 帯 に 属 しているとき イ 住 民 票 上 世 帯 を 異 にしているが, 住 所 が 住 民 票 上 同 一 であるとき ウ 住 所 が 住 民 票 上 異 なっているが, 現 に 起 居 を 共 にし,かつ, 消 費 生 活 上 の 家 計 を 一 つにしていると 認 められるとき イ 収 入 要 件 について 次 のいずれかに 該 当 する 配 偶 者 は, 厚 生 労 働 大 臣 の 定 める 金 額 ( 年 額 8 50 万 円 ) 以 上 の 収 入 を 将 来 にわたって 有 すると 認 められる 者 以 外 の 者 に 該 当 するものとする ア 前 年 の 収 入 が 年 額 850 万 円 未 満 であること イ 前 年 の 所 得 が 年 額 655.5 万 円 未 満 であること ウ 一 時 的 な 所 得 があるときは,これを 除 いた 後, 上 記 ア 又 はイに 該 当 すること エ 上 記 のア,イ 又 はウに 該 当 しないが, 定 年 退 職 等 の 事 情 により 近 い 将 来 収 入 が 年 額 850 万 円 未 満 又 は 所 得 が 年 額 655.5 万 円 未 満 となることが 認 められること 4 争 点 及 び 争 点 に 関 する 当 事 者 の 主 張 本 案 前 の 争 点 は, 訴 えの 利 益 があるかである 本 案 の 争 点 は, 本 件 処 分 の 違 法 性 (Aが 原 告 によって 生 計 を 維 持 していた 原 告 の 配 偶 者 に 当 たるか)である これらについての 当 事 者 の 主 張 は 以 下 のとおりである 本 案 前 の 争 点 について ( 被 告 の 主 張 )

平 成 19 年 法 律 第 111 号 の 施 行 日 前 に 同 法 による 改 正 前 の 厚 年 法 に 基 づ き 保 険 給 付 を 受 ける 権 利 を 取 得 した 者 の 支 分 権 については, 会 計 法 30 条 及 び31 条 の 規 定 が 適 用 され, 権 利 を 行 使 できるとき( 同 法 31 条 2 項, 民 法 166 条 1 項 ),すなわち 各 支 払 期 月 の 翌 月 の 初 日 ( 厚 年 法 36 条 3 項 参 照 ) を 起 算 日 として, 各 支 払 期 月 ごとに 消 滅 時 効 が 進 行 し,5 年 の 経 過 により, 順 次, 援 用 を 要 せずに 時 効 消 滅 するものと 解 される 本 件 でも,Aが 厚 年 法 44 条 1 項 所 定 の 配 偶 者 に 係 る 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 該 当 するとしても,Aは 平 成 年 月 日 に65 歳 に 達 することから, 同 年 8 月 分 までの 支 分 権 しか 発 生 しないところ,この 同 月 分 の 支 分 権 は,その 支 払 期 である 同 年 10 月 の 翌 月 の 初 日 である 同 年 11 月 1 日 を 起 算 点 として, 5 年 を 経 過 することにより 援 用 なくして 時 効 消 滅 する そして, 原 告 が 本 件 該 当 届 を 提 出 したのは 平 成 22 年 1 月 19 日 であるから,Aに 係 る 加 給 年 金 額 の 支 分 権 はその 時 点 で 既 に 全 て 消 滅 していたことになる そうすると, 仮 に,Aが 厚 年 法 44 条 1 項 による 配 偶 者 に 係 る 加 給 年 金 額 の 対 象 者 と 認 めら れ, 本 件 処 分 が 判 決 により 取 り 消 されたとしても,Aに 係 る 加 給 年 金 額 の 支 分 権 は 既 に 全 て 時 効 によって 消 滅 しているのであるから, 結 局, 裁 定 請 求 に よって 当 該 加 給 年 金 額 が 支 払 われることは 法 律 上 あり 得 ない したがって, 原 告 は, 本 件 処 分 の 取 消 しを 求 める 利 益 を 有 する 者 とはいえず, 本 件 訴 えは 不 適 法 であるから, 却 下 されるべきである ( 原 告 の 主 張 ) 原 告 は, 平 成 年 月 日 付 けで 特 老 厚 生 年 金 の 受 給 権 を 取 得 し, 同 年 1 0 月 支 給 分 から 同 年 金 を 受 給 しており,これにより 支 分 権 を 行 使 しているか ら, 時 効 の 中 断 が 生 じており,Aに 係 る 加 給 年 金 額 との 関 係 でも, 消 滅 時 効 が 進 行 することはない また, 原 告 は, 社 会 保 険 庁 長 官 に 対 し, 特 老 厚 生 年 金 を 受 ける 権 利 の 裁 定 を 請 求 した 際, 当 時 の 戸 籍 上 の 妻 を 申 告 したから, 社 会 保 険 庁 長 官 がこの 者

