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Transcription:

ハートクリニック 大 船 家 族 教 室 統 合 失 調 症 について 2011 年 8 月 7 日

目 次 1. 統 合 失 調 症 の 基 礎 知 識 2. 統 合 失 調 症 の 症 状 と 経 過 3. 治 療 のながれ 4.ご 家 族 の 対 応 と 協 力

1. 統 合 失 調 症 の 基 礎 知 識

約 100 人 に 一 人 の 割 合 で 発 症 します 全 国 で60 万 人 近 い 患 者 さんが 治 療 を 受 けています かつては 特 別 な 病 気 と 考 えられていましたが 病 気 や 治 療 に 関 する 研 究 の 進 んだ 現 在 では 治 療 可 能 な 脳 の 病 気 と 考 えられるようになりました 早 期 に 専 門 医 の 診 察 を 受 けて 適 切 な 治 療 を 行 うこ とにより 多 くの 患 者 さんは 自 立 した 社 会 生 活 をおく ることが 可 能 です

統 合 失 調 症 の 原 因 は 一 つだけではなく さま ざまな 要 因 が 絡 み 合 って 発 症 します 人 は 生 まれながらにしてストレスにもろい 脳 と ストレスに 強 い 脳 をもっている 人 がいます 統 合 失 調 症 は 患 者 さんのうけたストレスが も ろさ の 限 界 を 超 えたときに 発 病 すると 考 えら れています この 病 気 は 決 して 育 て 方 や 家 庭 環 境 が 原 因 で 発 病 するわけではありません また 直 接 的 に 遺 伝 する 病 気 でもありません

生 まれながらの 素 因 + 脳 へのストレス 発 症 (ストレスに 対 するもろさ) 一 卵 性 双 生 児 で 一 方 が 統 合 失 調 症 の 場 合 に もう 一 方 に 発 症 する 確 率 は 約 5 割 といわれて おり 素 因 は 発 症 に 関 与 するが 全 てではない と 考 えられています

統 合 失 調 症 の 原 因 脳 内 には ドパミン セロトニン ノルアド レナリン グルタミン 酸 などの 神 経 伝 達 物 質 が 存 在 します 神 経 伝 達 物 質 のバ ランスがくずれることで 統 合 失 調 症 が 発 症 するという 説 があります 統 合 失 調 症 に 使 用 する 薬 剤 は このバランスをと とのえることで 効 果 を 発 揮 します

統 合 失 調 症 の 診 断 近 赤 外 光 脳 血 流 装 置 (NIRS)など 脳 画 像 に よる 診 断 を 目 指 そうという 研 究 もありますが 現 状 では 研 究 段 階 です 診 断 はあくまで 医 師 の 問 診 によりおこないます

2. 統 合 失 調 症 の 症 状 と 経 過

大 きくわけると 陽 性 症 状 と 陰 性 症 状 に わかれます 陽 性 症 状 通 常 ないものが 存 在 する 症 状 で 発 病 後 ま もない 急 性 期 や 再 発 時 によくみられる 症 状 陰 性 症 状 通 常 あるものが 存 在 しない 症 状 で 消 耗 期 や 回 復 期 に 目 立 つ 慢 性 の 症 状

陽 性 症 状 幻 覚 ( 幻 聴 ) 実 際 にないものが 見 えたり 聞 こえたりする 被 害 妄 想 悪 口 を 言 われている 見 張 られているなど 実 際 にはありえ ないことを 信 じる 思 考 の 混 乱 ものごとを 正 確 に 判 断 理 解 できない 支 離 滅 裂 な 会 話 感 情 の 不 安 定 さ 強 い 焦 燥 感 興 奮 攻 撃 的 衝 動 的 行 動

陰 性 症 状 感 情 の 低 下 周 囲 に 対 して 無 関 心 表 情 や 声 の 感 情 表 出 が 乏 しくなる 意 欲 低 下 注 意 力 集 中 力 が 続 かない 身 だしなみに 無 関 心 になる 思 考 と 会 話 の 貧 困 コミュニケーション 能 力 の 欠 如 社 会 的 ひきこもり 快 感 消 失 非 社 交 性 娯 楽 への 関 心 や 対 人 関 係 の 欠 如

