5-(1)-2 高 濃 度 硫 化 水 素 削 減 のための 汚 泥 脱 気 装 置 の 開 発 計 画 調 整 部 技 術 開 発 課 廣 繁 直 治 山 下 博 史 ( 現 経 理 部 業 務 管 理 課 ) 1. 目 的 東 京 都 区 部 で は 汚 泥 処 理 の 効 率 化 を 図 る た め に 集 約 処 理 を 進 め て い る 汚 泥 の 集 約 処 理 の 進 展 と と も に 必 然 的 に 送 泥 距 離 時 間 が 増 加 す る こ と に な る が こ の こ と に よ り 送 泥 管 内 で は 汚 泥 の 腐 敗 が 進 行 し 硫 化 水 素 ( H 2 S) 等 の ガ ス を 含 有 す る よ う に な る 汚 泥 の 腐 敗 に よ っ て 生 じ た ガ ス は 送 泥 管 内 で は 加 圧 さ れ て い る た め 汚 泥 内 に 溶 解 し て い る が 受 泥 施 設 に お い て 大 気 圧 に 開 放 さ れ る と 流 れ ( 滝 落 と し ) や 撹 拌 操 作 等 に よ っ て 容 易 に 気 化 し て 周 囲 に 揮 散 す る こ と に な る こ う し た ガ ス の う ち 特 に H 2 S は コ ン ク リ ー ト 躯 体 や 金 属 部 材 の 腐 食 原 因 と な る ほ か 作 業 環 境 を 悪 化 さ せ 高 濃 度 に な る と 労 働 災 害 の 原 因 と も な り う る 危 険 な 物 質 で あ る 本 研 究 は 平 成 1 6 年 夏 期 に 南 部 ス ラ ッ ジ プ ラ ン ト 機 械 濃 縮 棟 の 受 泥 槽 上 部 か ら 高 濃 度 の H 2 S( 2ppm) が 漏 洩 し 地 下 1 階 が 立 ち 入 り 禁 止 に な る と い う 事 態 を 受 け 長 距 離 送 泥 等 に よ り 腐 敗 が 進 行 し て 高 濃 度 に H 2 S を 含 有 す る 輸 送 到 着 汚 泥 を 対 象 に し て 物 理 的 手 法 に よ っ て 汚 泥 か ら H 2 S( gas)を 分 離 除 去 す る 技 術 を 開 発 し 導 入 の 可 否 を 検 討 し た も の で あ る 2. 調 査 方 法 2.1 供 試 試 料 当 局 の 汚 泥 集 約 処 理 施 設 の 一 つ で あ る 南 部 ス ラ ッ ジ プ ラ ン ト に 送 泥 さ れ て き た 汚 泥 ( 以 下 到 着 汚 泥 と い う ) を 対 象 に 調 査 を 行 っ た 2.2 汚 泥 脱 気 装 置 図 - 1 に 汚 泥 脱 気 装 置 の 基 本 構 造 を 示 す 装 置 は 汚 泥 脱 気 装 置 と 給 泥 ポ ン プ 真 空 ポ ン プ 排 泥 ポ ン プ の 3 つ の ポ ン プ で 構 成 さ れ て い る 脱 気 装 置 の 本 体 は 円 筒 と 円 錐 を 組 み 合 わ せ た 形 の 密 閉 型 タ ン ク で タ ン ク 内 の 上 部 中 央 に 高 速 回 転 す る 分 配 機 が 配 置 さ れ て い る 汚 泥 は 給 泥 ポ ン プ に よ り 連 続 的 に 脱 気 装 置 に 供 給 さ れ る 脱 気 装 置 に 導 入 さ れ た 汚 泥 は 高 速 回 転 し て い る 分 配 機 に 衝 突 し た 後 遠 心 力 に よ り さ ら に タ ン ク の 内 壁 に 衝 突 し 内 壁 を 薄 膜 状 に な っ て タ ン ク 下 部 へと 移 動 し て い く タ ン ク 内 部 は 真 空 ポ ン プ に よ り 常 に 一 定 の 真 空 度 に 保 た れ て い る た め 汚 泥 中 に 含 ま れ る H 2 S( gas)は 一 連 の 物 理 的 な 作 用 に よ り 短 時 間 で 効 率 良 く 脱 気 さ れ る 原 汚 泥 モータ 排 ガス 真 空 ポンプに よる 排 気 真 空 容 器 分 配 機 排 出 ポンプ による 排 出 図 -1 1 汚 泥 脱 気 装 置 の 構 造
