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Transcription:

心 と 脳 の 関 係 : 包 括 的 一 元 論 の 構 築 脳 科 学 現 象 学 唯 識 教 義 の 三 者 における 共 通 点 を 見 出 すことにより 脳 ( 物 )と 心 を 隔 てる 歴 史 的 文 化 的 科 学 的 な 障 壁 を 乗 り 越 えることを 目 指 す 内 省 心 理 学 唯 識 科 学 脳 科 学 現 象 学 哲 学 2014 11 22 研 究 会 資 料 1

仏 教 の 根 本 的 概 念 である 法 :ダルマ は 現 代 科 学 的 世 界 観 における プロセス に 対 応 する 原 始 仏 教 では 人 間 がいかなる 時 いかなる 所 においても 順 守 すべき 永 遠 の 理 法 が あると 考 え それを 法 と 呼 んだ つまり 法 とは 人 を 人 として たもつ ものである 仏 教 では 永 遠 に 妥 当 する 法 の 権 威 を 尊 重 する ブッダの 最 後 の 教 え 自 灯 明 法 灯 明 におけ る 法 は そのような 古 来 の 天 則 に 基 づく 普 遍 的 真 理 を 意 味 する ウパニシャッド 哲 学 において 法 は 宇 宙 の 根 本 原 理 である ブラフマン と 個 人 の 本 質 である アートマン へと 昇 華 され それらは 恒 久 不 変 の 実 体 であると 考 えられた それに 対 してブッダは 万 物 は 火 炎 のように 流 動 的 で 一 過 性 の 現 象 であると 考 えた 実 体 の 存 在 論 からプロセスの 存 在 論 へのこのような 転 換 こそがブッダの 思 想 の 最 大 の 特 色 であり またそ のことが 仏 教 思 想 の 現 代 的 な 解 釈 を 可 能 ならしめている 2014 11 22 研 究 会 資 料 2

五 蘊 とは 心 の 基 本 的 モジュールである 仏 教 における 世 界 とは もの として 存 在 する 外 想 受 行 五 蘊 色 識 的 自 然 ではなく 心 が 描 き 出 す 内 的 世 界 である 内 観 瞑 想 によって 把 握 された 意 識 心 の 流 れが そ のまま 森 羅 万 象 の 構 成 要 素 として 把 握 される ブッダは 火 炎 のメタファーを 用 いて 表 現 される 五 薀 ( 色 受 想 行 識 )を 万 物 の 基 本 的 構 成 要 素 とした 現 代 語 で 言 えば それは 心 のプロセ ス における 基 本 的 モジュールにほかならない 2014 11 22 研 究 会 資 料 3

十 二 支 縁 起 十 二 支 縁 起 とは 夫 々が 法 である 十 二 の 支 老 死 無 明 行 (ニダーナ)を 縁 起 によって 結 び 付 けたもので ある ブッダの 諸 行 無 常 諸 法 無 我 という 思 想 は 生 識 この 縁 起 の 理 法 に 立 脚 している 縁 起 は 此 れ 有 名 色 有 るが 故 に 彼 有 り. 此 れ 無 きが 故 に 彼 無 し と 表 現 され ~が 故 に という 語 を 含 むことから 現 代 科 取 六 処 学 的 世 界 観 における 関 係 性 relationality という 愛 受 触 概 念 に 対 応 する それはすべての 現 象 が 究 極 的 原 因 としての 神 造 物 主 無 しに 循 環 的 因 果 性 ( 関 係 性 )に 基 づいて 生 起 するという 考 え 方 である 2014 11 22 研 究 会 資 料 4