統 合 失 調 症 の 症 状 は 長 い 経 過 で 推 移 し 時 期 によって 症 状 が 変 化 する 傾 向 があります 多 くの 場 合 陽 性 症 状 から 出 現 し 治 療 をえ て 陰 性 症 状 が 目 立 つようになります 陰 性 症 状 は 急 速 な 回 復 は 容 易 ではなく じっくりと 病 気 にむきあいながら 症 状 改 善 や 社 会 適 応 の 改 善 を 目 指 す 必 要 があります

経 過 前 駆 期 前 兆 となる 自 覚 症 状 が 発 現 する 時 期 急 性 期 思 考 の 混 乱 や 興 奮 など 激 しい 症 状 が 発 現 する 時 期 消 耗 期 急 性 期 の 激 しい 症 状 で 消 耗 したエネルギーを 蓄 える 時 期 回 復 期 ゆっくりと 回 復 に 向 かう 時 期

前 駆 期 仕 事 や 学 業 家 事 などで 壁 にぶつかっているよ うな 感 じがして 自 分 に 自 信 がもてなくなり 漠 然 とした 不 安 感 や 焦 りに 襲 われます 不 眠 や 頭 痛 動 悸 などさまざまな 身 体 の 不 調 を 訴 える 場 合 もあります 特 に 理 由 もなく 仕 事 や 学 校 を 休 んだり 人 を 避 けて 自 宅 に 引 きこもろう とすることで 異 常 に 気 付 かれることがあります

急 性 期 現 実 にはない 声 が 聞 こえたり( 幻 聴 ) 誰 かに 監 視 されている 狙 われているといった 妄 想 が 現 れ 極 度 な 不 安 や 恐 怖 感 を 感 じます いらいらして 落 ちつかなくなったり 興 奮 する 人 もいれば 1 日 中 閉 じこもって 独 り 言 を 言 った り 一 人 でにやにや 笑 うなど 誰 の 目 にも 明 ら かなおかしな 行 動 がみられる 人 もいます 家 族 の 方 が 異 常 に 気 付 き 病 院 を 受 診 されるの もこの 時 期 がほとんどです

消 耗 期 急 性 期 の 症 状 が 落 ち 着 いた 頃 から 疲 労 感 が 強 い 身 体 が 重 くて 気 だるいといった 無 気 力 な 状 態 が 目 立 つようになり 睡 眠 もだらだらと 長 くなります これは 急 性 期 に 消 耗 したエネルギーを 充 電 するため に 脳 が 休 息 している 状 態 で 回 復 に 向 かう 過 程 でみ られる 状 態 です まだまだ 不 安 定 な 時 期 で 強 いス トレスなどによって 再 発 するリスクも 高 く 患 者 さんを あせらせないことが 重 要 です

回 復 期 少 しずつ 睡 眠 時 間 が 短 縮 し 活 動 性 も 増 加 し 会 話 も 増 えてきます この 頃 になると 多 少 の ストレスにも 耐 えられるようになります 回 復 のスピードはゆっくりですが 焦 らずに 治 療 と 援 助 を 続 けることが 大 切 です

3. 治 療 のながれ

薬 物 療 法 精 神 療 法 リハビリテーション 統 合 失 調 症 では 薬 物 療 法 が 治 療 の 中 心 にな ります 症 状 によって 精 神 療 法 やリハビリ テーションも 並 行 しておこなわれます

薬 物 療 法 統 合 失 調 症 の 治 療 には 抗 精 神 病 薬 を 使 用 します 主 な 作 用 幻 聴 や 妄 想 など 陽 性 症 状 を 改 善 無 気 力 活 動 性 の 低 下 など 陰 性 症 状 を 改 善 主 な 副 作 用 錐 体 外 路 症 状 : 手 のふるえ 身 体 が 落 ち 着 きなく 動 く 足 がむずむずする 自 律 神 経 症 状 : 口 の 乾 き 便 秘 尿 が 出 にくい その 他 : 体 重 増 加 月 経 不 順 高 血 糖 など