H2S(ppm) [M] (mol/l) 温 度 ( ) 本 脱 気 装 置 は.4~ 2 m3 /h の 処 理 能 力 を 持 つ 8 機 種 が 製 品 化 さ れ て い る が 本 研 究 で は.4 m3 /h の 処 理 能 力 を 持 つ 機 種 を 使 用 し た 2.3 H 2 S( gas) の 測 定 方 法 水 溶 液 中 に お け る ph と H 2 S の 形 態 と の 関 係 を 図 - 2 に 示 す H 2 S は 水 溶 液 の ph に 応 じ て H 2 S( aq) HS - S 2- の 3 つ の 形 態 で 存 在 す る こ れ ら の 測 定 方 法 と し て は ヨ ウ 素 滴 定 法 や メ チ レ ン ブ ル ー 吸 光 光 度 法 に よ る 硫 化 物 測 定 法 や イ オ ン 電 極 法 や 水 酸 化 ア ル ミ ニ ウ ム 沈 殿 に よ る 溶 存 硫 化 物 の 測 定 法 が 知 ら れ て い る 本 研 究 で は 対 象 汚 泥 中 の 硫 化 物 等 が ガ ス と し て 発 生 す る 可 能 性 す な わ ち 汚 泥 が 有 す る H 2 S( gas) 発 生 能 力 を 低 減 さ せ る こ と を 目 的 と し て い る た め 前 述 し た 測 定 方 法 は 実 験 結 果 の 評 価 法 と し て は 必 ず し も 適 当 で な い このこと か ら さ ま ざ ま な 性 状 の 汚 泥 が 持 つ 潜 在 的 な H 2 S( gas) 発 生 能 力 を 測 定 す る た め に 当 局 で 考 案 実 施 し て い る 曝 気 方 式 を 簡 便 化 し た 測 定 方 法 を 用 い る こ と に し た 測 定 方 法 の 概 要 を 図 - 3 に 示 す こ の 方 法 は 密 閉 系 に お い て 適 量 の 汚 泥 を 曝 気 す る こ と で 発 生 し て く る H 2 S( gas)の 濃 度 を ガ ス 検 知 管 で 測 定 す る も の で 汚 泥 の 持 つ H 2 S( gas) 発 生 能 力 を 迅 速 か つ 簡 便 に 評 価 で き る 蓋.1.9.8.7.6.5.4.3.2.1. 空 気 曝 気 気 泡 H 2 S HS - S 2-1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 ph [H 2 S] T =.1mol/L 図 2 H 2 S の 形 態 と ph の 関 係 25mL 容 量 ガラス 洗 浄 瓶 検 知 管 による 測 定 約 2mL の 空 気 をポンプ で 吸 引 し 洗 浄 瓶 の 気 相 部 を 汚 泥 臭 気 で 置 換 検 知 管 1 回 1mL 吸 引 に て H 2 S を 測 定 した 25mL 汚 泥 試 料 散 気 口 図 -3 3 汚 泥 中 の 硫 化 水 素 の 測 定 3. 調 査 結 果 3.1 H 2 S( gas) 発 生 能 の 変 化 到 着 汚 泥 は H 2 S( gas) 発 生 能 が 高 く 特 に 夏 場 の 高 温 期 に 顕 著 に な る 平 成 18 年 度 の 2 18 16 14 12 35 3 25 汚 泥 H2S 濃 度 気 温 1 8 2 6 4 15 2 1 4/1 5/1 5/31 6/3 7/3 8/29 9/28 1/28 図 ー4 H 2 S 発 生 能 と 気 温 の 推 移