瑜 伽 行 派 が 取 り 組 んだ 問 題 瑜 伽 行 派 ( 唯 識 派 )は 我 法 倶 空 とする 龍 樹 の 空 の 思 想 を 継 承 したが 輪 廻 からの 解 脱 を 究 極 の 目 的 とする 点 においては 瑜 伽 行 者 としての 伝 統 を 保 っていた 従 って 彼 らは アビダルマ 以 来 の 課 題 である 無 我 であるのにどうやって 過 去 世 の 業 が 今 世 に 繋 がっている のかという 問 題 と 並 行 して 空 無 我 という 根 本 教 理 に 対 して 瑜 伽 行 者 としての 主 体 性 をどのように 見 出 し 確 保 するか という 問 題 と 取 り 組 んだ それは 同 時 に 空 の 思 想 の ニヒリズム 的 な 傾 向 を 超 克 することでもあった こうして 唯 識 派 は ( 一 ) 唯 識 観 ( 二 ) 三 性 説 ( 三 )アーラヤ 識 を 三 つの 柱 とする 緻 密 な 学 説 を 構 築 した 2014 11 22 研 究 会 資 料 5

唯 識 観 とフリーマンの 知 覚 論 唯 識 説 は 客 観 的 世 界 を 外 界 の 実 在 とはせず 識 内 の 存 在 として 理 論 化 し 個 の 識 = 心 は 世 界 大 の 規 模 むしろ 宇 宙 をも 心 に 浮 かべるものとして 客 観 界 もまた 自 己 に 摂 めているとする アリストテレス 以 来 表 象 ( 影 像 )とは 外 界 の 忠 実 な 再 現 であると 見 なされ てきたが フリーマンは 表 象 とは 個 々 人 の 脳 と 心 が 外 界 からの 物 理 的 刺 激 をきっかけとして 自 分 で 作 り 出 すものであるとした このようなフリーマン の 知 覚 論 は 唯 識 における 識 所 縁 唯 識 所 現 という 教 義 と 合 致 する 2014 11 22 研 究 会 資 料 6

三 性 説 : 心 の 全 体 = 虚 妄 分 別 三 性 遍 計 所 執 性 : 仮 構 されたあり 方 依 他 起 性 : 他 によるあり 方 という 意 味 であり 縁 起 を 指 す 円 成 実 性 : 修 行 によって 完 成 されたあり 方 虚 妄 分 別 である 依 他 起 性 は 十 二 支 によって 縁 起 したものであるが 故 に 迷 妄 から 逃 れ ることができないのであるが 唯 識 は その 依 他 起 性 自 体 が 自 らを 変 えることが 可 能 で あると 考 える 識 自 体 が 変 質 して 新 たな 識 へと 生 まれ 変 わり 覚 り(= 智 )を 得 ることを 転 識 得 智 という それは 人 間 に 主 体 性 を 認 め その 先 に 向 上 があることを 示 そうとす る 考 え 方 である このような 唯 識 の 考 え 方 は 志 向 性 が 歴 史 的 文 脈 から 生 じることを 認 めつつも 遺 伝 的 環 境 的 決 定 論 を 否 定 し 人 間 の 主 体 性 と 自 由 意 志 を 強 調 するフリー マンの 考 えと 共 鳴 し 合 う 2014 11 22 研 究 会 資 料 7

五 位 百 法 における 心 王 と 心 所 の 相 応 関 係 唯 識 は 心 が100 種 類 の 心 的 要 素 ( 百 法 )から 成 るとし それらを 五 つの 位 ( 心 王 心 所 色 不 相 応 無 為 ) に 分 けた 五 位 の 内 それ 自 身 の 存 在 性 を 有 するとされる 心 王 心 所 と それらの 相 応 関 係 を 下 図 に 示 す 2014 11 22 研 究 会 資 料 8

八 識 とは 何 か 唯 識 において 心 王 ( 識 )はアーラヤ 識 マナ 識 意 識 前 五 識 の 八 識 に 分 けられる 虚 妄 分 別 と 呼 ばれるのは 縁 ( 因 )としての 識 として 生 起 するアーラヤ 識 である そ れは 個 人 存 在 の 根 本 にある 通 常 我 々が 意 識 することのない 識 であって 八 識 の 最 深 層 に 位 置 する そこに 蓄 積 されている 過 去 の 全 ての 経 験 の 潜 在 余 力 ( 習 気 )は 現 在 お よび 未 来 における 自 己 の 身 心 および 対 象 世 界 すなわち 一 切 諸 法 を 生 み 出 す 因 となる から 種 子 とも 呼 ばれ それら 一 切 法 の 種 子 を 保 つ アーラヤ 識 のことを 一 切 種 子 識 とも 言 う アーラヤ 識 は 無 始 ( 宇 宙 の 始 まり) 以 来 の 経 験 を 保 持 しつつ 身 体 を 維 持 し 続 け ながら 恒 常 的 に 働 くのであるが それは 一 瞬 一 瞬 に 生 じては 滅 すること( 刹 那 滅 )を 繰 り 返 しつつ 持 続 ( 相 続 )する 無 常 なる 存 在 である 2014 11 22 研 究 会 資 料 9