薬 物 療 法 作 用 や 副 作 用 について それぞれの 薬 剤 の 特 徴 を 考 慮 しながら 薬 剤 の 選 択 をおこない ます 用 量 についても 状 態 をみながら 調 節 します 一 つの 薬 剤 で 効 果 がなかったり 副 作 用 が 強 い 場 合 にも 別 の 薬 剤 に 変 更 すると 上 手 くい くことがあります

薬 物 療 法 薬 剤 は 効 果 がでたときほど 継 続 が 重 要 にな ります 統 合 失 調 では 薬 剤 の 使 用 ですっかり 症 状 がよくなった 場 合 でも 服 用 を 中 止 すると 1 年 以 内 に70-80%のかたが 再 発 するという 報 告 があります

精 神 療 法 患 者 さんの 心 の 安 定 をはかるための 心 理 精 神 的 なサポートをおこないます 医 師 との 面 接 を 通 して 自 分 の 症 状 や 病 気 に 対 する 理 解 を 深 めることができます

精 神 療 法 における 医 師 の 役 割 患 者 さんの 悩 みや 心 配 事 などの 訴 えに 耳 を 傾 け 一 緒 に 考 える 病 気 の 特 徴 や 治 療 法 取 り 組 み 方 などを 説 明 する 患 者 さんに 安 心 感 を 与 える

精 神 療 法 の 患 者 さんへの 効 果 不 安 が 解 消 され 精 神 的 な 安 定 が 得 られるよ うになる

リハビリテーション 対 人 関 係 やストレスへの 対 処 法 を 学 び 日 常 生 活 や 社 会 生 活 への 適 応 力 を 回 復 させるための プログラム 急 性 期 の 激 しい 症 状 が 落 ち 着 いた 後 に 患 者 さんの 回 復 過 程 に 応 じて 行 われます

消 耗 期 ~ 回 復 期 前 期 まだエネルギーを 充 電 している 時 期 なので あまり 無 理 をかけると 逆 効 果 です 休 養 を 優 先 させることが 多 いです リハビリテーション をおこなう 場 合 も 対 人 関 係 の 刺 激 の 少 ない 少 人 数 のものを 行 います( 作 業 療 法 レクリエー ション 療 法 )

回 復 期 後 期 ある 程 度 回 復 してくると 少 しずつ 刺 激 を 増 やし ていきます グループ 活 動 を 通 して 対 人 関 係 の 練 習 をし 社 会 生 活 に 慣 れていくようにします (デイケア 社 会 技 能 訓 練 (SST)など)

日 常 生 活 で 気 をつけたいこと 再 発 を 予 防 することが 大 切 です 定 期 的 な 通 院 を 忘 れない 薬 をきちんと 服 用 するようにしましょう 小 さなステップで 少 しずつ 社 会 復 帰 を 目 指 しましょう 焦 ったり 無 理 をしないようにしましょう 好 きなこと 出 来 ることから 少 しずつ 始 めましょう 音 楽 を 聴 く テレビを 見 る 雑 誌 や 新 聞 を 読 んでみる 簡 単 な 買 い 物 など 外 出 してみる 親 しい 友 人 と 会 っ てみる

患 者 さんの20~30%は 社 会 生 活 に 支 障 の ない 程 度 まで 回 復 治 癒 します 更 に 軽 度 の 症 状 が 残 るもののだいたい 発 症 前 と 同 じような 生 活 ができる 人 も 含 めると 患 者 さんの3/4は 良 好 な 状 態 まで 回 復 します

再 発 を 予 防 するために 気 をつけること 回 復 を 焦 らない 焦 らせないこと 回 復 までは 良 くなったり 悪 くなったりを 繰 り 返 し ながら 少 しずつ 安 定 していきます 自 己 判 断 で 服 薬 をやめないこと 再 発 を 防 ぐためには 医 師 の 指 示 通 り 服 薬 を 継 続 することが 大 切 です 定 期 的 に 通 院 しましょう 再 発 したときの 対 処 が 遅 れずにすみます