について 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 当 たるかどうかを 調 査 し 確 認 すれば, 原 告 が 当 時 既 にAと 内 縁 関 係 にあったことを 容 易 に 確 認 できたところ, 社 会 保 険 庁 長 官 はこれを 怠 った このように 社 会 保 険 庁 長 官 の 過 失 により, 原 告 が 加 給 年 金 額 を 受 け 取 れなかった 場 合 に, 被 告 が 消 滅 時 効 を 主 張 するのは 信 義 則 に 反 して 許 されないというべきである 本 案 の 争 点 について ( 原 告 の 主 張 ) Aは, 原 告 が 特 老 厚 生 年 金 の 受 給 権 を 取 得 した 平 成 年 月 日 当 時, 原 告 と 同 居 し, 内 縁 関 係 にあった 者 であり, 原 告 によってその 生 計 を 維 持 して いたのであるから, 加 給 年 金 額 の 対 象 者 となる 配 偶 者 に 該 当 する よって, Aを 加 給 年 金 額 の 対 象 者 と 認 めなかった 本 件 処 分 は, 事 実 誤 認 に 基 づくもの であり, 違 法 であるから 取 り 消 されるべきである ( 被 告 の 主 張 ) 原 告 が 特 老 厚 生 年 金 の 受 給 権 を 取 得 した 平 成 年 月 日 時 点 で,Aは, 原 告 の 世 帯 に 属 しておらず, 住 民 票 上 の 住 所 も 同 一 ではなかった したがっ て, 前 記 3 アの 生 計 同 一 要 件 の 認 定 基 準 に 照 らすと, 本 件 の 場 合 には, 現 に 起 居 を 共 にし,かつ, 消 費 生 活 上 の 家 計 を 一 つにしていると 認 められると き ( 同 ウ)に 該 当 するかが 問 題 となるところ, 本 件 該 当 届 の 受 理 に 伴 って 実 施 された 意 見 聴 取 の 結 果, 十 分 な 資 料 等 が 提 出 されることはなく, 同 要 件 を 満 たすものと 判 断 できなかった また, 本 件 訴 訟 においても, 原 告 は,こ れらを 認 めるのに 十 分 な 信 用 性 のある 証 拠 を 提 出 しておらず, 立 証 がないと いうべきである よって,Aは 原 告 によって 生 計 を 維 持 していた とは 認 められなかった ことから, 厚 生 労 働 大 臣 が 原 告 に 対 して,Aを 加 給 年 金 額 の 対 象 者 としない とした 本 件 処 分 は 適 法 である 第 3 当 裁 判 所 の 判 断

