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学 習 者 が 犯 す 誤 用 の 要 因 背 景 からみる 日 本 語 作 文 支 援 八 木 豊 ( 株 式 会 社 ピコラボ) 1 ホドシチェク ボル( 東 京 工 業 大 学 ) 阿 辺 川 武 ( 国 立 情 報 学 研 究 所 ) 仁 科 喜 久 子 ( 東 京 工 業 大 学 ) Relevance of Learners' Errors in the Development of a Japanese Writing Support System Yutaka YAGI (Picolab Co., Ltd.) Bor Hodošček (Tokyo Institute of Technology) Takeshi ABEKAWA (National Institute of Informatics) Kikuko NISHINA (Tokyo Institute of Technology) 1. はじめに 近 年 国 立 国 語 研 究 所 による 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス ( 以 後 BCCWJ)をは じめとする 日 本 語 大 規 模 コーパスの 開 発 が 進 展 し オンラインのコーパス 検 索 ツールとし ての 中 納 言 少 納 言 NINJAL-LWP for BCCWJ によって 特 定 の 語 の 頻 度 や 共 起 関 係 文 法 的 な 振 る 舞 いなどを 知 ることができるようになり 日 本 語 の 研 究 者 には 大 きな 恩 恵 をもたらした また 日 本 語 教 育 の 分 野 でも 日 本 語 教 育 の 研 究 者 や 教 師 によるこれらの コーパスやツールを 利 用 した 教 育 方 法 や 教 材 開 発 の 動 きがみられるようになってきた 仁 科 他 (2011) Hodošček 他 (2011)による 日 本 語 作 文 支 援 システム なつめ 2 の 開 発 もその 一 つ であり 文 書 作 成 時 に 表 現 したい 共 起 語 の 検 索 と 例 文 参 照 を 可 能 にした しかしながら このシステムは 上 級 レベルの 一 部 の 学 習 者 を 除 いて 利 用 するには 困 難 な 点 が 多 い 例 え ば 単 語 の 表 記 を 正 しく 習 得 してないと 検 索 できない 提 示 される 例 文 は 学 習 者 の 日 本 語 能 力 に 応 じたレベルに 絞 り 込 まれていないなどの 問 題 があるためである そこで さらに 広 範 囲 の 学 習 者 にも 容 易 に 利 用 できるシステムを 目 指 し 学 習 者 作 文 コーパス なたね 3 を 構 築 し そこに 見 られる 学 習 者 の 犯 しやすい 誤 用 を 分 析 し その 誤 用 の 要 因 や 背 景 を 知 る ことで 学 習 者 が 入 力 した 文 の 誤 用 を 自 動 的 に 指 摘 して 修 正 案 を 示 すシステムを 最 終 目 標 とすることとした 2. 学 習 者 作 文 コーパス なたね なたね は 我 々が 独 自 に 収 集 した 学 習 者 作 文 に 対 して 日 本 語 教 師 による 添 削 を 行 っ た 誤 用 タグ 付 きデータである 誤 用 タグは 大 きく 誤 用 の 対 象 誤 用 の 内 容 誤 用 の 要 因 背 景 という 3 つの 視 点 から 構 成 しており さらにそれぞれを 3 階 層 に 細 分 類 する ことで 全 体 として 約 70 種 類 を 定 義 している( 曹 他 (2012)) 2012 年 12 月 現 在 大 学 院 や 大 学 あるいは 語 学 学 校 に 在 籍 する 192 人 の 日 本 語 学 習 者 による 285 作 文 ( 総 文 字 数 205,520 1 yagi@picolab.jp 2 日 本 語 作 文 支 援 システム なつめ 3 学 習 者 作 文 コーパス なたね http://hinoki.ryu.titech.ac.jp/natsume/ http://hinoki.ryu.titech.ac.jp/natane/ 307

