利 用 者 の 身 だしなみをきちんと 整 える 東 大 和 療 育 センター ( 全 国 重 症 心 身 障 害 児 ( 者 )を 守 る 会 指 定 管 理 ) -63-
テーマ 名 利 用 者 の 身 だしなみをきちんと 整 える 東 京 都 立 東 大 和 療 育 センター サークル 名 身 だしなみ 整 え 隊 メンバー 名 生 活 支 援 科 佐 藤 紀 子 髙 井 直 人 看 護 科 林 美 和 子 1 テーマ 選 定 理 由 当 センターの 利 用 者 は 自 ら 身 だしなみを 整 えることができない 方 がほとんどであり 職 員 により 行 っている 身 だしなみを 整 えることは 基 本 的 なケアであるが 職 員 にとっては 痰 の 吸 引 や 服 薬 食 事 排 泄 等 のケアが 優 先 さ れやすく 身 だしなみが 十 分 に 整 えられていない 実 情 があると 感 じていた こうした 状 況 を 見 逃 すと 利 用 者 の 不 快 感 や 不 潔 感 につながるばかりでなく ケアの 質 を 問 われることとなる そこで カンファレンスを 通 して 身 だしな みの 実 情 を 共 通 の 認 識 とするとともに 要 因 を 探 り 改 善 策 を 提 案 して 利 用 者 の 身 だしなみがきちんと 整 えられる よう 取 り 組 むこととした 2 現 状 と 問 題 点 現 在 身 だしなみを 整 えるモーニングケアを 行 った 後 にもかかわらず 髭 の 剃 り 残 しがみられたり 目 やにが ついていたりしている 場 合 がある また 食 事 水 分 摂 取 後 に 増 粘 剤 によって 口 元 が 汚 れている 時 があるなど 利 用 者 の 身 だしなみに 着 目 した 改 善 を 図 る 必 要 性 が 生 じている 3 改 善 策 (1) 実 態 調 査 利 用 者 の 身 だしなみに 関 する3 項 目 (1 髭 の 剃 り 残 しがある 2 目 やにがついている 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある)について 病 棟 長 期 利 用 者 23 名 の 中 からそれぞれの 状 態 が 頻 繁 にみられる 利 用 者 を 選 定 し モーニングケア 後 の 時 間 帯 に 実 態 調 査 を 延 べ 18 日 間 行 った (2) 要 因 の 分 析 と 改 善 策 の 考 案 要 因 の 分 析 を 行 い 改 善 策 として 考 案 したものを 調 査 結 果 とともに 資 料 として 提 示 しながら 職 員 間 でカン ファレンスを 実 施 した カンファレンスでは 提 案 した 資 料 以 外 に 考 えられる 要 因 や 改 善 策 等 を 聞 いた カン ファレンスでの 意 見 を 基 に 再 度 改 善 策 を 考 案 し 職 員 に 提 示 した (3) 改 善 策 実 施 後 の 実 態 調 査 改 善 策 を 提 示 して 実 施 した 後 改 善 策 実 施 前 と 同 様 の 方 法 で 再 度 実 態 調 査 を 延 べ 18 日 間 行 った 4 結 果 1 髭 の 剃 り 残 しがある(2 名 ):2 名 ともに 半 分 程 に 減 った 2 目 やにがついている(3 名 ):2 名 は 半 分 程 に 1 名 はわずかであるが 減 った 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある(2 名 )2 名 ともにほとんど 口 元 の 汚 れは 見 られなくなった 5 今 後 の 取 り 組 み 今 回 の 取 り 組 みにより 利 用 者 の 身 だしなみについての 改 善 を 進 めることができたが 不 十 分 な 状 態 を 完 全 に 無 くすことはできなかった 今 回 の 取 り 組 みでは 不 十 分 であった 点 として 考 えられることは 3つある 1つ 目 は 様 々な 職 員 が 実 施 しているため 人 によってのばらつきが 大 きいという 点 2つ 目 は 職 員 間 でのカンファ レンスを 行 うことで 身 だしなみに 