調 査 期 間 中 ( 4 月 ~1 月 )の 到 着 汚 泥 の H 2 S( gas) 発 生 能 と 気 温 の 推 移 を 図 - 4 に 示 す 降 雨 直 後 に H 2 S( gas) 濃 度 が 低 下 す る 傾 向 が 顕 著 で あ る こ と に 加 え 発 生 能 の 変 化 が 大 き い こ と が わ か る 調 査 期 間 中 の H 2 S( gas) 発 生 能 の 平 均 濃 度 は 約 4ppm で あ っ た 3.2 真 空 処 理 に よ る H 2 S( gas) 除 去 効 果 の 確 認 真 空 処 理 の 効 果 を 確 認 す る 目 的 で 机 上 実 験 を 行 っ た 1ml の ガ ラ ス 製 容 器 に 25ml の 南 部 ス ラ ッ ジ プ ラ ン ト 到 着 汚 泥 を 封 入 し 気 相 部 を 真 空 ポ ン プ で 減 圧 し た 処 理 後 の 汚 泥 に つ い て 前 述 の 測 定 方 法 に よ り H 2 S( gas)を 測 定 す る こ と で 真 空 処 理 の 効 果 を 確 認 し た 結 果 を 表 - 1 に 示 す 表 -1 机 上 実 験 結 果 真 空 処 理 条 件 未 処 理 真 空 処 理 後 備 考 -8ka/ 分 3ppm 365ppm 発 泡 多 い -8ka/ 分 3ppm 37ppm 発 泡 多 い -4ka/ 分 35ppm 355ppm 真 空 処 理 を 行 う こ と に よ り 気 相 中 の H 2 S( gas) 濃 度 が 上 昇 す る こ と が 確 認 で き た ま た 真 空 度 が 上 が る と 汚 泥 か ら 発 生 す る 気 泡 が 増 加 し て 浮 上 濃 縮 の よ う な 状 態 に な り 固 液 分 離 す る こ と が 観 察 さ れ た 3.3 汚 泥 脱 気 装 置 を 用 い た 処 理 実 験 3.3.1 脱 気 処 理 条 件 の 検 討 汚 泥 脱 気 装 置 の 操 作 因 子 と し て は 真 空 度 ( 標 準 -67k a) 回 分 処 理 に お け る 滞 留 時 間 ( 標 準 1 分 ) 分 配 機 の 回 転 数 ( 上 限 165r.p.m)の 3 つ が あ る が 機 器 の 持 つ 各 因 子 の 影 響 を 確 認 し た 真 空 度 に つ い て は -4-67 -93k a の 3 条 件 で 効 果 を 比 較 し た と こ ろ 各 条 件 間 に お い て H 2 S( gas) 除 去 効 果 と 真 空 度 に 相 関 は な く 概 ね 9 % 以 上 の 除 去 率 を 達 成 し ている こ と が わ か っ た 滞 留 時 間 は 1.3.5 分 と 変 化 さ せ た と こ ろ 滞 留 時 間 が 長 い ほ ど H 2 S( gas) 除 去 効 果 は 高 か っ た ま た 分 配 機 回 転 数 も 高 い ほ ど H 2 S( gas) 除 去 効 果 が 高 い こ と が わ か っ た さ ら に 滞 留 時 間 に つ い て 6 分 ま で の 長 時 間 滞 留 実 験 を 行 っ た と こ ろ 1 分 経 過 後 か ら H 2 S( gas) 濃 度 が 確 認 さ れ た こ の 理 由 と し て 硫 酸 還 元 菌 に よ る H 2 S の 再 生 成 等 が 考 え ら れ る が 滞 留 時 間 の 長 時 間 化 は 必 ず し も 脱 気 処 理 に 好 影 響 を 及 ぼ さ な い こ と が わ か っ た 再 生 成 に つ い て は 後 述 す る 以 上 の 結 果 か ら 脱 気 装 置 の 運 転 条 件 を 真 空 度 -67k a 滞 留 時 間 1 分 分 配 機 回 転 数 165r.p.m と し た こ の 条 件 に お け る H 2 S( gas) 除 去 率 は ほ ぼ 1% と な り 本 脱 気 装 置 の 有 効 性 が 確 認 で き た 3.3.2 連 続 処 理 へ の 適 用 回 分 処 理 の 有 効 性 が 確 認 で き た こ と か ら 連 続 処 理 へ の 適 用 を 検 討 し た 真 空 度 を -93k a に 上 げ て 処 理 を 行 っ た も の の 脱 気 後 の 汚 泥 中 の H 2 S( gas) 濃 度 は