表 1 母 語 別 学 習 者 数 母 語 男 性 女 性 性 別 未 入 力 計 中 国 語 50 43 22 115 マラーティー 語 6 23 7 36 ベトナム 語 6 7 13 韓 国 語 6 1 4 11 スペイン 語 2 2 マレー 語 1 1 スロベニア 語 1 1 ハンガリー 語 1 1 タイ 語 1 1 母 語 未 入 力 1 10 11 計 74 67 51 192 表 2 母 語 別 作 文 数 母 語 男 性 女 性 性 別 未 入 力 計 中 国 語 62 64 26 152 マラーティー 語 6 23 7 36 ベトナム 語 18 9 27 韓 国 語 24 3 7 34 スペイン 語 2 2 マレー 語 8 8 スロベニア 語 7 7 ハンガリー 語 1 1 タイ 語 1 1 母 語 未 入 力 5 12 17 計 133 90 62 285 字 )に 含 まれる 約 6,500 箇 所 の 誤 用 に 対 しておよそ 9,000 件 の 誤 用 タグを 付 与 して 公 開 して いる 4 収 集 した 作 文 は PC 入 力 と 手 書 きの 区 別 辞 書 使 用 の 有 無 や 時 間 制 限 などのコント ロールを 行 っておらず 作 文 のテーマも 自 己 紹 介 からエッセイ 風 のものまで 様 々である 作 文 データそのもの 以 外 に 性 別 国 籍 母 語 学 習 歴 日 本 語 能 力 ( 日 本 語 能 力 試 験 の レベルや 日 本 語 教 師 による 主 観 評 価 )といった 学 習 者 のメタ 情 報 も 可 能 な 範 囲 で 併 せて 収 集 しており 作 文 を 公 開 するにあたっては 複 数 の 日 本 語 教 師 の 協 力 のもとに 本 人 の 承 諾 を 得 ることができた 情 報 のみを 公 開 している なたね における 母 語 別 の 学 習 者 数 および 作 文 数 を 表 1 表 2に 示 す 作 文 を 収 集 できる 環 境 が 限 られていることから 現 状 では 中 国 語 を 母 語 とする 学 習 者 が 多 く 全 体 の 半 分 以 上 を 占 めている 3. 誤 用 の 要 因 背 景 の 分 析 本 章 では なたね に 付 与 した 誤 用 タグのうち 誤 用 の 要 因 背 景 に 着 目 して 学 習 者 が 犯 しやすい 誤 りの 傾 向 学 習 者 の 母 語 や 日 本 語 能 力 といったメタ 情 報 との 関 連 につい て 分 析 を 行 う 表 3は 誤 用 の 要 因 背 景 に 含 まれる 誤 用 タグの 頻 度 を 母 語 別 に 集 計 し た 結 果 である 表 見 出 しのアルファベットは 学 習 者 の 母 語 を 表 しており( 脚 注 参 照 ) それ ぞれの 列 がその 母 語 における 誤 用 タグの 頻 度 右 端 の 列 が なたね 全 体 の 頻 度 である 以 降 では 誤 用 の 要 因 背 景 に 含 まれる 誤 用 タグの 項 目 類 似 母 語 干 渉 レジスタ ー を 取 り 上 げ 順 を 追 って 説 明 する 3.1. 類 似 類 似 した 語 句 との 混 同 が 要 因 となっている 誤 用 が 該 当 し 類 似 している 内 容 に 応 じて 意 味 の 類 似 字 形 の 類 似 音 の 類 似 の 3 つに 下 位 分 類 している それぞれについて 代 表 的 な 誤 用 例 を 以 下 に 挙 げる 矢 印 の 左 側 の 下 線 部 が 誤 用 箇 所 矢 印 の 右 側 の 斜 体 が 日 本 語 教 師 による 訂 正 例 で 末 尾 の 括 弧 内 には 学 習 者 の 母 語 を 記 した 意 味 の 類 似 成 長 についてだんだん 深 く 了 解 理 解 できた ( 中 国 語 ) 字 形 の 類 似 公 島 広 島 と 東 京 とおきなわを 見 たいです (マラーティー 語 ) 音 の 類 似 これは 私 のしょうらいのゆうめい ゆめです (マラーティー 語 ) 意 味 の 類 似 では 特 に 日 本 語 で 用 いられるある 漢 語 の 意 味 が 中 国 とは 異 なる 意 味 で 用 い 4 総 文 字 数 には 句 読 点 やその 他 の 補 助 記 号 も 含 む ただし 現 在 もメンテナンスを 継 続 して おり Web サイト 上 での 表 示 はここで 挙 げた 数 値 と 一 致 しないことがある 308