関 する 意 識 を 高 められると 考 えていたが 短 期 間 では 難 しかったという 点 であ る これらの 点 については 定 期 的 に 身 だしなみの 質 を 点 検 する 機 会 を 設 け 繰 り 返 し 意 識 の 高 揚 を 図 っていき たい 3つ 目 は 利 用 者 から 不 快 感 等 を 訴 えられることがほとんどないという 点 である 利 用 者 がどう 感 じてい るかという 点 について より 深 く 思 いを 巡 らせていかねばならないと 考 え 今 後 も 根 気 強 く 取 り 組 んでいきたい -65-
テーマ 名 東 京 都 立 東 大 和 療 育 センター 利 用 者 の 身 だしなみをきちんと 整 える サークル 名 身 だしなみ 整 え 隊 メンバー 名 生 活 支 援 科 佐 藤 紀 子 髙 井 直 人 看 護 科 林 美 和 子 1 テーマ 選 定 理 由 当 センターの 利 用 者 は 自 ら 身 だしなみを 整 えることができない 方 がほとんどであり 職 員 により 行 っている 身 だしなみを 整 えることは 基 本 的 なケアであるが 職 員 にとっては 痰 の 吸 引 や 服 薬 食 事 排 泄 等 のケアが 優 先 さ れやすく 身 だしなみが 十 分 に 整 えられていない 実 情 があると 感 じていた こうした 状 況 を 見 逃 すと 利 用 者 の 不 快 感 や 不 潔 感 につながるばかりでなく ケアの 質 を 問 われることとなる そこで カンファレンスを 通 して 身 だしな みの 実 情 を 共 通 の 認 識 とするとともに 要 因 を 探 り 改 善 策 を 提 案 して 利 用 者 の 身 だしなみがきちんと 整 えられる よう 取 り 組 むこととした 2 現 状 と 問 題 点 現 在 身 だしなみを 整 えるモーニングケアを 行 った 後 にもかかわらず 髭 の 剃 り 残 しがみられたり 目 やにが ついていたりしている 場 合 がある また 食 事 水 分 摂 取 後 に 増 粘 剤 によって 口 元 が 汚 れている 時 があるなど 利 用 者 の 身 だしなみに 着 目 した 改 善 を 図 る 必 要 性 が 生 じている 3 改 善 策 (1) 実 態 調 査 [ 平 成 24 年 7 月 16 日 ~8 月 14 日 ] 病 棟 職 員 ( 看 護 科 24 名 生 活 支 援 科 8 名 の 計 32 名 )に 今 回 の 取 り 組 みについて 口 頭 説 明 を 行 い 利 用 者 の 身 だしなみに 関 する 以 下 の3 項 目 について 病 棟 長 期 利 用 者 23 名 の 中 からそれぞれの 状 態 が 頻 繁 にみられ る 利 用 者 を 選 定 し モーニングケア 後 の 時 間 帯 に 実 態 調 査 を 延 べ 18 日 間 行 った 1 髭 の 剃 り 残 しがある(Aさん Bさんの2 名 ) 2 目 やにがついている(Cさん Dさん Eさんの3 名 ) 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある(Fさん Bさんの2 名 ) 調 査 結 果 は 以 下 の 通 りであった 身 だしなみが 十 分 に 整 えられて 項 目 利 用 者 名 いない 日 数 ( 延 べ 18 日 間 中 ) 1 髭 の 剃 り 残 しがある 2 目 やにがついている 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある Aさん 10 日 Bさん 3 日 Cさん 18 日 Dさん 4 日 Eさん 14 日 Fさん 2 日 Bさん 7 日 (2) 要 因 の 分 析 と 改 善 策 の 考 案 要 因 の 分 析 を 行 い 改 善 策 として 考 案 したものを 調 査 結 果 とともに 資 料 として 提 示 しながら 職 員 間 でカン ファレンスを 実 施 した 計 6 回 実 施 し 延 べ 26 名 が 参 加 した カンファレンスでは 提 案 した 資 料 以 外 に 考 えられる 要 因 や 改 善 策 等 を 聞 いた カンファレンスでの 意 見 をもとに 再 度 改 善 策 を 考 案 し 職 員 に 提 示 した -66-