H2S 除 去 率 (%) H2S(ppm) H2S(ppm) H2S(ppm) H 2 S 除 去 率 (%) H 2 S 除 去 率 (%) 処 理 前 の 数 値 と ほ と ん ど 変 化 が な く 回 分 処 理 と の 間 に 大 き な 差 が あ る こ と が 判 明 し た 従 来 の 汚 泥 脱 気 装 置 に つ い て 真 空 度 -93ka で 処 理 し た 時 の H2S 除 去 率 の 経 時 変 化 を 図 -5 に 示 す 汚 泥 脱 気 装 置 の 構 造 で 連 続 処 理 を 行 な う と H2S 除 去 率 は 低 く 平 均 して 2.1% で あ っ た 回 分 処 理 で は 処 理 終 了 後 大 気 圧 に 戻 す 段 階 で 汚 泥 1 リットル に 対 し て 4 リットル の 空 気 が 導 入 さ れ る が こ の 際 に 汚 泥 中 の H 2 S( gas)が 放 散 さ れ た 可 能 性 が あ る そ こ で 脱 気 処 理 の 代 わ り に 外 部 か ら 空 気 を 導 入 し て 装 置 下 部 か ら 汚 泥 を 曝 気 す る こ と で H 2 S( gas) の 除 去 効 果 の 向 上 を 図 っ た ( 常 圧 空 気 曝 気 方 式 ) 常 圧 空 気 曝 気 方 式 に に つ い て 曝 気 風 量 と H2S 除 去 率 の 関 係 を 図 -6 に 示 す 汚 泥 処 理 量.4m 3 /h に 対 し て 曝 気 風 量 が 1 倍 の.4m 3 /h の 時 H2S 除 去 率 は 78.2% 2 倍 の.8m 3 /h の 時 96. 5% に 達 し た こ の 結 果 処 理 ガ ス 量 は 増 え る も の の 原 汚 泥 中 に 含 ま れ る 広 い 濃 度 範 囲 の H 2 S( gas)に 対 し て 高 い 除 去 効 果 を 発 揮 し 処 理 後 の 汚 泥 か ら の H 2 S( gas) 発 生 を 検 出 限 界 以 下 に ま で 抑 制 で き る こ と が わ か っ た 常 圧 空 気 曝 気 方 式 で は 汚 泥 脱 気 装 置 反 応 槽 の 改 造 が 必 要 と な る ため 反 応 槽 内 の 汚 泥 に 物 理 的 作 用 ( 旋 回 流 ) を 与 え て 真 空 中 で の 脱 気 を 促 進 さ せ る こ と を 目 的 に 分 配 機 の 下 部 に 撹 拌 装 置 を 付 加 し た 装 置 を 考 案 し 処 理 を 行 っ た( 真 7 6 5 4 3 2 1 1 2 3 4 5 6 7 7 6 5 4 3 2 1 運 転 時 間 (h) 図 -5 従 来 の 汚 泥 脱 気 装 置 による 連 続 処 理 結 果.2.4.8 曝 気 風 量 (m 3 /h) 図 -6 常 圧 空 気 曝 気 方 式 による 曝 気 風 量 とH 2 S 除 去 率 の 関 係 7 6 5 4 3 2 1-5 -4-3 -2-1 真 空 度 (ka) 図 -7 真 空 旋 回 流 方 式 による 真 空 度 とH 2 S 除 去 率 の 関 係 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 3 6 9 12 15 原 汚 泥 H 2 S(ppm) 図 -8 原 汚 泥 H 2 SとH 2 S 除 去 率 の 関 係 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 原 汚 泥 処 理 汚 泥 除 去 率 