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1 船の種類 船は大きく分類すると客船 貨物船及び漁船に分類 されます 客船は 人を運ぶための船舶で 人命を預かること からより高い安全基準への適合が求められます 貨物船は 何でも運ぶ一般貨物船と特定の貨物を運 ぶために専用の装置や構造を備えている専用船とがあ ります 特に油タン カーやケミカル 化学薬品 タ ンカーは衝突 座礁などの海難事故の場合に大きな被 害をもたらすことから 特殊な構造となっています 清水港には 漁船を建造することができる造船所が 多くあり 遠洋まぐろ漁船を中心に 様々な漁船が造 られています 長年培われた漁船建造技術は 国内外 で高い評価を受けております 2 設計 設計は 基本設計と詳細設計に大別されます 基本設計は 用途や大きさ 就航させたい航路 港 など 船主の要望や様々な制約の中で最大限の 性能を発揮できるように全体の計画を立てます 詳細 設計は この基本設計を元に 一つ一つの部品形状な どを強度 寿命を考慮しながら 合理的な生産が可能 となるように行います 近年は コンピュータで設計作業が多く行われてい ます 私たち船舶検査官は 設計の段階から船舶安全法に 基づいた検査を実施します 船舶の設計内容が技術基準に照らして適当なもので あるかどうかを建造仕様書 図面等により検討 設計 検査 し 不具合な点があればこれを是正させた上で その設計を承認します

3 造船所 船を実際に建造するのは造船所です 中部地方は歴史的に海運が盛んであったことや 気 候や地理的条件に恵まれたため 大小多くの造船所が あり 基盤産業として地域を支えています 1隻の船を建造するためには 鉄工 木工 機関工 事 電気工事などあらゆる技術が必要です 清水港周辺には 造船所のほかにも船舶の建造に必 要な鉄工 木工 機関工事 電気工事などの技術に精 通した事業者が多くあり 各造船所と連携を取りなが ら より安全性の高い船舶の建造に貢献しておりま す 私たち船舶検査官は 造船所や船主と連絡を取りな がら 建造の進捗状況を把握し 船舶安全法に基づい た建造が行われているかを確認します 4 部材加工 組立 設計が終了すれば 建造工程に入ります 造船所では 鋼材 パイプ 塗料 エンジン 発電 機その他の必要な資材を発注します それと並行して 設計図をもとに鋼材が切断されま す 切断された鋼材は曲げ加工等の加工が施された 後 溶接され 小組立品となります さらに様々な小 組立品どうしを溶接し 大組立品 ブロック へと組 み立てます 曲げ加工は 現在でも熟練工による手作業でおこな われます 鋼材の一方を炎で炙り 他方を水で冷却し ながら荷重を加えて設計とおりに鋼材を曲げていきま す 船体の美しい曲線は こうした熟練工の技術に支 えられています 私たち船舶検査官は 造船現場で船舶の材料 寸 法 構造及び工作が承認された設計図面どおり出来上 がっているかどうかを製造工程に従って順次確認 製 造工事の現場検査 していくことになります

5 ブロックの搭載 ブロック建造は 現在の造船手法の主流です この 方法は1950年代始めに導入された建造法で 地上 の作業場であらかじめ部材を組み立てた船体のかたま り ブロック を造り これを大型クレーンで船台に 運んで接合して組み立てる方法です ブロック建造の導入により 膨大な溶接作業の大部 分を工場内で行えるため 全体の作業効率が大幅に向 上し 作業の安全性も高まりました また 建造期間 を短縮できることや 船台占有期間が短く 設備を有 益に稼動させることができるなど ブロック建造の導 入が 我が国の造船技術の発展に大きく寄与したこと は 言うまでもありません 6 舶用機器の検査 予備検査 造船大国ニッポンを陰で支えているのが 船舶に搭 載するための機器 舶用機器 などを製造する舶用工 業です この舶用機器についても 私たち船舶検査官が検査 予備検査 を実施します 船舶の検査同様 設計内 容が技術基準に照らして適当なものであるかどうかを 製造仕様書 図面等により検討 設計検査 し 不具 合な点があればこれを是正させた上でその設計を承認 します 次いで 物件の材料 寸法 構造及び工作が 承認された設計図面どおり出来上がっているかどうか を製造工程に従って順次確認 製造工事の現場検査 していくことになります さらに 製造が仕上がった 状態で 所定の性能が発揮できるかどうかを運転 効 力試験等を行って総合的に性能をチェックして合格 不合格を判定します ここで 合格したものだけが 船舶に搭載されます