1 髭 の 剃 り 残 しがある 要 因 改 善 策 電 気 シェーバーの 正 しい 使 用 方 法 について 女 性 職 員 はもとより 男 性 職 員 であっても 手 剃 りしか 行 わない 職 員 も 多 くよくわかっていない 髭 の 特 性 や 電 気 シェーバーの 使 用 方 法 について の 顎 下 の 髭 の 向 きが 様 々で 剃 りづらい 学 習 会 を 開 催 し 適 切 な 使 用 方 法 を 習 得 する 皮 膚 を 傷 つけてしまいそうで 鼻 の 下 や 顎 下 はし ( 詳 細 は 下 記 1 参 照 ) っかり 剃 れない 髭 が 濃 く 剃 っているうちに 皮 膚 が 赤 くなってき てやめてしまうことがある 頬 に 胃 管 チューブの 固 定 テープがあり その 周 囲 テープに 代 わる 適 切 な 固 定 方 法 がないため 小 刻 みに は 剃 りにくい 動 かしながら 丁 寧 に 剃 る ( 1) 病 棟 で 使 用 している 電 気 シェーバーメーカー2 社 に 講 師 依 頼 を 打 診 し 1 社 より 承 諾 を 得 た 学 習 会 では 業 者 の 方 からスライドと 実 演 自 己 体 験 等 を 通 して 適 切 な 電 気 シェーバーの 使 用 方 法 につい て 以 下 のことを 学 んだ 当 病 棟 からは 32 名 中 11 名 が 参 加 し 終 了 後 は 資 料 を 提 示 して 参 加 できなかった 人 にも 伝 わるようにした 電 気 シェーバーの 種 類 で 刃 のタイプが 往 復 式 の 物 は 一 方 向 のみに 剃 る 必 要 はなく 往 復 して 剃 ることが できる 髭 の 生 え 方 として 顎 下 と 喉 は 髭 の 角 度 が 25 度 以 下 と 寝 ており さらに 顎 下 は 密 集 して 様 々な 毛 流 れのパ ターンになっていることから 最 も 剃 りにくく 剃 り 残 しが 多 い 部 分 である 顎 下 や 喉 を 剃 る 時 のポイントは 皮 膚 を 引 っ 張 りながら 髭 が 立 つようにして 剃 ったり 様 々な 方 向 に 電 気 シェーバーを 往 復 させたりすることである 電 気 シェーバーを 皮 膚 に 当 てる 強 さの 基 準 は 200g 程 度 で シェーバーの 重 さ 位 である よって 力 を 入 れ る 必 要 はなく 軽 く 触 れる 程 度 で 十 分 である 髭 が 濃 いからといって 必 要 以 上 に 力 を 入 れる 必 要 はない 2 目 やにがついている 要 因 改 善 策 現 在 使 用 しているスティックタオルでは 柔 らか モーニングケアセットの 中 にスティックタオルより く 水 分 量 が 少 ないため 拭 き 取 りにくい も 水 分 量 の 多 いウェットコットンも 入 れる ( 詳 細 は 下 記 2 参 照 ) 固 く 乾 いた 目 やにが 多 いとやりすぎて 赤 くなっ 固 く 乾 いた 目 やには 少 しふやかしてから 丁 寧 に 取 り てしまうため 完 全 に 取 りきれない 除 く しっかりと 目 を 開 かないため 目 やにに 気 づいて 目 は 片 目 ずつ 開 いて 目 頭 から 目 尻 へゆっくりと 拭 いない 場 合 や 目 やにが 気 にならない 場 合 がある く 目 を 強 く 閉 じているので 開 くことが 難 しい 目 やにが 多 いため きちんと 拭 いても 時 間 が 経 過 モーニングケアを 適 切 に 実 施 した 後 の 目 やにについ すると 再 度 出 てくる ては 気 がついた 時 点 でケアを 行 う ( 2)モーニングケアセットとして スティックタオルの 他 電 気 シェーバー プレシェーブジェル 等 を 収 納 していたBOXを 以 下 のように 改 良 した -67-