5 表 3 誤 用 の 要 因 背 景 項 目 zh mr vi ko es ms sl hu th 未 計 意 味 の 類 似 38 141 11 32 2 7 2 10 243 字 形 の 類 似 2 47 1 4 2 1 57 音 の 類 似 7 110 1 10 3 2 1 134 母 語 干 渉 45 6 1 5 1 58 レジスター 384 12 8 46 9 2 4 18 483 文 体 の 不 統 一 411 21 10 10 9 3 14 478 その 他 12 3 1 3 2 21 計 899 340 33 110 18 7 12 8 3 44 1474 られることがしばしばある 例 えば 日 本 語 で 理 解 と 表 現 する 場 合 に 中 国 語 では 了 解 と 表 現 することができる このような 場 合 学 習 者 は 日 本 語 のコンテクストの 中 に 母 語 の 意 味 と 合 致 する 語 を 挿 入 してしまう 日 本 語 において 理 解 と 了 解 は 意 味 的 に 類 似 してはいるが 使 い 分 けが 必 要 であることから ( 漢 語 の) 意 味 の 類 似 という 誤 用 タグ を 付 与 している この 例 は 中 国 語 からの 母 語 干 渉 と 重 なるものである 類 似 に 関 する 誤 用 の 中 で 字 形 の 類 似 や 音 の 類 似 では マラーティー 語 を 母 語 とする 学 習 者 の 誤 用 が 著 しく 多 くなっている これは マラーティー 語 では 作 文 を 収 集 した 多 くが 日 本 語 レベル 初 級 の 学 習 者 で 平 仮 名 片 仮 名 の 読 み 書 きも 不 十 分 であることに 加 えて 原 則 としてパソコンなどを 使 用 せず 手 書 きの 作 文 を 収 集 したことで 余 計 に 顕 著 な 傾 向 が 現 れたためといえる 実 際 は 字 形 の 類 似 と 音 の 類 似 は 相 互 的 であり どちらによるものかの 判 定 は 困 難 である 例 えば マラーティー 語 話 者 の 作 文 中 に 首 で 走 いて 道 を 歩 きなが ら という 誤 用 がある 首 は 道 という 字 形 の 誤 り 走 は 歩 の 字 形 の 誤 りで ある 直 接 学 習 者 にインタビューできないため 判 定 は 推 測 によることになるが 音 声 では みち あるいて と 認 識 していると 思 われる 上 級 者 で 日 本 語 の 音 声 を 正 確 に 習 得 して いない 場 合 があっても 漢 字 表 記 では 音 声 習 得 の 不 正 確 さは 顕 在 化 しないが 非 漢 字 圏 初 級 学 習 者 は 仮 名 表 記 をすることで 音 の 類 似 による 誤 用 が 顕 著 になっている その 他 の 母 語 については 中 上 級 の 学 習 者 で 構 成 されており 字 形 の 類 似 や 音 の 類 似 によ る 誤 用 はほとんど 見 られなくなる 意 味 の 類 似 による 誤 用 については 日 本 語 レベルが 上 がっても 中 国 語 や 韓 国 語 といった 漢 字 圏 の 学 習 者 を 中 心 に 散 見 されることと 対 照 的 である 3.2. 母 語 干 渉 中 国 語 を 母 語 とする 学 習 者 による 熟 語 の 誤 用 など 学 習 者 の 母 語 の 影 響 に 因 ると 考 えら れる 誤 用 が 該 当 する 類 似 の 場 合 と 同 様 に 代 表 的 な 誤 用 例 を 以 下 に 挙 げる 母 語 干 渉 十 月 一 日 午 後 わたしたちは 4 時 の 火 車 汽 車 に 乗 って ( 中 国 語 ) 母 語 干 渉 この 場 合 は 更 生 された 更 生 した 人 間 ならば 例 外 にしたいと 思 う ( 韓 国 語 ) 母 語 干 渉 は コーパス 全 体 でも 58 件 と 少 ないうえに そのうちのおよそ 8 割 は 中 国 語 を 母 語 とする 学 習 者 による 漢 字 選 択 の 誤 りである これは 中 国 語 を 母 語 とする 学 習 者 の 割 合 が 多 いこともあるが 日 本 語 教 師 が 添 削 する 際 に 母 語 干 渉 であると 判 断 できる 内 容 は 漢 5 zh: 中 国 語 mr:マラーティー 語 vi:ベトナム 語 ko: 韓 国 語 es:スペイン 語 ms: マレー 語 sl:スロベニア 語 hu:ハンガリー 語 th:タイ 語 未 : 母 語 未 入 力 309