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 H2 S 除 去 率 (%) 原 汚 泥 処 理 汚 泥 除 去 率 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 原 汚 泥 処 理 汚 泥 除 去 率 常 圧 空 気 曝 気 方 式 真 空 旋 回 流 方 式 空 旋 回 流 撹 拌 方 式 ) 真 空 下 で の 旋 回 流 撹 拌 方 式 に つ い て 真 空 度 と H2S 除 去 率 の 関 係 を 図 -7 に 示 す 真 空 旋 回 流 方 式 の 場 合 真 空 度 が -1ka の 低 真 空 で も H2S 除 去 率 は 92. 2% に 達 し た 常 圧 ka で の 除 去 率 は 42.5%で 真 空 の 影 響 が 大 き い こ と が わ か っ た が -1ka
以 上 に 強 い 真 空 に す る こ と に よ る メ リ ッ ト は な く -5ka で も 除 去 率 は 9.5%で あ っ た 常 圧 空 気 曝 気 方 式 と 真 空 旋 回 流 方 式 に つ い て 原 汚 泥 の H2S 濃 度 と H2S 除 去 率 の 関 係 を 図 -8 に 示 す 真 空 旋 回 流 方 式 の 方 が 常 圧 空 気 曝 気 方 式 よ り も 原 汚 泥 の H2S 濃 度 が 3~ 9ppm の 範 囲 に お い て 高 い H2S 除 去 率 を 維 持 し た そ れ ぞ れ の 方 式 の 概 略 図 を 図 - 5 に 処 理 条 件 を 表 - 2 に 示 す 供 給 真 空 供 給 供 給 真 空 M 排 ガス M 排 ガス M 排 ガス 分 配 機 排 出 エア 分 配 機 排 出 曝 気 する 気 泡 により 微 細 な H2S 含 有 気 泡 を 除 去 排 出 旋 回 流 により 気 泡 を 中 心 に 集 めて 真 空 に より 分 離 1 従 来 の 汚 泥 脱 気 装 置 2 常 圧 空 気 曝 気 方 式 3 真 空 旋 回 流 撹 拌 方 式 方 式 図 -9 従 来 型 の 汚 泥 脱 気 装 置 と 改 良 型 汚 泥 脱 気 装 置 表 -2 各 処 理 方 式 に お け る 処 理 条 件 1 従 来 の 汚 泥 脱 気 装 置 2 常 圧 空 気 曝 気 方 式 3 真 空 旋 回 流 方 式 汚 泥 処 理 量 (m 3 /h).4.4.4 真 空 度 (ka) -93 ( 常 圧 ) ~-5 分 配 機 回 転 数 (min -1 ) 165 165 15 ) 曝 気 空 気 量 (m 3 /h).2~.8 ) 分 配 機 に 接 続 し た 撹 拌 棒 の 振 動 が 大 き か っ た た め 15min -1 に 回 転 数 を 抑 え た こ う し た 一 連 の 改 良 に よ り 従 来 の 汚 泥 脱 気 装 置 の 持 つ 気 泡 除 去 に よ る 汚 泥 の 沈 降 性 改 善 効 果 だ け で な く H 2 S( gas) 除 去 に 特 化 し た 装 置 を 開 発 す る こ と が で き た 3.3.3 汚 泥 中 の H 2 S( gas) の 再 生 成 脱 気 処 理 に よ っ て 処 理 直 後 の 汚 泥 中 の H 2 S( gas) 濃 度 は 概 ね 検 出 限 界 以 下 に 低 減 で き た し か し 汚 泥 中 の H 2 S( gas)は 硫 酸 還 元 菌 に よ っ て 汚 泥 中 に 含 ま れ て い る 硫 酸 イ オ ン の 還 元 で 生 成 す る こ と か ら 脱 気 処 理 に よ っ て 汚 泥 中 か ら 一 時 的 に H 2 S( gas)を 除 去 し て も 硫 酸 イ オ ン と 硫 酸 還 元 菌 が 共 存 し て い れ ば H 2 S( gas) が 再 び 生 成 し て し