ウ ェ ッ ト コ ッ ト ン 収 納 品 ごとの 仕 切 りを 明 確 にし 新 たにウェットコットンを 収 納 した 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある 要 因 摂 取 時 に 口 元 からこぼれることが 多 く スプーン ですくっているうちに 汚 れることが 多 い 摂 取 直 後 の 濡 れている 状 態 では 視 覚 的 にわかり にくく 乾 くと 増 粘 剤 が 浮 き 出 てくる 摂 取 後 乾 いたフェイスタオルやサルバタオルで 拭 くことが 多 いため しっかりと 拭 き 取 れない 摂 取 後 に 拭 いていても 動 いたりすることで 口 腔 内 残 渣 が 出 てくる 場 合 がある 改 善 策 摂 取 後 は 湿 性 のあるスティックタオルでしっかりと 拭 き 取 る 水 分 時 も 水 分 を 載 せるトレーにスティック タオルを 載 せていき 摂 取 後 にしっかりと 拭 き 取 る 口 元 の 汚 れに 気 づいたらすぐに 拭 き 取 る (3) 改 善 策 実 施 後 の 実 態 調 査 [ 平 成 24 年 10 月 2 日 ~10 月 30 日 ] 改 善 策 を 提 示 して 実 施 するよう 呼 びかけた 後 改 善 策 実 施 前 と 同 様 の 方 法 で 再 度 実 態 調 査 を 延 べ 18 日 間 行 った 4 結 果 1 髭 の 剃 り 残 しがある Aさん Bさんともに 半 分 程 に 減 った 改 善 前 改 善 後 -68-
2 目 やにがついている Cさん Eさんについては 半 分 程 に Dさんについてはわずかであるが 減 った 改 善 前 改 善 後 3 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れがある Fさん Bさんともにほとんど 口 元 の 汚 れは 見 られなくなった 改 善 前 改 善 後 5 今 後 の 取 り 組 み 今 回 の 取 り 組 みにより 髭 の 剃 り 残 しや 目 やに 増 粘 剤 による 口 元 の 汚 れといった 状 態 を 減 らすことができ た 後 日 談 として この 取 り 組 みの 詳 細 を 伝 え 聞 いていなかった 主 治 医 より ある 利 用 者 の 口 元 に 流 延 がみられ た 時 に 職 員 がみつけるとすぐに 拭 き 取 る 姿 がみられたというお 話 があり 取 り 組 みによる 意 識 の 変 化 の 一 端 で はないかと 感 じた しかし 身 だしなみが 十 分 でない 状 態 を 完 全 に 無 くすことはできていないため 継 続 した 取 り 組 みが 必 要 で ある 今 回 の 取 り 組 みでは 不 十 分 であった 点 として 考 えられることは 3つある 1つ 目 は 交 代 制 勤 務 である ことから 様 々な 職 員 が 実 施 しているため 人 によってのばらつきが 大 きいという 点 である 2つ 目 は 取 り 組 み の 方 法 として 職 員 間 でのカンファレンスを 行 うことで 利 用 者 の 身 だしなみに 関 する 意 識 を 高 められると 考 え ていたが 短 期 間 では 職 員 全 体 へ 周 知 していくことが 難 しかったという 点 である これらの 点 については 定 期 的 に 身 だしなみの 質 を 点 検 する 機 会 を 設 け 繰 り 返 し 意 識 の 高 揚 を 図 っていきたいと 考 えている 3つ 目 は 利 用 者 から 不 快 感 等 を 訴 えられることがほとんどないという 点 である 不 快 感 を 伝 えてもらうこ とで 気 づけることも 多 いと 考 えるが それがほとんどないということは 利 用 者 がどう 感 じているかという 点 に ついて より 深 く 思 いを 巡 らせていかねばならないと 考 える これは 身 だしなみに 関 わらず 全 てのケアにおい て 求 められていることであり そのためには 自 分 たちのケアを 振 り 返 るということが 重 要 である 今 後 も 利 用 者 の 快 適 性 を 大 切 にした 良 質 なケアが 提 供 できるよう 根 気 強 く 取 り 組 んでいきたいと 考 えている -69-