字 圏 の 学 習 者 による 漢 字 選 択 の 誤 りに 限 定 されやすいためではないかと 考 える その 他 は 前 述 の 2 つ 目 に 挙 げた 誤 用 例 のように 韓 国 語 を 母 語 とする 学 習 者 が 自 動 詞 に される をつける 誤 りが 2 件 ほど 含 まれている 以 外 に 母 語 干 渉 と 一 概 には 言 えないものも 含 まれ ており 今 後 タグ 付 けした 日 本 語 教 師 への 確 認 および 必 要 ならば 修 正 を 行 う 予 定 である 3.3. レジスター 機 能 文 法 では 言 語 表 現 の 異 なりを 社 会 的 な 拘 束 力 をもつ 言 語 学 上 の 規 範 における 言 語 使 用 域 の 変 異 即 ち レジスター と 呼 び Halliday(2004)はレジスター 機 能 として 次 の 3 項 目 を 挙 げている (1)コミュニケーションの 目 的 と 主 題 に 関 わる フィールド (Field of discourse) (2)コミュニケーションを 行 うための 手 段 に 関 わる モード (Mode of discourse) (3)コミュニケーションパートナー 同 士 の 関 係 に 関 わる テナー (Tenor of discourse) 書 き 手 と 話 し 手 がどのような 関 係 で どのようコンテクストのもとで 発 話 するかによって それぞれ 異 なる 語 彙 文 法 項 目 で 記 述 されることを 示 すものである 学 習 者 作 文 においては 授 業 で 提 出 するレポート 内 で 話 し 言 葉 を 使 用 しているなど 場 にそぐわない 表 現 全 般 がレジスターの 誤 りに 該 当 する 現 時 点 でレジスターに 関 する 誤 り のタグは 483 件 あるが 話 し 言 葉 と 書 き 言 葉 の 違 いによるものが 大 部 分 である 類 似 の 場 合 と 同 様 に 代 表 的 な 誤 用 例 を 以 下 に 挙 げる レジスター1 少 子 化 のせいで ために これから 日 本 人 の 労 働 者 がだんだん 次 第 に 少 なくなります (ベトナム 語 ) レジスター2 文 章 を 読 んでいるとき とても 苦 しいですね ときどき 意 味 はちゃんと 十 分 に 理 解 できないこともありますよ ( 中 国 語 ) レジスター3 女 性 たちも 経 済 的 に 力 を 持 ち 始 め 徐 徐 に 平 等 に 向 けての 運 動 をやり 始 めた 始 めた ( 韓 国 語 ) レジスター1 の 例 では 理 由 や 原 因 を 示 す 接 続 表 現 に 主 観 的 な 意 味 を 含 む せい を 用 い ている アカデミックな 文 章 では 判 断 に 感 情 表 現 を 含 ませるのは 不 適 切 であり レジスタ ーの 誤 りと 判 断 される だんだん は 話 し 言 葉 であるため 書 きことばの 表 現 に 修 正 案 が 示 されている レジスター2 の 例 は 初 級 会 話 で 学 習 した 終 助 詞 が 使 用 されている 作 文 である 日 本 語 の 終 助 詞 は コミュニケーション 相 手 の 同 意 を 求 めるために 有 効 な 表 現 であるが アカデミ ックな 文 章 ではこの 種 の 表 現 を 使 用 しないことを 習 得 していない 例 である レジスター3 の 例 は ( 運 動 を)やり 始 める という 動 詞 が 話 し 言 葉 のなかでもくだけた 表 現 となっている 他 にも 次 のようなくだけた 表 現 の 作 文 がみられる これらの 表 現 は 初 級 教 科 書 でも 現 れないものであり 日 本 留 学 後 のコミュニケーションを 通 して 教 室 外 で 習 得 した 表 現 と 推 測 される レジスター4 しかし 伝 統 的 な 習 慣 とか などでは 女 性 が 不 平 等 な 目 に 会 うことが いまだにも 多 く 残 っている ( 韓 国 語 ) レジスター5 くじ 引 きで 日 本 語 クラスに 入 り 日 本 語 を 勉 強 し 始 りました うちの 私 たちのクラスで 10 人 がアメリカの 大 学 に 入 学 して 他 の 20 人 は 全 部 日 本 に 来 ました ( 中 310