7 機器類の据え付け エンジン等 舶用機器の据え付け 居住設備等が取 り付けられ 船体ができ上がります 私たち船舶検査官は 搭載される舶用機器が船舶安 全法に基づく安全基準に適合しているか また 事前 に予備検査に合格したものであるかについて 確認す るとともに それらの取付 積付状況を確認します さらに 居住設備等が 承認された設計内容に基づ き建造されているかについても確認します 舶用機器や船舶の居住設備は 船の種類や航行区域 などによって様々な規制を受けます 船舶検査官は 船の種類や航行区域によって異なる技術基準をもと に 適切な判断を下さなければなりません 8 進水 船体ができ上がると進水させます 進水は 船台進 水とドック進水の2つの方式があります 進水式では 支網切断 が行われます シャンパン の瓶が繋がれている一本のロープが船首から式場まで 伸びており そのロープを斧で切断すると 繋がれて いたシャンパンの瓶が船体にあたって シャンパンが 船体に注がれるます 新しく建造された船体にシャンパンを注ぐという儀 式の起源は古くバイキング時代に遡ります 当時の船乗りは 海上での嵐を海神の怒りと考えて おり 出航前に生贄を捧げ 海神の怒りを静めようと しました これが進水式の起源です この生贄の血が ワインとなり ワインからより高級なシャンペンが作 られてからは 進水式にシャンペンを使うようになり ました また ロープの切断は女性が行うという慣わ しがあります

9 艤装工事 進水した後に艤装岸壁で残りの工事を行います 艤装工事とは 船舶に必要な舶用機器や居住設備の 搭載や取付け また 搭載や取付け後の調整を指しま す 船舶は その航行形態の特殊性から 衣 食 住 全ての環境を船内で確保しなければなりません ま た その船舶本来の目的的である貨物の輸送や 旅客 の輸送 魚介類の捕獲や貯蔵のための設備も必要とな ります 艤装工事では それらの機器や設備を船内へ の搭載や取付けをおこないます 私たち船舶検査官は それらの機器や設備の搭載や 取付けを確認するとともに 性能に関する確認もおこ ないます 10 海上公試運転 完成した船は 設計どおり航行できるかどうか 色々な検査を行います 搭載された舶用機器毎に運転試験を実施し その作 動や性能を確認します また 船舶の航行性能や操縦性能を確認するため 様々な計測装置を舶用機器に取り付け 性能に関する データを採取します 近年のコンピュータ発達に伴 い 航行性能や操縦性能のより詳細な解析が可能にな りました 私たち船舶検査官も海上公試運転に乗船し 航行性 能や操縦性能安全性を確認します ここで 所定の性 能が発揮できるかどうかを総合的に確認し 最終的な 合格 不合格を判定します

11. 竣 工 引 き 渡 し 船 は 不 動 産 ではありませんが 1 隻 の 価 格 が 高 い ことなどから 登 記 の 対 象 とされています 登 記 は 法 務 局 で 行 いますが その 船 舶 に 関 する 記 載 内 容 は 船 舶 原 簿 の 内 容 に 従 うこととなっています 船 舶 原 簿 には 測 度 の 結 果 得 られたトン 数 など 船 船 舶 国 籍 証 書 舶 の 個 性 及 び 同 一 性 を 示 すための 内 容 が 保 存 されてい ます 船 舶 測 度 が 終 わると 日 本 船 は 船 舶 原 簿 に 登 録 され 船 舶 国 籍 証 書 を 交 付 されます また 安 全 基 準 に 適 合 していることを 証 する 船 舶 検 船 舶 検 査 証 書 査 証 書 も 交 付 されます 船 舶 国 籍 証 書 及 び 船 舶 検 査 証 書 が 交 付 された 船 舶 は 造 船 所 を 離 れ 世 界 の 海 原 に 向 け 出 航 します