ま う こ と が 考 え ら れ る 今 回 の 実 験 中 に も 3.3.1 で 述 べ た よ う に 長 時 間 の 滞 留 実 験 に お い て H 2 S( gas) の 除 去 が 済 ん だ 汚 泥 か ら 時 間 経 過 と と も に H 2 S( gas) が 生 成 し て く る こ と が 確 認 さ れ て い る そ こ で 汚 泥 中 の H 2 S( gas)の 再 生 成 を 確 認 す る た め 未 処 理 汚 泥 と 脱 気 処 理 汚 泥 を 密 閉 ビ ン で 室 温 保 存 し H 2 S( gas) 濃 度 を 経 時 的 に 測 定 し た 結 果 を 図 - 1 に 示 す 双 方 の 汚 泥 と も H 2 S( gas) 発 生 能 は 時 間 の 経 過 に 伴 い 増 加 し た が 未 処 理 汚 泥 で は 採 取 直
H2S 濃 度 (ppm) H2S 濃 度 (ppm) 後 で 4ppm 6 時 間 経 過 後 で 62ppm に 達 し た が 脱 気 処 理 汚 泥 で は 6 時 間 経 過 後 で も 31p p m に 留 ま っ た 以 上 の 結 果 か ら 脱 気 処 理 に よ っ て 再 生 成 に よ る H 2 S( gas) 発 生 能 を 抑 制 で き る こ と が わ か っ た 3.3.4 再 生 成 す る H 2 S( gas) の 抑 制 脱 気 処 理 後 に 再 生 成 す る H 2 S( gas) を 抑 制 す る 目 的 で ポ リ 鉄 の 添 加 と 脱 気 処 理 の 併 用 に つ い て 検 討 し た ポ リ 鉄 に よ る 単 独 処 理 と ポ リ 鉄 添 加 + 脱 気 処 理 の 併 用 処 理 を 行 っ た 場 合 の 処 理 後 6 時 間 の H 2 S( gas) 濃 度 を 図 -11 に 示 す ポ リ 鉄 単 独 処 理 で は 5mg/l の 添 加 で 生 成 し た H 2 S( gas) 濃 度 が 3ppm で あ っ た の に 対 し 併 用 処 理 で は 1mg/l の 添 加 で 3ppm と な り 薬 注 量 を 2% に 低 減 で き た ま た 併 用 処 理 に お け る ポ リ 鉄 添 加 量 を 2mg/l と し た 場 合 に は 6 時 間 後 の 検 出 濃 度 は 2ppm と な っ た 以 上 の 結 果 か ら ポリ 鉄 + 脱 気 処 理 の 併 用 に よ り 再 生 成 す る H 2 S( gas)を 効 果 的 に 抑 制 で き る こ と が わ か っ た 7 6 5 4 3 2 1 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 未 処 理 汚 泥 脱 気 処 理 汚 泥 1 2 3 4 5 6 経 過 時 間 (h) 図 1 再 生 成 し た H 2 S 濃 度 の 増 加 ポリ 鉄 添 加 のみ ポリ 鉄 添 加 + 脱 気 処 理 併 用 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 ポリ 鉄 添 加 量 (mg/l): 製 品 換 算 図 11 ポ リ 鉄 添 加 と 脱 気 処 理 の 併 用 の 効 果 3.3.5 コ ス ト の 検 討 汚 泥 脱 気 装 置 ( 真 空 旋 回 流 方 式 ) お よ び ポ リ 鉄 添 加 の 2 つ の 処 理 方 法 に つ い て コ ス ト 試 算 を お こ な っ た 検 討 に 用 い た 条 件 を 表 -3 に 示 す 表 -3 共 通 の 検 討 条 件 項 目 設 定 条 件 年 間 運 転 期 間 15 日 (5ヶ 月 間 :6 月 ~1 月 ) 汚 泥 処 理 量 1525 m3/h( 南 部 スラッジプラント 実 績 ) ポリ 鉄 添 加 量 5mg/リットル ポリ 鉄 価 格 25 円 /kg 1kWh 電 気 代 1 円 電 動 機 効 率 8% 汚 泥 脱 気 装 置 の 電 動 機 出 力 を 表 - 4 に ポ リ 鉄 添 加 装 置 の 電 動 機 出 力 を 表 5 に 示 す 表 -4 汚 泥 脱 気 装 置 の 電 動 機 出 力 (1 台 あたり)