国 語 ) レジスターの 誤 りは 前 述 の 類 似 の 誤 りとは 反 対 に 初 級 の 学 習 者 であるマラーティー 語 母 語 話 者 にはほとんどみられなかった これは 初 級 学 習 者 がレジスターを 使 い 分 けるに 至 っていない 点 にある 初 級 で 教 えられる 語 彙 および 教 材 の 構 成 からみると おおむね 話 し 言 葉 が 優 先 的 に 導 入 される そのため 日 本 語 教 師 のほうで 初 級 学 習 者 に 対 してはそこ までチェックせず 表 記 の 誤 りなどその 他 の 添 削 を 優 先 するということが 日 本 語 教 師 への インタビューから 明 らかになった レジスターが 問 題 になるのは このようなシラバスで 学 んできた 学 習 者 が 中 級 から 上 級 に 至 った 段 階 で レポートなどのアカデミックな 文 章 を 書 く 必 要 性 が 生 じる 場 合 である アカデミックな 文 章 では 学 習 者 は 話 し 言 葉 と 書 き 言 葉 を 区 別 して 書 き 分 けなければなら ないほか 作 文 全 体 を 通 して 文 体 の 統 一 も 図 らねばならない 次 の 例 は 作 文 中 での 文 体 の 不 統 一 による 誤 用 である 作 文 全 体 の 中 で 文 末 の 真 の 鍵 でしょう の 部 分 のみが 丁 寧 体 となっている である の 推 量 形 がわからないために でしょう にしたと 推 測 できる 誤 用 例 が 他 の 学 習 者 の 作 文 にも 散 見 する 文 体 の 不 統 一 現 状 がかえない どうしも 真 の 先 進 国 にならない 女 性 の 社 会 進 出 は 先 進 国 に 真 の 鍵 でしょう であろう ( 中 国 語 ) 以 上 のようなレジスターの 不 整 合 としての 誤 用 例 は 話 し 言 葉 による 会 話 場 面 を 中 心 と する 初 級 の 教 材 での 学 習 内 容 を 習 得 した 後 で 文 章 を 書 く 段 階 に 入 って 書 き 言 葉 のレジ スターの 知 識 が 不 足 しているためと 考 えられる 現 時 点 では このような 区 別 をレジスタ ーの 異 なりとして 体 系 的 に 教 える 教 材 はほとんどなく アカデミックな 表 現 が 必 要 な 上 級 レベルの 学 習 者 に 対 する 教 材 やコースウエアへの 対 応 が 十 分 でないと 推 測 できる 4. まとめと 今 後 の 課 題 本 稿 では 作 文 を 支 援 するシステムを 上 級 者 のみでなく 広 範 囲 の 学 習 者 にも 容 易 に 利 用 できるシステムを 目 指 し 学 習 者 作 文 コーパス なたね を 構 築 し 自 動 校 正 システムを 最 終 目 標 として そこに 見 られる 学 習 者 の 犯 しやすい 誤 用 を 分 析 し その 誤 用 の 要 因 や 背 景 を 考 察 した 誤 用 の 要 因 と 背 景 を 分 析 するために なたね に 収 録 されている 意 味 の 類 似 字 形 の 類 似 音 の 類 似 母 語 干 渉 レジスター の 誤 用 例 を 観 察 し 考 察 した 結 果 以 下 の ような 結 論 を 得 た (1) 字 形 の 類 似 音 の 類 似 による 誤 りは 非 漢 字 圏 初 級 学 習 者 の 例 に 多 く 見 られた 語 の 表 記 と 音 声 理 解 は 相 互 的 なものであり どの 母 語 の 学 習 者 にも 誤 った 理 解 はあ るが 特 に 非 漢 字 圏 初 級 学 習 者 は 漢 字 表 記 にハンディキャップがあるため 仮 名 表 記 を 使 用 することで 音 声 理 解 の 誤 りが 顕 在 化 していると 考 えられる (2) 意 味 の 類 似 による 誤 りの 中 で 漢 字 圏 学 習 者 によるものは 母 語 における 漢 語 の 意 味 と 日 本 語 における 意 味 の 異 同 によって 誤 ることがあり 母 語 干 渉 の 影 響 もある と 考 えられる (3) 母 語 干 渉 は 語 の 意 味 の 類 似 によるものが 多 く 見 られ 構 文 的 なものもわずか であるが 見 られた 311