マナ 識 前 五 識 第 六 意 識 アーラヤ 識 は 潜 勢 的 な 原 因 の 識 として 生 起 し その 果 として それ 以 外 の 七 つの 識 が 能 取 としての 識 として 現 れる アーラヤ 識 と 七 種 の 識 との 間 には 因 と 果 の 関 係 がある すべての 識 は 相 分 ( 所 取 )- 見 分 ( 能 取 )の 関 係 で 結 ばれている 見 分 とは 見 るもの 相 分 とは 見 られるもの の 意 味 であるが 各 識 それ 自 体 が 相 分 ( 所 取 )と 見 分 ( 能 取 )に 分 かれ より 上 位 の 識 の 見 分 が 下 位 の 識 の 相 分 を 見 るという 関 係 がある 第 七 識 であるマナ 識 は 根 源 的 な 心 であるアーラヤ 識 を 対 象 として それを 我 であると 考 えて 執 拗 に 執 着 しつづける 心 すなわち 深 層 に 働 く 自 我 執 着 心 を 意 味 する 前 五 識 は 眼 耳 鼻 舌 身 という 感 覚 器 官 および 身 体 から 生 じる 識 第 六 意 識 は 全 ての 識 を 統 合 する 識 である これらの 六 識 は 現 代 語 の 表 層 意 識 に 対 応 する 2014 11 22 研 究 会 資 料 10

遍 行 の 心 所 ( 五 遍 行 )の 働 き 心 所 とは 意 識 に 上 る 個 々の 心 の 働 きと それを 生 みだすメカニズムを 意 味 し 現 代 心 理 学 で いうモジュール およびそれが 生 み 出 す 現 象 的 な 心 に 対 応 する 心 所 は 遍 行 別 境 善 煩 悩 随 煩 悩 不 定 の 六 群 に 大 別 される 触 作 意 受 想 思 の 心 所 を まとめて 五 遍 行 と 呼 ぶ 触 は 感 官 ( 根 )と 対 象 ( 境 )と 認 識 主 体 の 和 合 ( 三 事 和 合 )により 識 が 生 じること 作 意 は 感 覚 器 官 の 働 きを 対 象 に 集 中 させ よ り 鋭 敏 にすること 受 は 感 覚 の 生 起 に 伴 って 快 不 快 の 感 情 が 生 じること 想 は 統 覚 思 は 意 思 を 夫 々 意 味 する 五 遍 行 は 常 に 全 ての 識 を 貫 通 して 作 用 し 八 識 の 統 合 と 各 層 における 心 所 の 相 互 作 用 を 推 進 する 働 きを 有 するので フリーマン 理 論 における 志 向 性 の 弧 と 同 じ 役 割 を 果 たす 2014 11 22 研 究 会 資 料

三 種 の 転 変 が 心 のダイナミズムを 生 み 出 す 五 位 百 法 における 縁 起 とは 転 変 であり それは 種 子 の 地 平 ( 因 転 変 という)と 識 の 地 平 ( 果 転 変 という)との 両 方 において 生 じる 因 転 変 には 次 の 三 種 がある: 1. 異 熟 転 変 : 業 (カルマ)の 果 である 種 子 が 貯 えられた 結 果 形 成 され 存 続 するものが 輪 廻 の 究 極 的 な 主 体 であるアーラヤ 識 となる; 2. 思 量 転 変 :アーラヤ 識 を 拠 り 所 とし そこに 貯 えられた 種 子 が 転 変 したものが 自 我 意 識 としてのマナ 識 となる; 3. 了 別 境 転 変 :アーラヤ 識 とマナ 識 を 背 後 にもちつつ 対 象 を 認 識 し 認 識 作 用 がもたらす 種 子 をアーラヤ 識 に 植 え 付 ける( 薫 重 する)ものが 表 層 意 識 としての 六 識 となる 2014 11 22 研 究 会 資 料 12