構 成 機 器 電 動 機 出 力 ( 定 格 ) 分 配 機 ( 兼 撹 拌 装 置 ) 11kw 真 空 ポンプ 15kw 供 給 ポンプ 15kw 排 出 ポンプ 18.5kw 破 砕 機 3.7kw 合 計 63.2kw 表 -5 ポリ 鉄 添 加 装 置 の 電 動 機 出 力 構 成 機 器 電 動 機 出 力 ( 定 格 ) ポリ 鉄 注 入 ポンプ.75kw ポリ 鉄 希 釈 装 置.75kw 合 計 1.5kw 試 算 し た コ ス ト を 表 - 6 に 示 す 表 -6 コスト 検 討 結 果 汚 泥 脱 気 装 置 ポリ 鉄 添 加 イニシャルコスト 機 器 費 + 建 設 費 消 費 電 力 ランニングコスト (15 日 / 年 ) 薬 品 ランニングコスト (15 日 / 年 ) 消 費 電 力 ランニングコスト (15 年 間 ) 薬 品 ランニングコスト (15 年 間 ) * 1,2,, 円 92,71, 円 14,561,28 円 64,8 円 - 68,58, 円 218,419,2 円 972, 円 - 1,28,7, 円 費 用 合 計 (15 年 間 ) 1,418,419,2 円 1,122,382, 円 * 実 績 からの 概 算 で 算 出 した 今 回 の コ ス ト 試 算 に つ い て ポ リ 鉄 添 加 ( 注 入 率 5mg/ リットル ) に よ る 硫 化 水 素 対 策 に 対 す る コ ス ト メ リ ッ ト を 見 出 す こ と が で き な か っ た 4. ま と め 長 距 離 送 泥 等 に よ り 腐 敗 が 進 行 し た 汚 泥 に つ い て 受 泥 側 で 生 じ る H 2 S( gas)を 効 率 良 く 除 去 す る こ と を 目 的 に 既 存 の 汚 泥 脱 気 装 置 に 改 良 を 加 え て 実 用 化 の 可 否 を 検 討 し た こ の 結 果 1. 汚 泥 脱 気 装 置 に 内 部 旋 回 流 機 構 を 付 与 す る こ と で 真 空 度 が 低 い 運 転 条 件 ( -1
k a) に お い て も H 2 S( gas) 除 去 率 を 9% 以 上 に 高 め る こ と が で き た 2. 今 回 開 発 し た 汚 泥 脱 気 装 置 に よ っ て H 2 S( gas)を 除 去 し た 後 で も 新 た に H 2 S( gas) が 生 成 し て し ま う 条 件 ( 汚 泥 の 腐 敗 が あ ま り 進 行 し て お ら ず H 2 S( gas) の 生 成 要 因 で あ る 硫 酸 根 が 残 留 し て い る 場 合 ) で は 再 生 成 を 抑 制 す る た め に 鉄 塩 添 加 等 の 対 策 と の 併 用 が 必 要 と な る 汚 泥 脱 気 装 置 に よ る 汚 泥 の 沈 降 性 の 改 善 も 期 待 で き る が 薬 剤 添 加 設 備 と の 二 重 投 資 と な る た め 処 理 コ ス ト が 増 加 す る 3. 南 部 ス ラ ッ ジ プ ラ ン ト へ の 導 入 を 前 提 に コ ス ト 試 算 を し た と こ ろ 汚 泥 脱 気 装 置 の 最 大 処 理 能 力 機 ( 2 m3 /h )で も 8 台 の 設 置 が 必 要 と な り ポ リ 鉄 添 加 と 比 較 し た 場 合 で は コ ス ト 面 お よ び 設 備 の 設 置 面 積 の 点 で の 優 位 性 は 見 出 せ な か っ た