図 1 アクアポリンの 構 造 アクアポリンはアミノ 酸 にして 300 以 下 の 短 い 1 本 の ポリペプチド 鎖 からなり, 細 胞 膜 を 6 回 貫 通 する.N 末 端 と C 末 端 はいずれも 細 胞 内 に 伸 びている. 細 胞 内 の loopbと 細 胞 外 の loopeには,アスパラギン プ ロリン アラニン(アミノ 酸 の 一 文 字 表 記 により NPA)からなる 保 存 された 領 域 (NPAボックス)が ある. 文 献 21から 転 載.
図 2 腎 臓 のアクアポリン A: 尿 細 管 および 集 合 管 におけるアクアポリンの 分 布 の 模 式 図.APM 頂 部 ( 管 腔 側 ) 細 胞 膜,BLM 基 底 側 壁 部 細 胞 膜,CYT 細 胞 内 コンパートメント.B: 近 位 尿 細 管 の 管 腔 側 細 胞 膜 および 基 底 側 壁 部 細 胞 膜 に 局 在 する AQP1( 赤 ). 青 は 核.スケールバーは 10 μm.c: 髄 質 集 合 管 の 管 腔 側 に 局 在 する AQP2( 赤 ) と, 基 底 側 壁 部 細 胞 膜 に 局 在 する AQP3( 緑 ). 青 は 核.スケールバーは 10 μm.d,e:ラットに 多 量 の 水 を 摂 取 させ, 血 中 バソプレッシン 濃 度 を 低 下 させた 状 態 (D)と, 多 量 の 水 を 摂 取 させた 後 にバソプレッ シンを 投 与 して 1 時 間 後 (E)の 髄 質 集 合 管 の AQP2 細 胞 内 分 布 の 変 化.Dでは 細 胞 内 に,Eでは 管 腔 側 細 胞 膜 により 多 く AQP2が 分 布 する.スケールバーは 5μm.F:バソプレッシンによる AQP2トラフィッ キングのメカニズム.バソプレッシン(VP)が 基 底 側 壁 部 細 胞 膜 に 分 布 する V2 受 容 体 に 結 合 すると,ア デニル 酸 シクラーゼ(AC)を 介 して AMPが 上 昇 し,プロテインキナーゼ A(PKA)によって AQP2が リン 酸 化 (P)される.リン 酸 化 された AQP2は 管 腔 側 細 胞 膜 へトラフィッキングされる. 管 腔 側 細 胞 膜 からエンドサイトーシスによって 細 胞 内 へ 取 り 込 まれた AQP2は,EEA1 陽 性 のエンドソームを 経 由 し て,Rab11 陽 性 の 貯 蔵 コンパートメントへ 戻 る.
日医大医会誌 2009; 5 2 123 図 3 ラット上皮組織における AQP3の分布 A D AQP3 赤 および核 青 の蛍光像を微分干渉像に重ねて示した A 膀胱 上皮細胞の細胞膜に AQP3が局在する 矢印 が 最表層に位置する細胞には分布しない 矢尻 スケールバーは 2 0μm B 気管 多列線毛上皮の基底細胞の細胞膜に AQP3が局在する 矢印 スケールバーは 1 0μm C 皮膚 表皮の基底層 から中間層にかけての細胞の細胞膜に AQP3が局在する 表面を覆う角質層 の細胞には分布しない スケー ルバーは 2 0μm D 発生に伴う皮膚の AQP3の変化 胎生 1 5日 D1 では表皮に AQP3が検出されないが 胎生 1 8日 D2 および生後 4日 D3 では表皮に AQP3の発現がみられる スケールバーは 2 0μm E ラッ ト上皮組織における AQP3の分布の模式図 赤で示した上皮に AQP3の発現がみられる 文献 2 1から転載 るものと考えられる 後に作製された AQP3 ノック アウトマウスでは 表皮のグリセロール保持量が低下 し結果的に水保持量も低下することが報告され AQP 3 が表皮に水 またはグリセロールを供給しているこ とが裏付けられた23. 2 外分泌腺に広く分布する AQP5 ヒトでは 1 日あたり約 1.5 リットルにも及ぶ唾液の 分泌がおこなわれている その唾液腺からは AQP5 がクローニングされた 特異抗体を用いた検討で AQP5 は唾液腺をはじめ外分泌腺に広く分布している ことが判明した ラット耳下腺 図 4 顎下腺 舌 下腺 および口腔内の小唾液腺では AQP5 は腺房細 胞の頂部細胞膜に分布している24,25 これら AQP5 は 唾液中の水の分泌に重要な役割を果たすと考えられ る また 顎下腺では腺房細胞に加え 介在部導管の 頂部細胞膜にも多くの AQP5 が 分 布 す る こ と が わ 図 4 ラット耳下腺における AQP5の局在 赤が AQP5 緑がタイトジャンクションを構成する o l udi n 青が核を示す AQP5は o l udi nに沿うよ うに 腺房細胞の頂部細胞膜に局在する 矢印 矢 尻は導管を示す スケールバーは 1 0μm 文献 2 4か ら許可を得て転載