識 転 変 のダイナミズム: 種 子 生 現 行 と 現 行 薫 種 子 刹 那 ごとの 識 の 連 続 性 は 専 らアーラヤ 識 に 托 されている 刹 那 を 挟 んで 変 化 する 前 の 識 が 次 の 識 に 及 ぼす 影 響 を 習 気 と 言 い 種 子 とは 次 の 刹 那 の 識 から 見 た 習 気 である 種 子 と 識 は 五 遍 行 を 介 して 次 のような 相 互 作 用 を 営 む 種 子 生 現 行 : 種 子 と 他 の 識 との 相 互 作 用 によって 六 識 の 働 きの 内 容 が 生 み 出 さ れる 現 行 薫 種 子 ( 薫 習 ): 種 子 が 他 の 識 を 通 過 する 際 に 受 けた 影 響 を 保 持 しながら アーラヤ 識 に 再 び 取 り 入 れられて 保 存 される 種 子 生 種 子 :アーラヤ 識 が 次 刹 那 へと 連 続 する 2014 11 22 研 究 会 資 料 13

八 識 における 心 王 心 所 間 の 関 係 潜 勢 的 なアーラヤ 識 と 顕 勢 的 な 七 識 とが 因 果 転 変 および 遍 行 の 心 所 の 働 きを 介 し て 循 環 的 でダイナミックな 因 果 関 係 ( 関 係 性 )で 結 ばれていることが 唯 識 説 において 考 えられている 縁 起 である これら 八 識 は 外 界 に 対 して 閉 じており 識 自 体 がその 内 部 で 因 となり 果 となって 縁 起 している そのことが 虚 妄 分 別 が 依 他 性 であるということの 意 味 である これらの 階 層 的 な 識 は 全 てアーラヤ 識 から 生 じたものであるが それらが 相 互 的 循 環 的 に 作 用 することによって 識 の 統 一 性 全 体 性 志 向 性 が 生 じる このような 八 識 の 構 造 と 機 能 は フリーマン 理 論 のニューロダイナミクスとよく 合 致 する 2014 11 22 研 究 会 資 料 14

フリーマン 理 論 における 行 動 知 覚 サイクル: 志 向 性 の 弧 2014 11 22 研 究 会 資 料 15

意 識 を 構 成 するフラクタルな 要 素 としての 五 蘊 十 二 支 縁 起 と 志 向 性 の 弧 十 二 支 縁 起 識 所 縁 唯 識 所 現 = 認 識 論 的 独 我 論 老 死 無 明 行 生 行 識 有 想 五 蘊 識 名 色 取 受 色 六 処 愛 受 触 十 八 界 アーラヤ 識 2014 11 22 研 究 会 資 料 16

パンクセップ 理 論 における 情 動 システム 新 哺 乳 類 脳 前 五 識 意 識 旧 哺 乳 類 脳 マナ 識 爬 虫 類 脳 アーラヤ 識 2014 11 22 研 究 会 資 料 17

唯 識 教 義 とフリーマン 理 論 との 共 通 点 両 理 論 の 様 々な 側 面 フリーマン 理 論 唯 識 教 義 包 括 的 一 元 論 デカルト 的 二 元 論 の 克 服 身 心 一 如 認 識 論 認 識 論 的 独 我 論 識 所 縁 唯 識 所 現 存 在 論 過 程 の 実 在 論 諸 行 無 常 諸 法 無 我 五 蘊 自 我 の 否 定 エージェントとしての 自 我 の 否 定 無 我 我 法 倶 空 自 己 の 主 体 性 志 向 性 の 全 体 性 統 一 性 意 図 自 燈 明 法 燈 明 自 然 の 形 成 力 ( 生 命 力 ) 複 雑 生 命 有 機 体 の 自 己 組 織 化 志 向 性 無 明 と 行 関 係 性 ( 因 果 律 ) 循 環 的 因 果 性 ( 関 係 性 ) 縁 起 ( 因 縁 ) 空 心 の 基 本 的 要 素 志 向 性 の 弧 の 構 成 要 素 (モジュール) 心 王 心 所 現 象 的 な 心 大 域 的 アトラクターの 形 成 と 遷 移 ダルマ 法 識 転 変 現 象 的 な 心 を 生 み 出 す 中 心 的 メカ ニズム 志 向 性 の 孤 五 遍 行 2014 11 22 研 究 会 資 料 18