4.ご 家 族 の 対 応 と 協 力

未 知 の 病 気 に 対 する 不 安 や 疑 問 患 者 さん への 接 し 方 など ご 家 族 自 身 のストレスも 計 り 知 れないものがあります さまざまな 不 安 や 疑 問 を 解 決 するためには まずはご 家 族 が 病 気 についての 正 しい 知 識 を 身 につけることが 大 切 です

統 合 失 調 症 では 患 者 さんの 症 状 の 安 定 や 再 発 のしやすさに 家 族 の 関 わり 方 が 大 きく 関 与 しています 患 者 さんと 身 近 な 人 との 間 で 小 言 や 叱 責 非 難 など 批 判 的 な 言 葉 が 頻 繁 に 交 わされたり 逆 に 心 配 のあまりお 互 いの 距 離 が 近 くなりすぎて 過 干 渉 になると 患 者 さん は 神 経 の 敏 感 さが 高 じて 不 安 定 になり 症 状 が 長 引 いたり 再 発 しやすくなってしまいます

患 者 さんが 引 きこもる 家 族 は 心 配 して 何 かと 声 をかける 神 経 が 敏 感 になっているため 責 められてい ると 思 い ますます 引 きこもる 家 族 は 不 安 や 焦 りから 患 者 様 へも 不 満 や 小 言 を 口 にするようになる 敏 感 さが 刺 激 され さらに 不 安 定 になる

患 者 さんがやる 気 なく 見 えるのも だらだらし ているのも 病 気 特 有 の 症 状 です この 病 気 は 患 者 さんの 努 力 や 頑 張 りで 克 服 できるものではありません ご 家 族 はゆっくりと 気 長 に 患 者 様 の 回 復 を 見 守 りましょう

ご 家 族 が 行 動 やものの 見 方 を 変 えるのも 必 要 です 感 情 的 に 批 判 非 難 しない 強 く 励 まさない 温 かく 見 守 る ほどよい 距 離 感 を 保 つ

安 心 感 ストレスの 軽 減 患 者 さんの 症 状 の 安 定 につながります

再 発 や 症 状 悪 化 のサインには 注 意 が 必 要 です 食 欲 がなくなる 生 活 のリズムが 崩 れる そわそわと 落 ち 着 きがなくなる ひきこもりがちになる 突 然 活 動 的 になる などがサインになります

再 発 のしやすさ がこの 病 気 の 大 きな 特 徴 で す 一 緒 に 生 活 しているご 家 族 が 患 者 さんの 雰 囲 気 がいつもと 違 う 何 か 様 子 がおかしいと 察 知 した 場 合 は 再 発 の 可 能 性 があります 再 発 のサインを 知 り 何 かおかしいと 感 じたら 早 めに 医 師 に 相 談 してください

患 者 さんのご 家 族 の 方 々もご 自 身 の 生 活 や 時 間 を 犠 牲 にすることなく 暮 らしていくことが 大 切 です 趣 味 や 交 友 関 係 を 保 つなど ご 家 族 自 身 もストレスをためない 工 夫 が 必 要 です 患 者 さんを 取 り 巻 く 周 囲 の 人 がゆったりとした 気 持 ちでいること 笑 顔 でいられることが 患 者 さんの 心 の 安 定 につながります

ゆっくり 急 がずにいきましょう 患 者 さんの 話 は 最 後 まで 聞 くようにしましょう 患 者 さんがわかるように 簡 潔 にはっきりと 伝 えましょう 患 者 さんと 一 緒 になって 興 奮 しないようにしましょう ご 家 族 は 従 来 どおりの 日 課 で 過 ごしましょう ご 家 族 が 一 息 つける 時 間 や 場 所 を 作 りましょう 再 発 のサインを 知 りましょう 問 題 解 決 は 一 歩 ずつです 焦 らず 長 い 目 で 見 守 りましょう 様 子 がいつもと 違 うときには 早 めに 主 治 医 に 相 談 しましょう

ご 清 聴 ありがとうございました