(4) レジスター の 誤 用 は 初 級 レベルではほとんどタグが 付 けられていない その 理 由 は 初 級 学 習 者 の 語 彙 表 現 の 学 習 範 囲 が 話 し 言 葉 中 心 であり レジスターの 違 いを 示 すバリエーションがないことから 誤 用 としてタグを 付 けられないためで ある 一 方 上 級 者 では 話 し 言 葉 によって 学 んだ 日 本 語 の 知 識 で アカデミック な 文 章 を 書 く 段 階 になって レジスターの 知 識 が 不 十 分 であるために 不 適 切 な 表 現 が 散 見 されることになる 文 体 の 不 統 一 についても 文 法 的 な 知 識 の 不 足 が 影 響 し ている 部 分 があると 考 えられる 上 級 学 習 者 は 初 級 で 学 んだ 話 し 言 葉 に 加 えて アカデミックな 書 き 言 葉 さらに 高 度 な フォーマルな 話 し 言 葉 手 紙 などのフォーマルな 書 き 言 葉 表 現 など 様 々なバリエーション を 習 得 する 必 要 が 生 じてくる これらの 表 現 を 教 室 の 授 業 だけで 学 ぶには 時 間 的 制 限 も あり 習 熟 することは 困 難 である 我 々の 今 後 の 課 題 としては さらに 学 習 者 データを 追 加 し 不 適 切 な 表 現 を 分 析 するこ とで 学 習 者 に 必 要 な 適 切 な 文 章 表 現 の 提 示 を 可 能 にするシステムを 目 指 す 必 要 がある 謝 辞 本 研 究 は 文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究 (C) 日 本 語 作 文 支 援 システムで 考 慮 すべき 学 習 者 属 性 情 報 と 提 示 項 目 の 分 析 研 究 ( 研 究 代 表 者 : 阿 辺 川 武 研 究 期 間 :2012 年 4 月 ~2015 年 3 月 )および 同 補 助 金 挑 戦 的 萌 芽 研 究 日 本 語 学 習 者 誤 用 コーパスを 利 用 し た 作 文 システムの 開 発 ( 研 究 代 表 者 : 仁 科 喜 久 子 研 究 期 間 :2010 年 4 月 ~2013 年 3 月 ) による 助 成 を 得 て 実 施 しています 参 考 文 献 仁 科 喜 久 子 村 岡 貴 子 因 京 子 Joyce Terence Andrew 鎌 田 美 千 子 阿 辺 川 武 (2011) バ ランス コーパス 利 用 による 日 本 語 作 文 支 援 システム なつめ の 構 築 と 評 価 特 定 領 域 研 究 日 本 語 コーパス 平 成 22 年 度 公 開 ワークショップ( 研 究 成 果 報 告 会 ) 予 稿 集 pp.215-224. Hodošček Bor 阿 辺 川 武 Bekeš Andrej 仁 科 喜 久 子 (2011) レポート 作 成 のための 共 起 表 現 産 出 支 援 作 文 支 援 ツール なつめ の 使 用 効 果 専 門 日 本 語 教 育 研 究 13 号 pp.33-40. 曹 紅 荃 八 木 豊 黒 田 史 彦 仁 科 喜 久 子 (2012) 学 習 者 コーパス なたね の 構 築 と 応 用 の 可 能 性 第 5 回 日 本 語 教 育 とコンピュータ 国 際 会 議 (Castel/J) Halliday M.A.K. and C.M.I.M. Matthiessen (2004). An Introduction to Functional Grammar. 3rd ed. London: Arnold 仁 科 喜 久 子 監 修 (2012) 日 本 語 学 習 支 援 の 構 築 言 語 教 育 コーパス システム 開 発 凡 人 社 八 木 豊 ホドシチェク ボル 仁 科 喜 久 子 (2012) BCCWJ と 学 習 者 作 文 コーパスを 利 用 した 日 本 語 作 文 支 援 - 表 記 と 共 起 に 関 する 誤 用 添 削 プロトタイプ 構 築 - 第 1 回 コーパ ス 日 本 語 学 ワークショップ 予 稿 集 pp.315-320. 312