唯 識 教 義 とフリーマン 理 論 との 共 通 点 知 覚 による 経 験 の 獲 得 同 化 触 受 想 心 のモジュール 性 知 覚 認 知 運 動 情 動 に 関 わる 全 てのモジュール 五 蘊 五 位 百 法 における 心 王 と 心 所 モジュール 間 の 相 互 作 用 ニュ-ロン 集 団 が 形 成 する 振 幅 変 調 パターンのメゾ/ マクロスコピックな 相 互 作 用 意 識 の 中 断 ヌルスパイク 刹 那 滅 知 覚 と 行 動 の 開 始 : 注 意 プリアフェレンスとエフェレンス 作 意 心 と 脳 の 階 層 的 構 造 心 の 統 合 的 作 用 [ 古 皮 質 - 旧 皮 質 - 新 皮 質 ]が 形 成 する 階 層 構 造 (The triune brain) 志 向 性 の 孤 の 働 きによる 脳 の 全 領 域 にわたる 大 域 的 ア トラクターの 形 成 意 識 の 流 れ カオス ダイナミクスによる 大 域 的 アトラクターの 遷 移 識 転 変 刹 那 滅 心 王 心 所 間 の 縦 横 の 自 由 な 相 応 関 係 - 識 転 変 (パリナーマ) 八 識 (アーラヤ 識 -マナ 識 - 意 識 - 前 五 識 )における 階 層 構 造 アーラヤ 識 と 五 遍 行 による 心 王 心 所 の 縦 横 の 相 互 作 用 による( 第 六 ) 意 識 の 形 成 意 識 の 役 割 ダイナミック オペレーターとしての 意 識 第 六 意 識 主 観 と 客 観 大 域 的 アトラクターの 分 極 化 分 別 : 識 の 見 分 ( 能 取 )と 相 分 ( 所 取 ) 自 己 の 変 革 脱 学 習 と 学 習 : 洗 脳 識 転 変 智 慧 覚 り 転 識 得 智 2014 11 22 研 究 会 資 料 19

結 論 1. 知 覚 の 現 象 学 フリーマン 理 論 パンクセップ 理 論 唯 識 教 義 は 次 の 共 通 点 を 有 する: i) 基 本 的 な 心 の 働 きをモジュール( 法 )として 捉 える; ii) 心 のモジュール( 法 )を 発 生 学 的 遺 伝 学 的 な 見 地 から 階 層 化 する; iii) 心 のモジュールは 循 環 的 因 果 関 係 を 介 して ダイナミックな 相 互 作 用 を 営 む; iv) 志 向 性 の 弧 ( 遍 行 の 心 所 )の 働 きが 知 覚 意 識 感 情 情 動 行 動 を 生 み 出 す 2. 唯 識 が 示 す 心 のメカニズムは 脳 のメカニズムとの 明 確 な 対 応 を 有 する 3. 自 己 の 主 体 性 と 自 由 は 脳 ( 心 )がダイナミックな 複 雑 系 であることに 基 因 する 4.フリーマン 理 論 において 大 域 的 アトラクター として 定 義 される 心 は 唯 識 三 性 説 におけ る 転 識 得 智 と 同 様 に 環 境 や 遺 伝 によっては 必 ずしも 決 定 されない 高 次 の 精 神 性 (spirituality) を 持 つことができ そこに 人 間 は 物 とは 異 なる 独 自 の 存 在 の 地 平 を 有 する 2014 11 22 研 究 会 資 料 20