1 本 案 前 の 争 点 ( 訴 えの 利 益 があるか)について 老 齢 厚 生 年 金 の 加 給 年 金 額 加 算 開 始 事 由 該 当 届 の 提 出 は, 加 給 年 金 額 の 加 算 の 裁 定 請 求 の 性 質 を 有 し,これに 対 する 裁 定 行 為 によって, 加 算 の 始 期 や 加 算 額 等 が 公 的 に 確 認 され, 加 給 年 金 額 の 受 給 権 が 具 体 化 すると 解 するのが 相 当 で ある そうすると, 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 該 当 しない 旨 の 処 分 が 取 り 消 されれ ば, 上 記 のとおり 加 給 年 金 額 の 受 給 権 を 具 体 化 され 得 る 地 位 を 回 復 するのであ るから, 上 記 届 出 をした 者 は, 当 該 処 分 の 取 消 しを 求 める 利 益 を 有 するという べきである この 点, 被 告 は, 仮 にAが 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 該 当 するとしても, 受 給 し 得 た 加 給 年 金 額 の 支 分 権 は,いずれも 既 に 時 効 消 滅 しており, 本 件 処 分 を 取 り 消 しても 加 給 年 金 額 が 支 払 われることはないから, 原 告 は 本 件 処 分 の 取 消 しを 求 める 利 益 を 有 しないと 主 張 する しかしながら, 支 分 権 の 時 効 消 滅 の 効 果 は, 法 律 の 規 定 によって 生 ずるものであり, 厚 生 労 働 大 臣 の 処 分 によって 生 ずるも のではないから, 配 偶 者 が 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 該 当 しない 旨 の 処 分 の 取 消 訴 訟 等 において 具 体 的 な 支 分 権 の 時 効 消 滅 を 争 うことはできず,これが 時 効 消 滅 していないとしてその 支 払 を 求 める 場 合 には, 国 を 被 告 としてその 支 払 請 求 訴 訟 ( 行 政 事 件 訴 訟 法 4 条 )を 提 起 すべきと 解 されるところ( 厚 生 労 働 大 臣 は, 配 偶 者 が 加 給 年 金 額 の 対 象 者 となるべき 要 件 を 満 たしていた 特 老 厚 生 年 金 の 受 給 権 者 から 加 給 年 金 額 の 加 算 の 裁 定 請 求 がされた 場 合 には, 加 給 年 金 額 の 支 分 権 が 時 効 消 滅 していると 認 めるときであっても, 加 給 年 金 額 の 加 算 の 裁 定 を した 上 で, 年 金 時 効 特 例 法 に 該 当 する 場 合 を 除 き, 平 成 年 月 以 前 の 年 金 は, 時 効 消 滅 によりお 支 払 いはありません と 記 載 された 通 知 をしており ( 弁 論 の 全 趣 旨 ),このような 行 政 実 務 も, 上 記 の 考 え 方 に 沿 うものといえる ), このような 訴 訟 を 提 起 するためには, 前 提 として, 加 給 年 金 額 の 加 算 の 裁 定 に よって 加 給 年 金 額 の 受 給 権 が 具 体 化 していることが 必 要 であるから, 原 告 は, 配 偶 者 が 加 給 年 金 額 の 対 象 者 に 該 当 しない 旨 の 裁 定 ( 本 件 処 分 )の 取 消 しを 求

める 利 益 を 有 しており, 支 分 権 の 時 効 消 滅 を 理 由 に 当 該 利 益 を 否 定 することは できないというべきである よって, 被 告 の 上 記 主 張 は, 採 用 することができ ない 以 上 によれば, 本 件 については, 訴 えの 利 益 があるというべきである 2 本 案 の 争 点 (Aが 原 告 によって 生 計 を 維 持 していた 原 告 の 配 偶 者 に 当 たるか) について 認 定 事 実 後 掲 の 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によると, 以 下 の 事 実 が 認 められる ア 原 告 とAは,いずれも 昭 和 62 年 7 月 2 日 から 昭 和 63 年 8 月 12 日 ま での 間,D 株 式 会 社 に 勤 務 していた( 甲 5,6) イ 昭 和 62 年 7 月 2 日 に 交 付 されたAの 年 金 手 帳 上, 同 人 の 氏 名 は E と 記 載 されていた なお, 氏 名 は, 平 成 5 年 12 月 1 日 付 けで F と 訂 正 されている ( 甲 8) ウ 原 告 とAは, 平 成 元 年 4 月 から 平 成 19 年 4 月 まで, 株 式 会 社 Gに, 大 阪 府 豊 中 市 α 番 14 号 所 在 のアパートであるHの 住 み 込 みの 管 理 人 とし て 雇 われた 原 告 は, 平 成 2 年 8 月 まではI 株 式 会 社 にも 勤 めていたが, 同 月 9 日 に 同 社 を 退 職 してからは, 時 々タクシーの 運 転 手 として 稼 働 しな がら Aとともに,Hの 管 理 人 の 仕 事 を 共 同 して 行 っていた なお, 株 式 会 社 Gの 代 表 取 締 役 の 妻 は, 平 成 元 年 当 時, 原 告 とAを 夫 婦 だと 思 ってい た ( 甲 5,7,10,14~17,23~26) エ 原 告 は, 平 成 6 年 7 月 頃, 大 阪 地 方 裁 判 所 に 自 己 破 産 の 申 立 てをしたが, 当 時, 原 告 は,HにおいてA 及 び 実 母 と 同 居 しており, 原 告 がタクシー 運 転 手 として 月 収 18 万 円 を,AがHの 管 理 人 として 月 収 4 万 円 を,それぞ れ 得 ていた( 甲 10,18) 事 実 認 定 の 補 足 説 明 この 点, 被 告 は, 原 告 やAらの 陳 述 書 ( 甲 14,17)は 反 対 尋 問 を 経 て

おらず 信 用 できないとか, 破 産 申 立 書 ( 甲 10)についても 裁 判 所 に 提 出 さ れたものかどうかも 確 認 できず 信 用 できないなどと 主 張 する しかし, 破 産 申 立 書 については, 弁 護 士 がその 職 責 の 下 に 説 明 した 作 成 経 緯 ( 甲 23,2 4)に 照 らして 信 用 できるのであって, 原 告 やAの 陳 述 書 の 内 容 も, 上 記 の とおり 信 用 できる 破 産 申 立 書 の 内 容 や,その 他 前 記 のような 客 観 的 事 実 とし ての 年 金 手 帳 の 記 載 ( 甲 8)や 職 歴 等 ( 甲 5,6)によって 裏 付 けられてい るといえるから,これらはいずれも 信 用 することができる 検 討 ア 配 偶 者 該 当 性 について 前 記 前 提 となる 事 実 のとおり, 原 告 の 法 律 上 の 妻 であったBは, 昭 和 6 2 年 に 本 邦 から 出 国 して 以 来, 所 在 不 明 であるから, 平 成 年 月 日 当 時, 原 告 とBとは 事 実 上 離 婚 状 態 にあったというべきである そして, 前 記 前 提 となる 事 実 及 び 認 定 事 実 によれば, 原 告 とAは, 同 日 当 時, 住 民 票 上 は 世 帯 又 は 住 所 を 同 一 にしていたものとは 認 められないが, 昭 和 62 年 7 月 には 同 時 にD 株 式 会 社 での 勤 務 を 始 め,Aが 社 会 保 険 事 務 所 という 公 的 機 関 に 対 してJ 姓 を 名 乗 っていたところ, 原 告 及 びAは,そ の 後, 株 式 会 社 Gに 雇 われ,Hの 管 理 人 として, 同 居 するようになり, 周 囲 からも 夫 婦 であると 認 識 されていた 上, 平 成 6 年 7 月 頃 には, 原 告 の 実 母 と3 人 で 同 居 し, 主 として 原 告 の 収 入 により 生 活 していたものと 認 めら れる そうすると, 平 成 年 月 日 当 時, 原 告 とAの 間 には,1 社 会 通 念 上, 夫 婦 の 共 同 生 活 と 認 められる 事 実 関 係 を 成 立 させようとする 合 意 があり, 2 社 会 通 念 上, 夫 婦 の 共 同 生 活 と 認 められる 事 実 関 係 が 存 在 するといえる から, 前 記 第 2の3の 通 知 の 基 準 によっても, 同 人 らは 内 縁 関 係 にあっ たといえ,Aは 原 告 の 配 偶 者 に 当 たる イ 生 計 維 持 要 件 について

上 記 のとおり, 原 告 とAは, 平 成 年 月 日 当 時,Hにおいて 同 居 し, 主 に 原 告 の 収 入 により 生 活 していたところ,Aの 収 入 はわずか4 万 円 程 度 であった( 前 記 (1)エ) そうすると, 当 時,Aは 原 告 と 現 に 起 居 を 共 に し,かつ, 消 費 生 活 上 の 家 計 を 一 つにしている と 認 められ,かつ,その 前 年 の 収 入 が 年 額 850 万 円 未 満 であること は 明 らかであるから, 前 記 第 2の3(6)の 通 知 の 基 準 によっても, 生 計 維 持 要 件 を 満 たすというべき である ウ まとめ よって,Aは, 原 告 によって 生 計 を 維 持 していた 原 告 の 配 偶 者 に 当 たる 3 結 論 以 上 の 次 第 で, 本 件 処 分 は,Aを 加 給 年 金 額 の 対 象 者 とするための 要 件 をい ずれも 満 たすにもかかわらず, 加 給 年 金 額 の 対 象 者 としなかった 違 法 があるか ら, 取 り 消 されるべきであり, 原 告 の 請 求 は 理 由 があるからこれを 認 容 するこ ととして, 主 文 のとおり 判 決 する 大 阪 地 方 裁 判 所 第 2 民 事 部 裁 判 長 裁 判 官 西 田 隆 裕 裁 判 官 山 本 拓

裁 判 官 佐 藤 し ほ り